説明

油膜付水滴生成混合器

【課題】 1回の油膜生成工程で100%の水滴に油膜を生成することができる油膜付水滴生成混合器を提供する。
【解決手段】 油膜付水滴生成混合器1は、オイルノズル11にオイル23を供給するオイル供給手段3と、水ノズル41に水53を供給する水供給手段5と、放電による静電力によりオイル23を霧化してオイルミスト10を生成し帯電させるオイルミスト生成帯電手段2と、放電による静電力により水53を霧化して水滴40を生成しオイルミスト10と逆の極性で帯電させる水滴生成帯電手段4と、オイルミスト10及び水滴40にエアを供給するエア供給手段6と、水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を生成し油膜付水滴70を工作物62の加工部分に供給する油膜付水滴生成供給手段7と、から構成されているため粒子径の大きいオイルミスト10が生成されず、1回の油膜生成工程で100%の水滴40に油膜10aを生成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物の加工時に使用される加工液であって水滴の表面に油膜が形成された油膜付水滴を供給する油膜付水滴生成混合器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、工作物に切削加工や研削加工等の機械加工を行なう場合、加工精度の向上と加工工具の寿命増大を図るため、加工点近傍に向かって設けられたノズルからオイルやエマルジョン等の加工液を工作物の加工部分に液状のままかけたり、あるいは加工液を霧化することによりミストを生成し、この加工液のミストを噴霧することにより、工作物と加工工具との間の潤滑及び加工により発生する熱の冷却を行なっている。また、加工液のミストを噴霧する場合、オイルと水等の種類の異なる加工液を混合した後にミストにして工作物の加工部分に噴霧したり、あるいは、複数のノズルを設けて種類の異なる加工液のミストをそれぞれのノズルから工作物の加工部分に噴霧する方法が提案されている。
【0003】
しかしながら、加工中の十分な潤滑及び冷却効果を得るために、工作物を加工する間に亘って加工液を供給し続けるため、加工液を液状のままかける場合には多量の加工液が必要となるという問題があった。とくに、不燃性エマルジョンは劣化すると産業廃棄物として処理することが困難であるため、使用後のあるいは古くなった多量のエマルジョンの処理にコストがかかるという問題があった。一方、加工液の使用量を削減するために加工液のミストを噴霧する場合には、オイルは質量が小さいためミストにして噴霧すると空気中に飛散し過ぎてしまい、十分な量のオイルが工作物の加工部分に付着せず、工作物と加工工具の潤滑や熱の冷却が十分に行われないという問題があるばかりでなく、ミストにしたオイルが飛散すると火災発生の危険性や人体への影響等が考えられ、工場環境の点でも問題があった。また、上記のように、水とオイルの混合液のミストを噴霧したり、あるいは別のノズルから加工部分にミストを噴霧する方法においても、オイル分はやはり空気中に飛散し過ぎるため同様の問題があった。
【0004】
そこで、上記した問題を解決するために、近年、外部から供給される水を水滴化し、この水滴の表面に霧化したオイルを用いて油膜を形成した油膜付水滴を加工液として使用する加工方法、及びこのような油膜付水滴を生成する油膜付水滴生成混合器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
一方、上記のようにオイルや水を霧化する方法として、近年、オイルや水を噴射するノズルと加工工具又は工作物との間に高電圧を印加することにより発生するコロナ放電によってオイルや水を霧化するものが提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2001−150294号公報
【特許文献2】特開2001−150296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1に係る油膜付水滴生成混合器の場合、オイルミスト及び水滴を生成する際にエアを用いてオイル及び水を霧化するものであるため、生成されるオイルミスト及び水滴の粒子径を制御することができず、オイルミスト及び水滴の粒子径がバラツキを持ってしまう。このように、生成されるオイルミスト及び水滴の粒子径がバラツキを持つため、粒子径の大きなオイルミスト及び水滴が生成されることがあるが、粒子径の大きなオイルミストは、水滴に付着し難いため、1回の油膜生成工程では100%の水滴に油膜を生成することができない。このため、100%の水滴に油膜を生成するには、2回にわたる油膜生成工程が必要になるという問題があった。
【0007】
ここで、上記した特許文献2に示すような、コロナ放電によってオイルや水を霧化するものを用いることにより、上記したようなオイルミスト及び水滴の粒子径のバラツキをなくすことができるが、特許文献2に係る装置の場合、オイルノズルと加工工具又は工作物との間のコロナ放電によってオイルを霧化してオイルミストを生成するものであるため、工作物の加工部分に外側からオイルミストを供給可能な加工方法では有効であるが、加工部分の外側からオイルミストの供給が困難な加工方法の場合、例えば、ドリルにより穴加工を行なうような場合には、穴の表面にオイルミストを供給するためには、オイルミストを噴射するオイルノズルがドリルの先端となり、ドリルと工作物とが接触して電気的短絡状態となるため、コロナ放電を行なうことができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記した事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、1回の油膜生成工程で100%の水滴に油膜を生成することができると共に、様々な加工方法に適用できる油膜付水滴生成混合器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、請求項1に係る発明について、図面を参照して説明すると、図1及び図4に示すように、工作物62の加工時に使用される加工液であって水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を供給する油膜付水滴生成混合器1において、オイル23を供給するオイルノズル11にオイル23を供給するオイル供給手段3と、水53を供給する水ノズル41に水53を供給する水供給手段5と、前記オイルノズル11と該オイルノズル11から間隔を置いて設置された放電電極(電極)12との間に高電圧発生装置13によって印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、前記オイルノズル11から供給されたオイル23を霧化することによりオイルミスト10を生成すると共に、生成したオイルミスト10を帯電させるオイルミスト生成帯電手段2と、前記水ノズル41と該水ノズル41から間隔を置いて設置された放電電極(電極)42との間に高電圧発生装置43によって印加される高電圧により発生した放電よる静電力によって、前記水ノズル41から供給された水53を霧化することにより水滴40を生成すると共に、生成した水滴40を前記オイルミスト10とは逆の極性で帯電させる水滴生成帯電手段4と、前記オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び前記水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40に向けてエアを供給するエア供給手段6と、前記オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び前記水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40を前記エア供給手段6によって供給されるエアで混合することにより水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を生成すると共に、生成した油膜付水滴70をエアの圧力によって工作物62の加工時の加工部分に供給する油膜付水滴生成供給手段7と、から構成されることを特徴とする油膜付水滴生成混合器1とした。
【0010】
また、請求項2に係る発明では、図面を参照して説明すると、図5に示すように、油膜付水滴生成混合器1は、生成された前記油膜付水滴70を帯電させる再帯電手段8を備えたことを特徴とする請求項1記載の油膜付水滴生成混合器1とした。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明においては、油膜付水滴生成混合器1は、オイル23を供給するオイルノズル11にオイル23を供給するオイル供給手段3と、水53を供給する水ノズル41に水53を供給する水供給手段5と、オイルノズル11とオイルノズル11から間隔を置いて設置された放電電極12との間に高電圧発生装置13によって印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、オイルノズル11から供給されたオイル23を霧化することによりオイルミスト10を生成すると共に、生成したオイルミスト10を帯電させるオイルミスト生成帯電手段2と、水ノズル41と水ノズル41から間隔を置いて設置された放電電極42との間に高電圧発生装置43によって印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、水ノズル41から供給された水53を霧化することにより水滴40を生成すると共に、生成した水滴40をオイルミスト10とは逆の極性で帯電させる水滴生成帯電手段4と、オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40に向けてエアを供給するエア供給手段6と、オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40をエア供給手段6によって供給されるエアで混合することにより水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を生成すると共に、生成した油膜付水滴70をエアの圧力によって工作物62の加工時の加工部分に供給する油膜付水滴生成供給手段7と、から構成されている。
【0012】
上記のように放電による静電力によってオイルミスト10を生成するものであるため、生成されるオイルミスト10及び水滴40の粒子径のバラツキを非常に小さくすることができ、これにより、水滴40に付着し難い粒子径の大きいオイルミスト10が生成されることがない。このため、特許文献1に係る油膜付水滴生成混合器のように粒子径の大きいオイルミスト10に水滴40を付着させるために複数回に亘って油膜10aの生成工程を行なう必要がなく、1回の油膜生成工程で100%の水滴40に油膜10aを生成することができる。
【0013】
また、オイルノズル11あるいは水ノズル41と放電電極12,42との間に高電圧発生装置13あるいは43によって印加する電圧を変化させることにより、オイルミスト10及び水滴40の粒子径を任意に変化させることができ、これにより、生成される油膜付水滴70の粒子径も任意に変化させることができるため、工作物62を加工する際の加工条件の違いに合わせて油膜付水滴70を最適の粒子径とすることができる。
【0014】
また、生成されたオイルミスト10と水滴40とが互いに逆の極性で帯電しているため、水滴40の粒子表面上に確実にオイルミスト10を付着させることができ、これにより、油膜付水滴70を効率よく生成することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明においては、油膜付水滴生成混合器1は、生成された前記油膜付水滴70を帯電させる再帯電手段8を備えたことにより、工作物62及びドリル61への油膜付水滴70の付着性が向上するため、作業環境中に放出される無駄な油膜付水滴70を低減させることができ、霧害を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図1乃至図10を参照して説明する。まず、図1乃至図3を参照して油膜付水滴生成混合器1の構成について説明する。図1は、油膜付水滴生成混合器1の構成を示す概略図であり、図2は、放電による静電力によりオイルミスト10あるいは水滴40が生成される状態を示す概略図であり、図3は、油膜付水滴生成混合器1によって工作物62の加工時の加工部分に油膜付水滴70を供給する状態を示す概略図である。
【0017】
実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1は、図1及び図3に示すように、工作物62の加工時に使用される加工液であって水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を供給するものである。
【0018】
上記した油膜付水滴生成混合器1は、オイル23を供給するオイルノズル11にオイル23を供給するオイル供給手段3と、水53を供給する水ノズル41に水53を供給する水供給手段5と、前記オイルノズル11と該オイルノズル11から間隔を置いて設置された放電電極12との間に高電圧発生装置13によって印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、前記オイルノズル11から供給されたオイル23を霧化することによりオイルミスト10を生成すると共に、生成したオイルミスト10を帯電させるオイルミスト生成帯電手段2と、前記水ノズル41と該水ノズル41から間隔を置いて設置された放電電極42との間に高電圧発生装置43によって印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、前記水ノズル41から供給された水53を霧化することにより水滴40を生成すると共に、生成した水滴40を前記オイルミスト10とは逆の極性で帯電させる水滴生成帯電手段4と、前記オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び前記水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40に向けてエアを供給するエア供給手段6と、前記オイルミスト生成帯電手段2によって生成されたオイルミスト10及び前記水滴生成帯電手段4によって生成された水滴40を前記エア供給手段6によって供給されるエアで混合することにより水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70を生成すると共に、生成した油膜付水滴70をエアの圧力によって工作物62の加工時の加工部分に供給する油膜付水滴生成供給手段7と、から構成されるものである。
【0019】
そこで、上記した油膜付水滴生成混合器1を構成する構成部品について説明すると、まず、油膜付水滴生成供給手段7は、例えば、図1に示すように、円筒形状に形成されるものであり、一端側(図中、左側)はエア供給手段6が接続されるエア側端部34として形成されると共に、他端側(図中、右側)は、その径が徐々に小さくなるように形成されており、その先端が生成された油膜付水滴70を噴出する油膜付水滴噴出し口35として形成されている。この油膜付水滴生成供給手段7の内部には、エア側端部34から油膜付水滴噴出し口35に向かって順番に、それぞれ後述するオイルノズル11,放電電極(電極)12,水ノズル41,放電極(電極)42が設置されている。
【0020】
次に、オイルミスト生成帯電手段2について説明すると、オイルミスト生成帯電手段2は、中空針状に形成されるオイルノズル11と、網状に形成される放電電極12と、オイルノズル11と放電電極12との間に接続される高電圧発生装置13と、から構成されている。
【0021】
オイルノズル11は、前述のように中空針状に形成されると共に、オイル23が供給されるオイル噴出し口14が放電電極12側に向くように設置されている。また、オイル噴出し口14と反対側の端部である接続端部15には、オイル供給手段3のオイル供給パイプ22が接続されている。
【0022】
放電電極12は、前述のように網状に形成されると共に、油膜付水滴生成供給手段7の内側形状に合わせた円形状に形成されて、油膜付水滴生成供給手段7内に設置されている。また、この放電電極12は、オイルノズル11のオイル噴出し口14から約30〜50mmの間隔を置いて設置されている。なお、本実施形態においては、放電電極12は、網状で円板状に形成されるものであるが、これに限らず、例えば、リング形状に形成されてその内径が油膜付水滴生成供給手段7の内径と合うように、油膜付水滴生成供給手段7の内壁に埋め込まれるものであってもよい。この場合には、生成されたオイルミスト10は、放電電極12の中心に形成されている円板状の穴を通過することとなる。
【0023】
上記したオイルノズル11と放電電極12との間には、高電圧発生装置13が接続されており、この高電圧発生装置13によって、オイルノズル11と放電電極12との間に高電圧が印加されるようになっている。そして、このオイルノズル11と放電電極12との間に印加される高電圧によって放電し、静電力が発生するようになっている。なお、放電とは、針状の金属製の電極にかかる電圧がある大きさを超えたとき、空気の絶縁が破壊されることをいう。
【0024】
ここで、本実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1において、放電によってオイル23を霧化することによりオイルミスト10が生成される状態について、図2を参照して説明する。本実施形態における油膜付水滴生成混合器1では、図2の概略図に示すように、オイルノズル11とオイルノズル11から間隔を置いて放電電極12が設置されると共に、オイルノズル11からはオイル供給手段3から供給されたオイル23が供給される。オイルノズル11から噴出されるオイル23は液状であるが、オイルノズル11と放電電極12との間に高電圧発生装置13によって高電圧を印加することにより、オイル23が霧化されてオイルミスト10が生成されると同時に、生成されるオイルミスト10が帯電される。このとき、図2に示すように、オイルノズル11側にマイナス極が接続されているため、生成されるオイルミスト10はマイナスの電荷で帯電される。
【0025】
このように、本実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1においては、マイナスの電荷により帯電したオイルミスト10が生成されることとなる。なお、生成されるオイルミスト10の粒子径は、オイルノズル11と放電電極12との間に印加する電圧値によって変化するものであり、電圧値を高くするほど粒子径が小さくなるが、オイルミスト10としての適正な粒子径は、1μm以下である。これは、粒子径を1μm以下とすれば、オイルミスト10同士の付着性を低下させることができるためである。そして、オイルミスト10の粒子径をこの1μm以下とするために必要な電界値(印加電圧/ノズルと電極間の放電距離)は、後述するように、約300〜400kV/mである。なお、オイルノズル11にプラス極、放電電極12にマイナス極を接続することにより、オイルミスト10をプラスの電荷で帯電させることもできる。
【0026】
次に、オイル供給手段3について説明すると、オイル供給手段3は、オイル23を貯留しておくオイルタンク20と、オイルタンク20のオイル23をオイルミスト生成帯電手段2に供給するための動力源であるオイル供給装置21と、両端がそれぞれオイルタンク20及びオイルノズル11の接続端部15に接続されると共にオイル23が通るオイル供給パイプ22と、から構成されている。
【0027】
上記したオイル供給装置21は、オイルタンク20から吸引したオイル23をオイル供給パイプ22を介してオイルノズル11に送り出すものであり、具体的には、定まった量のオイルを安定して供給することができる定量ポンプである静電ポンプ,ピストンポンプ,ギアポンプ,静圧ポンプ等が用いられ、必要とされるオイルミスト10の量や油膜付水滴生成混合器1の製造コスト等を勘案して選択されるものである。なお、本実施形態においては、上記した定量ポンプのうち、微少量のオイル23を供給することができるという点から、微少容量ポンプである静電ポンプを用いている。このように静電ポンプを用いて微少量のオイル23を供給することで、オイルミスト10の生成量も細かく調整することができるため、様々な種類の工作方法又は被潤滑部品に対して適用できる油膜付水滴生成混合器1を構成することができる。
【0028】
次に、水滴生成帯電手段4について説明すると、水滴生成帯電手段4は、針状に形成される水ノズル41と、網状に形成される放電電極42と、水ノズル41と放電電極42との間に接続される高電圧発生装置43と、から構成されている。
【0029】
このように、水滴生成帯電手段4の基本的な構成は、オイルミスト生成帯電手段2の構成と全く同様であり、また、上記した水滴生成帯電手段4の構成要素の構造もオイルミスト生成帯電手段2の構成要素の構造と全く同様であるため、詳細な説明は省略する。また、水滴生成帯電手段4によって水を霧化することにより水滴40が生成される状態は、図2で説明したオイル23を霧化することによりオイルミスト10が生成される状態と同様であるため、これも詳細な説明は省略する。なお、オイルノズル11のオイル噴出し口14及び接続端部15は、それぞれ水ノズル41の水噴出し口44及び接続端部45に相当するものである。
【0030】
但し、オイルミスト生成帯電手段2における高電圧発生装置13は、オイルノズル11側にマイナス極が、放電電極12側にプラス極が接続されているのに対し、水滴生成帯電手段4における高電圧発生装置43では、水ノズル41側にプラス極が、放電電極42側にマイナス極が接続されている。このため、オイルミスト10がマイナスの電荷で帯電されるのに対し、水滴40は、プラスの電荷で帯電されることとなる。
【0031】
また、オイルミスト生成帯電手段2によって生成されるオイルミスト10の適正な粒子径、及び適正な粒子径のオイルミスト10を生成するためにオイルノズル11と放電電極12との間に印加する電圧は、前述したように、それぞれ、1μm以下及び約300〜400kV/mであるのに対し、水滴生成帯電手段4によって生成される水滴40の適正な粒子径は、約50〜100μmであり、水滴40の粒子径をこの約50〜100μmとするために高電圧発生装置43によって水ノズル41と放電電極42との間に印加する電圧は、約350〜600kV/mである。なお、水ノズル41にマイナス極、放電電極42にプラス極を接続することにより、水滴40をマイナスの電荷で帯電させることもできる。
【0032】
次に、水供給手段5について説明すると、水供給手段5は、水53を貯留しておく水タンク50と、水タンク50の水53を水適生成帯電手段4に供給するための動力源である水供給装置51と、両端がそれぞれ水タンク50及び水ノズル41の接続端部45に接続されると共に、水53が通る水供給パイプ52と、から構成されている。
【0033】
このように、水供給手段5の基本的な構成は、オイル供給手段3の構成と全く同様であり、また、上記した水供給手段5の構成要素の構造もオイル供給手段3の構成要素の構造と全く同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
次に、エア供給手段6について説明すると、エア供給手段6は、エアを送り出す圧力空気源30と、圧力空気源30から送りだされるエアを清浄化するエアフィルター31と、圧力空気源30から送りだされるエアの圧力を調整するエアレギュレータ32と、油膜付水滴生成供給手段7のエア側端部34に接続されると共に、圧力空気源30から送りだされるエアが通るエア供給パイプ33と、から構成されている。上記した圧力空気源30は、内部圧力を高めることによりエア供給パイプ33を介してエアを油膜付水滴生成供給手段7に送り出す送風機等である。もしくは、減圧して油膜付水滴を搬送してもよい。
【0035】
しかして、上記のように構成される油膜付水滴生成混合器1の作用について説明すると、まず、オイル供給装置21を稼動させることにより、オイルタンク20内のオイル23がオイル供給パイプ22を介してオイルノズル11内へ供給される。オイルノズル11内へ供給されたオイル23は、オイル噴出し口14から放電電極12に向けて噴出される。このとき、オイルノズル11と放電電極12との間には、前述したように、高電圧発生装置13により高電圧が印加されており、この高電圧によって静電力が発生している。そして、オイル噴出し口14から噴出されるオイル23は、図2で説明した原理により、オイルノズル11と放電電極12との間の放電による静電力で霧化されることにより、マイナスの極性で帯電されたオイルミスト10が生成される。
【0036】
また、水供給装置51を稼動させることにより、水タンク50内の水53が水供給パイプ52を介して水ノズル41内へ供給される。水ノズル41内へ供給された水53は、水噴出し口44から放電電極42に向けて噴出される。このとき、水ノズル41と放電電極42との間には、前述したように、高電圧発生装置43により高電圧が印加されており、この高電圧によって静電力が発生している。そして、水噴出し口44から噴出される水53が図2で説明した原理と同様の原理により、水ノズル41と放電電極42との間の放電による静電力で霧化されることにより、プラスの極性で帯電された水滴40が生成される。
【0037】
また、油膜付水滴生成供給手段7のエア側端部34には、前述したように、エア供給パイプ33が接続されており、圧力空気源30から送り出されるエアがエア供給パイプ33を介して油膜付水滴生成供給手段7内に供給されるため、この供給されたエアによって、生成されたオイルミスト10が水滴生成帯電手段4側に向けて送り出される。水滴生成帯電手段4側に送り出されたオイルミスト10は、水滴生成帯電手段4で生成された水滴40と混合されると共に、水滴40の表面に油膜10aとなって付着する。このように、油膜付水滴生成供給手段7内では、生成されたオイルミスト10及び水滴40がエアによって混合されることにより、水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70が生成される。そして、生成された油膜付水滴70は、油膜付水滴生成供給手段7の油膜付水滴噴出し口35から外部に噴出される。
【0038】
油膜付水滴生成混合器1は、図3に示すように、工作物62と工作機械主軸60によって回転するドリル61とが接する箇所、即ち、工作物62の加工時の加工部分にその油膜付水滴噴出し口35を向けて設置されている。そして、油膜付水滴噴出し口35から噴出された油膜付水滴70が工作物62の加工時の加工部分に付着することにより、工作物62とドリル61との間の潤滑や加工時の発熱に対する冷却が行なわれる。
【0039】
本実施形態においては、上記のように油膜付水滴生成混合器1により生成された油膜付水滴70を工作物62の加工時の加工部分に供給しながら加工を行なうものであるが、油膜付水滴70を工作物62の加工時の加工部分に供給した場合、図4に示すように、工作物62の表面に油膜10aが生成され、その油膜10a上に油膜付水滴70が付着することとなる。なお、図4は、油膜付水滴70と油膜付水滴70が付着した工作物62の表面の概念図である。
【0040】
なお、上記した実施形態(第1実施形態)は、生成された油膜付水滴70を帯電させるものではないが、オイルミスト10及び水滴40が生成されるときと同様に、生成された油膜付水滴70をあらためて再帯電させるものであってもよい。このような実施形態(第2実施形態)について図5を参照して説明する。図5は、第2実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1の構成を示す概略図である。なお、第2実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1は、再帯電手段8が備えられている以外は、第1実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1と同様であるため、再帯電手段8以外の構成については説明を省略する。
【0041】
第2実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1は、図5に示すように、再帯電手段8が備えられている。この再帯電手段8は、油膜付水滴生成混合器1と工作物62との間に接続されて、油膜付水滴生成混合器1と工作物62との間に電圧を印加する帯電用電圧発生装置65によって構成されるものである。
【0042】
ここで、前述したように、生成されたオイルミスト10と水滴40とが互いに逆の極性で帯電しているため、水滴40の粒子表面上に確実にオイルミスト10を付着させることができ、これにより、油膜付水滴70を効率よく生成することができるが、生成された油膜付水滴70は、オイルミスト10の電荷と水滴40の電荷が打ち消しあって帯電されていないか、あるいは、いずれかの極性の弱い電荷で帯電されている。
【0043】
ここで、生成された油膜付水滴70が弱い電荷で帯電されている場合において、油膜付水滴70を生成する際のオイルミスト10がプラスの極性で帯電されているとき、生成された油膜付水滴70もプラスの極性の弱い電荷で帯電され、反対に油膜付水滴70を生成する際のオイルミスト10がマイナスの極性で帯電されているとき、生成された油膜付水滴70もマイナスの極性の弱い電荷で帯電される。これは、水滴40の粒子径よりも小さい粒子径のオイルミスト10の粒子の全表面積が水滴40の粒子の全表面積よりも大きく、油膜付水滴70の極性は、この全表面積の大きいオイルミスト10の極性に依存すると考えられるためである。
【0044】
従って、油膜付水滴70がマイナスの極性で帯電している場合には、図5に示すように、油膜付水滴生成混合器1側に帯電用電圧発生装置65のマイナス極を接続することにより、油膜付水滴70を効率よくマイナスの極性で帯電させることができ、工作物62への油膜付水滴70の付着性が向上する。反対に油膜付水滴70がプラスの極性で帯電している場合には、油膜付水滴生成混合器1側に帯電用電圧発生装置65のプラス極を接続することにより、油膜付水滴70を効率よくプラスの極性で帯電させることができ、工作物62への油膜付水滴70の付着性が向上する。また、油膜付水滴70が帯電されていない場合には、油膜付水滴生成混合器1側に帯電用電圧発生装置65のプラス極又はマイナス極のいずれを接続しても、接続した極性の電荷で帯電させることができ、工作物62への油膜付水滴70の付着性が向上する。
【0045】
このように、油膜付水滴70を帯電させる再帯電手段8を備えたことにより、工作物62への油膜付水滴70の付着性が向上するため、作業環境中に放出される無駄な油膜付水滴70を低減させることができ、霧害を低減することができる。
【0046】
なお、帯電用電圧発生装置65を油膜付水滴生成混合器1とドリル61との間に接続し、油膜付水滴生成混合器1とドリル61との間に帯電用電圧発生装置65によって電圧を印加するものであってもよい。この場合、ドリル61への油膜付水滴70の付着性を向上させることができ、帯電用電圧発生装置65を油膜付水滴生成混合器1と加工物との間に接続した場合と同様の効果を奏することができる。
【0047】
以上、第1実施形態及び第2実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1の構成について説明したが、次に、油膜付水滴生成混合器1を用いて行なった試験について、図6乃至図10を参照して説明する。試験の内容は、電界値を一定にしたときに生成されるオイルミスト10及び水滴40の粒子径の個数分布の測定試験、及び電界値を変化させたときに生成されるオイルミスト10及び水滴40の電界値毎の平均粒子径の測定試験である。図6は、試験に用いたオイルミスト生成装置1の構造を示す断面図であり、図7は、電界値を一定にしたときに生成されるオイルミスト10の粒子径の個数分布を表す表とグラフであり、図8は、電界値を変化させたときに生成されるオイルミスト10の電界値毎の平均粒子径を表す表とグラフであり、図9は、電界値を一定にしたときに生成される水滴40の粒子径の個数分布を表す表とグラフであり、図10は、電界値を変化させたときに生成される水滴40の電界値毎の平均粒子径を表す表とグラフである。なお、いずれの試験も大気圧下、温度23℃、中空針状ノズル径0.3mm、使用したのは、オイルVG32及び蒸留水である。
【0048】
なお、試験に用いるオイルミスト生成装置1としては、オイルミスト生成帯電手段2及び水滴生成帯電手段4が、図6(A)に示すような直列に配置されている直列回路式のものと、図6(B)に示すような並列に配置されている並列回路式のものとがあるが、本試験は、オイルミスト生成帯電手段2及び水滴生成帯電手段4が直列に配置されている直列回路式のものを用いて行なった。従って、オイルミスト生成装置1の構造については、図6(A)の直列回路式のものについて説明する。
【0049】
図6(A)に示す、試験に用いたオイルミスト生成装置1は、図1の概略図で説明したオイルミスト生成装置1とほぼ同様の構造であるが、図1の概略図とは異なり、放電電極12,42がリング形状に形成されるものである。このため、オイルミスト生成帯電手段2及び水滴生成帯電手段4によってそれぞれ生成されたオイルミスト10及び水滴40は、放電電極12,42の中心に形成されている円形状の穴を通過することとなる。
【0050】
また、図1の概略図とは異なり、オイルミスト生成帯電手段2と水滴生成帯電手段4とが互いに対面する位置に設置されている。なお、図示されていないが、オイルミスト生成帯電手段2のオイルノズル11には、オイル供給パイプ22が接続されると共に、オイルノズル11と放電電極12との間に高電圧発生装置13が接続され、水滴生成帯電手段4の水ノズル41には、水供給パイプ52が接続されると共に、水ノズル41と放電電極42との間に高電圧発生装置43が接続されている。
【0051】
また、図示しないが、油膜付水滴生成供給手段7の一端(図中、左側端部)には、油膜付水滴生成供給手段7に対して圧力空気源30から送り出されるエアが通るエア供給パイプ33が接続され、他端(図中、右側端部)には、油膜付水滴生成供給手段7で生成された油膜付水滴70を噴出するための噴出ノズル(図示しない)が接続されている。
【0052】
しかして、オイル供給装置21によってオイルノズル11に送り出されたオイル23は、オイルノズル11から供給される。オイルノズル11から供給されたオイル23は、高電圧発生装置13によってオイルノズル11と放電電極12との間に印加される高電圧によって発生した放電による静電力により霧化されると共に帯電される。これにより、帯電したオイルミスト10が生成されることとなる。
【0053】
また、水供給装置51によって水ノズル41に送り出された水53は、水ノズル41から供給される。水ノズル41から供給された水53は、高電圧発生装置43によって水ノズル41と放電電極42との間に印加される高電圧によって発生した放電による静電力により霧化されると共に帯電される。これにより、帯電した水滴40が生成されることとなる。
【0054】
上記のようにして生成されたオイルミスト10は、圧力空気源30から送られる矢印Aで示す方向のエアによって水滴生成帯電手段4側に送り出されると共に、水滴生成帯電手段4で生成された水滴40と混合され、この混合された水滴40とオイルミスト10とによって、水滴40の表面に油膜10aが形成された油膜付水滴70が生成される。そして、生成された油膜付水滴70は、圧力空気源30から送られるエアの圧力によって油膜付水滴生成供給手段7から噴出されることとなる。
【0055】
上記のようにして、油膜付水滴生成混合器1でオイルミスト10が生成されるが、電界値を320kV/mとした場合、生成されるオイルミスト10の粒子径は、図7に示す値となった。図7(A)に示すように、生成されたオイルミスト10のうち、710個のオイルミスト10の粒子径を計測したところ、0〜0.6μm未満及び0.9〜2.1μm未満の粒子径の度数(個数)は0、0.6〜0.7μm未満及び0.8〜0.9μm未満の粒子径の度数は230、0.7〜0.8μm未満の粒子径の度数は250であり、その個数分布は、それぞれ0%、32.39%、35.21%であった。そして、図7(B)がその個数分布をグラフにしたものである。このように、電界値を320kV/mとした場合に生成されるすべてのオイルミスト10は、その粒子径が0.6〜0.9μm未満で形成されるものであった。なお、上記の粒度分布及び平均粒子径の測定は、ANDERSEN社製 MODEL 3351で行った。
【0056】
次に、電界値を変化させた場合、生成されるオイルミスト10の平均粒子径は、図8に示す値となった。図8(A)に示すように、電界値を0kV/mから200kV/mの間は50kV/m間隔で、200kV/mから360kV/mの間は20kV/m間隔で段階的に高めた場合の13段階の平均粒子径は、それぞれ、2481.40μm,2428.59μm,・・・,0.38μmであった。そして、図8(B)が電界値の違いによる生成されるオイルミスト10の平均粒子径の違いをグラフにしたものである。なお、平均粒子径を算出するためのオイルミスト10のサンプル数はいずれも100個である。
【0057】
ここで、前述したように、生成されるオイルミスト10としての適正な粒子径は、1μm以下であるが、オイルミスト10の粒子径をこの1μm以下とするために必要な電界は、上記した試験結果から約300〜400kV/mである。
【0058】
また、上記のようにして、油膜付水滴生成混合器1で水滴40が生成されるが、電界値を480kV/mとした場合、生成される水滴40の粒子径は、図9に示す値となった。図9(A)に示すように、生成された水滴40の個数分布は、50〜65μm未満の粒子径は0%、65〜70μm未満の粒子径は3.00%、70〜75μm未満の粒子径は10.00%、75〜80μm未満の粒子径は17.00%、80〜85μm未満の粒子径は30.00%、85〜90μm未満の粒子径は28.00%、90〜95μm未満の粒子径は5.00%、95〜100μm未満の粒子径は2.00% であった。そして、図9(B)がその個数分布をグラフにしたものである。このように、電界値を480kV/mとした場合に生成されるすべての水滴40は、その粒子径が65〜100μm未満で形成されるものであった。なお、上記の粒度分布及び平均粒子径の測定は、オイルミスト10の平均粒子径の測定と同様、ANDERSEN社製 MODEL 3351で行った。
【0059】
次に、電界値を変化させた場合、生成される水滴40の平均粒子径は、図10に示す値となった。図10(A)に示すように、電界値を120kV/m間隔で段階的に高めた場合の6段階の平均粒子径は、それぞれ、1985μm,1810μm,706μm,112μm,86μm,107μmであった。そして、図10(B)が電界値の違いによる生成される水滴40の平均粒子径の違いをグラフにしたものである。なお、平均粒子径を算出するための水滴40のサンプル数はいずれも100個である。
【0060】
ここで、前述したように、生成される水滴40としての適正な粒子径は、約50〜100μmであるが、水滴40の粒子径をこの約50〜100μmとするために必要な電界値は、上記した試験結果から約350〜600kV/mである。
【0061】
以上、本実施形態に係る油膜付水滴生成混合器1は、コロナ放電によってオイルミスト10を生成するものであるため、生成されるオイルミスト10及び水滴40の粒子径のバラツキを非常に小さくすることができ、これにより、水滴40に付着し難い粒子径の大きいオイルミスト10が生成されることがない。このため、粒子径の大きいオイルミスト10に水滴40を付着させるために複数回に亘って油膜10aの生成工程を行なう必要がなく、1回の油膜生成工程で100%の水滴40に油膜10aを生成することができる。
【0062】
また、オイルノズル11あるいは水ノズル41と放電電極12,42との間に印加する電圧を変化させることにより、オイルミスト10及び水滴40の粒子径を任意に変化させることができ、これにより、生成される油膜付水滴70の粒子径も任意に変化させることができるため、工作物62を加工する際の加工条件の違いに合わせて油膜付水滴70を最適の粒子径とすることができる。
【0063】
また、生成されたオイルミスト10と水滴40とが互いに逆の極性で帯電しているため、水滴40の粒子表面上に確実にオイルミスト10を付着させることができ、これにより、油膜付水滴70を効率よく生成することができる。
なお、本実施例では、油膜付水滴70を工作物62の機械加工に用いる例をとして挙げたが、油膜付水滴70は、摺動用潤滑液としても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】油膜付水滴生成混合器の構成を示す概略図である。
【図2】放電による静電力によりオイルミストあるいは水滴が生成される状態を示す概略図である。
【図3】油膜付水滴生成混合器によって工作物の加工時の加工部分に油膜付水滴を供給する状態を示す概略図である。
【図4】油膜付水滴と油膜付水滴が付着した工作物の表面の概念図である。
【図5】第2実施形態に係る油膜付水滴生成混合器の構成を示す概略図である。
【図6】試験に用いたオイルミスト生成装置の構造を示す断面図である。
【図7】電界値を一定にしたときに生成されるオイルミストの粒子径の個数分布を表す表とグラフである。
【図8】電界値を変化させたときに生成されるオイルミストの電界値毎の平均粒子径を表す表とグラフである。
【図9】電界値を一定にしたときに生成される水滴の粒子径の個数分布を表す表とグラフである。
【図10】電界値を変化させたときに生成される水滴の電界値毎の平均粒子径を表す表とグラフである。
【符号の説明】
【0065】
1 油膜付水滴生成混合器
2 オイルミスト生成帯電手段
3 オイル供給手段
5 水供給手段
6 エア供給手段
7 油膜付水滴生成供給手段
8 再帯電手段
10 オイルミスト
10a 油膜
11 オイルノズル
12 放電電極(電極)
23 オイル
40 水滴
41 水ノズル
42 放電電極(電極)
53 水
61 ドリル(加工工具)
62 工作物
70 油膜付水滴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作物の加工時に使用される加工液であって水滴の表面に油膜が形成された油膜付水滴を供給する油膜付水滴生成混合器において、
オイルを供給するオイルノズルにオイルを供給するオイル供給手段と、
水を供給する水ノズルに水を供給する水供給手段と、
前記オイルノズルと該オイルノズルから間隔を置いて設置された電極との間に印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、前記オイルノズルから供給されたオイルを霧化することによりオイルミストを生成すると共に、生成したオイルミストを帯電させるオイルミスト生成帯電手段と、
前記水ノズルと該水ノズルから間隔を置いて設置された電極との間に印加される高電圧により発生した放電による静電力によって、前記水ノズルから供給された水を霧化することにより水滴を生成すると共に、生成した水滴を前記オイルミストとは逆の極性で帯電させる水滴生成帯電手段と、
前記オイルミスト生成帯電手段によって生成されたオイルミスト及び前記水滴生成帯電手段によって生成された水滴に向けてエアを供給するエア供給手段と、
前記オイルミスト生成帯電手段によって生成されたオイルミスト及び前記水滴生成帯電手段によって生成された水滴を前記エア供給手段によって供給されるエアで混合することにより水滴の表面に油膜が形成された油膜付水滴を生成すると共に、生成した油膜付水滴をエアの圧力によって工作物の加工時の加工部分に供給する油膜付水滴生成供給手段と、から構成されることを特徴とする油膜付水滴生成混合器。
【請求項2】
前記油膜付水滴生成混合器は、生成された前記油膜付水滴を帯電させる再帯電手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の油膜付水滴生成混合器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−110660(P2006−110660A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−299464(P2004−299464)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(591001282)大同メタル工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】