説明

油脂トラップを備えた衝突フィルター

調理室の排気フードで用いるのに適した衝突フィルターが、油脂粒子を捕捉するための油脂トラップと、該粒子を排出するためのチャンネルとを備えている。トラップは異なる形態とすることができる。フィルターは種々のシステムレイアウトで使用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的に空気流から油脂その他の汚染物質を除去するフィルターおよびスクリーンに関し、特に、本発明は、調理用途で用いられる調理室排気フード用フィルターに関する。
【0002】
なお、本願は、2006年11月10日に出願された米国特許出願第60/857,961号および2007年11月8日に出願された米国特許出願第11/936,925号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
調理室から煙、蒸気、臭気を除去するために、調理領域の情報に排気フードを設けることが知られている。調理領域から排気される高温空気は、多量の油脂その他の汚染物質を含んでいることがある。空気を大気中に放出する前に油脂その他の汚染物質を除去して、排気をきれいにすることが望ましい。更に、こうした汚染物質の大部分を排気システムの初期の段階で除去して、最小限の汚染物質が排気システム入口のダクトに付着するようにして、頻繁な清掃の必要性を低減することが望ましい。
【0004】
調理室排気フード用に種々の異なるフィルター、スクリーンおよび汚染物質除去装置が知られている。公知の油脂フィルター、油脂スクリーンおよび油脂捕捉構造は、表面に油脂を収集するための蛇行経路、油脂粒子を除去するための電機集塵器、粒子を捕捉するためのステンレス製メッシュ、および、小さな油脂粒子を酸化するための紫外線気体洗浄装置を含んでいる。こうした公知の油脂除去構造は一般的に用いられているが、頻繁な清掃が必要で、コストが高くつく。一般的に、公知の構造は、大きな粒子(10μm以上)を除去するのに効果的であり、小さな油脂粒子を除去するためには、有効に作用しない。
【0005】
衝突分級器またはインパクターは公知となっており、空気流中の粒子の等級分けに関して比較的高い特定性を備えるように構成可能である。インパクターでは、空気流はある表面へ向けて加速される。粒子の慣性は空気よりも重いので、粒子は衝突面へ或いは衝突面の近傍へ輸送される。しかしながら、無視し得る慣性を有した空気は急激に方向を転換する。一層重い質量の粒子は、空気流から逸脱して衝突面に衝突する。各粒子が流れる偏向経路への前記表面の影響は、粒子の質量に依存している。ノズルサイズ、空気流速、ノズル出口から衝撃プレートまでの距離および他の寸法特性は、装置の性能を変更するために用いることができる。ストークス数を与える公知の式を用いて、特定質量以上の粒子を収集または除去するのに必要なノズル特性を計算することができる。処理される粒子が実質的に同じ密度の粒子であれば、粒子サイズに関した選別となる。この特定の粒子サイズは、インパクターの性能に関する分離サイズとして知られている。理想的には、分離サイズの粒子および分離サイズよりも大きな粒子が、空気流から効果的に除去され、分離サイズよりも小さな粒子が空気流によってインパクターを通過して輸送される。一般的にノズルサイズを小さくし、空気流速を高めることによって、一層小さな粒子が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第60/857,961号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/936,925号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インパクターを通して粒子を供給、処理する、比較的忠実な粒子の分級での使用は知られているが、空気流から汚染物質を除去するために、インパクターをフィルターとして使用することは知られていない。インパクターの概念を油脂や調理カスのような粘着性物質を収集するために、実質的に連続プロセスに適用することは、また、フィルターによって収集された汚染物質を連続的に除去して、流出する空気流内に粒子が再び捕らえられることを防止する、或いは、少なくとも収集された粒子を流出する空気流から隔離する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、油脂や調理室の排気に一般的に見られる調理残留物のような粘着性物質の収集、除去にインパクター技術を応用し、空気流から小さな粒子を効果的に除去するシステムおよび方法を提供する。
【0009】
本発明の特徴および利点は、後述する説明、特許請求の範囲および図面から当業者には明らかとなろう。添付図面では同様の構成を指示するために同様の参照番号が用いられている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による油脂トラップを備えた衝突フィルターを有した調理ステーションを示す図である。
【図2】図1の衝突フィルターの斜視図であり、開放状態にるフィルターを示す図である。
【図3】図1、2に示した衝突フィルターの斜視図であり、閉鎖状態にあるフィルターを示す図である。
【図4】衝突フィルターの一部を示す部分拡大図である。
【図5】衝突フィルターの他の一部を示す部分拡大図である。
【図6】本発明による衝突フィルターを簡略化して示す部分端面図である。
【図7】本発明による衝突フィルターを用いた排気フードシステムの略図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す略図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図11】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図12】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図13】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図14】本発明のフィルターにおける粒子の分離を示す略図である。
【図15】出口流速を低減した本発明の衝突フィルターを示す略図である。
【図16】本発明のフィルターの部分図である。
【図17】本発明によるフィルターの更に他の実施形態を示す略図である。
【図18】本発明の更に他の実施形態を示す略図である。
【図19】構造を簡略化し経済的に製造するのに適した本発明の更に他の実施形態の斜視図である。
【図20】図19の実施形態の内側部分の部分端面図である。
【図21】衝突フィルターを設置状態で洗浄することをy法衣にした本発明の更に他の実施形態の斜視図である。
【図22】図12の実施形態の端面図である。
【図23】本発明の他の形態の部分斜視図である。
【図24】本発明の更に他の実施形態の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明され或いは添付図面に示された構造および構成の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の形態としたり、種々の方法で実施したりすることが可能である。また、本明細書で用いられる語句および専門用語は説明目的のものであり、限定的に理解されるべきではない。「含む」「具備する」およびその変形は、その後に記載されている項目およびその均等物、ならびに、付加的項目およびその均等物によて包囲されることを意味している。
【0012】
以下、添付図面、特に、図1を参照すると、本発明による衝突フィルター20が図示されている。衝突フィルター20は、レンジ、レンジ上面、グリドルその他の調理機器24の上方に配置されている排気浄化システム22で用いることができる。こうした調理機器は、高温の空気、水蒸気、油脂を含んだ調理蒸気、燃焼性生物、固体および液体蒸気、種々の粒子および組成物を生成し、これらの全ての生成物は、矢印24にて指示されている。フィルター20は、ダクト30に連通するフードまたはプレナム28のような空気制限通路内に斜めに設置される。フィルター20によって収集された油脂32はフィルターからシュート34に沿って収集樋35に流れる。該収集樋は、フィルター20からシュート34への油脂32の流れの方向に対して概ね垂直に延設されている。収集樋35は、一方の端部から他方の端部へ傾斜が設けられており、ドレンまたはカップ36内に排出するようになっている。前記ドレンまたはカップは、自動的または連続的に、或いは、自然に排出するようになっている。フィルター20は、収集樋35との間にシュート34がなくとも、前記収集樋に直接に排出可能に、或いは、シュートを収集樋35の延長フランジとして形成することができる。
【0013】
衝突フィルター20は、入口側38と出口側40とを有している。油脂その他の粒子によって汚染されている空気は、入口側38から衝突フィルター20内に流入し、出口側40から衝突フィルター20から流出する。空気流中の分離サイズ以上の汚染物質は、フィルター20を通過する際に、空気流から除去される。
【0014】
図2〜図5に示す実施形態では、衝突フィルター20は、入口パネル42と出口パネル44とを含み、該入口パネルと出口パネルとは、重ね合せて配置され互いに協働して、入口パネル42に形成されたノズル入口48を有したノズル46から、フィルター20を通過し、出口パネル44に形成された出口オリフィス50へ流通する空気流のような流体のための直線的ではない経路を画成する。一例として示す実施形態では、ノズル46および出口オリフィス50は細長いスロットであるが、例えば楕円形や矩形を含む他の形状とすることができる。一例と示す実施形態は、パネル42、44は、一方が他方内に配置されて所望の入れ子構造または櫛形構造を形成し、かつ、パネル42、44の縁部に沿って1または複数のヒンジ52によって互いに連結されている。図4、5は、ヒンジ52によって連結する必要のない入口パネル42および出口パネル44の一部を示している。また、他の形態も可能であることは理解されよう。ヒンジによって連結されているか否かによらず、2以上のパネルまたは構成部品から構成される場合には、本発明のフィルターは、内部清掃のために容易に開くことができる。
【0015】
図6の単純化した概略図を参照して、本発明のフィルターの基本的特徴および性能について説明する。単純化したフィルター60は、入口パネル62と出口パネル64とを含んでいる。衝突プレート66が、ノズル72のノズル出口70に対して対面、離間させて配置された衝突面68を有している。衝突プレート66は、ノズル出口70の両側を超えて外側へ横断方向に突出している。衝突フィルター60に流入する空気流のような流体は、ノズル72内で加速される。一例として示す実施形態では、ノズル72は、ノズル入口74からノズル出口70までの長さが十分に長い細長い通路であって、空気および該空気に含まれる汚染物質が実質的に同じような速度まで加速されるようになっている。
【0016】
更に、単純化したフィルター60では、ノズル入口74、該ノズル入口から延びるノズル72およびノズル出口70は、本質的に長穴である細長い開口部を形成している。然しながら、他の形状としてもよい。長穴に換えて、入口パネル62を貫通する一連の小穴として複数のノズルを設けても良い。
【0017】
トラフ状の第1と第2の油脂トラップ80、82は、ノズル72から離間させて該ノズルの側部に沿って配設されている。本明細書では「油脂トラップ」と称しているが、後述するように、ある調理室の環境では、トラフ状の構造によって油脂粒子以外の他の汚染物質を収集することもできる。油脂トラップ80、82は、トラフ状の構造体であって、衝突プレート66に隣接させて配置された収集壁84を有しており、該収集壁は衝突プレートに対して概ね直角となっている。収集壁84は、衝突面68からトラフ底86まで延設されている。トラフ底86は、収集壁84からノズル72の方へ衝突面68に対して実質的に平行に延設されている。バッフル86は、ノズル72に対して離間配置されトラフ底86から衝突面68の方へ延びる本質的に真直ぐな壁から成る。バッフル面90がノズル72に対面している。バッフル88の先端は、所定距離を以って衝突面68から離間しており、これによって、バッフル88と衝突面68との間にトラフ入口92が形成される。入口92によって形成される開口部を除いて、該トラップは、ノズル72からの流れに対して実質的に閉じられている。然しながら、トラップの少なくとも一方の端部が開いており、トラップに収集された汚染物質が該フィルターから排出可能となっている。
【0018】
出口パネル64には、複数のフィルター出口オリフィス94が形成されており、該フィルター出口オリフィスを通ってフィルター60から空気流が流出する。一例として示す実施形態では、出口オリフィス94は、細長いスロット上の開口部であって、別々の入口ノズル72に関連する隣接した収集壁84の外表面の間に形成されている。
【0019】
本発明の衝突フィルターは、空気と空気流中の粒子との間の慣性の相違を用いて、粒子を空気流から抽出、収集するようになっている。油脂、チャー粒子、塵埃等の粒子は、空気よりも密度が高いために、衝突フィルターによって分離すべき空気流によって加速することによって、比較的小さな粒子であっても十分に大きな慣性を有することとなる。粒子と空気の双方が、立ちはだかるプレートに対してノズルから同じような速度で流出すると、空気はプレートの前で急激に方向転換する。然しながら、慣性の大きな粒子は空気流の経路から逸脱し、プレートに衝突するか、或いは、より近くまでプレートに接近する。各衝突フィルターに関して、ノズルサイズ、ノズルからプレートまでの距離、空気流速はフィルターの性能に関係している。
【0020】
粒子物理学からは、エアロゾルの取扱、処理、分離において、ノズル直径およびノズルからの流体の流速、流体の粘性、粒子密度のような変数は、インパクター内に捕捉された粒子を確定するために選択可能であることが知られている。インパクター内で取扱われる粒子が実質的に同じ材料、或いは、そうでなければ同様の密度の粒子であるならば、サイズは決定因子となり、インパクターの性能のために所謂、粒子「分離サイズ」がある。「分離サイズ」は、あるインパクターに関して、「分離サイズ」以上の粒子がインパクター内で効果的に除去され、「分離サイズ」よりも小さな粒子が気流と共に運ばれる、粒子サイズを特定する。分離サイズを計算する式は、ストークス数、空気の粘性、ノズル直径(または矩形ノズルの場合ノズル幅)、粒子密度、スリット補正係数(CO)およびノズル速度に関連する。該式によれば粒子分離サイズは以下のように表すことができる。
【数1】

【0021】
上記の理解は、本発明の衝突フィルターの作用および性能に適用される。調理室の排気に含まれる油脂粒子から成る汚染物質は、同じような密度を有し、かつ、上記の式は、本発明の衝突フィルターのための油脂粒子分離サイズを決定するために用いることができる。分離サイズの油脂粒子の質量と同様の質量の他の粒子もまた除去されよう。調理室の排気フード内の空気流から油脂粒子を除去するために、ノズル出口70と衝突面68との間の距離は、ノズル直径の約1/2から10倍の間とすることができる。ノズル直径は約0.127mm〜約12.7mm(約0.005inch〜約0.5inch)が適切であると考えられ、また、正方形、丸形、三角形等とすることができる。ノズル出口から衝突面までの距離が、ノズル幅の約1/2の場合、小さな油脂粒子の許容できる収集性能が得られた。従って、ノズル幅が0.508mm(0.02 inch)の場合、ノズルから衝突面までの距離が0.254mm(0.01inch)でノズルからバッフル面までの距離約0.254mm(0.01inch)が、油脂粒子を除去するために効果的である。
【0022】
トラフ入口92として規定される間隙が、また、フィルターに収集される粒子サイズに影響する。例えば、ノズル出口70と衝突面68との間の距離よりも大きなトラフ開口部またはトラフ入口92では、ノズル出口70と衝突面68との間の距離と同じ開口部よりも一層小さな油脂粒子を収集した。
【0023】
本発明の使用に際して、空気流に分離サイズ以上の第1の粒子群と、分離サイズよりも小さな第2の粒子群(粒子の密度は同じとする)を含んでいるとする。第1と第2の粒子群は、空気流中に不規則に分散している。空気流および粒子はノズル72内で衝突面68へ向けて加速される。空気流および粒子がノズル出口70から流出すると、2つの主要な経路への最初の分割が生じる。つまり、空気流の一部と粒子の一部がノズル出口70からトラップ80へ向い、そして空気流の一部と粒子の一部がトラップ82へ向かう。
【0024】
2つの主要な経路、つまり第1のトラップ80へ向かう経路と、第2のトラップ82へ向かう経路の各々で、粒子は、衝突面68によって逸らされ、2つの主要なグループに分れる。大きな慣性を有した重い粒子は衝突面68へ運ばれ衝突し、或いは、衝突面の直近で逸らされる。一層小さな慣性を有した軽い粒子と空気は、ノズル72から流出すると、急激に逸らされ、衝突面62に衝突することなく、衝突面62から一層遠くに離れている。従って、第1のグループの粒子は、衝突面68の近傍または衝突面に接する流れ内にあり、実質的に第1の群の粒子からの粒子のみを含んでいる。これらの粒子は、衝突面68上に層状に堆積する。第2のグループの粒子は、実質的に第2の群の粒子からの粒子のみを含んでおり、第2の群の粒子は衝突面68から一層遠くに離れた流れの中にある。上記2つの流れが衝突面から下方に方向転換すると、第1の粒子グループは入口92から流入し、衝突面68に衝突するように流れる空気流によって、少なくとも部分的に衝突面に保持または衝突面の近傍に保持され、該衝突面に沿って押圧される。バッフル88は、第1のグループの粒子を運ぶ流れと、第2のグループの粒子を運ぶ流れの間に配置された分離壁を構成する。更に、空気流の大部分は、油脂トラップ80、82の外部にあり、油脂トラップ80、82には実際上ほとんど空気流が流入しないが、一層重い粒子は、油脂トラップの外部直近の空気の流れによって油脂トラップ内へ付勢される。油脂トラップ80、82内に流入すると、油脂粒子は収集壁84に沿って流れ、トラフ底86に溜まり、フィルターの配向角度によって油脂トラップの開口端部から外部へ排出される。調理室の排気システムにおいける通常の熱によって油脂は液体状態にあり、従って、油脂はフィルターの油脂トラップからシュート34および収集樋35に沿ってドレンまたはカップ36内へ流れる。
【0025】
油脂その他の粘着性粒子を除去するために衝突フィルターを用いる場合、粒子は、衝突面や収集壁84、トラフ底86に付着、保持される。衝突面68に接近する空気流は衝突面68沿いに急速に方向転換する。バッフル88を備えない場合、衝突面68によって方向転換した空気流は、衝突面68とトラフ底86との間の領域に流入することができる。空気流が収集壁84によって再び方向転換したとき、収集壁84およびトラフ底86に沿って拭い去れたり或いは洗い流されたりして、粒子は、収集壁84またはトラフ底86に付着する空気流から除去、分離され、空気流中に再び取り込まれる。再び取り込まれた粒子はフィルターから運び出され、除去効率が低下する。バッフル88は、空気流が衝突面68とトラフ底86との間の領域に流入する前に、方向転換した空気流によって分離された粒子の再飛散を制限する。
【0026】
図7に示すシステム100では、本発明のフィルター102は、フード106内で直列的に作用する本発明の第2のフィルター104と共に使用される。フィルター104はフィルター102と実質的に同一としたり、或いは、好ましい構成では、フィルター102によって除去される粒子よりも小さな粒子を除去するように構成することができる。こうして、第2のフィルターのノズル入口およびノズル出口に付着、汚染するであろう大きな粒子が、フィルター102によって先ず除去され、そして、フィルター104内には殆ど小さな粒子のみが存在し除去される。
【0027】
矢印108によって指示される空気流は、フード106およびダクト110内で排気ファン112のような空気流動装置によって誘導される。更に、空気流108の清掃、浄化作用は、参照番号114にて指示される箱によって全体が示される第2の浄化ユニットによって行われる。第2の浄化装置は、紫外線ライト、静電1または複数の第2の浄化装置、静電集塵機、付加的な衝突フィルターその他の当業者には周知の汚染物質除去装置のような1または複数の第2の浄化装置を含んでいる。上述したノズルと出口オリフィスとの間の真直ぐでない経路又は蛇行経路によって、紫外線ライトによる浄化装置からの光線は、フィルター102、104の上流側へは遮断される。フィルター102、104を隣合わせに配置したモジュラー要素から成る場合には、隣接する構成要素の間に重ね合せたプレートを配設して、フィルターの上流へ紫外線ブロックとすることができる。第2の浄化ユニット114は、第2の衝突フィルター104に加えて、或いは、第2の衝突フィルターに代えて使用可能である。
【0028】
汚染物質の取扱および油脂の流出を補助するために、フィルター20(図1)およびフィルター102、104(図7)は、その第1の側116を第2の側118よりも高く配置し、フィルター内の油脂トラップ80、82が第1の側116から第2の側118へ延びるようにすることができる。こうして、油脂は、トラフまたは油脂トラップ80、82内で、その一方の端部から反対側の端部へ、下方に延びるシュート34(図1)の方へ流れる。既述したように、収集樋35は、また、その一端から他端へ向けて角度を設けて、油脂の更なる処理または廃棄のためにカップ36への排出を促進することができる。
【0029】
1または複数の洗浄ノズル120洗浄システムをシステム100に配設して、フィルター102、104およびフード106を洗浄するようにできる。ノズル120は、フィルター102、104の入口側に配置して洗浄溶液を供給し、フィルター104、104に該洗浄溶液を吸引させ内部を清掃する構成を含めて、必要に応じて配置、配向することができる。洗浄機能は、間欠的に指示により或いは自動的に行うことができる。
【0030】
図8〜図13に、本発明の更なる特徴および複数の実施形態を示す。図8において、衝突フィルター200は、ノズル202および衝突プレート204を含んでいる。第1と第2のトラフまたはトラップ206、208がノズル202の側部に配置されている。収集壁210、トラフ底212およびバッフル214が、トラフまたはトラップ206、208の各々に設けられている。バッフル214は、入口218でバッフルの縁部に沿って設けられ内方へ向けられたリップ部216を有している。トラフまたはトラップ206、208内への流れとして方向付けられた軽量の汚染物質は渦を巻き、或いは、潜在的に渦を巻きトラフまたはトラップから流出し、そして、バッフル214を通過する主空気流に捕捉されることがある。リップ部216は、渦を巻く軽量汚染物質の少なくとも外側の層を保持して、フィルター200の除去効率を更に高める。
【0031】
図9〜図12は、本発明のトラフまたはトラップの異なる形状を示している。図9に示す衝突フィルター300は、ノズル302と衝突プレート304とを含んでいる。第1と第2のトラフまたはトラップ306、308がノズル302の側部に配置されている。該トラフまたはトラップの各々はバッフル310を含んでおり、該バッフルの端部と衝突面304との間に入口312が形成される。トラフまたはトラップ306、308の一部が、衝突プレート304の背後に突出して凹所314が形成されている。
【0032】
図10に示す衝突プレート400は、ノズル402と、衝突プレート404とを含んでいる。第1と第2のトラフまたはトラップ406、408は丸く連続的に湾曲する部材より形成され、狭い入口410、412を有した概ね楕円形を呈している。
【0033】
図11に示す衝突フィルター500は、ノズル502と衝突面504とを含んでいる。第1と第2のトラフまたはトラップ506、508は三角形状を呈しており、先の尖ったテーパー状に形成されたトラフ底510、512を有している。トラフまたはトラップ506、508を形成する三角形の一辺に沿って入口514、516が形成されている。
【0034】
図12に示す衝突フィルター600はノズル602を含んでいる。単一の平坦な衝突プレートに替えて、フィルター600は、頂点608から第1と第2のトラフまたはトラップ614、616の入口開口部610、612へ向けて傾斜している衝突プレートセグメント604、606を含んでいる。トラフまたはトラップ614、616の各々は、収集壁618およびバッフル620を含んでおり、収集壁618とバッフル620との間に丸形のトラフ底622が形成される。
【0035】
本発明の衝突フィルターは垂直または水平に配向する必要はない。フィルターを流通する流れは誘導されるので、空気流中の流速および汚染物質は、フィルターの配向によらず制御可能である。図13は衝突フィルター700の実施形態を示しており、該衝突フィルターは図9の衝突フィルター300に類似しているが、衝突プレート704の情報に配置されたノズル702を有している。ノズル702の側部に第1と第2のトラフまたはトラップ706、708が配設されており、該トラフまたはトラップの各々はバッフル710を含み、該バッフルの端部と衝突プレート704との間に入口712が形成される。トラフまたはトラップ706、708の一部が衝突プレート704の背後に突出しており、これによって凹所714が形成される。
【0036】
図8〜図13を参照して示しl説明した本発明の種々の特徴および構造は単なる一例であって、本発明が企図する変形例を網羅するものではない。更に、種々の異なる特徴および構造は代替的組合せで用いることができる。例えば、本発明を限定する趣旨ではないが、フィルター400およびフィルター600で示した概ね丸形のトラフ底は、概ねフィルター300またはフィルター700で示したような構成の衝突フィルターで用いることができる。更なる例として、図8のリップ部216のような内側に向けたリップ部は種々の形態のトラフまたはトラップに設けてもよい。
【0037】
粘着性を有した油脂粒子その他の汚染物質を収集するために用いる場合、汚染物質が本発明のトラップの表面に付着する。更に、フィルターを流通する空気の力は、汚染物質を表面に押し付け保持することを補助する。然しながら、収集された汚染物質が表面に付着し該表面に沿って流れる態様を改善するために、表面に特殊コーティングを施すことができる。図14は、衝突面804に対面するノズル802を有したフィルター800を示している。ノズル802の側部に第1と第2のトラフまたはトラップ806、808が配設されている。空気流810中に粒子が不規則に分散している。該粒子は大粒子812、中粒子814、小粒子816を含んでいる。大粒子812は衝突面804に衝突し、該表面上に油脂層を形成する。図14に示すように、ノズル802の中心部の淀み領域に粒子が堆積して隆起部が形成され、そこで空気流810は、第1と第2のトラフまたはトラップ806、808へ分流する。大粒子812よりも幾分小さな中粒子814は、衝突面804の近傍を流れるが、大粒子812とは異なり衝突面804には接触しないであろう。然しながら、中粒子814は、衝突面804の近傍を流れて、トラフまたはトラップ806、808内に捕捉される。空気の流れが、大粒子812および中粒子814を衝突面804に押し付け、或いは、同衝突面の近傍に保持し、トラフまたはトラップ806、808への捕捉を補助する。分離サイズよりも小さな小粒子816は、空気流800沿いに流れ、フィルター800から流出する。小粒子816の一部はトラフまたはトラップ806、808内へ輸送され、該トラフまたはトラップ内で循環する。循環する小粒子816の一部は内側に突出したリップ部818によって捕捉されトラフまたはトラップ内に保持される。
【0038】
図15において、衝突フィルター900はノズル902と衝突プレート904とを含んでいる。各ノズル902の側部に第1と第2のトラフまたはトラップ906、908が配設されている。各トラフまたはトラップ906、908に収集壁910、トラフ底912およびバッフル914が設けられている。バッフル914は、入口918で内方へ向けられたリップ部916を有している。トラフまたはトラップ906、908内への流れとして方向付けられた軽量の汚染物質は渦を巻き、或いは、潜在的に渦を巻きトラフまたはトラップから流出し、そして、バッフル914を通過する主空気流に再び捕捉されることがある。リップ部916は、渦を巻く軽量汚染物質の少なくとも外側の層を保持して、フィルター900の除去効率を更に高める。異なるノズル902に関連した2つのトラフまたはトラップ906、908の間に規定される出口920が外側に拡開しており、フィルター900から流出する空気流922の出口速度が低減されるようになっている。空気流の出口速度が低下すると、フード内で発火したときに、火炎の伝播が遅くなり有利である。
【0039】
図16は、図2、3に示したフィルター20と同様の本発明のフィルター1000の部分拡大図である。フィルター1000には一連のドレン穴1002が形成されている。ドレン穴1002は、収集した油脂その他の汚染物質をフィルター1000から排出する出口経路となる。フィルター1000を様々な上下方向に配置しても、収集した汚染物質を効果的に排出可能とするために、ドレン穴1002はフィルター1000の両縁部に沿って設けることができる。図23に、フィルター1010においてヒンジ1014の反対側にドレン穴1012を設けたフィルター1010の実施形態を示す。ドレン穴1012を設けたフレーム部材1016によって、一定の条件下でフィルターから流出する油脂が収集される。また、図23には、フィルター1010のトラフまたは油脂トラップに対して整列するように形成された一次油脂出口1020を有したフレーム部材1018が示されている。
【0040】
図17に、本発明による衝突フィルター1100の更に他の実施形態を示す。フィルター1100はノズル1102と衝突プレート1104とを含む。ノズル1102の側部に第1と第2のトラフまたはトラップ1106、1108が配設されている。各トラフまたはトラップ1108は、収集壁1110、トラフ底1112およびバッフル1114を備えている。各バッフル1114によってトラフまたはトラップへの入口1118が形成される。異なるノズル1102に関連する2つのトラフまたはトラップ1106、1108の間に出口1120が規定される。フィルター1100には、各ノズル1102のために漏斗状の入口1122が設けられている。入口1122は、空気を集めノズル1102の方へ方向付けるために、内方へ空気流の方向に先細りに形成された側壁を有している。入口1122によってノズルの効率が高まり、ノズル1102を通して空気を流通させるために必要なエネルギが低減される。空気の乱れが低減し、圧力低下が小さくなる。
【0041】
図18に、排気浄化システム1222内に設けられた本発明の衝突フィルター1220を示す。排気浄化システムは、第1と第2の調理領域1224、1226の上方および/または背後に設置されている。フィルター1220はフードまたはプレナム1228への入口を形成している。該フードまたはプレナムは出口1230を有している。矢印1232によって指示する空気流中の油脂その他の汚染物質が衝突フィルター1220に流入する。該フィルター内で、油脂その他の汚染物質1234は除去され、矢印1236によって指示する清浄空気流が、フード1228を通過して出口1230から排出される。
【0042】
フィルター1220で除去された油脂その他の汚染物質1234はシュート1240へ流出する。該シュートは収集樋1244へ排出するためのドレン1242を有している。汚染物質を集めて連続的に排出したり、或いは、汚染物質を収集、保持して所定時間ごとにバッチ式に除去するために、他の収集手段および構造を用いてもよい。
【0043】
フィルター1220は、概ね水平に配置され、調理領域1224、1226の上方および/または背後に配置されるノズル入口1246を有している。細長い実質的に水平のスロットから成る出口オリフィス1248が、ノズル入口1246に対してフィルター1220の反対側に配設されている。各ノズル入口1246は衝突プレート1250に対面しており、側部に第1と第2のトラフまたはトラップ1252、1254が配置されている。フィルター1220は、既述した実施形態と同様に作用し、トラップ1252、1254内の汚染物質を分離し、該トラップから汚染物質を排出することによって、空気流1232から汚染物質1234を分離、収集する。汚染物質1234は、トラップ1252、1254の収集壁上に堆積したり、同収集壁に沿って流れることができ、そして、トラフ底に実質的に堆積することなく、同トラップから排出されよう。
【0044】
調理領域1224、1226は、実質的に異なる量の油脂を含んだ蒸気を生成するような調理環境に設置される場合もある。例えば、調理領域1224はオーブン、トースター等の装置であったり、最小限の汚染物質を発生するような領域であるのに対して、調理領域1226は、グリル、炭火焼物器のような実質的に一層多量の汚染物質を発生する機器であることがある。調理領域1224の近傍から空気を吸引するフィルター1220の領域で流通する空気を遮断するために、1または複数のプラグ1256が、1または複数のノズル入口1246の一部に配設されている。汚染物質の発生量が少ない調理領域からの軽度の汚染空気の処理堆積を低減することによって、システムの全効率が高くなる。処理すべき空気量を要求される汚染物質の除去量に対応させことによって、ダクトおよびファンのサイズを小さくすることができ、設置コストを低減するのみならず運用効率が高くなる。
【0045】
「実質的に水平」と説明したが、フィルター1220、シュート1240および収集樋1244は、前述の実施形態と同様に、一方の縁部または端部から他方の縁部または端部へ緩やかに傾斜または角度を付けて、汚染物質1234の効率的な排出を促進するようにできる。こうして、システム1222の構成要素を傾けて、1または複数のドレン穴1258を低位置へ配置し、効率的に汚染物質を除去するようにする。シュート1240は、ドレン1242の方へ傾けて効率的に汚染物質を除去するようにし、収集樋1244は、出口へ向けて傾けたり、或いは、汚染物質1234をバッチ式に収集する場合には実質的に水平とすることができる。
【0046】
図19、20に衝突フィルター1300の実施形態を示す。該衝突フィルターは、モジュラー構造を有しており、従って、製造および組立が容易かつ効率的である。フィルター1300は、上チャンネル1302、下チャンネル1304、エンドモジュール1306、1307および複数の同様のフィルターモジュール1308A〜Kを含んでいる。
【0047】
図20に一層明瞭に示すように、エンドモジュール1306は、入口パネル1310、および、該入口パネル1310に概ね垂直に配置された衝突プレート1312を含んでいる。エンドモジュール1306は、更に、トラフまたは油脂トラップ1314を有している。該トラフまたは油脂トラップは、衝突プレート1312に対して概ね垂直に配置された収集壁1316、トラフ底1318およびバッフル1320を含んでいる。トラフまたは油脂トラップ1314は、上述した他のトラフまたは油脂トラップと同様であり、バッフル1320と衝突プレート1312の間に空間が形成される。
【0048】
フィルターモジュール1308A〜Kは、概ねS形断面を有し、隣接するフィルターリング部の一部を含んでいる。こうして、図20に示すように、フィルターモジュール1308A、1308Bは、エンドモジュール1306に関連して説明した構成と同様に構成された第1の部分を含んでいる。第1の部分は衝突プレート1330A、1330Bと、トラフまたはトラップ1332A、1332Bを含んでいる。トラフまたはトラップは、衝突プレート1330A、1330Bに対して概ね垂直な収集壁1334A、1334Bと、トラフ底1336A、1336B、および、バッフル1338A、1338Bを含んでいる。フィルターモジュール1308A、1308Bの第2の部分は概ねU字形を呈しており、入口分離壁1340A、1340Bと、方向転換壁1342A、1342Bと、フィルターモジュールの第1と第2の部分の間に設けられた連結壁1344A、1344Bを含んでいる。
【0049】
図20に示すように、交互配列に組合わせたとき、入口パネル1310と入口分離壁1340Aが互いに離間して配置され、第1の入口ノズル1350Aが形成される。収集壁1316は、その一方の側部でトラフまたは油脂トラップ1314の一部を形成することに加えて、連結壁1344Aに対して離間配置されることによって、トラフまたは油脂トラップ1314に関して反対側に第1の出口オリフィス1352Aを形成する。連結壁1344Aは、更に、入口分離壁1340Bに対して離間配置されることによって、第2の入口ノズル1350Bを形成し、収集壁1334Aは、連結壁1344Bに関して離間配置されることによって第2の出口オリフィス1352Bが形成される。更に、隣接するフィルターモジュールを同様に配置することによって、更なる入口ノズルおよび出口オリフィスがフィルター1300の裏表に形成される。フィルターモジュール1308Cの同様の構成の一部が図20において添え字Cを付して同じ参照番号にて指示されている。
【0050】
エンドモジュール1307は、上述したフィルターモジュールの第2の部分と同様の単純なU字形(図24)にて形成されており、フィルターの一方の側部の最後の入口ノズルと出口オリフィスとを形成している。上チャンネル1302と下チャンネル1304は、エンドモジュール1306、1307および複数のフィルターモジュール1308の開口端と係合するU字形のチャンネル部材である。下チャンネル1304は複数の出口を有しており、そしてフィルターの各トラフまたは油脂トラップのために1つの出口を設けることができよう。上チャンネルおよび下チャンネルは、ネジのような着脱自在の締結具によって、或いは、溶接、ろう付け、リベットのような恒久的な連結部によって、前記モジュールに固定することができる。上チャンネル1302および下チャンネル1304の長さ、および、エンドモジュール1306、1307と共に使用するフィルターモジュールの適切な数を選択することによって、所望サイズのフィルターを容易かつ迅速に組立てることができる。更に、上チャンネル1302、下チャンネル1304、エンドモジュール1306、1307および複数のフィルターモジュール1308を含む構成要素は、全て単純な曲げ加工によって簡単に製造される。
【0051】
図24に、フィルター1300に類似するモジュール式フィルター1372を利用したシステム1370を示す。単純化して示すために、エンドモジュール1306、1307およびフィルターモジュール1308A、1308Bのみが図示されている。フィルター1372は、ノズル入口1350A、1350B、1350Cにおいて、入口側から下方に傾けて配置されている。汚染物質1374は、衝突プレート1312、1330A、1330Bおよび収集壁1316、1334A、1334Bにおいて堆積し、フィルター1372から排出される。システム1370は、入口防火ダンパ1378を有した排気フード1376を含んでいる。間欠式洗浄システムが、清掃用の1または複数の洗浄マニフォールド1380を含んでいる。フード1376においてフィルター1372の下側に清掃用アクセスドア1382が設けられている。フード1376の底部に設けられた樋1384からドレン1386へ排出される。定期的な清掃サイクルの間、洗浄液配管1388から洗浄液がドレン1386へ放出される。清浄空気が放出ダクト1390から放出される。放出ダクトは、フード1376の頂部に配置された制御ダンパ1392を有している。温度圧力検知および制御システム1394、1396が設けられている。汚染物質を含んだ空気は、ダンパ1378によって制御される開口部を通貨してフード1376内に流入し、次いで、入口ノズル1350A、1350B、1350Cからフィルター1372内に流入する。汚染物質1374が除去された清浄空気がフィルター1372からフード1376を通って放出ダクト1390へ流通する。
【0052】
本発明のフィルターは、図7に示すように、フィルター種々のノズルを通して洗浄流体を噴霧、供給することによって、設置状態で清掃可能である。本発明のフィルターは、また、取外、分解して種々の構成要素を個々に清掃することによっても清掃可能である。図21、22に、更に容易に清掃可能とした本発明の実施形態を示す。衝突フィルター1400は、図17に示した実施形態と同様の構成を有している。然しながら、清掃のための分解は必須ではないので、上チャンネル1302および下チャンネル1404は、リベットその他の恒久的な締結具または締結技術によってフィルター構造体1406に固定されている。複数のリベット1408その他の締結具を用いることができるが、そのうち1つのみが、上チャンネル1402および下チャンネル1404の各々において、参照番号を付して示されている。清掃サイクルに際してフィルター1400内に洗浄溶液を供給するために、複数の洗浄オリフィス1410が上チャンネル1402に配設されている。清掃は、フィルター1400を設置した状態で、或いは、設置位置から他所へ移動させて行うことができよう。フィルター1400の取扱いを容易にするためにハンドル1412が設けられている。洗浄オリフィス1410から供給される洗浄流体を除去するために、出口穴1414が下チャンネル1404に設けられている。図22に示すように、洗浄オリフィスはトラフ1416、1418に直接的に整列するようにはなっていないが、出口穴1414は、トラフ1416、1418の反対側の端部の少なくとも一部に重なり合うように配置されている。出口穴1414は、また、フィルター1400が通常に作用している間、トラフ1416、1418からの油脂その他の汚染物質を受容する。トラフ1416、1418は、一方の端部のみが露出しているので、内圧制御が容易である。下チャンネル1404には、該チャンネルの縁部に沿って溜まった液体を排出するためのドレン穴1420が設けられている。
【0053】
本発明に基づき他の変形が考えられる。例えば、1つの本発明の衝突フィルター内で該フィルターを通過する経路沿いに油脂粒子を多段式に収集、捕捉するようにできる。第1段階は大きな粒子を収集するようにし、次段階において次第に小さな粒子を収集し、最終段階で最小の粒子を収集するようにできる。システム22で示したように、2以上の個別の収集器を含むような、収集器を多段に配置して用いることができる。1または複数の収集器で多段式粒子収集器を最適化することができる。
【0054】
本発明の範囲内で上述した実施形態の変形と修正が可能である。ここに開示、定義した本発明は、上述した個々の特徴を2つ以上組合せた代替形態や、明細書や図面から明らかな形態に及ぶ。こうした全ての組合せは、本発明の種々の代替的特徴を構成する。既述した実施形態は本発明を実施する上で最良の形態であって、他の当業者が本発明を利用可能とするためのものである。特許請求の範囲は、従来技術から許される範囲まで含むものとして構成されるべきである。
【0055】
本発明の種々の特徴は特許請求の範囲に記載されている。
【符号の説明】
【0056】
20 衝突フィルター
22 排気浄化システム
24 調理機器
28 フードまたはプレナム
30 ダクト
32 油脂
34 シュート
35 収集樋
36 ドレンまたはカップ
38 入口側
40 出口側
42 入口パネル
44 出口パネル
46 ノズル
48 ノズル入口
50 出口オリフィス
52 ヒンジ
60 フィルター
62 入口パネル
64 出口パネル
66 衝突プレート
68 衝突面
70 ノズル出口
72 ノズル
74 ノズル入口
80 第1の油脂トラップ
82 第2の油脂トラップ
84 収集壁
86 トラフ底
88 バッフル
90 バッフル面
92 トラフ入口
94 フィルター出口オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気浄化システムにおいて、
ダクトと、
前記ダクトと関連して同ダクト内を通して空気を流動させるための空気流動装置と、
前記ダクトに連通する衝突フィルターとを具備し、
前記衝突フィルターが、
ノズルを有した入口パネルと、
前記入口パネルに対して重ね合わせるように配置され出口を有した出口パネルであって、前記入口パネルと該出口パネルとが協働して前記ノズルから前記出口へ真直ぐでない空気流経路を形成するようにした出口パネルと、
前記ノズルに対して離間させて対面するように配置された衝突面と、
前記衝突面と関連して空気を前記衝突面から離反するように案内するバッフルと、
前記衝突面および前記バッフルと関連した汚染物質トラフであって、該汚染物質トラフは、概ね包囲され、かつ、前記衝突面と前記バッフルとの間の空間によって形成される汚染物質入口を有している汚染物質トラフとを具備した空気浄化システム。
【請求項2】
前記汚染物質トラフは、前記衝突面に連続し、かつ、前記衝突面に対して角度を付けて配向された収集壁と、前記収集壁に連続したトラフ底とを含み、前記バッフルが、前記トラフ底に連続して設けられ、かつ、前記トラフ底から前記衝突面の近傍まで同衝突面に対して離間した位置まで延設されている請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項3】
前記バッフルおよび収集壁は概ね平行となっている請求項2に記載の空気浄化システム。
【請求項4】
前記衝突面へ向けられた洗浄ノズルを有した洗浄システムを更に具備する請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項5】
前記トラフは、同トラフの第1の端部を前記トラフの第2の端部よりも高い位置に配置して、傾斜させて配置されており、かつ、下側の端部にドレン穴を有している請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項6】
前記第1の衝突フィルターに対して連通するように直列的に配置された第2の衝突フィルターを具備する請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項7】
前記衝突フィルターの下流側に配置された、少なくとも1つの紫外線光源および電機集塵機を具備する請求項1に記載の空気浄化システム。
【請求項8】
調理室排気システムにおいて、
排気フードと、
前記排気フードに連通する衝突フィルターと、
前記フード内に配置された少なくとも1つの洗浄ノズルと、
前記フードに連通し前記衝突フィルターの下流に配置された二次空気浄化装置とを具備し、
前記二次空気浄化装置が、第2の衝突フィルターと、紫外線光源と、静電集塵機の少なくとも1つを具備する調理室排気システム。
【請求項9】
前記傾斜させて配向されており、かつ、収集した汚染物質を排出するためのドレン穴を有している請求項8に記載の調理室排気システム。
【請求項10】
空気流中に含まれる汚染物質を除去するための衝突フィルターにおいて、
入口ノズルと、
前記入口ノズルに対して離間させて対面するように配置された衝突プレートと、
前記衝突プレートと関連して空気を前記衝突プレートから離反するように案内するバッフルであって、該バッフルと前記衝突プレートとの間に隙間を形成するように配置されたバッフルと、
前記ノズルに対して前記バッフルの外側に配置されたトラフであって、前記衝突プレートと前記バッフルとの間の隙間よりも大きな距離を以って前記衝突プレートから離間させて配置されたトラフ底を有して成るトラフとを具備する衝突フィルター。
【請求項11】
前記バッフルは前記トラフの壁である請求項10に記載の衝突プレート。
【請求項12】
前記バッフルにおいて前記隙間に隣接する縁部に形成され、前記トラフ内へ傾斜しているリップ部を具備する請求項11に記載の衝突プレート。
【請求項13】
前記トラフ底は、平坦に、或いは、丸形に、若しくは、先細りに形成されている請求項10に記載の衝突プレート。
【請求項14】
前記ノズルの側部において衝突プレートに関連するように配置され空気を前記衝突プレートから離反するように案内する第1と第2のバッフルであって、該第1と第2のバッフルおよび前記衝突プレートとの間に隙間を形成するよに配置された第1と第2のバッフルと、
前記第1と第2のバッフル
前記ノズルに対して前記第1と第2のバッフルの外側に配置された第1と第2のトラフであって、該第1と第2のトラフの各々が前記衝突プレートと前記第1と第2のバッフルとの間の隙間よりも大きな距離を以って前記衝突プレートから離間させて配置されたトラフ底を有して成る第1と第2のトラフとを具備する請求項10に記載の衝突フィルター。
【請求項15】
前記入口ノズルを形成した入口パネルと、
細長い出口オリフィスを形成し前記入口パネルと関連するように配置された出口パネルとを具備し、
前記入口ノズルは細長く形成され、細長いノズル出口を有して成る請求項10に記載の衝突フィルター。
【請求項16】
前記入口パネルと出口パネルは互いに重なり合うように配置され、入口側と出口側とを有し、前記ノズルが前記入口側から前記衝突プレートの方へ実質的に前記出口側へ延設されており、前記トラフ底が、前記ノズル出口よりも前記入口側の近傍に配置されている請求項15に記載の衝突フィルター。
【請求項17】
前記入口パネルが複数の入口ノズルを形成し、
前記出口パネルが複数の細長い出口オリフィスと、衝突プレートと、前記入口ノズルの各々と関連する2つのトラフとを形成している請求項15に記載の衝突フィルター。
【請求項18】
前記出口オリフィスが、異なる前記衝突プレートと関する隣接した前記トラフの間に形成される請求項15に記載の衝突フィルター。
【請求項19】
順次に交互配列された複数のフィルターモジュールであって、該フィルターモジュールの各々は1つの前記トラフを有しており、隣接するフィルターモジュールは互いに離間配置されており、両者間に1つの前記入口ノズルと、1つの出口オリフィスとが形成されるようにした請求項10に記載の衝突フィルター。
【請求項20】
前記ノズルがノズル入口とノズル出口とを有し、
前記衝突プレートが前記ノズル出口を越えて側方に延設されており、
前記トラフが、前記衝突プレートに連続し該衝突プレートから離反するように延設された第1のトラフ側面を具備しており、
前記トラフ底は、前記第1のトラフ側面から前記ノズルの方へ延設されており、
前記バッフルは、前記第1のトラフ側面と前記ノズルとの間に配置されており、前記トラフ底に連続し、かつ、前記トラフ底から前記衝突プレートの方へ延設されており、
前記前記バッフルと前記衝突プレートとの間にトラフ入口が形成されるようにした請求項10に記載の衝突プレート。
【請求項21】
前記トラフの端部近傍に配置され清掃流体を前記フィルター内に供給するための洗浄オリフィスを具備する請求項10に記載の衝突プレート。
【請求項22】
複数の入口ノズルを形成した第1のパネルと、
衝突面と、汚染物質トラフと、複数の出口オリフィスとを形成した第2のパネルと、
前記第1と第2のパネルの一方のパネルが他方のパネルから離反方向に揺動して開き、また、重なり合って相互に係合するように閉じることができるように、前記第1と第2のパネルを連結するヒンジとを具備する請求項10に記載の衝突フィルター。
【請求項23】
入口側と出口側とを更に具備し、
前記入口ノズルは前記入口側設けられた入口と、前記衝突プレートに対面するノズル出口とを有し、
前記ノズルに関して前記トラフの外側に出口オリフィスが設けられており、該出口オリフィスは、前記出口側に設けられた開口部を有しており、該開口部が、前記ノズル出口によって規定される面積よりも広い面積を有している請求項10に記載の衝突フィルター。
【請求項24】
異なるサイズの粒子を含んだ空気流を浄化する方法において、
前記空気流を衝突フィルターを通すことによって、該空気流から大きな粒子の大部分を除去し、その後、該空気流および残存する粒子を前記衝突フィルターから電機集塵機、紫外線光源、第2の衝突フィルターの少なくとも1つを通過させることによって、一層小さな粒子の大部分を除去するようにした空気流の浄化方法。
【請求項25】
空気流から油脂粒子その他の調理から排出される粒子を除去する空気濾過方法であって、
前記空気流は、特定質量以上の質量を有した第1の群の調理排出粒子と、前記特定質量よりも小さ質量を有した第2の群の調理排出粒子とを含み、
前記第1と第2の群の粒子は前記空気流中に不規則に分散しており、
前記空気濾過方法は、
前記第1と第2の群の調理排出粒子を含んだ状態で前記空気流を加速し、
前記第1と第2の群の調理排出粒子を含んだ状態で加速された前記空気流をある表面へ向けて方向付け、これによって、前記表面に対して前記第1と第2の群の粒子を方向転換させ、前記表面の近傍の第1の流れが前記第1の群の粒子の大部分と相対的に少ない数の前記第2の群の粒子を含み、前記表面から一層遠い第2の流れが相対的に少ない数の前記第1の群の粒子と前記第2の群の粒子の大部分を含むように、前記粒子を前記表面に対して別々の流れの中に分類し、
底と、前記第1と第2の流れの間で前記底から前記表面に向けて延設された部分を有したトラフの中へ前記第1の流れの大部分を導入することによって、前記流れを分離することを含んで成る空気濾過方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公表番号】特表2010−509564(P2010−509564A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536512(P2009−536512)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/084275
【国際公開番号】WO2008/061012
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(591203428)イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド (309)
【Fターム(参考)】