説明

治療的免疫のためのコポリマー1を含む点眼ワクチン

本発明は、中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、さもなくばCNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、又はコポリマー1関連ポリペプチドを含む、哺乳動物の治療的免疫のための点眼ワクチンを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は免疫学の分野にあり、そして活性薬剤としてランダムコポリマー、特に、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、又はコポリマー1関連ポリペプチドを含む点眼薬剤、及び、特に損傷、疾患、障害、又は状態の後の中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における免疫保護のため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための哺乳動物の治療的免疫の方法に関する。
【0002】
略号:BSA:ウシ血清アルブミン;CFA:完全フロイントアジュバント;CNS:中枢神経系;Cop1:コポリマー1、酢酸グラチラマー;FCS:胎仔ウシ血清;IFA:不完全フロイントアジュバント;IOP:眼圧;MBP:ミエリン塩基性タンパク質;NS:神経系;PBS:リン酸緩衝化生理食塩水;PNS:末梢神経系;RGC:網膜神経節細胞。
【背景技術】
【0003】
神経系は中枢神経系及び末梢神経系を含む。末梢神経系(peripheral nervous system)(CNS)は脳及び脊髄から構成され;末梢神経系は(PNS)は他のすべての神経要素、すなわち、脳及び脊髄以外の神経及び神経節からなる。
【0004】
神経系に対する損傷は、穿通性外傷若しくは鈍的外傷などの外傷的損傷、又はアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、筋萎縮性側索硬化症、糖尿病性神経障害、緑内障、老人性痴呆症、若しくは虚血を含むがこれらに限定されない疾患、障害、若しくは状態を生じ得る。
【0005】
神経変性障害は、一般的に、CNSにおけるニューロンの欠損の進行と関連する。第1の危険因子によって引き起こされるニューロンの欠損の後、さらなる(第2の)ニューロンの欠損が、自己の化合物、例えば、グルタミン酸、一酸化炭素、又は反応性酸素種によって媒介され、これらの化合物は、これらの生理学的濃度を超えている。これらの化合物は、種々の型の神経学的障害及び急性CNS損傷に関係している。神経変性疾患に共通の破壊的成分がまた、例えば多発性硬化症などの自己免疫疾患において同定されてきたこと;この疾患においては、CNSにおけるミエリン損傷が引き続くニューロン欠損に付随することに注目することは興味深い。
【0006】
緑内障は、高齢者集団において高い発生率(約1%)である、ゆっくりと進行する視神経障害である。最近まで、これは高い眼圧(IOP)と関連するので、それゆえに、疾患の進行を抗高血圧薬によって遅らせることに試みが集中されてきた。何年もかかって、緑内障が疾患の1ファミリーであって、及びすべてが圧力と関係しているのではないことが明らかになってきた。さらに、この疾患が圧力と関連する場合でさえ、後者は正常値及び正常値より下にまで低下し得、かつ変性が継続し得ることが明白となった。臨床医の間で継続している議論は、正常なIOP値にもかかわらず、緑内障患者における継続性の変性は、圧力以外のさらなる危険因子の存在の反映であるか、又は残りのニューロン及び線維の脆弱性の増加、及びそれゆえに正常値より下にIOPを減少させる必要性の反映であるかを問題としてきた。
【0007】
本発明者らは、緑内障における進行性の失明の根底にあるメカニズムが、神経系に対する任意の急性の損傷又はCNSの任意の神経変性疾患において起こるものと類似していることを1996年に示唆した(Schwartzら、1996)。この提案に従って、第1の危険因子(例えば、圧力)に加えて、第1の事象を見逃した神経に影響を与える変性の進行中のプロセスが存在する(Schwartzら、1996;Schwartz及びYoles、2000a及び2000b)。このプロセスは、第1の事象の結果として表れた化合物によって、又は第1の危険因子の結果としての損失によって媒介され、これらのすべてが初期の侵襲に隣接するニューロンに敵対的な環境を作り出す。
【0008】
本発明者らはさらに最近、機械的な(軸索切断)又は生化学的な(グルタミン酸、酸化的ストレス)損傷によって引き起こされた神経変性条件下で、免疫系が決定的な役割を果たすことを観察した。このようにして、例えば、PCT公開番号WO99/60021に記載されるように、神経系(NS)の抗原を認識する活性化されたT細胞が神経再生を促進するか、又は神経保護を付与することが見出された。より詳細には、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)に反応性であるT細胞が、部分的に破砕された視神経(Moalemら、1999)及び脊髄損傷(Haubenら、2000)のラットモデルにおいて、神経保護的であることが示された。最近まで、免疫系は、神経系修復に関与することから免疫細胞を除外すると考えられてきた。NS特異的活性化T細胞が、神経再生を促進し、又はCNS若しくはPNSの損傷若しくは疾患によって引き起こされる損傷に続き得る二次的な変性から神経系組織を保護するために使用され得ることを発見することはまったく驚きであった。
【0009】
本発明者らによって、CNSにおけるストレス条件が、そのストレスに対応する適応性の免疫応答を抑制すること、及びこの応答が遺伝子によって制御されていることがさらに観察された。したがって、視神経の破砕的損傷又は毒性投薬量のグルタミン酸の硝子体内注入後の成体マウス又はラットにおける網膜神経節細胞(RGC)の生存率は、感受性の系統においてよりも、CNS自己免疫疾患に対して抵抗性である系統において2倍まで高いことが示された。この違いは、抵抗性の系統においてCNS損傷後に自発的に進化したが、感受性系統では進化しなかった、有益な自己免疫T細胞応答に起因し得ることが見出された。したがって、自己に対して指向されるT細胞応答が惹起される場合に、それが十分に調節されるならば、このような損傷の結果としてのニューロンの生存率はより高い。換言すれば、保護的自己免疫応答が、損傷の結果から動物を保護するためにストレス条件に対抗して惹起されることが実証された。このような応答を調節するための能力が損なわれた動物において、又は成熟T細胞を欠く動物(出生時に胸腺摘出を受けた結果として)において、ストレス条件に対処する能力が減少することがさらに観察された。結果として、これらの動物におけるCNS損傷後のニューロンの生存率は、保護的自己免疫T細胞応答媒介応答を備えるための有効なメカニズムが与えられている動物よりも有意に低い(Kipnisら、2001)。
【0010】
本発明者らの研究室におけるより最近の研究は、自己免疫神経保護が、CNS損傷が起こるときに呼び覚まされる身体の生理学的防御メカニズムであることを示した(Kipnisら、2001;Yolesら、2001)。本発明者らは、増加したIOPに対する抵抗性が系統間で異なること(Bakalashら、2002)、及びこの違いが、有益な結果を伴う、自己免疫応答を抑制する能力に関連付けられていることを実証した。本発明者らはさらに、成熟T細胞の非存在下において(新生児胸腺摘出を通して)、IOPの上昇に対する相対的な抵抗性がその有益な形質を喪失し、そして逆に、抵抗性系統からの脾細胞がMHCが適合した感受性系統に受動的に移動される場合、神経保護効果が再開されることを示した(Bakalashら、2002)。本発明者らのグループによって、T細胞を用いる受動性ワクチン接種もまた、急性損傷(例えば、部分的な視神経粉砕又は脊髄挫傷)において有効であることがさらに示された(Kipnisら、2001;Moalemら、1999)。
【0011】
損傷状態からニューロンを保護する手段としてこのような抗自己応答を追加免疫するための試みは、ワクチン接種抗原が病変の部位に存在する化合物から誘導されるはずであることを明らかにした。したがって、眼において最も豊富なペプチドである光受容体間結合タンパク質(IRBP)(Bakalashら、2002;Mizrahiら、2002)に由来する自己抗原の使用は、感受性系統と抵抗性系統の両方においてRGC保護を生じた。対照的に、視神経に付随するミエリン中に存在する化合物に由来するペプチドの使用は、IOP上昇損傷を患う網膜神経節細胞に対しては利点をもたらさなかった。
【0012】
自己免疫疾患を誘発するリスクを伴うことなく免疫系に追加免疫する、緑内障のためのワクチン接種を設計することを試みて、本発明者らはコポリマー1に焦点を当てることを選択し、そしてこれが、アジュバントとともに与えられた場合に緑内障のために神経保護的であることを示した(Bakalashら、2002;Schoriら、2001;Schwartz及びKipnis、2002;WO01/52878;WO01/93893)。コポリマー1(Cop−1)は、広範な種々の自己反応性T細胞と免疫学的に交差反応する。したがって、その活性は、変化されたペプチドリガンド、変化し、かつ結果として病原性を喪失した自己ペプチドの活性を連想させる(WO02/055010;Kipnis及びSchwartz、2002)。
【0013】
コポリマー1(Cop1又は酢酸グラチラマーとも呼ばれる)は、それぞれ、0.141、0.338、0.427、及び0.095の平均分子画分を有する4アミノ酸:L−Glu、L−Lys、L−Ala、及びL−Tyrから構成され、かつ4,700から11,000の平均分子量を有する非病原性合成ランダムコポリマーである。酢酸グラチラマーの商標名、COPAXONE(登録商標)(Teva Pharmaceutical Industries Ltd.、Petach Tikva、Israelの商標)は、多発性硬化症の治療のために現在多くの国々において認可されている薬物である。これは、耐容性が十分に良好であり、有害な反応はほんのわずかである。摂取又は吸入によるCop1を用いる治療は、米国特許第6,214,791号に開示されているが、Cop1の多発性硬化症患者への唯一の投与経路は、毎日の皮下注射による。
【0014】
最近、動物モデルにおいて、Cop1がいくつかのさらなる障害のために有益な効果を提供することが見出された。したがって、Cop1は骨髄移植の場合における移植片対宿主病(GVHD)において(Schlegelら、1996;米国特許第5,858,964号)、並びに固形臓器移植の場合における移植拒絶において(Aharoniら、2001)現れる免疫拒絶を抑制する。自己免疫疾患を治療するためのCop1及びCop1関連コポリマー及びペプチドは、WO00/05250に開示されている。
【0015】
本出願人らのWO01/52878及びWO01/93893は、Cop1、Cop1関連ペプチド及びポリペプチド、並びにそれで活性化されたT細胞が、CNS細胞をグルタミン酸毒性から保護し、そしてCNS及びPNSにおいて神経変性を予防若しくは阻害するか、又は神経再生を促進することを開示する。WO01/93828は、Cop1がCNS障害の治療のために使用され得ることを開示する。これらの刊行物のいずれもが、Cop1を含む点眼剤の投与による免疫化を開示していない。
【0016】
生ウイルス又は感染性因子からの免疫原性タンパク質をコードする組換えDNAを含む点眼剤としての投与のための家禽ワクチンは、鳥類動物におけるウイルス疾患の予防のために記載されている(Mukibi−Mukaら、1984;Sharma、1999;Russell及びMackie、2001)。
【0017】
このセクション又は本願の任意の他の部分におけるいかなる参考文献の引用又は照合も、このような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものとして解釈されるべきではない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0018】
ここで、本発明に従って、コポリマー1が、点眼ワクチンとして投与された場合に、急性又は慢性の眼圧(IOP)上昇によって誘導される死に対して、網膜神経節細胞(RGC)の保護によって例示されるように、CNS又はPNSにおける神経保護のために必要とされる全身性T細胞依存性免疫応答を誘発することが見出された。
【0019】
したがって、1つの態様において、本発明は、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンに関する。
【0020】
別の態様において、本発明は、点眼ワクチンの製造のための、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤の使用に関する。
【0021】
本発明の点眼ワクチンは、中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための神経保護のための、哺乳動物(特にヒト)の治療的免疫のために特に有用である。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための治療的免疫の方法を提供し、前記方法は、必要のある個体を、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンで、個体における前記損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる前記神経変性を治療、予防、又は阻害するために有効な量で免疫する工程を包含する。
【0023】
本発明の点眼ワクチンにおいて、活性薬剤は、いかなるアジュバントも伴わずに、例えば、生理食塩水又はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中で投与され得、又はこれは、サイトカイン(例えば、IL−2、IL−12、GM−CSF、又はIFN−γ)などのような可溶性アジュバントとともに投与され得る。
【0024】
最も好ましい実施形態において、本発明の点眼ワクチンの活性薬剤はコポリマー1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「コポリマー1」、「Cop1」、「Cop−1」、又は「酢酸グラチラマー」は各々交換可能に使用される。
【0026】
本発明の目的のために、「Cop1又はCop1関連ペプチド、又はCop1関連ポリペプチド」は、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)と機能的に相互作用し、かつ抗原提示においてMHCクラスII上のMBPと競合することができるランダムコポリマーを含む任意のペプチド又はポリペプチドを含むことが意図される。
【0027】
本発明の点眼ワクチン中の活性薬剤としての使用のためのコポリマーは、適切な量の正に荷電したアミノ酸(例えばリジン(K)又はアルギニン(R)など)を含み、負に荷電したアミノ酸(例えばグルタミン酸(E)又はアスパラギン酸(D))(好ましくはより少ない量で)と組み合わせ、選択的に、賦形剤として役立つ非荷電中性アミノ酸(例えばアラニン(A)又はグリシン(G))と組み合わせ、及び場合によっては、コポリマーに免疫原性特性を付与するように適合されたアミノ酸(例えばチロシン(Y)又はトリプトファン(W)のような芳香族性アミノ酸)と組み合わせたランダムコポリマーであり得る。
【0028】
本発明における使用のためのコポリマーは、L型アミノ酸又はD型アミノ酸、又はそれらの組み合わせから構成され得る。当業者によって公知であるように、L−アミノ酸は大部分の天然タンパク質に存在する。しかし、D−アミノ酸は市販されており、本発明において使用されるコポリマーを作製するために使用されるいくつか又はすべてのアミノ酸の代わりに置換され得る。本発明は、Dアミノ酸とLアミノ酸の両方を含むコポリマー、並びにLアミノ酸又はDアミノ酸のいずれかから本質的になるコポリマーの使用を意図する。
【0029】
1つの実施形態において、本発明における使用のための活性薬剤は、少なくとも1つのランダムな3アミノ酸又は4アミノ酸のコポリマーを含み、このコポリマーは以下の4つの群:(a)リジン(K)及びアルギニン(R);(b)グルタミン酸(E)及びアスパラギン酸(D);(c)アラニン(A)及びグリシン(G);並びに(d)チロシン(Y)及びトリプトファン(W)の各々から選択される1つのアミノ酸を含む。
【0030】
1つの好ましい実施形態において、本発明のコポリマーは、正味の全体の正電荷のアミノ酸チロシン、グルタミン酸、アラニン、及びリジンの組み合わせ(本明細書中ではポリYEAKと呼ぶ)を含み、最も好ましくは、本発明のコポリマーは、以下のモル比のアミノ酸のコポリマー1である:約0.14グルタミン酸、約0.43アラニン、約0.10チロシン、及び約0.34リジン。これは、約15から約100まで、好ましくは約40から約80までのアミノ酸長のポリペプチドである低分子量又は高分子量のコポリマーであり得る。このコポリマーは、約2,000から40,000Da、好ましくは約2,000から13,000Da、より好ましくは約4,700から約13,000Da、最も好ましくは約5,000から9,000Da、及び最も好ましくは約6,000から8,000Daの平均分子量を有する。この好ましいコポリマー、Cop1は、最も好ましくは、一般名が酢酸グラチラマーで知られるその酢酸塩の形態である。好ましい分子量範囲及びCop1の好ましい型を製造するためのプロセスは米国特許第5,800,808号に記載され、その全体の内容は、あたかも本明細書中に全体が開示されるかのように、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0031】
これは例示のみの手段で与えられること、及び活性薬剤が構成成分及び構成成分の相対的な比率の両方に関して変化され得、したがって、Cop1とは異なるポリYEAKコポリマーを得ることは明白である。
【0032】
別の実施形態において、本発明の点眼ワクチンの活性薬剤は、群(a)から(d)の各々異なる1つからの、4つの異なるアミノ酸を含むランダムコポリマーであるがCop1以外の、Cop1−関連ポリペプチドである。コポリマー1によって示される活性は、以下の置換の1つ又はそれ以上がコポリマーのアミノ酸組成においてなされる場合に残存することが予測される:グルタミン酸(E)の代わりにアスパラギン酸(D)、アラニン(A)の代わりにグリシン(G)、リジン(K)の代わりにアルギニン(R)、及びチロシン(Y)の代わりにトリプトファン(W)。
【0033】
したがって、別の実施形態において、本発明のCop1−関連ポリペプチドは、WO00/05250(その全体の内容は、あたかも本明細書中に全体が開示されるかのように、本明細書中に参照により本明細書に援用される)に開示されるコポリマーのいずれか、並びに、他のコポリマー、例えば、多発性硬化症の治療のための候補としてFridkis−Hareliら(2002)によって記載されるランダム4アミノ酸コポリマー、すなわち、アミノ酸フェニルアラニン、グルタミン酸、アラニン、及びリジンを含むか(ポリFEAK)、又はチロシン、フェニルアラニン、アラニン、及びリジンを含む(ポリYFAK)コポリマー(14マー、35マー、及び50マー)、並びにCop1に類似の汎用的な抗原と見なされ得る、発見されるべき任意の他の類似のコポリマーを含み得る。
【0034】
別の実施形態において、本発明のCop1関連ポリペプチドは群(a)から(d)の3つの群の各々異なる1つからの、異なる3つのアミノ酸の組み合わせを含むコポリマーである。これらのコポリマーは本明細書中でターポリマーといわれる。より好ましい実施形態において、ターポリマーのアミノ酸のモル画分は、ほぼコポリマー1のために好ましいものである。
【0035】
1つの実施形態において、本発明における使用のためのターポリマーは、チロシン(Y)、アラニン(A)、及びリジン(K)を含み、本明細書中以下でポリYAKと呼ばれる。これらのターポリマー中のアミノ酸の平均モル画分は変化し得る。例えば、チロシンは約0.005から0.250のモル画分で存在し得;アラニンは約0.3から0.6のモル画分で存在し得;そしてリジンは約0.1から0.5のモル画分で存在し得るが、好ましくは、チロシン、アラニン、及びリジンのモル比は、約0.10対約0.54対約0.35である。ポリYAKの平均分子量は約2,000から40,000Da、好ましくは約3,000から35,000Da、より好ましくは約5,000から25,000Daである。リジン(K)の代わりにアルギニン(R)、アラニン(A)の代わりにグリシン(G)、及び/又はチロシン(Y)の代わりにトリプトファン(W)に置換することが可能である。
【0036】
別の実施形態において、本発明における使用のためのターポリマーは、チロシン(Y)、グルタミン酸(E)、及びリジン(K)を含み、本明細書中以下でポリYEKと呼ばれる。これらのターポリマー中のアミノ酸の平均モル画分は変化し得る:グルタミン酸は約0.005から0.300のモル画分で存在し得、チロシンは約0.005から0.250のモル画分で存在し得、そしてリジンは約0.3から0.7のモル画分で存在し得るが、好ましくは、グルタミン酸、チロシン、及びリジンのモル比は、約0.26対約0.16対約0.58である。ポリYEKの平均分子量は約2,000から40,000Da、好ましくは約3,000から35,000Da、より好ましくは約5,000から25,000Daである。リジン(K)の代わりにアルギニン(R)、グルタミン酸(E)の代わりにアスパラギン酸(D)、及び/又はチロシン(Y)の代わりにトリプトファン(W)に置換することが可能である。
【0037】
さらなる実施形態において、本発明における使用のためのターポリマーは、リジン(K)、グルタミン酸(E)、及びアラニン(A)を含み、本明細書中以下でポリKEAと呼ばれる。これらのポリペプチド中のアミノ酸の平均モル画分もまた変化し得る。例えば、グルタミン酸は約0.005から0.300のモル画分で存在し得、アラニンは約0.005から0.600のモル画分で存在し得、そしてリジンは約0.2から0.7のモル画分で存在し得るが、好ましくは、グルタミン酸、アラニン、及びリジンのモル比は、約0.15対約0.48対約0.36である。YEKの平均分子量は約2,000から40,000Da、好ましくは約3,000から35,000Da、より好ましくは約5,000から25,000Daである。リジン(K)の代わりにアルギニン(R)、グルタミン酸(E)の代わりにアスパラギン酸(D)、及び/又はアラニン(A)の代わりにグリシン(G)に置換することが可能である。
【0038】
さらに別の実施形態において、本発明における使用のためのターポリマーは、チロシン(Y)、グルタミン酸(E)、及びアラニン(A)を含み、本明細書中以下でポリYEAと呼ばれる。これらのポリペプチド中のアミノ酸の平均モル画分は変化し得る。例えば、チロシンは約0.005から0.250のモル画分で存在し得、グルタミン酸は約0.005から0.300のモル画分で存在し得、そしてアラニンは約0.005から0.800のモル画分で存在し得るが、好ましくは、グルタミン酸、アラニン、及びチロシンのモル比は、約0.21対約0.65対約0.14である。ポリYEAの平均分子量は約2,000から40,000Da、好ましくは約3,000から35,000Da、及びより好ましくは約5,000から25,000Daである。チロシン(Y)の代わりにトリプトファン(W)、グルタミン酸(E)の代わりにアスパラギン酸(D)、及び/又はアラニン(A)の代わりにグリシン(G)に置換することが可能である。
【0039】
ターポリマーは、例えば、上記に言及した公開特許WO01/52878及びWO01/93893において記載されるような、当業者に利用可能な任意の手順によって作製され得る。
【0040】
MS結合したHLA−DR分子に対するCop1の結合モチーフが知られているので、固定された配列のポリペプチドが容易に調製され得、そしてFridkis−Hareliら(1999)において記載されるようなHLA−DR分子のペプチド結合溝への結合について試験され得る。このようなペプチドの例はWO005249(その全体の内容は、あたかも本明細書中に全体が開示されるかのように、参照により本明細書に援用される)に開示されているものである。前記出願において具体的に開示されている32のペプチドが、本明細書中以下の表1において再現されている(配列番号:1から32まで)。これらは、4種のアミノ酸アラニン、グルタミン酸、リジン、及びチロシンを含むか(ペプチド2、3、5から32)、又は3種のアミノ酸アラニン、リジン、及びチロシンのみ(ペプチド1、4)を含む15マーペプチドである。このようなペプチド及び他の類似のペプチドは、Cop1と類似の活性を有することが予測され、そして本発明のCop1関連ペプチド又はCop1関連ポリペプチドの定義に含まれる。
【0041】
【表1】

【0042】
本発明は、1つの態様において、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む、点眼ワクチンに関する。
【0043】
別の態様において、本発明は、点眼ワクチンの製造のための、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤の使用に関する。
【0044】
1つの実施形態において、本発明の点眼ワクチンは、任意の適切なキャリア(例えば、生理食塩水又はPBS)中に溶解された活性薬剤を含み、いかなるアジュバントも伴わない。
【0045】
別の実施形態において、本発明の点眼ワクチンは、適切な可溶性アジュバント(例えば、例示されるような可溶性サイトカイン、サイトカインIL−2、IL−12、GM−CSF、又はIFN−γであるがこれらに限定されない)とともに活性薬剤を含む。
【0046】
本発明はさらに、必要のある個体を、前記個体に神経保護を与えるために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する、神経保護のための治療的免疫の方法に関する。
【0047】
1つの実施形態において、本発明は、必要のある個体を、CNS又はPNSにおける損傷によって引き起こされる神経変性を治療するための治療的免疫の方法を提供し、この方法は、前記個体における損傷によって引き起こされる神経変性を治療するのに有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0048】
別の実施形態において、本発明は、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するための治療的免疫の方法を提供し、この方法は、必要のある個体を、前記個体のCNSにおける一次損傷に続き得る神経変性を予防又は阻害するために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0049】
さらなる実施形態において、本発明は、損傷の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するための治療的免疫の方法を提供し、この方法は、必要のある個体を、損傷後の前記個体のCNS又はPNSにおける神経再生を促進するために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0050】
CNS又はPNSにおける任意の損傷(例えば、脊髄損傷、鈍的外傷、穿通性外傷、脳の直撃若しくは対側衝撃、出血性脳卒中、及び虚血性脳卒中であるがこれらに限定されない)が本発明に従って治療され得る。
【0051】
なお別の実施形態において、本発明は、CNS又はPNSにおいて疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するための治療的免疫の方法に関し、この方法は、必要のある個体を、前記個体のCNS又はPNSにおける疾患、障害、又は状態によって引き起こされた神経変性を治療するために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0052】
なおさらなる実施形態において、本発明は、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するための治療的免疫の方法に関し、この方法は、必要のある個体を、前記個体におけるCNS又はPNSの疾患、障害、又は状態の後で必要とされるCNS又はPNSにおける神経再生を促進するために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0053】
なおさらなる実施形態において、本発明は、グルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための治療的免疫の方法に関し、この方法は、必要のある個体を、前記個体におけるCNS又はPNSの細胞をグルタミン酸毒性から保護するために有効な量で、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンを用いて免疫する工程を包含する。
【0054】
本発明に従って治療され得る疾患、障害、及び状態の間には以下のものがあるがこれらに限定されない:アルツハイマー病を含む老人性痴呆症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、顔面神経麻痺(ベル麻痺)、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症を含む運動ニューロン疾患、クロイツフェルト−ヤーコブ病を含むプリオン病、アルパーズ病、バッテン病、コケーン症候群、レヴィー小体病、てんかん重積持続状態、手根管症候群、椎間板ヘルニア、ビタミンB欠乏などのビタミン欠乏、てんかん、記憶喪失、不安、痛覚過敏、精神病、発作、酸化的ストレス、アヘン耐性及びアヘン依存性、多発性硬化症(MS)などの自己免疫疾患、又はアミロイド多発性神経障害などの疾患に関連する末梢性神経障害、糖尿病性神経障害、尿毒症性神経障害、ポルフィリン症性多発性神経障害、低血糖症、シェーグレン−ラルソン症候群、急性感覚性神経障害、慢性運動失調性神経障害、胆汁性肝硬変、原発性アミロイドーシス、閉塞性肺疾患、先端巨大症、吸収不良症候群、真性赤血球増加症、IgAガンマパシー及びIgGガンマパシー、ニトロフラントイン、メトロニダゾール、イソニアジドなどの種々の薬物及びアルコール又は有機リン酸などの毒素の合併症、シャルコー−マリー−ツース病、毛細血管拡張性運動失調、フリートライヒ運動失調、副腎脊髄神経障害、巨大軸索神経障害、レフサム病、ファブリー病、リポタンパク質症、非動脈炎性眼神経障害、年齢関連黄斑変性、網膜変性などの網膜障害、又は緑内障などの異常上昇した眼圧と関連する疾患。
【0055】
発明の背景のセクションにおいて言及したように、本発明者らは、1996年に、おそらく緑内障において、神経系に対する任意の損傷又はCNSの任意の神経変性疾患におけるのと同様に、第1の事象(例えば、圧力上昇)を見逃した神経に影響を与える変性の進行中のプロセスが存在することを示唆した(Schwartzら、1996)。このプロセスは、第1の事象の結果として表れた化合物によって、又は第1の危険因子の結果としての損失によって媒介され、これらのすべてが初期の侵襲に隣接するニューロンに敵対的な環境を作り出す(Schwartzら、1996;Schwartz及びYoles、2000a及び2000b)。このようなプロセスが緑内障において起こり得るという認識によって、所定の時間施術すると変性の進行を停止し得る治療の探索は助長された。
【0056】
確かに、1996年以来、これらのメディエーターをブロック、回避、若しくは除去する方法を見出すため、又はすでに変性したニューロンによって作られる敵対的環境に対して残りのニューロンをより耐容性にする方法を見出すために、毒性のメディエーターを同定する試みが世界的規模でなされている。
【0057】
本発明者らのグループは、約4年前に、損傷した視神経又は損傷した網膜が全身性の免疫系にストレスシグナルを送達し、そしてストレスの部位に存在する豊富な抗原に対して指向されるT細胞応答の誘発を導くことによってその補助を補充することを見出した。免疫応答の特異性は傷害の部位にT細胞を運ぶための方法である。一旦活性化すると、このようなT細胞は、局所的に、小神経膠細胞、星状細胞、及びおそらくニューロンにさえ影響を与えるサイトカイン及び神経栄養因子の供給源として働く。本発明者らの研究の過程で、本発明者らは、このような免疫応答が、追加免疫される必要のある、外傷におけるような、傷害状態及び疾患状態に対処するために身体を補助する必要が基本的にあることに気付いた(Moalemら、1999;Schoriら、2001及び2002;Kipnisら、2000)。
【0058】
本発明者らは、その敵対的な環境から損傷した神経を保護するために必要とされるT細胞依存性免疫応答を首尾よく追加免疫するいくつかの方法を見出した。リスクのない保護は、広いスペクトルの自己抗原と、低いアフィニティーで交差反応する化合物の使用によって見出された。このような化合物の1つはコポリマー1すなわち酢酸グラチラマーである。この化合物は、多発性硬化症の患者のために認可された薬物であり、したがって、自己免疫疾患を引き起こすリスクを有しないという大きな利点を有する(Schoriら、2001及び2002;Kipnisら、2000)。
【0059】
本発明者らの以前の特許出願WO01/52878及びWO01/93893において記載されたように、アジュバント中で乳化されたコポリマー1は、IOP上昇の慢性モデルにおいてIOP上昇に対してRGCについて保護的であることが見出された。本発明で、本発明者らは、Cop−1が十分に強力であり、したがって、IOPの急性モデルと慢性モデルの両方においてIOPの結果に対して有効に保護し得る強烈な免疫応答を誘発し得ることを議論する。興味深いことに、Cop−1は、慢性MS病のために使用されるレジメン(すなわち、毎日の反復注射)において投与される場合に、単回注射の利点を相殺し、自己免疫疾患及び神経変性疾患についての要件が異なっているとの主張を立証する(Schwartz及びKipnis、2002;Kipnis及びSchwartz、2002)。前者は抑制を必要とするが、後者は免疫活性化を必要とし、両者は一方が免疫調節のアプローチを取る場合に合致し得る。
【0060】
本願の実験において明らかとなった別の特徴は、慢性高IOPに付随するRGC損失の場合において、介入が疾患の進行を停止する際の任意の時点で有効であることである。IOPの慢性モデルにおいて、相互作用が0日目よりも7日目でより有効であったという事実は、IOPの上昇が高すぎて死がはるかにより早く起こる急性モデルにおけるのとは異なり、RGCの損失が圧力の上昇後すぐには開始されないことを示唆する。
【0061】
Cop−1を用いるワクチン接種による保護は、薬物Cop−1それ自体によっては媒介されないが、それが誘発する免疫応答によって媒介されることが、T細胞枯渇動物において効果が観察されない場合に明らかになった。このことは、身体からのそのクリアランスが早く、薬物を保持する必要が存在する薬理学的化合物にはよくあるような、免疫保護のために薬物の毎日の投与の必要性がなぜ存在しないかを説明する。しかし、化合物の投与は、進行している変性からの保護のために必要とされるT細胞の最適レベルを保持するために定期的に必要とされる。
【0062】
Cop−1が緑内障において保護的である方法は、T細胞応答を誘発することを通してである。誘発されたT細胞は眼に向かい、ここでこのT細胞は眼に存在するのと同じ自己抗原を提示し得る小神経膠細胞と接触し、このT細胞はその小神経膠細胞と相互作用し得る。活性化されたT細胞は、保護のために必要とされるサイトカイン及び神経栄養性因子の供給源である。本発明者らのインビトロ研究は、活性化されたT細胞が、ストレスに対処し得る小神経膠細胞中の遺伝子のクラスター、及びまた、それらの緩衝性活性と関連する遺伝子をアップレギュレートし得ることを示唆した。
【0063】
他の研究は、眼における毒性化合物を中和し得る化合物が、緑内障のための治療として潜在的に開発され得ることを明らかにした。このような化合物の中には、NMDAアンタゴニスト、NOシンテターゼインヒビターがある。緑内障は任意の他の神経変性疾患と同様に単一の化合物の疾患ではないので、全体的な保護を得るためにはいくつかの薬剤を組み合わせなくてはならないことが示唆される。本発明に従うワクチン接種の利点は、それが身体自体のストレスを除去する方法を刺激すること、及びそれが、部位特異的であるが損傷特異的でない免疫細胞の活性を誘発し、したがって、広範な脅威から保護し得るという事実にある。
【0064】
本発明に従って、Cop1点眼剤を用いる単回治療が、急性又は慢性の緑内障ラットモデルにおけるIOP誘導性RGC損失に対してRGCを保護する際の有効な治療として見出された。動物に注射された場合にCop1の神経保護効果を示す本発明者らによる以前の刊行物を考慮すると、Cop1が点眼剤として投与された場合に全身的に神経保護を付与することを発見することは非常に驚きであった。
【0065】
本発明の1つの好ましい実施形態において、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、又はコポリマー1関連ポリペプチドを含む点眼ワクチンは、緑内障を治療するため、すなわち、緑内障、視神経の神経変性疾患の進行を阻止するために使用される。上記に言及したように、眼圧(IOP)の上昇は、しばしば慢性又は急性の緑内障と関連する。しかし、非常に頻繁に、圧力の減少は疾患の進行を停止するために不十分である。自己破壊の要素は、疾患進行と関連することが見出されている。ここで本発明者らは、点眼剤中に(又は比較のために、皮下的に)与えられるCop1を用いる単回ワクチン接種が、IOP誘導性損失からRGCをレスキューするために十分であることを示す。さらに、本発明者らは、疾患の慢性モデルにおいて、遅延処理(7日)がIOPの慢性モデルにおいてすぐの治療と同程度に有効であることを見出した。点眼剤を用いて又は全身的にのいずれかでの治療が、直接的には有効ではないが免疫媒介性であることの証拠が提供される。T細胞枯渇した動物において効果は達成されないが、しかし、点眼効果は、眼において眼圧が上昇した側に対して対側性に与えられた場合に達成される。免疫化の結果及び経路は、臨床的な発生のために直接的に実施され得る。
【0066】
本発明に従って、本発明の活性薬剤としての使用のための好ましいコポリマーはCop1であり、最も好ましくは一般名酢酸グラチラマーの下で知られるその酢酸塩の形態である。投与されるCop1の投薬量は、患者の年齢及び疾患の段階に従って医師によって決定され、これは0.1mgから1,000mgの範囲、好ましくは10mgから80mgの範囲、より好ましくは20から60mgの範囲から選択され得るが、任意の他の適切な投薬量が本発明によって含まれる。
【0067】
多発性硬化症の患者のために、投与は、1回又は複数回の投与で毎日行われ得、好ましくは、合計0.1mgから1,000mgで1回から3回の毎日の用量、好ましくは10mgから80mgの範囲内、より好ましくは20mgから60mgであり、又は隔日で投与されるが、任意の他の適切な投薬量が、患者の状態に従って本発明によって想定される。多発性硬化症以外の患者のために、Cop1の投薬量は、定期的な頻度で上記に示されたように、例えば、少なくとも1週間に1回、又は少なくとも1カ月に1回まで、又は2カ月若しくは3カ月毎に少なくとも1回まで、又はより少ない頻度であるが、しかし免疫化の間の任意の他の適切な間隔が、患者の状態に従って本発明によって想定される。
【0068】
以下の実施例は、本発明の特定の特徴を例証するが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0069】
(実施例)
材料及び方法
(i)動物。純系成体雄性Lewisラット及びSprague−Dawley(SPD)ラット(8週齢;平均体重300g)はAnimal Breeding Center at The Weizmann Institute of Science(Rehovot、Israel)によって供給された。ラットを光及び温度制御室で維持し、各実験前に齢及び体重について一致させた。すべての動物を、IACUC(International Animal Care and Use Committee)によって作成された規則に従って取り扱った。
【0070】
(ii)慢性的な高い眼圧(IOP)の誘導。水分の流出の閉塞はIOPの増大を引き起こし、これは、RGCの死を生じる(Bakalashら、2002;Schoriら、2001;Jiaら、2000a:Levkovitch−Verbinら、2002)。IOPの増加は以下のようにしてラットの右眼において達成した。ラットを、塩酸ケタミン(50mg/kg)及び塩酸キシラジン(0.5mg/kg)の筋肉内注射によって深く麻酔した。青−緑アルゴンレーザー放射を放出するスリットランプ(Haag−Streit、Koeniz、Switzerland)を使用して、麻酔したラットの右眼を、4つの強膜上静脈のうちの3つに対して方向付けられた80から120の適用で、及び縁叢(limbal plexus)の270°に向かって処理した。レーザービームを1Wの出力で0.2秒適用し、強膜上静脈に100μm、及び縁叢に50μmのスポットサイズを作った。1週間後の2回目のレーザーセッションにおいて、すべての適用においてスポットサイズが100μmであったこと以外は同じパラメーターを使用した。放射は4つすべての強膜上静脈に対して、縁叢の360°に方向付けられた(Schoriら、2001)。
【0071】
(iii)急性の高い眼圧の誘導。IOPの増加を、深く麻酔した(塩酸ケタミン(50mg/kg)及び塩酸キシラジン(0.5mg/kg)、筋肉内注射)ラットの右眼において、ポリエチレンチューブに接続された30ゲージ針を挿入すること及び1バッグの生理食塩水(0.9%)注入によって達成した。注入バッグをラットの頭部の1メートル上に配置し、閉ループ循環を作製した。高いIOPを、針が眼から取り除かれかつ穴がそれ自体でシールされた正確に1時間後に誘導した。
【0072】
(iv)眼圧の測定。大部分の麻酔剤はIOPの減少を引き起こし(Jiaら、2000b)、したがって信頼性のある測定を妨げる。ラットが平穏状態にあった間に正確な圧力測定を得るために、本発明者らは、10mg/mLアセプロマジン(IOPを減少させない鎮静剤)を腹腔内で(i.p.)ラットに注射し、5分後に角膜へのLocalinの適用後、眼圧計(Tono−Pen XL;Automated Ophthalmics、Ellicott City、MD、USA)を用いて両方の眼における圧力を測定した。Tono−Penによって測定されたIOPに対する麻酔剤の報告された効果のため(Jiaら、2000b)、圧力は常にアセプロマジンの注射後同時に測定され、そして各眼から取られた10回の測定の平均が記録された。測定は、すべて日の同じ時間に、異なる機会に対して(3週間、2日毎)なされた。治療されていない対側性眼はコントロールとして役立った。
【0073】
(v)IOPの増加によって引き起こされる網膜損傷の解剖学的評価。親水性神経トレーサー色素デキストランテトラメチルローダミン(ローダミンデキストラン;(Molecular Probes、Eugene、OR、USA))を、視神経の眼窩内部分に直接的に適用した。高いIOPで生存し、かつ生きている細胞体を有し機能的であるままである軸索のみが色素を取り込み得、標識されたRGCを実証する。ラットを24時間後に屠殺し、それらの網膜を切除し、全体をマウントし、そして4%パラホルムアルデヒド中で保存した。RGCを、蛍光顕微鏡(Carl Zeiss、Oberkochen、Germany)中で800倍の強度下で計数した。各網膜から4つの視野を計数し、すべてが同じ直径(0.076mm)を有し、視神経円板から同じ距離であった(Kipnisら、2001;Yolesら、2001)。処理されていないラットからの眼をコントロールとして使用した。RGCは、網膜の同一性に対してブラインドであった観察者によって計数された。
【0074】
(vi)Cop1及びアジュバントを用いる活性免疫化。IOPのレーザー誘導増加又は急性IOP上昇のいずれかを有するラットを、2.5mg/mlのCFA中で乳化した、総量100μlのCop1(100μg)(Teva Pharmaceutical Industries Ltd.、Petach Tikva、Israel)で免疫した(Kipnisら、2000)。各動物を、尾の根元で皮下的にワクチン接種した。
【0075】
(vii)アジュバントを用いない、Cop1を用いる活性免疫化。PBS中のCop−1を、一次損傷後、異なる濃度及び異なる時点で皮下的に与えた。Cop−1の局所的投与を、20mg/mlの濃度でPBS中に物質を浸漬する後で行った。各滴は50μlであったので、本発明者らは、5分毎に1滴、25分間中に計5滴を投与した。
【実施例1】
【0076】
Cop−1ワクチン接種はビヒクルなしで与えたときにIOP誘導性の死からRGCを保護する
以前の研究は、アジュバント中で乳化されたCop1がIOP誘導性のRGCの死に対して保護することを示した。ここで、本発明者らは、その効果が慢性モデルにおいて長期的に持続するか否かを試験した。
【0077】
動物を、IOPの片眼性上昇に供し、レーザー治療の日に免疫した(IOP上昇を誘導するために)。ラットを、最初のレーザー照射の日にIOPの慢性的上昇に供した。動物を4つの群に分けた:2つの群はCFA中で乳化したCop−1を受容し、そして2つの群はCFA中のPBSを受容した。1つの群のCop−1処理動物から、3週間後に網膜を切除し、そして第2の群はCop−1を、2、6、及び9週間後に受容した。この群から、最初のレーザー照射の12週間後に網膜を切除した。2つのPBS−CFA処理群のうち、1つは最初のレーザー照射の3週間後のRGC生存について分析し、そして1つはレーザーの2、6、及び9週間後にPBS−CFAのさらなる注射を受容し、かつ最初のレーザーの12週間後に網膜を切除した。結果を図1に示す。3週間後及び12週間後の生存しているRGCの数の評価は、IOP上昇の開始の12週間後でさえ、コントロールとCop−1免疫ラットとPBS免疫ラットとの間の有意な違いを明らかにした。Cop−1の有益な効果(RGC死の%として表現される)は、3週間目(12.6±5対45.7±8、n=7)及び12週間目(33.7±1.4対57.2±6.3、それぞれn=5及び4)で見られた。このように、最初のレーザー照射の12週間後、3週間目と比較してさらなるRGCの損失が存在した(3週間目の45.7%から12週間目までに57.20%まで)。それにもかかわらず、ワクチン接種は、最初のレーザーの12週間後に損失を33.7%まで減少させた。ある程度の損失は不可避であったが、ある程度の損失は、IOPが最初に上昇した後12週間までの長さでさえ保護を受けたようである。
【実施例2】
【0078】
アジュバントを伴わないCop−1免疫化
Cop−1は複数のエピトープを有する高分子量化合物であるので、本発明者らは、それがアジュバントを伴わない場合でさえ免疫原性であり得る可能性を考慮した。
【0079】
第1の実験において、ラットをIOP上昇に供し、そしてレーザー治療の最初の日に、種々の投薬量(100μg、250μg、500μg、及び1000μg)で、アジュバントを含まない異なる投薬量のCop−1の皮下注射を受容させた;コントロール動物はPBSを受容した。結果は図2Aに示され、これは、ラットに皮下注射された500μgのCop−1を用いて達成され得る最適な効果を示す;より高い投薬量又はより低い投薬量は効果が少なかった。500μgで治療された群は、100μgで治療した群における44±6%のRGC死、及び250μgで治療した群における50.5±8%のRGC死と比較して、最大の効果:26.6±10%のRGC死を示した。すべての群において、4から6匹の動物を含めた。
【0080】
別の実験において、本発明者らはまた、タイミング及び頻度を試験し、IOP上昇後7日目での注射が、0日目よりもより効果的であったのに対して、1週間又は毎日のいずれかの間隔での反復注射はより効果が小さいことを見出した。ラットをIOPに供し、そして最初のレーザーの直後(0)、又は1週間後(7)、又は0日目と7日目の両方(0、7)、又は0日目から開始して7日間の連続して毎日(0−7)のいずれかで、アジュバントを含まない500μgのCop−1を受容させた。コントロール群はPBSを受容した。網膜は3週間後に切除した。結果を図2Bに示し、これは、RGC死の%が7日目の単回注射を受容した群において最も低く、7日間毎日注射を受容した群において最も高かったことを示す(19.1±4.7対41.4±6、p<0.01)。
【0081】
アジュバントを含まないCop−1の効果をまた、IOPが最初に上昇した6週間後に試験した。2回の注射−1回は0日目及び2回目は3週間後−は、3週間後の単回注射よりも効果的であることが見出された。このことは、ワクチン接種が死の動態学と同調するはずであり、これはより効果が低いことを示唆する。IOPが最初に上昇する3週間後よりも初期に死は開始するので、最初の注射が、IOPが最初に上昇する3週間後に与えられる場合にはより効果が低い。
【実施例3】
【0082】
Cop−1効果はT細胞依存性である
Cop−1の効果が確かに免疫媒介性であり、かつ局所的薬物として作用しないことを確認するために、本発明者らは、IOPが上昇した、T細胞枯渇している動物にCop−1を投与した。
【0083】
第1の実験において、正常成体ラット及びT細胞枯渇している成体ラット(出生時に胸腺摘出を受けた結果として)を、IOP上昇に供した。IOP上昇の直後に、動物は、Cop−1、単回注射、又はPBS、又は毎日のブリモニジンを受容した。3週間後、網膜を切除し、RGCを計数した。IOP上昇後、胸腺摘出していない動物において、胸腺摘出した動物におけるよりも、より少ないパーセンテージのRGCが死滅した(34±3対50.2±3、p<0.001、それぞれn=6及び5)。図3A及び3Bに示されるように、α2−アドレナリンレセプターアゴニスト緑内障薬物ブリモニジンで処理した、胸腺摘出した動物において、RGCの損失は、非処理の胸腺摘出ラット又はCop−1処理した胸腺摘出ラットにおけるよりも低かった[38.7±(n=6)対55±5.2(n=5);p=0.001]。上昇したIOPを有する胸腺摘出していない動物におけるブリモニジン及びCop−1の効果は、図3Bに示される。胸腺摘出していない動物のCop−1での処理は、ブリモニジンよりも効果的であった(23.5±5.7対34.5±3.51、p<0.05)。コントロール未処理群における死の%は47.9±7.5であった。2つの処理の間に相乗作用は明白ではなかった。
【0084】
したがって、予測されるように、T細胞枯渇動物における損失は正常動物におけるよりも高かった(50%対30%)。第2に、Cop−1はT細胞枯渇動物におけるIOP−誘導性RGCを減少しなかった(55%対50%)。対照的に、ポジティブコントロールとして使用したα2−アドレナリンレセプターアゴニストは、胸腺摘出した動物においてさえRGC損失から保護した(図3A)。本発明者らはまた、正常動物においてIOP−誘導性死からRGCを保護する際にα2−アドレナリンレセプターアゴニストブリモニジンとCop−1との間の相乗作用が存在するか否かを試験した。図3Bは、同時に与えられた場合に、RGC保護の程度に関する限り、2つの化合物の間に相加効果又は相乗効果が存在しないことを示す。したがって、これらの結果は、Cop−1が強力な免疫原であり、かつIOPが上昇する7日後の単回注射後にIOP誘導性死からRGCを保護し得ることを示す。
【実施例4】
【0085】
Cop−1点眼剤は慢性IOPのモデルにおいてRGCを保護する
Cop−1治療はT細胞媒介され、本発明者らはアジュバントを伴わない単回注射が保護を示すために十分であることを上記で示したので、ここで本発明者らは、アジュバントを伴わない点眼剤としてCop−1を使用する可能性を探索した。点眼剤の約10%が血液中に入っていくと仮定して、本発明者らは、5mgのCop−1(皮下的に与えられた場合に活性であることが見出されている最適量500μgの10倍)に等価な点眼剤を適用した。Cop−1点眼剤を、慢性モデルにおいてIOP上昇の直後(図4A)又は7日後(図4B)のいずれかに与えた。点眼剤を用いるCop−1保護は、皮下的に与えた場合に、同様に効果的であった。これは、圧力上昇の3週間後に評価した(p<10−5;103 RGC対150 RGC)。
【実施例5】
【0086】
Cop−1点眼剤は急性IOPのモデルにおいてIOP誘導性死からRGCを保護する
慢性IOPの結果は、緑内障の急性モデルにおいてCop−1がRGCのIOP誘導性損失から保護し得るか否かを試験するよう本発明者らを促した。
【0087】
本発明者らは、IOPの一過性上昇(40mm/Hgについて1時間)の十分に較正されたモデルを以前に確立した。これは2週間後にRGCの約50%の損失を生じた。このIOP上昇の急性モデルにおいて、アジュバントを伴わないCop−1の適用は、2週間後に20%のみの損失を生じた。
【0088】
54.75±11mmHgの平均IOPを有するLewisラットにおける急性IOP上昇モデルを使用して、本発明者らは、皮下的に(図5A)又は局所的に(点眼剤;図5B)、Cop−1又はビヒクル(PBS)のいずれかを用いてワクチン接種した。IOPの上昇の1時間後すぐに、25分間の過程の間にわたって総計5mgのCop−1を各動物に与えた。IOP上昇の2週間後の平均細胞死の比率は、コントロール群において58.58%±7.42(n=4)及びCop−1ワクチン接種群において31.12±3.22(n=4)p<0.001であった。
【0089】
2つの投与の経路は、IOPが惹起された2週間後に評価された場合に、RGCを保護する際に同様に有効であると思われた。点眼剤が免疫化の経路を提供し、局所的薬物適用の手段ではないことを証明するために、本発明者らは、1つの眼において圧力を上昇させ、対側側の眼に点眼剤中のCop−1を適用した。同側性に与えられた場合と同じ効果が得られた。
【0090】
引用文献
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【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】コポリマー1(Cop−1)が、慢性モデルにおいてIOP−誘導性の死からRGCを保護する際に持続性効果を有することを示す図である。
【図2A】アジュバントを伴わない500μg Cop−1を用いる(2A)、最初のレーザー治療の7日後(2B)の免疫化が、慢性モデルにおいてIOP−誘導性のRGC死からRGCを保護することを示す図である。
【図2B】アジュバントを伴わない500μg Cop−1を用いる(2A)、最初のレーザー治療の7日後(2B)の免疫化が、慢性モデルにおいてIOP−誘導性のRGC死からRGCを保護することを示す図である。
【図3A】Cop−1の効果がT細胞依存性であることを示す図である。胸腺摘出していない動物におけるCop−1を用いる上昇したIOPの治療は、胸腺摘出した動物において(3A)より有効であったこと、及び緑内障薬物ブリモニジン(3B)よりも有効であった。
【図3B】Cop−1の効果がT細胞依存性であることを示す図である。胸腺摘出していない動物におけるCop−1を用いる上昇したIOPの治療は、胸腺摘出した動物において(3A)より有効であったこと、及び緑内障薬物ブリモニジン(3B)よりも有効であった。
【図4A】点眼薬において適用されるCop−1が慢性モデルにおいてIOP−誘導性のRGC死から保護することを示す図である。各々5分間隔で与えられる5滴の1mg Cop−1が、IOP上昇の慢性モデルにおいて、IOP上昇の直後(4A)又は7日後(4B)に適用された。網膜は3週間後に切除された。
【図4B】点眼薬において適用されるCop−1が慢性モデルにおいてIOP−誘導性のRGC死から保護することを示す図である。各々5分間隔で与えられる5滴の1mg Cop−1が、IOP上昇の慢性モデルにおいて、IOP上昇の直後(4A)又は7日後(4B)に適用された。網膜は3週間後に切除された。
【図5A】Cop−1が皮下的に(5A)又は点眼剤として(5B)投与された場合に、急性一過性IOP上昇に対してRGCを保護することを示す図である。
【図5B】Cop−1が皮下的に(5A)又は点眼剤として(5B)投与された場合に、急性一過性IOP上昇に対してRGCを保護することを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群から選択される活性薬剤を含む、哺乳動物の治療的免疫のための点眼ワクチン。
【請求項2】
中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷又は疾患、障害又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための、請求項1に記載の点眼ワクチン。
【請求項3】
前記損傷が脊髄損傷、鈍的外傷、穿通性外傷、脳の直撃若しくは対側衝撃、出血性脳卒中、又は虚血性脳卒中である、請求項2に記載の点眼ワクチン。
【請求項4】
前記疾患、障害、又は状態が、アルツハイマー病を含む老人性痴呆症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、顔面神経麻痺(ベル麻痺)、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症を含む運動ニューロン疾患、クロイツフェルト−ヤーコブ病を含むプリオン病、アルパーズ病、バッテン病、コケーン症候群、レヴィー小体病、てんかん重積持続状態、手根管症候群、椎間板ヘルニア、ビタミンB欠乏などのビタミン欠乏、てんかんなどの発作障害、精神分裂病及び不安などの精神病性障害、記憶喪失、痛覚過敏、酸化的ストレス、アヘン耐性及びアヘン依存性、自己免疫疾患、アミロイド多発性神経障害などの疾患に関連する末梢性神経障害、糖尿病性神経障害、尿毒症性神経障害、ポルフィリン症性多発性神経障害、低血糖症、シェーグレン−ラルソン症候群、急性感覚性神経障害、慢性運動失調性神経障害、胆汁性肝硬変、原発性アミロイドーシス、閉塞性肺疾患、先端巨大症、吸収不良症候群、真性赤血球増加症、IgAガンマパシー及びIgGガンマパシー、ニトロフラントイン、メトロニダゾール、イソニアジドなどの種々の薬物及びアルコール又は有機リン酸などの毒素の合併症、シャルコー−マリー−ツース病、毛細血管拡張性運動失調、フリートライヒ運動失調、副腎脊髄神経障害、巨大軸索神経障害、レフサム病、ファブリー病、リポタンパク質症、非動脈炎性眼神経障害、年齢関連黄斑変性、網膜変性などの網膜障害、又は緑内障などの異常上昇した眼圧と関連する疾患である、請求項2に記載の点眼ワクチン。
【請求項5】
前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項4に記載の点眼ワクチン。
【請求項6】
前記ワクチンがアジュバントを伴わない活性薬剤を含む、請求項1に記載の点眼ワクチン。
【請求項7】
前記ワクチンが可溶性アジュバントを伴う活性薬剤を含む、請求項1に記載の点眼ワクチン。
【請求項8】
前記可溶性アジュバントがサイトカインである、請求項7に記載の点眼ワクチン。
【請求項9】
前記サイトカインがIL−2、IL−12、IFN−γ、又はGM−CSFである、請求項8に記載の点眼ワクチン。
【請求項10】
前記活性薬剤がコポリマー1である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の点眼ワクチン。
【請求項11】
前記活性薬剤がコポリマー1関連ペプチド又はコポリマー1関連ポリペプチドである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の点眼ワクチン。
【請求項12】
多発性硬化症患者に少なくとも毎日又は隔日の頻度で投与するための、請求項1に記載の点眼ワクチン。
【請求項13】
少なくとも7日に1回、少なくとも毎月1回まで、少なくとも2カ月から3カ月に1回までの頻度で、非多発性硬化症患者へ定期的に投与するための、請求項1に記載の点眼ワクチン。
【請求項14】
緑内障患者への投与のための、請求項13に記載の点眼ワクチン。
【請求項15】
哺乳動物の治療的免疫用の点眼ワクチンの製造のための、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、又はコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤の使用。
【請求項16】
前記点眼ワクチンが、中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記損傷が脊髄損傷、鈍的外傷、穿通性外傷、脳の直撃若しくは対側衝撃、出血性脳卒中、又は虚血性脳卒中である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記疾患が、アルツハイマー病を含む老人性痴呆症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、顔面神経麻痺(ベル麻痺)、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症を含む運動ニューロン疾患、クロイツフェルト−ヤーコブ病を含むプリオン病、アルパーズ病、バッテン病、コケーン症候群、レヴィー小体病、てんかん重積持続状態、手根管症候群、椎間板ヘルニア、ビタミンB欠乏などのビタミン欠乏、てんかん、記憶喪失、不安、痛覚過敏、精神病、発作、酸化的ストレス、アヘン耐性及びアヘン依存性、自己免疫疾患、又はアミロイド多発性神経障害などの疾患に関連する末梢性神経障害、糖尿病性神経障害、尿毒症性神経障害、ポルフィリン症性多発性神経障害、低血糖症、シェーグレン−ラルソン症候群、急性感覚性神経障害、慢性運動失調性神経障害、胆汁性肝硬変、原発性アミロイドーシス、閉塞性肺疾患、先端巨大症、吸収不良症候群、真性赤血球増加症、IgAガンマパシー及びIgGガンマパシー、ニトロフラントイン、メトロニダゾール、イソニアジドなどの種々の薬物及びアルコール若しくは有機リン酸などの毒素の合併症、シャルコー−マリー−ツース病、毛細血管拡張性運動失調、フリートライヒ運動失調、副腎脊髄神経障害、巨大軸索神経障害、レフサム病、ファブリー病、リポタンパク質症、非動脈炎性眼神経障害、年齢関連黄斑変性、網膜変性などの網膜障害、又は緑内障などの異常上昇した眼圧と関連する疾患である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記点眼ワクチンがアジュバントを伴わない活性薬剤を含む、請求項15に記載の使用。
【請求項21】
前記点眼ワクチンが可溶性アジュバントを伴う活性薬剤を含む、請求項15に記載の使用。
【請求項22】
前記可溶性アジュバントがサイトカインである、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
前記サイトカインがIL−2、IL−12、IFN−γ、又はGM−CSFである、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
前記活性薬剤がコポリマー1である、請求項15から23までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項25】
前記活性薬剤がコポリマー1関連ペプチド又はコポリマー1関連ポリペプチドである、請求項15から23までのいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
前記点眼ワクチンが少なくとも毎日又は隔日に1回の頻度で多発性硬化症患者へ投与するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項27】
前記点眼ワクチンが少なくとも7日に1回、少なくとも毎月1回まで、少なくとも2カ月から3カ月に1回までの頻度で、非多発性硬化症患者へ定期的に投与するためのものである、請求項15に記載の使用。
【請求項28】
緑内障患者への投与のための、請求項27に記載の使用。
【請求項29】
緑内障の治療のための点眼ワクチンの製造のためのコポリマー1の使用。
【請求項30】
中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)における損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる神経変性を治療するため、CNSにおいて一次損傷に続き得る二次神経変性を予防又は阻害するため、損傷、疾患、障害、又は状態の後でCNS又はPNSにおいて神経再生を促進するため、或いはグルタミン酸毒性からCNS及びPNSの細胞を保護するための治療的免疫の方法であって、必要のある個体を、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、及びコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンで、前記個体における前記損傷、疾患、障害、又は状態によって引き起こされる前記神経変性を治療、予防、又は阻害するために有効な量で免疫する工程を包含する、方法。
【請求項31】
前記損傷が脊髄損傷、鈍的外傷、穿通性外傷、脳の直撃若しくは対側衝撃、出血性脳卒中、又は虚血性脳卒中である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記疾患が、アルツハイマー病を含む老人性痴呆症、パーキンソン病を含むパーキンソン症候群、顔面神経麻痺(ベル麻痺)、ハンティングトン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症を含む運動ニューロン疾患、クロイツフェルト−ヤーコブ病を含むプリオン病、アルパーズ病、バッテン病、コケーン症候群、レヴィー小体病、てんかん重積持続状態、手根管症候群、椎間板ヘルニア、ビタミンB欠乏などのビタミン欠乏、てんかん、記憶喪失、不安、痛覚過敏、精神病、発作、酸化的ストレス、アヘン耐性及びアヘン依存性、自己免疫疾患、又はアミロイド多発性神経障害などの疾患に関連する末梢性神経障害、糖尿病性神経障害、尿毒症性神経障害、ポルフィリン症性多発性神経障害、低血糖症、シェーグレン−ラルソン症候群、急性感覚性神経障害、慢性運動失調性神経障害、胆汁性肝硬変、原発性アミロイドーシス、閉塞性肺疾患、先端巨大症、吸収不良症候群、真性赤血球増加症、IgAガンマパシー及びIgGガンマパシー、ニトロフラントイン、メトロニダゾール、イソニアジドなどの種々の薬物及びアルコール若しくは有機リン酸などの毒素の合併症、シャルコー−マリー−ツース病、毛細血管拡張性運動失調、フリートライヒ運動失調、副腎脊髄神経障害、巨大軸索神経障害、レフサム病、ファブリー病、リポタンパク質症、非動脈炎性眼神経障害、年齢関連黄斑変性、網膜変性などの網膜障害、又は緑内障などの異常上昇した眼圧と関連する疾患である、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記自己免疫疾患が多発性硬化症である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
アジュバントを伴わない活性薬剤を用いる免疫化を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
可溶性アジュバントを伴う活性薬剤を用いる免疫化を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記可溶性アジュバントがサイトカインである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記サイトカインがIL−2、IL−12、IFN−γ、又はGM−CSFである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記活性薬剤がコポリマー1である、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記活性薬剤がコポリマー1関連ペプチド又はコポリマー1関連ポリペプチドである、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記ワクチンが少なくとも毎日又は隔日に1回の頻度で多発性硬化症患者に投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記ワクチンが少なくとも7日に1回、少なくとも毎月1回まで、少なくとも2カ月から3カ月に1回までの頻度で、非多発性硬化症患者に定期的に投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
緑内障患者の治療的免疫の方法であって、前記患者における緑内障を治療するために有効な量でコポリマー1を含む点眼ワクチンを前記患者に投与する工程を包含する、方法。
【請求項43】
その必要がある個体の中枢神経系(CNS)又は末梢神経系(PNS)において、疾患の神経変性効果によって引き起こされる神経変性を減少させるため、又は損傷の一次神経変性に続く二次神経変性を減少させるための方法であって、必要のある個体を、コポリマー1、コポリマー1関連ペプチド、又はコポリマー1関連ポリペプチドからなる群より選択される活性薬剤を含む点眼ワクチンで、前記個体における損傷又は疾患によって引き起こされる前記神経変性を減少させるために有効な量で免疫する工程を包含する、方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2006−515870(P2006−515870A)
【公表日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500369(P2006−500369)
【出願日】平成16年1月6日(2004.1.6)
【国際出願番号】PCT/IL2004/000006
【国際公開番号】WO2004/060265
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500370311)イエダ リサーチ アンド デベロップメント カンパニー リミテッド (30)
【Fターム(参考)】