説明

波動水力発生器、波動水力を利用する機器、その波動水力利用方法及びそのシステム

【課題】密閉する波動水力エネルギー伝達空間内において、自然界に存在する空気と水の温度差、圧力差及び密度差を拡大し、発生する波動水力を利用し、電力を発生し、水素ガスを生産する波動水力を利用するシステムを構築する。
【解決手段】自動車に水車タービン46A,46Bと発電機を搭載し、高水位に水を貯蔵する二個の貯水槽100A,100Bを駐車場に配設し、二個の貯水槽は、上部の燃焼室8A,8B内において水素ガスを交互に燃焼することにより、駐車する自動車に地上から高圧の波動水力60を供給し、波動水力60は水車タービンを回転駆動し、水車タービンが駆動する発電機の電力を地上の交流電力配電系統に供給し、さらに水を電気分解することにより、自動車は波動水力と水素ガスの供給を受け、水素ガスを貯蔵することにより自動車走行用のエネルギーを獲得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、列車、船舶又は住居等生産・生活場所に配設し、波動水力を発生し、発生した波動水力を機械的動力エネルギーに変換する機器及びその変換するシステムであって、その波動水力発生器は、二個を一対として有効落差2〜300mの水を貯水し、水素ガスの燃焼熱により二個の波動水力発生器間において発生する往復動波動水力エネルギーを利用して同期化水車タービンを回転駆動し、発電機が発生する電力は、自家用として電気分解槽に供給して水素ガスを生産し、余剰電力は、交流電力配電系統に供給し、機械的動力は、自動車、列車又は船舶の移動用動力に利用可能にすることを特徴とする技術である。
【背景技術】
【0002】
従来の水素ガスを燃料とし、動力エネルギーを発生する自動車は、水の電気分解、アルコール等の化学分解等により地上において生産する水素ガスを耐高圧容器内に貯蔵し、耐高圧容器内の水素ガスを連続的に燃焼し、発生する高温・高圧の流体圧を利用し、ガス燃料エンジンと発電機を回転駆動し、自動車が走行するために必要な動力と電力を供給していた。
【0003】
また、水の電気分解による水素生産方式においては、地上に固定設置する水電気分解槽内に注入する高濃度の化成カリ溶液を温度70〜80℃に維持し、直流低電圧を加えて水を電気分解し、水素を生産していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする第一の課題は、有効落差2〜300mの水を貯蔵する二個の容器を対向配置し、水素ガスを交互燃焼させることにより、時間的に振幅が変動する圧力波に位相差を与え、波動水力を二個の容器間に発生させ、その位相差波動水力を利用し、水車タービンを回転駆動するための波動水力発生器を提供することにある。
【0005】
この発明が解決しようとする第二の課題は、対向配置する二個の容器は、所定の値に設定する圧力の波動水力を所定の周期において出力する構成の波動水力発生器を提供することにある。
【0006】
この発明が解決しようとする第三の課題は、周囲温度環境の水と空気に温度差、密度差及び高低差を人工的に発生させ、自然エネルギーを有効活用するための、自然熱エネルギー利用技術を提供することにある。
【0007】
この発明が解決しようとする第四の課題は、波動水力発生器が発生する往復動波動水力を回転動力エネルギーに変換する同期化水車タービンを提供することにある。
【0008】
この発明が解決しようとする第五の課題は、同期化水車タービンを自動車、列車又は船舶に搭載し、水素ガス燃焼内燃機関と同期化水車タービンが協働し、自動車、列車又は船舶に移動駆動力を供給し、発電するシステムを提供することにある。
【0009】
この発明が解決しようとする第六の課題は、一般住居等生産・生活場所において、駐車中の自動車が搭載する同期化水車タービンに地上から波動水力を供給し、不使用時の自動車搭載同期化水車タービンを回転駆動し、自動車搭載発電機から住居等生産・生活場所に電力を供給し、住居等生産・生活場所に配設する水電気分解槽内の電解液を電気分解し、水素ガスを住居等生産・生活場所に供給するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記第一の課題を解決するために、円筒形状又は長方形断面形状の密閉容器を外箱とし、その密閉容器の内部に有底、上部開口の中間容器を配設し、その中間容器の内部に上下が開口する円筒形状又は角形断面の側壁を備えた中心箱を配設し、その中心箱の上部に開閉弁を配設することにより、開閉弁を閉路し、中心箱の上部燃焼室内に配設する空気導入管から空気を中心箱の上部に導入し、中心箱の上部室内に配設する水素ガス導入管から水素ガスを導入し、水素ガスを点火すると、水素ガスの燃焼熱は、空気を加熱し、燃焼室内の水を下方に押出し、中間容器と中心箱間の水を中間容器の上部開口部まで押上げ、中間容器の底部から上部開口部までの高さを有効落差とする水圧を発生し、中間容器と外箱の間の空間を流下し、外箱の底板を貫通する出力配管に所定圧力以上の波動水力を送出する波動水力発生器を構成する。
【0011】
上記波動水力発生器の上部に配設する燃焼室内において時間1秒間、水素ガスを燃焼させると、密度ω1、圧力P1の高温・高圧ガスを発生し、高さHにおいて発生する高温・高圧ガスは、第1式のエネルギーW1(kW)を保有する。
W1=GQH(P1/ω1) (1)
ここに、Gは、重力加速度(m/sec)であり、Qは、燃焼室から流下する水量(m/sec)とし、Hは、高温・高圧空気の密度ω1と圧力P1を水換算関数とする有効落差である。
【0012】
上記波動水力発生器の上部に配設する燃焼室内において発生する高温・高圧の燃焼ガスは、圧力P1が大きく、密度ω1が小さいため、大きな出力エネルギーW1(kW)を保有し、波動水力発生器は、中間容器上部の高い壁の頂部を波高とし、外箱の底部を谷とする振幅の波動水力を出力する。
【0013】
上記第二の課題を解決するために、中間容器の底板の表面で、中心箱の中心部屋の底部にヒートポンプの低温領域を配設し、ヒートポンプの低温領域は、中心箱の底部の水を冷却することにより、中心箱の上部において間欠的に水素ガスを燃焼すると、水素ガスの燃焼熱により膨張する中心箱上部空間部の高温空気は、中心箱の中心部屋の水を下方に押出し、水素ガス燃焼休止時に中心箱上部空間部の燃焼空気の温度が低下すると、中心箱上部空間部が負圧に転じ、中心箱下部の低温水が中心部屋に流入し、中心部屋内の高温の空気を急冷することにより、中心部屋内に流入する水流の流速を加速し、高速水流を中心箱の上部燃焼室内に帰還する波動水力発生器を構成する。
【0014】
上記波動水力発生器の中心箱の底部に配設するヒートポンプの低温領域が温度0〜25℃に冷却する圧力P2と密度ω2の水が高さHの中心部屋を上昇すると、上昇水流が消費するエネルギーW2(kW)は、第2式を使用し、計算することができる。
W2=GQH(P2/ω2) (2)
ここに、Gは、重力加速度(m/sec2)であり、Qは、中心箱の底部から燃焼室内に帰還する水量(m3/sec)で、出力水量と同量の水量を帰還するとし、Hは、水を中心箱の底部から燃焼室内に帰還するための有効落差とし、水の密度ω2と圧力P2の関数とする。
【0015】
上昇水流は、ヒートポンプの低温領域が冷却する温度0〜25℃の高密度水流とし、高温・高圧空気よりも小さい圧力P2の水が保有するエネルギーW2は、高温高圧の燃焼空気が保有するエネルギーW1よりも小さく、少ない消費エネルギーにより、中間容器上部の高い壁の頂部から流下する水流により加速され、中心箱の中心部屋を経て、燃焼を休止する燃焼室内に上昇する。
【0016】
上記波動水力発生器は、第3式に示すように、燃焼周期1サイクルを時間2秒間として燃焼と休止を繰り返すと、燃焼ガスが保有するエネルギーW1から上昇水流が消費するエネルギーW2を差引き、時間1秒間に波動水力発生器が外部にエネルギーWを外部に放出する。
W=(W1ーW2)/2=GQ{H(P1/ω1)ーH(P2/ω2)}/2 (3)
【0017】
二個の波動水力発生器間において波動水力を発生すると、二個の波動水力発生器が発生し、外部に出力する総エネルギーWTは、第4式で表すことができる。
WT=(W1ーW2)=GQ{H(P1/ω1)ーH(P2/ω2)} (4)
【0018】
波動水力発生器において第4式に示す総エネルギーWTを発生するために必要な資源エネルギーWLは、燃焼室内において燃焼するために必要な、電気分解により水素ガスを生産するときに必要とする電力エネルギーWEと、ヒートポンプが低温領域を温度0〜25℃に維持するための熱交換エネルギーWCであり、第5式として表示することができる。
WL=WE+WC (5)
【0019】
二個の波動水力発生器が外部に出力する総エネルギーWTから波動水力を発生するために必要な資源エネルギーWLを差引いた有効エネルギーWVは、自然界に広く分布する空気と水が保有する常温のエネルギーを上手に管理し、自然界を支配する重力加速度と水と空気の密度差及び圧力差を有効に活用するための物理的法則を規則的に適用する条件においてのみ「正の出力」として機能し、常に正出力を放出するのではなく、むしろ負出力として機能することの方が多いと予測することができる。
【0020】
第6式に示す有効エネルギーWVは、波動水力発生器が外部に出力する総エネルギーWTから波動水力を発生するために必要な資源エネルギーWLを差引いたものであり、水素ガスを生産するときに必要とする電力エネルギーWEは、化学変化を伴うもので、必ずしも有効エネルギーWVが常に負であることを立証することはできない。
WV=WT−WL (6)
絶対的に不変の重力加速度Gを有効活用し、波動水力発生器が水素ガス燃焼1サイクルごとに送出する自然有効エネルギーWVを正にするために、波動水力発生器の中間容器壁の頂部高さを燃焼室に帰還する水位よりも高い位置に設定する。
【0021】
波動水力発生器の中間容器壁の頂部高さを燃焼室に帰還する水位よりも高い位置に設定すると、燃焼室から放出する水は、出発点よりも高い位置にある中間容器壁の頂部を乗越え、波動水力発生器の底部に出発点よりも大きい水圧を加えるため、燃焼室内において燃焼した水素ガスは、確実に重力加速度をエネルギーとして利用し、波動水力発生器の出力効率を向上する。
【0022】
水が燃焼室内に帰還するとき、波動水力発生器は、中間容器壁の頂部高さよりも低い位置にある燃焼室まで水を帰還すればよく、中間容器壁の頂部を乗越えた水は、低位にある燃焼室まで必ず帰還することが約束され、中心部屋の下部に配設するヒートポンプの低温領域は、波動水力発生器内における水流速度を加速する出力増大効果に利用可能にすることを約束する。
【0023】
このように、波動水力発生器の中間容器壁を含む壁構成と、重力加速度、水と空気の密度差、温度差及び圧力差により、波動水力発生器内を移動する水のエネルギーを増大することにより、波動水力発生器の底部から放出し、帰還する波動水力効率の良い波動水力発生器を実現する。
【0024】
上記第三の課題を解決するために、ヒートポンプを使用し、二個の波動水力発生器に結合する配管内の水を低温に冷却し、水電気分解槽内の電解液を高温に維持することにより、配管内の低温の水は、水素を燃焼する高温・高圧の空気を急冷し、波動水力流動系統内部空間を減圧し、流速を加速し、波動水力を増大し、高温に維持する電解液は、水電気分解効率を向上する自然エネルギー利用システムを構築する。
【0025】
上記第四の課題を解決するために、二個の波動水力発生器の外箱の底板をそれぞれ貫通し、外箱の内部空間に一端が連通する配管を二本平行に配設し、その配管の他端に蓋を設けて閉じた終端配管とし、二本の配管の間に水車タービン室と圧力平衡用同期化装置を組合わせた同期化水車タービンを結合すると、二個の波動水力発生器の底板から二本の配管に供給する波動水力の圧力差は、同期化水車タービンに往復動波動水力を供給し、水車タービンを回転駆動する機械的動力発生機構を構成する。
【0026】
上記同期化水車タービンは、二個の水車タービン室と二個の圧力平衡用同期化装置を組合せ、二個の水車タービン室の壁側内部空間の底部に波動水力授受用接続口を設け、反対側の壁側上部内部空間に二個の上部開口部を設け、一個の上部開口部は、水車タービン室の天井板と圧力平衡用同期化装置の底板を貫通して、水車タービン室と圧力平衡用同期化装置を連通し、上部連通配管は、二個の水車タービン室を隔離する側壁を貫通して二個の水車タービン室を連通する構成とする。
【0027】
上記同期化水車タービンが波動水力を回転エネルギーに変換する手段は、二個の水車タービン室の底部に設けた波動水力授受用接続口に往復動する波動水力を受入れ、対向位置の上部開口部を経て相互に波動水力を授受する構成とすることにより、波動水力受入れ側の圧力平衡用同期化装置を休止すると、波動水力授受用接続口から底部に流入する波動水力は、水車タービン羽根を反時計方向に回転駆動し、対向位置にある上部開口部から休止中の圧力平衡用同期化装置内に流入し、側壁を貫通する上部連通配管は、隣接配設する水車タービン室に波動水を案内し、隣接配設する圧力平衡用同期化装置において水素ガスを燃焼すると、膨張空気が下方に押出す水流は、水車タービン羽根を反時計方向に回転駆動し、底部の波動水力授受用接続口から燃焼休止中の波動水力発生器に波動水流を帰還する。
【0028】
上記同期化水車タービンの水車タービン室は、上部開口部と上部連通配管の配設位置を、底部に設ける波動水力授受用接続口の配設位置に対し、水車タービン羽根の回転方向対角位置に設定することにより、隣接配設する二個の水車タービン室の側壁は、波動水力授受用接続口から受入れた波動水力を垂直上方向に案内して水車タービン羽根を反時計方向に回転駆動し、対向位置にある上部開口部と上部連通配管内に水流を吸上げ、隣接する水車タービン室の上部連通配管から排出する水流は、水車タービン羽根に下方向水流を与え、圧力平衡用同期化装置において水素ガスを燃焼する高圧空気圧により上部開口部から流下する高速水流は、下方向水流を加速し、底部の波動水力授受用接続口から燃焼休止中の波動水力発生器に、高圧に加圧した波動水流を帰還する。
【0029】
上記同一構造の水車タービン室と圧力平衡用同期化装置を一対に組合わせる同期化水車タービンは、相互に共同作用し、底部の波動水力授受用接続口から流入し、又は流出する水流の方向が変化しても、常に水車タービン羽根を反時計方向に回転駆動する機械的動力を供給し、波動水力発生器が発生する波動水力エネルギーを機械的回転駆動エネルギーに変換する。
【0030】
上記第五の課題を解決するために、自動車、列車又は船舶に同期化水車タービン、電気分解槽及び水素ガス貯蔵タンクを搭載し、波動水力発生器が発生する波動水力エネルギーを利用して水車タービン羽根を回転駆動し、発電機は、電力を発生し、伝達する機械的動力は、移動エネルギーを供給する。
【0031】
列車又は船舶は、波動水力発生器、同期化水車タービンを搭載し、自動車は、小形のため同期化水車タービンのみを搭載する。
【0032】
地上の自動車駐車場は、少なくとも二個の波動水力発生器、少なくとも一個以上の固定設置同期化水車タービンを地上に配設し、自動車が駐車しない場合、固定設置同期化水車タービンは、二個の波動水力発生器間における波動水力の維持を可能とし、固定設置同期化水車タービンが発生する電力を交流電力配電系統に供給し、自家用電力に利用し、又は電気分解槽に供給して水素ガスを生産する。
【0033】
駐車場に自動車が駐車すると、地上設備と自動車搭載機器を接続し、波動水力発生器は、自動車搭載同期化水車タービンに波動水力を供給し、自動車搭載同期化水車タービンの回転により発電機が発生する電力を地上の交流電力配電系統に供給すると、等価交換状態に地上から自動車の水素貯蔵タンクに水素ガスを供給する。
【0034】
上記第六の課題を解決するために、個人住宅に配設する波動水力発生器とその付属機器は、一個の外箱内に二組の中心箱と中間容器を配設し、下部に同期化水車タービンを配設し、発生する電力を自家用に利用し、生産する水素ガスは、自家用と自動車走行用に利用する。
【0035】
自動車が駐車すると、波動水力発生器とその付属機器は、自動車に波動水力と水素ガスを供給し、自動車が発生する電力を交流電力配電系統に供給し、自家用電力として利用し、余剰電力は、電力会社に販売するか又は電気分解槽に供給して水素ガスを生産する。
【発明の効果】
【0036】
本発明は、ヒートポンプを利用し、周囲温度の水と空気が保有する熱エネルギーを低温側と高温側に移動することにより、低温側に移動する水は、波動水力発生器と同期化水車タービンが発生する高温・高圧の空気を急冷して波動水力エネルギーを増大し、高温側は、電解液を加熱し、水の電気分解効率を向上する効果がある。
【0037】
本発明は、同期化水車タービンとして隣接配設する二個の水車タービン室に同一配置の波動水力授受用接続口、上部開口部及び上部連通配管を設けることにより、波動水力発生器が発生する波動水力を波動水力授受用接続口に授受すると、波動水力の移動方向に無関係に、水車タービン羽根に常に反時計方向の水流を作用させることにより、水車タービン羽根は、往復動する波動水力を有効に回転駆動力に変換する効果がある。
【0038】
船舶又は列車は、波動水力発生器と同期化タービンを組合わせた波動水力伝達システムを搭載し、波動水力を利用して電力を発生し、水素ガスを生産し、機械的動力を移動エネルギーとして利用する効果がある。
【0039】
自動車は、同期化タービンと電気分解槽を搭載して走行し、走行時は、水素ガス燃焼機関の駆動力を利用して走行し、減速時又は一時停止時は、発電機が発生する余剰電力エネルギーにより水素ガスを生産し、駐車場においては、地上に配設する波動水力発生器から波動水力を受け入れて同期化水車タービンを回転駆動し、発生する電力を地上の交流電力配電系統に販売し、地上から購入する水素ガスと等価交換することにより、自動車の所有者は、走行に必要な水素ガスの取得を可能にし、波動水力供給者は、発電設備を増設することなく、増量電力の利用が可能となり、双方に利益をもたらす効果がある。
【0040】
住居においては、波動水力発生器、同期化タービン及び電気分解槽を一体にした波動水力伝達システムを構築することにより、太陽熱温水システム及び深夜電力により蓄熱した熱エネルギーを利用し、常時発生する電力を自家用に利用し、自動車が駐車場に駐車すると、自動車に搭載する同期化水車タービンを波動水力発生器に接続し、自動車搭載発電機が発生する電力を自家用に使用し、余剰電力により生産する水素ガスを自動車の水素ガス貯蔵タンクに貯蔵可能にする効果がある。
【課題を解決するための最良の形態】
【0041】
図1は、本発明の波動水力発生器100を側面から見た断面構造図を示す。波動水力発生器100は、水圧に耐える鋼板製とし、円筒形状又は長方形断面の外箱1の内部に中間容器2を配設し、中心に中心箱3を配設する。
【0042】
中心箱3は、円筒形状の側壁4の中心に、上下に開口部5,6が開口する空間室7を備える構造とし、上部の開口部5に側壁4の外径よりも大きい外径の側壁9を備える燃焼室8を結合する。
【0043】
燃焼室8の内部空間に空気供給配管10と水素ガス供給配管11を導入し、燃焼室8内に空気と水素ガスを供給可能にし、燃焼室8の底板13に設けた開口部14は、空間室7の開口部5に連通する。
【0044】
燃焼室8の上部に自動開閉弁15を設け、自動開閉弁15を閉路すると、燃焼室8の内部空間は、開口部5,14を経て空間室7に連通し、内部空間の水と空気を下方にのみ流出入する圧力容器として機能し、自動開閉弁15を開放すると、燃焼室8の内部空間は、上部の大気に開放する構成とする。
【0045】
中間容器2は、円筒形状又は角形の側壁16と底板17を備えた頂部18が開放する有底容器とし、底板17の表面にヒートポンプの低温領域19を配設し、ヒートポンプの低温領域19は、中心箱3の下部の開口部6に流出入する圧力伝達媒体としての水を冷却する。
【0046】
外箱1は、角形又は円筒形状の側壁20の下端に底板21を固定し、上部は、天井板22により気密に燃焼室8の側壁23に結合することにより、外箱1の内部空間を気密構造とする。
【0047】
外箱1の底板21に開口穴24を設け、開口穴24に波動水力を流出入する配管25を結合する。
【0048】
波動水力発生器100の動作の概要を説明すると、中間容器2の側壁16の長さ12は、5〜300mとし、高水位26の位置まで燃焼室8の内部に水を充満し、外箱1の天井板22の背面に蓄積する空気を排除し、外箱1の内部に設けたジグザグ路構成の水路29,30,31の内部に水を充満する。
【0049】
中間容器2の側壁16の頂部18の高さを燃焼室8の高水位26よりも高い位置に設計し、頂部18と高水位26間の落差63は、吸上げ落差△Hとして波動水力発生器100の波動水力増大に利用する。
【0050】
頂部18と高水位26間の吸上げ落差△Hにより増大する波動水力発生器100の最大波動水力Wwaveは、第7式により表すことができる。
Wwave=Gq△H(p/ω) (kW) (7)
ここに、qは、1秒間に側壁16の頂部18を通過する水の総流量とし、Gは、重力加速度、△H(p/ω)は、頂部18と高水位26間の吸上げ落差△Hを水に加わる圧力pと水の密度ωの関数として処理する換算落差値とする。
【0051】
燃焼室8の上部を閉鎖する自動開閉弁15を閉路し、空気供給配管10と水素ガス供給配管11から空気と水素ガスを供給し、水素ガスを燃焼すると、燃焼室8内に発生する高温・高圧の空気は、高水位26の位置にある水の表面を加圧し、水路29内に水を圧入する。
【0052】
矢印32により表示する方向に流下する高圧水は、水路30内を矢印33に示す上向き流として重力Gに逆らい上昇し、中間容器2の側壁16の頂部18を乗越え、水路31内に流入する。
【0053】
中間容器2の側壁16の頂部18は、波動エネルギー駆動システムの吸上げ落差△Hの頂点として機能し、波動エネルギー駆動システムに供給する波動水力の最低波動圧力を決定する。
【0054】
水路31内を矢印34に示す方向に流下する高圧水流は、外箱1の底板21に設けた開口穴24から配管25内に流入し、多数の負荷を構成する水車タービンに供給する。
【0055】
燃焼室8内の水素ガスの燃焼が完了すると、燃焼室8の上部の自動開閉弁15を瞬時開放し、燃焼室8内の高温・高圧空気を外気に排出し、燃焼室8内を大気圧に減圧後、自動開閉弁15を閉鎖する。
【0056】
他の波動水力発生器が燃焼室8内において水素ガスを燃焼すると、配管25は、底板21の開口穴24から水路31内に他の波動水力発生器の発生圧力により波動する波動水力を供給する。
【0057】
図2に波動水力発生器100の燃焼休止状態を例示するように、波動水力発生器100の底板21の開口穴24から水路31内に流入する水は、開口穴24の水圧と燃焼を休止し、大気圧から負圧に移行する燃焼室8内の圧力の差と吸上げ落差△Hの水位差により、矢印33に示すように、一気に中間容器2の壁頂部18から中心箱3の下部開口部6に流下する。
【0058】
中心箱3の下部開口部6に流下する水流は、中心箱3の下部開口部6においてヒートポンプの低温領域19が冷却する低温水54に圧力を加え、低温水54を矢印32の方向に押上げる。
【0059】
頂部の燃焼室8内に流入する低温水54は、燃焼室8内の高温・大気圧の空気温度を急降下させ、低圧に移行する燃焼室8内に充満する。
【0060】
空気供給配管10から燃焼室8内に高圧空気を導入し、水素ガス供給配管11が供給する水素ガスを点火し、次の波動水力発生サイクルを繰返す。
【0061】
波動水力発生器100の上部に配設する燃焼室8内において時間1秒間、水素ガスを燃焼させると、密度ω1、圧力P1の高温・高圧ガスを発生し、高水位26の高さHにお
いて発生する高温・高圧ガスは、第8式のエネルギーW1(kW)を保有する。
W1=GQH(P1/ω1) (8)
ここに、Gは、重力加速度(m/sec)であり、Qは、燃焼室8から流下する水量(m/sec)とし、高水位26の位置における高温・高圧空気の密度ω1と圧力P1を水換算関数とする有効落差H(P1/ω1)とする。
【0062】
波動水力発生器100の上部に配設する燃焼室8内において発生する高温・高圧の燃焼ガスは、圧力P1が大きく、密度ω1が小さいため、大きな出力エネルギーW1(kW)を保有し、波動水力発生器100は、中間容器2の高い壁の頂部18を波高とし、外箱の底部開口穴24を谷とする振幅の波動水力を出力する。
【0063】
中間容器2の底板17の表面で、中心箱3の空間室7の底部にヒートポンプの低温領域19を配設し、ヒートポンプの低温領域19は、中心箱3の底部開口部6の水を冷却することにより、燃焼室8において間欠的に水素ガスを燃焼すると、水素ガスの燃焼熱により膨張する燃焼室8内の高温・高圧空気は、中心箱3の空間室7の水を下方に押出し、水素ガス燃焼休止時に燃焼室8内の燃焼空気の温度が低下すると、燃焼室8が負圧に転じ、低温領域19の低温水64が空間室7に流入し、空間室7内の高温の空気と水を急冷することにより、空間室7内に流入する水流の流速を加速し、高速水流を燃焼室8内に帰還する波動水力発生器100を構成する。
【0064】
波動水力発生器100の中心箱3の底部開口部6に配設するヒートポンプの低温領域19が温度0〜25℃に冷却する圧力P2と密度ω2の水が高水位26まで上昇すると、上昇水流が消費するエネルギーW2(kW)は、第9式を使用し、計算することができる。
W2=GQH(P2/ω2) (9)
ここに、Gは、重力加速度(m/sec)であり、Qは、中心箱の底部から燃焼室内に帰還する水量(m/sec)で、出力水量Qと同量の水量Qを帰還すると、水の密度ω2と圧力P2の関数とし、水を帰還するための実効落差H(P2/ω2)により上昇水流が消費するエネルギーW2(kW)を計算する。
【0065】
矢印32の方向に上昇する上昇水流は、ヒートポンプの低温領域19が冷却する温度0〜25℃の密度ω2が大きく、高温・高圧空気よりも小さい圧力P2の水の流れであり、上昇水流が保有するエネルギーW2は、高温高圧の燃焼空気が保有するエネルギーW1よりも小さく、少ない消費エネルギーにより、矢印32に示す方向に上昇する上昇水流を発生することができる。
【0066】
更に、重力加速度Gが加速し、中間容器2上部の高い側壁16の頂部18から矢印33の方向に流下する水流は、上昇水流を矢印32の方向に加速し、中心箱3の空間室7を経て、燃焼を休止する燃焼室8内に流入する。
【0067】
波動水力発生器100は、第10式に示すように、燃焼周期1サイクルを時間2秒間として燃焼と休止を繰り返すと、燃焼ガスが保有するエネルギーW1から上昇水流が消費するエネルギーW2を差引き、時間1秒間に波動水力発生器が外部にエネルギーWを放出する。
W=(W1ーW2)/2=GQ{H(P1/ω1)ーH(P2/ω2)}/2 (10)
【0068】
二個の波動水力発生器100間において波動水力を発生すると、二個の波動水力発生器100が発生し、外部に出力する総エネルギーWTは、第4式で表すことができる。
WT=(W1ーW2)=GQ{H(P1/ω1)ーH(P2/ω2)} (11)
【0069】
波動水力発生器において第11式に示す総エネルギーWTを発生するために必要な資源エネルギーWLは、燃焼室内において燃焼するために必要な、電気分解により水素ガスを生産するときに必要とする電力エネルギーWEと、ヒートポンプが低温領域を温度0〜25℃に維持するための熱交換エネルギーWC及び高圧空気を発生する圧縮機を駆動する補助電力WAであり、第12式として表示することができる。
WL=WE+WC+WA (12)
【0070】
第13式は、波動水力発生器100が外部に出力する総エネルギーWTから波動水力を発生するために必要な資源エネルギーWLを差引いた有効エネルギーWVを示し、必ずしも常に正とはならないが、冬季等、外部気温が低下し、低温領域発生用の電力消費量が低減すると、波動水力発生器の出力効率が向上する。
WV=WT−WL (13)
波動水力発生器100が水素ガス燃焼1サイクルごとに送出する自然有効エネルギーWVに絶対的に不変の重力加速度Gを有効に利用するために、壁16の頂部18の高さを燃焼室8に帰還する高水位26よりも高い位置に設定する。
【0071】
中間容器2の壁16の頂部18の高さを燃焼室8に帰還する高水位26よりも高い位置に設定すると、燃焼室8から放出する水は、出発点の高水位26よりも高い位置にある壁16の頂部18を乗越え、燃焼室8内の高水位26の位置まで確実に帰還することが約束され、波動水力発生器100は、安定、有効に動作サイクルを繰り返す。
【0072】
図3は、本発明の主要構成である波動エネルギー駆動システム101の動作機能説明図であって、二個の波動水力発生器100A,100Bの底板21に結合する配管25A,25Bに同期化水車タービン36を結合する。
【0073】
同期化水車タービン36は、図5,6に例示するように、自動車に搭載することを可能とし、二個のタービン室37A,37Bを結合し、タービン室37A,37Bの上部に圧力平衡用同期化装置38A,38Bを積層構造に配設する。
【0074】
タービン室37A,37Bの側壁39,40、41を気密に貫通し、駆動軸42が外部に延び、水車タービン羽根46A,46Bが回転駆動する駆動軸42に発電機43と水素燃焼内燃機関44の回転軸45が結合する。
【0075】
タービン室37A,37Bを区画する側壁40の上部に設けた開口部に配管47を配設し、配管47は、タービン室37A,37Bの上部空間を連通し、タービン室37A,37Bの内部圧力不平衡時に、タービン室37A,37B内の上部の水を移動し、タービン室37A,37B間の内部圧力を平衡させる。
【0076】
タービン室37A,37Bの上部に設ける天井51は、圧力平衡用同期化装置38A,38Bの底板を構成し、天井51に設ける連通配管50A,50Bは、圧力平衡用同期化装置38A,38Bの底部内部空間53とタービン室37A,37Bの上部内部空間52を連通する(図4参照)。
【0077】
圧力平衡用同期化装置38A,38Bの内部空間に空気供給配管54と水素ガス供給配管55を導入し、空気と水素ガスの供給を可能にする。
【0078】
水車タービン室37A,37Bの底板56に開口部を設け、開口部に気密に結合する配管57A,57Bに配管25A,25Bを結合する。
【0079】
図3を参照し、波動エネルギー駆動システム101の動作を説明すると、時間対圧力図58A,58Bに示すように、波動水力発生器100Aの燃焼室8Aにおいて水素ガスを燃焼し、所定の継続時間t1の間継続する波動水力59を発生し、波動水力発生器100Bは、燃焼休止状態矢印61に示す休止状態とする。
【0080】
燃焼室8Aに発生する高温・高圧の空気圧は、燃焼室8A内の水を押出し、燃焼室8Aから出力する波動水力59は、中間室2の側壁頂部18を乗越え、外箱1の底部開口穴24から配管25A内に出力する。
【0081】
中間室2の側壁16の長さ12を所定値に設定し、波動エネルギー駆動システム101に供給する波動水力59の波高圧力値pを所定値以上に維持する。
【0082】
中間室2の側壁16の長さ12は、波動水力を供給する波動エネルギー駆動システム101の必要水力に対応し、長さ2〜300mとする。
【0083】
波動水力発生器100Aが出力する波動水力59は、配管57Aから水車タービン室37Aの配管57A内に流入し、矢印60に示す上方向に流れる衝動流を発生する。
【0084】
矢印60に示す上方向に流れる衝動流は、水車タービン羽根46Aを反時計方向に回転駆動し、配管57Aを配設する位置に対し対向位置の上部に配設する配管47の配管開口部48内に流入する。
【0085】
配管50Aは、燃焼休止状態の圧力平衡用同期化装置38A内に水車タービン室37A内の水を吸引する。
【0086】
ヒートポンプを使用し、配管25A内を流動する水を温度25℃以下に維持すると、圧力平衡用同期化装置38A内に流入する水は、圧力平衡用同期化装置38A内を負圧にし、圧力平衡用同期化装置38A内に流入する水を高速吸引し、プッシュプル効果により、矢印60に示す上方向に流れる衝動流を加速し、タービン羽根46Aを高速回転駆動する。
【0087】
水車タービン室37Bは、配管47の配管開口部49から衝動流が流出することを検出すると、圧力平衡用同期化装置38B内において、水素ガスを燃焼する。
【0088】
圧力平衡用同期化装置38B内において水素ガスが燃焼し、発生する波動水力は、配管50Bから下部の水車タービン室37Bに流入し、壁に沿って流下し、水車タービン羽根46Bを回転駆動し、配管57B,25Bを経て波動水力発生器100Bに帰還する。
【0089】
圧力平衡用同期化装置38B内において水素ガスが燃焼することにより発生する高温・高圧空気の圧力は、配管47の配管開口部49から水車タービン室37B内に流入する水流を加速し、波動水力発生器100Bに帰還する水流に帰還エネルギーを供給する。
【0090】
波動水力発生器100Aが送出する波動水力は、配管25A及び水車タービン羽根46A,46Bにおいて減衰するが、水素ガスを燃焼終了後に発生する圧力平衡用同期化装置38A内における吸引力と、圧力平衡用同期化装置38B内における加圧力により損失を補填され、波動水力発生器100Bの側壁16の頂部18を乗越える圧力を蓄積する。
【0091】
波動水力発生器100Bの側壁16の頂部18の高さと、燃焼室8内において、水素ガスを燃焼することにより高水位26から低水位27まで低下するときに水の位置エネルギー損失により発生する水の有効落差を所望値に設計し、同期化水車タービン36が供給する損失補填エネルギーにより、水が二個の波動水力発生器間において往復動可能にする周期を決定し、周期的に継続する波動エネルギーとして利用する。
【0092】
図7は、波動エネルギー駆動システム101を配設する駐車場102の平面図例を示し、多数の従業員が勤務する事業所、多数の観客が訪問する遊園地、高速道路のサービスエリア又は建物の地下等の駐車場102に波動水力発生器100A,100Bを配設し、波動水力発生器100A,100Bの底部から配管25A,25Bを平行敷設する。
【0093】
配管25A,25Bから直交方向に枝配管251A,251B及び枝配管252A,252Bを敷設し、枝配管251A,251B及び枝配管252A,252Bの閉鎖終端部261A,261B,261C,261D及び閉鎖終端部262A,262B,262C,262Dにそれぞれ同期化水車タービン36を接続する。
【0094】
駐車場102において、外部からエネルギーを供給せずに、駐車場内の自然エネルギーである空気と水の圧力差、温度差及び密度差のみを利用し、波動水力発生器100A,100B間において永久に波動水力を継続する条件は、同期化水車タービン36の配設数nを調整し、配設数nの同期化水車タービン36の水車タービン羽根46A,46Bが回転駆動する発電機が発生する全電力を電気分解に使用し、水素ガスを生産し、生産した水素ガスを全量使用して波動エネルギー駆動システムを運転したとき、波動水力発生器100A,100Bの有効落差28を維持できるときであり、この状態をゼロ出力平衡状態とする。
【0095】
ゼロ出力平衡状態は、配管25内の低温水の温度、燃焼室8及び圧力平衡用同期化装置38A,38Bにおいて水素ガス燃焼時に発生する高圧・高温の空気圧と急冷時の負圧、波動水力発生器100A,100Bの底部から配管25に供給する一秒間当たりの平均水量Q、密度ω及び圧力Pにより決定する。
【0096】
波動エネルギー駆動システム101がゼロ出力になる条件に同期化水車タービン36の配設数nを決定すると、駐車場102に駐車する自動車が搭載する同期化水車タービン36に波動水力発生器100A,100Bから波動水力を供給すると、圧力平衡用同期化装置38Aの吸引作用と、圧力平衡用同期化装置38Bの波動水力出力作用によるプッシュプル効果と、自動車搭載同期化水車タービン36のプッシュプル効果が加わり、駐車場102から十分の低温エネルギーを供給する条件において、駐車場102は、波動エネルギー駆動システム101の出力を増大する方向に作用し、自動車搭載発電機43が発電する電力を有効に地上の交流電力配電系統に供給し、電力負荷や電気分解槽に電力を供給することができる。
【0097】
駐車場102に駐車する自動車65の数に比例して自動車搭載発電機43が発生し、地上に供給する電力を増大することができ、地上電力負荷設備に有効に電力を供給し、交流電力配電系統から負荷に供給する最大電力を低減することができる。
【0098】
自動車搭載同期化水車タービン36の出力を波動水力発生器100A,100Bに対応する波動出力特性に対応して設計し、自動車走行用に必要とする以上の出力特性の発電機43を自動車65に搭載することにより、駐車場102は、自動車65に低温の波動水力と水素ガスを供給し、自動車搭載発電機43から発電効率の良い電力を購入することができ、自動車65は、販売した電力と等価交換する水素ガスを購入できるので、発電電力と水素ガスを交換する流通システムを構築すると、駐車場管理者と自動車所有者の両者に利益をもたらす水素ガスエネルギー流通システムを構築することができる。
【0099】
図8は、船舶68に波動エネルギー駆動システム101を搭載する概念図を示し、船舶68の船首75に波動水力発生器100Aを配設し、船尾76に波動水力発生器100Bを配設する。
【0100】
船首75と船尾76に分割して配設する波動水力発生器100A,100Bは、船舶68が揺動すると、船舶の揺動により波動水力発生器100A,100B内に乱雑な波動水力を発生する。
【0101】
波動水力発生器100A,100B内に発生する乱雑な波動水力WRは、水車タービン室37A,37Bに流出入する波動水に不規則な波動を重畳し、水車タービン室37A,37B内に渦流を発生する。
【0102】
圧力平衡用同期化装置38A,38Bは、水車タービン室37A,37Bに加わる圧力を検出し、水車タービン室37A,37Bの内圧が高いとき水素ガスの燃焼を休止し、水圧が低いとき、水素ガスを燃焼することにより、不規則な波動を水車タービン羽根46A,46Bの回転エネルギーに利用する。
【0103】
図9は、列車69に波動エネルギー駆動システム101を搭載する平面図を示す。
【0104】
列車69の場合、縦揺れと横揺れが期待でき、その振動により発生する渦流を波動エネルギーとして利用するため、二個の波動水力発生器100を仕切壁79により列車69の進行方向に平行に区画する。
【0105】
走行中、列車69が横揺れすると、仕切壁79が区画する波動水力発生器100A,100B間において乱雑な波動が発生し、脈動する波動は、波動水力発生器100A,100B間に圧力差を発生する。
【0106】
配管25A,25Bに結合する同期化水車タービン36は、波動水力発生器100A,100B間に発生する圧力差を検出し、圧力平衡用同期化装置における水素ガスの燃焼を制御し、乱雑な波動を有効な波動エネルギーに変換する。
【0107】
図10は、一般の住居70に配設する波動水力発生器100A,100Bを例示する。
【0108】
一般の住居70に配設する波動水力発生器100A,100Bは、一個の外箱81の内部に一体に組込み、有効落差2〜5m程度で運転する。
【0109】
一般住居70の場合、一定の低温を得ることが困難なので、屋根82に配設する太陽熱利用温水器83を利用して水を加熱し、ヒートポンプ74の熱により更に加熱する温水により電気分解槽66の電解液を加熱し、熱交換した地下貯水槽84内の低温水を波動水力発生器100A,100Bと同期化水車タービン36の低温冷却水に利用する。
【0110】
帰宅したとき、自動車の同期化水車タービン36Mを波動水力発生器100A,100Bに接続し、同期化水車タービン36Mに波動水力の供給を受け、発電機43が発電する電力を自家用に利用し、電気分解槽が生産する水素ガスを自動車65の水素ガス貯蔵タンク67に供給して貯蔵し、家庭においては、水素ガスを燃料として利用する。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】 水素ガス燃焼35状態を表示した波動発水力生器100を側面から見た断面図である。
【図2】 低温水64が上昇する状態を表示した波動水力発生器100を側面から見た断面図である。
【図3】 波動水力発生器100Aを水素燃焼状態に設定し、同期化水車タービン36を接続した波動エネルギー駆動システム101の動作機能説明図である。
【図4】 波動水力発生器100Aを休止状態に設定し、波動水力発生器100Bが波動水力を発生する状態における波動エネルギー駆動システム101の動作機能説明図である。
【図5】 同期化水車タービン36を搭載する自動車65の平面図である
【図6】 自動車65に搭載する同期化水車タービン36、内燃機関44及び発電機43の配列図例である。
【図7】 波動エネルギー駆動システム101を配設する駐車場102の平面図である
【図8】 船舶68に波動エネルギー駆動システム101を搭載する模型図である。
【図9】 列車69に波動エネルギー駆動システム101を搭載する平面図である。
【図10】 一般住居70に配設する波動エネルギー駆動システム101の側面図である。
【符号の説明】
【0112】
1 外箱
2 中間容器
3 中心箱
4 側壁
5 開口部
6 開口部
7 空間室
8 燃焼室
8A 燃焼室
8B 燃焼室
9 側壁
10 空気供給配管
10A 空気供給配管
10B 空気供給配管
11 水素ガス供給配管
11A 水素ガス供給配管
11B 水素ガス供給配管
12 中間室2の側壁16の長さ
13 底板
14 開口部
15 自動開閉弁
16 側壁
17 底板
18 頂部
19 ヒートポンプの低温領域
20 側壁
21 底板
22 天井板
23 側壁
24 開口穴
25 配管
25A 配管
25B 配管
26 高水位
27 低水路
28 有効落差
29 水路
30 水路
31 水路
32 矢印
33 矢印
34 矢印
35 水素ガス燃焼
36 同期化水車タービン
36M 自動車の同期化水車タービン
37A 水車タービン室
37B 水車タービン室
38A 圧力平衡用同期化装置
38B 圧力平衡用同期化装置
39 側壁
40 側壁
41 側壁
42 駆動軸
43 発電機
44 水素燃焼内燃機関
45 回転軸
46A 水車タービン羽根
46B 水車タービン羽根
47 配管
48 配管開口部
49 配管開口部
50A 連通配管
50B 連通配管
51 天井
52 上部内部空間
53 底部内部空間
54 空気供給配管
55 水素ガス供給配管
56 底板
57A 配管
57B 配管
58A 時間対圧力図
58B 時間対圧力図
59 波動水力
60 矢印
61 燃焼休止状態矢印
62 燃焼状態矢印
63 頂部18と最高水位26間の落差
64 低温水
65 自動車
66 電気分解槽
67 水素ガス貯蔵タンク
68 船舶
69 列車
70 一般住居
71 端部蓋
72 接続口
73 架線
74 ヒートポンプ
75 船首
76 船尾
77 矢印
78 車輪
79 仕切壁
80 パンタグラフ
81 外箱
82 屋根
83 太陽熱利用温水器
84 地下貯水槽
100 波動水力発生器
100A 波動水力発生器
100B 波動水力発生器
101 波動エネルギー駆動システム
102 駐車場

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲を側壁20、天井板22及び底板21により取囲む、高圧の水力に耐える鋼板製の密閉構造外箱1の内部に、上部開口の有底中間容器2と上下が開口する空間室7を備える中心箱3を同心形状に配設し、中心箱3の円筒形状の側壁4の外径よりも大きい外径の側壁9を備える燃焼室8を空間室7の上部に結合し、燃焼室8の内部に空気供給配管10と水素ガス供給配管11を導入し、空間室7の下部において中間容器2の底板17の表面にヒートポンプの低温領域19を設け、燃焼室8の内部に設定する高水位高さよりも中間容器2の側壁16の頂部18を高位置に配設することを特徴とする波動水力発生器100。
【請求項2】
外箱1の天井板22は、燃焼室8の側壁9の外周に気密に結合し、底板21に設けた開口穴24に結合する配管25は、外箱1内に貯水する水を外箱1の外部に出力可能とし、燃焼室8の上部を開閉可能な自動開閉弁15を配設することを特徴とする請求項1に記載する波動水力発生器100。
【請求項3】
側壁20の垂直方向の長さは、底板21の横幅よりも長く、外箱1と内部に配設する中間容器2及び中心箱3間に間隔を設け、外箱1の内部空間に水を充満し、燃焼室8の高水位26まで貯水すると、燃焼室8の内部空間から中心箱3の中心に延びる水路29は、中心箱3と中間容器2の側壁16間の上方向水路30に連通し、水路30は、外箱1と中間容器2の側壁16間の水路31から底板21に設けた開口穴24に連通することを特徴とする請求項1に記載の波動水力発生器100。
【請求項4】
角形の側壁39,40,41、底板56,天井51により二室に区分する密閉容器内に水車タービン羽根46A,46Bを回転可能に配設することにより、水車タービン室37A,37Bを構成し、水車タービン羽根46A,46Bは、側壁39,40,41を気密に貫通する同一の回転軸42に結合し、回転軸42は、発電機43と水素燃焼内燃機関44の回転軸45を回転駆動可能とし、配管57A,57Bは、底板56に直角に気密に結合し、配管57A,57Bの配設位置に対向する壁の上部に配管47を貫通し、配管47の開放両端は、水車タービン羽根46A,46Bの上部に開口し、配管47に近接する位置において天井51に設ける連通配管50A,50Bは、水車タービン室37A,37Bの上部に積層する圧力平衡用同期化装置38A,38Bの内部空間室内に連通し、圧力平衡用同期化装置38A,38Bの内部空間室内に空気供給配管54と水素ガス供給配管55を配設することにより、同期化水車タービン36を構成することを特徴とする波動水力を利用する機器。
【請求項5】
底板56に直角に結合する配管57A,57Bと天井51に設ける連通配管50A,50Bの位置関係は、水車タービン羽根46A,46Bの回転羽根位置を基準とし、配管57A又は配管57Bから水車タービン室37A,37B内に矢印60に示す方向に水が流入するとき、天井51の対角位置に配設する連通配管50A又は連通配管50Bは、水素ガス燃焼休止中の圧力平衡用同期化装置38A又は圧力平衡用同期化装置38B内に水流を吸込み、水車タービン室37A,37Bを回転する方向の水流が天井51の下面に発生するように配置する同期化水車タービン36を構成することを特徴とする請求項4に記載の波動水力を利用する機器。
【請求項6】
連通配管50A,50B及び壁貫通配管47に対する底板56に直角に結合する配管57A,57Bの位置関係は、配管57A又は配管57Bに結合する配管25A又は配管25Bが負圧になり、圧力平衡用同期化装置38A又は圧力平衡用同期化装置38B内において水素ガスを燃焼するとき、連通配管50A又は連通配管50Bは、天井51から水車タービン羽根46A,46Bに対して下方向の高圧水流を供給し、壁貫通配管47の開口部48又は開口部49が下方向に放射する、他の水車タービン室37A又は水車タービン室37B内の高速水流を、下方向に加速する関係位置に配設することにより、水素ガス燃焼を休止中の波動水力発生器100A又は波動水力発生器100Bに波動水力が帰還するエネルギーを供給する同期化水車タービン36を構成することを特徴とする請求項4に記載の波動水力を利用する機器。
【請求項7】
対向位置に配設する二個の波動水力発生器100A,100Bの底板21に結合する配管25A,25Bに同期化水車タービン36の配管57A,57Bをそれぞれ接続し、波動水力発生器100Aは、燃焼室8Aにおいて水素ガスを燃焼すると、高温・高圧の空気圧は、高水位26の水面を加圧し、配管25Aが送出する波動水力は、水車タービン室37Aの底部から上部に配設する壁貫通配管47に流入し、開口部49から水車タービン室37B内に流出する水流は、下方向流を発生し、配管25Bを経て波動水力発生器100Bに帰還し、水車タービン室37A内を上昇し、水車タービン室37B内を下方向に流れる水流は、水車タービン羽根46A,46Bを同方向に、同軸回転可能にすることを特徴とする波動エネルギー駆動システム101。
【請求項8】
開口部49から水車タービン室37B内に流出する水流により下方向流を発生するとき、同期して圧力平衡用同期化装置38B内において水素ガスを燃焼すると、連通配管50Bから放射する高圧水流は、開口部49から水車タービン室37B内に流出する水流を下方向に加速し、水車タービン羽根46A,46Bを同方向に、同軸回転させ、波動水力発生器100Bに帰還する水圧を増大することを特徴とする請求項7に記載の波動エネルギー駆動システム101。
【請求項9】
波動水力発生器100A,100B、水車タービン室37A,37B及び圧力平衡用同期化装置38A,38Bは、結合中間点である壁貫通配管47を中心反射面とし、鏡面反射図構成とすることにより、波動水力発生器100A,100Bが交互に波動水力を供給し、又は帰還水流を吸収しても、水車タービン室37A,37B内において、同一方向の水流を発生し、水車タービン羽根46A,46Bを同一方向に回転駆動することを特徴とする請求項7に記載の波動エネルギー駆動システム101。
【請求項10】
波動水力発生器100Aが水素ガスを燃焼するとき、波動水力発生器100Bは、燃焼を休止し、逆に波動水力発生器100Bが水素ガスを燃焼するとき、波動水力発生器100Aは、水素ガスの燃焼を休止することを特徴とする波動水力発生方法。
【請求項11】
圧力平衡用同期化装置38Aが水素ガスを燃焼するとき、圧力平衡用同期化装置38Bは、燃焼を休止し、逆に圧力平衡用同期化装置38Bが水素ガスを燃焼するとき、圧力平衡用同期化装置38Aは、燃焼を休止することを特徴とする波動水力発生方法。
【請求項12】
一個の外箱の内部に波動水力発生器100A,100Bを組込み、波動水力発生器100A,100Bの底部に同期化水車タービン36を配設することを特徴とする波動水力を利用する機器。
【請求項13】
自動車65に同期化水車タービン36、発電機43及び水素貯蔵タンク67を配設し、自動車65が駐車する場所において、柔軟な配管25A,25Bを同期化水車タービン36に結合し、自動車65が駐車する場所に固定配設する波動水力発生器100A,100Bから同期化水車タービン36に波動水力と水素ガスを供給し、水車タービン羽根46A,46Bを回転駆動することにより発電機43が発生する電力を地上の交流電力配電系統に供給することを特徴とする波動水力を利用する機器。
【請求項14】
自動車65が駐車する場所は、駐車場102とし、波動水力発生器100A,100Bから配管25A,25Bが平行に延び、配管25A,25Bの開放端部に蓋71を結合して配管25A,25B内を密閉空間とし、配管25A,25B間に地上固定の同期化水車タービン36を結合することにより、波動水力発生器100A,100B間に常時往復動する波動水力の流動を可能とし、自動車65が駐車空間に駐車し、地上の配管25A,25Bに自動車65が搭載する同期化水車タービン36を結合すると、波動水力発生器100A,100B間に流動する波動水力は、自動車65が搭載する同期化水車タービン36を回転駆動することを特徴とする波動水力を利用する機器。
【請求項15】
駐車場102に地上配設する多数の同期化水車タービン36の位置に近接してヒートポンプの低温領域19と、電気分解槽66を配設し、ヒートポンプの低温領域19は、配管25A,25B内の水を冷却し、ヒートポンプの高温領域は、電気分解槽66内の電解液を加熱することにより、省エネルギーに水を電気分解して水素ガスを生産し、配管25A,25B内の低温の水が波動水力発生器100A,100Bに帰還するか、又は圧力平衡用同期化装置38A,38B内に流入すると、水素ガスの燃焼時に高温・高圧に移行する加圧ガスを冷却し、その結果として発生する負圧力空間は、帰還水流を加速することを特徴とする波動水力利用システム。
【請求項16】
駐車場102を事業所に設定すると、往復1時間の自動車65による通勤において、職場在職時間9時間に自動車65は、駐車場102から波動水力と水素の供給を受け、発電機43が発生する電力を事業所に販売し、供給を受けた水素と等価交換し、余剰の販売電力は、換算点数により精算可能とすることにより、従業員と事業所の双方に利益があることを特徴とする波動水力利用方法。
【請求項17】
一般住居70において、一個の外箱81の内部に波動水力発生器100A,100Bとヒートポンプ74及び同期化水車タービン36を一体に組込み、通常運転において、同期化水車タービン36が回転駆動する発電機43が発電する電力を利用し、ヒートポンプ74は、地下貯水槽84内に低温水を貯水し、電気分解槽66を加熱し、自動車65が駐車場に駐車すると、波動水力発生器100A,100Bは、自動車65に地上から波動水力を供給し、自動車65を使用しない14時間に波動水力発生器100A,100Bが送出する波動水力を利用する発電電力を電気分解槽66に供給して電解液を電気分解し、生産する水素ガスを自家用と自動車65の燃料に利用し、余剰電力を交流電源配電線に送出することを特徴とする波動水力利用方法。
【請求項18】
同期化水車タービン36と発電機43の出力は、自動車65が駐車場102に駐車し、駐車場102から供給を受ける波動水力エネルギーの大きさに適合する出力に設定する出力容量の同期化水車タービン36と発電機43を自動車65に搭載することを特徴とする請求項17に記載の波動水力利用方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−203427(P2010−203427A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77470(P2009−77470)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(505390370)
【Fターム(参考)】