説明

泡吐出器

【課題】容器体A内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器であって、使用する液体を収納する容器体のデッドスペースを減らして容器体を小型化でき、取り扱いも容易な泡吐出器を提案する。
【解決手段】大径の空気用シリンダ40及び小径の液用シリンダ41を上下に連設したシリンダ部材C2と、液用ピストン50をステム51外周下部より突設し、空気用ピストン52をステム51外周上部に連係させ、上端に吐出ヘッド53を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材C3とを備え、作動部材C3の上下動により吐出ヘッド53の吐出口より泡を吐出フォーマーポンプCを、容器体A内に液用シリンダ41を垂下し且つ口頸部12上方に空気用シリンダ40を位置させた状態で、連結部材Bを介して容器体Aに装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は泡吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
装着した容器体内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載された泡吐出器は、容器体の口頸部外周に嵌合させた装着キャップに上端部を固定して容器体内に垂下するとともに、大径の空気用シリンダ及び小径の液用シリンダを上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材と、液用シリンダ内を摺動する液用ピストンをステム外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ内を摺動する空気用ピストンをステム外周上部に連係させ、ステム上端に吐出ヘッドを嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材とを備え、作動部材の上下動により液用シリンダ内の液と空気用シリンダ内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッドの吐出口より泡として吐出する如く構成している。
【0004】
従って、容器体内に大径の空気用シリンダと、その下方に連設した小径の液用シリンダとを、一緒に挿入した状態で使用しているため、容器体の内容積に比較して使用可能な液の量が極小量に限定されるという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−208786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、使用する液体を収納する容器体内のデッドスペースを減らして容器体を小型化でき、取り扱いも容易な泡吐出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、容器体A内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器であって、大径の空気用シリンダ40及び小径の液用シリンダ41を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材C2と、液用シリンダ41内を摺動する液用ピストン50をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ40内を摺動する空気用ピストン52をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に吐出ヘッド53を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材C3とを備え、作動部材C3の上下動により液用シリンダ41内の液と空気用シリンダ40内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッド53の吐出口より泡として吐出する如く構成したフォーマーポンプCを、容器体A内に液用シリンダ41を垂下し且つ口頸部12上方に空気用シリンダ40を位置させた状態で、連結部材Bを介して容器体Aに装着した。
【0008】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、連結部材Bは、口頸部12外周に嵌合させた装着筒20を、中央に窓孔21を穿設した底板22の下面より垂設し、底板22周縁部より上方へ周壁23を起立してなり、装着キャップC1より垂設した空気用シリンダ40を周壁23内に、液用シリンダ41を口頸部12内から容器体A内に、それぞれ垂下させた状態で、連結部材周壁23外周に装着キャップ周壁30を嵌合させてフォーマーポンプCを連結部材Bを介して容器体Aに装着した。
【0009】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、周壁23よりフランジ24を介して垂設し、下端を容器体肩部11上に垂下した支持筒25を設け、連結部材Bの装着筒20を口頸部12外周に着脱可能に装着した。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フォーマーポンプCを、容器体A内に液用シリンダ41を垂下し且つ口頸部12上方に空気用シリンダ40を位置させた状態で、連結部材Bを介して容器体Aに装着したので、容器体A内のフォーマーポンプの占める割合が極端に減少し、同じ量の液を収納した従来の容器体と比較して容器体Aの大きさを極めて小さいものとすることができる。
【0011】
連結部材Bは、口頸部12外周に嵌合させた装着筒20を、中央に窓孔21を穿設した底板22の下面より垂設し、底板22周縁部より上方へ周壁23を起立してなり、装着キャップC1より垂設した空気用シリンダ40を周壁23内に、液用シリンダ41を口頸部12内から容器体A内に、それぞれ垂下させた状態で、連結部材周壁23外周に装着キャップ周壁30を嵌合させてフォーマーポンプCを連結部材Bを介して容器体Aに装着した場合には、連結部材Bの構造は極めて簡単であり容易に製造することができ、また、連結部材Bの容器体Aへの装着及び連結部材BへのフォーマーポンプCの装着も極めて容易であり、その組み付け操作を簡便に行うことができる。
【0012】
また、周壁23よりフランジ24を介して垂設し、下端を容器体肩部11上に垂下した支持筒25を設け、連結部材Bの装着筒20を口頸部12外周に着脱可能に装着した場合には、周壁23と装着筒20の凹凸を被覆して外部からの見栄えがよくなり、また、容器体A内の液を使い切った際には液の詰め替えが簡単であり、或いは詰め替え用の容器体の交換により簡単に容器体Aのみの交換が可能となる。その交換操作も支持筒25を掴んで行えるためより円滑な交換が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】泡吐出器の要部切欠側面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1は泡吐出器の一例を示すもので、泡吐出器1は、容器体Aと、連結部材Bと、フ ォーマーポンプCとを備えている。
【0016】
容器体Aは合成樹脂製で、胴部10より肩部11を介して口頸部12を起立しており、肩部11の内外方向中央部には環状の横向き段部13を設け、その内方を一段高く構成している。
【0017】
連結部材Bは合成樹脂製で、口頸部12外周に螺合した装着筒20を、中央に窓孔21を穿設した底板22の下面より垂設し、底板22周縁部より上方へ周壁23を起立している。また、周壁23の外周上下中間部から外方へフランジ24を延設し、フランジ24の外周縁より支持筒25を垂設し、支持筒25の下端縁を容器体Aの肩部11に周設した横向き段部13外周に嵌合させている。
【0018】
フォーマーポンプCは、装着キャップC1と、シリンダ部材C2と、作動部材C3とを備えている。
【0019】
装着キャップC1は、フォーマーポンプCを連結部材Bを介して容器体Aに固定するためのもので、連結部材周壁23外周に螺着させた周壁30の上端縁より、中央に作動部材C3を貫通させる窓孔を開口した頂壁31を延設し、窓孔周縁部より上方へガイド筒32を立設している。
【0020】
シリンダ部材C2は、大径の空気用シリンダ40の下部に、小径の液用シリンダ41を同心円状に延設している。空気用シリンダ40は、周壁部42の下端縁より内方へ上昇するテーパ状の底壁部43を延設し、底壁部43の内周縁に液用シリンダ41の上端縁を一体に連結して構成している。また、周壁部42の上端を装着キャップC1の頂壁31裏面に嵌着して、装着キャップC1より垂設している。
【0021】
液用シリンダ41は、空気用シリンダ40の底壁部43内周縁に周壁部44の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部44の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部45を延設し、底壁部45の上面を吸込み弁用の弁座として構成し、液用シリンダ41内下部を上下動可能に装着されたポペット弁体46とで吸込み弁47を構成している。また、底壁部45の中央開口縁より下方へパイプ嵌合筒を一体に垂設している。パイプ嵌合筒には吸い上げ用のパイプ48の上端を嵌着し、その下端を容器体A内下端部に垂下させている。
【0022】
作動部材C3は、液用シリンダ41内を摺動する液用ピストン50をステム51外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ40内を摺動する空気用ピストン52をステム51外周上部に連係させ、ステム51上端に吐出ヘッド53を嵌着して液用ピストン50下面に介在させたコイルスプリングsによる上方付勢状態で上下動可能に装着している。
【0023】
ステム51内には吐出弁54を備え、吐出弁上方にはメッシュ55を張設した筒体を設けて起泡層としている。更に、空気用ピストン52の内周縁部には空気吐出弁56を形成しており、この空気吐出弁56から起泡層下方の気・液混合室に連通する空気通路57を備えている。また、空気用ピストンには外気導入弁58を設けている。
【0024】
また、スペーサーDを設けてもよい。スペーサーDは、ガイド筒32外周に着脱可能に嵌合した円弧板状の嵌合部60と、嵌合部60の後面より後方へ突設した板状の摘み部61とから構成している。装着したスペーサーDの嵌合部60は吐出ヘッド53の下面に当接して作動部材C3の押し下げを防止する。
【0025】
上記泡吐出器1は、例えば、容器体Aに連結部材Bを嵌着した後、パイプ48、液用シリンダ41を口頸部12から容器体A内へ、また、空気用シリンダ40を連結部材Bの周壁23内に垂下させて装着キャップC1の周壁30を連結部材Bの周壁23に螺合させ、連結部材Bを介して容器体AにフォーマーポンプCを装着することができる。
【0026】
上記フォーマーポンプCは、図1の状態からスペーサーDを外して吐出ヘッド53を押し下げると、空気用ピストン52がステム51に対して相対的に上昇して空気吐出弁56が開き、また下降する空気用ピストン52により空気用シリンダ40内の空気が加圧されて空気通路57を介して気液混合室内に導入される。一方、液用ピストン50が下降してポペット弁体46を吸込み弁用の弁座に当接させるまで下降させるとともに、液用シリンダ41内の加圧液を吐出弁54を介して気液混合室に導入させ、ここで、気液を混合する。気液混合室で混合された気液は起泡層を通過して発泡し、吐出ヘッド53のノズルより泡として吐出される。
【0027】
吐出ヘッド53の押圧を解除するとコイルスプリングsの付勢力により作動部材C3が上昇し、その際空気用ピストン52がステム51に対して相対的に下降して空気吐出弁56が閉じ、空気用シリンダ40内の負圧化によって外気導入弁58が開いて外気が空気用シリンダ40内に導入される。一方、ステム51の上昇によりポペット弁体46は上昇し、吸込み弁47が開いて負圧化した液用シリンダ41内に容器体A内の液が導入され、その際吐出弁54は閉じる。
【0028】
容器体A内の液が無くなった場合には、フォーマーポンプCより容器体Aを外して液の詰め替えを行うことができ、或いは、液の充填されている詰め替え用の容器体Aを装着することで再使用が可能となる。
【符号の説明】
【0029】
1…泡吐出器
A…容器体
10…胴部、11…肩部、12…口頸部、13…横向き段部
B…連結部材
20…装着筒、21…窓孔、22…底板、23…周壁、24…フランジ、25…支持筒
C…フォーマーポンプ
C1…装着キャップ
30…周壁、31…頂壁、32…ガイド筒
C2…シリンダ部材
40…空気用シリンダ、41…液用シリンダ、42…空気用シリンダ周壁部、
43…空気用シリンダ底壁部,44…液用シリンダ周壁部、45…液用シリンダ底壁部、
46…ポペット弁体、47…吸込み弁、48…吸い上げ用パイプ
C3…作動部材
50…液用ピストン、51…ステム、52…空気用ピストン、53…吐出ヘッド、54…吐出弁、
55…メッシュ、56…空気吐出弁、57…空気通路、58…外気導入弁
D…スペーサー
60…嵌合部、61…摘み部
s…コイルスプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体(A)内の液と外気とを混合・起泡して泡として吐出する泡吐出器であって、大径の空気用シリンダ(40)及び小径の液用シリンダ(41)を上下に同心円状に連設してなるシリンダ部材(C2)と、液用シリンダ(41)内を摺動する液用ピストン(50)をステム(51)外周下部より突設するとともに、空気用シリンダ(40)内を摺動する空気用ピストン(52)をステム(51)外周上部に連係させ、ステム(51)上端に吐出ヘッド(53)を嵌着して上方付勢状態で上下動可能に装着した作動部材(C3)とを備え、作動部材(C3)の上下動により液用シリンダ(41)内の液と空気用シリンダ(40)内の空気を合流させて起泡させ、吐出ヘッド(53)の吐出口より泡として吐出する如く構成したフォーマーポンプ(C)を、容器体(A)内に液用シリンダ(41)を垂下し且つ口頸部(12)上方に空気用シリンダ(40)を位置させた状態で、連結部材(B)を介して容器体(A)に装着したことを特徴とする泡吐出器。
【請求項2】
連結部材(B)は、口頸部(12)外周に嵌合させた装着筒(20)を、中央に窓孔(21)を穿設した底板(22)の下面より垂設し、底板(22)周縁部より上方へ周壁(23)を起立してなり、装着キャップ(C1)より垂設した空気用シリンダ(40)を周壁(23)内に、液用シリンダ(41)を口頸部(12)内から容器体(A)内に、それぞれ垂下させた状態で、連結部材周壁(23)外周に装着キャップ周壁(30)を嵌合させてフォーマーポンプ(C)を連結部材(B)を介して容器体(A)に装着した請求項1記載の泡吐出器。
【請求項3】
周壁(23)よりフランジ(24)を介して垂設し、下端を容器体肩部(11)上に垂下した支持筒(25)を設け、連結部材(B)の装着筒(20)を口頸部(12)外周に着脱可能に装着した請求項2記載の泡吐出器。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−91103(P2012−91103A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239917(P2010−239917)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】