説明

治療および画像処理超音波変換器用のマイクロマニピュレータ制御アーム

多くの特徴のいくつかを含むことができる医療用画像処理治療装置が提供される。本装置の1つの特徴は、本装置が目標組織体積の画像処理を行い、目標組織体積に超音波エネルギを印加することができる点である。いくつかの実施形態では、本医療用画像処理治療装置は、超音波治療システムにより生成される空洞現象気泡混濁を画像処理システムにより生成される前立腺の画像内に維持することにより、前立腺内に超音波エネルギを制御自在に印加するように構成される。本医療用画像処理治療装置は、例えば、組織破砕術、砕石術、およびHIFUなどの治療用途に使用することができる。本医療用画像処理治療装置の使用に関する方法も対象とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2010年8月26日に出願した、「MICROMANIPULATOR CONTROL ARM FOR THERAPEUTIC AND IMAGING ULTRASOUND TRANSDUCERS」という名称の米国特許出願第12/868,768号の優先権を主張するものであり、2009年8月26日に出願した、「MICROMANIPULATOR CONTROL ARM FOR THERAPEUTIC AND IMAGING ULTRASOUND TRANSDUCERS」という名称の米国仮特許出願第61/237,017号の35U.S.C.119の下での利益を主張するものである。これらの出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
参照による組み込み
【0002】
[0002]本明細書に述べる特許および特許出願を含む全ての文献は、各個々の文献が参照により組み込まれていることを具体的かつ個別に示した場合と同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
[0003]本発明は、概略的には、超音波装置による組織の画像処理および治療に関する。より具体的には、本発明は、組織破砕術装置による組織の画像処理および除去に関する。
【背景技術】
【0004】
[0004]組織破砕術および砕石術は、人体外部から人体内部の目標組織に超音波パルスを集束させる、非侵襲的な組織除去理学療法である。組織破砕術は、細胞組織を均質化して人体が放出または吸収することができる無細胞性液体にする、微細気泡の空洞現象により組織を機械的に破壊し、砕石術は通常、音響衝撃波により尿管結石を破砕するのに使用される。
【0005】
[0005]組織破砕術は、外科手術または他の治療処置の一部としての、目標組織体積または組織に取り囲まれた包含物の音響空洞現象を介する機械的破壊である。組織破砕術は、周期的な空洞現象の空間的範囲を制御する音響および変換器走査パラメータの組全体が比較的狭い範囲内にあるとき、最も良く機能する。いずれかのパラメータの小さい変化は、継続中のプロセスの中断をもたらす可能性がある。
【0006】
[0006]組織破砕術は、次に大表面積集束型変換器を必要とする、高ピーク強度音響パルスを必要とする。これらの変換器は、砕石術に使用される変換器に極めて類似していることが多く、同じ周波数範囲で動作することが多い。主な相違点は、装置がどのように電気駆動されるかという点である。
【0007】
[0007]組織破砕術パルスは(通常)、正弦波駆動電圧の少数の周期からなるが、砕石術は(大抵の場合)、その固有周波数で応答する変換器による単一の高電圧パルスにより駆動される。砕石術パルスは1周期のみであっても、その負圧段階長さは、組織破砕術パルスの全長さに等しいか、またはそれを上回り、数十マイクロ秒続く。この負圧段階は、気泡の発生および気泡の継続的な成長を可能にし、1mmまでのサイズの気泡を提供する。砕石術パルスは、衝撃波およびこれらの1mm気泡により発生する機械的応力を使用し、組織破壊または結石の破砕を起こす。
【0008】
[0008]それと比較して、組織破砕術パルスの負および正の各周期は、気泡を成長および崩壊させ、次の周期は、同じプロセスを反復する。気泡の最大サイズは、約数十乃至数百ミクロンに達する。これらのミクロンサイズの気泡は、組織表面と相互作用して組織を機械的に破壊する。
【0009】
[0009]それに加えて、組織破砕術は、1秒当り数百乃至数千のパルス、すなわち100乃至1kHzパルス反復周波数を提供する。砕石術は、狭い範囲のパルス反復周波数(通常0.5乃至1Hz)内でのみ良く機能する。パルス反復周波数が10乃至100Hzまで増大するとき、砕石術の有効性および効率が大幅に減少することを研究は示す。効率の低減は、衝撃波および他のエネルギが結石に到達するのを防ぐmmサイズの気泡の数の増加によるものである可能性がある。
【0010】
[0010]組織破砕術は通常、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、約0.1%から5%の間でいくつかの実施形態では5%未満の使用率、ならびに5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを提供することを含む。
【0011】
[0011]組織破砕術処置中に手術の解剖学的構造を可視化し、プロセスを実時間で監視するのに、診断超音波を使用することができる。組織破砕術空洞現象気泡混濁は、診断超音波上で高エコー(明)域として極めて明瞭に出現することができ、除去均質化される組織は、低エコー(暗)域として出現することができる。組織破砕術を使用して、治療アレイの集束部を電子的に変化させることにより、または手術目標領域内に治療変換器の集束部を機械的に動かすことにより、大きく不規則な組織体積を除去することができる。
【発明の概要】
【0012】
[0012]本発明は、マイクロマニピュレータシステムと、マイクロマニピュレータシステムにより支持される超音波治療システムと、マイクロマニピュレータシステムにより超音波治療システムから離間して支持される画像処理システムとを含む画像処理治療システムに関し、マイクロマニピュレータシステムは、画像処理システムの撮像視野内に超音波治療システムの焦点を維持するように適合および構成される。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、マイクロマニピュレータは、画像処理システムをヒトの男性患者の直腸内に配置し、画像処理システムが直腸内にある間に超音波治療システムを患者の会陰部と音響的に接触させて配置するように適合および構成される。いくつかの実施形態では、画像処理システムは、経直腸プローブを含む。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、超音波治療システムの焦点は、画像処理システムから約0.8cm乃至4cmにある。
【0015】
[0015]画像処理治療システムの多くの実施形態では、超音波治療システムは、組織破砕術システムを含む。超音波治療システムは、組織内で空洞現象微細気泡を生成するように構成される超音波治療変換器を含むことができる。いくつかの実施形態では、超音波治療システムは、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、5%未満でいくつかの実施形態では5%未満の使用率、ならびに5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを供給するように構成される超音波治療変換器を含む。
【0016】
[0016]いくつかの実施形態では、マイクロマニピュレータシステムは、ロボットアームを含む。ロボットアームは、例えば6自由度まで動かすことができる。別の実施形態では、マイクロマニピュレータシステムは、マイクロマニピュレータシステムを4自由度まで動かすように構成される少なくとも4つのステッパモータを含む。一実施形態では、少なくとも4つのステッパモータの1つは、画像処理システムをローリング軸に沿って回転させるように構成される。別の実施形態では、少なくとも4つのステッパモータの1つは、超音波治療システムをピッチング軸に沿って回転させるように構成される。さらに別の実施形態では、少なくとも4つのステッパモータの1つは、超音波治療システムをヨーイング軸に沿って回転させるように構成される。追加の実施形態では、少なくとも4つのステッパモータの1つは、超音波治療システムを前/後軸に沿って前進させるように構成される。
【0017】
[0017]いくつかの実施形態では、画像処理治療システムは、マイクロマニピュレータシステムを自動的に制御し、画像処理システムの撮像視野内に超音波治療システムの焦点を維持するように構成される制御システムをさらに含むことができる。制御システムは、コンピュータなどの制御装置と、入力装置および表示装置とを含むことができる。
【0018】
[0018]画像処理治療システムを使用する方法も提供される。一実施形態では、患者の前立腺内の組織を除去する方法は、画像処理システムおよび超音波治療システムをマイクロマニピュレータシステム上で支持するステップと、画像処理システムを患者の直腸に挿入するステップと、画像処理システムにより前立腺の画像を生成するステップと、超音波治療システムにより生成される気泡混濁を画像処理システムにより生成される前立腺の画像内に維持することにより、超音波治療システムから前立腺内に超音波エネルギを制御自在に印加するステップとを含む。
【0019】
[0019]いくつかの実施形態では、本方法は、超音波治療システムを患者の会陰部と音響的に接触させて配置するステップをさらに含む。
【0020】
[0020]別の実施形態では、本方法は、超音波治療システムにより生成される気泡混濁を、画像処理システムの約0.8cm乃至4cm内に維持するステップをさらに含む。
【0021】
[0021]追加の実施形態では、超音波エネルギを制御自在に印加するステップは、組織破砕術治療を制御自在に施すステップを含む。別の実施形態では、超音波エネルギを制御自在に印加するステップは、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、5%未満でいくつかの実施形態では5%未満の使用率、ならびに5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを供給するステップを含む。別の実施形態では、超音波エネルギを制御自在に印加するステップは、制御システムによって、超音波治療システムにより生成される気泡混濁を、画像処理システムにより生成される前立腺の画像内に自動的に維持するステップをさらに含む。
【0022】
[0022]いくつかの実施形態では、本方法は、前立腺内の組織を機械的に破壊するステップをさらに含む。本方法は、BPHを治療するのに前立腺内の組織を機械的に破壊するステップをさらに含む。追加の実施形態では、本方法は、前立腺癌を治療するのに前立腺内の組織を機械的に破壊するステップを含む。
【0023】
[0023]一実施形態では、本方法は、前立腺の3D画像を形成するのに画像処理システムを回転させるステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】[0024]マイクロマニピュレータシステムを含む画像処理治療システムの一実施形態を示す図である。
【図2】[0025]図2Aは、患者内の画像処理システムを示す図である。図2Bは、患者内の画像処理システムを示す図である。
【図3】[0026]図3Aは、マイクロマニピュレータシステムに取り付けられた画像処理システムおよび治療超音波変換器を示す図である。図3Bは、マイクロマニピュレータシステムに取り付けられた画像処理システムおよび治療超音波変換器を示す図である。
【図4】図4Aは、マイクロマニピュレータシステムに取り付けられた画像処理システムおよび治療超音波変換器を示す図である。図4Bは、マイクロマニピュレータシステムに取り付けられた画像処理システムおよび治療超音波変換器を示す図である。
【図5】[0027]組織破砕術処置により破壊される組織の超音波画像である。
【図6A】[0028]マイクロマニピュレータシステムの図である。
【図6B】マイクロマニピュレータシステムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[0029]様々な疾患の治療のために組織を除去または破壊するのに組織破砕術を使用することができる。具体的には、良性前立腺過形成(BPH)および前立腺癌の治療のために組織を除去するのに組織破砕術を使用することができる。1つの組織破砕術システムでは、画像処理システムおよび超音波治療システムは、電気機械的マイクロマニピュレータシステムにより保持および配置される。マイクロマニピュレータシステムは、処置台に取り付けることができ、または処置台上に保持し、天井に固定することができる。いくつかの実施形態では、マイクロマニピュレータシステムは、ジョイスティック制御し、またはコンピュータ追跡および配置プログラムにより制御することができる。経直腸(TR)超音波画像処理システムは、正確な目標設定および治療中に治療システムにより形成される気泡混濁の局在位置を確かめ、組織破砕術処置中の目標組織の画像処理を行うために、患者の直腸内に挿入することができる。画像処理システムは、処置中に治療の画像処理を行い、治療を追跡するのに、マイクロマニピュレータシステムに取り付け、軸方向に再配置し、半径方向に回転させることができる。
【0026】
[0030]本発明の一態様は、新規のマイクロマニピュレータシステムと、組織破砕術、砕石術、またはHIFU組織除去の分野で治療システムおよび画像処理システムを使用する方法とを提供する。マイクロマニピュレータシステムは、小さく、移動可能で、システムを容易に使用することができ、超音波治療システムおよび画像処理システムのどちらに対する取付点も含むことができる。マイクロマニピュレータシステムは、治療システムおよび画像処理システムのどちらの運動も独立に制御するように構成することができる。
【0027】
[0031]ここで図1を参照すれば、画像処理治療システム100は、マイクロマニピュレータシステム102、制御システム104、超音波治療システム106、および画像処理システム108を含むことができる。マイクロマニピュレータシステム102は、超音波治療システム106に取り付け、超音波治療システム106を6自由度(例えば、図1に示すx、y、およびz平面内の前/後、左/右、上/下、ヨーイング、ピッチング、およびローリング)まで動かすように適合および構成することができる。いくつかのシステムは、6自由度全ての運動を必要としない可能性があることを理解されたい。マイクロマニピュレータシステムは、画像処理システムに取り付け、画像処理システムを6自由度まで動かすように構成することもできるが、通常、画像処理システムには、前/後およびローリングの自由度のみが必要とされる。いくつかの実施形態では、マイクロマニピュレータシステムは、6自由度まで有するロボットアームを含む。ロボットアームは、配置および治療中に、画像処理システムおよび超音波治療システムのどちらの重量も堅固に保持するように構成することができる。図1の実施形態では、マイクロマニピュレータシステム102は、別個の可動スタンド116に取り付けられる。あるいは、マイクロマニピュレータシステムは、処置台(図示せず)上に取り付けることができる。
【0028】
[0032]制御システム104は、制御装置110、入力装置112、および表示装置114を含むことができる。制御装置は、マイクロマニピュレータシステムの運動を制御するように構成されるハードウェアおよびソフトウェアを有するコンピュータとすることができる。例えば、制御装置は、CPU、メモリ、オペレーティングシステム、およびソフトウェアをロードし、取り付けられたハードウェアを制御するのに必要な他の演算必須要素を含むことができる。入力装置112は、例えば、キーボードおよびマウス、またはジョイスティックとすることができる。表示装置114は、例えば、電子表示装置またはグラフィカルユーザインタフェース(GUI)とすることができる。
【0029】
[0033]超音波治療システム106は、超音波エネルギを目標組織体積に供給するように構成される、超音波治療変換器または変換器を含むことができる。いくつかの実施形態では、超音波治療変換器は、組織内で空洞現象微細気泡を生成するように構成される組織破砕術超音波変換器とすることができる。いくつかの実施形態では、組織破砕術超音波変換器は、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、約0.1%から5%の間でいくつかの実施形態では5%未満の使用率、ならびに5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを供給するように構成することができる。他の実施形態では、超音波治療システム106は、砕石術超音波変換器またはHIFU変換器を含むことができる。超音波治療システム106は、ベローズなどの、変換器を患者に音響的に結合する結合機構118を含むことができる。あるいは、結合機構は、超音波治療システムから独立し、その代わりに患者に装着することができる。適当な結合機構のいくつかの実施形態は、2010年8月17日に出願した、「Disposable Acoustic Coupling Medium Container」という名称の米国特許出願第12/858,242号に述べられている。
【0030】
[0034]いくつかの実施形態では、画像処理システム108は、目標組織体積の画像処理を行うように構成され、Cモード診断超音波画像処理システムを含む。いくつかの実施形態では、画像処理システムは、経直腸画像処理プローブとすることができる。画像処理システムは、2Dまたは3Dで組織の画像処理を行うように構成することができる。いくつかの実施形態では、経直腸画像処理プローブは、前立腺およびその周囲の組織の画像処理を行うのに患者の直腸に挿入されるように構成することができる。他の実施形態では、2次画像処理変換器は、超音波治療システム106の中心に保持することができる。
【0031】
[0035]ここで画像処理治療システムを使用する方法を述べる。図2Aは、患者の直腸Rに挿入される画像処理システム208を示す。画像処理システム208の画像処理変換器220は、患者の前立腺Pの近傍に配置することができる。図2Bは、上述のマイクロマニピュレータシステムなどのマイクロマニピュレータシステム202に結合する画像処理システム208を示す。いくつかの実施形態では、画像処理システムおよびマイクロマニピュレータシステムは、処置の開始時に手動で配置することができる。いくつかの実施形態では、画像処理システム208は、図2Aに示すように直腸内に配置することができ、その際、マイクロマニピュレータシステムは、図2Bに示すように配置し、画像処理システムに取り付けることができる。画像処理システムは、直腸内を前進し、その結果、画像処理変換器220により画定されるその画像処理開口部は、前立腺の近傍にあり、前立腺の横断面の画像を取得するように構成される。画像処理システムは、前立腺の医療球欠面画像を取得するために、プローブの長手方向軸に沿って半径方向に回転することにより配置することもできる。
【0032】
[0036]図3A乃至図3Bに示すように、超音波治療システム306は、それが患者の肛門と陰嚢との間の会陰部に面するようにマイクロマニピュレータシステム302上に取り付けることができる。超音波治療システム306は、超音波治療システムの前面から約0.8cm乃至4cm(例えば1cmなど)離れた焦点を有するように構成することができる。したがって、前立腺治療の図3Bを参照すれば、超音波治療システムは、超音波治療システム302の焦点322を画像処理システム308の撮像視野内および治療すべき前立腺内に配置するように配置することができる。図3A乃至図3Bでは、マイクロマニピュレータシステムは、画像処理システムを患者の直腸内に配置し、画像処理システムが直腸内にある間に超音波治療システムを会陰部と音響的に接触させて配置するように適合および構成される。
【0033】
[0037]マイクロマニピュレータシステムの運動、画像処理システムによる目標組織の画像処理、および超音波治療システムによる目標組織の治療を、管理し、観測し、上述の図1に示す制御システム104などの制御システムにより制御することができる。ここで図4A乃至図4Bおよび図1を参照すれば、焦点422の最初の配置は、マイクロマニピュレータシステム402により機械的に確立することができる。図4Aに示すように、超音波治療システム406は、焦点422を前立腺P内の目標組織上で画像処理システムの撮像視野内に配置するのに、マイクロマニピュレータシステム402により動かすことができる。マイクロマニピュレータシステムは、図4A乃至図4Bに示すように、焦点422を前立腺の一方または両方の腺葉上に配置するように構成される。
【0034】
[0038]マイクロマニピュレータシステム402は、内科医などのユーザにより手動で、図1の画像処理システム108および表示装置114からの視覚案内の下で入力装置112を使用することにより配置することができる。他の実施形態では、マイクロマニピュレータシステムは、図1の制御装置110などの制御装置により自動的に配置することもできる。制御装置は、手術計画に応じてソフトウェアおよび/またはハードウェアによりプログラムし、マイクロマニピュレータシステムおよび超音波治療システムを自動的に配置し、それらを動かし、焦点を目標組織内に配置し、目標組織体積内の所望の組織を除去することができる。
【0035】
[0039]引き続き図1を参照すれば、画像処理システム108は、超音波治療システム106、および手術計画用の制御システム104と一体化することができる。手術計画は、画像処理システム108により前立腺などの目標組織体積の複数の横断画像または球欠画像を取得し、これらの画像を制御システム104の制御装置110内に格納することにより容易にすることができる。いくつかの実施形態では、走査画像は、約1乃至10mm離間させることができる。これらの画像は、制御装置110内に格納し、制御装置内の手術計画ソフトウェア内に入力することができる。画像は、手術計画ソフトウェアにより検索することができ、その際、治療領域は、図5に外形線を描いた除去体積524によって示すように、所望の除去体積を特定するのに各画像上に描画し、または印を付けることができる。
【0036】
[0040]他の実施形態では、目標組織体積を走査することは、目標組織体積の3次元(3D)画像を再構築するために、球欠(長手方向)面にわたって画像処理システムを回転させ、全体積にわたって画像を取得することを含むことができる。次に、横断面または球欠面画像は、詳細な手術計画用にユーザまたは制御システムにより取得および検査することができる。治療体積は、上述のように、画像上に描画し、または印を付けることができる。
【0037】
[0041]いくつかの実施形態では、手術計画ソフトウェアまたはユーザは、後続の治療体積を増分量1mm(例えば、全範囲0.2mm乃至1cm)で分離しながら、前立腺などの目標組織体積内の手術計画を作成することができる。各治療目標は、異なる線量の超音波治療を割り当てることができる。超音波線量は、例えば、供給するパルスの数または各治療目標における治療継続時間により決定することができる。いくつかの実施形態では、超音波治療は、組織破砕術治療を含む。組織破砕術は、計画された治療体積内で行うことができる。治療は、画像処理システムからの画像を表示することもできる制御システム表示装置上で追跡することができる。いくつかの実施形態では、超音波治療変換器の焦点は、マイクロマニピュレータシステムにより(例えば、前立腺の)手術治療体積にわたって自動的に動かし、画像処理システムからの実時間画像処理の下で治療体積を除去することができる。いくつかの実施形態では、超音波治療システムは、治療体積を除去し、またはそれを機械的に破壊するように構成される。超音波治療システムは、例えば、BPHまたは前立腺癌などを治療するのに、前立腺の組織を除去し、またはそれを機械的に破壊するように構成することができる。
【0038】
[0042]いくつかの実施形態では、画像処理システムの初期既定位置は、前立腺の中央にあり、超音波治療システム焦点の初期既定位置は、画像処理システムの横断および球欠撮像視野内にある。いくつかの実施形態では、画像処理システムおよび治療システムの既定位置は、制御システム上の既定値制御要素(例えば、ボタンまたはキー)を押すことにより回復することができる。
【0039】
[0043]引き続き図4A乃至図4Bおよび図1を参照すれば、画像処理システム408は、組織破砕術処置中に手動で前進および回転させ、画像形成領域内に空洞現象気泡混濁を保持し、実時間監視を容易にすることができる。あるいは、制御システムは、マイクロマニピュレータシステム、画像処理システム、および超音波治療システムを自動的に配置し、画像処理領域内に空洞現象気泡混濁を保持することができる。例えば、マイクロマニピュレータシステムは、治療システムの運動および画像処理システムの撮像視野に基づいて計算される程度まで、制御システムにより軸方向に自動的に回転および/または前進させることができる。別の代替案として、画像処理システムの回転を案内するのに画像処理フィードバックを使用することができる。画像処理システムは、組織破砕術空洞現象気泡混濁を示す、治療領域内の高エコー域(すなわち、高後方散乱振幅)を画像処理フィードバックが示すまで、小さいステップで回転することができる。
【0040】
[0044]いくつかの実施形態では、超音波治療システムは、5MPaを上回るピーク負圧の高振幅圧力波、1乃至1000周期の超音波パルス継続時間、約5kHz未満のパルス反復周波数、および約5%未満の使用率を有する、約100kHzから約5MHzの間の周波数の超音波パルスを使用して、組織体積内に超音波誘導される空洞現象気泡混濁を生成することができる。
【0041】
[0045]他の実施形態では、超音波治療変換器の焦点は、約250kHzから約1.5MHzの間の超音波周波数と、2000W/cmを上回る強度、約20MPaを上回る(例えば、30MPaから500MPaの間などの)ピーク正圧、および約5MPa未満(例えば、5MPaから40MPaの間など)のピーク負圧を有する高振幅圧力波と、30周期未満(例えば、0.2μsから30μsの間(1乃至20周期)など)の超音波パルス継続時間と、約5kHz未満のパルス反復周波数と、約5%未満の使用率とを使用して、組織体積内に超音波誘導される空洞現象気泡混濁を生成する。
【0042】
[0046]以上の図1乃至図4は、マイクロマニピュレータシステムをロボットアームとして述べ、示した。しかし、図6A乃至図6Bは、マイクロマニピュレータシステム602の別の実施形態を示す。上述のように、超音波治療システム606および画像処理システム608をマイクロマニピュレータシステムに取り付けることができる。図6Aに示すマイクロマニピュレータシステムは、超音波治療システム606を3自由度(例えば、前/後、ヨーイング、およびピッチング)まで動かすように構成することができ、画像処理システム608を1自由度(例えば、ローリング)で動かすように構成することができる。さらに、図6A乃至図6Bのマイクロマニピュレータシステム602は、図1の制御システム104などの制御システムにより自動的に制御され、本明細書に述べる超音波治療システムおよび画像処理システムを自動的に配置および制御することができる。
【0043】
[0047]矢印626で規定される、ヨーイング軸に沿った回転を達成するのに、ステッパモータ628は、ねじ式ロッド632により摺動ブロック630に取り付けることができる。ねじ式ロッドおよび摺動ブロックは、それぞれ、外部および内部のねじ切り接合を含むことができる。ステッパモータ628がねじ式ロッド632を回転させるとき、ねじ式ロッドのねじ切りにより、摺動ブロックは、溝634に沿って直線的に動く。摺動ブロック630は、接続ロッド638により回転棚636に取り付けることができる。接続ロッドは、棚の回転ピン640から離間した適当な位置で回転棚に取り付けることができる。摺動ブロックが溝634に沿って直線的に動くとき、接続ロッド638は、回転棚636を押し、棚、したがって超音波治療システム606をヨーイング軸の回転ピン640の周りに回転させる。
【0044】
[0048]マイクロマニピュレータシステムは、同様に、矢印642で規定される、ピッチング軸に沿った回転を達成することができる。図6Aでは、ステッパモータ644は、ねじ式ロッド646を回転させ、摺動ブロック648を溝650内で直線的に動かす。これにより、接続ロッド652は超音波治療システム606を押し、ピッチング軸の回転ピン654の周りに回転させることができる。
【0045】
[0049]マイクロマニピュレータシステムは、同様に、矢印656で規定される、前/後軸に沿った運動を達成することができる。図6A乃至図6Bでは、ステッパモータ658は、ねじ式ロッド660を回転させ、摺動ブロック662を溝664内で直線的に動かすことができる。摺動ブロック662は、超音波治療システム606に取り付けられたフレーム666に取り付けることができる。したがって、摺動ブロックの直線運動により、フレームをホイール668に沿って直線的に動かし、それにより、超音波治療システム606を前/後方向656に前進させることができる。
【0046】
[0050]マイクロマニピュレータシステムは、同様に、矢印676で規定される、ローリング軸における画像処理システム608の運動を達成することができる。ステッパモータ670は、ねじ式ロッド672により画像処理システム608に直接取り付けることができる。ステッパモータ670は、ねじ式ロッド672を回転させ、画像処理システム606の回転を起こすことができる。さらに、ステッパモータ670は、画像処理システム608の手動回転を可能にするように、つまみ674を含むことができる。
【0047】
[0051]本発明に関連する追加的な詳細に関して、材料および製造技術は、当業者のレベル内で使用することができる。同じことが、本発明の方法に基づく態様に関して、通常または論理的に使用される追加的な機能において当てはまる。さらに、上述の発明の変形の任意のどんな特徴も、独立に、または本明細書に述べた特徴の1つもしくは複数を組み合わせて記載し、主張することができることが企図される。同様に、単数の項目への言及は、複数の同じ項目が存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「and」、「said」、および「the」は、文脈が特段、明白に示していなければ、複数の対象を含む。特許請求の範囲が、任意選択要素を除外するように記載することができることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲構成要素の記述、または「否定的な」制限の使用と組み合わせた「solely」、「only」などのそうした排他的な用語の使用を前提として機能するものとする。特段、本明細書に規定していなければ、本明細書に使用される全ての技術的および科学的な用語は、本発明が属する技術の当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本発明の範囲は、本明細書によってではなく、むしろ、使用される特許請求の範囲の項目の明白な意味によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理治療システムにおいて、
マイクロマニピュレータシステムと、
前記マイクロマニピュレータシステムにより支持される超音波治療システムと、
前記マイクロマニピュレータシステムにより前記超音波治療システムから離間して支持される画像処理システムとを含み、
前記マイクロマニピュレータシステムは、前記画像処理システムの撮像視野内に前記超音波治療システムの焦点を維持するように適合および構成された、画像処理治療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記マイクロマニピュレータは、前記画像処理システムをヒトの男性患者の直腸内に配置し、前記画像処理システムが前記直腸内にある間に前記超音波治療システムを前記患者の会陰部と音響的に接触させて配置するように適合および構成された、画像処理治療システム。
【請求項3】
請求項2に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記超音波治療システムの前記焦点は、前記画像処理システムから約0.8cm乃至4cmにある、画像処理治療システム。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記超音波治療システムは、組織破砕術システムを含む、画像処理治療システム。
【請求項5】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記超音波治療システムは、組織内で空洞現象微細気泡を生成するように構成された超音波治療変換器を含む、画像処理治療システム。
【請求項6】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記超音波治療システムは、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、5%未満の使用率、および5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを供給するように構成される超音波治療変換器を含む、画像処理治療システム。
【請求項7】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記画像処理システムは、経直腸プローブを含む、画像処理治療システム。
【請求項8】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記マイクロマニピュレータシステムは、ロボットアームを含む、画像処理治療システム。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記ロボットアームは、6自由度まで動かすことができる、画像処理治療システム。
【請求項10】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記マイクロマニピュレータシステムは、前記マイクロマニピュレータシステムを4自由度まで動かすように構成された少なくとも4つのステッパモータを含む、画像処理治療システム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記少なくとも4つのステッパモータの1つは、前記画像処理システムをローリング軸に沿って回転させるように構成された、画像処理治療システム。
【請求項12】
請求項10に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記少なくとも4つのステッパモータの1つは、前記超音波治療システムをピッチング軸に沿って回転させるように構成された、画像処理治療システム。
【請求項13】
請求項10に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記少なくとも4つのステッパモータの1つは、前記超音波治療システムをヨーイング軸に沿って回転させるように構成された、画像処理治療システム。
【請求項14】
請求項10に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記少なくとも4つのステッパモータの1つは、前記超音波治療システムを前/後軸に沿って前進させるように構成された、画像処理治療システム。
【請求項15】
請求項1に記載の画像処理治療システムにおいて、
前記マイクロマニピュレータシステムを自動的に制御し、前記画像処理システムの前記撮像視野内に前記超音波治療システムの前記焦点を維持するように構成された制御システムをさらに含む、画像処理治療システム。
【請求項16】
患者の前立腺内の組織を除去する方法において、
画像処理システムおよび超音波治療システムをマイクロマニピュレータシステム上で支持するステップと、
前記画像処理システムを前記患者の直腸に挿入するステップと、
前記画像処理システムにより前記前立腺の画像を生成するステップと、
前記超音波治療システムにより生成された気泡混濁を前記画像処理システムにより生成された前記前立腺の前記画像内に維持することにより、前記超音波治療システムから前記前立腺内に超音波エネルギを制御自在に印加するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
前記超音波治療システムを前記患者の会陰部と音響的に接触させて配置するステップをさらに含む、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法において、
超音波エネルギを制御自在に印加する前記ステップは、前記超音波治療システムにより生成された前記気泡混濁を、前記画像処理システムの約0.8cm乃至4cm内に維持するステップをさらに含む、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において、
超音波エネルギを制御自在に印加する前記ステップは、組織破砕術治療を制御自在に施すステップを含む、方法。
【請求項20】
請求項16に記載の方法において、
超音波エネルギを制御自在に印加する前記ステップは、約8乃至40MPaのピーク負圧および10MPaを上回るピーク正圧のパルス強度、50周期よりも短いパルス長さ、5%未満の使用率、および5KHz未満のパルス反復周波数を有する、約50KHzから5MHzの間の周波数で動作する音響パルスを供給するステップを含む、方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法において、
超音波エネルギを制御自在に印加する前記ステップは、制御システムによって、前記超音波治療システムにより生成された前記気泡混濁を、前記画像処理システムにより生成される前記前立腺の前記画像内に自動的に維持するステップをさらに含む、方法。
【請求項22】
請求項16に記載の方法において、
前記前立腺内の組織を機械的に破壊するステップをさらに含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法において、
BPHを治療するのに前記前立腺内の組織を機械的に破壊するステップをさらに含む、方法。
【請求項24】
請求項22に記載の方法において、
前立腺癌を治療するのに前記前立腺内の組織を機械的に破壊するステップを含む、方法。
【請求項25】
請求項22に記載の方法において、
前記前立腺の3D画像を形成するのに前記画像処理システムを回転させるステップをさらに含む、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公表番号】特表2013−503003(P2013−503003A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526981(P2012−526981)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2010/046794
【国際公開番号】WO2011/028603
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(504332090)リージェンツ オブ ザ ユニバーシティー オブ ミシガン (5)
【出願人】(512034863)ヒストソニックス,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】