泡放出装置、泡放出方法及び泡放出装置の設計方法
【課題】直径が60m以上となるようなタンクや、固定屋根や浮蓋が備えられたタンクにも用いることのできるタンク用泡放出装置を提供する。
【解決手段】本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクに設置される泡放出装置であって、流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、該発泡器と連通して前記タンクの上端周縁に設けられ、該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように該消火用泡を案内する案内流路と、が設けられていることを特徴とする。
【解決手段】本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクに設置される泡放出装置であって、流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、該発泡器と連通して前記タンクの上端周縁に設けられ、該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように該消火用泡を案内する案内流路と、が設けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重油、軽油、灯油、ガソリン、ナフサ、その他石油類およびアルコール類等の、いわゆる消防法上の第4類危険物に規定される可燃性・引火性液体等を貯留するためのタンクに設置され、火災発生時やそのおそれのある場合に、タンク内に発泡した消火剤を放出するための泡放出装置に関するものである。このタンク用泡放出装置は、直径が60m以上となるような大型タンクに対して、特に有効である。
【背景技術】
【0002】
可燃性・引火性液体を貯留する固定屋根タンクの泡消火設備として、図16に示すように、タンクの上端に開口101a及びデフレクタ101bを設け、開口101aから消火用泡102をタンク側壁103に沿って流下させ、可燃性・引火性液体104上に流動展開させて消火(あるいは着火を予防)するという、上部泡供給方式の泡放出装置105が知られている(例えば特許文献1、2参照)。この方式の泡放出装置105によれば、消火用泡102がタンク側壁103に沿って穏やかに流下するため、泡が可燃性・引火性液体104に到達した際の泡のもぐりこみや泡の勢いによる撹拌効果が小さく、このため可燃性・引火性液体によって泡が汚染・破泡されることによる泡の性能低下を最小限にとどめることができ、消火効果や着火防止効果をより発揮できるという利点を有する。
【0003】
しかし、この上部泡供給方式の泡放出装置は、固定設備として設置されるため、放出された消火用泡の性状に応じて、水平方向の流動展開距離に限界が存在することが知られている。例えば、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令(昭和五十一年六月十二日自治省令第十七号)では、泡放出口は「流動展開する水平距離がおおむね30mを超えない距離で設置する」と定められており、流動展開する泡の水平距離が30m以上(直径60m以上)となるタンクの場合、展開距離が不足してタンク中央部まで届かず、泡消火(着火予防)設備の機能が十分に果たせないことになる。
【0004】
このため、タンク中央部の泡の未到達部分に泡を補完するための底部泡注入方式の泡放出装置(特許文献3参照)を設置することも考えられる。この方式によれば、底部から泡を注入する位置を自由に設定できるため、消火用泡の展開距離が問題になることはない。なお、浮蓋が存在する場合は、それらの構造物によって泡の浮上が阻害され、底部泡注入方式の泡放出装置を設置することができない。このため、浮屋根や浮蓋の一部あるいは全部が可燃性・引火性液体中に沈没するような極めて危険性の高い状況を考慮するならば、タンクの外から消火用泡を供給可能な泡放水砲などを用いて、タンク中央部に泡を供給する手段を利用することになる。
【0005】
しかし、固定屋根を有し、かつ、内部に浮蓋を有する内部浮蓋付き固定屋根タンクの場合は、前記理由により底部泡注入方式を利用できないばかりか、固定屋根の存在により、タンクの外からの泡供給手段も利用することができない。
すなわち、内部浮蓋付き固定屋根タンクは、必然的にタンク直径を小さくしなければならないという制約が生まれることとなり、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令(昭和五十一年六月十二日自治省令第十七号)を遵守すれば、その直径は60m未満でなければならないことになる。
【0006】
このため、本発明者らは、図17に示すように、浮屋根式タンクの浮屋根110に設置可能な泡放出機構111を開発し(特許文献4参照)、この泡放出機構を内部浮蓋付き固定屋根タンクの内部浮蓋に設置することも考案した。この泡放出機構111にはフロート111aが設けられており、フロート111aが液体に浸かると当該フロートの浮力により上部放出口111bが開口し、下部放出口111cが閉じるようにされており、フロート111aが液体中から飛び出した状態では、当該フロートに働く重力により上部放出口111bが閉じられ、下部放出口111cが開口するようにされている。そして上部放出口111b及び下部放出口111cは、送泡管112を経由して発泡器113に接続されている。このため、地震による揺動等で浮屋根式タンクの浮屋根が傾いたり、沈んだりしたりした場合、フロート111aの動きに応じて適切な放出口が開口し、消火用泡を適切な方向に向かって放出することができる。
【0007】
しかし、内部浮蓋付き固定屋根タンクの浮蓋は、屋根としての強度を考慮する必要がないため、比較的機械的強度の小さい薄板構造や、浮力の余裕が少ない構造の場合もある。このような構造の浮蓋の場合は、この泡放出機構を設置することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭47−44397号
【特許文献2】実用新案登録第1714093号
【特許文献3】実用新案登録第1494445号
【特許文献4】特許第4139824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、直径が60m以上となるような大きなタンクや、固定屋根や浮屋根や内部浮蓋が備えられたタンクにも用いることのできるタンク用泡放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクの上端周縁に固定して設置される泡放出装置であって、流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し、消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、該発泡器で発生した消火用泡を該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように案内する案内流路とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の泡放出装置では、消火剤と水との混合液が絞りを高速で通過する際、吸気孔から空気が取り込まれて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、発泡器と連通する案内流路によって案内されてタンクの上端周縁から、タンクの径内方向に向けて放出され、タンク内の液面上に着液する。こうして着液した泡は、水平方向の運動力を有しているため、液面上をさらに展開して長い距離を直線状あるいは楕円状に被覆する。このため、直径が60m以上となるような大きなタンクにも適用することができる。また、固定屋根タンクや浮屋根式タンク、さらには、浮蓋の機械的強度が小さな内部浮蓋付き固定屋根タンクなど、タンクの種類によらず適用が可能である。
【0012】
本発明の泡放出装置では、案内流路はタンクの径内方向に向かって延在する管状とすることが好ましい。こうであれば、消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出し、確実に放出させることができる。
【0013】
本発明の泡放出装置では、前記案内流路と前記絞りとは軸心を同じくすることも好ましい。こうであれば、絞りを通って発泡して生成した消火用泡の移動方向と、案内流路を通過する消火用泡の移動方向とが一致するため、消火用泡の移動速度が低減され難く、より遠くまで消火用泡を吐出することができる。
【0014】
本発明の泡放出装置では、絞りが、流れの方向が前記案内流路とは逆向きの逆流流路と、該逆流流路の下流の一端側に設けられ、前記案内流路に連通する絞り部とからなることも好ましい。こうであれば、消火剤が逆流流路から折り返して案内流路へ向かうため、泡放出装置の全体の長さを短くすることができる。このため、設置場所の省スペースを図ることができる。
また、この場合において、逆流流路と前記案内流路とが二重管構造となるように設けることにより、さらに省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、案内流路はタンク内に突出していないことが好ましい。こうであれば、地震等による浮屋根や浮蓋のスロッシング(揺動)あるいは固定屋根の沈下や部品落下よって案内流路が破損することは無く、非常時に確実に泡放出を行うことができる。
【0016】
本発明の泡放出装置を用いることにより、本発明の消火用泡の放出を行うことができる。すなわち、本発明の消火用泡放出方法は、可燃性液体や引火性液体を貯留するタンク内に消火用泡を放出して液面上に該消火用泡を展開する消火用泡放出方法において、前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより、該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする。
【0017】
ここで、前記タンクの上端周縁から径内方向に向けてノズルから吐出される消火用泡は、フッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることが好ましい。このような消火用泡であれば、耐火性、耐熱性、流動性、及び展開力に優れ、可燃性液体や引火性液体への混合もされ難いため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0018】
また、前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、水成膜泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることも好ましい。このような消火用泡であれば、流動性、及び展開力にも優れ、可燃性液体や引火性液体への混合もされ難いため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0019】
さらに、可燃性・引火性液体のうち、アルコール類を貯留するタンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、耐アルコール泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火用泡であれば、流動性、及び展開力にも優れ、アルコール類への混合もされ難いため、消火用泡の汚染や、アルコール類の水溶性による破泡の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0020】
また、本発明の消火用泡放出方法において、消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させる方法を用いるとともに、タンクの上端周縁からタンク壁に沿って流下させ、液面周縁に着液させてから液面上を流動展開させる方法を併用させることも好ましい。こうであれば、消火用泡を可燃性・引火性液体の液面の中央付近で展開させるだけでなく、周縁からも展開させることが可能となる。このため、直径が60m以上となるような大きな直径のタンクの消火設備としても適用することができる。
【0021】
本発明の泡放出装置の設計方法とし、次の方法を採用することができる。
すなわち、本発明の泡放出装置の設計方法であって、
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を略水平方向に吐出させて該液面上に該消火用泡を展開し、展開距離に応じて絞りの口径を決定する絞り口径決定工程と、
該液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率(泡消火薬剤水溶液の容量と発生する泡の容量との比をいう)と還元時間(泡が破泡して所定の水溶液量に戻るまでの時間をいう)とから該吸気孔の口径、該吸気孔の位置、該吸気孔の形状、該絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状等の少なくとも1つを決める吸気機構決定行程と、を含むことを特徴とする泡放出装置の設計方法である。なお、本発明の泡放出装置の設計方法における前記絞り口径決定工程および前記吸気機構決定行程においては、泡を展開させる液面をタンク貯留物と同じ可燃性・引火性液体の液面によって実施することが望ましいが、危険性を考慮して水面上にて代用実施しても良い。この場合、可燃性・引火性液体液面と水面との条件差については、別途、小規模な実験を実施して、得られた結果から比較補正し、整合性を保たせることもできる。
【0022】
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させた場合に、液面上に消火用泡が展開する距離と、絞りの口径とは、密接な相関関係がある。すなわち、絞りの口径が小さくなると、絞りを通過する消火剤と水との混合液の流速が大きくなり、原則的には展開距離が長くなり、逆に絞りの口径が大きくなると、絞りを通過する消火剤と水との混合液の流速が小さくなり、展開距離が短くなる。このため、液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させた場合に、液面上に消火用泡が展開する距離を絞りの口径を決定するための指標とすることができる。なお、前記所定の高さは、泡放出口の設置高さと、タンクに貯留する可燃性液体や引火性液体の液面高さとの差を勘案して適宜決定する。
また、消火用泡の膨脹率及び還元時間は、吸気孔の口径や位置や形状、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無やその形状と大きくかかわっている。このため、消火用泡の膨脹率及び還元時間を指標として、吸気孔の口径や位置や形状、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無やその形状を決めることにより、所望の膨脹率及び還元時間を再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1の泡放出装置を用いた石油タンク用泡消火設備の通常時における模式図である。
【図2】実施形態1におけるデフレクタ無し泡放出装置の通常時における断面図である。
【図3】実施形態1におけるデフレクタ付き泡放出装置の断面図である。
【図4】実施形態1の泡放出装置を用いた石油タンク用泡消火設備の泡放出時における模式図である。
【図5】実施形態1におけるデフレクタ無し泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図6】実施形態1における1個のデフレクタ無し泡放出装置4の泡展開領域(A)と1個のデフレクタ付き泡放出装置5の泡展開領域(B)を示す模式図である。
【図7】実施形態1における4個のデフレクタ無し泡放出装置4の泡展開領域と8個のデフレクタ付き泡放出装置5の泡展開領域を示す模式図である。
【図8】実施形態2における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図9】実施形態2における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図10】実施形態3における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図11】実施形態3における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図12】実施形態4における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図13】実施形態4における泡放出装置のノズル口の平面図である。
【図14】実施形態4における泡放出装置のノズル口の変形例を示す平面図である。
【図15】実施形態4における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図16】固定屋根タンクの上端周縁に設けられた従来のデフレクタ付き泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図17】タンクの浮屋根に設けられた従来の泡放出装置において、浮屋根が傾いて一部が沈んだ場合の泡放出時における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクであれば、タンクの種類によらず適用することができる。例えば、固定屋根のない浮屋根式タンク、浮蓋のない固定屋根タンク、内部浮蓋付き固定屋根タンク等が挙げられる。また、本発明の泡放出装置は浮蓋に取付けられるものではないため、浮蓋が機械的強度の小さなものであっても障害とはならない。また、タンクの側壁上端に取付けられた本発明の泡放出装置から、タンク径内方向に向かって消火用泡が放出されるため、タンクの直径が60m以上となるような大型のものであっても、その可燃性・引火性の貯留液体の表面を覆うように展開し、消火することができる。
【0025】
また、従来のデフレクタ付き泡放出装置と組み合わせて用いることも好ましい。こうであれば、デフレクタ付き泡放出装置からタンク側壁を流下した消火用泡がタンク側壁側から径内方向に向かって流動展開され、本発明の泡放出装置から放出された消火用泡が中央部分からタンク側壁方向に向かって展開されるため、可燃性・引火性の貯留液体の表面を消火用泡によって迅速に覆い、迅速に沈火あるいは着火を予防することができる。
【0026】
また、本発明の泡放出装置において消火用泡が放出される方向としては、通常、タンクの径内方向に略水平方向に放出するが、タンクの天井が中央に向かって高くなる円錐形状あるいは欠球状の場合には、水平方向の到達距離が長くなるよう、若干水平よりも上方に向かって放出してもよい。この場合の打ち上げ仰角は、タンクの直径や消火用泡の放出速度等を勘案して、適宜決定すればよい。
【0027】
また、本発明の泡放出装置では、消火用泡がタンク側壁上端付近という高い位置から放出され、可燃性・引火性液体に着液するため、従来のタンク側壁に沿って流下させる方式よりも着液時の泡の速度が速くなる。このため、泡が着液時に可燃性・引火性液体と攪拌されて汚染されやすい条件となる。したがって、本発明の泡放出装置では、放出された泡が、可燃性・引火性液体と攪拌されても汚染され難い泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火剤としては、例えば、たんぱく加水分解物にフッ素界面活性剤などのフッ素化合物を添加したフッ素たんぱく泡や、炭化水素系界面活性剤にフッ素界面活性剤を加えた水成膜泡(フッ素界面活性剤水成膜泡)等が挙げられる。また、可燃性・引火性液体のうち、アルコール類を貯留するタンクについては、アルコール類に破泡・汚染されにくい泡を形成する耐アルコール泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火剤としては、例えば、たんぱく加水分解物にフッ素界面活性剤を加えたフッ素たんぱく泡(フッ素たんぱく耐アルコール泡)、フッ素系界面活性剤に水溶性高分子を加えた高分子ゲル生成型泡(高分子ゲル生成フッ素界面活性剤耐アルコール泡)、フッ素界面活性剤にたんぱく質ペプチドおよびアミノ酸と高分子を反応させた複合物を加えたたんぱく高分子複合ゲル泡、あるいは、フッ素界面活性剤溶液に多糖類やキサンタンガムなどの類似物を添加した多糖類添加泡などが挙げられる。
もちろん、水成膜泡消火薬剤、または耐アルコール泡消火薬剤であって、フッ素界面活性剤などのフッ素化合物が含まれない泡消火薬剤であっても、可燃性・引火性液体の汚染・破泡に強いものであれば、本泡放出装置に適用することができる。
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
実施形態1の泡放出装置は、従来型のタンク側壁を流下させるデフレクタ付き泡放出装置とともに、内部浮蓋付き固定屋根タンクに設置されている。以下詳述する。
【0029】
図1に示すように、タンク1には固定屋根1aが設けられており、内部には灯油等の可燃液体2が貯留されており、可燃液体2には内部浮蓋3が浮かんでいる。
タンク1の側壁1bの上端周縁には、消火用泡を径内方向に向けて放出するデフレクタ無し泡放出装置4が互いに向き合う位置に概ね等間隔で4箇所にされており、さらに、タンク1の側壁1bの壁の内側を伝って消火用泡を流下させる従来方式のデフレクタ付泡放出装置5が概ね等間隔で8個設置されている。デフレクタ無し泡放出装置4が本発明の泡放出装置である。
【0030】
また、デフレクタ無し泡放出装置4及びデフレクタ付泡放出装置5は、泡消火薬剤混合液を輸送するための送液管6に接続されており、送液管6はバルブ10a、混合器10を経てポンプ8に接続されている。ポンプ8は貯水槽7からの水を汲み上げるためのものであり、混合器10はポンプ8から送られる水と、泡消火薬剤貯留タンク9に貯留されている消火剤原液とを混合し、送液管6に泡消火薬剤混合液を送水可能としている。消火剤原液はフッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消薬火剤、又は水成膜泡消火薬剤、又は耐アルコール泡消火薬剤が用いられている。
【0031】
図2に示すように、デフレクタ無し泡放出装置4は、浮蓋付き固定屋根タンク1の側壁1bの上端近くに設けられた開口1cに、以下のようにして取り付けられている。(なお、デフレクタ無し泡放出装置4が本発明の泡放出装置である。)
すなわち、開口1cには取付外管11が挿入されており、取付外管11のタンク側一端は側壁1bの内面と面一とされ、他端側は径外に突出し先端はフランジ11aが形成されている。また、取付外管11には鍔部11bが側壁1bの外側面と接するように設けられており、鍔部11bがタンク1の側壁1bに溶接されて固定されている。取付外管11には泡の案内流路を兼ねる取付内管12が挿入されており、取付外管11及び取付内管12のタンク側一端は側壁1bの内面と面一とされ、他端側は径外に突出し先端はフランジ11aと整合するフランジ12aが形成されており、ボルト13によって連結されている。さらに、取付内管12のフランジ12aには、エルボー形状の発泡器14のフランジ14aが、間に封板15を挟んだ状態でボルト16によって連結されている。なお、取り付け内管12の内部には、図示しない泡の撹拌翼を取り付ける場合もある。発泡器14の水平部分には、軸心を共通とする絞り17aが設けられており、さらに絞り17aとフランジ14aとの間の管側壁には90度ごとに4箇所の吸気孔17bが設けられている。発泡器14のフランジ14aの反対側の一端は、図1に示すように、送液管6に接続されている。
【0032】
なお、デフレクタ無し泡放出装置4における絞り17aの口径、吸気口の直径、取付内管12の径及び長さ、図示しない泡の撹拌翼形状あるいは取り付け有無は、以下の実験により決定する。
すなわち、デフレクタ無し泡放出装置4を液面から所定の高さに設置し、消火用泡を水平方向に吐出させて液面上に消火用泡を展開した場合の必要とされる展開距離や展開面積を勘案して絞りの口径を決定する。
また、デフレクタ無し泡放出装置4における吸気口17bの口径、位置及び形状、取付内管12の径及び長さ、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状は、
液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率と還元時間、および展開形状とを勘案して決定する。
【0033】
一方、従来のタンク側壁を流下させる方式を用いたデフレクタ付泡放出装置5は、図3に示すように、送液管6にフランジ18で接続され、発泡部19と、発泡部19の上端を覆うチャンバー部20と、デフレクタ部22とから構成されている。発泡部19は上方に向かって若干の拡径する円管形状とされており、下端近くに同軸で絞り19aが設けられており、絞り19aの少し上方には吸気口19bが設けられている。発泡部19の上端部分はチャンバー部20内に挿入されている。チャンバー部20の下端から水平方向に接続管20aが連通されており、接続管20aはフランジ21を介してデフレクタ部22に連通されている。デフレクタ部22のタンク側は拡径されてタンク1の側壁1bの上端周縁に溶接されており、溶接部分の下端から少し上の側壁1bには吐出口1cが設けられている。こうして、送液管6と発泡部19とチャンバー部20とデフレクタ部22とタンク1内は、連通状態となっている。
【0034】
次に実施形態1についての作用効果について説明する。
例えば、地震等が発生し、図4に示すように、タンク1内の浮蓋3が可燃性液体2の中に沈み、火花によって火災が発生したり、火災発生のおそれが生じたりした場合、以下に示すようにデフレクタ無し泡放出装置4からタンク1内へ略水平方向に放出されるとともに、デフレクタ有り泡放出装置5からタンク側壁1bに沿って流下し、液面の全範囲に展開される。以下詳細に説明する。
【0035】
すなわち、まずバルブ10aを開け、ポンプ8を駆動させる。これにより、貯水槽7の水が混合器10に送られ、原液タンク9から供給される泡消火薬剤と混合されて泡消火薬剤混合液となり、送液管6に送られる。送液管6は途中で分岐し、4箇所のデフレクタ無し泡放出装置4及び8箇所のデフレクタ付き泡放出装置5に泡消火薬剤混合液が送られる。
【0036】
送液管6からデフレクタ無し泡放出装置4に送られた泡消火薬剤混合液は、図5に示すように、発泡器14の絞り17aから泡消薬火剤混合液が高速で放出される。このとき、絞り17aの下流に生じる負圧によって、吸気口17bから空気が吸い込まれ、泡消火薬剤水溶液と空気とが混合されて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、図5に示すように、取付内管12の先端からタンク1の径内方向に向かって略水平に放出され、可燃性液体の液面中央部分手前に着液し、さらに液面上を放出方向に進行しつつ展開することにより、放出方向に長径の楕円状に展開される(図6A)。ここで、消火剤原液はフッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤、水成膜泡消火薬剤、又は耐アルコール泡消火薬剤が用いられているため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染・破泡の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0037】
一方、送液管6からデフレクタ付き泡放出装置5に送られた泡消火薬剤混合液は、図3に示すように、発泡部19の絞り19aから泡消薬火剤混合液が高速で放出される。このとき、絞り19aの下流に生じる負圧によって、吸気口19bから空気が吸い込まれ、泡消火薬剤水溶液と空気とが混合されて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、発泡部19の先端からチャンバー部20を経てデフレクタ部22に送られる。そして、デフレクタ22の拡径部分においてタンク1の側壁1bによって下方に案内され、吐出口1cから側壁1bの内側に沿って流下し、図4に示すように、タンク1内の側壁1bから内径方向に向かって流動展開される。
【0038】
こうして、実施形態1では、図6に示すように、デフレクタ無し泡放出装置4から放出された消火用泡が可燃性液体の液面中央部分手前に着液し、さらに液面上を放出方向に進行しつつ展開する(図6A領域)とともに、デフレクタ付き泡放出装置5の吐出口1c(図3参照)から側壁1bに沿って流下した消火用泡が、タンク1内の側壁1b付近に着液し、内径方向に向かって流動展開される(図6B領域)。このため、設置されている全ての泡放出装置4、5から消火用泡が放出された場合には、図7に示すように、消火用泡が可燃性液体の液面の広い範囲を覆うこととなり、このため直径が60m以上となるような大型のタンクに対しても、消火及び着火防止の活動を行うことができる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2の泡放出装置は、図8に示すように、実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4の取付内管12内に、円筒形のデフレクタ内管20がスライド可能に挿入された構造とされている。デフレクタ内管20の先端には吐出口20aが設けられており、デフレクタ内管20の先端近くの側壁には吐出口20bが設けられており、デフレクタ内管20の後端は拡径している。また、取付内管12の内側先端及び後端には径内方向に突出するストッパ12c、12dが設けられており、取付内管12とデフレクタ内管20との間には、コイルバネ21が挿入されている。平常時において、デフレクタ内管20の後端はコイルバネ21の付勢力によりストッパ12dと接している。また、デフレクタ内管20が消火用泡の勢いに押されて突出した場合、デフレクタ内管20の後端がストッパ12cによって停止されるようになっている。その他については実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
以上のように構成された実施形態2の泡放出装置では、図9に示すように、送液管から送られた泡消火薬剤混合液が発泡器14の絞り17aから高速で放出されるとともに吸気口17bから空気が吸い込まれ消火用泡となり、デフレクタ内管20に侵入する。そして、消火用泡の圧力によってデフレクタ内管20がタンク1内の方向に移動して側壁1bから突出し、デフレクタ内管20の後端がストッパ12cに当たって停止する。そして、消火用泡は、吐出口20aからタンク1内の径内方向に略水平方向に吐出されるとともに、吐出口20bから下方に向かい、タンク1の側壁1bに沿って流下する。こうして、吐出口1と吐出口2から、略水平方向と下方向との2方向に消火用泡が放出され、実施形態1の場合と同様、図6に示すように可燃性液面の中央付近からの展開(図6A領域)と、可燃性液面の周縁付近からの展開(図6B領域)の、2箇所における消火用泡の展開を、単一の泡放出装置によって行うことができる。
また、平常時においては、デフレク内管20は取付内管12内に挿入されているため、地震等による浮屋根や浮蓋3のスロッシング(揺動)あるいは固定屋根1aの沈下や部品落下よってデフレク内管20が破損することは無く、また、消火用泡の放出終了後は、コイルバネ21の付勢力によってデフレクタ内管20が取付内管12内に収容され、タンク1の側壁1bから突出しなくなるため、再度、使用可能な状態となる。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3の泡放出装置は、図10に示すように、取付内管12の先端に開閉蓋30が設けられており、開閉蓋30は軸受31によって開閉可能に軸支されている。また、開閉蓋30は取付内管12の内側先端近くに取付けられたコイルバネ32の付勢力によって、取付内管12に接するようにされている。また、開閉蓋30の中央には吐出口30aが開けられている。その他については実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
以上のように構成された実施形態3の泡放出装置では、図11に示すように、送液管から送られた泡消火薬剤混合液が発泡器14の絞り17aから高速で放出されるとともに吸気口17bから空気が吸い込まれ消火用泡となり、開閉蓋30を押し開ける。そして、消火用泡の一部は吐出口30aからタンク1内の径内方向に水平方向に吐出されるとともに、その他の泡消用泡は開閉蓋30に阻まれて下方に向かい、タンク1の側壁1bに沿って流下する。消火用泡は、水平方向と下方向との2方向に消火用泡が放出され、実施形態1の場合と同様、図6に示すように可燃性液面の中央付近からの展開(図6A領域)と、可燃性液面の周縁付近からの展開(図6B領域)の、2箇所における消火用泡の展開を、単一の泡放出装置によって行うことができる。
また、実施形態3の泡放出装置は、実施形態1における従来から用いられているデフレクタ付き泡放出装置(図2参照)を利用し、その先端部分に開閉蓋30等を設けるだけで製造することができるという利点がある。
【0043】
(実施形態4)
図12に示すように、実施形態4の泡放出装置40は外観が略逆L字形状とされており、送液管90の上端でフランジ90aを介して接合された導入管41の上端が、水平方向に延在する外管42の一端側に溶接されて連通状態とされている。外管42の内側には、同軸で内管43が隙間を開けて挿通されている。外管42と内管43との間の隙間によって形成される流路が逆流流路Xであり、内管43の内側が案内流路Yである。内管43のタンク91側は外管42から突出しており、先端がフランジ43aに溶接されている。また、内管43と外管42のタンク91側の端との隙間は環状部材44によって溶接により封鎖されている。フランジ43aは、浮蓋付き固定屋根タンク91の側壁91aの上端近くに突出して設けられたフランジ91bに接合されており、フランジ43aとフランジ91bとの間は、封板50が挟まれている。
【0044】
また、内管43の他端側には吸気孔49を有する管状のノズル部材45の大径部45aが嵌められており、大径部45aから同軸で小径部45bが突出している。大径部45aと内管43とはO-リング45bを介して接している。大径部45aには逆流流路Xと案内流路Yとを連通するノズル口46が図13に示すように、均等間隔で6箇所複数あけられている。なお、ノズル口46の大きさや数や形状は、吸気孔49の大きさや泡の放射量及び性状等を考慮し、直交する4箇所に設けたり(図14a)、環状のスリットSとしたり(図14b)する等、適宜選ぶことができる。
また、図12に示すように、外管42の他端側にはフランジ42aが溶接によって取り付けられている。ノズル部材45の小径部45b先端外周にはO−リング48が嵌められており、小径部45bはフランジ42aに連結された孔空き円板47によって押しつけられて固定されている。
【0045】
以上のように構成された実施形態2の泡放出装置40では、図15に示すように、送液管90から送られた泡消火薬剤混合液が導入管41を通って外管42と内管43との間の隙間にできた逆流流路Xに流入する。さらに、泡消火薬剤混合液は逆流流路Xの先端で折り返してノズル口46に入り、内管43内の案内流路Yに放射される。これにより、ノズル口46近傍が負圧となり、吸気孔49から空気が流入し、泡消火薬剤混合液と空気が混合されて発泡して消火用泡となり、封板50を突き破り、浮蓋付き固定屋根タンク91内へ水平方向に勢いよく放射される。こうして放射された消火用泡はタンク内の液面に着地し、さらに液面上に展開される。このため、たとえタンクが内径60mを越えるような大型タンクであっても、液面の中央まで消火用泡を展開させることができる。また、泡消火薬剤混合液は逆流流路Xの先端で折り返してノズル口46に入り、内管43内の案内流路Yに放射されるため、泡放出装置40の長さが短くでき、省スペース化が図られる。
【0046】
なお、上記泡放出装置40はタンク内へ水平方向に消火用泡を放出するようにされているが、水平方向ではなく若干の仰角をつけて斜め上方向に放出するようにしてもよい。こうであれば、消火用泡をさらに遠方にまで飛ばすことができる。この場合において、放出された消火用泡の泡がタンクの屋根に邪魔されないよう、中央部に向かって高くなる屋根とすることが好ましい。
【0047】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…タンク
1b…側壁
4…デフレクタ無し泡放出装置(泡放出装置)
5…デフレクタ付き泡放出装置
17a…絞り
17b…吸気孔
14…発泡器
12…取付内管
11…取付外管
20a、20b、30a…吐出口
X…逆流流路
Y…案内流路
45…ノズル部材(絞り部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、重油、軽油、灯油、ガソリン、ナフサ、その他石油類およびアルコール類等の、いわゆる消防法上の第4類危険物に規定される可燃性・引火性液体等を貯留するためのタンクに設置され、火災発生時やそのおそれのある場合に、タンク内に発泡した消火剤を放出するための泡放出装置に関するものである。このタンク用泡放出装置は、直径が60m以上となるような大型タンクに対して、特に有効である。
【背景技術】
【0002】
可燃性・引火性液体を貯留する固定屋根タンクの泡消火設備として、図16に示すように、タンクの上端に開口101a及びデフレクタ101bを設け、開口101aから消火用泡102をタンク側壁103に沿って流下させ、可燃性・引火性液体104上に流動展開させて消火(あるいは着火を予防)するという、上部泡供給方式の泡放出装置105が知られている(例えば特許文献1、2参照)。この方式の泡放出装置105によれば、消火用泡102がタンク側壁103に沿って穏やかに流下するため、泡が可燃性・引火性液体104に到達した際の泡のもぐりこみや泡の勢いによる撹拌効果が小さく、このため可燃性・引火性液体によって泡が汚染・破泡されることによる泡の性能低下を最小限にとどめることができ、消火効果や着火防止効果をより発揮できるという利点を有する。
【0003】
しかし、この上部泡供給方式の泡放出装置は、固定設備として設置されるため、放出された消火用泡の性状に応じて、水平方向の流動展開距離に限界が存在することが知られている。例えば、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令(昭和五十一年六月十二日自治省令第十七号)では、泡放出口は「流動展開する水平距離がおおむね30mを超えない距離で設置する」と定められており、流動展開する泡の水平距離が30m以上(直径60m以上)となるタンクの場合、展開距離が不足してタンク中央部まで届かず、泡消火(着火予防)設備の機能が十分に果たせないことになる。
【0004】
このため、タンク中央部の泡の未到達部分に泡を補完するための底部泡注入方式の泡放出装置(特許文献3参照)を設置することも考えられる。この方式によれば、底部から泡を注入する位置を自由に設定できるため、消火用泡の展開距離が問題になることはない。なお、浮蓋が存在する場合は、それらの構造物によって泡の浮上が阻害され、底部泡注入方式の泡放出装置を設置することができない。このため、浮屋根や浮蓋の一部あるいは全部が可燃性・引火性液体中に沈没するような極めて危険性の高い状況を考慮するならば、タンクの外から消火用泡を供給可能な泡放水砲などを用いて、タンク中央部に泡を供給する手段を利用することになる。
【0005】
しかし、固定屋根を有し、かつ、内部に浮蓋を有する内部浮蓋付き固定屋根タンクの場合は、前記理由により底部泡注入方式を利用できないばかりか、固定屋根の存在により、タンクの外からの泡供給手段も利用することができない。
すなわち、内部浮蓋付き固定屋根タンクは、必然的にタンク直径を小さくしなければならないという制約が生まれることとなり、石油コンビナート等における特定防災施設等及び防災組織等に関する省令(昭和五十一年六月十二日自治省令第十七号)を遵守すれば、その直径は60m未満でなければならないことになる。
【0006】
このため、本発明者らは、図17に示すように、浮屋根式タンクの浮屋根110に設置可能な泡放出機構111を開発し(特許文献4参照)、この泡放出機構を内部浮蓋付き固定屋根タンクの内部浮蓋に設置することも考案した。この泡放出機構111にはフロート111aが設けられており、フロート111aが液体に浸かると当該フロートの浮力により上部放出口111bが開口し、下部放出口111cが閉じるようにされており、フロート111aが液体中から飛び出した状態では、当該フロートに働く重力により上部放出口111bが閉じられ、下部放出口111cが開口するようにされている。そして上部放出口111b及び下部放出口111cは、送泡管112を経由して発泡器113に接続されている。このため、地震による揺動等で浮屋根式タンクの浮屋根が傾いたり、沈んだりしたりした場合、フロート111aの動きに応じて適切な放出口が開口し、消火用泡を適切な方向に向かって放出することができる。
【0007】
しかし、内部浮蓋付き固定屋根タンクの浮蓋は、屋根としての強度を考慮する必要がないため、比較的機械的強度の小さい薄板構造や、浮力の余裕が少ない構造の場合もある。このような構造の浮蓋の場合は、この泡放出機構を設置することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭47−44397号
【特許文献2】実用新案登録第1714093号
【特許文献3】実用新案登録第1494445号
【特許文献4】特許第4139824号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、直径が60m以上となるような大きなタンクや、固定屋根や浮屋根や内部浮蓋が備えられたタンクにも用いることのできるタンク用泡放出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクの上端周縁に固定して設置される泡放出装置であって、流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し、消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、該発泡器で発生した消火用泡を該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように案内する案内流路とが設けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の泡放出装置では、消火剤と水との混合液が絞りを高速で通過する際、吸気孔から空気が取り込まれて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、発泡器と連通する案内流路によって案内されてタンクの上端周縁から、タンクの径内方向に向けて放出され、タンク内の液面上に着液する。こうして着液した泡は、水平方向の運動力を有しているため、液面上をさらに展開して長い距離を直線状あるいは楕円状に被覆する。このため、直径が60m以上となるような大きなタンクにも適用することができる。また、固定屋根タンクや浮屋根式タンク、さらには、浮蓋の機械的強度が小さな内部浮蓋付き固定屋根タンクなど、タンクの種類によらず適用が可能である。
【0012】
本発明の泡放出装置では、案内流路はタンクの径内方向に向かって延在する管状とすることが好ましい。こうであれば、消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出し、確実に放出させることができる。
【0013】
本発明の泡放出装置では、前記案内流路と前記絞りとは軸心を同じくすることも好ましい。こうであれば、絞りを通って発泡して生成した消火用泡の移動方向と、案内流路を通過する消火用泡の移動方向とが一致するため、消火用泡の移動速度が低減され難く、より遠くまで消火用泡を吐出することができる。
【0014】
本発明の泡放出装置では、絞りが、流れの方向が前記案内流路とは逆向きの逆流流路と、該逆流流路の下流の一端側に設けられ、前記案内流路に連通する絞り部とからなることも好ましい。こうであれば、消火剤が逆流流路から折り返して案内流路へ向かうため、泡放出装置の全体の長さを短くすることができる。このため、設置場所の省スペースを図ることができる。
また、この場合において、逆流流路と前記案内流路とが二重管構造となるように設けることにより、さらに省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、案内流路はタンク内に突出していないことが好ましい。こうであれば、地震等による浮屋根や浮蓋のスロッシング(揺動)あるいは固定屋根の沈下や部品落下よって案内流路が破損することは無く、非常時に確実に泡放出を行うことができる。
【0016】
本発明の泡放出装置を用いることにより、本発明の消火用泡の放出を行うことができる。すなわち、本発明の消火用泡放出方法は、可燃性液体や引火性液体を貯留するタンク内に消火用泡を放出して液面上に該消火用泡を展開する消火用泡放出方法において、前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより、該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする。
【0017】
ここで、前記タンクの上端周縁から径内方向に向けてノズルから吐出される消火用泡は、フッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることが好ましい。このような消火用泡であれば、耐火性、耐熱性、流動性、及び展開力に優れ、可燃性液体や引火性液体への混合もされ難いため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0018】
また、前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、水成膜泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることも好ましい。このような消火用泡であれば、流動性、及び展開力にも優れ、可燃性液体や引火性液体への混合もされ難いため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0019】
さらに、可燃性・引火性液体のうち、アルコール類を貯留するタンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、耐アルコール泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火用泡であれば、流動性、及び展開力にも優れ、アルコール類への混合もされ難いため、消火用泡の汚染や、アルコール類の水溶性による破泡の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0020】
また、本発明の消火用泡放出方法において、消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させる方法を用いるとともに、タンクの上端周縁からタンク壁に沿って流下させ、液面周縁に着液させてから液面上を流動展開させる方法を併用させることも好ましい。こうであれば、消火用泡を可燃性・引火性液体の液面の中央付近で展開させるだけでなく、周縁からも展開させることが可能となる。このため、直径が60m以上となるような大きな直径のタンクの消火設備としても適用することができる。
【0021】
本発明の泡放出装置の設計方法とし、次の方法を採用することができる。
すなわち、本発明の泡放出装置の設計方法であって、
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を略水平方向に吐出させて該液面上に該消火用泡を展開し、展開距離に応じて絞りの口径を決定する絞り口径決定工程と、
該液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率(泡消火薬剤水溶液の容量と発生する泡の容量との比をいう)と還元時間(泡が破泡して所定の水溶液量に戻るまでの時間をいう)とから該吸気孔の口径、該吸気孔の位置、該吸気孔の形状、該絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状等の少なくとも1つを決める吸気機構決定行程と、を含むことを特徴とする泡放出装置の設計方法である。なお、本発明の泡放出装置の設計方法における前記絞り口径決定工程および前記吸気機構決定行程においては、泡を展開させる液面をタンク貯留物と同じ可燃性・引火性液体の液面によって実施することが望ましいが、危険性を考慮して水面上にて代用実施しても良い。この場合、可燃性・引火性液体液面と水面との条件差については、別途、小規模な実験を実施して、得られた結果から比較補正し、整合性を保たせることもできる。
【0022】
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させた場合に、液面上に消火用泡が展開する距離と、絞りの口径とは、密接な相関関係がある。すなわち、絞りの口径が小さくなると、絞りを通過する消火剤と水との混合液の流速が大きくなり、原則的には展開距離が長くなり、逆に絞りの口径が大きくなると、絞りを通過する消火剤と水との混合液の流速が小さくなり、展開距離が短くなる。このため、液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させた場合に、液面上に消火用泡が展開する距離を絞りの口径を決定するための指標とすることができる。なお、前記所定の高さは、泡放出口の設置高さと、タンクに貯留する可燃性液体や引火性液体の液面高さとの差を勘案して適宜決定する。
また、消火用泡の膨脹率及び還元時間は、吸気孔の口径や位置や形状、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無やその形状と大きくかかわっている。このため、消火用泡の膨脹率及び還元時間を指標として、吸気孔の口径や位置や形状、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無やその形状を決めることにより、所望の膨脹率及び還元時間を再現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施形態1の泡放出装置を用いた石油タンク用泡消火設備の通常時における模式図である。
【図2】実施形態1におけるデフレクタ無し泡放出装置の通常時における断面図である。
【図3】実施形態1におけるデフレクタ付き泡放出装置の断面図である。
【図4】実施形態1の泡放出装置を用いた石油タンク用泡消火設備の泡放出時における模式図である。
【図5】実施形態1におけるデフレクタ無し泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図6】実施形態1における1個のデフレクタ無し泡放出装置4の泡展開領域(A)と1個のデフレクタ付き泡放出装置5の泡展開領域(B)を示す模式図である。
【図7】実施形態1における4個のデフレクタ無し泡放出装置4の泡展開領域と8個のデフレクタ付き泡放出装置5の泡展開領域を示す模式図である。
【図8】実施形態2における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図9】実施形態2における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図10】実施形態3における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図11】実施形態3における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図12】実施形態4における泡放出装置の通常時における断面図である。
【図13】実施形態4における泡放出装置のノズル口の平面図である。
【図14】実施形態4における泡放出装置のノズル口の変形例を示す平面図である。
【図15】実施形態4における泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図16】固定屋根タンクの上端周縁に設けられた従来のデフレクタ付き泡放出装置の泡放出時における断面図である。
【図17】タンクの浮屋根に設けられた従来の泡放出装置において、浮屋根が傾いて一部が沈んだ場合の泡放出時における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の泡放出装置は、可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクであれば、タンクの種類によらず適用することができる。例えば、固定屋根のない浮屋根式タンク、浮蓋のない固定屋根タンク、内部浮蓋付き固定屋根タンク等が挙げられる。また、本発明の泡放出装置は浮蓋に取付けられるものではないため、浮蓋が機械的強度の小さなものであっても障害とはならない。また、タンクの側壁上端に取付けられた本発明の泡放出装置から、タンク径内方向に向かって消火用泡が放出されるため、タンクの直径が60m以上となるような大型のものであっても、その可燃性・引火性の貯留液体の表面を覆うように展開し、消火することができる。
【0025】
また、従来のデフレクタ付き泡放出装置と組み合わせて用いることも好ましい。こうであれば、デフレクタ付き泡放出装置からタンク側壁を流下した消火用泡がタンク側壁側から径内方向に向かって流動展開され、本発明の泡放出装置から放出された消火用泡が中央部分からタンク側壁方向に向かって展開されるため、可燃性・引火性の貯留液体の表面を消火用泡によって迅速に覆い、迅速に沈火あるいは着火を予防することができる。
【0026】
また、本発明の泡放出装置において消火用泡が放出される方向としては、通常、タンクの径内方向に略水平方向に放出するが、タンクの天井が中央に向かって高くなる円錐形状あるいは欠球状の場合には、水平方向の到達距離が長くなるよう、若干水平よりも上方に向かって放出してもよい。この場合の打ち上げ仰角は、タンクの直径や消火用泡の放出速度等を勘案して、適宜決定すればよい。
【0027】
また、本発明の泡放出装置では、消火用泡がタンク側壁上端付近という高い位置から放出され、可燃性・引火性液体に着液するため、従来のタンク側壁に沿って流下させる方式よりも着液時の泡の速度が速くなる。このため、泡が着液時に可燃性・引火性液体と攪拌されて汚染されやすい条件となる。したがって、本発明の泡放出装置では、放出された泡が、可燃性・引火性液体と攪拌されても汚染され難い泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火剤としては、例えば、たんぱく加水分解物にフッ素界面活性剤などのフッ素化合物を添加したフッ素たんぱく泡や、炭化水素系界面活性剤にフッ素界面活性剤を加えた水成膜泡(フッ素界面活性剤水成膜泡)等が挙げられる。また、可燃性・引火性液体のうち、アルコール類を貯留するタンクについては、アルコール類に破泡・汚染されにくい泡を形成する耐アルコール泡消火薬剤を選択することが好ましい。このような消火剤としては、例えば、たんぱく加水分解物にフッ素界面活性剤を加えたフッ素たんぱく泡(フッ素たんぱく耐アルコール泡)、フッ素系界面活性剤に水溶性高分子を加えた高分子ゲル生成型泡(高分子ゲル生成フッ素界面活性剤耐アルコール泡)、フッ素界面活性剤にたんぱく質ペプチドおよびアミノ酸と高分子を反応させた複合物を加えたたんぱく高分子複合ゲル泡、あるいは、フッ素界面活性剤溶液に多糖類やキサンタンガムなどの類似物を添加した多糖類添加泡などが挙げられる。
もちろん、水成膜泡消火薬剤、または耐アルコール泡消火薬剤であって、フッ素界面活性剤などのフッ素化合物が含まれない泡消火薬剤であっても、可燃性・引火性液体の汚染・破泡に強いものであれば、本泡放出装置に適用することができる。
【0028】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
(実施形態1)
実施形態1の泡放出装置は、従来型のタンク側壁を流下させるデフレクタ付き泡放出装置とともに、内部浮蓋付き固定屋根タンクに設置されている。以下詳述する。
【0029】
図1に示すように、タンク1には固定屋根1aが設けられており、内部には灯油等の可燃液体2が貯留されており、可燃液体2には内部浮蓋3が浮かんでいる。
タンク1の側壁1bの上端周縁には、消火用泡を径内方向に向けて放出するデフレクタ無し泡放出装置4が互いに向き合う位置に概ね等間隔で4箇所にされており、さらに、タンク1の側壁1bの壁の内側を伝って消火用泡を流下させる従来方式のデフレクタ付泡放出装置5が概ね等間隔で8個設置されている。デフレクタ無し泡放出装置4が本発明の泡放出装置である。
【0030】
また、デフレクタ無し泡放出装置4及びデフレクタ付泡放出装置5は、泡消火薬剤混合液を輸送するための送液管6に接続されており、送液管6はバルブ10a、混合器10を経てポンプ8に接続されている。ポンプ8は貯水槽7からの水を汲み上げるためのものであり、混合器10はポンプ8から送られる水と、泡消火薬剤貯留タンク9に貯留されている消火剤原液とを混合し、送液管6に泡消火薬剤混合液を送水可能としている。消火剤原液はフッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消薬火剤、又は水成膜泡消火薬剤、又は耐アルコール泡消火薬剤が用いられている。
【0031】
図2に示すように、デフレクタ無し泡放出装置4は、浮蓋付き固定屋根タンク1の側壁1bの上端近くに設けられた開口1cに、以下のようにして取り付けられている。(なお、デフレクタ無し泡放出装置4が本発明の泡放出装置である。)
すなわち、開口1cには取付外管11が挿入されており、取付外管11のタンク側一端は側壁1bの内面と面一とされ、他端側は径外に突出し先端はフランジ11aが形成されている。また、取付外管11には鍔部11bが側壁1bの外側面と接するように設けられており、鍔部11bがタンク1の側壁1bに溶接されて固定されている。取付外管11には泡の案内流路を兼ねる取付内管12が挿入されており、取付外管11及び取付内管12のタンク側一端は側壁1bの内面と面一とされ、他端側は径外に突出し先端はフランジ11aと整合するフランジ12aが形成されており、ボルト13によって連結されている。さらに、取付内管12のフランジ12aには、エルボー形状の発泡器14のフランジ14aが、間に封板15を挟んだ状態でボルト16によって連結されている。なお、取り付け内管12の内部には、図示しない泡の撹拌翼を取り付ける場合もある。発泡器14の水平部分には、軸心を共通とする絞り17aが設けられており、さらに絞り17aとフランジ14aとの間の管側壁には90度ごとに4箇所の吸気孔17bが設けられている。発泡器14のフランジ14aの反対側の一端は、図1に示すように、送液管6に接続されている。
【0032】
なお、デフレクタ無し泡放出装置4における絞り17aの口径、吸気口の直径、取付内管12の径及び長さ、図示しない泡の撹拌翼形状あるいは取り付け有無は、以下の実験により決定する。
すなわち、デフレクタ無し泡放出装置4を液面から所定の高さに設置し、消火用泡を水平方向に吐出させて液面上に消火用泡を展開した場合の必要とされる展開距離や展開面積を勘案して絞りの口径を決定する。
また、デフレクタ無し泡放出装置4における吸気口17bの口径、位置及び形状、取付内管12の径及び長さ、絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状は、
液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率と還元時間、および展開形状とを勘案して決定する。
【0033】
一方、従来のタンク側壁を流下させる方式を用いたデフレクタ付泡放出装置5は、図3に示すように、送液管6にフランジ18で接続され、発泡部19と、発泡部19の上端を覆うチャンバー部20と、デフレクタ部22とから構成されている。発泡部19は上方に向かって若干の拡径する円管形状とされており、下端近くに同軸で絞り19aが設けられており、絞り19aの少し上方には吸気口19bが設けられている。発泡部19の上端部分はチャンバー部20内に挿入されている。チャンバー部20の下端から水平方向に接続管20aが連通されており、接続管20aはフランジ21を介してデフレクタ部22に連通されている。デフレクタ部22のタンク側は拡径されてタンク1の側壁1bの上端周縁に溶接されており、溶接部分の下端から少し上の側壁1bには吐出口1cが設けられている。こうして、送液管6と発泡部19とチャンバー部20とデフレクタ部22とタンク1内は、連通状態となっている。
【0034】
次に実施形態1についての作用効果について説明する。
例えば、地震等が発生し、図4に示すように、タンク1内の浮蓋3が可燃性液体2の中に沈み、火花によって火災が発生したり、火災発生のおそれが生じたりした場合、以下に示すようにデフレクタ無し泡放出装置4からタンク1内へ略水平方向に放出されるとともに、デフレクタ有り泡放出装置5からタンク側壁1bに沿って流下し、液面の全範囲に展開される。以下詳細に説明する。
【0035】
すなわち、まずバルブ10aを開け、ポンプ8を駆動させる。これにより、貯水槽7の水が混合器10に送られ、原液タンク9から供給される泡消火薬剤と混合されて泡消火薬剤混合液となり、送液管6に送られる。送液管6は途中で分岐し、4箇所のデフレクタ無し泡放出装置4及び8箇所のデフレクタ付き泡放出装置5に泡消火薬剤混合液が送られる。
【0036】
送液管6からデフレクタ無し泡放出装置4に送られた泡消火薬剤混合液は、図5に示すように、発泡器14の絞り17aから泡消薬火剤混合液が高速で放出される。このとき、絞り17aの下流に生じる負圧によって、吸気口17bから空気が吸い込まれ、泡消火薬剤水溶液と空気とが混合されて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、図5に示すように、取付内管12の先端からタンク1の径内方向に向かって略水平に放出され、可燃性液体の液面中央部分手前に着液し、さらに液面上を放出方向に進行しつつ展開することにより、放出方向に長径の楕円状に展開される(図6A)。ここで、消火剤原液はフッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤、水成膜泡消火薬剤、又は耐アルコール泡消火薬剤が用いられているため、可燃性・引火性液体による消火用泡の汚染・破泡の影響も小さくすることができ、消火性能や着火防止性能をより発揮することができる。
【0037】
一方、送液管6からデフレクタ付き泡放出装置5に送られた泡消火薬剤混合液は、図3に示すように、発泡部19の絞り19aから泡消薬火剤混合液が高速で放出される。このとき、絞り19aの下流に生じる負圧によって、吸気口19bから空気が吸い込まれ、泡消火薬剤水溶液と空気とが混合されて発泡し、消火用泡となる。こうして発生した消火用泡は、発泡部19の先端からチャンバー部20を経てデフレクタ部22に送られる。そして、デフレクタ22の拡径部分においてタンク1の側壁1bによって下方に案内され、吐出口1cから側壁1bの内側に沿って流下し、図4に示すように、タンク1内の側壁1bから内径方向に向かって流動展開される。
【0038】
こうして、実施形態1では、図6に示すように、デフレクタ無し泡放出装置4から放出された消火用泡が可燃性液体の液面中央部分手前に着液し、さらに液面上を放出方向に進行しつつ展開する(図6A領域)とともに、デフレクタ付き泡放出装置5の吐出口1c(図3参照)から側壁1bに沿って流下した消火用泡が、タンク1内の側壁1b付近に着液し、内径方向に向かって流動展開される(図6B領域)。このため、設置されている全ての泡放出装置4、5から消火用泡が放出された場合には、図7に示すように、消火用泡が可燃性液体の液面の広い範囲を覆うこととなり、このため直径が60m以上となるような大型のタンクに対しても、消火及び着火防止の活動を行うことができる。
【0039】
(実施形態2)
実施形態2の泡放出装置は、図8に示すように、実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4の取付内管12内に、円筒形のデフレクタ内管20がスライド可能に挿入された構造とされている。デフレクタ内管20の先端には吐出口20aが設けられており、デフレクタ内管20の先端近くの側壁には吐出口20bが設けられており、デフレクタ内管20の後端は拡径している。また、取付内管12の内側先端及び後端には径内方向に突出するストッパ12c、12dが設けられており、取付内管12とデフレクタ内管20との間には、コイルバネ21が挿入されている。平常時において、デフレクタ内管20の後端はコイルバネ21の付勢力によりストッパ12dと接している。また、デフレクタ内管20が消火用泡の勢いに押されて突出した場合、デフレクタ内管20の後端がストッパ12cによって停止されるようになっている。その他については実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0040】
以上のように構成された実施形態2の泡放出装置では、図9に示すように、送液管から送られた泡消火薬剤混合液が発泡器14の絞り17aから高速で放出されるとともに吸気口17bから空気が吸い込まれ消火用泡となり、デフレクタ内管20に侵入する。そして、消火用泡の圧力によってデフレクタ内管20がタンク1内の方向に移動して側壁1bから突出し、デフレクタ内管20の後端がストッパ12cに当たって停止する。そして、消火用泡は、吐出口20aからタンク1内の径内方向に略水平方向に吐出されるとともに、吐出口20bから下方に向かい、タンク1の側壁1bに沿って流下する。こうして、吐出口1と吐出口2から、略水平方向と下方向との2方向に消火用泡が放出され、実施形態1の場合と同様、図6に示すように可燃性液面の中央付近からの展開(図6A領域)と、可燃性液面の周縁付近からの展開(図6B領域)の、2箇所における消火用泡の展開を、単一の泡放出装置によって行うことができる。
また、平常時においては、デフレク内管20は取付内管12内に挿入されているため、地震等による浮屋根や浮蓋3のスロッシング(揺動)あるいは固定屋根1aの沈下や部品落下よってデフレク内管20が破損することは無く、また、消火用泡の放出終了後は、コイルバネ21の付勢力によってデフレクタ内管20が取付内管12内に収容され、タンク1の側壁1bから突出しなくなるため、再度、使用可能な状態となる。
【0041】
(実施形態3)
実施形態3の泡放出装置は、図10に示すように、取付内管12の先端に開閉蓋30が設けられており、開閉蓋30は軸受31によって開閉可能に軸支されている。また、開閉蓋30は取付内管12の内側先端近くに取付けられたコイルバネ32の付勢力によって、取付内管12に接するようにされている。また、開閉蓋30の中央には吐出口30aが開けられている。その他については実施形態1のデフレクタ無し泡放出装置4と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0042】
以上のように構成された実施形態3の泡放出装置では、図11に示すように、送液管から送られた泡消火薬剤混合液が発泡器14の絞り17aから高速で放出されるとともに吸気口17bから空気が吸い込まれ消火用泡となり、開閉蓋30を押し開ける。そして、消火用泡の一部は吐出口30aからタンク1内の径内方向に水平方向に吐出されるとともに、その他の泡消用泡は開閉蓋30に阻まれて下方に向かい、タンク1の側壁1bに沿って流下する。消火用泡は、水平方向と下方向との2方向に消火用泡が放出され、実施形態1の場合と同様、図6に示すように可燃性液面の中央付近からの展開(図6A領域)と、可燃性液面の周縁付近からの展開(図6B領域)の、2箇所における消火用泡の展開を、単一の泡放出装置によって行うことができる。
また、実施形態3の泡放出装置は、実施形態1における従来から用いられているデフレクタ付き泡放出装置(図2参照)を利用し、その先端部分に開閉蓋30等を設けるだけで製造することができるという利点がある。
【0043】
(実施形態4)
図12に示すように、実施形態4の泡放出装置40は外観が略逆L字形状とされており、送液管90の上端でフランジ90aを介して接合された導入管41の上端が、水平方向に延在する外管42の一端側に溶接されて連通状態とされている。外管42の内側には、同軸で内管43が隙間を開けて挿通されている。外管42と内管43との間の隙間によって形成される流路が逆流流路Xであり、内管43の内側が案内流路Yである。内管43のタンク91側は外管42から突出しており、先端がフランジ43aに溶接されている。また、内管43と外管42のタンク91側の端との隙間は環状部材44によって溶接により封鎖されている。フランジ43aは、浮蓋付き固定屋根タンク91の側壁91aの上端近くに突出して設けられたフランジ91bに接合されており、フランジ43aとフランジ91bとの間は、封板50が挟まれている。
【0044】
また、内管43の他端側には吸気孔49を有する管状のノズル部材45の大径部45aが嵌められており、大径部45aから同軸で小径部45bが突出している。大径部45aと内管43とはO-リング45bを介して接している。大径部45aには逆流流路Xと案内流路Yとを連通するノズル口46が図13に示すように、均等間隔で6箇所複数あけられている。なお、ノズル口46の大きさや数や形状は、吸気孔49の大きさや泡の放射量及び性状等を考慮し、直交する4箇所に設けたり(図14a)、環状のスリットSとしたり(図14b)する等、適宜選ぶことができる。
また、図12に示すように、外管42の他端側にはフランジ42aが溶接によって取り付けられている。ノズル部材45の小径部45b先端外周にはO−リング48が嵌められており、小径部45bはフランジ42aに連結された孔空き円板47によって押しつけられて固定されている。
【0045】
以上のように構成された実施形態2の泡放出装置40では、図15に示すように、送液管90から送られた泡消火薬剤混合液が導入管41を通って外管42と内管43との間の隙間にできた逆流流路Xに流入する。さらに、泡消火薬剤混合液は逆流流路Xの先端で折り返してノズル口46に入り、内管43内の案内流路Yに放射される。これにより、ノズル口46近傍が負圧となり、吸気孔49から空気が流入し、泡消火薬剤混合液と空気が混合されて発泡して消火用泡となり、封板50を突き破り、浮蓋付き固定屋根タンク91内へ水平方向に勢いよく放射される。こうして放射された消火用泡はタンク内の液面に着地し、さらに液面上に展開される。このため、たとえタンクが内径60mを越えるような大型タンクであっても、液面の中央まで消火用泡を展開させることができる。また、泡消火薬剤混合液は逆流流路Xの先端で折り返してノズル口46に入り、内管43内の案内流路Yに放射されるため、泡放出装置40の長さが短くでき、省スペース化が図られる。
【0046】
なお、上記泡放出装置40はタンク内へ水平方向に消火用泡を放出するようにされているが、水平方向ではなく若干の仰角をつけて斜め上方向に放出するようにしてもよい。こうであれば、消火用泡をさらに遠方にまで飛ばすことができる。この場合において、放出された消火用泡の泡がタンクの屋根に邪魔されないよう、中央部に向かって高くなる屋根とすることが好ましい。
【0047】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0048】
1…タンク
1b…側壁
4…デフレクタ無し泡放出装置(泡放出装置)
5…デフレクタ付き泡放出装置
17a…絞り
17b…吸気孔
14…発泡器
12…取付内管
11…取付外管
20a、20b、30a…吐出口
X…逆流流路
Y…案内流路
45…ノズル部材(絞り部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクの上端周縁に固定して設置される泡放出装置であって、
流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、
該発泡器で発生した該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように案内する案内流路と、
が設けられていることを特徴とする泡放出装置。
【請求項2】
前記案内流路は前記タンクの径内方向に向かって延在する管状とされていることを特徴とする請求項1記載の泡放出装置。
【請求項3】
前記案内流路と前記絞りとは軸心を同じくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の泡放出装置。
【請求項4】
前記絞りは、流れの方向が前記案内流路とは逆向きの逆流流路と、該逆流流路の下流の一端側に設けられ、前記案内流路に連通する絞り部とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の泡放出装置。
【請求項5】
前記逆流流路と前記案内流路とが二重管構造とされていることを特徴とする請求項4記載の泡放出装置。
【請求項6】
前記案内流路はタンク内に突出していないように設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の泡放出装置。
【請求項7】
可燃性液体や引火性液体を貯留するタンク内に消火用泡を放出して液面上に該消火用泡を展開する消火用泡放出方法において、
前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより、該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする消火用泡放出方法。
【請求項8】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、フッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項9】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、水成膜泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項10】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、耐アルコール泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項11】
前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させるとともに、前記タンクの上端周縁からタンク壁に沿って流下させ液面周縁に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項記載の消火用泡放出方法。
【請求項12】
請求項1記載の泡放出装置の設計方法であって、
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させて該液面上に該消火用泡を展開し、展開距離に応じて絞りの口径を決定する絞り口径決定工程と、
該液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率と還元時間とから該吸気孔の口径、該吸気孔の位置、該吸気孔の形状、該絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状、の少なくとも1つを決める吸気機構決定行程と、
を含むことを特徴とする泡放出装置の設計方法。
【請求項1】
可燃性液体や引火性液体を貯留するためのタンクの上端周縁に固定して設置される泡放出装置であって、
流路を狭めるための絞りと空気を取り込むための吸気孔とを有し消火剤を発泡させて消火用泡とする発泡器と、
該発泡器で発生した該消火用泡をタンクの径内方向に向けて放出するように案内する案内流路と、
が設けられていることを特徴とする泡放出装置。
【請求項2】
前記案内流路は前記タンクの径内方向に向かって延在する管状とされていることを特徴とする請求項1記載の泡放出装置。
【請求項3】
前記案内流路と前記絞りとは軸心を同じくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の泡放出装置。
【請求項4】
前記絞りは、流れの方向が前記案内流路とは逆向きの逆流流路と、該逆流流路の下流の一端側に設けられ、前記案内流路に連通する絞り部とからなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の泡放出装置。
【請求項5】
前記逆流流路と前記案内流路とが二重管構造とされていることを特徴とする請求項4記載の泡放出装置。
【請求項6】
前記案内流路はタンク内に突出していないように設置されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の泡放出装置。
【請求項7】
可燃性液体や引火性液体を貯留するタンク内に消火用泡を放出して液面上に該消火用泡を展開する消火用泡放出方法において、
前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより、該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする消火用泡放出方法。
【請求項8】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、フッ素化合物を含むフッ素たんぱく泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項9】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、水成膜泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項10】
前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出される消火用泡は、耐アルコール泡消火薬剤と水との混合液を発泡させた泡であることを特徴とする請求項7記載の消火用泡放出方法。
【請求項11】
前記消火用泡を前記タンクの上端周縁から径内方向に向けて吐出させることにより該消火用泡を該タンク側壁から離れた液面上に着液させてから液面上を展開させるとともに、前記タンクの上端周縁からタンク壁に沿って流下させ液面周縁に着液させてから液面上を展開させることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項記載の消火用泡放出方法。
【請求項12】
請求項1記載の泡放出装置の設計方法であって、
液面から所定の高さに設置した泡放出口から消火用泡を水平方向に吐出させて該液面上に該消火用泡を展開し、展開距離に応じて絞りの口径を決定する絞り口径決定工程と、
該液面上に展開された該消火用泡のうち該液面と同じ高さにて採取した消火用泡の膨脹率と還元時間とから該吸気孔の口径、該吸気孔の位置、該吸気孔の形状、該絞りから流出する消火用泡を撹拌して該吸気孔から取り込まれた空気と混合するための撹拌翼の有無及び形状、の少なくとも1つを決める吸気機構決定行程と、
を含むことを特徴とする泡放出装置の設計方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−5825(P2012−5825A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−112963(P2011−112963)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000192338)深田工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000192338)深田工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】
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