説明

泡消失低下剤としてのベタインの使用

本発明は、泡消失低下剤としてのベタインの使用に関する。また本発明は泡を必要とする工程におけるベタインの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、ベタインの、泡消失低下剤としての使用である。本発明のもう一つの主題は、泡の存在を必要とする工程におけるベタインの使用である。
【背景技術】
【0002】
幾つかの産業の工程または私的領域で実施される工程で泡が利用されている。幾つかの洗浄剤組成物では、泡は、消費者が重視する、優れた洗浄力の指標である。これら組成物において、泡は洗い出された汚染物質を、懸濁させて洗浄される物体または洗浄される表面から分離させることもできる。泡は、消火用製品にも使用されている。また泡は軽量および/または多孔質の材料を製造するのに使用され、この材料は、泡の壁を形成する組成物から出発して硬化しこの泡に対応する細孔を含む構造になる。また泡は、建築工学および土木工学の分野における建設作業、特にトンネルの掘削および/またはボーリングの作業において破壊屑を懸濁させて輸送するのにも使用されている。またこの泡は、地表面の可視標識としても使用されている。泡はまた、粒子または汚染物質を除去する汚染物除去剤として水処理に使用されている。
【0003】
泡を生成できる多種類の薬剤が存在している。これら薬剤のうち最も広く使用されているのは、アニオン界面活性剤の特に硫酸アルキルエーテル類であり、これは有用な洗浄力を示し、重要な泡を生成する。両性イオン界面活性剤のココアミドプロピルジメチルベタインも知られており、広く使用されている。
【0004】
泡の容積を増大するのに使用する多種類の「泡ブースター」化合物、特にポリマーが記述されている。このようなポリマーは、特に、食器類を手洗いするために使う組成物に使用されている。
【0005】
上記工程では、泡の比較的長い寿命が必要であり得、この寿命が比較的長くなければ、泡消失を少なくする効果を達成または経験できないことがある。例えば軽量の材料を製造する場合、泡は、硬化期間中、存在し続けなければならない。泡の消失が早ければ早いほど、所望の軽量および/または所望の多孔性をもたらす細孔が少なくなる。掘削作業の場合、泡の消失が早ければ早いほど、廃棄される物質が少なくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
消失速度の低下した泡、即ち含水率が長時間高く保持されおよび/または長時間特定容積を保持する泡が要望されている。高い含水率が保持されると、例えば泡の諸特性、特に機械的特性の耐久性が高くなり、および/または泡の形状および/または均一性が保持される。このような目的を達成するための薬剤が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
下記式(I):R−N−CH−COO(I)のアルキルベタイン類、
下記式(II):R’−CO−NH−R−N−CH−COO(II)のアルキルアミドアルキルベタイン類、および
これらの混合物および組合せ
(上記式中、
は16から24個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、
R’は15から22個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、
は適切な場合ヒドロキシル基で置換された2価のC−Cアルキル基を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、適切な場合ヒドロキシル基で置換されたC−Cアルキル基を表す。)
から選択されるベタイン界面活性剤の、発泡剤を含む発泡水性組成物における泡消失低下剤としての使用
を提供することによってこの要望を満たす。
【0008】
従って、上記界面活性剤は「本発明の薬剤」または「ベタイン界面活性剤」と呼ばれる。従って、発泡剤およびベタインの界面活性剤の組合せは「本発明のシステム」と呼ばれる。
【0009】
また、本発明は、発泡剤および本発明の薬剤を含む水性組成物を調製し、これを例えば撹拌するおよび/または気体を噴射することによって泡を発生させる工程に関する。
【0010】
本発明は、また、泡を調製する一段階およびもう一つの段階を、同時にまたは続けて含む工程に関する。これらの工程としては、産業の工程または私的領域で実施される工程がある。産業の工程が特に有利である。
【0011】
本発明は、特に、
泡を長時間保持し、
同時に、泡を、しかも少ない量の薬剤で保持して、経済的でありおよび/または環境に有利であり、または少なくともこのように認められ、
泡の均一性を長時間保持し、
広範囲の組成にわたって、低い消失速度を達成しやすくし、および/または
時間の経過とともに、泡の存在量を大きくすることができる。
【0012】
泡の消失は、泡中に存在する水の流動を意味し、この流動によって泡の壁が分解され、最終的に、泡の存在しない水性組成物の状態に段階的に戻り得ると理解される。
【0013】
本発明のシステムは、特に実用的であり、容易に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の組成物および薬剤
組成物は、発泡剤および本発明の薬剤を含む水性組成物である。この発泡剤は泡を発生する特性を示す。このような薬剤は既知である。この泡は、いずれかの従来の方法、特に撹拌、減圧、噴射気体の利用、エアロゾル装置の利用などによって発生させることができる。本発明の薬剤は、泡の消失が、発泡剤のみの場合と比べて少ない。このように、本発明の薬剤は泡消失を低下させる薬剤である。本発明の薬剤が泡の発生に寄与すると考えられないことはない。しかし、この泡の発生は本発明のシステムの主な役割ではない。
【0015】
上記発泡剤は、ベタインの界面活性剤と異なる化合物(またはこの化合物の組合せ)である。
【0016】
発泡剤は当業者に知られている。この発泡剤は、特にアニオン、非イオン、両性(ベタインの界面活性剤以外の双性イオン界面活性剤を含む。)イオンまたはカチオンの活性剤またはこれらの混合物および組合せでもよい。
【0017】
アニオン界面活性剤の発泡剤の例として特に挙げることができるのは、式R−CH(SOM)−COOR’(式中、RはC−C20、好ましくはC10−C16のアルキルラジカルを表し、R’はC−C、好ましくはC−Cのアルキルラジカルを表し、およびMはアルカリ金属(ナトリウム、カリウムもしくはリチウム)のカチオン、置換もしくは非置換のアンモニウム(メチル−、ジメチル−、トリメチル−もしくはテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムなど)のカチオン、またはアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)から誘導されるカチオンを表す。)で表される硫酸アルキルエステル類であって、特に挙げることができるR−ラジカルがC14−C16のラジカルである硫酸メチルエステル類;
12から16個の炭素原子を含む硫酸α−オレフィン類;
式ROSOM(式中、RはC−C24、好ましくはC10−C18のアルキルもしくはヒドロキシアルキルのラジカルを表し、およびMは水素原子もしくは上記定義と同じカチオンおよびこのエトキシレン化(ethoxylenated)(EO)および/またはプロポキシレン化(propoxylenated)(PO)誘導体(EOおよび/またはPOの単位は平均0.5から30、好ましくは0.5から10を示す。)で表される硫酸アルキル類および硫酸アルキルエステル類であって、特にあげることができるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、ドデシル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)もしくはラウリルエーテル硫酸アンモニウム;
式RCONHR’OSOM(式中、RはC−C22、好ましくはC−C20のアルキルラジカルを表し、R’はC−Cのアルキレンラジカルを表しおよびMは水素原子もしくは上記定義と同じカチオン、およびこのエトキシレン化(EO)および/またはプロポキシレン化(PO)誘導体(EOおよび/またはPOの単位は平均0.5から60を示す。)で表される硫酸アルキルアミド類;
飽和もしくは不飽和のC−C24、好ましくはC14−C20の脂肪酸の塩、C−C20のアルキルベンゼンスルホン酸の塩、第一級もしくは第二級のC−C22のアルキルスルホン酸の塩、アルキルグリセロールスルホン酸の塩、GB−A−1 082 179に記載のスルホン化ポリカルボン酸の塩、パラフィンスルホン酸の塩、N−アシル−N−アルキルタウレートの塩、アルキルリン酸の塩、イセチオン酸の塩、アルキルコハク酸の塩、アルキルスルホコハク酸の塩、スルホコハク酸のモノエステルもしくはジエステルの塩、N−アシル−サルコシネートの塩、アルキルグリコシド硫酸の塩、またはポリエトキシカルボキシレートの塩(ただし、このカチオンは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムもしくはリチウム)、置換もしくは非置換のアンモニウム残基(メチル−、ジメチル−、トリメチル−もしくはテトラメチル−アンモニウム、ジメチルピペリジニウムなど)またはアルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)から誘導される残基である。);
アルキルもしくはアルキルアリールリン酸エステル類、例えばRhodiaが販売しているRhodafac RA600、Rhodafac PA15もしくはRhodafac PA23
である。
【0018】
アニオン界面活性剤(存在している場合)の乾燥ベースで示す量は、洗浄剤組成物の合計100重量部当たり、0.5から90重量部であり、好ましくは5から60重量部であり、より詳しくは10から30重量部であり得る。
【0019】
非イオン界面活性剤の発泡剤として特に挙げることができるのは、アルキレンオキシド特にエチレンオキシドとアルコール類、ポリオール類もしくはアルキルフェノール類との縮合物;脂肪酸エステル類;脂肪酸アミド類;脂肪族アミン類;糖の誘導体、例えばアルキルポリグリコシド類もしくは脂肪酸および糖のエステル類、特にスクロースモノパルミテート;長鎖の第三級ホスフィンオキシド類;ジアルキルスルホキシド類;ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのブロックコポリマー類;ポリアルコキシル化ソルビタンエステル類;疎水性を付与するように改質されたソルビタン、ポリ(エチレンオキシド)類および脂肪酸アミド類の脂肪族エステル(例えば10から18個の炭素原子を含む脂肪酸のモノ−およびジ−エタノールアミド類)である。
【0020】
特に挙げることができるのは、
アルキル置換基がC−C12アルキル置換基でおよび5から25個のオキシアルキレン単位を含むポリオキシアルキレン化(ポリエトキシエチレン化、ポリオキシプロピレン化もしくはポリオキシブチレン化)アルキルフェノール類であって、例えばRohm & Haas Co.が販売しているTriton X−45、X−114、X−100もしくはX−102;
グルコサミド類、グルカミド類もしくはグリセロールアミド類;
1から25個のオキシアルキレン(オキシエチレンもしくはオキシプロピレン)単位を含むポリオキシアルキレン化C−C22脂肪族アルコール類であって、特に挙げることができる例えばUnion Carbide Corp.が販売しているTergitol 15−S−9もしくはTergitol 24−L−6 NMW、Shell Chemical Co.が販売しているNeodol 45−9、Neodol 23−65、Neodol 45−7もしくはNeodol 45−4またはRhodiaが販売しているRhodasurf IDO60、Rhodasurf LA90もしくはRhodasurf IT070;
US−A−4 565 647に記載されているアルキルポリグリコシド類;
ポリヒドロキシル化されていてもよいC−C20脂肪酸アミド類;
エトキシル化脂肪酸類;
エトキシル化アミン類
である。
【0021】
両性イオン−もしくは双性イオンの界面活性剤の発泡剤として、特に挙げることができるのは、
アミンオキシド類、例えば(C10−C18アルキル)ジメチルアミンオキシド類もしくは(C−C22アルコキシ)エチルジヒドロキシエチルアミンオキシド類;
脂肪族の第四級アンモニウム誘導体類、特に3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−プロパン−1−スルホネートおよび3−(N,N−ジメチル−N−ヘキサデシルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロパン−1−スルホネート;
本発明の薬剤以外のベタイン類のスルホベタイン類および脂肪酸類とイミダゾールのカルボキシレート類とスルホネート類;
アルキルアミドプロピルジメチルスルホベタイン類、例えばRhodiaが販売しているMirataine CBS;
脂肪酸類およびタンパク質類加水分解物の縮合生成物;
アルキルジメチルスルホベタイン類;
アルキル基が6から20個の炭素原子を含むアルキルアンフォアセテート類(Amphoacetate)もしくはアルキルアンフォジアセテート類;
両性アルキルポリアミン誘導体類、例えばRhodiaが販売しているAmphionic XL(登録商標)またはBerol Nobelが販売しているAmpholac 7T/X(登録商標)およびAmpholac 7C/X(登録商標)
である。
【0022】
特に、カチオン界面活性剤の発泡剤として挙げることができるのは、
式R(式中、
はハロゲン化イオン、CHSOイオンもしくはCSOイオンを表し;
およびRは同様または異なり、C−C20アルキルラジカル、アリールラジカルまたはベンジルラジカルを表し;
およびRは同様または異なり、C−C20アルキルラジカル、アリールラジカル、ベンジルラジカルまたはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの縮合生成物(CHCHO)−(CHCHCHO)y−H(式中、xおよびyは0から30の範囲内にあり同時にゼロであることはない。)を表す。)を表すアルキルアンモニウム塩類であり;
特に、セチルトリメチルアンモニウムブロミドの、Rhodiaが販売しているRhodaquat(登録商標)TFRがある。
【0023】
特にベタイン界面活性剤の発泡剤に対する重量比は0.4以上でもよく、好ましくは0.7、好ましくは1、好ましくは2である。
【0024】
特にベタイン界面活性剤の発泡剤に対する重量比は10以下でもよく、好ましくは4、好ましくは3、好ましくは2である。
【0025】
特に、組成物は、好ましくは上記重量比を維持しながら、0.05から5重量%、好ましくは0.1から2重量%、好ましくは0.15から1.5重量%、好ましくは0.2から0.7重量%の発泡剤およびベタイン界面活性剤を含んでいてもよい(これは本発明のシステムの含有物の重量である。)。
【0026】
特に、組成物は、好ましくは上記比率を保持しながら、0.05から2重量%、好ましくは0.1から1重量%、好ましくは0.15から0.7重量%のベタイン界面活性剤を含んでいてもよい。
【0027】
特に、組成物は、好ましくは上記重量比を維持しながら、0.1から3重量%、好ましくは0.15から1.5重量%、好ましくは0.2から1重量%の発泡剤を含んでいてもよい。
【0028】
好ましくは本発明の薬剤において、
およびRはメチル基であり、および
は−CH−CH−CH−基である。
【0029】
有利に、
は18から22個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和および直鎖状もしくは分枝のアルキル基を表し、または
R’は17から21個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和および直鎖状もしくは分枝のアルキル基を表す。
【0030】
好ましくは
は18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝のアルキル基を表し、または
R’は17個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和の直鎖状もしくは分枝のアルキル基を表す。
【0031】
基およびR’基は、一般に天然物起源で、ほとんどの場合植物起源の脂肪酸類の残基に相当し得ることが言及される。R’が相当する脂肪酸は、式R’−COOHの脂肪酸である。Rが相当する脂肪酸は、同数の炭素原子を示す脂肪酸である。従って、R’基は、15から23個、好ましくは17から21個、好ましくは17個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和および直鎖状もしくは分枝の脂肪酸に相当し得る。R基は、16から24個、好ましくは18から22個、好ましくは18個の炭素原子を含む飽和もしくは不飽和および直鎖状もしくは分枝の脂肪酸に相当し得る。通常、R基およびR’基は、これらに相当する脂肪酸と同じ範疇の基である。
【0032】
これらの基および脂肪酸は既知である。一般に植物油の誘導体が含まれている。これらは混合物として存在していることがある。混合物の場合、すべての基(または相当する脂肪酸)は、炭素原子の数に関わらず、重量によって支配的な基(または相当する酸)(比較的支配的、好ましくは絶対に支配的、好ましくは少なくとも75%まで)が定義で表される場合、この定義は含まれる。基(または相当する酸)の名称は、支配的な基(または酸)の名称に短縮される。
【0033】
基およびR’基は、特に、C18またはC22の脂肪酸、例えばステアリン酸、オレイン酸またはエルカ酸に相当し得る。好ましくはこれらの基はオレイル基に相当する。
【0034】
ベタインの界面活性剤および硫酸アルキルおよび硫酸アルキルエーテルのタイプの発泡剤の組合せが、泡の消失を低下させるのに特に有効であることが分かっている。
【0035】
組成物は、この目的および用途によってあらゆる種類の追加の成分を含んでいてもよい。
【0036】
組成物の水は、適度の硬度、好ましくは5から100°TH(フランス硬度)の範囲内の例えば20から60の硬度を示すことが好ましい。このような条件によって、泡の消失の低下を改善できる。
【0037】
組成物のpHは変えることができる。このpHは既知の薬剤を使って制御できる。このpHは、特に4または5以上であり、好ましくは7以上で、例えば8から9ないしは11から12であり得る。高いpH値によって、泡消失の低下を改善できる。
【0038】
組成物およびこれを利用する工程は、温度を変えることができる。この温度は、例えば20℃から80℃の間、好ましくは20℃から40℃の間、または40℃から80℃の間の温度である。適度な温度によって、泡の消失の低下を改善できる。本発明は、特に、比較的高い温度、例えば40℃から80℃の間の温度で、低い泡消失を保持することができ、このことは比較的高い温度で実施される特定の工程で特に有用および有利である。
【0039】
組成物は、水、発泡剤、本発明の薬剤および任意選択で他の成分を単に混合することによって調製できる。特別な形態の場合、発泡剤および本発明の薬剤が、「濃縮組成物」と呼ばれる固体もしくは液体の組成物の形態で予混合される。この濃縮組成物は、例えば本発明のシステムを、少なくとも2重量%、好ましくは少なくとも5重量%、例えば少なくとも10重量%含み得る。この濃縮組成物は、この後、例えば発泡させる直前および/または他の成分を添加する前もしくは添加中に希釈することができる。この濃縮組成物の使用は、使用者にとって特に簡単であり、泡消失の低下に対して優れた効果を発揮する。
【0040】
使用と工程
発泡組成物は、詳しく述べると、
水硬性結合剤を含む組成物、
特にスリップ(slip)を含んでいてもよい、セラミック類製造用の組成物、
掘削流体、
架橋ポリマー材料を生成できる化合物を含む組成物、
地表面にマーキングを行なうための組成物、
消火用組成物、
水の汚染物除去のための組成物、
泡浴用組成物、または
洗浄剤組成物
である。
【0041】
このような組成物は、当業者には知られている。これら組成物は、一般に、本発明の薬剤に加えて、補助化合物を含んでいる。これらの補助化合物は、当業者には知られている。このような組成物による泡を利用する工程は、当業者に知られている。
【0042】
水硬性結合剤を含む組成物は、特に、多孔質および/または軽量および/または耐熱性および/または絶縁性の材料、例えば断熱および/または防音用の材料を得るために使うセメント成分またはプラスター成分であり得る。本発明の薬剤は、特に、上記材料を得るため、水硬性結合剤を有する組成物を製造して発泡させ、次いでこの組成物を、泡の形状で硬化させる(一般に産業型の)工程に使用できる。もう一つの工程は、結合剤の水中分散液を調製し、本発明のシステムを使ってこの分散液中に泡を生成させ、次いでこの組成物を硬化させる工程である。このような工程は、特に、プレハブ材料、例えばプレハブ構造の部材を得るために利用できる。
【0043】
周囲空気と接触させたときまたは少なくとも一種のポリマーもしくはオリゴマーを含む幾つかの化合物を有する化学系(前記系は任意に、この幾つかの化合物を周囲空気と適切に接触させると架橋できる。)によって適切な場合架橋できるポリマーで、水硬性結合剤が代替されている、架橋されていてもよいポリマー材料を生成できる組成物も同様にプレハブ材料を得るために利用できる。このポリマー材料を生成できる組成物としては、例えば繊維製品、例えばカーペットのバッキングおよび/または不織布表面に付加するラテックスベースの組成物があり得る。ポリマー材料を生成できるこの組成物は、製紙産業にも使用できる。
【0044】
本発明は、水硬性結合剤またはポリマーベースを有する材料に優れた均一性を付与することができる。
【0045】
多孔質セラミック類(例えば酸化物によるもの)製造用組成物の場合、この組成物は、具体的には、スリップを含む組成物であり得る。本発明の薬剤は、特に、スリップ(水およびセラミック前駆物質による組成物)に泡を導入して、処理可能なまだ火で処理されていない多孔質部材を得て、次いでこの部材を炉内で、熱処理を行い、前記酸化物を高温で焼結することによって多孔質部材を得る工程に使用できる。
【0046】
掘削流体は、トンネル掘削操作または井戸のセメンテーションを行なう前の井戸掘削操作に利用する、掘削破砕片用流体であり得る。本発明の薬剤は、特に、泡を生成する組成物を調製し、この組成物をトンネル掘削装置などの掘削装置に注入し、破砕片を(一般に)担持する泡を、前記装置と掘削された岩石との接触領域から排出する工程(一般に産業型)に使用できる。特に、この泡によって、岩石の破砕が防止され、破砕片が排出され、掘削された岩石を流動性にして、この岩石が均質化されおよび/または局所的におよび適切な場合一時的に不透過性になる。
【0047】
消火用組成物は、具体的に述べると消火器用組成物または建造物の安全システムに利用される組成物であり得る。本発明は、耐熱性に優れた泡を提供するので、消火に、特に適切に使用される。この消火すべき火災は、建造物および/または森林または農園で起こる火災、および/または例えば油および/または気体の抽出、貯蔵または輸送に使うプラントにおける不慮のまたは故意の火災の際の炭化水素類の爆発に関連する火災である。
【0048】
洗浄剤組成物は、食器類を手洗いするのに使用する組成物、身体や毛髪に使用するシャンプーまたはシャワーゲル、手を洗浄するのに使う水セッケン、洗濯物を手洗いするまたは半自動式機械で洗浄するのに使う組成物、自動車やトラックなどの車両を洗浄するのに使う洗浄剤配合物、住宅や工業における表面の洗浄に使う組成物であり得、前記泡が洗浄を行なうのに十分な寿命を有していると(例えば浴室を洗浄する場合)有利であり得る。本発明は、これら組成物によって、泡の存在で、洗浄すべき物体またはこの物体の一部を完全に被覆していることを示す可視標識を提供することができる。本発明の薬剤は、特に、この組成物を希釈し、手作業でまたは希釈水のジェットで撹拌することによって泡立て、次いで汚れた食器を前記泡立てられた希釈組成物と接触させる工程(一般に家庭で実施される。)で利用できる。
【0049】
地表面に標識をつける工程は、泡を生成させる段階およびこの泡を地表面に置いて標識をつける段階を含む。この泡が硬化すればするほど、このマーキングは一層、永続する。この泡は、飛行機などの航空機から散布することによって地表面に置くことができる。この工程は、軍事分野で作戦領域を識別するため、または農業分野で処理領域を識別するために利用できる。
【0050】
本発明のこの外の詳細または利点は、限定されることなく、下記実施例から明らかになる。
【実施例】
【0051】
(実施例1から20)
使用される製品
Mirataine BET C30、Rhodia(「BET C30」):ココアミドプロピルジメチルベタイン
Empicol ESB3M,Huntsman(「SLES」):ラウリルエーテル硫酸ナトリウム−活性物質27%
SDS:ドデシル硫酸ナトリウム
Miranol C2M Conc.NP,Rhodia(「C2M」):INCI 名「ココアンホ酢酸二ナトリウム」−活性物質50%
Mirataine BET O−30、Rhodia(「BET O30」):オレアミドプロピルジメチルベタイン
Mackam OB−30,McIntyre(「OB30」):オレイルジメチルベタイン
Mirataine BET E−40、Rhodia(「BET E40」):エルシル(erucyl)アミドプロピルジメチルベタイン(活性物質40重量%)およびイソプロパノール20重量%を含む混合物
混合物1:Mirataine BET E−40およびベンジルトリメチルアンモニウムクロリド10重量%の混合物、
水:2007年12月、フランスAubervilliersの水道水(「都市水」)(硬度約30°TH)
使用される装置
Rayneri撹拌機
3羽根プロペラ
直径が14.5cmのプラスチック製の2lビーカー
ガラス製コーン(cone)
泡消失試験の実施
泡の消失性は泡の半減期(容積による。)に特徴付けられる。この半減期が大きければ大きいほど、泡の消失は少ない。試験の手順は下記の通りである。
【0052】
1 加熱条件(80℃)下、適切な場合成分を混合することによって、組成物(下記組成物)200mlを調製する。この組成物の、活性物質としての成分の量は下記の通りであり、残りは水である。
【0053】
2 発泡
上記組成物を、2lビーカー中で、3羽根プロペラによって、2000rev/分で5分間撹拌する。生成した泡の容積を記録する。
【0054】
泡が水100mlを放出するまで、泡の消失を1lのコーン中で監視する。これが、泡を調製するのに使用された最初の組成物の1/2になった半減期である。
【0055】
泡消失性改善指数Fadditiveを、発泡剤および被検化合物の組合せで得た半減期/発泡剤単独の場合の半減期の比率と定義する。1という指数は改善されていないことを意味する。Fadditiveが高ければ高いほど、泡の消失は少ない。1.75より大きい指数は、泡の消失が、75%を超えて有利に改善されていることを表す。
【0056】
実施例中の文字Cは比較実施例を示す。
【0057】
試験結果を表Iに示す。試験結果は、本発明の薬剤が、広範囲の組成物にわたって、泡の消失を有意に低下させるので、実際に使用できることを示している。
【0058】
【表1】

【0059】
(実施例21)
多孔質プラスターの調製
都市水にSLES0.24重量%およびMirataine BET O30 0.72重量%を含む水性組成物を、解こうパドルによって、2000rev/分で5分間、撹拌して泡を調製する。
【0060】
次にプラスター(Lutece(登録商標)Express、 Placoplatre またはBPB Placoが販売している。)100gを水80gに添加し、解こうパドルによって200rev/分で撹拌することによって、プラスターの水分散液を調製した。この分散液は均一になると、この分散液中に泡12.5gが含まれている。
【0061】
従って、組成は下記の通りである。
【0062】
プラスター 100g
水 92.38g
SLES 0.03g
Mirataine BET O30 0.09g
硬化させた後、比重が0.45から0.5で、多孔度が均一および一定のプラスターが得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):
−N−CH−COO (I)
のアルキルベタイン類、
下記式(II):
R’−CO−NH−R−N−CH−COO (II)
のアルキルアミドアルキルベタイン類、および
これらの混合物および組合せ
(上記式中、
は16から24個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、
R’は15から22個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、
は適切な場合ヒドロキシル基で置換された2価のC−Cアルキル基を表し、
およびRは、同一または異なっていてもよく、適切な場合ヒドロキシル基で置換されたC−Cアルキル基を表す。)
から選択されるベタイン界面活性剤の、発泡剤を含む発泡水性組成物における泡消失低下剤としての使用。
【請求項2】
他の発泡剤に対するベタイン界面活性剤の重量比が0.4以上であり、好ましくは0.7であり、好ましくは1であり、好ましくは2であることを特徴とする、請求項1記載の使用。
【請求項3】
他の発泡剤に対するベタイン界面活性剤の重量比が、10以下であり、好ましくは5であり、好ましくは4であり、好ましくは2であることを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載の使用。
【請求項4】
組成物が、発泡剤およびベタイン界面活性剤を0.05から5重量%、好ましくは0.1から2重量%、好ましくは0.15から1.5重量%、好ましくは0.2から0.7重量%を含んでいることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の使用。
【請求項5】
組成物が、ベタイン界面活性剤を0.05から2重量%、好ましくは0.1から1重量%、好ましくは0.15から0.7重量%を含んでいることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の使用。
【請求項6】
組成物が、発泡剤を0.1から3重量%、好ましくは0.15から1.5重量%、好ましくは0.2から1重量%を含んでいることを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の使用。
【請求項7】
およびRがメチル基であり、および
が−CH−CH−CH−基である
ことを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
が、18個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表し、または
R’が、17個の炭素原子を含む飽和または不飽和および直鎖状または分枝状のアルキル基を表す
ことを特徴とする、請求項1から7の一項に記載の使用。
【請求項9】
基またはR’基がオレイル基に相当することを特徴とする、請求項1から8の一項に記載の使用。
【請求項10】
発泡剤が硫酸アルキル類および硫酸アルキルエーテル類から選択されることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
発泡組成物が、
水硬性結合剤を含む組成物、
セラミック類を製造するための組成物、
掘削流体、
架橋されていてもよいポリマー材料を生成できる化合物を含む組成物、
地表面にマークをつけるための組成物、
火災を消火するための組成物、
水の汚染物除去のための組成物、
泡浴の組成物、または
洗浄剤組成物
であることを特徴とする、請求項1から10の一項に記載の使用。
【請求項12】
水硬性結合剤を含む組成物が、多孔質および/または軽量および/または耐火性および/または絶縁性の物質を得るためのセメント組成物またはプラスター組成物であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
掘削流体が、トンネル掘削操作に利用される、破砕片排出用流体であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項14】
洗浄剤組成物が、手作業で食器を洗浄するための組成物であることを特徴とする、請求項11に記載の使用。

【公表番号】特表2010−520804(P2010−520804A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552187(P2009−552187)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052553
【国際公開番号】WO2008/110473
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】