治療ペプチド、ポリペプチド及び核酸配列
Engrailed−2(EN2)タンパク質の一部に由来する単離されたペプチド(GLGGGDLSV、SLNESQIKI、LMLPAVLQA及びFTAEQLQRL)が記述される。特に癌の予防及び処置に関係した、治療におけるその使用もまた記述される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は新規のペプチド、ポリペプチド及び核酸配列に関し、特に新規のペプチド、ポリペプチド及び核酸配列の治療、例えば癌の予防及び処置における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は世界で最も蔓延している疾患の1つであり、毎年何百万もの人々が罹患している。多くのタイプの癌が知られている。大部分の癌について有効な処置は存在しないか、又は少数の患者のみにおいて有効であるに過ぎない。これは特に、後期段階まで進行することが許容され、初期に処置されない癌について当てはまる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの態様によると、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド若しくはポリペプチドが提供される。
【0004】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは配列番号6を含まない。
【0005】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは単離されたペプチド又はポリペプチドである。
【0006】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは約333アミノ酸未満の長さ、又は約300アミノ酸未満の長さ、又は約250アミノ酸未満の長さ、又は約200アミノ酸未満の長さ、又は約150アミノ酸未満の長さ、又は約100アミノ酸未満の長さ、又は約75アミノ酸未満の長さ、又は約50アミノ酸未満の長さ、又は約40アミノ酸未満の長さ、又は約30アミノ酸未満の長さ、又は約25アミノ酸未満の長さ、又は約20アミノ酸未満の長さ、又は約15アミノ酸未満の長さ、又は約10アミノ酸未満の長さである。
【0007】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは、配列番号6の断片又は前記断片の変異体であるアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。
【0008】
好ましくは、配列番号6の断片は、配列番号6の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。より長い断片、例えば配列番号6の少なくとも約10、15、20、25、30、50、75、100、150、200、225及び最大で少なくとも約250個までのアミノ酸もまた好ましい。断片はまた、xアミノ酸がN末端及び/又はC末端から欠失した切断ペプチドを包含してもよい。そのような切断において、xは1又は複数(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれ以上)であってもよいが、好ましくは配列番号6の150アミノ酸未満である。
【0009】
好ましくは、配列番号6の前記断片の変異体は配列番号6と少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0011】
この点で、配列番号1から4はEngrailed−2(EN2)タンパク質の一部に由来する単離されたペプチドである。
【化1】
【0012】
注目すべきことに、これら新規のペプチドはヒトリンパ球における免疫反応をエクスビボで誘発することが可能であると見出された。そのため、これらのペプチド及びこれらのペプチドをコードする核酸配列は、癌の処置において、癌ワクチンの治療的構成成分として用いることができる。
【0013】
したがって本発明の1つの態様において、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなるペプチド又はポリペプチドが提供される。
【0014】
EN2遺伝子は、初期発生において軸索誘導及び境界形成を包含する多数の重要な機能を有するホメオドメイン含有転写因子をコードする(Morgan R、(2006年)、「Engrailed:多機能的転写因子の複雑性及び経済性(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Engrailed:Complexity and economy of a multi−functional transcription factor)」、FEBS letters 580、2531〜2533ページにて概説されている)。そのNCBI/GenBankリファレンス番号はNM_001427である。この遺伝子は、乳癌において癌遺伝子として働くことが以前に報告されているが、診断的意義はそれに起因していなかった(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Martin,N.L.、Saba−El−Leil,M.K.、Sadekova,S.、Meloche,S.及びSauvageau,G.(2005年)、「EN−2はヒト乳癌における癌遺伝子候補である(EN−2 is a candidate oncogene in human breast cancer)」、Oncogene 24、6890〜6901ページ)。EN2遺伝子産物は33kDaのタンパク質(EN2)である。
【0015】
配列番号5はEngrailed−2(EN2)遺伝子の核酸配列(GenBankリファレンス番号NM_001427)に対応し、配列番号6はその核酸配列によってコードされるEN2タンパク質(NCBIアクセッション番号P19622、gi21903415)に対応する。
【0016】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも約45%、又は少なくとも約56%又は少なくとも約67%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片は(i)配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。断片はまた、xアミノ酸がN末端及び/又はC末端から欠失した切断ペプチドを包含してもよい。そのような切断において、xは1又は複数であってもよい(すなわち1、2、3、4又は5)。
【0018】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体は、機能的断片又は変異体である。
【0019】
本発明の別の態様によると、本発明のペプチド若しくはポリペプチド又はその断片若しくは変異体をコードする核酸配列が提供される。
【0020】
好ましくは、本発明の核酸配列の断片又は変異体は、ストリンジェントな条件下でこの核酸配列にハイブリダイズ可能な核酸配列及び/又はこの核酸配列に相補的な核酸配列を含む。
【0021】
したがって本発明の1つの態様において、(i)本発明のペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列に相補的な、及び/又は(ii)本発明のペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズ可能な核酸配列が提供される。
【0022】
好ましくは、核酸配列は単離された核酸配列である。
【0023】
また本発明により、本発明の核酸配列を含む核酸分子も提供される。
【0024】
好ましくは、核酸分子は二本鎖RNAを含む。
【0025】
好ましくは、核酸分子は低分子干渉RNA(siRNA)を含む。
【0026】
そのため、本発明の1つの実施形態において、核酸配列はEN2遺伝子の発現を妨害すること、例えば下方制御することが可能であることが好ましい。
【0027】
好ましくは、核酸分子はベクター核酸配列をさらに含む。
【0028】
好ましくは、核酸分子は異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。
【0029】
好ましくは、核酸分子はEN2応答性プロモーターを含む。そのため、本発明の核酸分子は好ましくは、EN2を発現する細胞において選択的に遺伝子発現を促進することができる。そのような遺伝子は好ましくはプロドラッグ活性化因子をコードする遺伝子又は溶解性ウイルスの複製を可能にする遺伝子を包含する。
【0030】
本発明の別の態様は、本発明の核酸分子を含有する宿主細胞に関する。
【0031】
宿主細胞は哺乳動物宿主細胞又は非哺乳動物宿主細胞であってもよい。
【0032】
好ましくは、核酸配列はベクター、例えばDNAプラスミド中に組み込まれる。そのため、本発明の1つの態様において、本発明の核酸配列を含むベクター、例えばDNAプラスミドが提供される。
【0033】
本発明の別の態様は、治療における使用のための本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列に関する。
【0034】
本発明のさらなる態様は、治療における使用のための、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせに関する。
【0035】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列の、治療における使用に関する。
【0036】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせの、治療における使用に関する。
【0037】
本発明の別の態様は、治療的に有効な量の本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0038】
本発明の別の態様は、治療的に有効な量の2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0039】
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量の本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を患者に投与するステップを含む、癌を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0040】
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量の2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、癌を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0041】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を含む組成物に関する。
【0042】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを含む組成物に関する。
【0043】
好ましくは、組成物は医薬組成物である。
【0044】
好ましくは、医薬組成物はワクチンである。
【0045】
好ましくは、組成物は治療、例えば癌の処置における使用のためのものである。
【0046】
また本発明により提供されるのは、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を含むワクチンである。
【0047】
本発明の別の態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを含むワクチンに関する。
【0048】
本発明の別の態様は本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列の、癌の処置のための薬剤の製造における使用に関する。
【0049】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせの、癌の処置のための薬剤の製造における使用に関する。
【0050】
好ましい実施形態において、癌は、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される。
【0051】
好ましくは、胃腸癌は、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌は、結腸癌及び直腸癌から選択される。
【0052】
好ましくは、婦人科癌は、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される。
【0053】
好ましい実施形態において、本発明の方法及び組成物は初期段階、例えば疾患の症状が現れる前の段階での疾患の処置のためのものである。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物は臨床段階での疾患の処置のためのものである。
【0055】
本発明の実施例は以下の図を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】EN2の核酸配列(配列番号5)を示す図である。
【図2】EN2のアミノ酸配列(配列番号6)を示す図である。
【図3】EN2のアミノ酸配列(配列番号6)並びに本発明のペプチドEN2.1(配列番号1)、EN2.2(配列番号2)、EN2.3(配列番号3)及びEN2.4(配列番号4)の位置を示す図である。
【図4】循環しているペプチド特異的細胞傷害性Tリンパ球前駆体を検出する培養プロトコールを示す図である。
【図5】健常ドナーのPBMCをEN2.1で刺激して得られた結果を示す図である。
【図6】健常ドナーのPBMCをEN2.2で刺激して得られた結果を示す図である。
【図7】健常ドナーのPBMCをEN2.3で刺激して得られた結果を示す図である。
【図8】健常ドナーのPBMCをEN2.4で刺激して得られた結果を示す図である。
【図9】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図10】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図11】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図12】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図13】黒色腫患者のEN2特異的CTLの生成を示す図である。2名の黒色腫患者(MEL02及びMEL04)のT細胞は、51Cr放出細胞傷害性アッセイにおいて特異性を試験する前にプールされたEN2ペプチドで5回刺激された。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は新規のペプチド及びポリペプチド並びに治療、例えば癌の処置におけるその使用に関する。
【0058】
本明細書内で用語「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」は「他のものの中でもとりわけ、包含する(includes,among other things)」を意味すると解釈される。これらの用語は「のみからなる(consists of only)」と解されることを意図しない。
【0059】
本明細書内で用語「約」は、プラス又はマイナス20%、より好ましくはプラス又はマイナス10%、なお一層好ましくはプラス又はマイナス5%、最も好ましくはプラス又はマイナス2%を意味する。
【0060】
本明細書で用いられる用語「治療的に有効な量」は、問題の疾患から結果として生じる状態又は症状の少なくとも1つの重症度を低減する及び/又は寛解させるのに必要とされる組成物の量を意味する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「その機能的断片又は変異体」は、問題の疾患から結果として生じる状態又は症状の少なくとも1つの重症度を低減する及び/又は寛解させることができる特許請求の範囲に記載のペプチド若しくはポリペプチドの断片又は変異体を意味する。1つの例において用語「その機能的断片又は変異体」は、癌細胞に対する免疫反応を誘発することが可能な特許請求の範囲に記載のペプチド若しくはポリペプチドの断片又は変異体を意味する。
【0062】
用語「単離された」は核酸が天然に存在する細胞又は生物中の混入配列から実質的に分離された又は精製されたことを意味し、標準的な精製技術により精製された核酸、同様に組換え技術により調製された核酸及び化学的に合成された核酸を包含する。
【0063】
本明細書において実施形態は明確で簡潔な明細が書かれ得るように記述されているが、実施形態は、本発明から離れることなく様々に組み合わされ又は分離されてもよいことが意図されており、また理解されるであろう。
【0064】
臨床での使用のため、本発明又はそのプロドラッグ形態による化合物は、その意図される投与経路、例えば経口、直腸、非経口、局所又は他の投与様式に適合性があるように処方される医薬製剤へと処方される。医薬製剤は活性物質を通常の薬学的に許容可能な希釈剤又は担体と混合することにより通常調製される。本明細書で用いられる語「薬学的に許容可能な担体」は任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などの医薬投与に適合性のあるものを包含するように意図される。薬学的に許容可能な希釈剤又は担体の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、微結晶性セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、コロイド状二酸化ケイ素などである。薬学的な活性物質へのそのような媒体及び作用物質の使用は当該技術分野でよく知られている。任意の通常の媒体又は作用物質が活性化合物に不適合である場合を除き、組成物におけるその使用が考えられる。
【0065】
そのような製剤はまた他の薬学的に活性のある作用物質及び安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、緩衝剤などの通常の添加物を含有してもよい。
【0066】
製剤はさらに造粒、打錠、マイクロカプセル化、スプレーコーティングなどの既知の方法により調製され得る。製剤は錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、坐薬又は注射剤の剤形における通常の方法により調製されてもよい。液体製剤は水又は他の適当な媒体中に活性物質を溶解又は懸濁することにより調製されてもよい。錠剤及び顆粒は通常の方法でコーティングされてもよい。
【0067】
非経口、局所、皮内、又は皮下の適用のために用いられる溶液又は懸濁液は以下の構成成分を包含し得る。注射用の水などの滅菌された希釈剤、食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸又はリン酸などの緩衝剤及び塩化ナトリウム又はブドウ糖などの浸透圧調節剤。pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用いて調節され得る。非経口製剤はアンプル、使い捨てシリンジ又はガラス若しくはプラスチック製の多回投与バイアルの中に封入され得る。
【0068】
注射での使用に適した医薬組成物は、滅菌された水溶液(水溶性の場合)又は分散体及び注射可能な滅菌された溶液又は分散体の即時調製用の滅菌された粉末を包含する。静脈内投与の場合、適当な担体は生理的食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を包含する。全ての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、容易に注射可能な程度に流動性であるべきである。組成物は製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及びその適当な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は例えばレシチンなどのコーティング剤の使用により、分散体の場合は必要とされる粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。微生物作用の予防は様々な抗菌及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。多くの場合において、等張剤、例えば糖、マニトールなどの多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に包含するのが好ましいであろう。注射可能な組成物の吸収延長は、組成物中に吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを包含することによりもたらされ得る。
【0069】
滅菌された注射可能な溶液は、必要とされる量の活性化合物(例として本発明の実施形態による化合物)を適切な溶媒中に、上で列挙された成分の1つ又は組み合わせと共に、必要に応じて濾過滅菌の後に組み入れることにより調製され得る。一般に分散体は活性化合物を基本的な分散媒及び上に列挙された成分のうち必要とされる他の成分を含有する滅菌された媒体中に組み入れることにより調製される。滅菌された注射可能な溶液調製用の滅菌された粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過された溶液から活性成分に任意の付加的な所望成分を加えた粉末を産する減圧乾燥及び凍結乾燥である。
【0070】
経口組成物は一般に不活性の希釈剤又は可食性の担体を包含する。それらはゼラチンカプセルの中に封入又は錠剤へと打錠され得る。経口の治療的投与の目的のため、活性化合物は添加剤と共に組み入れられて錠剤、トローチ又はカプセルの形態で用いられ得る。経口組成物はまた液体担体を使用してうがい薬としての使用のためにも調製され得るが、この液体担体中の化合物は口に適用され、すすがれ、吐き出される又は飲み込まれる。薬学的に適合性の結着剤及び/又はアジュバント材料は組成物の一部として包含され得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは以下の任意の成分又は同様の性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又は乳糖などの添加剤、アルギン酸、Primogel又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;ショ糖又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの香味剤。
【0071】
吸入による投与の場合、化合物は、例として二酸化炭素などのガスのような適当な噴霧剤を含有する加圧された容器若しくはディスペンサー又は噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0072】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮的な手段によるものであり得る。経粘膜又は経皮的投与の場合、浸透される対象のバリアに適切な浸透剤が製剤中で用いられる。そのような浸透剤は一般に当該技術分野で知られていて、例えば経粘膜投与の場合は界面活性剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は経鼻スプレー又は坐薬の使用を通じて達され得る。経皮的投与の場合、活性化合物は一般に当該技術分野で知られているような軟膏、塗薬、ゲル又はクリームへと処方される。
【0073】
化合物はまた直腸送達の場合に坐薬(例としてカカオバター及び他のグリセリドなどの通常の坐薬基材と共に)又は停留浣腸剤の形態で調製され得る。
【0074】
1つの実施形態において、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化された送達システムを包含する放出制御製剤など、生体からの迅速な排除から化合物を保護する担体と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーが用いられ得る。そのような製剤の調製のための方法は当業者に明らかであろう。材料はAlza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Incから市販で入手され得る。リポソームの懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を持つ感染細胞を標的とするリポソームを包含する)もまた薬学的に許容可能な担体として用いられ得る。これらは当業者に知られた方法に従って調製され得る。
【0075】
経口又は非経口の組成物を投与量単位の形態で処方することは、投与を容易にし投与量を均一にするために特に有利である。本明細書で用いられる投与量単位の形態は、治療される対象の患者への単位投与量として適合する物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療的効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を必要とされる医薬担体を伴って含有する。本発明の投与量単位の形態についての明細は、活性化合物独特の特性、達成される特定の治療的効果及びそのような活性化合物を個体の処置のために配合する技術分野に固有の限界によって、又はこれらに直接的に依存して決められる。
【0076】
そのような化合物の毒性及び治療的有効性は、例としてLD50(集団の50%で致死的な用量)及びED50(集団の50%で治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手法により決定され得る。毒性と治療的効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表現され得る。大きな治療指数を呈する化合物が好ましい。毒性の副作用を呈する化合物が用いられる可能性がある間は、非感染細胞への潜在的なダメージを最小化し、それによって副作用を低減するため、罹患した組織部位にそのような化合物を向かわせる送達システムを設計するように注意すべきである。
【0077】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を処方するのに用いられ得る。そのような化合物の投与量は毒性をほとんど又は全く伴わずにED50を包含する循環濃度の範囲内に好ましくは位置する。投与量は使われる剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動してもよい。本発明の方法において用いられる任意の化合物について、治療的に有効な用量は最初は細胞培養アッセイから推定され得る。細胞培養において決定されるIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を達成する試験化合物の濃度)を包含する循環血漿濃度範囲を達成する用量が動物モデルにおいて処方されてもよい。そのような情報はヒトにおける有用量をより正確に決定するのに用いられ得る。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定されてもよい。
【0078】
医薬組成物は容器、パック又はディスペンサーの中に投与の説明書と一緒に包含され得る。
【0079】
本明細書内で「同一性」は、当該技術分野で知られており、配列を比較することにより決定されるように2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において「同一性」はまた、場合によってはそのような配列の文字列間の一致により決定されるように、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の度合いを意味する。パーセンテージ同一性は既知の方法によりすぐに計算され得るものであり、この方法はComputational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;並びにSequence Analysis Primer、Gribskov,M.及びDevereux,J.編、M Stockton Press、New York、1991年;並びにCarillo,H.及びLipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988年)において記述されているものを包含するがこれに限定されるものではない。これら全ての文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。同一性を決定する好ましい方法は試験される配列間に最大の一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は公開されているコンピュータープログラムに成文化される。2つの配列間のパーセンテージ同一性を決定する好ましいコンピュータープログラム方法はGCGプログラムパッケージ(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984年))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403〜410ページ(1990年))を包含するがこれに限定されるものではない。BLAST XプログラムはNCBI及び他の出所から公開されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、BLAST Manual、Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.215:403〜410ページ(1990年))。例解として、「配列番号A」の参照ヌクレオチド配列への「同一性」を例えば少なくとも95%持つヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列が「配列番号A」の参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5個まで点変異を包含し得るという点を除いてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失若しくは別のヌクレオチドと置換されてよく、又は参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの複数のヌクレオチドが参照配列中に挿入されてもよい。これらの参照配列の変異は参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位又はこれら末端位の間のどこにでも、参照配列中のヌクレオチドの中に個々に、又は参照配列内の1若しくは複数の近接するグループにおいて、散らばって生じてもよい。同様に、「配列番号B」の参照アミノ酸配列への「同一性」を例えば少なくとも95%持つアミノ酸配列を有するポリペプチドにより、ポリペプチド配列が「配列番号B」の参照アミノ酸配列の各100アミノ酸あたり5個のアミノ酸変化を包含し得るという点を除いてポリペプチドのアミノ酸配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失若しくは別のアミノ酸と置換されていてもよく、又は参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が参照配列中に挿入されていてもよい。これらの参照配列の変化は参照アミノ酸配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位又はこれら末端位の間のどこにでも、参照配列中の残基の中に個々に、又は参照配列内の1若しくは複数の近接するグループにおいて、散らばって生じてもよい。
【0080】
本明細書で用いられる用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、少なくとも50%互いに相同である受容体をコードするヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持するハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を記述することが意図される。条件は少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%以上互いに相同である配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持するようなものであり得る。そのようなストリンジェントな条件は当業者に知られており、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、N.Y.(1989年)、6.3.1〜6.3.6において見出され得るが、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1つの例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃でのハイブリダイゼーション、その後に続く0.2×SSC、0.1%SDS中で50〜65℃での1又は複数回の洗浄である。1つの実施形態において、ストリンジェントな条件下で配列番号1の配列にハイブリダイズする単離された受容体核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書で用いられる用語「天然に存在する」核酸分子は、天然に存在する(例として天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNA又はDNA分子をいう。
【0081】
本明細書内で用語「処置」は存在する疾患の処置及び/又は疾患の発生を防ぐための予防的処置を意味する。そのため、本発明の方法は疾患の発症における処置、予防、進行の阻害又は遅延のために用いられ得る。
【実施例】
【0082】
図5から12に示されるデータは、健常ボランティア及び癌患者の両者の末梢血単核細胞(PBMC)中のアフェクターTリンパ球により特異的な応答がEN2ペプチド1〜4(配列番号1から4)に対して起こされ得ることを実証する。示されたペプチドは潜在的なHLA−A2エピトープとして選択されたものであり、したがってPBMCはHLA−A2の個体から採取された。精製されたPBMCは培地中で2週間、96ウェル培養プレートの1ウェルあたり1×105個の細胞密度で培養された。図4に示されるように、ペプチドは培養期間の開始から3日後に添加され、その後3日毎に1回続けて添加された。最後の添加から3日後、PBMCは「T2」として知られるヒトのHLA−A2.1陽性Tリンパ球由来細胞系と混合された。細胞をペプチドと共に培地中で2時間培養することにより、これは4つのEN2ペプチドの1つと共にMHCに前負荷された。T2細胞系はしたがってEN2ペプチドに応答したPBMC中のCD8+リンパ球の活性化標的として機能した。古典的なリンパ球活性化の「読み取り(read out)」は炎症促進性サイトカインであるインターフェロンガンマ(IFNγ)の分泌であり、これは下に詳述されるようにELISPOTアッセイを使用して測定された。IFNγの拡散は厳しく制限されるため、このアッセイにおいて生成されるスポットは単一の応答リンパ球を表す。スポット数はELISPOTカウンターにより決定された。示される値は3回の実験の平均値であり、エラーバーは平均値の標準誤差を表す。***、p<0.01;*、p<0.05。「t2&pep」−EN2ペプチドと予めインキュベートされたT2細胞;「t2単独」−未処置のT2細胞;「細胞」−PBMCのみ。
【0083】
ELISPOTアッセイ
ELISPOTアッセイはサンドイッチ酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)に非常に類似した技術を利用する。抗IFNγ捕捉抗体はPVDFを背部に付けたマイクロプレート上に無菌的にコーティングされた。プレートは1%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いてPBSTバッファー(1%Tween20界面活性剤入りのPBS)中で1時間ブロッキングされた。上のように処置されたPBMCは次いで1ウェルあたり1×105個の細胞密度で適切な培地中に播かれた。活性化された細胞から分泌されたIFNγはPVDF膜の高表面積上にコーティングされた抗体により局所的に捕捉された。ウェルを洗浄して細胞、デブリ及び培地構成成分を除去した後、IFNγの別のエピトープに特異的なビオチン化ポリクローナル抗体を用いて捕捉されたサイトカインを検出した。洗浄で未結合のビオチン化抗体を全て除去した後、検出されたIFNγは次いでアビジン−HRP及び沈殿基質(BCIP/NBT)を使用して可視化された。色の付いた最終産物(黒みがかった青色のスポット)は個々のサイトカイン産生細胞を表し、これら細胞は自動読み取り機を使用してカウントされた。
【0084】
黒色腫患者のEN2特異的CTLの生成
本発明者らは逆免疫ストラテジーを用いて免疫原性のHLA−A2拘束性EN2エピトープをいくつか同定し、これらエピトープを用いて本発明者らはいずれもHLA−A2陽性である健常対照ドナー及び黒色腫患者の血液のEN2特異的CTL応答を生成させることができた。結果は図13に示される。
【0085】
本明細書に記述される現在の好ましい実施形態への様々な変更及び改変は当業者に明らかであることが理解されるであろう。そのような変更及び改変は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その付随する利点を減ずることなくなされ得る。それ故、そのような変更及び改変は添付の特許請求の範囲により包含されると意図される。
【技術分野】
【0001】
本出願は新規のペプチド、ポリペプチド及び核酸配列に関し、特に新規のペプチド、ポリペプチド及び核酸配列の治療、例えば癌の予防及び処置における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
癌は世界で最も蔓延している疾患の1つであり、毎年何百万もの人々が罹患している。多くのタイプの癌が知られている。大部分の癌について有効な処置は存在しないか、又は少数の患者のみにおいて有効であるに過ぎない。これは特に、後期段階まで進行することが許容され、初期に処置されない癌について当てはまる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の1つの態様によると、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド若しくはポリペプチドが提供される。
【0004】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは配列番号6を含まない。
【0005】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは単離されたペプチド又はポリペプチドである。
【0006】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは約333アミノ酸未満の長さ、又は約300アミノ酸未満の長さ、又は約250アミノ酸未満の長さ、又は約200アミノ酸未満の長さ、又は約150アミノ酸未満の長さ、又は約100アミノ酸未満の長さ、又は約75アミノ酸未満の長さ、又は約50アミノ酸未満の長さ、又は約40アミノ酸未満の長さ、又は約30アミノ酸未満の長さ、又は約25アミノ酸未満の長さ、又は約20アミノ酸未満の長さ、又は約15アミノ酸未満の長さ、又は約10アミノ酸未満の長さである。
【0007】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは、配列番号6の断片又は前記断片の変異体であるアミノ酸配列を含む、又はそれからなる。
【0008】
好ましくは、配列番号6の断片は、配列番号6の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。より長い断片、例えば配列番号6の少なくとも約10、15、20、25、30、50、75、100、150、200、225及び最大で少なくとも約250個までのアミノ酸もまた好ましい。断片はまた、xアミノ酸がN末端及び/又はC末端から欠失した切断ペプチドを包含してもよい。そのような切断において、xは1又は複数(すなわち1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100又はそれ以上)であってもよいが、好ましくは配列番号6の150アミノ酸未満である。
【0009】
好ましくは、配列番号6の前記断片の変異体は配列番号6と少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0010】
好ましくは、ペプチド又はポリペプチドは配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなる。
【0011】
この点で、配列番号1から4はEngrailed−2(EN2)タンパク質の一部に由来する単離されたペプチドである。
【化1】
【0012】
注目すべきことに、これら新規のペプチドはヒトリンパ球における免疫反応をエクスビボで誘発することが可能であると見出された。そのため、これらのペプチド及びこれらのペプチドをコードする核酸配列は、癌の処置において、癌ワクチンの治療的構成成分として用いることができる。
【0013】
したがって本発明の1つの態様において、配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなるペプチド又はポリペプチドが提供される。
【0014】
EN2遺伝子は、初期発生において軸索誘導及び境界形成を包含する多数の重要な機能を有するホメオドメイン含有転写因子をコードする(Morgan R、(2006年)、「Engrailed:多機能的転写因子の複雑性及び経済性(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Engrailed:Complexity and economy of a multi−functional transcription factor)」、FEBS letters 580、2531〜2533ページにて概説されている)。そのNCBI/GenBankリファレンス番号はNM_001427である。この遺伝子は、乳癌において癌遺伝子として働くことが以前に報告されているが、診断的意義はそれに起因していなかった(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Martin,N.L.、Saba−El−Leil,M.K.、Sadekova,S.、Meloche,S.及びSauvageau,G.(2005年)、「EN−2はヒト乳癌における癌遺伝子候補である(EN−2 is a candidate oncogene in human breast cancer)」、Oncogene 24、6890〜6901ページ)。EN2遺伝子産物は33kDaのタンパク質(EN2)である。
【0015】
配列番号5はEngrailed−2(EN2)遺伝子の核酸配列(GenBankリファレンス番号NM_001427)に対応し、配列番号6はその核酸配列によってコードされるEN2タンパク質(NCBIアクセッション番号P19622、gi21903415)に対応する。
【0016】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも約45%、又は少なくとも約56%又は少なくとも約67%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片は(i)配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む。断片はまた、xアミノ酸がN末端及び/又はC末端から欠失した切断ペプチドを包含してもよい。そのような切断において、xは1又は複数であってもよい(すなわち1、2、3、4又は5)。
【0018】
好ましくは、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体は、機能的断片又は変異体である。
【0019】
本発明の別の態様によると、本発明のペプチド若しくはポリペプチド又はその断片若しくは変異体をコードする核酸配列が提供される。
【0020】
好ましくは、本発明の核酸配列の断片又は変異体は、ストリンジェントな条件下でこの核酸配列にハイブリダイズ可能な核酸配列及び/又はこの核酸配列に相補的な核酸配列を含む。
【0021】
したがって本発明の1つの態様において、(i)本発明のペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列に相補的な、及び/又は(ii)本発明のペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列にハイブリダイズ可能な核酸配列が提供される。
【0022】
好ましくは、核酸配列は単離された核酸配列である。
【0023】
また本発明により、本発明の核酸配列を含む核酸分子も提供される。
【0024】
好ましくは、核酸分子は二本鎖RNAを含む。
【0025】
好ましくは、核酸分子は低分子干渉RNA(siRNA)を含む。
【0026】
そのため、本発明の1つの実施形態において、核酸配列はEN2遺伝子の発現を妨害すること、例えば下方制御することが可能であることが好ましい。
【0027】
好ましくは、核酸分子はベクター核酸配列をさらに含む。
【0028】
好ましくは、核酸分子は異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む。
【0029】
好ましくは、核酸分子はEN2応答性プロモーターを含む。そのため、本発明の核酸分子は好ましくは、EN2を発現する細胞において選択的に遺伝子発現を促進することができる。そのような遺伝子は好ましくはプロドラッグ活性化因子をコードする遺伝子又は溶解性ウイルスの複製を可能にする遺伝子を包含する。
【0030】
本発明の別の態様は、本発明の核酸分子を含有する宿主細胞に関する。
【0031】
宿主細胞は哺乳動物宿主細胞又は非哺乳動物宿主細胞であってもよい。
【0032】
好ましくは、核酸配列はベクター、例えばDNAプラスミド中に組み込まれる。そのため、本発明の1つの態様において、本発明の核酸配列を含むベクター、例えばDNAプラスミドが提供される。
【0033】
本発明の別の態様は、治療における使用のための本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列に関する。
【0034】
本発明のさらなる態様は、治療における使用のための、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせに関する。
【0035】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列の、治療における使用に関する。
【0036】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせの、治療における使用に関する。
【0037】
本発明の別の態様は、治療的に有効な量の本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0038】
本発明の別の態様は、治療的に有効な量の2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0039】
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量の本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を患者に投与するステップを含む、癌を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0040】
本発明のさらなる態様は、治療的に有効な量の2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、癌を持つ患者を処置するための方法に関する。
【0041】
本発明の別の態様は、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を含む組成物に関する。
【0042】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを含む組成物に関する。
【0043】
好ましくは、組成物は医薬組成物である。
【0044】
好ましくは、医薬組成物はワクチンである。
【0045】
好ましくは、組成物は治療、例えば癌の処置における使用のためのものである。
【0046】
また本発明により提供されるのは、本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列を含むワクチンである。
【0047】
本発明の別の態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせを含むワクチンに関する。
【0048】
本発明の別の態様は本発明のペプチド若しくはポリペプチド及び/又は本発明の核酸配列の、癌の処置のための薬剤の製造における使用に関する。
【0049】
本発明のさらなる態様は、2つ以上の本発明のペプチド若しくはポリペプチドの組み合わせ及び/又は2つ以上の本発明の核酸配列の組み合わせの、癌の処置のための薬剤の製造における使用に関する。
【0050】
好ましい実施形態において、癌は、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される。
【0051】
好ましくは、胃腸癌は、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌は、結腸癌及び直腸癌から選択される。
【0052】
好ましくは、婦人科癌は、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される。
【0053】
好ましい実施形態において、本発明の方法及び組成物は初期段階、例えば疾患の症状が現れる前の段階での疾患の処置のためのものである。
【0054】
いくつかの実施形態において、本発明の方法及び組成物は臨床段階での疾患の処置のためのものである。
【0055】
本発明の実施例は以下の図を参照して記述される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】EN2の核酸配列(配列番号5)を示す図である。
【図2】EN2のアミノ酸配列(配列番号6)を示す図である。
【図3】EN2のアミノ酸配列(配列番号6)並びに本発明のペプチドEN2.1(配列番号1)、EN2.2(配列番号2)、EN2.3(配列番号3)及びEN2.4(配列番号4)の位置を示す図である。
【図4】循環しているペプチド特異的細胞傷害性Tリンパ球前駆体を検出する培養プロトコールを示す図である。
【図5】健常ドナーのPBMCをEN2.1で刺激して得られた結果を示す図である。
【図6】健常ドナーのPBMCをEN2.2で刺激して得られた結果を示す図である。
【図7】健常ドナーのPBMCをEN2.3で刺激して得られた結果を示す図である。
【図8】健常ドナーのPBMCをEN2.4で刺激して得られた結果を示す図である。
【図9】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図10】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図11】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図12】腎癌患者のPBMCをEN2ペプチドで刺激して得られた結果を示す図である。
【図13】黒色腫患者のEN2特異的CTLの生成を示す図である。2名の黒色腫患者(MEL02及びMEL04)のT細胞は、51Cr放出細胞傷害性アッセイにおいて特異性を試験する前にプールされたEN2ペプチドで5回刺激された。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は新規のペプチド及びポリペプチド並びに治療、例えば癌の処置におけるその使用に関する。
【0058】
本明細書内で用語「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」は「他のものの中でもとりわけ、包含する(includes,among other things)」を意味すると解釈される。これらの用語は「のみからなる(consists of only)」と解されることを意図しない。
【0059】
本明細書内で用語「約」は、プラス又はマイナス20%、より好ましくはプラス又はマイナス10%、なお一層好ましくはプラス又はマイナス5%、最も好ましくはプラス又はマイナス2%を意味する。
【0060】
本明細書で用いられる用語「治療的に有効な量」は、問題の疾患から結果として生じる状態又は症状の少なくとも1つの重症度を低減する及び/又は寛解させるのに必要とされる組成物の量を意味する。
【0061】
本明細書で用いられる用語「その機能的断片又は変異体」は、問題の疾患から結果として生じる状態又は症状の少なくとも1つの重症度を低減する及び/又は寛解させることができる特許請求の範囲に記載のペプチド若しくはポリペプチドの断片又は変異体を意味する。1つの例において用語「その機能的断片又は変異体」は、癌細胞に対する免疫反応を誘発することが可能な特許請求の範囲に記載のペプチド若しくはポリペプチドの断片又は変異体を意味する。
【0062】
用語「単離された」は核酸が天然に存在する細胞又は生物中の混入配列から実質的に分離された又は精製されたことを意味し、標準的な精製技術により精製された核酸、同様に組換え技術により調製された核酸及び化学的に合成された核酸を包含する。
【0063】
本明細書において実施形態は明確で簡潔な明細が書かれ得るように記述されているが、実施形態は、本発明から離れることなく様々に組み合わされ又は分離されてもよいことが意図されており、また理解されるであろう。
【0064】
臨床での使用のため、本発明又はそのプロドラッグ形態による化合物は、その意図される投与経路、例えば経口、直腸、非経口、局所又は他の投与様式に適合性があるように処方される医薬製剤へと処方される。医薬製剤は活性物質を通常の薬学的に許容可能な希釈剤又は担体と混合することにより通常調製される。本明細書で用いられる語「薬学的に許容可能な担体」は任意の全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、等張及び吸収遅延剤などの医薬投与に適合性のあるものを包含するように意図される。薬学的に許容可能な希釈剤又は担体の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、乳糖、微結晶性セルロース、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、コロイド状二酸化ケイ素などである。薬学的な活性物質へのそのような媒体及び作用物質の使用は当該技術分野でよく知られている。任意の通常の媒体又は作用物質が活性化合物に不適合である場合を除き、組成物におけるその使用が考えられる。
【0065】
そのような製剤はまた他の薬学的に活性のある作用物質及び安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味剤、緩衝剤などの通常の添加物を含有してもよい。
【0066】
製剤はさらに造粒、打錠、マイクロカプセル化、スプレーコーティングなどの既知の方法により調製され得る。製剤は錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、坐薬又は注射剤の剤形における通常の方法により調製されてもよい。液体製剤は水又は他の適当な媒体中に活性物質を溶解又は懸濁することにより調製されてもよい。錠剤及び顆粒は通常の方法でコーティングされてもよい。
【0067】
非経口、局所、皮内、又は皮下の適用のために用いられる溶液又は懸濁液は以下の構成成分を包含し得る。注射用の水などの滅菌された希釈剤、食塩溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;ベンジルアルコール又はメチルパラベンなどの抗菌剤;アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤;エチレンジアミン四酢酸などのキレート剤;酢酸、クエン酸又はリン酸などの緩衝剤及び塩化ナトリウム又はブドウ糖などの浸透圧調節剤。pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基を用いて調節され得る。非経口製剤はアンプル、使い捨てシリンジ又はガラス若しくはプラスチック製の多回投与バイアルの中に封入され得る。
【0068】
注射での使用に適した医薬組成物は、滅菌された水溶液(水溶性の場合)又は分散体及び注射可能な滅菌された溶液又は分散体の即時調製用の滅菌された粉末を包含する。静脈内投与の場合、適当な担体は生理的食塩水、静菌性水、Cremophor ELTM(BASF、Parsippany、NJ)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を包含する。全ての場合において、組成物は滅菌されていなければならず、容易に注射可能な程度に流動性であるべきである。組成物は製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用に対抗して保存されなければならない。担体は例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコールなど)及びその適当な混合物を含有する溶媒又は分散媒であり得る。適切な流動性は例えばレシチンなどのコーティング剤の使用により、分散体の場合は必要とされる粒子サイズの維持により、及び界面活性剤の使用により維持され得る。微生物作用の予防は様々な抗菌及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどにより達成され得る。多くの場合において、等張剤、例えば糖、マニトールなどの多価アルコール、ソルビトール、塩化ナトリウムを組成物中に包含するのが好ましいであろう。注射可能な組成物の吸収延長は、組成物中に吸収を遅延させる作用物質、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを包含することによりもたらされ得る。
【0069】
滅菌された注射可能な溶液は、必要とされる量の活性化合物(例として本発明の実施形態による化合物)を適切な溶媒中に、上で列挙された成分の1つ又は組み合わせと共に、必要に応じて濾過滅菌の後に組み入れることにより調製され得る。一般に分散体は活性化合物を基本的な分散媒及び上に列挙された成分のうち必要とされる他の成分を含有する滅菌された媒体中に組み入れることにより調製される。滅菌された注射可能な溶液調製用の滅菌された粉末の場合、好ましい調製方法は、予め滅菌濾過された溶液から活性成分に任意の付加的な所望成分を加えた粉末を産する減圧乾燥及び凍結乾燥である。
【0070】
経口組成物は一般に不活性の希釈剤又は可食性の担体を包含する。それらはゼラチンカプセルの中に封入又は錠剤へと打錠され得る。経口の治療的投与の目的のため、活性化合物は添加剤と共に組み入れられて錠剤、トローチ又はカプセルの形態で用いられ得る。経口組成物はまた液体担体を使用してうがい薬としての使用のためにも調製され得るが、この液体担体中の化合物は口に適用され、すすがれ、吐き出される又は飲み込まれる。薬学的に適合性の結着剤及び/又はアジュバント材料は組成物の一部として包含され得る。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは以下の任意の成分又は同様の性質を持つ化合物を含有し得る:微結晶性セルロース、トラガカントゴム又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又は乳糖などの添加剤、アルギン酸、Primogel又はコーンスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム又はSterotesなどの滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素などの滑剤;ショ糖又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、サリチル酸メチル又はオレンジ香料などの香味剤。
【0071】
吸入による投与の場合、化合物は、例として二酸化炭素などのガスのような適当な噴霧剤を含有する加圧された容器若しくはディスペンサー又は噴霧器からのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0072】
全身投与はまた、経粘膜又は経皮的な手段によるものであり得る。経粘膜又は経皮的投与の場合、浸透される対象のバリアに適切な浸透剤が製剤中で用いられる。そのような浸透剤は一般に当該技術分野で知られていて、例えば経粘膜投与の場合は界面活性剤、胆汁酸塩及びフシジン酸誘導体を包含する。経粘膜投与は経鼻スプレー又は坐薬の使用を通じて達され得る。経皮的投与の場合、活性化合物は一般に当該技術分野で知られているような軟膏、塗薬、ゲル又はクリームへと処方される。
【0073】
化合物はまた直腸送達の場合に坐薬(例としてカカオバター及び他のグリセリドなどの通常の坐薬基材と共に)又は停留浣腸剤の形態で調製され得る。
【0074】
1つの実施形態において、活性化合物は、インプラント及びマイクロカプセル化された送達システムを包含する放出制御製剤など、生体からの迅速な排除から化合物を保護する担体と共に調製される。エチレンビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル及びポリ乳酸などの生分解性の生体適合性ポリマーが用いられ得る。そのような製剤の調製のための方法は当業者に明らかであろう。材料はAlza Corporation及びNova Pharmaceuticals,Incから市販で入手され得る。リポソームの懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を持つ感染細胞を標的とするリポソームを包含する)もまた薬学的に許容可能な担体として用いられ得る。これらは当業者に知られた方法に従って調製され得る。
【0075】
経口又は非経口の組成物を投与量単位の形態で処方することは、投与を容易にし投与量を均一にするために特に有利である。本明細書で用いられる投与量単位の形態は、治療される対象の患者への単位投与量として適合する物理的に分離した単位を指し、各単位は所望の治療的効果を生み出すように計算された所定量の活性化合物を必要とされる医薬担体を伴って含有する。本発明の投与量単位の形態についての明細は、活性化合物独特の特性、達成される特定の治療的効果及びそのような活性化合物を個体の処置のために配合する技術分野に固有の限界によって、又はこれらに直接的に依存して決められる。
【0076】
そのような化合物の毒性及び治療的有効性は、例としてLD50(集団の50%で致死的な用量)及びED50(集団の50%で治療的に有効な用量)を決定するための、細胞培養又は実験動物における標準的な薬学的手法により決定され得る。毒性と治療的効果との間の用量比は治療指数であり、LD50/ED50比として表現され得る。大きな治療指数を呈する化合物が好ましい。毒性の副作用を呈する化合物が用いられる可能性がある間は、非感染細胞への潜在的なダメージを最小化し、それによって副作用を低減するため、罹患した組織部位にそのような化合物を向かわせる送達システムを設計するように注意すべきである。
【0077】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られるデータは、ヒトにおける使用のための投与量範囲を処方するのに用いられ得る。そのような化合物の投与量は毒性をほとんど又は全く伴わずにED50を包含する循環濃度の範囲内に好ましくは位置する。投与量は使われる剤形及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変動してもよい。本発明の方法において用いられる任意の化合物について、治療的に有効な用量は最初は細胞培養アッセイから推定され得る。細胞培養において決定されるIC50(すなわち、症状の最大半減阻害を達成する試験化合物の濃度)を包含する循環血漿濃度範囲を達成する用量が動物モデルにおいて処方されてもよい。そのような情報はヒトにおける有用量をより正確に決定するのに用いられ得る。血漿中のレベルは、例えば高速液体クロマトグラフィーにより測定されてもよい。
【0078】
医薬組成物は容器、パック又はディスペンサーの中に投与の説明書と一緒に包含され得る。
【0079】
本明細書内で「同一性」は、当該技術分野で知られており、配列を比較することにより決定されるように2つ以上のポリペプチド配列又は2つ以上のポリヌクレオチド配列の間の関係である。当該技術分野において「同一性」はまた、場合によってはそのような配列の文字列間の一致により決定されるように、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列の間の配列関連性の度合いを意味する。パーセンテージ同一性は既知の方法によりすぐに計算され得るものであり、この方法はComputational Molecular Biology、Lesk,A.M.編、Oxford University Press、New York、1988年;Biocomputing:Informatics and Genome Projects、Smith,D.W.編、Academic Press、New York、1993年;Computer Analysis of Sequence Data、Part I、Griffin,A.M.及びGriffin,H.G.編、Humana Press、New Jersey、1994年;Sequence Analysis in Molecular Biology、von Heinje,G.、Academic Press、1987年;並びにSequence Analysis Primer、Gribskov,M.及びDevereux,J.編、M Stockton Press、New York、1991年;並びにCarillo,H.及びLipman,D.、SIAM J.Applied Math.、48:1073(1988年)において記述されているものを包含するがこれに限定されるものではない。これら全ての文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。同一性を決定する好ましい方法は試験される配列間に最大の一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は公開されているコンピュータープログラムに成文化される。2つの配列間のパーセンテージ同一性を決定する好ましいコンピュータープログラム方法はGCGプログラムパッケージ(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Devereux,J.ら、Nucleic Acids Research 12(1):387(1984年))、BLASTP、BLASTN及びFASTA(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Atschul,S.F.ら、J.Molec.Biol.215:403〜410ページ(1990年))を包含するがこれに限定されるものではない。BLAST XプログラムはNCBI及び他の出所から公開されている(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、BLAST Manual、Altschul,S.ら、NCBI NLM NIH Bethesda、Md.20894;Altschul,S.ら、J.Mol.Biol.215:403〜410ページ(1990年))。例解として、「配列番号A」の参照ヌクレオチド配列への「同一性」を例えば少なくとも95%持つヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドにより、ポリヌクレオチド配列が「配列番号A」の参照ヌクレオチド配列の各100ヌクレオチドあたり5個まで点変異を包含し得るという点を除いてポリヌクレオチドのヌクレオチド配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照ヌクレオチド配列に少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るには、参照配列中のヌクレオチドの5%までが欠失若しくは別のヌクレオチドと置換されてよく、又は参照配列中の全ヌクレオチドの5%までの複数のヌクレオチドが参照配列中に挿入されてもよい。これらの参照配列の変異は参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末端位又はこれら末端位の間のどこにでも、参照配列中のヌクレオチドの中に個々に、又は参照配列内の1若しくは複数の近接するグループにおいて、散らばって生じてもよい。同様に、「配列番号B」の参照アミノ酸配列への「同一性」を例えば少なくとも95%持つアミノ酸配列を有するポリペプチドにより、ポリペプチド配列が「配列番号B」の参照アミノ酸配列の各100アミノ酸あたり5個のアミノ酸変化を包含し得るという点を除いてポリペプチドのアミノ酸配列は参照配列と同一であることが意図される。言い換えれば、参照アミノ酸配列に少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、参照配列中のアミノ酸残基の5%までが欠失若しくは別のアミノ酸と置換されていてもよく、又は参照配列中の全アミノ酸残基の5%までの数のアミノ酸が参照配列中に挿入されていてもよい。これらの参照配列の変化は参照アミノ酸配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位又はこれら末端位の間のどこにでも、参照配列中の残基の中に個々に、又は参照配列内の1若しくは複数の近接するグループにおいて、散らばって生じてもよい。
【0080】
本明細書で用いられる用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、少なくとも50%互いに相同である受容体をコードするヌクレオチド配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持するハイブリダイゼーション及び洗浄の条件を記述することが意図される。条件は少なくとも約65%、少なくとも約70%、又は少なくとも約75%以上互いに相同である配列が互いにハイブリダイズした状態を典型的に維持するようなものであり得る。そのようなストリンジェントな条件は当業者に知られており、Current Protocols in Molecular Biology、John Wiley&Sons、N.Y.(1989年)、6.3.1〜6.3.6において見出され得るが、この文献は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の1つの例は、6×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中で約45℃でのハイブリダイゼーション、その後に続く0.2×SSC、0.1%SDS中で50〜65℃での1又は複数回の洗浄である。1つの実施形態において、ストリンジェントな条件下で配列番号1の配列にハイブリダイズする単離された受容体核酸分子は、天然に存在する核酸分子に対応する。本明細書で用いられる用語「天然に存在する」核酸分子は、天然に存在する(例として天然のタンパク質をコードする)ヌクレオチド配列を有するRNA又はDNA分子をいう。
【0081】
本明細書内で用語「処置」は存在する疾患の処置及び/又は疾患の発生を防ぐための予防的処置を意味する。そのため、本発明の方法は疾患の発症における処置、予防、進行の阻害又は遅延のために用いられ得る。
【実施例】
【0082】
図5から12に示されるデータは、健常ボランティア及び癌患者の両者の末梢血単核細胞(PBMC)中のアフェクターTリンパ球により特異的な応答がEN2ペプチド1〜4(配列番号1から4)に対して起こされ得ることを実証する。示されたペプチドは潜在的なHLA−A2エピトープとして選択されたものであり、したがってPBMCはHLA−A2の個体から採取された。精製されたPBMCは培地中で2週間、96ウェル培養プレートの1ウェルあたり1×105個の細胞密度で培養された。図4に示されるように、ペプチドは培養期間の開始から3日後に添加され、その後3日毎に1回続けて添加された。最後の添加から3日後、PBMCは「T2」として知られるヒトのHLA−A2.1陽性Tリンパ球由来細胞系と混合された。細胞をペプチドと共に培地中で2時間培養することにより、これは4つのEN2ペプチドの1つと共にMHCに前負荷された。T2細胞系はしたがってEN2ペプチドに応答したPBMC中のCD8+リンパ球の活性化標的として機能した。古典的なリンパ球活性化の「読み取り(read out)」は炎症促進性サイトカインであるインターフェロンガンマ(IFNγ)の分泌であり、これは下に詳述されるようにELISPOTアッセイを使用して測定された。IFNγの拡散は厳しく制限されるため、このアッセイにおいて生成されるスポットは単一の応答リンパ球を表す。スポット数はELISPOTカウンターにより決定された。示される値は3回の実験の平均値であり、エラーバーは平均値の標準誤差を表す。***、p<0.01;*、p<0.05。「t2&pep」−EN2ペプチドと予めインキュベートされたT2細胞;「t2単独」−未処置のT2細胞;「細胞」−PBMCのみ。
【0083】
ELISPOTアッセイ
ELISPOTアッセイはサンドイッチ酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)に非常に類似した技術を利用する。抗IFNγ捕捉抗体はPVDFを背部に付けたマイクロプレート上に無菌的にコーティングされた。プレートは1%ウシ血清アルブミン(BSA)を用いてPBSTバッファー(1%Tween20界面活性剤入りのPBS)中で1時間ブロッキングされた。上のように処置されたPBMCは次いで1ウェルあたり1×105個の細胞密度で適切な培地中に播かれた。活性化された細胞から分泌されたIFNγはPVDF膜の高表面積上にコーティングされた抗体により局所的に捕捉された。ウェルを洗浄して細胞、デブリ及び培地構成成分を除去した後、IFNγの別のエピトープに特異的なビオチン化ポリクローナル抗体を用いて捕捉されたサイトカインを検出した。洗浄で未結合のビオチン化抗体を全て除去した後、検出されたIFNγは次いでアビジン−HRP及び沈殿基質(BCIP/NBT)を使用して可視化された。色の付いた最終産物(黒みがかった青色のスポット)は個々のサイトカイン産生細胞を表し、これら細胞は自動読み取り機を使用してカウントされた。
【0084】
黒色腫患者のEN2特異的CTLの生成
本発明者らは逆免疫ストラテジーを用いて免疫原性のHLA−A2拘束性EN2エピトープをいくつか同定し、これらエピトープを用いて本発明者らはいずれもHLA−A2陽性である健常対照ドナー及び黒色腫患者の血液のEN2特異的CTL応答を生成させることができた。結果は図13に示される。
【0085】
本明細書に記述される現在の好ましい実施形態への様々な変更及び改変は当業者に明らかであることが理解されるであろう。そのような変更及び改変は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、その付随する利点を減ずることなくなされ得る。それ故、そのような変更及び改変は添付の特許請求の範囲により包含されると意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチド。
【請求項2】
配列番号6を含まない、請求項1に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項3】
単離されたペプチド又はポリペプチドである、請求項1又は2に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項4】
約333アミノ酸未満の長さ、又は約300アミノ酸未満の長さ、又は約250アミノ酸未満の長さ、又は約200アミノ酸未満の長さ、又は約150アミノ酸未満の長さ、又は約100アミノ酸未満の長さ、又は約75アミノ酸未満の長さ、又は約50アミノ酸未満の長さ、又は約40アミノ酸未満の長さ、又は約30アミノ酸未満の長さ、又は約25アミノ酸未満の長さ、又は約20アミノ酸未満の長さ、又は約15アミノ酸未満の長さ、又は約10アミノ酸未満の長さである、請求項1から3までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項5】
配列番号6の断片又は前記断片の変異体であるアミノ酸配列を含む、又はそれからなる、請求項1から4までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項6】
配列番号6の断片が、配列番号6の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む、請求項5に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項7】
配列番号6の前記断片の変異体が、配列番号6と少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項5又は6に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1から7までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも約45%、又は少なくとも約56%又は少なくとも約67%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片が、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項11】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体が、機能的断片又は変異体である、請求項1から10までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載のペプチド若しくはポリペプチド又はその断片若しくは変異体をコードする核酸配列。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸配列を含む核酸分子。
【請求項14】
ベクター核酸配列をさらに含む、請求項13に記載の核酸分子。
【請求項15】
異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項13又は14に記載の核酸分子。
【請求項16】
請求項13から15までのいずれか一項に記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
【請求項17】
哺乳動物宿主細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
請求項13から15までのいずれか一項に記載の核酸分子を含有する非哺乳動物宿主細胞。
【請求項19】
治療における使用のための、請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせ。
【請求項20】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせの、治療における使用。
【請求項21】
治療が癌の処置を含む、請求項19に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは請求項20に記載の使用。
【請求項22】
癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項21に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは使用。
【請求項23】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項22に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは使用。
【請求項24】
治療的に有効な量の請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法。
【請求項25】
疾患が、癌を含み、任意選択で癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせを含む組成物。
【請求項28】
医薬組成物である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
ワクチンである、請求項27又は28に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせの、癌の処置のための薬剤の製造における使用。
【請求項31】
癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項31に記載の使用。
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド又はポリペプチド。
【請求項2】
配列番号6を含まない、請求項1に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項3】
単離されたペプチド又はポリペプチドである、請求項1又は2に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項4】
約333アミノ酸未満の長さ、又は約300アミノ酸未満の長さ、又は約250アミノ酸未満の長さ、又は約200アミノ酸未満の長さ、又は約150アミノ酸未満の長さ、又は約100アミノ酸未満の長さ、又は約75アミノ酸未満の長さ、又は約50アミノ酸未満の長さ、又は約40アミノ酸未満の長さ、又は約30アミノ酸未満の長さ、又は約25アミノ酸未満の長さ、又は約20アミノ酸未満の長さ、又は約15アミノ酸未満の長さ、又は約10アミノ酸未満の長さである、請求項1から3までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項5】
配列番号6の断片又は前記断片の変異体であるアミノ酸配列を含む、又はそれからなる、請求項1から4までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項6】
配列番号6の断片が、配列番号6の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む、請求項5に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項7】
配列番号6の前記断片の変異体が、配列番号6と少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約85%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約96%、又は少なくとも約97%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項5又は6に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項8】
配列番号1、配列番号2、配列番号3及び配列番号4、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号4の断片若しくは変異体から選択されるアミノ酸配列からなる、請求項1から7までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項9】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体が、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4と少なくとも約45%、又は少なくとも約56%又は少なくとも約67%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約89%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項10】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片が、配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の少なくとも4個、好ましくは少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、好ましくは少なくとも7個、好ましくは少なくとも8個の連続したアミノ酸を含む、請求項1から9までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項11】
配列番号1、配列番号2、配列番号3又は配列番号4の断片又は変異体が、機能的断片又は変異体である、請求項1から10までのいずれか一項に記載のペプチド又はポリペプチド。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか一項に記載のペプチド若しくはポリペプチド又はその断片若しくは変異体をコードする核酸配列。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸配列を含む核酸分子。
【請求項14】
ベクター核酸配列をさらに含む、請求項13に記載の核酸分子。
【請求項15】
異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求項13又は14に記載の核酸分子。
【請求項16】
請求項13から15までのいずれか一項に記載の核酸分子を含有する宿主細胞。
【請求項17】
哺乳動物宿主細胞である、請求項16に記載の宿主細胞。
【請求項18】
請求項13から15までのいずれか一項に記載の核酸分子を含有する非哺乳動物宿主細胞。
【請求項19】
治療における使用のための、請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせ。
【請求項20】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせの、治療における使用。
【請求項21】
治療が癌の処置を含む、請求項19に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは請求項20に記載の使用。
【請求項22】
癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項21に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは使用。
【請求項23】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項22に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列又はその組み合わせ或いは使用。
【請求項24】
治療的に有効な量の請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせを患者に投与するステップを含む、疾患を持つ患者を処置するための方法。
【請求項25】
疾患が、癌を含み、任意選択で癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせを含む組成物。
【請求項28】
医薬組成物である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
ワクチンである、請求項27又は28に記載の組成物。
【請求項30】
請求項1から12までのいずれか一項に記載のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列、並びに/又は請求項1から12までのいずれか一項に記載の2つ以上のペプチド、ポリペプチド及び/若しくは核酸配列の組み合わせの、癌の処置のための薬剤の製造における使用。
【請求項31】
癌が、胃腸癌、婦人科癌、腎癌、膀胱癌、前立腺癌、肺癌、乳癌又は黒色腫から選択される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
(i)胃腸癌が、食道癌、胆嚢癌、胃癌(stomach cancer)(胃癌(gastric cancer))、肝癌、膵癌、胆道癌、小腸癌、結腸直腸癌及び肛門癌から選択され、任意選択で結腸直腸癌が、結腸癌及び直腸癌から選択され、(ii)婦人科癌が、子宮頸癌、卵巣癌、子宮癌、膣癌及び外陰部癌から選択される、請求項31に記載の使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図13】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2012−532621(P2012−532621A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520085(P2012−520085)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001335
【国際公開番号】WO2011/007130
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(509172594)ザ ユニバーシティ オブ サリー (5)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001335
【国際公開番号】WO2011/007130
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(509172594)ザ ユニバーシティ オブ サリー (5)
【Fターム(参考)】
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