説明

油性液体の搬送方法およびその搬送装置

【課題】水/油の2液層構造の上層油性液体を搬送することができる油性液体の搬送方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の油性液体の搬送方法は、水層と、当該水層に対して分離される油性液層とに対し、前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体を形成して油性液を搬送することを特徴とする。また水層と、当該水層に対して分離される油性液層とを収納する容器11と、前記水層の下部に超音波振動を発生する超音波振動子12と、を備え、前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体16を形成して油性液を搬送するように構成した油性液体の搬送装置10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水層と、当該水層に対して分離される油性液層とに対し、前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液を搬送する油性液体の搬送方法およびその搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
溶液の超音波分離方法として特許文献1が知られている。この特許文献1の目的は、溶液を効率よく超音波振動させて、溶液を高能率に霧化してミストにすることにある。そして、この目的達成のために、溶液の超音波分離方法は、表面に移行して表面過剰となる物性の目的物質を含む溶液を超音波振動させてミストに霧化し、霧化されたミストを凝集させて回収して、目的物質を溶液から分離する。さらに、超音波分離方法は、超音波振動でできる溶液面Wの液柱Pに横方向に風を吹き付け、この風でもって液柱Pを溶液面Wと平行な方向に曲げている、構成を記載している。しかし、ここで分離される溶液は、1種類の1層構成である。
【0003】
また、ネブライザーのように超音波振動子を用いた霧放出器として特許文献2が知られている。特許文献2の構成としては、携帯用に構成された霧化具と、霧化具を着脱自在に支持する霧放出体とを備え、霧化具は、超音波発生器とタンクを収納する携帯用ケースを備え、霧放出体は、受筒を収納する本体ケースを備え、超音波発生器は携帯用ケース内の乾電池または交流電源から電力の供給を受けて超音波を発生する。この超音波が伝搬水、ダイヤフラム(分離膜)を介してダンク内の被霧化水に伝搬されると、被霧化水が霧化されて霧となる、ことが記載されている。しかし、伝搬水と被霧化水は、水あるいは水媒体であり、さらに、伝搬水と被霧化水との間に分離膜機能のダイアフラムが介在され、伝搬水と被霧化水が混合することを防止している。
【0004】
【特許文献1】特開2005−66554号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2005−278742号公報(請求項1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、上記従来技術の現状に鑑みてなされたものであって、水/油の2液層構造の上層油性液体を搬送することができる油性液体の搬送方法を提供することを目的とする。また、その搬送方法に用いることができる搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、従来とは異なる新たな着想で、かつ鋭意研究を重ねた結果、水/油の2液層構造の場合において、下層の水に超音波振動を作用させると、上層の油性液体から柱状体が形成される方法を新たに知見したことにより、本発明をするに至ったものである。
【0007】
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明の油性液体の搬送方法は、
水層と、当該水層に対して分離される油性液層とに対し、前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体を形成し、油性液を搬送することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、下層の水層に超音波振動を作用させた場合、その上層の油性液層の表面から柱状体が形成され、この柱状体の油性液を効率的に搬送することができる。また、油性液層から形成される柱状体の液の組成成分、組成比は、油性液層の液の組成成分、組成比と同じである場合もあるが、異なる場合もあり、例えば、液の種類、分離の態様、環境温度によって異なる場合もある。
【0009】
上記の発明において、油性液として燃焼油を用い、水層の液高さと燃焼油層の液高さの関係比が38(mm)〜70(mm):5(mm)〜50(mm)である場合、燃焼油層から柱状体が形成される。この柱状体とともに燃焼油が霧化する場合もある。例えば、灯油の場合には、柱状体の形成とともに急激な霧化が生じる。
【0010】
また、水層を加温することによって、柱状体の高さを制御するように構成される。水温に柱状体の高さが比例する。これによって、所望の柱状体の高さを得ることができ、柱状体の高さに応じた様々な搬送手段を採用できる。例えば、柱状体を斜め上方に角度を持って形成させ、落下する油性液を受け皿で受け止め、この受け皿から自然勾配で設けられた管を通って容器外部に搬送することができる。他例として、柱状体形成位置に垂直に管を配置し、この管を容器外部に延設することで、柱状体が管を通って容器外部に搬送することができる。
【0011】
また、油性液は、1種類の油性体に限定されず、例えば、混合液、乳化剤添加し撹拌作用によって乳化されたW/O型(Water in Oil)エマルション(撹拌作用のみでもよい)も含まれる。また、油性液は、例えば、油性塗料、油性接着剤、油性のコーティング剤等が例示される。
【0012】
また、油性液として燃料油を用いることが挙げられる。この燃料油としては、例えば、灯油、軽油、重油、ガソリン、エマルジョン燃料、機械油、食用油及びそれらの廃油又はそれらの2つ以上が混合された廃油が挙げられる。油性液として燃料油を用いる場合、水層の液高さと燃焼油層の液高さの関係比は38(mm)〜70(mm):5(mm)〜50(mm)となる。それ以外の関係比の場合、油性液は液柱化されない。
【0013】
また、超音波振動の発振(共振)周波数は、水を振動するのに最適な範囲が好ましく、例えば、1.6〜3MHzが例示され、超音波振動子ユニットとして市販され入手容易な、1.6、1.63、2.4、2.8MHzが安価製作の観点から好ましい。
【0014】
「水」は、完全な純水に限定されず、例えば、イオン交換水、水道水、井戸水、硬水、軟水、自然水、雨水等が例示できる。また、溶質含有の水(溶媒)の場合、溶質としては、特に制限されず、例えば、無機物、有機物、金属イオン等が挙げられる。また、水に不溶な物質が混合あるいは分散されていてもよい。
【0015】
また、他の本発明の油性液体の搬送装置は、
水層と、当該水層に対して分離される油性液層とを収納する容器と、
前記水層の下部に超音波振動を発生する超音波振動子と、を備え、
前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体を形成して油性液を搬送するように構成したことを特徴とする。
【0016】
また、油性液が燃焼油であって、前記水層の液高さと前記燃焼油層の液高さの関係比が38〜70:5〜50とするように燃焼油層の液高さを制御する液高さ制御部を備えることを特徴とする。
【0017】
また、前記水層を加温する加温手段と、
前記加温手段を制御することで、柱状体高さを制御する柱状体高さ制御部を備えることを特徴とする。
【0018】
これらの構成の作用効果は、上記に記載した作用効果と同様である。
【0019】
また、上記の本発明において、容器内部に、柱状体の流路を設けたことを特徴とする。流路としては、特に制限されず、柱状体の形成状体、直径、高さ、噴出力等によって、設計できる。例えば、柱状体を斜めに上方に角度を持って形成させ、落下する油性液を受け皿で受け止め、この受け皿から自然勾配で設けられた管を通って容器外部に流出(搬送)することができる。他例として、柱状体形成位置に垂直に管を配置し、この管を容器外部に延設することで、柱状体が管を通って容器外部に流出(搬送)することができる。
【0020】
また、他の本発明の塗出装置は、上記記載の搬送装置において、流路の先端にノズルを設けたことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、油性液を塗装、コーティング等の目的として用いて、流路先端のノズルから油性液を塗出することができる。
【0022】
また、この搬送装置によって搬送された油性液は、様々な用途に用いることができる。例えば、バーナ等の燃焼装置、エンジン等の内燃機関等の燃料等に有効である。また、この搬送装置は、油精製装置、廃油回収装置等に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明に係る実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、搬送装置10の基本構成を説明するための図である。
【0024】
図1において、搬送装置10は、水層と油性液層を収納する容器11と、この容器下部に設置された超音波振動子12と、この超音波振動子12を振動駆動するための超音波発振器13と、この超音波発振器13を制御する制御装置14を備えている。また、容器11の外周には、水温を調節するための加温手段19が設置されている。
【0025】
制御装置14は、超音波発振器13の各種の駆動制御を行うことができる。また、油性液の液量減少に際し、油性液を供給する液体供給装置20に対する制御も行える。液量減少は、液面検出手段(不図示)によって検出され、例えば、静電容量式検出器、浮き式の検出器、超音波検出器等を用いることができる。液面検出結果は、制御装置14の液面高さ制御部141に送信され、その機能によって、適切な範囲の液面高さになるように液体供給装置20に供給指令がなされる。例えば、灯油、軽油、重油等の燃焼油の場合、水層の液高さと燃焼油層の液高さの関係比は38mm〜70mm:5mm〜50mmとなるように制御する必要がある。それ以外の関係比の場合、柱状体16の高さは十分に得られない。
【0026】
また、柱状体高さ制御部142は、水温を検出する温度検出手段(不図示)から水温データを得て、設定された温度になるように加温手段19を制御することができ、水温に比例して柱状体形成高さを制御する。また、温度検出を行なわず、油性液に応じて温度設定することもできる。また、柱状体高さを検出する検出手段によって柱状体の高さを検出し、この検出結果に応じて柱状体の高さを制御するフィードバック制御を行うこともできる。また、他の実施形態として(柱状体高さ制御部142を必要としない例)、油性液に応じて加温手段19の加温値を手動で設定することもできる。油性液が重油の場合、水温の温度範囲を30℃以上に制御することが好ましい、30℃以上で柱状体の高さが100mm以上である。また、灯油の場合、19℃で柱状体の高さが300mm以上である。
【0027】
制御装置14は、専用回路、マイクロコンピュータ、パソコン等で構成できる。その制御手順は、ソフトウエアプログラムで実現してもよい。また、制御装置14の操作のための入力手段および表示手段等も備えている。また、超音波発振器13を冷却するために冷却装置を設けることができる。
【0028】
超音波振動子12は、公知の超音波振動子、振動板等を用いることができる。また、超音波振動子12は、容器11の下部に設置されるが、図1に示すように容器底部と平行に設置してもよく、図2に示すように斜めに設置してもよい。斜めに設置した場合、柱状体16がその設置された傾斜角に応じて斜めに形成される。超音波振動子12は、複数設置することができる。超音波振動子の発振周波数は、1.6〜3MHzの範囲が例示できる。通常行なわれる1層構造の水(25℃)の霧化の場合、例えば、発振(共振)周波数が2.4MHzであれば、超音波振動子12面からの適正水位(液面高さ)は25〜35mmに設定され、この時発生する霧化粒子径は中心粒子径3μmである。また、発振(共振)周波数が1.6MHzであれば、超音波振動子12面からの適正水位(液面高さ)は40〜50mmに設定され、この時発生する霧化粒子径は中心粒子径4μmである。また、超音波振動子12の霧化能力は、超音波振動子12の強さに比例するが、例えば、10ml/時間〜1000ml/時間である。なお、本発明の場合、水の霧化を目的とするものではなく、水層は、油性液層に振動力を伝搬することを主目的として用いられている。
【0029】
容器11は、液体供給装置20から供給される油性液体のための供給口が設けられている。この供給口は、図1に示すように、液面より下方側に設置した方が、液体の流動を小さくでき好ましい。また、液面上方から油性液層内部に管を配置するように構成してもよく、上部から滴下してもよい。また、油性液の柱状体16の流路17が設けられている。図1に示すように流路17は、L字状の配管で構成され、その一方の端部が柱状体16の形成位置に垂直に配置され、他方の端部が容器11外部に延設されるように構成されている。柱状体16(油性液)が流路17(配管)を通って容器11外部に流出(搬送)される。
【0030】
また、図3に示すように、流路17を受け皿171と配管172で構成することができる。この場合、柱状体16を斜め上方に角度を持って形成させ、落下する油性液を受け皿で受け止め、この受け皿から自然勾配で設けられた配管を通って容器11外部に流出(搬送)することができる。
【0031】
また、柱状体16の高さによって流路17の構成を設計することが好ましい。また、容器11内部の空気給排出の供給口が別途設けられている。流路17を通って容器11外部に排出された油性液は、その用途として各種装置に搬送される。
【0032】
容器11の形状、サイズ、材質は、特に制限されないが、振動伝搬力を減少させないような材質、形状が好ましい。図1の場合、容器11は、円筒形状(直径100mm、高さ800mm)であり、ガラス製である。
【0033】
また、水温、油性液温度は、超音波振動子12、油性液の種類に応じて設定され、例えば、発振周波数を2.4MHzの場合、水温は5℃以上に制御することが好ましい。
【0034】
また、加温手段19は公知の手段で構成でき、例えば、電気ヒータ、温水式ジャケット、温浴バス等が挙げられる。
【0035】
(実施例)
次に、図2を用いて、油性液の柱状体16が形成され、油性液を搬送する作用について説明する。図2(a)において、容器11内部に水と油性液が分離された2液層構造として収納されている。発振周波数は2.4MHz、油性液は灯油である。円筒状容器11の直径は100mm、高さは800mmである。霧化能力は120ml/時間(水、25℃)の超音波振動子12を用いている。なお、本発明の特徴はこの構成に限定されないことはいうまでもない。また、発振周波数が2.4MHzの場合、灯油1層構造では灯油に柱状体は形成されない。
【0036】
水層の液面高さh1(超音波振動子面から水層−灯油層界面までの高さ)は、50mm以上〜70mm以内の範囲とする。この範囲は、通常の発振周波数2.4MHzの場合の水霧化適正高さ25〜35mmの範囲よりも大きい。そのため、液面高さ38mm以上〜70mm以内の範囲の水1層構造の場合に振動作用を施しても、水の柱状体は生じない。また、水と灯油の2層構造の場合に、水の液面高さh1を水霧化適正高さ25〜35mmの範囲にした場合、灯油の柱状体は10mm〜20mm程度と小さい(実用性には乏しい)。
【0037】
灯油層の液面高さh2(水層−灯油層界面から灯油液表面までの高さ)は、5mmを超えて〜50mm以内の範囲である。水と灯油の温度は、19℃である。
【0038】
上記条件において、超音波振動子12を振動させた場合、図2(a)に示すように、凹部30が水層−灯油層界面から水層下方の超音波振動子12に向かって形成される。凹部30の内部は、灯油で構成されている。また、この凹部30の形成に前後してまたは伴い、その凹部30形成位置の垂直上方の灯油層表面に柱状体16が形成される。これら、凹部30および柱状体16は、外観目視した限りでは灯油の局所的な上下への膨張状態であると推測される。
【0039】
次いで、図2(b)に示すように、この柱状体16は、その発生から急激な速さで、垂直上方に向かって成長し、灯油は流路17を通って容器11外部に流出(搬送)される。なお、柱状体16の形成に伴って、灯油の霧化が生じる場合もある。この霧化された灯油も同様に流路17を通って容器11外部に搬送される。灯油の搬送に伴い灯油層の液面高さh2は急激に減少する。この液面高さh2の減少速度から換算して流量(搬送能力)は、230ml/時間である。なお、凹部30のサイズも大きく成長する。図2(b)において、排出搬送された灯油は、例えば燃焼装置等に提供される。
【0040】
また、灯油層の液面高さh2が5mm未満になると、超音波振動作用を継続していても、凹部30、柱状体16の形成は停止する。そのため、灯油の搬送を継続するためには、液体供給装置20から灯油を供給するように構成される。供給速度は、搬送速度に応じて設定される。なお、超音波振動作用を停止した場合、水層の液面高さh1は、超音波振動作用開始前と同じであり、水は搬送されていないと推測される。
【0041】
以上の実施形態によれば、発振周波数2.4MHzの場合、液面高さの比は、水層の液面高さh1:灯油の液面高さh2=38mm〜70mm:5mm〜50mmの範囲が望ましいと考えられる。また、発振周波数1.6MHz、水霧化適正高さが40〜50mmの場合には、水層の液面高さh1は、50〜70mmよりも大きい数値範囲になると推測される。
【0042】
(重油の場合)
油性液として重油を用いた場合について以下に説明する。図3に示すように、流路17を設けている。流路17は、受け皿171とこの受け皿171から容器11外部に延設された配管172で構成される。配管172は勾配を設けてあり重油は容器11外部に自然排出される。
【0043】
超音波振動子12は、容器11の底部に所定角度(5〜15度)で設けることで、柱状体16から飛び出た液の落下位置を制御することができる。この液の落下位置に受け皿171を設けてある。
【0044】
図3(a)は、水温30℃の場合の重油の柱状体16の形成と、搬送について例示している。超音波振動子12、水層、重油層の液面高さは、灯油の場合と同様である。この条件において、水温が30℃未満の場合、柱状体16はほとんど形成されず、大量搬送には不向きである。水温を30℃にして行なった場合、柱状体高さが100mm程度となり、受け皿171で落下される重油を受けとり、配管172を通って容器11外部に重油を搬送することができる。
【0045】
図3(b)は、水温50℃の場合の重油の柱状体16の形成と、搬送について例示している。この場合、柱状体高さが200mm程度である。図3(c)は、受け皿171の別実施形態の例である。図3(c)の場合、受け皿171は、柱状体16の形成位置に開口部を設け、その端部は容器11の内壁に密着されて構成される。その開口部から柱状体16の先端部が噴出して、受け皿171に受け取られ、配管172によって、容器11外部に搬送される。
【0046】
また、水温70℃〜80℃の場合の重油の柱状体16は、灯油の場合と同様に、柱状体16の高さがあるため(噴出力が強いため)、受け皿式ではなく、図2のように配管構成で流路17を構成することが好ましい。
【0047】
(軽油の場合)
油性液として軽由を用いた場合について以下に説明する。上記灯油の場合と同じ条件で、水層に発振周波数2.4MHzの超音波振動を作用させる。その結果、凹部、柱状体が形成される。
【0048】
(塗料の場合)
油性液として塗料を用い、上記灯油の場合と同じ条件で、水層に発振周波数2.4MHzの超音波振動を作用させることができる。そして、流路17の先端にノズルを設けることで、塗装装置または塗出装置として機能する。図4に塗出装置50の例を示す。装置全体を小型化でき、流路17の先端にノズル51が設けられている(図4(a)、(b))。
【0049】
以上、本実施形態の油性液体の搬送装置によれば、水を搬送させることなく、油性液のみを容器外部に搬送することができる。また、水層の水が減少することがないため、超音波振動子の故障の心配がなく、安全に作動させることができる。また、超音波振動子および超音波発振器を、油性液の柱状体形成に最適な設計として製造する必要がなく、一般に市販されている水用の超音波振動子および超音波発振器を用いることで安価に油性液の柱状体を形成し搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】油性液体の搬送装置の一例について説明するための図
【図2】油性液体の搬送作用について説明するための図
【図3】油性液体の搬送作用について説明するための図
【図4】塗出装置の例を示す図
【符号の説明】
【0051】
10 搬送装置
11 容器
12 超音波振動子
13 超音波発振器
14 制御装置
141 液面高さ制御部
142 柱状体高さ制御部
16 柱状体
17 流路
19 加温手段
20 液体供給装置
30 凹部
50 塗出装置
51 ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水層と、当該水層に対して分離される油性液層とに対し、前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体を形成して油性液を搬送する油性液体の搬送方法。
【請求項2】
前記油性液が燃焼油であって、前記水層の液高さと前記燃焼油層の液高さの関係比が38〜70:5〜50である請求項1に記載の搬送方法。
【請求項3】
前記柱状体の形成高さを水層の温度で制御することを特徴とする請求項1または2に記載の搬送方法。
【請求項4】
水層と、当該水層に対して分離される油性液層とを収納する容器と、
前記水層の下部に超音波振動を発生する超音波振動子と、を備え、
前記水層に超音波振動を作用させ、前記油性液の柱状体を形成して油性液を搬送するように構成した油性液体の搬送装置。
【請求項5】
前記油性液が燃焼油であって、前記水層の液高さと前記燃焼油層の液高さの関係比が38〜70:5〜50とするように燃焼油層の液高さを制御する液高さ制御部を備える請求項4に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記水層を加温する加温手段と、
前記加温手段を制御することで、柱状体形成高さを制御する柱状体高さ制御部を備える請求項4または5に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記容器内部に、柱状体の流路を設けたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の搬送装置において、
前記流路の先端にノズルを設けたことを特徴とする塗出装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−296092(P2008−296092A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142271(P2007−142271)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000133032)株式会社タクマ (308)
【Fターム(参考)】