波形パターンを有する電解質シート
実質的な無孔体から成り、少なくとも一部に少なくとも1つの応力緩和領域を有する電解質シート。前記応力緩和領域は複数の滑らかなドーム形セルを表面に有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池に適した無機電解質シートに関し、具体的には環境的に誘発される歪を補償する波形パターンを有する電解質シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波形パターンを成し凹凸のある表面を有する電解質を用いることにより、イオンを伝導する表面積を増大させることが特許文献1に記載されている。また、この電解質は硫化ナトリウム電池、ハロゲン化ナトリウム電池、リチウム負極電池、および固体電池に適することが明示されている。これ等のガルバニ電池は、低温において大きな可動性を有するナトリウムやリチウムなどの陽イオンを伝導する固体電解質を使用している。このような固体電解質は、一般に機械的完全性を維持するためにかなりの厚さ(200μm以上)を有している。特許文献1には固体酸化物型燃料電池が開示されておらず、また電解質の厚さや凹凸面の構造体の寸法も記載されていない。
【0003】
近年、固体酸化物型燃料電池に電解質材料を用いることが盛んに研究されている。一般に、固体酸化物型燃料電池は2つの電極に挟まれた、負に帯電した酸素イオンを伝導する電解質を有している。このような電池においては、電解質を伝導する酸素イオンに反応する、例えば、水素などの燃料物質がアノードにおいて酸化することにより電流が生じる。酸素イオンはカソードにおいて酸素分子が還元することによって形成される。
薄厚の滑らかな無機焼結シートが特許文献2に開示されている。この焼結シートは広い温度範囲にわたり、安定性に優れていると共に、屈曲しても破損しない強度と可撓性を有している。イットリア安定化ジルコニアYSZ(Y2O3-ZrO2)などの一部の開示組成物は燃料電池の電解質として有用である。十分高い温度(例えば、約725℃以上)において、ジルコニア電解質は良好なイオン伝導性および非常に低い電子伝導性を示すことが知られている。このような組成物を用いて耐熱衝撃性固体酸化物型燃料電池を構成することが特許文献3に記載されている。
【0004】
電極電解質構造を改良した固体酸化物型燃料電池が特許文献4に記載されている。この構造は薄厚で可撓性に富む無機電解質シートのそれぞれの側に固着された複数の陽電極および陰電極を含む固体電解質シートを有している。電極が電解質シート上に連続した層を成さず、多数の分離領域または分離帯を形成している1つの例が示されている。電解質シートのビアを通して延びる導電体によってこれ等の領域が電気的に接続されている。ビアには導電性材料が充填されている。
【0005】
接触表面層を粗面化した略平坦で滑らかな電解質シートを用いた固体酸化物型燃料電池が特許文献5に記載されている。この電解質シートの厚さが45μm未満であることが開示されている。このような厚さのセラミック電解質シートは可塑性を有している。
【0006】
滑らかな電解質シート(基体)上に焼結された粗面化多孔質ナノ結晶インターフェース層が特許文献6に記載されている。粗面化多孔質ナノ結晶層は、サブミクロン単位の構造体(粒子サイズが1μm未満、好ましくは0.5μm未満)を有する不規則に構造化され、算術平均表面粗度が約0.2μmであることを特徴とする表面を有している。
【特許文献1】米国特許第4,135,040号明細書
【特許文献2】米国特許第5,085,455号明細書
【特許文献3】米国特許第5,273,837号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0102450号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2001/0044043号明細書
【特許文献6】米国特許第6,428,920号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電解質の電気伝導度は材料の伝導度と厚さの積に比例する。即ち、電解質のオーム抵抗は材料の特性に依存すると共にその厚さに比例する。従って、オーム抵抗を小さくし電気伝導度を向上するには、電解質をできるだけ薄くする必要がある。しかし、電解質を薄くすると物理的強度が低下する。薄厚の電解質シートは取扱中や加工中に破損する可能性がある。また、燃料電池は大きな温度サイクルおよび温度勾配を受け、それにより電解質シートに熱応力が生じる。更に、実装した電解質シートはそのフレームの熱膨張率とは異なる率で膨張するため、亀裂が入る可能性がある。電解質シートに欠陥が生じることにより、電池全体または電解質装置の交換が余儀なくされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電解質シートの1つの効果は、電解質シートにおける多軸歪耐性が向上する一方、構造的強度が向上または維持されると共に、電極の密着性および均一な可撓性が維持されることである。
【0009】
本発明の1つの態様による電解質シートは、少なくとも一部に弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セルを表面に有する少なくとも1つの応力緩和領域を有する、実質的な無孔体から成るものである。
【0010】
本発明の更なる特徴および効果は、当業者にとって以下の詳細な説明により容易に理解できると共に、以下の詳細な説明、クレーム、および添付図面に示されている本発明を実施することにより認識できる。
【0011】
前記概要説明および以下の詳細説明は本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明の本質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することを目的とするものである。添付図面は本発明の理解を深めるためのものであり、本明細書に含まれ、本明細書の一部を構成するものである。図面には本発明の各種実施の形態が示されており、それらの実施の形態と本明細書によって本発明の原理および作用が説明されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
現在における本発明の好ましい実施の形態について説明する。また、好ましい実施の形態例を添付図面に示す。図面において、可能な限り同一または同様の部品には同一の符号を用いている。本発明の無機電解質シートの3つの実施の形態例を図1A〜1Cに示す。ほとんどの場合、電解質シートには参照番号10が付してある。電解質シート10は、2つの対向する主面20、21、および平均の厚さt(図2)を有する薄厚のセラミック・シートである。
【0013】
電解質シート10は、実質的な無孔体から成り、少なくとも一部に少なくとも1つの応力緩和領域22を有している。応力緩和領域22には複数のセル30が設けられている。セル30は滑らかであることが好ましい。即ち、セル30には応力を増大する急峻な折り目がないことが好ましい。
【0014】
図1Aに示すように、電解質シート10は共通中央領域25を囲む複数の小さくて滑らかなドーム形セル30から成る多軸波形パターンを備えた表面を有することができる。応力緩和領域22は、図1Aおよび1Bに示すように電解質シート10の一部を成すことも、図1Cに示すように電解質シート10全体を覆うこともできる。本例では、各々が微細な窪みまたは隆起形状を成す多数の単位セル30によって電解質シート10のほぼ全体がパターン化されている。具体的には、図1Cの電解質シートの実施の形態において、単位セル30が矩形に配され、電解質シート10のほぼ全域を覆っている。従って、本実施の形態による電解質シートのほぼ全域が応力緩和領域として作用する。単位セル30を六角形、正方形、三角形、あるいはその他のパターンに配して電解質シート10を覆うこともできる。前記パターンは方向によって周期を違えることができる(例えば、単位セルの基部を楕円形、矩形、あるいは不規則六角形にすることができる)。同一の電解質シートの領域に応じて異なるパターンを配することができる。
【0015】
セル30は電解質シート10上にどのようなパターンにも配することができるが、セル30のピッチPは1mm〜1cmの範囲であることが好ましい。各々のセル30の基部は、例えば、矩形、円形、三角形、あるいは六角形とすることができる。前記のように、電解質シートの領域に応じてパターンを変えることができる。図3Aは六角形の基部を有する1つのセルの例を示す平面図である。また、図3Bは図3Aのセルの斜視図である。図4Aは矩形の基部を有する1つのセルの例を示す平面図である。また、図4Bは図4Aのセルの斜視図である。
【0016】
図5Aは各々が六角形基部内に彫刻された一連のドーム形セル30’の平面図である。セル30’は平坦領域31によって分離されている。図5Bは図5Aのセルを示すA−A線概略断面図である。また、図5Cは図5Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されている。温度が変化する際、平坦領域31は歪の緩和にあまり寄与しない。このように、応力緩和領域22の応力緩和特性に寄与しないため、セル30間に平坦領域がないことが好ましい。従って、図6A〜6Cに示すように、セル30は少なくとも1つの断面において、隣接セル30Aおよび30Bの交差ドームによって形成された弓形領域32によって互いに分離されていることが好ましい。セル30間の弓形領域32は、個々のセル間に急峻な折り目を含んでいないことが好ましい。
【0017】
図6Aは各々が六角形の基部内に彫刻された一連のドーム形セル30の平面図である。セル30は平坦領域31によって分離されていない。図6Bは図6Aのセルを示すA−A線概略断面図である。また、図6Cは図6Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されていない。図6Bはセル30が弓形領域32によって分離されていることを示している。温度が変化する際、これ等の弓形領域は歪の緩和に本格的に関与する。
【0018】
図7Aは各々が矩形の基部内に彫刻された一連のドーム形セル30の平面図である。セル30は平坦領域31によって分離されていない。図7Bは図7Aのセルを示すA−A線概略断面図である。図7Cは7Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されていない。図7Bはセル30が弓形領域32によって分離されていることを示している。温度が変化する際、これ等の弓形領域は歪の緩和に本格的に関与する。
【0019】
図8Aは矩形の基部に円形ドーム・セルを彫刻する方法を概略的に示す図である。図8BはD−D線概略断面図であり、ドームの最も高い部分を横断したものである。図8CはD’−D’線概略断面図であり、セルを対角線に沿って横断したものである。図8Bおよび8Cは、いずれも断面が多数のドーム形を含んでおり、その間に平坦領域がないことを示している。両図の違いは、図8Bのドームが図8Cドームより高いことである。図8Bおよび8Cの起伏パターンはドーム列同士が重複することによって形成され、交差線が2つ以上の回転楕円体に沿っている。
【0020】
固体酸化物型燃料電池スタックにおいて、電解質装置(例えば、電解質シート、アノード、カソード、およびその他の燃料電池部品)がフレーム40に実装され、例えば、ガラス原料などの封止剤42(図9)によって封止される。図9は本実施の形態例において、電解質シート10がフレーム40よりはるかに薄厚であることを示している。フレーム40および封止材料の膨張率が電解質シート10の膨張率に非常に近い場合(例えば、熱膨張率の違いが約0.2x10−6以下の場合)、セル30および応力緩和領域22の弓形領域32は電極、電流コレクタ、電解質シート、フレーム、および封止材料間の膨張差に完全に対応できる。
【0021】
フレーム40および封止材料の膨張率が電解質シートの膨張率に近くない場合、および/または温度が急激に変化し、電解質シート10とフレーム40との間に50℃を超える温度差が生じた場合、セル30および応力緩和領域22の弓形領域32はフレーム40と電解質シートとの間の大きな膨張差および/または温度差に対応する。このように、応力緩和領域22は電解質シート全体にわたり応力および応力の空間的広がりを低減する。具体的には、燃料電池装置の温度が上昇するにつれ、薄厚の電解質シート10が比較的厚いフレーム40より早く熱くなる。電解質シート10が熱くなる一方、フレーム40が比較的冷たい場合、応力緩和領域を除く電解質シート(例えば、セルのない領域)のフレーム40の近傍領域において、大きな曲げ歪、圧縮歪、および引っ張り歪が生じる。しかし、冷却すると、本発明の応力緩和領域22を有する電解質シート10は、例えば、セル30の高さを増すことによりこの歪/応力を解消する。セル30間の弓形領域32も収縮することにより引っ張り応力を解消する。同様に、燃料電池装置が急激に冷えた場合、電解質シート10がフレーム40より早く冷えるので、フレーム40がまだ熱いときに電解質シート10は比較的冷たくなる。しかし、応力緩和領域22を有する電解質シート10は、セル30を平らにする(即ち、高さを減じる)こと、およびセル間の弓形領域32を伸長する(平坦にする)ことによりこの歪/応力を解消する。
【0022】
フレーム40、電解質シート10、および封止材料の熱膨張率が一致していることが、安定温度状態における熱応力の解消に役立つが、それだけでは大きな急激な温度変化におけるフレーム40と電解質10との間の温度差を補償するのには不十分である。
【0023】
電解質シート10の共通中央領域25には、電解質シートの第1面に配された少なくとも1つのカソード、電解質シートの第2面の前記カソードに対向する位置に配された少なくとも1つのアノードを含めることができる。本発明の1つの実施の形態においては、電解質シートの対向面にそれぞれ配された複数のアノードおよび複数のカソードを有している。
【0024】
セル30の具体的寸法およびピッチは、電解質シートに作用する応力および各種材料(フレーム、封止剤、電極、電流コレクタ等)の熱膨張率に基づいて決定する必要がある。セルの数、高さ、ピッチ、並びに応力緩和領域22のセル間の領域32の弓形の曲率によって歪/応力の解消力が決定する。最大の歪解消力が生じるのは、波形の高低差が最大且つドームの数が最大の方向である。セル30の高さ(山から谷まで)は50μm〜1cmであることが好ましく、0.1〜0.8cmであることがより好ましく、最も好ましくは0.5cm未満である。折り返しピッチP(即ち、2つの頂点間または2つの谷底間)は50μm〜2cm、好ましくは0.1〜2cm、より好ましくは1cm未満である。単位セル30のドームの頂点に対応するパターン化された領域が高過ぎる(0.5cm以上)と、その後の処理、例えば、電極の印刷の妨げになる。しかし、波形が小さ過ぎると、応力緩和領域の伸長/収縮補償が得られず、電解質シート10が破断点に達する可能性がある(引っ張り領域において最も可能性が高い)。従って、薄厚の電解質シート(例えば、厚さが45μm未満)において、セルの高さHと電解質シート10の厚さtとの比が少なくとも2であることが好ましく、より好ましくは少なくとも2.5、最も好ましくは3以上である。応力緩和領域22の応力/歪緩和力は電解質シート材料の強度、および電解質シート10の応力緩和領域22の厚さに依存する。
【0025】
前記実施の形態によれば、電解質シート10の平均の厚さtは5μmより大きく、100μm未満である。平均の厚さtは45μm未満であることが好ましく、25μm未満であることが最も好ましい。
【0026】
また、応力緩和領域22を含む電解質シート10に微細加工を施すことができる。例えば、深さ5μm未満の多数の窪みを設けることができる。薄厚の電解質シートにおいて、微細構造の窪みはシート厚の1/2未満であることが好ましい。例えば、シート厚が8μmの場合、窪みの深さは4μm未満であることが好ましい。これ等の窪みは電解質シート10に周期的に配列することができる。しかし、非周期的に配列することもできる。
【0027】
例示電解質シート10の一部の断面を図10A〜10Cに概略的に示す。セル30は深さより幅の方が大きく、間隔を高さより大きくすることができる(図10A).別の方法として、セル30の間隔を高さH以下とすることができる。このことが、例えば、図10Bに概略的に示されている。前記のように、また図10A〜10Cに示すように、セル30の一面または両面に微細加工を施すことができる。例えば、セル30の平均の高さを50μm以上とし、溝またはその他の構造体(例えば、深さ0.5μm)を一面または両面に施すことができる。
【0028】
電解質シート10の厚さを位置によって変えることもできる。例えば、電解質シートの縁部の強度を維持しつつ、電解質の電極(即ち、アノードとカソードの対)間のイオン抵抗をできるだけ小さくするため、部分に応じて厚さを変えることができる。従って、電解質シート縁部の平均厚を低イオン抵抗が必要な領域の平均厚より大きくすることが有益である。このように、図11の例示電解質シート10は薄い領域と厚い領域とを有し、電気抵抗と強度とのバランスを適切に保持している。
【0029】
前記のように、電解質シート10のパターン化された領域は電解質シート10の小領域を占めることも、全領域を覆うこともできる。このようにして電解質シート10の大きな領域をパターン化した場合、窪みの深さ、あるいはドームの高さを比較的小さくすることにより、電解質シート10への電極およびその他の部品の印刷を可能にする必要がある。従って、このようにして電解質シート10のほぼ全面をパターン化した場合、窪みの深さ、あるいはドームの高さHを3mm未満とすることが好ましく、1mm未満とすることがより好ましい。
【0030】
セル30によって急激な温度サイクルおよび大きな(200℃以上の)温度変化、および電解質シート10の温度勾配に起因する歪および応力による電解質シートの破損の可能性を低減できる。電解質シート10のこのような機械的特性の改善により、高い温度勾配下において電解質シート10を動作させることができ、これまで以上に高く且つ急激な温度変化に対応できる。
【0031】
電解質シート10は実質的な無孔(即ち、実質的に閉鎖孔を有せず、気孔率5%未満)体である。前記気孔率は3%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。電解質シート10の平均厚Tは4μmより大きく100μm未満であり、45μm未満であることが好ましく、4〜30μmであることがより好ましく、5〜25μmであることが最も好ましい。これより小さい平均厚も可能である。厚さの下限は構造体を破損せずに取り扱うことができる最小の厚さである。電解質シートと電極の合計厚が150μm未満であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましい。電解質シート体はモノリシック体(即ち、異なる気孔率の多数の層を焼結して一体化するのではなく、1つの塊として作製されたもの)であることが好ましい。前記波形電解質シートは電解質支持型、およびアノードまたはカソード支持型のいずれの固体酸化物型燃料電池にも使用できる。
前記のような薄厚でパターン化された電解質シートを固体酸化物型燃料電池の製造に用いることは有益である。従って、本発明の1つの実施の形態による燃料電池の固体酸化物電極/電解質組立体50は、(i)実質的な無孔体を有すると共に、弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セル30を有する少なくとも1つの応力緩和領域を有して成る電解質シート10(ii)前記電解質シートの第1面に配された少なくとも1つのカソード(iii)前記電解質シートの第2面の前記カソードに対向する位置に配された少なくとも1つのアノードを有している。電解質シート10は、その小さなビアホール56を通して接続されている矩形セグメントの形態を成す多数の電極52、54を支持する、イットリアを3モル%含むジルコニアから成る自立電解質シートであることが好ましい。前記電極/電解質組立体の上面を図12に示す。図13は図12の電極/電解質組立体の概略立断面図である。本実施の形態によれば、電極/電解質組立体50複数のアノードとカソードの対52、54を有している。これ等のアノードとカソードの対52、54はビアギャラリー55によって互いに分離されている。ビアギャラリー55はビアホール56内に複数の相互接続子(ビア接続子)56’を有している。これ等の相互接続子56’は1つのセルのアノードから隣接セルのカソードに電流を伝導する。
【0032】
未焼成の電解質シートをモールド成形し、次いで焼結することにより可撓性に富む電解質シートを形成できる。未焼成材料の生成方法は当業者周知であり、例えば、米国特許第4,710,227号明細書に記載されている。具体的には、前記特許文献は溶液から薄厚で可撓性のある未焼成テープを生成する方法を開示しており、未焼成テープにコーティングを施して切断し、積層して焼成することにより薄圧の誘電キャパシターを形成するものである。この種の処理は欧州特許出願第0302972号明細書、および欧州特許出願第03017676号明細書にも記載されている。米国特許第5,089,455号明細書によれば、パターン化された応力緩和領域を有する薄厚の電解質シートを製造するため、まず未焼成(プレセラミック)材料が生成される。次いで、この材料を焼結することにより、力を加えて大きく屈曲させても破損しない可撓性を有するパターン化された焼結セラミック・シートが作製される。この焼結セラミック・シートの可撓性は、有効曲率半径20cm未満の曲げまたは同等の力、好ましくは5cm未満の曲げまたは同等の力、より好ましくは1cm未満または同等の力に十分耐え得るものである。
【0033】
ここで、“有効”曲率半径とは焼結形成された材料の自然または固有の湾曲に加え、その焼結体を屈曲させることによって局部的に生じる曲率半径を意味する。このように、曲げを受けた焼結セラミック電解質シートを更に屈曲させるか、真っ直ぐに伸ばすか、あるいは反対方向に屈曲させても破損しない。
【0034】
電解質シートの可撓性は層厚および褶曲形状に大きく依存するので特定の用途に調整できる。一般に、電解質シートが厚ければ厚いほど可撓性は低下する。一部の実施の形態において、薄厚の電解質シートである、強化/硬化焼結セラミック電解質シート10は曲率半径が10mm未満、あるいは5mm未満の曲げに対し破損しない可撓性を有している。このような可撓性は電解質シート10を熱膨張率および/または熱質量が異なる電極および/またはフレームと組み合せて使用する場合に有益である。
【0035】
電解質シート10は焼結前に各種方法によりパターン化できる。例えば、陰イオン(例えば、O--)を伝導する固体プレセラミック材料(例えば、イットリアを3モル%含むジルコニア、以下3YSZ)から成る未焼成シートを生成し、複数の褶曲部を形成することにより少なくとも1つの応力緩和領域を設け、次いで未焼成シートを焼結することにより波形応力緩和領域を有するイオン伝導固体電解質シート10を作製できる。焼結は1000℃以上で約1〜3時間行うことが好ましく、1300℃以上で行うことがより好ましい。例えば、電解質シート10を作製する方法は、(a)未焼成プレセラミックを生成するステップ、(b)前記未焼成プレセラミックを多数の窪みおよび/またはドーム形セルを含む波形パターンを有するようパターニングするステップ、および(c)前記波形を有する未焼成プレセラミック・シートを焼結することにより、弓形領域によって分離された多数のドームおよび/または窪みを含む波形表面を有する実質的な無孔体から成る電解質シートを作製するステップを有している。
【0036】
前記パターニング・ステップは、例えば、モールド成形、あるいはエンボス加工によって行うことができ、未焼成シートを適切な鋳型または金型に入れ所望の表面褶曲または褶曲を成すセル構造を形成する。別の方法として、融点未満の高温度で超塑性変形処理を施すことにより十分に薄いセラミック・シートを再構成できる。しかし、焼結する前に、室温(20℃)または室温に近い温度で未焼成シートの形を整えることにより、効果的且つ経済的に電解質シートをパターンニングできる。また、高温度、例えば、50℃、75℃、100℃、150℃、あるいは200℃で電解質シートをパターン化することもできる。
【0037】
可撓性セラミックに所望のパターンを形成するには幾つかの方法がある。その1つは、未焼成の成形シートをエンボス・ローラに通す方法である。これ等のローラ105、105’のうちの少なくとも1つがパターン化されている。このことが図14に図式的に示してある。ローラ105、105’の高い部分によって未焼成プレセラミックが伸長または圧迫されることにより、一部の領域が薄厚になる。厚さ15〜30μmの未焼成プレセラミックを処理する場合、同じ厚さまたはそれより厚い基体に載せて未焼成プレセラミック材料を2つのローラに通すことが好ましい。エンボス加工の間、前記未焼成シートを2つのポリマー担体シート間に配することもできる。パターン化した電解質シートを形成する別の方法には、未焼成セラミック・シートを真空成形する方法がある。
【0038】
イオン伝導体、好ましくは部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアなどの酸素イオン伝導体から成る多結晶セラミックにより、好ましい電解質シート10が形成される。前記部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアは、Y、Ce、Ca、Mg、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Ti、Sn、Nb、Ta、Mo、およびWの酸化物、並びにそれらの混合物のうちから選択されるドーパントが添加されている。正方、単斜、および/または立方、およびそれ等の組合せのようなジルコニア結晶の形状はこの構造材料の重要なパラメータである。相転移強化特性を有しているため、部分安定化ジルコニアが最も好ましい。応力を受けると正方相がモノリシック相に転移し、亀裂の発生および拡大を効果的に防止する。従って、電解質シートの耐久性が向上すると共に、機械的強度が増すので扱い易くなる。好ましい安定化ドーパントはY、Yb、Ca、Mg、またはScである。このうちSc、Yb、およびYがイオン伝導性に優れている。当業者周知の一定の強化剤を使用することにより、セラミック・シートを強化できる。特に有用で好ましい強化剤には、前記安定剤に添加できるタンタルおよびニオブ酸化物がある。Nb、Ta、Ce、およびTiを添加することにより、中温度において見られる水蒸気による劣化を低減できる。
【0039】
3YSZを主成分とする未焼成シートの生成には適切なセラミック片を鋳造する何らかの方法が伴う。以下の実施例において、このようなセラミック片について説明する。
【実施例】
【0040】
実施例1−セラミック・スリップの生成
下表1に示す成分を用いてジルコニアを100グラム含むセラミック・スリップを生成した。
【表1】
【0041】
吸水防止のため、すべての成分容器は使用するまでしっかり蓋を閉めておく。250mlのNalgene(登録商標)ポリエチレン・プラスチック容器を約10〜20mlのエタノールまたはメタノールで洗浄して汚れを取る。次いで、この容器を70℃の乾燥オーブンに入れてアルコールを蒸発させる。乾燥後、容器と蓋の重量を計測。計量ボートによってジルコニアの粉末を計量して傍らに置く。ピペットを用いて乾燥済みNalgene容器にエタノールを注入。次いで、ピペットにより前記プラスチック容器に1−ブタノールを注入。その後、ピペットによりプロピレン・グリコールを注入。最後に、ピペットにより水、そしてEmphos PS−21Aを注入。10mm東ソーTZP−3Y粉砕メディアを約450g計量し記録する。次いで、前記メディアを前記容器に添加し軽く振る。次に、前記ジルコニア粉末を計量ボートから添加。前記容器に蓋をして固く閉める。蓋をした容器を再計量し、前記溶媒、粉末、分散剤の合計重量を算出。次に、このスリップを72時間振動粉砕した後粘度を計測。
【0042】
粗い粒子を除去し、このスリップの粒子サイズ分布を小さくするため沈殿ステップを2回実施。2回の沈殿ステップにより、容認できる材料損失の範囲において良好な粒子サイズの分布を得ることができた。
【0043】
125mlの第2のNalgeneプラスチック容器と蓋を前記のようにして洗浄および乾燥させる。この第2の容器および蓋の重量を計量し記録する。粉砕メディアを残して、前記スリップを前記粉砕容器から第2の容器に注ぐ。次に、前記スリップ、第2容器、および蓋の重量を計量。粗い粒子を前記スリップから72時間沈殿させる。第3の容器と蓋を洗浄、乾燥、および重量を計量し記録する。ピペットを用いて、沈殿していないスリップを沈殿物が混入しないよう慎重に第3の容器に注入。ピペットにより注入されたスリップ、第3の容器、および蓋の重量を計量。次に、このスリップを更に24時間沈殿させる。前記第2容器の残留物/沈殿物を90℃の換気オーブン内で少なくとも3時間乾燥させ、乾燥済み残留物、第2容器および蓋の重量を計量。
【0044】
125mlの第4のプラスチック容器および蓋を前記のようにして洗浄および乾燥させる。次に、第4の容器と蓋の重量を計量し記録する。再度、(24時間の沈殿を行った)第3の容器から、ピペットが沈殿物を拾い上げないよう注意しながら、スリップを第4の容器に注入。第4の容器およびスリップの重量を計量し記録する。前記同様、第3の容器内の残留物を乾燥させたのち重量を計量。記録した重量から第4容器内に残っているセラミック粉末の量が分かる。
【0045】
残存スリップに存在しているセラミック粉末に弱い凝集剤、氷酢酸、可塑剤、およびバインダーを加える。残存しているセラミック粉末の重量を超える凝集および結合に用いた成分を重量パーセントで表したものを下表2に示す。
【表2】
【0046】
イソプロピルアルコールに氷酢酸を加え50/50重量%の溶液を生成。ピペットにより(残存セラミック粉末の重量を超える)2重量%のこの溶液を第4容器内のスリップに注入。蓋をして容器を軽く振る。
【0047】
次に、ピペットにより(残存セラミック粉末の重量を超える)3.5重量%のフタル酸ジブチルを第4容器内のスリップに注入。この容器に蓋をして軽く振る。計量ボートにより(残存セラミック粉末の)6重量%のポリビニル・ブチラールを計量してスリップに注入。この容器に蓋をして軽く振る。次に、少なくとも15分間、この容器をペンキ攪拌器などの装置にかけバインダーを完全に溶解させる。2つのクリーンなジルコニア粉砕メディアを前記容器に入れ、この容器を3日間低速ローラーミルにかける。
【0048】
前記スリップをTeflon(商標)基体またはフィルム上に成形し、約5〜30分乾燥させる。未焼成フィルムを急激に乾燥させると(例えば、1分未満)、焼結の際歪んでしまう。次に、前記未焼成フィルムを約50〜70℃の乾燥オーブンに入れて約30分〜約2時間乾燥させる。この未焼成フィルムをオーブンによって乾燥させた後、前記薄層のTeflonが未焼成シートと鋳型との間にくるようにして、75〜150℃、好ましくは約120℃に加熱した金属またはプラスチック鋳型によって真空成形できる。前記鋳型の端部には真空路、あるいは微細な真空引き穿孔がある。前記Teflon被膜にも鋳型の真空路に合わせて微細な穴が設けられている。真空ポンプにより、この真空路または穿孔とTeflonの針穴を通して真空引きが行われることにより、未焼成シートが鋳型に引き付けられ、所望の波形パターンが形成される。この鋳型は、微細なボールエンドミルによって、平坦なアルミニウム板にドーム形の凹部を形成することによって簡単に作製できる。
【0049】
未焼成セラミック・シート上に厚さ25μmの第2のTeflonシートを慎重に載せ、下側のTeflonの針穴、およびその他の真空孔または真空路をすべて覆う。前記未焼成セラミック・シートに波形を形成した後、真空ポンプを停止して、慎重にまず上部Teflon、次いで未焼成セラミック・シートを取り出す。この際、前記波形を座屈または変形させないようにする必要がある。次に、このセラミック・シートを所定のサイズにトリミングして焼結する。別の方法として、上部Teflonシートをセラミック・シートに載せた後、その上部にポリマー・ガスケットを有する第2の圧力チャンバーを配する。前記ガスケットは前記セラミック・シートの波形に作用せず、その領域外に作用する。前記圧力チャンバーを数秒間空気またはN2により15〜45psi(103400〜310300Pa)で加圧する。加圧を止め、上部Teflon、次いで波形未焼成セラミック・シートを取り出す。ロール/ロール・プロセスによってこの方法を容易に自動化できることが想定できる。
【0050】
実施例
以下の実施例によって本発明が更に明確になる。
【0051】
図1の電解質シート10を以下のようにして作製した。
【0052】
i 空気を濾過した“クリーン”な環境下において、厚さ125μmのTeflon(登録商標)フィルムのしわをガラス板上で伸ばした後、そのガラス板にテープ止めした。
【0053】
ii イットリアを3モル%含むジルコア粉末スリップをギャップ50μm、幅15cmのテープ成形用“ドクター”ブレードによって前記Teflonをコーティングした布にコーティングすることにより、未焼成プレセラミック・シートを形成した。
iii 前記未焼成プレセラミック・シートをその幅に沿って約2mmのギャップを設け、長手方向にはギャップを設けずにプラスチック・カバーで包み、室温にて30分乾燥させた。
【0054】
iv 次に、前記未焼成シートを60℃のオーブンで1時間乾燥させた。
【0055】
v 次に、例えば、図1Aの電解質シートに対応する単位セル・パターンを有する鋳型を用いて前記真空成形法により前記未焼成シートに波形を形成した。
vi 最後に、前記波形未焼成シートを1430℃で2時間焼結した。
【0056】
焼結後、前記電解質シート10の波形を肉眼で観察した。また、光学的観察によれば、セル30の最大高は約1mmであり、セルが図1Aに示す波形パターンに配列されていた。
【0057】
図12および13に示すような多数のセル・パターンを形成するため、前記焼結済み電解質シート10の平坦な部分(即ち、セル30間の共通中央領域)にアノード・インクをスクリーン印刷した。150℃で数分乾燥させた後、シートに印刷したアノードを約1350〜1450℃で30分〜2時間焼結した。
【0058】
高さ0.2mmのドームを有する前記のような波形電解質シートをInstron(商標)卓上引張試験器にかけた。ロードセルにより負荷を測定し、立体光学法によって歪を測定した。前記波形シートは所定の負荷に対し高い見掛け引っ張り歪を示し、見掛けヤング率が約25%低下した。
本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の改良および変更が可能であることは当業者にとって明白である。従って、本発明は添付クレームの範囲に属することを条件にかかる改良および変更、並びにその均等物を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1A〜1Cは異なるパターンを有する電解質シートを概略的に示す平面図。
【図2】本発明によるパターン化された電解質シートの1つの実施の形態の概略断面図。
【図3A】六角形基部を有する1つのセルの拡大平面図。
【図3B】図3Aのセルの斜視図。
【図4A】矩形基部を有する1つのセルの拡大平面図。
【図4B】図4Aのセルの斜視図。
【図5A】平坦領域によって分離された多数のドーム形セルを有するパターン化された電解質シートの部分概略平面図。
【図5B】図5Aのセルを示すA−A線断面図。
【図5C】図5Aのセルを示すB−B線断面図。
【図6A】平坦領域によって分離されていない多数のドーム形セルを有するパターン化された電解質シートの部分概略平面図。
【図6B】図6Aのセルを示すA−A線断面図。
【図6C】図6Aのセルを示すB−B線断面図。
【図7A】平坦領域によって分離されていない多数のドーム形セルを有する、図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルを示す拡大概略平面図。
【図7B】図7Aのセルを示すA−A線断面図。
【図7C】図7Aのセルを示すB−B線断面図。
【図7D】図7Aのセルを示すC−C線断面図。
【図8A】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図8B】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図8C】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図9】フレームに実装された図1Aの電解質シートを有する電解質装置の概略側面図。
【図10】図10A〜10Cは別の電解質シートの概略断面図。
【図11】本発明の電解質シートの別の実施の形態を示す概略断面図。
【図12】電極電解質組立体の例を示す概略平面図。
【図13】図13の電極電解質組立体の断面図。
【図14】波形電解質シートの製造方法を示す概略図。
【符号の説明】
【0060】
10 電解質シート
20、21 主面
22 応力緩和領域
25 共通中央領域
30、30’ セル
31 平坦領域
32 弓形領域
42 封止剤
50 電極/電解質組立体
52、54 電極
55 ビアギャラリー
56 ビアホール
105、105’ローラ
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池に適した無機電解質シートに関し、具体的には環境的に誘発される歪を補償する波形パターンを有する電解質シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
波形パターンを成し凹凸のある表面を有する電解質を用いることにより、イオンを伝導する表面積を増大させることが特許文献1に記載されている。また、この電解質は硫化ナトリウム電池、ハロゲン化ナトリウム電池、リチウム負極電池、および固体電池に適することが明示されている。これ等のガルバニ電池は、低温において大きな可動性を有するナトリウムやリチウムなどの陽イオンを伝導する固体電解質を使用している。このような固体電解質は、一般に機械的完全性を維持するためにかなりの厚さ(200μm以上)を有している。特許文献1には固体酸化物型燃料電池が開示されておらず、また電解質の厚さや凹凸面の構造体の寸法も記載されていない。
【0003】
近年、固体酸化物型燃料電池に電解質材料を用いることが盛んに研究されている。一般に、固体酸化物型燃料電池は2つの電極に挟まれた、負に帯電した酸素イオンを伝導する電解質を有している。このような電池においては、電解質を伝導する酸素イオンに反応する、例えば、水素などの燃料物質がアノードにおいて酸化することにより電流が生じる。酸素イオンはカソードにおいて酸素分子が還元することによって形成される。
薄厚の滑らかな無機焼結シートが特許文献2に開示されている。この焼結シートは広い温度範囲にわたり、安定性に優れていると共に、屈曲しても破損しない強度と可撓性を有している。イットリア安定化ジルコニアYSZ(Y2O3-ZrO2)などの一部の開示組成物は燃料電池の電解質として有用である。十分高い温度(例えば、約725℃以上)において、ジルコニア電解質は良好なイオン伝導性および非常に低い電子伝導性を示すことが知られている。このような組成物を用いて耐熱衝撃性固体酸化物型燃料電池を構成することが特許文献3に記載されている。
【0004】
電極電解質構造を改良した固体酸化物型燃料電池が特許文献4に記載されている。この構造は薄厚で可撓性に富む無機電解質シートのそれぞれの側に固着された複数の陽電極および陰電極を含む固体電解質シートを有している。電極が電解質シート上に連続した層を成さず、多数の分離領域または分離帯を形成している1つの例が示されている。電解質シートのビアを通して延びる導電体によってこれ等の領域が電気的に接続されている。ビアには導電性材料が充填されている。
【0005】
接触表面層を粗面化した略平坦で滑らかな電解質シートを用いた固体酸化物型燃料電池が特許文献5に記載されている。この電解質シートの厚さが45μm未満であることが開示されている。このような厚さのセラミック電解質シートは可塑性を有している。
【0006】
滑らかな電解質シート(基体)上に焼結された粗面化多孔質ナノ結晶インターフェース層が特許文献6に記載されている。粗面化多孔質ナノ結晶層は、サブミクロン単位の構造体(粒子サイズが1μm未満、好ましくは0.5μm未満)を有する不規則に構造化され、算術平均表面粗度が約0.2μmであることを特徴とする表面を有している。
【特許文献1】米国特許第4,135,040号明細書
【特許文献2】米国特許第5,085,455号明細書
【特許文献3】米国特許第5,273,837号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2002/0102450号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2001/0044043号明細書
【特許文献6】米国特許第6,428,920号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電解質の電気伝導度は材料の伝導度と厚さの積に比例する。即ち、電解質のオーム抵抗は材料の特性に依存すると共にその厚さに比例する。従って、オーム抵抗を小さくし電気伝導度を向上するには、電解質をできるだけ薄くする必要がある。しかし、電解質を薄くすると物理的強度が低下する。薄厚の電解質シートは取扱中や加工中に破損する可能性がある。また、燃料電池は大きな温度サイクルおよび温度勾配を受け、それにより電解質シートに熱応力が生じる。更に、実装した電解質シートはそのフレームの熱膨張率とは異なる率で膨張するため、亀裂が入る可能性がある。電解質シートに欠陥が生じることにより、電池全体または電解質装置の交換が余儀なくされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電解質シートの1つの効果は、電解質シートにおける多軸歪耐性が向上する一方、構造的強度が向上または維持されると共に、電極の密着性および均一な可撓性が維持されることである。
【0009】
本発明の1つの態様による電解質シートは、少なくとも一部に弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セルを表面に有する少なくとも1つの応力緩和領域を有する、実質的な無孔体から成るものである。
【0010】
本発明の更なる特徴および効果は、当業者にとって以下の詳細な説明により容易に理解できると共に、以下の詳細な説明、クレーム、および添付図面に示されている本発明を実施することにより認識できる。
【0011】
前記概要説明および以下の詳細説明は本発明の例示的な実施の形態を説明するためのものであり、本発明の本質および特徴を理解するための概要または骨子を提供することを目的とするものである。添付図面は本発明の理解を深めるためのものであり、本明細書に含まれ、本明細書の一部を構成するものである。図面には本発明の各種実施の形態が示されており、それらの実施の形態と本明細書によって本発明の原理および作用が説明されるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
現在における本発明の好ましい実施の形態について説明する。また、好ましい実施の形態例を添付図面に示す。図面において、可能な限り同一または同様の部品には同一の符号を用いている。本発明の無機電解質シートの3つの実施の形態例を図1A〜1Cに示す。ほとんどの場合、電解質シートには参照番号10が付してある。電解質シート10は、2つの対向する主面20、21、および平均の厚さt(図2)を有する薄厚のセラミック・シートである。
【0013】
電解質シート10は、実質的な無孔体から成り、少なくとも一部に少なくとも1つの応力緩和領域22を有している。応力緩和領域22には複数のセル30が設けられている。セル30は滑らかであることが好ましい。即ち、セル30には応力を増大する急峻な折り目がないことが好ましい。
【0014】
図1Aに示すように、電解質シート10は共通中央領域25を囲む複数の小さくて滑らかなドーム形セル30から成る多軸波形パターンを備えた表面を有することができる。応力緩和領域22は、図1Aおよび1Bに示すように電解質シート10の一部を成すことも、図1Cに示すように電解質シート10全体を覆うこともできる。本例では、各々が微細な窪みまたは隆起形状を成す多数の単位セル30によって電解質シート10のほぼ全体がパターン化されている。具体的には、図1Cの電解質シートの実施の形態において、単位セル30が矩形に配され、電解質シート10のほぼ全域を覆っている。従って、本実施の形態による電解質シートのほぼ全域が応力緩和領域として作用する。単位セル30を六角形、正方形、三角形、あるいはその他のパターンに配して電解質シート10を覆うこともできる。前記パターンは方向によって周期を違えることができる(例えば、単位セルの基部を楕円形、矩形、あるいは不規則六角形にすることができる)。同一の電解質シートの領域に応じて異なるパターンを配することができる。
【0015】
セル30は電解質シート10上にどのようなパターンにも配することができるが、セル30のピッチPは1mm〜1cmの範囲であることが好ましい。各々のセル30の基部は、例えば、矩形、円形、三角形、あるいは六角形とすることができる。前記のように、電解質シートの領域に応じてパターンを変えることができる。図3Aは六角形の基部を有する1つのセルの例を示す平面図である。また、図3Bは図3Aのセルの斜視図である。図4Aは矩形の基部を有する1つのセルの例を示す平面図である。また、図4Bは図4Aのセルの斜視図である。
【0016】
図5Aは各々が六角形基部内に彫刻された一連のドーム形セル30’の平面図である。セル30’は平坦領域31によって分離されている。図5Bは図5Aのセルを示すA−A線概略断面図である。また、図5Cは図5Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されている。温度が変化する際、平坦領域31は歪の緩和にあまり寄与しない。このように、応力緩和領域22の応力緩和特性に寄与しないため、セル30間に平坦領域がないことが好ましい。従って、図6A〜6Cに示すように、セル30は少なくとも1つの断面において、隣接セル30Aおよび30Bの交差ドームによって形成された弓形領域32によって互いに分離されていることが好ましい。セル30間の弓形領域32は、個々のセル間に急峻な折り目を含んでいないことが好ましい。
【0017】
図6Aは各々が六角形の基部内に彫刻された一連のドーム形セル30の平面図である。セル30は平坦領域31によって分離されていない。図6Bは図6Aのセルを示すA−A線概略断面図である。また、図6Cは図6Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されていない。図6Bはセル30が弓形領域32によって分離されていることを示している。温度が変化する際、これ等の弓形領域は歪の緩和に本格的に関与する。
【0018】
図7Aは各々が矩形の基部内に彫刻された一連のドーム形セル30の平面図である。セル30は平坦領域31によって分離されていない。図7Bは図7Aのセルを示すA−A線概略断面図である。図7Cは7Aのセルを示すB−B線概略断面図である。いずれの断面図においても、セル30間に平坦領域31が示されていない。図7Bはセル30が弓形領域32によって分離されていることを示している。温度が変化する際、これ等の弓形領域は歪の緩和に本格的に関与する。
【0019】
図8Aは矩形の基部に円形ドーム・セルを彫刻する方法を概略的に示す図である。図8BはD−D線概略断面図であり、ドームの最も高い部分を横断したものである。図8CはD’−D’線概略断面図であり、セルを対角線に沿って横断したものである。図8Bおよび8Cは、いずれも断面が多数のドーム形を含んでおり、その間に平坦領域がないことを示している。両図の違いは、図8Bのドームが図8Cドームより高いことである。図8Bおよび8Cの起伏パターンはドーム列同士が重複することによって形成され、交差線が2つ以上の回転楕円体に沿っている。
【0020】
固体酸化物型燃料電池スタックにおいて、電解質装置(例えば、電解質シート、アノード、カソード、およびその他の燃料電池部品)がフレーム40に実装され、例えば、ガラス原料などの封止剤42(図9)によって封止される。図9は本実施の形態例において、電解質シート10がフレーム40よりはるかに薄厚であることを示している。フレーム40および封止材料の膨張率が電解質シート10の膨張率に非常に近い場合(例えば、熱膨張率の違いが約0.2x10−6以下の場合)、セル30および応力緩和領域22の弓形領域32は電極、電流コレクタ、電解質シート、フレーム、および封止材料間の膨張差に完全に対応できる。
【0021】
フレーム40および封止材料の膨張率が電解質シートの膨張率に近くない場合、および/または温度が急激に変化し、電解質シート10とフレーム40との間に50℃を超える温度差が生じた場合、セル30および応力緩和領域22の弓形領域32はフレーム40と電解質シートとの間の大きな膨張差および/または温度差に対応する。このように、応力緩和領域22は電解質シート全体にわたり応力および応力の空間的広がりを低減する。具体的には、燃料電池装置の温度が上昇するにつれ、薄厚の電解質シート10が比較的厚いフレーム40より早く熱くなる。電解質シート10が熱くなる一方、フレーム40が比較的冷たい場合、応力緩和領域を除く電解質シート(例えば、セルのない領域)のフレーム40の近傍領域において、大きな曲げ歪、圧縮歪、および引っ張り歪が生じる。しかし、冷却すると、本発明の応力緩和領域22を有する電解質シート10は、例えば、セル30の高さを増すことによりこの歪/応力を解消する。セル30間の弓形領域32も収縮することにより引っ張り応力を解消する。同様に、燃料電池装置が急激に冷えた場合、電解質シート10がフレーム40より早く冷えるので、フレーム40がまだ熱いときに電解質シート10は比較的冷たくなる。しかし、応力緩和領域22を有する電解質シート10は、セル30を平らにする(即ち、高さを減じる)こと、およびセル間の弓形領域32を伸長する(平坦にする)ことによりこの歪/応力を解消する。
【0022】
フレーム40、電解質シート10、および封止材料の熱膨張率が一致していることが、安定温度状態における熱応力の解消に役立つが、それだけでは大きな急激な温度変化におけるフレーム40と電解質10との間の温度差を補償するのには不十分である。
【0023】
電解質シート10の共通中央領域25には、電解質シートの第1面に配された少なくとも1つのカソード、電解質シートの第2面の前記カソードに対向する位置に配された少なくとも1つのアノードを含めることができる。本発明の1つの実施の形態においては、電解質シートの対向面にそれぞれ配された複数のアノードおよび複数のカソードを有している。
【0024】
セル30の具体的寸法およびピッチは、電解質シートに作用する応力および各種材料(フレーム、封止剤、電極、電流コレクタ等)の熱膨張率に基づいて決定する必要がある。セルの数、高さ、ピッチ、並びに応力緩和領域22のセル間の領域32の弓形の曲率によって歪/応力の解消力が決定する。最大の歪解消力が生じるのは、波形の高低差が最大且つドームの数が最大の方向である。セル30の高さ(山から谷まで)は50μm〜1cmであることが好ましく、0.1〜0.8cmであることがより好ましく、最も好ましくは0.5cm未満である。折り返しピッチP(即ち、2つの頂点間または2つの谷底間)は50μm〜2cm、好ましくは0.1〜2cm、より好ましくは1cm未満である。単位セル30のドームの頂点に対応するパターン化された領域が高過ぎる(0.5cm以上)と、その後の処理、例えば、電極の印刷の妨げになる。しかし、波形が小さ過ぎると、応力緩和領域の伸長/収縮補償が得られず、電解質シート10が破断点に達する可能性がある(引っ張り領域において最も可能性が高い)。従って、薄厚の電解質シート(例えば、厚さが45μm未満)において、セルの高さHと電解質シート10の厚さtとの比が少なくとも2であることが好ましく、より好ましくは少なくとも2.5、最も好ましくは3以上である。応力緩和領域22の応力/歪緩和力は電解質シート材料の強度、および電解質シート10の応力緩和領域22の厚さに依存する。
【0025】
前記実施の形態によれば、電解質シート10の平均の厚さtは5μmより大きく、100μm未満である。平均の厚さtは45μm未満であることが好ましく、25μm未満であることが最も好ましい。
【0026】
また、応力緩和領域22を含む電解質シート10に微細加工を施すことができる。例えば、深さ5μm未満の多数の窪みを設けることができる。薄厚の電解質シートにおいて、微細構造の窪みはシート厚の1/2未満であることが好ましい。例えば、シート厚が8μmの場合、窪みの深さは4μm未満であることが好ましい。これ等の窪みは電解質シート10に周期的に配列することができる。しかし、非周期的に配列することもできる。
【0027】
例示電解質シート10の一部の断面を図10A〜10Cに概略的に示す。セル30は深さより幅の方が大きく、間隔を高さより大きくすることができる(図10A).別の方法として、セル30の間隔を高さH以下とすることができる。このことが、例えば、図10Bに概略的に示されている。前記のように、また図10A〜10Cに示すように、セル30の一面または両面に微細加工を施すことができる。例えば、セル30の平均の高さを50μm以上とし、溝またはその他の構造体(例えば、深さ0.5μm)を一面または両面に施すことができる。
【0028】
電解質シート10の厚さを位置によって変えることもできる。例えば、電解質シートの縁部の強度を維持しつつ、電解質の電極(即ち、アノードとカソードの対)間のイオン抵抗をできるだけ小さくするため、部分に応じて厚さを変えることができる。従って、電解質シート縁部の平均厚を低イオン抵抗が必要な領域の平均厚より大きくすることが有益である。このように、図11の例示電解質シート10は薄い領域と厚い領域とを有し、電気抵抗と強度とのバランスを適切に保持している。
【0029】
前記のように、電解質シート10のパターン化された領域は電解質シート10の小領域を占めることも、全領域を覆うこともできる。このようにして電解質シート10の大きな領域をパターン化した場合、窪みの深さ、あるいはドームの高さを比較的小さくすることにより、電解質シート10への電極およびその他の部品の印刷を可能にする必要がある。従って、このようにして電解質シート10のほぼ全面をパターン化した場合、窪みの深さ、あるいはドームの高さHを3mm未満とすることが好ましく、1mm未満とすることがより好ましい。
【0030】
セル30によって急激な温度サイクルおよび大きな(200℃以上の)温度変化、および電解質シート10の温度勾配に起因する歪および応力による電解質シートの破損の可能性を低減できる。電解質シート10のこのような機械的特性の改善により、高い温度勾配下において電解質シート10を動作させることができ、これまで以上に高く且つ急激な温度変化に対応できる。
【0031】
電解質シート10は実質的な無孔(即ち、実質的に閉鎖孔を有せず、気孔率5%未満)体である。前記気孔率は3%未満であることが好ましく、1%未満であることがより好ましい。電解質シート10の平均厚Tは4μmより大きく100μm未満であり、45μm未満であることが好ましく、4〜30μmであることがより好ましく、5〜25μmであることが最も好ましい。これより小さい平均厚も可能である。厚さの下限は構造体を破損せずに取り扱うことができる最小の厚さである。電解質シートと電極の合計厚が150μm未満であることが好ましく、100μm未満であることがより好ましい。電解質シート体はモノリシック体(即ち、異なる気孔率の多数の層を焼結して一体化するのではなく、1つの塊として作製されたもの)であることが好ましい。前記波形電解質シートは電解質支持型、およびアノードまたはカソード支持型のいずれの固体酸化物型燃料電池にも使用できる。
前記のような薄厚でパターン化された電解質シートを固体酸化物型燃料電池の製造に用いることは有益である。従って、本発明の1つの実施の形態による燃料電池の固体酸化物電極/電解質組立体50は、(i)実質的な無孔体を有すると共に、弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セル30を有する少なくとも1つの応力緩和領域を有して成る電解質シート10(ii)前記電解質シートの第1面に配された少なくとも1つのカソード(iii)前記電解質シートの第2面の前記カソードに対向する位置に配された少なくとも1つのアノードを有している。電解質シート10は、その小さなビアホール56を通して接続されている矩形セグメントの形態を成す多数の電極52、54を支持する、イットリアを3モル%含むジルコニアから成る自立電解質シートであることが好ましい。前記電極/電解質組立体の上面を図12に示す。図13は図12の電極/電解質組立体の概略立断面図である。本実施の形態によれば、電極/電解質組立体50複数のアノードとカソードの対52、54を有している。これ等のアノードとカソードの対52、54はビアギャラリー55によって互いに分離されている。ビアギャラリー55はビアホール56内に複数の相互接続子(ビア接続子)56’を有している。これ等の相互接続子56’は1つのセルのアノードから隣接セルのカソードに電流を伝導する。
【0032】
未焼成の電解質シートをモールド成形し、次いで焼結することにより可撓性に富む電解質シートを形成できる。未焼成材料の生成方法は当業者周知であり、例えば、米国特許第4,710,227号明細書に記載されている。具体的には、前記特許文献は溶液から薄厚で可撓性のある未焼成テープを生成する方法を開示しており、未焼成テープにコーティングを施して切断し、積層して焼成することにより薄圧の誘電キャパシターを形成するものである。この種の処理は欧州特許出願第0302972号明細書、および欧州特許出願第03017676号明細書にも記載されている。米国特許第5,089,455号明細書によれば、パターン化された応力緩和領域を有する薄厚の電解質シートを製造するため、まず未焼成(プレセラミック)材料が生成される。次いで、この材料を焼結することにより、力を加えて大きく屈曲させても破損しない可撓性を有するパターン化された焼結セラミック・シートが作製される。この焼結セラミック・シートの可撓性は、有効曲率半径20cm未満の曲げまたは同等の力、好ましくは5cm未満の曲げまたは同等の力、より好ましくは1cm未満または同等の力に十分耐え得るものである。
【0033】
ここで、“有効”曲率半径とは焼結形成された材料の自然または固有の湾曲に加え、その焼結体を屈曲させることによって局部的に生じる曲率半径を意味する。このように、曲げを受けた焼結セラミック電解質シートを更に屈曲させるか、真っ直ぐに伸ばすか、あるいは反対方向に屈曲させても破損しない。
【0034】
電解質シートの可撓性は層厚および褶曲形状に大きく依存するので特定の用途に調整できる。一般に、電解質シートが厚ければ厚いほど可撓性は低下する。一部の実施の形態において、薄厚の電解質シートである、強化/硬化焼結セラミック電解質シート10は曲率半径が10mm未満、あるいは5mm未満の曲げに対し破損しない可撓性を有している。このような可撓性は電解質シート10を熱膨張率および/または熱質量が異なる電極および/またはフレームと組み合せて使用する場合に有益である。
【0035】
電解質シート10は焼結前に各種方法によりパターン化できる。例えば、陰イオン(例えば、O--)を伝導する固体プレセラミック材料(例えば、イットリアを3モル%含むジルコニア、以下3YSZ)から成る未焼成シートを生成し、複数の褶曲部を形成することにより少なくとも1つの応力緩和領域を設け、次いで未焼成シートを焼結することにより波形応力緩和領域を有するイオン伝導固体電解質シート10を作製できる。焼結は1000℃以上で約1〜3時間行うことが好ましく、1300℃以上で行うことがより好ましい。例えば、電解質シート10を作製する方法は、(a)未焼成プレセラミックを生成するステップ、(b)前記未焼成プレセラミックを多数の窪みおよび/またはドーム形セルを含む波形パターンを有するようパターニングするステップ、および(c)前記波形を有する未焼成プレセラミック・シートを焼結することにより、弓形領域によって分離された多数のドームおよび/または窪みを含む波形表面を有する実質的な無孔体から成る電解質シートを作製するステップを有している。
【0036】
前記パターニング・ステップは、例えば、モールド成形、あるいはエンボス加工によって行うことができ、未焼成シートを適切な鋳型または金型に入れ所望の表面褶曲または褶曲を成すセル構造を形成する。別の方法として、融点未満の高温度で超塑性変形処理を施すことにより十分に薄いセラミック・シートを再構成できる。しかし、焼結する前に、室温(20℃)または室温に近い温度で未焼成シートの形を整えることにより、効果的且つ経済的に電解質シートをパターンニングできる。また、高温度、例えば、50℃、75℃、100℃、150℃、あるいは200℃で電解質シートをパターン化することもできる。
【0037】
可撓性セラミックに所望のパターンを形成するには幾つかの方法がある。その1つは、未焼成の成形シートをエンボス・ローラに通す方法である。これ等のローラ105、105’のうちの少なくとも1つがパターン化されている。このことが図14に図式的に示してある。ローラ105、105’の高い部分によって未焼成プレセラミックが伸長または圧迫されることにより、一部の領域が薄厚になる。厚さ15〜30μmの未焼成プレセラミックを処理する場合、同じ厚さまたはそれより厚い基体に載せて未焼成プレセラミック材料を2つのローラに通すことが好ましい。エンボス加工の間、前記未焼成シートを2つのポリマー担体シート間に配することもできる。パターン化した電解質シートを形成する別の方法には、未焼成セラミック・シートを真空成形する方法がある。
【0038】
イオン伝導体、好ましくは部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアなどの酸素イオン伝導体から成る多結晶セラミックにより、好ましい電解質シート10が形成される。前記部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアは、Y、Ce、Ca、Mg、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Ti、Sn、Nb、Ta、Mo、およびWの酸化物、並びにそれらの混合物のうちから選択されるドーパントが添加されている。正方、単斜、および/または立方、およびそれ等の組合せのようなジルコニア結晶の形状はこの構造材料の重要なパラメータである。相転移強化特性を有しているため、部分安定化ジルコニアが最も好ましい。応力を受けると正方相がモノリシック相に転移し、亀裂の発生および拡大を効果的に防止する。従って、電解質シートの耐久性が向上すると共に、機械的強度が増すので扱い易くなる。好ましい安定化ドーパントはY、Yb、Ca、Mg、またはScである。このうちSc、Yb、およびYがイオン伝導性に優れている。当業者周知の一定の強化剤を使用することにより、セラミック・シートを強化できる。特に有用で好ましい強化剤には、前記安定剤に添加できるタンタルおよびニオブ酸化物がある。Nb、Ta、Ce、およびTiを添加することにより、中温度において見られる水蒸気による劣化を低減できる。
【0039】
3YSZを主成分とする未焼成シートの生成には適切なセラミック片を鋳造する何らかの方法が伴う。以下の実施例において、このようなセラミック片について説明する。
【実施例】
【0040】
実施例1−セラミック・スリップの生成
下表1に示す成分を用いてジルコニアを100グラム含むセラミック・スリップを生成した。
【表1】
【0041】
吸水防止のため、すべての成分容器は使用するまでしっかり蓋を閉めておく。250mlのNalgene(登録商標)ポリエチレン・プラスチック容器を約10〜20mlのエタノールまたはメタノールで洗浄して汚れを取る。次いで、この容器を70℃の乾燥オーブンに入れてアルコールを蒸発させる。乾燥後、容器と蓋の重量を計測。計量ボートによってジルコニアの粉末を計量して傍らに置く。ピペットを用いて乾燥済みNalgene容器にエタノールを注入。次いで、ピペットにより前記プラスチック容器に1−ブタノールを注入。その後、ピペットによりプロピレン・グリコールを注入。最後に、ピペットにより水、そしてEmphos PS−21Aを注入。10mm東ソーTZP−3Y粉砕メディアを約450g計量し記録する。次いで、前記メディアを前記容器に添加し軽く振る。次に、前記ジルコニア粉末を計量ボートから添加。前記容器に蓋をして固く閉める。蓋をした容器を再計量し、前記溶媒、粉末、分散剤の合計重量を算出。次に、このスリップを72時間振動粉砕した後粘度を計測。
【0042】
粗い粒子を除去し、このスリップの粒子サイズ分布を小さくするため沈殿ステップを2回実施。2回の沈殿ステップにより、容認できる材料損失の範囲において良好な粒子サイズの分布を得ることができた。
【0043】
125mlの第2のNalgeneプラスチック容器と蓋を前記のようにして洗浄および乾燥させる。この第2の容器および蓋の重量を計量し記録する。粉砕メディアを残して、前記スリップを前記粉砕容器から第2の容器に注ぐ。次に、前記スリップ、第2容器、および蓋の重量を計量。粗い粒子を前記スリップから72時間沈殿させる。第3の容器と蓋を洗浄、乾燥、および重量を計量し記録する。ピペットを用いて、沈殿していないスリップを沈殿物が混入しないよう慎重に第3の容器に注入。ピペットにより注入されたスリップ、第3の容器、および蓋の重量を計量。次に、このスリップを更に24時間沈殿させる。前記第2容器の残留物/沈殿物を90℃の換気オーブン内で少なくとも3時間乾燥させ、乾燥済み残留物、第2容器および蓋の重量を計量。
【0044】
125mlの第4のプラスチック容器および蓋を前記のようにして洗浄および乾燥させる。次に、第4の容器と蓋の重量を計量し記録する。再度、(24時間の沈殿を行った)第3の容器から、ピペットが沈殿物を拾い上げないよう注意しながら、スリップを第4の容器に注入。第4の容器およびスリップの重量を計量し記録する。前記同様、第3の容器内の残留物を乾燥させたのち重量を計量。記録した重量から第4容器内に残っているセラミック粉末の量が分かる。
【0045】
残存スリップに存在しているセラミック粉末に弱い凝集剤、氷酢酸、可塑剤、およびバインダーを加える。残存しているセラミック粉末の重量を超える凝集および結合に用いた成分を重量パーセントで表したものを下表2に示す。
【表2】
【0046】
イソプロピルアルコールに氷酢酸を加え50/50重量%の溶液を生成。ピペットにより(残存セラミック粉末の重量を超える)2重量%のこの溶液を第4容器内のスリップに注入。蓋をして容器を軽く振る。
【0047】
次に、ピペットにより(残存セラミック粉末の重量を超える)3.5重量%のフタル酸ジブチルを第4容器内のスリップに注入。この容器に蓋をして軽く振る。計量ボートにより(残存セラミック粉末の)6重量%のポリビニル・ブチラールを計量してスリップに注入。この容器に蓋をして軽く振る。次に、少なくとも15分間、この容器をペンキ攪拌器などの装置にかけバインダーを完全に溶解させる。2つのクリーンなジルコニア粉砕メディアを前記容器に入れ、この容器を3日間低速ローラーミルにかける。
【0048】
前記スリップをTeflon(商標)基体またはフィルム上に成形し、約5〜30分乾燥させる。未焼成フィルムを急激に乾燥させると(例えば、1分未満)、焼結の際歪んでしまう。次に、前記未焼成フィルムを約50〜70℃の乾燥オーブンに入れて約30分〜約2時間乾燥させる。この未焼成フィルムをオーブンによって乾燥させた後、前記薄層のTeflonが未焼成シートと鋳型との間にくるようにして、75〜150℃、好ましくは約120℃に加熱した金属またはプラスチック鋳型によって真空成形できる。前記鋳型の端部には真空路、あるいは微細な真空引き穿孔がある。前記Teflon被膜にも鋳型の真空路に合わせて微細な穴が設けられている。真空ポンプにより、この真空路または穿孔とTeflonの針穴を通して真空引きが行われることにより、未焼成シートが鋳型に引き付けられ、所望の波形パターンが形成される。この鋳型は、微細なボールエンドミルによって、平坦なアルミニウム板にドーム形の凹部を形成することによって簡単に作製できる。
【0049】
未焼成セラミック・シート上に厚さ25μmの第2のTeflonシートを慎重に載せ、下側のTeflonの針穴、およびその他の真空孔または真空路をすべて覆う。前記未焼成セラミック・シートに波形を形成した後、真空ポンプを停止して、慎重にまず上部Teflon、次いで未焼成セラミック・シートを取り出す。この際、前記波形を座屈または変形させないようにする必要がある。次に、このセラミック・シートを所定のサイズにトリミングして焼結する。別の方法として、上部Teflonシートをセラミック・シートに載せた後、その上部にポリマー・ガスケットを有する第2の圧力チャンバーを配する。前記ガスケットは前記セラミック・シートの波形に作用せず、その領域外に作用する。前記圧力チャンバーを数秒間空気またはN2により15〜45psi(103400〜310300Pa)で加圧する。加圧を止め、上部Teflon、次いで波形未焼成セラミック・シートを取り出す。ロール/ロール・プロセスによってこの方法を容易に自動化できることが想定できる。
【0050】
実施例
以下の実施例によって本発明が更に明確になる。
【0051】
図1の電解質シート10を以下のようにして作製した。
【0052】
i 空気を濾過した“クリーン”な環境下において、厚さ125μmのTeflon(登録商標)フィルムのしわをガラス板上で伸ばした後、そのガラス板にテープ止めした。
【0053】
ii イットリアを3モル%含むジルコア粉末スリップをギャップ50μm、幅15cmのテープ成形用“ドクター”ブレードによって前記Teflonをコーティングした布にコーティングすることにより、未焼成プレセラミック・シートを形成した。
iii 前記未焼成プレセラミック・シートをその幅に沿って約2mmのギャップを設け、長手方向にはギャップを設けずにプラスチック・カバーで包み、室温にて30分乾燥させた。
【0054】
iv 次に、前記未焼成シートを60℃のオーブンで1時間乾燥させた。
【0055】
v 次に、例えば、図1Aの電解質シートに対応する単位セル・パターンを有する鋳型を用いて前記真空成形法により前記未焼成シートに波形を形成した。
vi 最後に、前記波形未焼成シートを1430℃で2時間焼結した。
【0056】
焼結後、前記電解質シート10の波形を肉眼で観察した。また、光学的観察によれば、セル30の最大高は約1mmであり、セルが図1Aに示す波形パターンに配列されていた。
【0057】
図12および13に示すような多数のセル・パターンを形成するため、前記焼結済み電解質シート10の平坦な部分(即ち、セル30間の共通中央領域)にアノード・インクをスクリーン印刷した。150℃で数分乾燥させた後、シートに印刷したアノードを約1350〜1450℃で30分〜2時間焼結した。
【0058】
高さ0.2mmのドームを有する前記のような波形電解質シートをInstron(商標)卓上引張試験器にかけた。ロードセルにより負荷を測定し、立体光学法によって歪を測定した。前記波形シートは所定の負荷に対し高い見掛け引っ張り歪を示し、見掛けヤング率が約25%低下した。
本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の改良および変更が可能であることは当業者にとって明白である。従って、本発明は添付クレームの範囲に属することを条件にかかる改良および変更、並びにその均等物を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1A〜1Cは異なるパターンを有する電解質シートを概略的に示す平面図。
【図2】本発明によるパターン化された電解質シートの1つの実施の形態の概略断面図。
【図3A】六角形基部を有する1つのセルの拡大平面図。
【図3B】図3Aのセルの斜視図。
【図4A】矩形基部を有する1つのセルの拡大平面図。
【図4B】図4Aのセルの斜視図。
【図5A】平坦領域によって分離された多数のドーム形セルを有するパターン化された電解質シートの部分概略平面図。
【図5B】図5Aのセルを示すA−A線断面図。
【図5C】図5Aのセルを示すB−B線断面図。
【図6A】平坦領域によって分離されていない多数のドーム形セルを有するパターン化された電解質シートの部分概略平面図。
【図6B】図6Aのセルを示すA−A線断面図。
【図6C】図6Aのセルを示すB−B線断面図。
【図7A】平坦領域によって分離されていない多数のドーム形セルを有する、図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルを示す拡大概略平面図。
【図7B】図7Aのセルを示すA−A線断面図。
【図7C】図7Aのセルを示すB−B線断面図。
【図7D】図7Aのセルを示すC−C線断面図。
【図8A】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図8B】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図8C】図1A〜1Cの電解質シートのパターン化された領域を成す幾つかのセルの拡大概略断面図。
【図9】フレームに実装された図1Aの電解質シートを有する電解質装置の概略側面図。
【図10】図10A〜10Cは別の電解質シートの概略断面図。
【図11】本発明の電解質シートの別の実施の形態を示す概略断面図。
【図12】電極電解質組立体の例を示す概略平面図。
【図13】図13の電極電解質組立体の断面図。
【図14】波形電解質シートの製造方法を示す概略図。
【符号の説明】
【0060】
10 電解質シート
20、21 主面
22 応力緩和領域
25 共通中央領域
30、30’ セル
31 平坦領域
32 弓形領域
42 封止剤
50 電極/電解質組立体
52、54 電極
55 ビアギャラリー
56 ビアホール
105、105’ローラ
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的な無孔体から成り、少なくとも一部に弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セルを表面に有する少なくとも1つの応力緩和領域を有して成ることを特徴とする電解質シート。
【請求項2】
前記滑らかなドーム形セルが共通中央領域の周囲に、該共通中央領域向け縦に配されていることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項3】
Y、Ce、Ca、Mg、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Ti、Sn、Nb、Ta、Mo、およびWの酸化物、並びにそれらの混合物のうちから選択されるドーパントを添加した部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアから成る多結晶セラミック・シートであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項4】
平均の厚さが5μmを超え100μm未満であることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項5】
前記平均の厚さが45μm未満であることを特徴とする請求項4記載の電解質シート。
【請求項6】
前記平均の厚さが25μm未満であることを特徴とする請求項4記載の電解質シート。
【請求項7】
前記セルが周期的に配列されて単位セルを形成することを特徴とする請求項3記載の電解質シート。
【請求項8】
請求項1記載の電解質シート、並びに少なくとも1つのアノードおよび少なくとも1つのカソードを有して成ることを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。
【請求項9】
前記電解質、アノード、およびカソード全体の厚さが100μm未満であることを特徴とする請求項8記載の燃料電池装置。
【請求項10】
複数のアノードとカソードの対を有して成ることを特徴とする請求項8記載の燃料電池装置。
【請求項11】
前記セルのピッチが0.5mm〜2cm、高さが100μm〜3mmであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項12】
前記セルのピッチが1mm〜1cm、高さが100μm〜1mmであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項1】
実質的な無孔体から成り、少なくとも一部に弓形領域によって互いに分離された複数の滑らかなドーム形セルを表面に有する少なくとも1つの応力緩和領域を有して成ることを特徴とする電解質シート。
【請求項2】
前記滑らかなドーム形セルが共通中央領域の周囲に、該共通中央領域向け縦に配されていることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項3】
Y、Ce、Ca、Mg、Sc、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、In、Ti、Sn、Nb、Ta、Mo、およびWの酸化物、並びにそれらの混合物のうちから選択されるドーパントを添加した部分安定化ジルコニアまたは安定化ジルコニアから成る多結晶セラミック・シートであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項4】
平均の厚さが5μmを超え100μm未満であることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項5】
前記平均の厚さが45μm未満であることを特徴とする請求項4記載の電解質シート。
【請求項6】
前記平均の厚さが25μm未満であることを特徴とする請求項4記載の電解質シート。
【請求項7】
前記セルが周期的に配列されて単位セルを形成することを特徴とする請求項3記載の電解質シート。
【請求項8】
請求項1記載の電解質シート、並びに少なくとも1つのアノードおよび少なくとも1つのカソードを有して成ることを特徴とする固体酸化物型燃料電池装置。
【請求項9】
前記電解質、アノード、およびカソード全体の厚さが100μm未満であることを特徴とする請求項8記載の燃料電池装置。
【請求項10】
複数のアノードとカソードの対を有して成ることを特徴とする請求項8記載の燃料電池装置。
【請求項11】
前記セルのピッチが0.5mm〜2cm、高さが100μm〜3mmであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【請求項12】
前記セルのピッチが1mm〜1cm、高さが100μm〜1mmであることを特徴とする請求項1記載の電解質シート。
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公表番号】特表2008−524808(P2008−524808A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546761(P2007−546761)
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/044450
【国際公開番号】WO2006/065618
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月7日(2005.12.7)
【国際出願番号】PCT/US2005/044450
【国際公開番号】WO2006/065618
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】
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