説明

油水分離器

【課題】 シール部に異物が挟まり難い油水分離器を提供する。
【解決手段】 本体3と蓋4から成る分離器ケーシングに油水の流入口6及び液溜部5と水の流出口7を形成する。液溜部5内に水よりも小さく油よりも大きな比重を有するフロート8を配置して液溜部5と流出口7を連通する弁孔2を開閉する。多数の微小貫通孔を有する円筒状フィルター9をフロート8の外側に配置する。円筒状フィルター9で液溜部5内を流入口6に連通する外側空間20と弁孔2に連通する内側空間21に区画し、円筒状フィルター9の内周面でフロート8を上下に摺動案内する。液溜部5の下方に外側空間20から連通孔24を通して連通すると共に内側空間21から円筒状フィルター9の微小貫通孔と概略同径の多数の微小貫通孔を有する円板状フィルター25を通して連通する異物溜部23を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油貯蔵タンク等において混入した水を自動的に分離し系外へ排出することのできる油水分離器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の油水分離器は、例えば特許文献1に開示されている。これは、分離器ケーシングに油水の流入口及び液溜部と水の流出口を形成し、液溜部と流出口を連通する弁孔を開けた弁座を液溜部に形成し、液溜部内に水よりも小さく油よりも大きな比重を有するフロートを上下動自在に配置し、フロートの底面で弁座の弁孔を直接開閉して液溜部内の水を流出口から排出するものにおいて、多数の微小貫通孔を有する円筒状フィルターで液溜部内を流入口に連通する外側空間と弁孔に連通する内側空間に区画し、円筒状フィルターの内周面でフロートを上下に摺動案内し、液溜部の下方に外側空間から連通孔を通して連通すると共に内側空間から連通小孔を通して連通する異物溜部を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−216274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の油水分離器においては、円筒状フィルターの微小貫通孔を通過できずに異物溜部に溜まった流体中のゴミやスケール等の異物が連通小孔を通して液溜部の内側空間に流入し、フロートの底面と弁座との間のシール部には挟まるために、完全シールできなくなって油を漏出してしまう問題があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、シール部に異物が挟まり難い油水分離器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の油水分離器は、分離器ケーシングに油水の流入口及び液溜部と水の流出口を形成し、液溜部と流出口を連通する弁孔を開けた弁座を液溜部に形成し、液溜部内に水よりも小さく油よりも大きな比重を有するフロートを上下動自在に配置し、フロートの底面で弁座の弁孔を直接開閉して液溜部内の水を流出口から排出するものにおいて、多数の微小貫通孔を有する円筒状フィルターで液溜部内を流入口に連通する外側空間と弁孔に連通する内側空間に区画し、円筒状フィルターの内周面でフロートを上下に摺動案内し、液溜部の下方に外側空間から連通孔を通して連通すると共に内側空間から円筒状フィルターの微小貫通孔と概略同径の多数の微小貫通孔を有する円板状フィルターを通して連通する異物溜部を形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多数の微小貫通孔を有する円筒状フィルターで液溜部内を流入口に連通する外側空間と弁孔に連通する内側空間に区画し、円筒状フィルターの内周面でフロートを上下に摺動案内し、液溜部の下方に外側空間から連通孔を通して連通すると共に内側空間から円筒状フィルターの微小貫通孔と概略同径の多数の微小貫通孔を有する円板状フィルターを通して連通する異物溜部を形成したことにより、流体中の異物をフロートの底面と弁座との間のシール部に至る前に円筒状フィルターで捕捉して異物溜部に溜めることができ、また、異物溜部に溜まった流体中の異物が円板状フィルターの微小貫通孔を通過することがないので、シール部に異物が挟まり難くなるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる油水分離器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。油水分離器1の分離器ケーシングは、本体3に蓋4をボルトで締結して形成される。本体3は、下部側面に流入口6と底部中央に流出口7を有し、流入口6の下方に仕切板22が固着され、分離器ケーシング内に油水の液溜部5と異物溜部23が形成される。仕切板22の中央に、液溜部5と流出口7を連通する弁孔2を開けた弁座14がねじ結合される。弁座14は、その上端が液溜部5内に突出して設けられる。
【0010】
本体3に複数のガイド10,11,12,13を設け、ガイド10,11,12,13の内側に、流体中の異物を捕捉する円筒状フィルター9が配置される。フィルター9は、周壁に多数の微小貫通孔を有し、本体3と仕切板22の間に挟んで固定される。円筒状フィルター9で液溜部5内が流入口6に連通する外側空間20と弁孔2に連通する内側空間21に区画される。外側空間20と異物溜部23は、仕切板22の外周部に開けられた連通孔24で連通される。内側空間21と異物溜部23の間に、流体中の異物を捕捉する円板状フィルター25が配置される。円板状フィルター25は、中央に固定孔を有する円板状で、固定孔の周囲に内側空間21と異物溜部23を連通する多数の微小貫通孔を有し、外周が仕切板22に固定され固定孔が弁座14に固定される。円板状フィルター25の微小貫通孔は円筒状フィルター9の微小貫通孔と概略同径に形成される。円筒状フィルター9の内側に縦長の円柱形状のフロート8が配置される。フロート8は、その外周面が円筒状フィルター9の内周面を摺動して上下動自在に案内され、その底面の中心部で弁座14の弁孔2を直接開閉する。フロート8は、ステンレス鋼薄板をプレスと溶接によって中空フロートとして製作されたり、ポリプロピレンやポリエチレン等の比較的比重の小さな合成樹脂で製作されたりする。フロート8の比重は、水よりも小さく且つ油よりも大きい値とされ、水の中では浮上するが油の中では浮上することがないようにする。
【0011】
フロート8の上方にはストッパー15が設けられると共に、下方にはフロート8が降下して弁座14に着座した場合にフロート8を支持する支持座16,17が設けられる。本体3の側部にはバルブ18を介して液溜部5を油貯蔵タンク等に連通する均圧管と、同じくバルブ19を介して異物溜部23を系外に連通するブロー管が接続される。
【0012】
上記実施例の作動を説明する。油水分離器1の流入口6が油貯蔵タンク等の水溜部に接続される。油水分離器1の流入口6から液溜部5内に流入してきた油水の混合流体は、その比重差により水が下部に油が上部に分離して溜まる。流体中の異物は、円筒状フィルター9で捕捉され、外側空間20から連通孔24を通して異物溜部23に溜まる。また、円筒状フィルター9を通過した微小な異物は、内側空間21から円板状フィルター25の微小貫通孔を通して異物溜部23に溜まる。水位がフロート8の喫水線、通常はフロート8の高さの2/3程度の位置、に達するとフロート8が浮上して弁座14から離座し、弁孔2を開口することにより、水を流出口7から系外へ排出する。排水によって油水分離器1の液溜部5内の水位が低下すると、フロート8が降下して所定の水位で弁座14に着座し、弁孔2を閉口して油の漏出を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、油貯蔵タンク等において混入した水を自動的に分離し系外へ排出する油水分離器に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 油水分離器
2 弁孔
3 本体
4 蓋
5 液溜部
6 流入口
7 流出口
8 フロート
9 円筒状フィルター
14 弁座
20 外側空間
21 内側空間
22 仕切板
23 異物溜部
24 連通孔
25 円板状フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離器ケーシングに油水の流入口及び液溜部と水の流出口を形成し、液溜部と流出口を連通する弁孔を開けた弁座を液溜部に形成し、液溜部内に水よりも小さく油よりも大きな比重を有するフロートを上下動自在に配置し、フロートの底面で弁座の弁孔を直接開閉して液溜部内の水を流出口から排出するものにおいて、多数の微小貫通孔を有する円筒状フィルターで液溜部内を流入口に連通する外側空間と弁孔に連通する内側空間に区画し、円筒状フィルターの内周面でフロートを上下に摺動案内し、液溜部の下方に外側空間から連通孔を通して連通すると共に内側空間から円筒状フィルターの微小貫通孔と概略同径の多数の微小貫通孔を有する円板状フィルターを通して連通する異物溜部を形成したことを特徴とする油水分離器。

【図1】
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【公開番号】特開2012−125708(P2012−125708A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279925(P2010−279925)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】