説明

波形変換機およびそれを備える電源装置

【課題】使用時及び運搬時の負担を軽減する波形変換器及びそれを備える電源装置の提供。
【解決手段】本発明の波形変換器たる正弦波アダプタ1は、外部からの電圧が入力される入力部15と、正弦波アダプタ1の設定状態を表示する表示部12と、正弦波アダプタ1の出力周波数を設定する設定部13と、正弦波アダプタ1を冷却する冷却ファン16とを備えている。外部から入力された電圧の波形は、正弦波アダプタ1に設けられたインバータ回路118によって正弦波に変換される。インバータ回路118によって正弦波波形に変換された電圧は、出力ケーブル14から外部に出力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波形変換機およびそれを備える電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−278832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記インバータ装置を精密機器の電源として用いることが考えられるが、インバータ装置の出力が矩形波電圧の場合、精密機器は矩形波電圧では正常に動作しない虞がある。そこで、インバータ装置と精密機器の間に波形変換機(正弦波アダプタ)を接続し、矩形波電圧を正弦波電圧に変換することが考えられる。
【0005】
しかしながら、正弦波アダプタとインバータ装置とが別体構造となっているため、使用時や運搬に煩わしさがあった。
【0006】
本発明は、使用時及び運搬時の負担を軽減する波形変換器およびそれを備える電源装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、電圧が入力される入力部と、該電圧の波形を正弦波形に変換するインバータ回路と、該正弦波形の電圧を出力する出力部と、を備えたことを特徴とする波形変換器を提供している。
【0008】
電圧が入力される入力部と、電圧の波形を正弦波形に変換するインバータ部と、正弦波形の電圧を出力する出力部と、を備えるため、例えば、既存のインバータ装置に装着することで、インバータ装置から出力された矩形波を正弦波に整形することができるので、簡易かつ安価な構成で、既存のインバータ装置を精密機器等の電源として用いることが可能となる。また、どんな入力波形も正弦波に変換できる。
【0009】
また、上面と底面と側面とを有する略函状のハウジングを備え、該ハウジングには、該入力電圧を供給するインバータ装置を固定可能なインバータ装置固定部が設けられていることが好ましい。
【0010】
ハウジングにはインバータ装置を固定可能なインバータ装置固定部が設けられているため、インバータ装置を正弦はアダプタの上に載置した状態で固定することができる。このため、正弦波アダプタとインバータ装置とをコンパクトにまとめた状態として使用することができる。
【0011】
また、該インバータ装置は直流電圧を矩形波の交流電圧に変換して出力し、該矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換して出力することが好ましい。
【0012】
インバータ装置は直流電圧を矩形波の交流電圧に変換して出力し、矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換して出力するため、場所を選ばすに車載用のバッテリー等の搬送可能、携帯可能な電池から正弦波の交流電圧を得ることができる。
【0013】
また、該インバータ装置固定部は該ハウジングの上面に設けられていることが好ましい。
【0014】
インバータ装置固定部はハウジングの上面に設けられているため、インバータ装置の波形変換器への取り付けを容易とすることができる。
【0015】
また、該インバータ装置は電動工具用電池パックからの直流電圧を交流電圧に変換して出力し、該電動工具用電池パックを接続した該インバータ装置を該インバータ装置固定部に固定可能であることが好ましい。
【0016】
インバータ装置は電動工具用電池パックからの直流電圧を交流電圧に変換して出力し、電動工具用電池パックを接続したインバータ装置をインバータ装置固定部に固定可能であるため、携帯性を向上させることができる。
【0017】
また、該ハウジングの一の側面には、該ハウジング外方へ指向する入出力端子が設けられ、該インバータ装置は、上面と底面と側面とを有する略函状のインバータハウジングを備え、該インバータハウジングの一の側面には、該インバータハウジング外方へ指向するインバータ入出力端子が設けられ、該インバータ装置は、該インバータハウジングの底面が該ハウジングの上面に対向するとともに、該インバータハウジングの該一の側面が該ハウジングの該一の側面に対応するように該インバータハウジングの4つの側面が該ハウジングの4つの側面に対応した位置関係で、該インバータ装置固定部に固定されることが好ましい。
【0018】
インバータ装置は、インバータハウジングの底面がハウジングの上面に対向するとともに、インバータハウジングの一の側面がハウジングの一の側面に対応するようにインバータハウジングの4つの側面がハウジングの4つの側面に対応した位置関係で、インバータ装置固定部に固定されるため、インバータ入出力端子とアダプタ入出力端子とを近接配置させることができ、これらに接続されるケーブルとして短いものを用いることができる。また、ケーブルの這いまわしをコンパクトに行うことができる。
【0019】
また、該インバータ装置は該インバータ装置固定部と係合する係合部を有し、該係合部と該入出力端子は異なる面に設けられていることが好ましい。
【0020】
インバータ装置はインバータ装置固定部と係合する係合部を有し、係合部と入出力端子は異なる面に設けられているため、入出力端子にケーブルを着脱する操作や、係合部をインバータ装置固定部に係合させる操作をする際に、互いに操作の邪魔にならない。
【0021】
また、前記入力された電圧を昇圧する昇圧回路と、前記昇圧回路及び前記インバータ回路を制御する制御部と、前記入力部に入力された電圧を検出する電圧検出部と、をさらに備え、前記制御部は、前記電圧検出部により検出された電圧が昇圧禁止範囲内にある場合には前記昇圧動作を禁止することが好ましい。
【0022】
このような構成によれば、入力部に適正な電圧が入力されている場合には昇圧回路を動作させないので、無駄に昇圧回路を動作させて電力が浪費することを防止することができる。
【0023】
また、前記インバータ回路は、前記昇圧回路の出力電圧をパルス波に変換するインバータ部と、前記パルス波を正弦波に整形する整形部と、を備え、前記制御部は、前記電圧検出部により検出された電圧が昇圧禁止範囲内にある場合には前記昇圧回路を動作させることなく前記インバータ回路を動作させることが好ましい。
【0024】
また、前記制御部は、前記電圧検出部により検出された電圧が入力許容範囲から外れている場合には前記昇圧回路と前記インバータ回路の少なくとも一方の動作を禁止することが好ましい。
【0025】
このような構成によれば、入力部に適正な電圧が入力されていない場合には昇圧回路とインバータ回路の少なくとも一方を動作させないので、昇圧回路又はインバータ回路に含まれる素子が破損することを抑制することができる。
【0026】
また、本発明の波形変換器は、前記インバータ回路に流れる電流を検出する電流検出部を更に備え、前記制御部は、前記電流検出部に流れる電流が所定値以上の場合に前記インバータ回路から出力される電圧が低下するように前記インバータ回路を制御することが好ましい。
【0027】
このような構成によれば、インバータ回路に大きな電流が流れることが抑制されるので、インバータ回路を構成するFET等の素子が破損することを抑制することができる。
【0028】
また、本発明の波形変換器は、前記出力部から出力される電圧の周波数を設定可能な周波数設定部を更に備え、前記制御部は、前記周波数設定部で設定された周波数の電圧が前記出力部から出力されるように前記インバータ回路を制御することが好ましい。
【0029】
このような構成によれば、波形変換器から出力される電圧の周波数を変化させることができるので、例えば、商用電源の周波数が異なる関東と関西の両方で波形変換器を使用することが可能となる。
【0030】
また、本発明の波形変換器は、前記出力部から出力される電圧を設定可能な電圧設定部を更に備え、前記制御部は、前記電圧設定部で設定された電圧が前記出力部から出力されるように前記昇圧回路を制御することが好ましい。
【0031】
このような構成によれば、波形変換器から出力される電圧を変化させることができるので、例えば、商用電源の電圧が異なる海外でも使用することが可能となる。
【0032】
また、本発明の波形変換器は、前記入力部に入力された電圧の波形を判別する波形判別部と、前記入力部と前記出力部との間に接続され、オン・オフ可能なバイパス回路と、を更に備え、前記制御部は、前記波形判別部によって検出された波形が正弦波であった場合には、前記バイパス回路をオンすることが好ましい。
【0033】
特に、前記制御部は、前記波形判別部によって検出された波形が正弦波であった場合には、少なくとも前記インバータ回路の動作を禁止することが好ましい。
【0034】
このような構成によれば、入力された電圧の波形が正弦波であった場合には、インバータ回路を動作させずに電力をバイパス回路に流すので、無駄にインバータ部を動作させて電力が浪費することを防止することができる。
【0035】
また、該ハウジングには、該ハウジングの内部と外部とを連通する貫通孔が形成され、該ハウジング内であって該貫通孔に対向する部分には遮蔽壁が設けられ、該遮蔽壁と該貫通孔が形成された該ハウジングの部分との間は排水空間をなし該排水空間の下部は底面によって画成され、該排水空間の下部を画成する底面の部分には、該ハウジングの内部と外部とを連通する排水用貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0036】
ハウジングには、ハウジングの内部と外部とを連通する貫通孔が形成され、ハウジング内であって貫通孔に対向する部分には遮蔽壁が設けられ、遮蔽壁と貫通孔が形成されたハウジングの部分との間は排水空間をなし排水空間の下部は底面によって画成され、排水空間の下部を画成する底面の部分には、ハウジングの内部と外部とを連通する排水用貫通孔が形成されているため、貫通孔から流入した雨水等の水が遮蔽壁よりもアダプタハウジング内方へ浸入することを防止することができ、且つ、排水空間内に流入した水をアダプタハウジング外方へ排出することができる。また、発熱する回路基板を冷却するためのファンがアダプタハウジング内に設けられている場合には、ファンによりアダプタハウジング内に流されるエアの流入口や排出口として貫通孔を利用することができる。
【0037】
また、矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換し該正弦波の交流電圧を出力する電圧変換回路を有する回路基板を有し、該回路基板全体は樹脂材により被覆されていることが好ましい。
【0038】
矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換し正弦波の交流電圧を出力する電圧変換回路を有する回路基板を有し、回路基板全体は樹脂材により被覆されているため、アダプタハウジング内に雨水等の水や塵が流入した場合であっても回路基板に直接当該水や塵が接触することを防止することができる。
【0039】
本発明の別の観点では、一端に開口が形成された函状の本体部と、該開口を開閉可能に本体部に設けられた蓋体と、該本体部に収容される鉛蓄電池と、該鉛蓄電池からの直流電圧がアダプタを介して供給され得る該インバータ装置と、を備え、該本体部は波形変換器を収容可能であることを特徴とする電源装置を提供している。
【0040】
本体部に収容される鉛蓄電池と、鉛蓄電池からの直流電圧がアダプタを介して供給され得るインバータ装置と、を備え、本体部は上記波形変換器を収容可能であるため、鉛蓄電池単体よりも使用可能な時間を長くすることができる。
【0041】
また、該インバータ装置は該蓋体に固定可能であり、該インバータ装置を該蓋体に固定し且つ該波形変換器を該本体部に収容した状態で該波形変換器と該インバータ装置とを接続可能としたことが好ましい。
【0042】
インバータ装置は蓋体に固定可能であり、インバータ装置を蓋体に固定し且つ波形変換器を本体部に収容した状態で波形変換器とインバータ装置とを接続可能としたため、インバータ装置と波形変換器とをコンパクトに固定した状態で電源装置を使用することができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、使用時及び運搬時の負担を軽減する正弦波アダプタを提供するこができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタの正面斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタの側面図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタの図2のIII−IIIに沿った部分断面図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタの分解平面図
【図5】本発明の第1の実施形態に係るインバータ装置の正面斜視図
【図6】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとを装着した状態を示す正面斜視図
【図7】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとを装着した状態を示す背面斜視図
【図8】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとの分解斜視図
【図9】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとを装着した状態を示す側面図
【図10】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとの分解側面図
【図11】本発明の第1の実施形態に係る正弦波アダプタとインバータ装置と電池パックとの分解正面図
【図12】本発明の第1の実施形態の変形例に係る電源装置の側面断面図
【図13】本発明の第1の実施形態の変形例に係る正弦波アダプタとインバータ装置とアダプタとを装着した状態を示す正面斜視図
【図14】本発明の第1の実施形態の変形例に係る正弦波アダプタとインバータ装置とアダプタとを装着した状態を示す背面斜視図
【図15】本発明の第1の実施の形態による波形変換器である正弦波アダプタの使用形態を例示する図。
【図16】図1の各装置における電圧波形の変化を説明する図。
【図17】本発明の第1の実施の形態による正弦波アダプタのブロック図。
【図18(a)】本発明の第1の実施の形態による正弦波アダプタの回路図。
【図18(b)】突入電流防止回路を備えていない場合の突入電流について説明する図。
【図18(c)】突入電流防止回路を備えている場合の突入電流について説明する図。
【図19】本発明の第1の実施の形態による表示部の表示例を示す図。
【図20】本発明の第1の実施の形態による入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートに関するフローチャート。
【図21】本発明の第1の実施の形態によるソフトスタートの説明図。
【図22(a)】本発明の第2の実施の形態による波形変換器である正弦波アダプタの回路図。
【図22(b)】本発明の第2の実施の形態によるバイパス回路の制御に関するフローチャート。
【図23】本発明の第2の実施の形態による波形判別回路における波形の変化を説明する図。
【図24】本発明の第3の実施の形態による波形変換器である正弦波アダプタの回路図
【図25】本発明の第4の実施の形態による過電流制御に関するフローチャート。
【図26】変形例による正弦波アダプタの回路図。
【図27】変形例による入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートに関するフローチャート。
【図28】本発明の第5の実施形態に係る正弦波アダプタの図2のIII−IIIに沿った部分断面図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の実施形態に係る波形変換器たる正弦波アダプタ1の構成について、添付の図面に基づき説明する。
【0046】
図1乃至図4に示すように、正弦波アダプタ1は、正弦波アダプタ1の外殻を構成する筐体10と、筐体10から突出した係合部11と、正弦波アダプタ1の設定状態を表示する表示部12と、正弦波アダプタ1の出力周波数を設定する設定部13と、出力ケーブル14と、外部からの入力を受ける入力部15と、冷却ファン16と、回路基板17と、を備えている。
【0047】
以下の説明において、表示部12が設けられている方向を前、逆を後と定義する。また、排気口10bが設けられている方向を右、逆を左と定義する。
【0048】
筐体10には、外気を取込むための吸気口10a及び取込んだ外気を排出するための排気口10bが形成されている。正弦波アダプタ1は、後述するインバータ装置2から入力された電圧(例えば矩形波の交流100V電圧)を正弦波の交流100Vとして出力する装置である。図1及び図2に示すように、吸気口10a及び排気口10bは上下方向に長い略矩形状に前後方向に複数並んで形成される。吸気口10a及び排気口10bの開口面積は略同一である。図3に示すように、正弦波アダプタ1の底面には、吸気口10aから侵入した水が内部に侵入することを防止するための隔壁10Aが、筐体10の側面と左右方向に所定距離離間して筐体10の底面から上方に向けて立設している。すなわち吸気口10a側と排気口10b側にそれぞれ立設している。正弦波アダプタ1の底面であって筐体10の側面と隔壁10Aとの間には、吸気口10aから侵入した水を外部に排出するための排水口10cが形成されている。筐体10と隔壁10Aとの間には、吸気口10aから侵入した水を一時的に貯める排水空間10dが規定されている。隔壁10Aは、図4に示すように、回路基板17の周囲を取囲むように設けられており、回路基板17を位置決めする役割も果たす。排気口10bも図3と同様の構造となっている。筐体10は本発明のハウジング(アダプタハウジング)に相当し、吸気口10a及び排気口10bは本発明の貫通孔に相当し、排水口10cは本発明の排水用貫通孔に相当し、隔壁10Aが本発明の遮蔽壁に相当する。
【0049】
係合部11は、筐体10の上面に設けられており、図5に示すインバータ装置2の着脱ボタン23の端部にもうけられた被係合部と係合可能である。インバータ装置2の詳細な構成は後述する。係合部11は、筐体10の上面の左右方向両端にそれぞれ設けられている。これにより、2箇所で正弦波アダプタ1をインバータ装置2に固定するため、両者を確実に固定することができる。また、係合部11は上面の端部に設けられているため、正弦波アダプタ1及びインバータ装置2の一方に大きな力が加わったとしても互いにずれることが抑制される。係合部11は、本発明のインバータ装置固定部に相当する。
【0050】
表示部12は、前方に向けて斜め下方に傾斜しており、正弦波アダプタ1にインバータ装置2を固定した状態でも前方から見やすいように構成されている。表示部12には、2つのLEDランプが設けられていて、設定部13により正弦波アダプタ1の出力周波数が50Hzに設定されている時は一方のLEDランプが点灯し、設定部13により出力周波数が60Hzに設定されている時は他方のLEDランプが点灯する。
【0051】
設定部13も、表示部12と同様に前方に向けて斜め下方に傾斜しており、正弦波アダプタ1にインバータ装置2を固定した状態でも前方から見やすいように構成さている。設定部13は、押ボタンスイッチとなっていて、設定部13を押すことにより、正弦波アダプタ1の出力周波数を切替えることができる。
【0052】
出力ケーブル14は、筐体10の後面から外方に延出していて、その先端には差込プラグ14Aが設けられている。差込プラグ14Aから、正弦波の交流100V電圧が出力される。
【0053】
入力部15は、出力ケーブル14と隣接するように筐体10の後面に設けられている。入力部15には、インバータ装置2からの出力が入力される。出力ケーブル14及び入力部15は、本発明のアダプタ入出力端子に相当する。
【0054】
冷却ファン16は、図4に示すように、正弦波アダプタ1の右側面の排気口10b近傍に固定されており、吸気口10aから外気を吸入して排気口10bから排出することにより正弦波アダプタ1内部を冷却する。冷却ファン16は、正弦波アダプタ1作動時は常に起動している。なお、回路基板17等の温度に応じて冷却ファン16を駆動するようにしてもよい。
【0055】
回路基板17は、正弦波アダプタ1内に配置されていて、複数のコンデンサ等の電子部品が備えられている。回路基板17は、その外周面がウレタン17Aによって覆われている。具体的には、回路基板17を隔壁10A及び筐体10の側面で囲まれた領域に配置し、そこにウレタン17Aを流し込む。流し込んだウレタン17Aを硬化させることにより回路基板17及び回路基板17上の電子部品がウレタン17Aに覆われる。図4における斜線部が、ウレタン17A充填領域となる。これにより、回路基板17が筐体10に固定されると同時に、回路基板17の防水、防振、防塵が可能となる。
【0056】
本実施形態の正弦波アダプタ1は、インバータ装置2と着脱可能である。インバータ装置2は、蓄電池としての電動工具用の電池パック5(例えばリチウム電池で14.4V、3,0A)を装着可能である。インバータ装置2は、図5に示すように、インバータ装置2の外殻を構成するハウジング20と、インバータ装置2の状態を表示する表示パネル21と、出力ケーブル22と、着脱ボタン23と、電池パック5を収容する収容部24と、外部からの入力を受ける電力入力部25と、電力入力部25に着脱可能に設けられた電源ケーブル26と、バンド係止部27と、を有している。インバータ装置2は、電池パック5からの直流14,4Vの電圧を矩形波の交流100Vに変換して出力ケーブル22から出力する。インバータ装置2は、電源ケーブル26を商用電源に接続することにより商用電源からの入力により電池パック5を充電することもできる。また、出力ケーブル22から電池パック5の直流出力を得ることもできる。更に、商用電源から直接出力ケーブル22に交流電圧を出力することもできる。
【0057】
表示パネル21にはLEDランプが設けられていて、LEDランプの点灯あるいは点滅の状態によって、作業者は電池パック5を充電しているか、出力ケーブル22から出力を得ているのか、電源装置1に異常が発生しているか、などを判断することができる。出力ケーブル22は、ハウジング20の後面から外方に延出している。着脱ボタン23は、左右方向両端に設けられており、左右の着脱ボタン23を同時に押すことで、インバータ装置5の正弦波アダプタ1への着脱ができる。着脱ボタン23の端部であってハウジング20の底面には、係合部11と係合可能な被係合部が設けられている。被係合部は、本発明の係合部に相当する。
【0058】
収容部24は、電池パック5以外にも、電池パック5と略同形状であって後述する電源3(鉛蓄電池)と接続されたアダプタ4(図12乃至図14)を装着することもできる。アダプタ4は、ケーブル4Aを介して鉛蓄電池3と接続している。容量(12V、38Ah)の大きな鉛蓄電池3を使用することにより、電池パック5よりも長い時間電源として使用することができる。詳細な構成については、後述する。
【0059】
電力入力部25及び電源ケーブル26は、インバータ装置2の後面から外方に延出している。出力ケーブル22及び電力入力部25は、本発明のインバータ入出力端子に相当する。
【0060】
バンド係止部27は、インバータ装置2の前部の左右方向両端に設けられており、図示せぬ肩掛けバンドを係止することができる。バンド係止部27は、出力ケーブル22及び電力入力部25と反対の側面に設けられており、作業者が図示せぬバンドを肩に掛けた状態で鉛直方向下側から出力ケーブル22が延びている。従って、正弦波アダプタ1とインバータ装置2とを接続し、電動工具用電池パック5を電源として使用することで携帯性が向上する。また、バンド係止部27と各入出力部が異なる面に設けられているので互いに邪魔になることがない。なお、正弦波アダプタ1にバンド係止部27を設けてもよい。
【0061】
図6乃至図11に示すように、係合部11とインバータ装置2の被係合部とが係合することにより、インバータ装置2の底面が正弦波アダプタ1の上面と対向するように固定される。電池パック5を収容部24に装着した状態で出力ケーブル22を入力部15に差込むことで、出力ケーブル14から正弦波の交流100V電圧を得ることができる。インバータ装置2の底面と正弦波アダプタ1の上面との面積は略同一であり、両者の前後方向及び左右方向の長さも略同一であるため、正弦波アダプタ1をインバータ装置2に一体的に固定することができる。
【0062】
図7に示すように、正弦波アダプタ1をインバータ装置2に固定した状態で、出力ケーブル14、入力部15、出力ケーブル22、電力入力部25(以下、入出力部という)が一箇所に集約されるように配置している。より詳細には、正弦波アダプタ1の入力部15とインバータ装置2の出力ケーブル22とを同一方向の面上に配置するとともに、電力入力部25の直下に入力部15が位置し出力ケーブル22(ハウジング20との接続部)の直下に出力ケーブル14が位置するように配置している。これにより、正弦波アダプタ1及びインバータ装置2のケーブルの這いまわしを最小限に抑えている。
【0063】
正弦波アダプタ1をインバータ装置2に固定した状態で、バンド係止部27の反対側の側面に入出力部が位置している。また、後述のアダプタ4のケーブル4Aも入出力部の近傍に位置している。これにより、作業者がバンド係止部27に係止された図示せぬバンドを肩に掛けた状態で鉛直方向下側からケーブル類が延びている。従って、入出力部が作業者の邪魔にならない。
【0064】
このような構成により、正弦波アダプタ1とインバータ装置2とをコンパクトにまとめた状態として使用、運搬することができる。また、正弦波アダプタ1とインバータ装置2とは係合部11と被係合部とが係合することにより固定されるため不意に一方が他方から外れることを防止できる。
【0065】
インバータ装置1は、筐体10の底面がハウジング20の上面に対向するとともに、ハウジング20の側面が筐体10の側面に対応するように筐体10の4つの側面がハウジング20の4つの側面に対応した位置関係で、係合部11に固定されるため、出力ケーブル14、入力部15、出力ケーブル22、電力入力部25を近接配置させることができ、これらに接続されるケーブルとして短いものを用いることができる。また、ケーブルの這いまわしをコンパクトに行うことができる。
【0066】
筐体10には、筐体10の内部と外部とを連通する吸気口10a及び排気口10bが形成され、筐体10内であって吸気口10a及び排気口10bに対向する部分には隔壁10Aが設けられ、隔壁10Aと吸気口10a及び排気口10bが形成された筐体10の部分との間は排水空間10dをなし排水空間10dの下部は底面によって画成され、排水空間10dの下部を画成する底面の部分には、筐体10の内部と外部とを連通する排水口10cが形成されているため、吸気口10a及び排気口10bから流入した雨水等の水が隔壁10Aよりも筐体10内方へ浸入することを防止することができ、且つ、排水空間10dに流入した水を筐体10から外方へ排出することができる。
【0067】
矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換し正弦波の交流電圧を出力する電圧変換回路を有する回路基板17を有し、回路基板17全体はウレタン17Aにより被覆されているため、筐体10内に雨水等の水や塵が流入した場合であっても回路基板17に直接当該水や塵が接触することを防止することができる。
【0068】
次に実施形態の変形例を図12乃至図14を用いて説明する。変形例では、電動工具用電池パック5に代えて自動車用の鉛蓄電池を直流電源(駆動源)として使用する。
【0069】
正弦波アダプタ1は、電源装置101内に収容可能となっている。電源装置101は、外枠を構成する本体部102と、本体部102内の内部空間102aを開閉する蓋体となる上蓋103とから主に構成されている。本体部102の内部空間102aには、電動工具用電池パック5に代えて電源として使用する自動車用の鉛蓄電池3(12V)と、鉛蓄電池3が収容される部屋と正弦波アダプタ1が収容される部屋とを区画する中蓋105とが収容されている。
【0070】
本体部102には、鉛蓄電池3の上方で内部空間102aに突出した突出部102Aと、本体部102に回転可能に支持された車輪102Bとが設けられている。本体部102の上方は開口しており、上蓋103によりその開口が開閉可能になっている。鉛蓄電池3はバッテリシャフト3Aによって内部空間102aに固定されている。中蓋105は、本体部102の突出部102Aに載置されている。中蓋105の上面には正弦波アダプタ1が載置されている。
【0071】
インバータ装置2は上蓋103に載置され、上蓋103には正弦波アダプタ1のインバータ係止部11と同様の係止部が設けられており、インバータ装置2の着脱ボタン23と係合することで、インバータ装置2を上蓋103に固定することができる。インバータ装置2は電動工具用電池パック5と同形状の接続部(収納部24に接続される端子やレール部分)を有するアダプタ4を介して鉛蓄電池3からの直流電圧が供給される。アダプタ4と鉛蓄電池3は、アダプタ4から延出するケーブル4Aを介して接続されている。
【0072】
アダプタ4のケーブル4A、正弦波アダプタ1やインバータ装置2のケーブルは中蓋105や上蓋103に設けられた図示しない溝部を介して本体部102の外部に露出している。図12に示す状態において、インバータ装置2には、アダプタ4及びケーブル4Aを介して鉛蓄電池3から直流電圧が供給される。インバータ装置2は鉛蓄電池3からの直流電圧12Vを昇圧、波形変換して矩形波の交流電圧を出力ケーブル22から出力する。正弦波アダプタ1の入力部15から入力された矩形波の交流電圧は、正弦波アダプタ1で正弦波の交流電圧に変換され、出力ケーブル14から出力される。
【0073】
また、上述した電動工具用電池パック5使用時と同様に、正弦波アダプタ1とインバータ装置2を接続した状態で使用することも可能である。上蓋103を開状態とし、正弦波アダプタ1にインバータ装置2を取り付けると図13及び図14の状態とすることができる。また、正弦波アダプタ1にインバータ装置2の着脱ボタン23と同様の機構を設ければ、図13の状態で上蓋103に固定することができる。
【0074】
変形例によれば、正弦波アダプタ1やインバータ装置2の携帯性は電動工具用電池パック5使用時に比べて劣るが、容量の大きい鉛蓄電池3を使用することができるため長時間の使用が可能となる。また、本体部102には車輪102Bが設けられているため、電源装置101の移動を容易にすることができ使用用途が広がる。
【0075】
また、図14に示すように、入出力部(入力部15等)は筐体10及びハウジング20の後面の左右一方側に設けられており、収納部24は左右他方側に設けられているため、アダプタ4のケーブル4Aと入出力部が干渉することがない。従って、入出力部がアダプタ4の着脱動作等の邪魔になることがない。
【0076】
次に、図15乃至図22を用いて、本発明の第1の実施の形態による波形変換器である正弦波アダプタ1の電気的な構成について説明する。
【0077】
図15は、本実施の形態による正弦波アダプタ1の使用形態を例示したものであり、図16は、各装置における電圧波形の変化を説明する図である。
【0078】
図15に示すように、正弦波アダプタ1は、入力端子Aを介してインバータ装置2に接続可能である。まず、インバータ装置2には、アダプタ4を介して鉛蓄電池3から直流電圧が供給される(図15(a)、図16(a))。鉛蓄電池3は、上述の電動工具用の電池パック5であってもよい。なお、鉛蓄電池3は充放電状態や寿命等に応じてその電圧が変動する。
インバータ装置2は、当該直流電圧を昇圧回路で約141Vの直流電圧に昇圧した上で(図15(b)、図16(b))、インバータ回路によって矩形波電圧(実効値でAC100V)に変換して出力する(図15(c)、図16(c))。
正弦波アダプタ1は、まず、入力端子Aに入力された当該矩形波電圧を整流回路で直流電圧に整流し(図15(d)、図16(d))、昇圧回路で当該直流電圧を約141Vに変圧する(図15(e)、図16(e))。なお、整流回路の出力はインバータ装置2の出力により変動し、負荷が大きい場合には出力が小さくなる。そして、正弦波アダプタ1は、変圧された直流電圧をインバータ回路でパルス波電圧に変換した後(図15(f)、図16(f))、当該パルス波電圧を整形回路で正弦波電圧に変換する(図15(g)、図16(g))。なお、インバータ回路はスイッチング周波数20kHzでスイッチングしている。当該正弦波電圧は、出力端子Bを介して精密機器等に出力可能である。ここで、鉛蓄電池3、インバータ装置2、正弦波アダプタ1により電源装置を構成する。
【0079】
次に、正弦波アダプタ1の回路構成について説明する。図17は、正弦波アダプタ1のブロック図であり、図18(a)は、正弦波アダプタ1の回路図である。
【0080】
図17及び図18(a)に示すように、正弦波アダプタ1は、整流回路111と、第1平滑コンデンサ112と、突入電流防止回路113と、電圧検出回路(電圧検出部)114と、補助電源115と、昇圧回路116と、第2平滑コンデンサ117と、インバータ回路118と、電流検出抵抗119と、ドライバIC120と、マイコン121と、周波数切替回路122と、ファン機構124と、を備えている。マイコン121は、本発明の制御部に相当する。
【0081】
整流回路111及び第1平滑コンデンサ112は、インバータ装置2から入力された矩形波電圧を整流・平滑し、図16(c)及び(d)に示すように、インバータ装置2から入力された電圧の最大値に相当する直流電圧を出力する。
【0082】
突入電流防止回路113は、電源投入時に正弦波アダプタ1内に大きな突入電流が流れることを防止するためのものであり、主に、FET131と、突入電流防止用抵抗132と、分圧抵抗133及び134と、を備えている。突入電流防止用抵抗132は、第1平滑コンデンサ112に大電流が流れない程度の抵抗値を有している。
【0083】
ここで、突入電流防止回路113を備えていない状態で最大電圧141Vの矩形波が正弦波アダプタ1に入力された場合を考える。この場合、例えば、パターン上のインピーダンスを1Ωとして計算すると、図18(b)に示すように、第1平滑コンデンサ112の存在により正弦波アダプタ1内には最大で141Aもの突入電流が流れることとなるため、正弦波アダプタ1内のFET等の素子を破損させる虞がある。
【0084】
しかしながら、本実施の形態では、第1平滑コンデンサ112と直列に突入電流防止用抵抗132が接続されており、また、突入電流防止用抵抗132にはFET131が並列に接続されている。FET131は、インバータ装置2の電源投入後(正弦波アダプタ1の動作開始後)、整流回路111及び第1平滑コンデンサ112から出力された電圧の分圧抵抗133及び134による分圧がFET131のゲート電圧まで上昇するまでオフしているため、FET131がオフしている間は、電流は第1平滑コンデンサ112から突入電流防止用抵抗132に流れることとなる。従って、この場合には、例えば、突入電流防止用抵抗132の抵抗値を100Ωとして計算すると、図18(c)に示すように、正弦波アダプタ1内に流れる突入電流は1.4A程度となるため、正弦波アダプタ1内のFET等の素子の破損を抑制することができる。
【0085】
一方、大きな突入電流が収まった後にも突入電流防止用抵抗132に電流を流し続けていては電力を浪費してしまうこととなる。そこで、本実施の形態では、大きな突入電流が収まった頃、すなわち、正弦波アダプタ1に入力される電圧がある程度上昇した頃にFET131がオンするように分圧抵抗133及び134の抵抗値が設定されている。このような構成により、FET131がオンした後は、電流は、第1平滑コンデンサ112からFET131に流れ、突入電流防止用抵抗132には流れなくなる。なお、FET131のオン抵抗は突入電流防止用抵抗132の抵抗値に対して極めて小さいためFET131による電力の浪費はほとんど生じない。
【0086】
また、インバータ装置2は、大きな電流が流れた場合に動作を停止する過電流防止機能を備えているため、正弦波アダプタ1側で大きな突入電流が発生した場合にも動作を停止してしまうこととなる。しかしながら、本実施の形態では、正弦波アダプタ1が突入電流防止回路113を備えているので、正弦波アダプタ1側で発生した突入電流によりインバータ装置2が動作を停止してしまうことが防止されている。
【0087】
電圧検出回路114は、直列に接続された電圧検出抵抗141及び142を備えており、整流回路111及び第1平滑コンデンサ112から出力された電圧すなわち第1平滑コンデンサ112の充電電圧の電圧検出抵抗141及び142による分圧電圧をマイコン121に出力する。
【0088】
補助電源115は、三端子レギュレータ151と、発振防止用コンデンサ152及び153と、を備えており、整流回路111及び第1平滑コンデンサ112から出力された電圧を所定の直流電圧(例えば5V)に変換し、マイコン121等に駆動電圧として供給する。
【0089】
昇圧回路116は、コイル161と、FET162と、スイッチングIC163と、整流ダイオード164と、電圧検出抵抗165及び166と、を備えている。
【0090】
コイル161に蓄えられた電圧は、スイッチングIC163がFET162をオン・オフさせることにより、パルス状に出力される。当該パルス状の電圧は、整流ダイオード164及び第2平滑コンデンサ117により整流・平滑されて直流電圧として出力される。本実施の形態では、図16(e)に示すように、昇圧回路116及び第2平滑コンデンサ117からは141Vの直流電圧が出力される。電圧検出抵抗165及び166は第2平滑コンデンサ117の電圧を監視してスイッチングIC163にフィードバックする。スイッチングIC163は、第2平滑コンデンサ117の電圧が141VになるようにFET162をオン・オフさせる。
【0091】
インバータ回路118は、インバータ部181と、フィルタ部(整形回路)182と、を備えている。
【0092】
インバータ部181は、4つのFET181a−181dを備えている。FET181aのドレインは、整流ダイオード164のカソードと接続され、FET181aのソースは、FET181bのドレインに接続されている。また、FET181cのドレインは、整流ダイオード164のカソードと接続され、FET181cのソースは、FET181dのドレインに接続されている。FET181a−181dのゲートには、FET181a−181dをオン・オフさせるための第2のPWM信号がドライバIC120により入力され、FET181a−181dのオン・オフにより、昇圧回路116及び第2平滑コンデンサ117から出力された直流電圧はパルス波電圧に変換される(図16(f))。
【0093】
フィルタ部182は、コイル182a及び182bと、コンデンサ182cと、を備えており、コイル182aにはFET181aのソース及びFET181bのドレインが接続され、コイル182bにはFET181cのソース及びFET181dのドレインが接続されている。インバータ部181(FET181a−181d)から出力されたパルス波電圧は、フィルタ部182を介して正弦波電圧に変換(整形)される(図16(g))。
【0094】
電流検出抵抗119は、FET181bのソース及びFET181dのソースと、GNDとの間に接続されており、電流検出抵抗119の高電圧側の端子はマイコン121と接続されている。このような構成により、電流検出抵抗119は、インバータ回路118(正弦波アダプタ1)に流れる電流を検出し、電圧としてマイコン121に出力する。
【0095】
マイコン121は、電圧検出回路114によって検出された電圧に基づき、スイッチングIC163のオン・オフ制御を行う。所定の直流電圧(本実施の形態では、141V)が昇圧回路116及び第2平滑コンデンサ117から出力されるように、すなわち第2平滑コンデンサ117の昇圧電圧が141VになるようにスイッチングIC163がFET162をPWM制御する。
【0096】
また、マイコン121は、実効値100Vのパルス波電圧がインバータ回路118から出力されるような第2のPWM信号をドライバIC120を介してFET181a−181dのゲートに出力する。本実施の形態では、マイコン121は、通常時には、FET181aとFET181d(以降、第1のセット)と、FET181bとFET181c(以降、第2のセット)とを、それぞれ1セットとして、第1のセットと第2のセットをデューティ比100%で交互にオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。なお、各FETを20kHzのスイッチング周波数でオン・オフさせるような第2のPWM信号を出力する。このとき後述する周波数切替回路122によって設定された出力周波数(図16(f)では50Hz)で出力する。
【0097】
更に、本実施の形態によるマイコン121は、正弦波アダプタ1の動作開始時に、入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートを行う。
【0098】
入力電圧監視では、インバータ装置2から入力された矩形波電圧の最大値が第1範囲(入力許容範囲、本実施の形態では、99V以上169V以下)から外れている場合に、昇圧回路116及びインバータ回路118の動作を停止させる。これにより、正弦波アダプタ1内のFET等の素子の破損が抑制される。(図20のS6及びS7を点線で囲み“入力電圧監視”としてください(昇圧要否判別と同様にしてください))
【0099】
昇圧要否判別では、マイコン121は、矩形波電圧の最大値が第2範囲(昇圧禁止範囲、本実施の形態では、127V以上141V以下)に含まれている場合に、昇圧回路116の動作を停止させる。これにより、無駄に昇圧回路116を動作させて電力が浪費することが防止される。
【0100】
ソフトスタートでは、インバータ回路118の動作を開始させた直後から所定時間(本実施の形態では、100μs)に亘ってインバータ回路118に流れる電流が所定値(本実施の形態では、10A)より大きかった場合に、第2のPWM信号のデューティを50%に下げ、その後、2.5sかけてデューティを100%に戻す。これにより、正弦波アダプタ1及びインバータ装置2内に大電流が流れることが抑制される。
【0101】
周波数切替回路122は、スイッチ221と、EEPROM222と、を備えている。周波数切替回路122は、本発明の周波数設定部に相当する。
【0102】
ユーザは、設定部13に設けられたスイッチ221を所定時間(例えば、3秒間)押下することにより、正弦波アダプタ1から出力される正弦波電圧の周波数を50Hzと60Hzとの間で切り替えることができる。詳細には、スイッチ221が押下されると周波数切替回路122からマイコン121にHIGHレベルの周波数切替信号が入力されるので、マイコン121は、正弦波アダプタ1から出力される正弦波電圧の周波数を切り替えるために、周波数切替信号に応じて第2のPWM信号を変化させる。
【0103】
EEPROM222は、マイコン121の動作停止時、すなわち、インバータ装置2からの電力の供給が停止された時の周波数を記憶しており、マイコン121は、次回の動作開始時に、EEPROM222に記憶された周波数に応じた第2のPWM信号を出力する。
【0104】
表示部12は、トランジスタ231と、LED232と、を備えており、マイコン121がLOW信号を出力することでトランジスタ231がオンしLED232が点灯又は点滅する。
図18には図示していないが、実際には、トランジスタ231は、50Hz緑点灯用トランジスタと、50Hz赤点灯用トランジスタと、60Hz緑点灯用トランジスタと、60Hz赤点灯用トランジスタと、を備えており、LED232は、50Hz緑点灯用トランジスタと接続された50Hz緑LEDと、50Hz赤点灯用トランジスタと接続された50Hz赤LEDと、60Hz緑点灯用トランジスタと接続された60Hz緑LEDと、60Hz赤点灯用トランジスタと接続された60Hz赤LEDと、を備えており、マイコン121は、正弦波アダプタ1の状態に応じたLEDを点灯させるような信号を表示部12に出力する。
【0105】
詳細には、図19に示すように、周波数切替回路122で周波数が50Hzに設定されている場合には、50Hz緑LEDを点灯させ、60Hzに設定されている場合には、60Hz緑LEDを点灯させる。
【0106】
また、電流検出抵抗119によって検出された電流が4A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点灯させ、5A以上の場合、設定されている周波数の赤LEDを点滅させる。
【0107】
また、図示していないが、FET162には、温度検出手段(例えば、サーミスタ)が近接して配置されており、サーミスタにより検出された温度が100度以上であった場合、設定されている周波数の緑LEDを点滅させる。
【0108】
更に、周波数切替回路122において周波数が切り替えられた時、設定されている周波数の緑及び赤LEDを0.5秒周期で3秒間点滅させ、続いて、0.2秒周期で2秒間点滅させた後、緑LEDのみを点灯させる。なお、緑LEDと赤LEDの両方が点灯している場合には、橙色に点灯することとなる。
【0109】
ファン機構124は、主に、冷却ファン16と、トランジスタ242と、を備えており、マイコン121は、駆動電力が供給されるとトランジスタ242にオン信号(HIGH信号)を出力することにより、冷却ファン16を動作させる。
【0110】
ここで、図20のフローチャートを用いて、マイコン121による入力電圧監視、昇圧要否判別、及び、ソフトスタートについて説明する。
【0111】
図20のフローチャートは、正弦波アダプタ1が装着されたインバータ装置2の電源がオンされ、補助電源115からマイコン121に駆動電力が供給された時にスタートする。
【0112】
駆動電力が供給されると、まず、マイコン121は、電圧検出回路114によって検出された電圧に基づき、インバータ装置2から120Vより大きい電圧が0.5sに亘って入力されたか否かを判断する(S1)。
【0113】
120Vより大きい電圧が0.5sに亘って入力されていない場合には(S1:NO)、昇圧回路116、冷却ファン16、及び、インバータ回路118を動作させないことにより(S2−S4)、正弦波アダプタ1から正弦波を出力させないようにする(S5)。これにより、低い電圧が正弦波アダプタ1に入力されて正弦波アダプタ1内のFET等の素子の破損が抑制される。
【0114】
一方、120Vより大きい電圧が0.5sに亘って入力されていた場合には(S1:YES)、電圧検出回路114によって検出された電圧に基づき、入力電圧が99V以上169V以下の第1範囲に入っているか否かを判断する(S6、S7)。
【0115】
入力電圧が第1範囲に入っていなかった場合には(S6又はS7:YES)、昇圧回路116、冷却ファン16、及び、インバータ回路118を動作させないことにより(S2−S4)、正弦波アダプタ1から正弦波を出力させないようにする(S5)。
【0116】
一方、入力電圧が第1範囲に入っていた場合には(S6及びS7:NO)、入力電圧が127Vより大きく141Vより小さい第2範囲に入っているか否かを判断する(S8、S9)。
【0117】
入力電圧が第2範囲に入っていなかった場合には(S8又はS9:NO)、昇圧回路116を動作させた後(S10)、冷却ファン16を動作させる(S11)。
【0118】
一方、入力電圧が第2範囲に入っていた場合には(S8及びS9:YES)、昇圧回路116を動作させることなく、冷却ファン16を動作させる(S11)。この場合、整流回路111及び第1平滑コンデンサ112から出力された電圧がそのままインバータ回路118に入力されることとなる。なお、入力電圧が第2範囲に入った時間が所定時間(例えば0.5秒)以上継続した場合に第2範囲内と判断する。これは、入力電圧が過度的に増減する場合を考慮し、確実に実効値100Vの正弦波電圧が出力できるようにするためである。
【0119】
続いて、インバータ回路118の動作を開始させた後(S12)、電流検出抵抗119により検出された電流値に基づき、10Aより大きい電流が100μsに亘ってインバータ回路118に流れたか否かを判断する(S13)。
【0120】
10Aより大きい電流が100μsに亘ってインバータ回路118に流れていた場合には(S13:YES)、ソフトスタートを行う。すなわち、一旦、第2のPWM信号のデューティを50%に下げた後(S14)、図21に示すように、2.5s経過かけてデューティを100%に戻す(S15、S16)。
【0121】
一方、10Aより大きい電流が100μsに亘ってインバータ回路118に流れていなかった場合には(S13:NO)、そのまま、デューティ100%で正弦波電圧を出力する(S17)。
【0122】
以上、説明したように、本実施の形態による正弦波アダプタ1では、入力された電圧の最大値が第2範囲(本実施の形態では、127V以上141V以下)に含まれている場合には昇圧回路116の動作を停止させるので、無駄に昇圧回路116を動作させて電力が浪費することが防止されている。
【0123】
一方で、入力された電圧の最大値が第2範囲(本実施の形態では、127V以上141V以下)に含まれていない場合には昇圧回路116を動作させるので、鉛蓄電池3の電圧が低下した等の理由により、インバータ装置2から141Vとは異なる最大値を有する矩形波電圧が出力された場合であっても、正弦波アダプタ1から実効値100Vの正弦波電圧を出力することができ、これにより、正弦波アダプタ1に接続された精密機器等に故障が生じることが抑制されている。
【0124】
また、入力された電圧の最大値が第1範囲(本実施の形態では、99V以上169V以下)から外れている場合には昇圧回路116及びインバータ回路118の動作を停止させるので、正弦波アダプタ1内のFET等の素子の破損が抑制されている。
【0125】
また、本実施の形態による正弦波アダプタ1は、周波数切替回路122を備えているので、例えば、商用電源の周波数が異なる関東と関西の両方で使用することができる。
【0126】
続いて、図22及び図23を用いて、本発明の第2の実施の形態による正弦波アダプタ200について説明する。
【0127】
本実施の形態による正弦波アダプタ200は、入力された波形が正弦波であった場合には、昇圧回路116及びインバータ回路118を動作させずにそのまま出力することを特徴としており、図22(a)に示すように、波形判別回路125と、バイパス回路126と、を備えている。波形判別回路125は、本発明の波形判別部に相当する。
【0128】
波形判別回路125は、主に、整流ダイオード251と、分圧抵抗252及び253と、トランジスタ254と、を備えている。
【0129】
正弦波アダプタ200には、図23(a)に示す正弦波電圧及び矩形波電圧のいずれかが入力されるものとして説明すると、入力された電圧は、整流ダイオード251によって整流され、整流電圧の分圧抵抗252及び253による分圧がトランジスタ254のベースに入力される(図23(b))。ベースに入力された分圧がトランジスタ254のオン電圧(図23(c)の点線)を超えている間、トランジスタ254はオンする。その結果、マイコン121には、トランジスタ254がオンしている間はLOWレベル信号、オフしている間はHIGHレベルの判別信号が入力される(図23(d))。正弦波電圧と矩形波電圧とでは、T1(HIGH信号時間)と、T2(HIGH信号時間+LOW信号時間)とが異なるので、マイコン121は、T1とT2とに基づき、正弦波アダプタ200に入力された電圧が正弦波であるか矩形波であるかを判別する。
【0130】
詳細には、マイコン121は、T1がT2の約半分である場合に正弦波アダプタ200に入力された電圧が矩形波であると判別し、T1がT2と比べて十分に小さい場合には、正弦波アダプタ200に入力された電圧が正弦波であると判別する。
【0131】
バイパス回路126は、リレー回路261と、トランジスタ262と、を備えている。
【0132】
リレー回路261は、主に、正弦波アダプタ200の入力端子Aと出力端子Bとの間に接続されたリレー261aと、リレー261aに近接して配置されたコイル261bと、を備えている。コイル261bの一端は電源と接続されており、他端は、トランジスタ262のコレクタと接続されている。
【0133】
マイコン121は、波形判別回路125からの判別信号に基づき、正弦波電圧が入力されていると判断した場合、トランジスタ262のベースにオン信号(HIGH信号)を出力する。これにより、トランジスタ262がオンしてコイル262bに流れることにより、リレー261aが閉じ、入力端子Aに入力された正弦波電圧が昇圧回路116及びインバータ回路118を介さずに出力端子Bから出力されることとなる。
この動作を図22(b)のフローチャートを用いて説明する。駆動電力が供給されると、図22(b)に示すように、波形判別回路125及びマイコン121によって入力端子Aに入力された電圧が正弦波か矩形波かを判断する(S50)。矩形波の場合には(S50:YES)、図示しない周波数切替回路(図18(a)の周波数切替回路122)によって設定されている周波数を判断し(S51)、設定周波数に応じてインバータ回路118の出力を設定する(S52、S53)。その後、バイパス回路126をオフし(S54)、バイパス回路126が確実にオフするまでの所定時間(例えば5秒)経過したら(S55)、昇圧回路116及びインバータ回路118を駆動させる(S56)。
一方、入力電圧が正弦波の場合には(S50:NO)、図22(b)に示す時間T2から周波数を判別する(S57)。周波数が50Hz或いは60Hzではない場合(S57:NO)、例えば 入力された電圧の周波数は、1/T2の式により求められるので、算出された周波数が例えば55Hzだった場合には矩形波であると再判断してS51以降の処理を行う。周波数が50Hz或いは60Hzの場合には(S57:YES)、昇圧回路116及びインバータ回路118を停止させ(S58)、昇圧回路116及びインバータ回路118が確実に停止するまでの所定時間(例えば5秒)経過したら(S59)、バイパス回路126をオンさせる(S60)。
【0134】
以上、説明したように、本実施の形態による正弦波アダプタ200では、正弦波の電圧が入力されている場合には、昇圧回路116及びインバータ回路118を動作させずにそのまま出力するので、電力の浪費が抑制されている。なお、本実施の形態では正弦波電圧と矩形波電圧の判別としたが、それらに加えて直流電圧の判別を行うようにしてもよい。直流電圧の場合には矩形波電圧のフローと同様に動作すればよい。すなわち、正弦波アダプタ200は、入力電圧が矩形波電圧、直流電圧等、いかなる電圧波形であっても、常に正弦波が出力されるように構成されている。
【0135】
続いて、図24を用いて、本発明の第3の実施の形態による正弦波アダプタ300について説明する。
【0136】
本実施の形態による正弦波アダプタ300は、出力電圧を切り替え可能な点を特徴としており、図24に示すように、電圧切替用抵抗127と、電圧切替用FET128と、電圧切替回路129と、を備えている。
【0137】
電圧切替用抵抗127及び電圧切替用FET128は、直列に接続された状態で、昇圧回路116の電圧検出抵抗166に並列に接続されている。
【0138】
電圧切替回路129は、スイッチ291と、EEPROM292と、を備えている。ユーザは、スイッチ291を所定時間(例えば、3秒間)押下することにより正弦波アダプタ300から出力される正弦波電圧の実効値を100Vと230Vとの間で切り替えることができる。また、切り替えた(設定した)電圧をEEPROM292に記憶しておけば、正弦波アダプタ300への電力供給がなくなっても設定電圧を維持することができる。電圧切替回路129は、本発明の電圧設定部に相当する。
【0139】
詳細には、スイッチ291が押下されると電圧切替回路129からマイコン121にHIGHレベルの電圧切替信号が入力されるので、マイコン121は、電圧切替信号に応じて電圧切替用FET128をオンさせる。電圧切替用FET128がオンすると、スイッチングIC163に入力される分圧が変化する。この分圧の変化が生じた時に、スイッチングIC163は、FET162のオン・オフのデューティを変化させることにより、正弦波アダプタ300から出力される正弦波電圧の実効値を100Vと230Vとの間で切り替えることができる。なお、100Vと230V以外の電圧に切替えるようにしてもよい。この場合には、抵抗27とFET28と同様のセットを電圧検出抵抗166と並列に接続し、スイッチ291の押下時間に応じて所望の電圧に対応するFETをオンさせればよい。
【0140】
以上、説明したように、本実施の形態による正弦波アダプタ300では、出力電圧を変化させることができるので、例えば、商用電源の電圧が異なる海外で使用することが可能となる。
【0141】
続いて、図25を用いて、本発明の第4の実施の形態による正弦波アダプタ400について説明する。
【0142】
本実施の形態による正弦波アダプタ400では、過電流制御を行う。
【0143】
詳細には、図25に示すように、電流検出抵抗119によって検出された電流が所定値(本実施の形態では、5A)より大きかった場合に(S21:YES)、マイコン121は、まず、第2のPWM信号のデューティを低下させる(S22)。そして、所定時間(本実施の形態では、10s)経過後(S23:YES)に、電流検出抵抗119によって検出された電流が所定以下まで低下していなかった場合には(S24:YES)、インバータ回路118を停止させるような第2のPWM信号を出力する(S25)。
【0144】
以上、説明したように、本実施の形態による正弦波アダプタ400では、インバータ回路118に大きな電流が流れることが抑制されるので、インバータ回路118を構成するFET181a−181dが破損することが抑制されている。過電流によりインバータ回路118が停止した際には、図19に示すように設定周波数に対応する赤LEDを点滅させれば、過電流によって出力が停止したことを把握することができる。
【0145】
本実施の第5の実施形態を、図28に示す。第5の実施形態では、正弦波アダプタ1の内部の排水に関する構造が上述の実施の形態と異なっている。
【0146】
第5の実施形態では、排水口10cに加えて、第2排水口110cが排水口10cと隣接するように形成されている。また、隔壁10Aと左右方向に僅かに離間して第2隔壁110Aが筐体10の内面の上面から下方に向けて立設している。さらに、第2隔壁110Aから左右方向に僅かに離間して第3隔壁110Bが筐体10の内面の底面から上方に向けて立設している。第2排水口110cは、隔壁10Aと第3隔壁110Bとの間に形成されている。これにより、たとえ外部からの水が隔壁10Aを乗り越えて侵入した場合でも、第2排気口110bより外部に排出することができる。このようなラビリンス構造により、吸気口10aから侵入した水が内部に入り込むことを防止している。排気口10bも、図9と同様の構造となっている。
【0147】
本発明では正弦波アダプタ1とインバータ装置2とを別体で設けた構成としている。利用者によっては矩形波の交流電圧で駆動する機器のみを使用する場合が考えられる。この場合、インバータ装置2の出力を矩形波の交流電圧とすればこのような利用者に対応することができる。正弦波の交流電圧とするためには、インバータ装置2内のインバータ部で直流を交流に変換した後にフィルタ回路部が必要になる。これは矩形波形を正弦波形に整形する回路である。この回路は複数のコイルやコンデンサで構成されるためコストが高くなってしまい、矩形波のみで対応可能な利用者にはコスト面での負担が大きくなってしまう。
更に、インバータ装置2内で正弦波と矩形波を切り替え可能としても、フィルタ回路部の他に切り替え部を備える必要があり、コスト面での負担が大きくなってしまう。
そこで、本発明は矩形波を出力するインバータ装置2に接続することで正弦波を出力することができる正弦波アダプタ1を提供することで、必要な利用者のみが正弦波アダプタ1を使用することで、必要ない利用者の経済面での負担を軽減することができる。更に、正弦波アダプタ1をインバータ装置2に固定できるようにすれば、大きさも抑えられ正弦波アダプタ1とインバータ装置2を一体的に利用することができ、携帯性や操作性を向上することができる。
【0148】
本発明による電源装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。
【0149】
第1の実施形態では、防水、防塵、防振のために回路基板17をウレタン17Aで充填したが、使用する樹脂はウレタンに限られてない。例えば、シリコンなどであってもよい。
【0150】
図27に示すように、突入電流防止回路13の動作をマイコン21で制御してもよい。この場合、マイコン21は、電圧検出回路40によって入力電圧を監視し、図13に示すように、インバータ装置2から120Vより大きい電圧が0.5sに亘って入力されていた場合に(S1:YES)、FET131のゲートにオン信号を出力して突入電流防止回路13を動作させることとなる(S1B)。一方、120Vより小さい場合には(S1:NO)、マイコン21はFET131のゲートにオフ信号を出力し突入電流防止回路13を停止する(動作させない)。なお、図4(a)の突入電流防止回路13の分圧抵抗133及び134を省略することができるためコストを抑えることができる。
【0151】
また、第3の実施の形態では、電圧切替用抵抗27及び電圧切替用FET28を備えずに、第2平滑コンデンサ17のフィードバック電圧の変化をスイッチングIC163が検知して昇圧電圧を切り替えてもよい。また、電圧切替信号が入力された場合にマイコン21が直接スイッチングIC163を制御してもよい。
【0152】
また、上記実施の形態では、第1範囲として99V以上169V以下、第2範囲として127V以上141V以下を用いたが、これらに限定されるものではない。
【0153】
また、図15及び図16では、アダプタ4を介してインバータ装置2に接続される電源として鉛蓄電池3及び電池パック5(リチウムイオン電池)を用いて説明したが、インバータ装置2には、種類が異なる電池、例えば、ニカド電池やニッケル水素電池が接続されてもよく、電池電圧が異なってもよい。
【0154】
また、上記実施の形態では、第1のPWM信号及び第2のPWM信号の両方によって正弦波アダプタ1からの出力を停止させたが、第2のPWM信号のみによって正弦波アダプタ1からの出力を停止させる構成であってもよい。また、昇圧回路16がトランスの場合には、第1のPWM信号のみによって正弦波アダプタ1からの出力を停止させてもよい。
【0155】
また、正弦波アダプタ1には、例えば、電池パック5から直流電圧が直接供給されてもよく、この場合であっても、正弦波アダプタ1は、正弦波を出力することができる。
【0156】
また、第1の実施形態では、1つの隔壁10Aにより水の浸入を防止し、第5の実施形態では3つの隔壁10A、第2隔壁110A、第3隔壁110Bにより水の侵入を防止したが、隔壁の枚数はこれに限られない。
【符号の説明】
【0157】
1・・正弦波アダプタ
2・・インバータ装置
3・・電池パック
3A・・アダプタ
10・・筐体
10a・・吸気口
10b・・排気口
10c・・排水口
11・・係合部
14・・出力ケーブル
16・・冷却ファン
22・・出力ケーブル
25・・電力入力部
114・・電圧検出回路
116・・昇圧回路
119・・電流検出抵抗
121・・マイコン
122・・周波数切替回路
125・・波形判別回路
126・・バイパス回路
129・・電圧切替回路
181 ・・インバータ部
182 ・・フィルタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が入力される入力部と、
該電圧の波形を正弦波形に変換するインバータ回路と、
該正弦波形の電圧を出力する出力部と、
を備えたことを特徴とする波形変換器。
【請求項2】
上面と底面と側面とを有する略函状のハウジングを備え、
該ハウジングには、該入力電圧を供給するインバータ装置を固定可能なインバータ装置固定部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の波形変換器。
【請求項3】
該インバータ装置は直流電圧を矩形波の交流電圧に変換して出力し、
該矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換して出力することを特徴とする請求項1記載の波形変換器。
【請求項4】
該インバータ装置固定部は該ハウジングの上面に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の波形変換器。
【請求項5】
該インバータ装置は電動工具用電池パックからの直流電圧を交流電圧に変換して出力し、
該電動工具用電池パックを接続した該インバータ装置を該インバータ装置固定部に固定可能であることを特徴とする請求項2または4に記載の波形変換器。
【請求項6】
該ハウジングの一の側面には、該ハウジング外方へ指向する入出力端子が設けられ、
該インバータ装置は、上面と底面と側面とを有する略函状のインバータハウジングを備え、該インバータハウジングの一の側面には、該インバータハウジング外方へ指向するインバータ入出力端子が設けられ、
該インバータ装置は、該インバータハウジングの底面が該ハウジングの上面に対向するとともに、該インバータハウジングの該一の側面が該ハウジングの該一の側面に対応するように該インバータハウジングの4つの側面が該ハウジングの4つの側面に対応した位置関係で、該インバータ装置固定部に固定されることを特徴とする請求項2または4に記載の波形変換器。
【請求項7】
該インバータ装置は該インバータ装置固定部と係合する係合部を有し、
該係合部と該入出力端子は異なる面に設けられていることを特徴とする請求項6記載の波形変換器。
【請求項8】
該入力された電圧を昇圧する昇圧回路と、
該昇圧回路及び該インバータ回路を制御する制御部と、
該入力部に入力された電圧を検出する電圧検出部と、
をさらに備え、
該制御部は、該電圧検出部により検出された電圧が昇圧禁止範囲内にある場合には該昇圧動作を禁止することを特徴とする請求項2に記載の波形変換器。
【請求項9】
該インバータ回路は、
該昇圧回路の出力電圧をパルス波に変換するインバータ部と、
該パルス波を正弦波に整形する整形部と、
を備え、
該制御部は、該電圧検出部により検出された電圧が昇圧禁止範囲内にある場合には該昇圧回路を動作させることなく該インバータ回路を動作させることを特徴とする請求項8に記載の波形変換器。
【請求項10】
該制御部は、該電圧検出部により検出された電圧が入力許容範囲から外れている場合には該昇圧回路と該インバータ回路の少なくとも一方の動作を禁止することを特徴とする請求項8又は9に記載の波形変換器。
【請求項11】
該インバータ回路に流れる電流を検出する電流検出部を更に備え、
該制御部は、該電流検出部に流れる電流が所定値以上の場合に該インバータ回路から出力される電圧が低下するように該インバータ回路を制御することを特徴とする請求項8から10のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項12】
該出力部から出力される電圧の周波数を設定可能な周波数設定部を更に備え、
該制御部は、該周波数設定部で設定された周波数の電圧が該出力部から出力されるように該インバータ回路を制御することを特徴とする請求項8から11のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項13】
該出力部から出力される電圧を設定可能な電圧設定部を更に備え、
該制御部は、該電圧設定部で設定された電圧が該出力部から出力されるように該昇圧回路を制御することを特徴とする請求項8から12のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項14】
該入力部に入力された電圧の波形を判別する波形判別部と、
該入力部と該出力部との間に接続され、オン・オフ可能なバイパス回路と、
を更に備え、
該制御部は、該波形判別部によって検出された波形が正弦波であった場合には、該バイパス回路をオンすることを特徴とする請求項8から13のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項15】
該制御部は、該波形判別部によって検出された波形が正弦波であった場合には、少なくとも該インバータ回路の動作を禁止することを特徴とする請求項14に記載の波形変換器。
【請求項16】
該ハウジングには、該ハウジングの内部と外部とを連通する貫通孔が形成され、
該ハウジング内であって該貫通孔に対向する部分には遮蔽壁が設けられ、
該遮蔽壁と該貫通孔が形成された該ハウジングの部分との間は排水空間をなし該排水空間の下部は底面によって画成され、該排水空間の下部を画成する底面の部分には、該ハウジングの内部と外部とを連通する排水用貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項2から15のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項17】
矩形波の交流電圧を正弦波の交流電圧に変換し該正弦波の交流電圧を出力する電圧変換回路を有する回路基板を有し、該回路基板全体は樹脂材により被覆されていることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の波形変換器。
【請求項18】
一端に開口が形成された函状の本体部と、
該開口を開閉可能に本体部に設けられた蓋体と、
該本体部に収容される鉛蓄電池と、
該鉛蓄電池からの直流電圧がアダプタを介して供給され得る該インバータ装置と、
を備え、
該本体部は請求項1から17のいずれか一項に記載の波形変換器を収容可能であることを特徴とする電源装置。
【請求項19】
該インバータ装置は該蓋体に固定可能であり、
該インバータ装置を該蓋体に固定し且つ該波形変換器を該本体部に収容した状態で該波形変換器と該インバータ装置とを接続可能としたことを特徴とする請求項18に記載の電源装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18(a)】
image rotate

【図18(b)】
image rotate

【図18(c)】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22(a)】
image rotate

【図22(b)】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2013−46481(P2013−46481A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182062(P2011−182062)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】