波発電機能を備えたブイ容器
液体の中または上に浮くように設計された装置であって、少なくとも2つの浮部材を有する。本装置は浮部材同士の間の相対的な移動を利用して電力を発生させるものであり、浮部材は、装置が浮いている液体の表面の動きによって浮部材同士の間で相対的な移動が引き起される、という形で装置に結合されている。装置は、内部に電子装置を格納したハウジングとすることができ、その場合、電子装置には、浮装置が発生させる電力が直接的または間接的に供給される。本装置はソノブイとすることもでき、さらに、少なくとも2つの浮部材を格納した浮ハウジングからぶら下がる形でセンサアレイを有することにしてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
・関連出願に関する相互参照
本出願は、2004年2月2日に出願の仮出願:第60/541,095号の利益を主張する。当該仮出願はここでの参照により全体が本文書に組み入れられるものとする。
本発明は、広くはブイ容器およびソノブイに関する。
【背景技術】
【0002】
ソノブイとは、音響受信機と水中で音を検知した際に無線信号を発する無線送信機とを備えたブイのことである。ソノブイは、潜水艦その他の船の探知を補助する目的で海に配備される。ソノブイの中には、信号を発して、その結果として生じるエコーを受信する装置を備えたものがある。また、船舶(例えば潜水艦など)が発するノイズを検知する能力を有するものもある。ソノブイを数多く配備することによって、そうした船舶の位置を確定することができる。
【0003】
ソノブイの配備は一般的に、航空機からブイを水面に投下する形で実施される。ソノブイは、離れた位置に、ブイ同士の距離が大きい状態で配備されることがしばしばあるが、そうした場合、それらブイに継続的な形および/または内蔵した形で電力を提供することは、不便、困難または不可能である。そうすると、ブイの寿命は通常(少なくとも部分的には)、ブイ自体に蓄積された電気エネルギの大きさによって決まってしまう。ブイ上に設置される電気エネルギ源はとしては、例えば、海水起動式バッテリや他の電気化学エネルギ源が考えられる。残念ながら、ブイ上に蓄積できる量の電気エネルギでは、普通の意味で実用的と言える期間にわたってブイに電力を供給するには足りない場合が多い。搭載型電力源からの供給が不充分であるために装置寿命が短くなる事態は、ナビゲーション用の浮標識など他の装置にも同様に起こりうる。
【0004】
搭載された蓄積手段の電気エネルギが不充分である、という問題に関して考えられる解決法には、装置自身に波の運動から電気エネルギを発生させるというものがある。これまでに、この自然のエネルギ源を利用するための手法は数多く開発されてきた。手法の1つとして、揺れたり回転したりする振子から引き出されるエネルギポテンシャルを利用する、というものがある。ただし、こうした装置はソノブイに比べて非常に小さなものにしておかないと、ソノブイが一方の側に傾く原因となりかねない(傾くと装置は役に立たなくなってしまう)。また、こうしたシステムの発電能力は、波の動きが激しい際には不充分となることが多い。別の手法として、ブイに当たる波の動きによってポリマーアンカーホースが引っ張られる際に電気を発生させる、という圧電ポリマーシステムを使用するものがあるが、こうした手法は、様々な理由によって不満が残る場合が多い。さらに、大型のタービンやパイプ、そして複雑な機械構造は、小型のブイのための発電機としては実用的でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液体に浮いた状態にあるブイ部材同士の間の相対的移動を利用して発電することに関る方法と装置とを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態は、流体に浮くように作られたブイ装置であり、当該装置は少なくとも2つのブイ部材を有している。ブイ部材は互いに対して移動可能である。そして、これらブイ部材は、ブイ部材間の相対的移動を電気に変換するエネルギ変換装置を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のもう1つの実施の形態は、ハウジングアセンブリを有したソノブイである。ハウジングアセンブリは中央ハウジングと自由移動可能なウレタンフォーム浮カラーとを有し、当該カラーは波やうねりの運動に伴って当該中央ハウジングの外側で上下に移動する。ハウジングアセンブリの内部には、電力供給回路とバッテリとが存在する。また、センサアレイがハウジングアセンブリに結合されている。中央ハウジングの内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周囲にワイヤのコイルが巻かれた形となっている。浮カラーは、内部に永久磁石を備える形で作られている。中央ハウジングの外側での浮カラーの上下移動によってコイルに低周波AC電流が発生し、発生した低周波AC電力を電力供給回路がDC電力に変換してバッテリを充電する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の正確な性質、ならびに目的および効果は、以下の明細書の内容を添付図面と併せて熟読することで容易に明らかになるであろう。全図面を通じて同じ参照番号は同じ部材を示している。
以下、本発明の好適な実施の形態について述べる。それらの例は添付図面に示されている。本発明についての説明は、好適な実施の形態に関連付けて行うが、本発明をこれらの実施の形態に限定する意図のないことは理解されるであろう。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の思想および範囲に含まれる代替物、変形例および均等物まで含めることを意図している。以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解してもらうために、多数の特定の詳細部について述べる。しかし、本発明がこれらの特定の詳細部なしでも実施できることは、当業者であれば理解できるであろう。その他にも、公知の方法、手順、構成要素そして回路については、本発明の重要な側面を必要以上に不明瞭にしないために、詳しい説明は行っていない。
【0009】
図1におけるブイ装置1は、装置自身が浮いている液体の動きを利用して電気を発生させるものである。装置1は中央ハウジング5と浮カラー7とから成る。浮カラー7は、液体の運動に応じ、図2、3に示すように中央ハウジング5の外側で上下移動する。図2では浮カラーは中央ハウジング5の頂上部の近くに位置しており、図3では中央ハウジング5の底部近くに位置している。
【0010】
1以上の伝導コイルと1以上の永久磁石とを中央ハウジング5および浮カラー7に置くと、中央ハウジング5と浮カラー7との間の相対的移動により、伝導コイル内を電流が流れる。このように装置1を用いることで、装置1内に置かれた(または装置1に電気的に結合された)電子ユニットに電気を提供することができる。
伝導コイルおよび永久磁石の位置については、実施の形態ごとに変えてもよい。図1の装置を例にとれば、中央ハウジング5に永久磁石を持たせてコイルを浮カラー7に入れてもよいし、中央ハウジング5に伝導コイルを持たせて永久磁石を浮カラー7に入れてもよい。または、永久磁石および伝導コイルの両方が中央ハウジング5および浮カラー7の各々に見られる、という形にしてもよい。場合によっては、装置のうち、コイルを通って流れる電流を利用する負荷に電気的に接続している部分や当該負荷を収容する部分にコイルを配置するのが効果的かもしれない。
【0011】
互いに対して相対移動するブイ部材の数もまた、実施の形態ごとに変えることができる。図4に示すブイ装置11は、シャフト15に沿ってスライドする浮カラー17を複数有する。こうした実施の形態においては、磁石をカラー17に、コイルをシャフト15に配置することで、ベース19に配置された電子装置へのコイルの電気的結合を容易にするのが効果的であろう。
【0012】
部材同士を相対的に移動させるメカニズムについても、実施の形態ごとに変えることができる。一例として、図5の装置は、中心に空洞28を備えたカラー27を有し、その空洞の内部でハウジング25がスライドする。空洞28は2つの端部開口部29を有し、流体は当該開口部を通って流れる形で空洞28に出入りすることができる。図に示した2つの開口部は大きさがほぼ等しいが、装置21が浮いている流体が空洞28に出入りする形で流れることができさえすれば、開口部の数を変えたり、開口部の配置を変えたり、あるいは、開口部のサイズを変えたりした別の実施の形態も可能である。装置21が、流体の表面に浮かぶ程度にまで浮力を有する場合は、空洞の頂上部で適当な量の空気流が出入り可能となるように、空洞28内に通じる開口部をいくつか設計してもよい。
【0013】
多くの場合、ブイ装置は電子装置を保持する目的とした格納用の空洞を1つ以上有しており、こうしや電子装置はブイ装置のコイルによって(直接的または間接的に)動力を与えられる。こうした空洞についても、サイズ、形状および位置は実施の形態ごとに変わる。図1、5における格納用の空洞(図5では番号26)は、中央ハウジング5、25の内部にある。図4における格納用の空洞はベース19の中にある。図6では、装置31が浮カラー37を有し、当該カラーは中心の空洞38と格納用空洞36とを有する。そして、空洞38の内部に永久磁石装置35が浮かぶ形となっている。
【0014】
場合によっては、装置に、格納ユニットから分離できる1以上の発電ユニットを持たせてもよい。図7における装置41は、発電ユニット43に結合された格納ユニット42から成る。ユニット43は複数の空洞48を有し、当該空洞の内部を磁石部材45が移動する。ユニット43は、図5の装置27が複数組み合されたようなものとして見ることができる。すなわち、装置27は連続的かつ平行に結合されて一体化されて、端部開口部49が一直線上に並ぶ形で隣接したスタックを形成している。ここで使った「連続的」という語は、上方向または下方向に進む流体の移動が時間的に順番に各部材に作用することを意味し、一方、「平行に」という語は、この移動がほぼ同時に各部材に作用することを意味する。図8に示す別の例における装置51は、伝導ケーブル54を介して発電ユニット53から電力の供給を受ける格納ユニット52を有する。発電ユニット53から電力を得ることに加えて、格納ユニット52は発電ユニット53からぶら下がる形となっており、その形で同ユニット53に支えられている。
【0015】
ブイ部材同士の間の相対的な移動については、様々な方向に移動する場合や、ブイ部材が互いに対して並進および回転の両方の形で移動する場合が考えられる。ただし、好適な実施の形態における装置は、通常一方の側が反対側よりも上にくる状態で浮く形になるように構成されるであろう。それにより、上にくる側は装置の頂上として機能し、反対側は装置の底面となる。さらに、好適な実施の形態においては、発電を引き起こす移動は通常、装置の頂上と底面との間を延びるラインに沿った直線的な移動となるであろう。装置の頂上と底面との間を中心軸が延びるという特徴を備えるのに充分な程度に、装置が対称性を有する場合、移動は中心軸または中心軸に平行な1以上のラインに沿う形となるのが好ましい。ここでの「ラインまたは軸に沿った移動」には、当該ラインまたは軸の上に位置する部材の移動と、当該ラインまたは軸に平行な部材の移動とが含まれる。
【0016】
上述したような発電ブイ装置については、様々な形状、サイズ、そして構造を持たせることが考えられる。つまり、全体的に円筒形のものもあれば、別の形状を有するものもある。さらには、部材が互いに対して自由に移動可能であれば、特に決まった形状でなくともよい。また、実施の形態によっては、様々な素材および/または素材の組合せから成ることにしてもよい。
【0017】
ここで説明した発電ブイ装置は、流体運動がエネルギ源を提供する全ての場合において効果的であるが、特に効果的なのは、流体が海または水の大きなまとまりであって、その表面における運動が大きい場合である。こうした装置はまた、様々な用途にも用いることができる。そうした用途の1つはソノブイへの電力供給である。
図9におけるソノブイ101は、海の波の力を利用して、自給自足するのに充分な電気をより長い期間にわたって発生させるによう設計されたブイ装置である。ソノブイ101は、ハウジングアセンブリ103、中心のハウジング105、自由移動するウレタンフォームの浮カラー107、そしてセンサアレイアセンブリ102を有する。中心の電子機器ハウジング105は、図10に示すように、上側電子機器ユニット(UEU)111と下側電子機器ユニット(LEU)113とを有する。中心のハウジング105の内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周りにワイヤのコイルが巻かれている。浮カラー107は、内部に永久磁石を備える形で作られている。浮カラー107が中心ハウジング105の外側で上下移動すると、コイルを通って移動する磁石から生じた磁力は低周波AC電力を発生させる。ハウジングアセンブリ103内の電力供給回路は、発生した低周波AC電力をDC電力に変え、ハウジングアセンブリ103内にあるバッテリを充電する。発生した過剰熱は、海水に接触する熱伝導プレートまたは他の部材により、伝導冷却の形で放熱される。
【0018】
中心のハウジング105と取付けられたセンサアレイアセンブリ102とは一緒になって重みを加え、わずかに正の浮力を作り出す。ハウジング105は、カラー107の下側端開口部109を通って水が流れるのに応える形で空洞108の中をゆっくり上昇し、最終的には、径の狭くなったフランジ115によってカラー107の頂上部の位置で止められる(図10を参照)。波やうねりがソノブイ101に当たると、軽量の浮カラー107は上昇し、その速度は、ハウジング105とセンサアレイアセンブリ102との組合せの場合に比べてはるかに速い。これは、浮カラー107が、中央ハウジング105とアレイアセンブリ102との組合せに比べて、浮力がはるかに大きく、重量(mass)が非常に小さくなっていることによる。中心のハウジング105(UEUとLEUとが中に入っている)の有する固有の密度および運動量はさらに高く、これがアレイアセンブリ102に含まれるダンパプレート(海錨)114および100メートルのケーブル/センサアレイの抵抗係数と結びつき、上昇の速度はカラー107に比べてはるかに遅くなる。2つの浮体(ケーブル/センサアレイと海錨114とが取付けられた浮カラー107および中心ハウジング105)の相対的な浮力、運動量そして抵抗は、中心ハウジングが次の波やうねりに間に合うタイミングで一番上の位置まで再上昇し、それによって継続的な相対移動と発電とが保証される、ということが確実になるように設計されている。中心のハウジング105は、図10で示すように、カラー107の底にあって径の小さくなっている第2フランジ117によって、その下方向の移動が制限される。
【0019】
下側のカラーフランジストップ117と中心ハウジング105の下側部分とは両方とも、喫水線より下に延びている。喫水線の下にそれらを延ばすことで、発生させられる磁気フィールドに関して最大移動距離に対応でき、さらに、ハウジングアセンブリ25(ケーブル/センサアセンブリ29が取付けられた状態)の浮力により、浮カラーに対する相対位置に関りなく一定した信頼性のある形で上部カラーストップまで上昇することが保証される、と考えられる。
【0020】
中心のハウジング105のLEU113が、空洞108の内部での中心ハウジング105の位置に関係なく、下側端部の開口部109を通り抜けた形で延びる点に留意する必要がある。こうすることで多くの効果が得られると考えられ、そのうちの1つは、センサアレイアセンブリ102が空洞108の中に引き込まれる事態を防止する、というものである(こうした事態は、中心のハウジング105と浮カラー107との間の相対移動を妨げるおそれがある)。さらに、これによって、中心のハウジング105がその一番上の位置まで一定した信頼性のある形で再上昇することを確実にするのに充分な浮力が存在することが保証される。当該浮力は、浮カラー107に対して充分に低い位置に存在し、中心ハウジング105とケーブル/センサアレイおよびダンパプレート(海錨)114との運動量および抵抗によって弱められる。中心ハウジング105に関するこの上側の名目(nominal)位置は、次の波またはうねりにおいて浮カラーに加わる比較的大きな浮力によって、カラーが中心ハウジングに対して上方向に急速移動して電力が発生する、という結果を得るのに必要である。
【0021】
図11は、1つ以上の磁石141、1つ以上のコイル143、コントローラ145、バッテリ147、そして負荷149について考え得る配置を示した構造図である。ソノブイ101においては、コイル143、電源コントローラ145、電子機器格納ユニット147、そして、負荷149の少なくとも一部がUEUの構成部品となっている。さらに、図12に示すように、UEU111には、音響水中聴音器およびプリアンプ151、光ファイバセンサ用のレーザ光電子工学アセンブリ152、水中聴音器センサアレイ153、無線周波数(RF)浮アンテナ154、および/または予備電源155を持たせてもよい。UEU111にはまた、変調・復調回路156と、センサヘッド157への入出力(I/O)インターフェースと、RF送信機158と、ハードディスクドライブ159を備えたPCベースのプロセッサと、そしてバッテリ充電回路160とを持たせることもできる。
【0022】
LEU113は、センサアレイアセンブリ102へのインターフェースを提供し、さらに、UEU111には音響的、電気的または光学的な信号を提供する。信号提供はワイヤまたは光ファイバケーブルと対応するサスペンションシステムとを介して行うことができる。センサアレイアセンブリ102は、中心ハウジング105に結合されており、センサアレイ133、ダンパー/海錨プレート114、そしてケーブル131を有し、ケーブルは初期状態ではケーブルパックの中で巻かれた状態にある。ソノブイ101が配備される際にケーブル131はケーブルパックから解かれ、最終的にセンサアレイ133は中心ハウジング105の下方に配備された状態となる。そしてその位置で、ケーブルは、ソノブイ101の製品寿命の終わりまで、センサアレイを縦位置に維持する働きをする。
【0023】
以上に述べた発電システムは、場合によっては、衝撃吸収装置または緩衝装置としても働き、波の動きによってセンサ/つなぎ線に加わる引張り力を最小限に抑える。
本発明の実施の形態の一例としては、径が24インチで高さが10.4インチの浮カラー107と、高さ14インチの中心/電子機器ハウジング105とを有するものが考えられる。ハウジング105は、ワインディングが位置する上側部分での径は16インチであるが、下側部分での径は狭くなって14インチである。このアセンブリのおよその重量は25ポンドとなる。100メートルのケーブルを含むセンサアレイアセンブリ102の推定正味重量は5ポンドとなる。組み合わされたハウジング105とセンサアセンブリ102とは釣り合っており、それによって、風、波、うねり、そして水流などの全ての条件において信頼性の高い動作が保証される。
【0024】
24インチ(径)×10.4インチ(0.866ft)(高さ)の浮カラーに加わる浮力(BF)を算出する。推定総重量を20ポンド、外径=2ft(R=1ft)、そして内径:d=16インチ(r = 8/12ft)という数字を用いる:
BF=π(R2−r2)×0.87(ft)×62.5(lbs/ft3)−20(lb)(カラー重量)= 74(lb)(浮力、完全に水に入った状態)
この浮力によってカラー107は磁石と共に上向きに移動させられ、ワイヤワインディングを通過する。そして、算出された力は、ワイヤのコイルと磁石との間の誘導リアクタンスを克服するのに充分なものである。この74(lb)の力の7インチの距離にわたる移動から発生する電力を見積ることができる。機械的動作は直接的にAC電流に変換されるため、平均効率は80%と推定する。この機械的動作を実施させるには、7インチの小さな波またはうねりだけで足りる。電力見積りについては、これらの波またはうねりが1分あたり平均で6回発生すると仮定する。20(lb)という重量は、カラー107がその名目位置に向かって下がるサイクルにある際のコイルの誘導リアクタンスを克服するには、充分以上なものである。
【0025】
仕事量(Work)=80%×6(うねり)×1(ft)×74(lbs)=355(ft-lb)
電力は、355(ft-lb)/min× .0226W/(ft-lb/min) =8(W)である
したがって、本例の発電機は、平均で8Wの電力を供給して内部バッテリを充電する。電源は、可変振幅や可変周波数のAC電圧をDCに変換する。AC電圧はその後調整され、ピーク電圧レベルまでコンデンサを充電し、それからDC/DCコンバータに供給する。その出力はバッテリの充電に用いられる。DC/DCコンバータは、発電機出力の予想される広い振幅範囲に対応するために、広い入力電圧範囲から動作するように設計されている。
【0026】
構内アセンブリが一定した形で名目位置に戻ることを確認するために、「浮力対水中の深さ」は計算したところ、図13の表に示す結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一例としての実施の形態による第1のブイ装置を示す斜視図である。
【図2】図1の装置について、カラーが装置頂上部近くに位置する状態で示す側面図である。
【図3】図1の装置について、カラーが装置底面部近くに位置する状態で示す側面図である。
【図4】本発明の一例としての実施の形態による第2のブイ装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の一例としての実施の形態による第3のブイ装置を示す断面図である。
【図6】本発明の一例としての実施の形態による第4のブイ装置を示す断面図である。
【図7】本発明の一例としての実施の形態による第5のブイ装置を示す断面図である。
【図8】本発明の一例としての実施の形態による第6のブイ装置を示す概略図である。
【図9】本発明の一例としての実施の形態によるソノブイを示す図である。
【図10】図9のソノブイを示す概略図である。
【図11】図9のソノブイを示す概略図である。
【図12】図9のソノブイの電子装置を示す構造図である。
【図13】浮力対水深の計算値を示す表である。
【技術分野】
【0001】
・関連出願に関する相互参照
本出願は、2004年2月2日に出願の仮出願:第60/541,095号の利益を主張する。当該仮出願はここでの参照により全体が本文書に組み入れられるものとする。
本発明は、広くはブイ容器およびソノブイに関する。
【背景技術】
【0002】
ソノブイとは、音響受信機と水中で音を検知した際に無線信号を発する無線送信機とを備えたブイのことである。ソノブイは、潜水艦その他の船の探知を補助する目的で海に配備される。ソノブイの中には、信号を発して、その結果として生じるエコーを受信する装置を備えたものがある。また、船舶(例えば潜水艦など)が発するノイズを検知する能力を有するものもある。ソノブイを数多く配備することによって、そうした船舶の位置を確定することができる。
【0003】
ソノブイの配備は一般的に、航空機からブイを水面に投下する形で実施される。ソノブイは、離れた位置に、ブイ同士の距離が大きい状態で配備されることがしばしばあるが、そうした場合、それらブイに継続的な形および/または内蔵した形で電力を提供することは、不便、困難または不可能である。そうすると、ブイの寿命は通常(少なくとも部分的には)、ブイ自体に蓄積された電気エネルギの大きさによって決まってしまう。ブイ上に設置される電気エネルギ源はとしては、例えば、海水起動式バッテリや他の電気化学エネルギ源が考えられる。残念ながら、ブイ上に蓄積できる量の電気エネルギでは、普通の意味で実用的と言える期間にわたってブイに電力を供給するには足りない場合が多い。搭載型電力源からの供給が不充分であるために装置寿命が短くなる事態は、ナビゲーション用の浮標識など他の装置にも同様に起こりうる。
【0004】
搭載された蓄積手段の電気エネルギが不充分である、という問題に関して考えられる解決法には、装置自身に波の運動から電気エネルギを発生させるというものがある。これまでに、この自然のエネルギ源を利用するための手法は数多く開発されてきた。手法の1つとして、揺れたり回転したりする振子から引き出されるエネルギポテンシャルを利用する、というものがある。ただし、こうした装置はソノブイに比べて非常に小さなものにしておかないと、ソノブイが一方の側に傾く原因となりかねない(傾くと装置は役に立たなくなってしまう)。また、こうしたシステムの発電能力は、波の動きが激しい際には不充分となることが多い。別の手法として、ブイに当たる波の動きによってポリマーアンカーホースが引っ張られる際に電気を発生させる、という圧電ポリマーシステムを使用するものがあるが、こうした手法は、様々な理由によって不満が残る場合が多い。さらに、大型のタービンやパイプ、そして複雑な機械構造は、小型のブイのための発電機としては実用的でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、液体に浮いた状態にあるブイ部材同士の間の相対的移動を利用して発電することに関る方法と装置とを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施の形態は、流体に浮くように作られたブイ装置であり、当該装置は少なくとも2つのブイ部材を有している。ブイ部材は互いに対して移動可能である。そして、これらブイ部材は、ブイ部材間の相対的移動を電気に変換するエネルギ変換装置を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のもう1つの実施の形態は、ハウジングアセンブリを有したソノブイである。ハウジングアセンブリは中央ハウジングと自由移動可能なウレタンフォーム浮カラーとを有し、当該カラーは波やうねりの運動に伴って当該中央ハウジングの外側で上下に移動する。ハウジングアセンブリの内部には、電力供給回路とバッテリとが存在する。また、センサアレイがハウジングアセンブリに結合されている。中央ハウジングの内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周囲にワイヤのコイルが巻かれた形となっている。浮カラーは、内部に永久磁石を備える形で作られている。中央ハウジングの外側での浮カラーの上下移動によってコイルに低周波AC電流が発生し、発生した低周波AC電力を電力供給回路がDC電力に変換してバッテリを充電する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の正確な性質、ならびに目的および効果は、以下の明細書の内容を添付図面と併せて熟読することで容易に明らかになるであろう。全図面を通じて同じ参照番号は同じ部材を示している。
以下、本発明の好適な実施の形態について述べる。それらの例は添付図面に示されている。本発明についての説明は、好適な実施の形態に関連付けて行うが、本発明をこれらの実施の形態に限定する意図のないことは理解されるであろう。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の思想および範囲に含まれる代替物、変形例および均等物まで含めることを意図している。以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解してもらうために、多数の特定の詳細部について述べる。しかし、本発明がこれらの特定の詳細部なしでも実施できることは、当業者であれば理解できるであろう。その他にも、公知の方法、手順、構成要素そして回路については、本発明の重要な側面を必要以上に不明瞭にしないために、詳しい説明は行っていない。
【0009】
図1におけるブイ装置1は、装置自身が浮いている液体の動きを利用して電気を発生させるものである。装置1は中央ハウジング5と浮カラー7とから成る。浮カラー7は、液体の運動に応じ、図2、3に示すように中央ハウジング5の外側で上下移動する。図2では浮カラーは中央ハウジング5の頂上部の近くに位置しており、図3では中央ハウジング5の底部近くに位置している。
【0010】
1以上の伝導コイルと1以上の永久磁石とを中央ハウジング5および浮カラー7に置くと、中央ハウジング5と浮カラー7との間の相対的移動により、伝導コイル内を電流が流れる。このように装置1を用いることで、装置1内に置かれた(または装置1に電気的に結合された)電子ユニットに電気を提供することができる。
伝導コイルおよび永久磁石の位置については、実施の形態ごとに変えてもよい。図1の装置を例にとれば、中央ハウジング5に永久磁石を持たせてコイルを浮カラー7に入れてもよいし、中央ハウジング5に伝導コイルを持たせて永久磁石を浮カラー7に入れてもよい。または、永久磁石および伝導コイルの両方が中央ハウジング5および浮カラー7の各々に見られる、という形にしてもよい。場合によっては、装置のうち、コイルを通って流れる電流を利用する負荷に電気的に接続している部分や当該負荷を収容する部分にコイルを配置するのが効果的かもしれない。
【0011】
互いに対して相対移動するブイ部材の数もまた、実施の形態ごとに変えることができる。図4に示すブイ装置11は、シャフト15に沿ってスライドする浮カラー17を複数有する。こうした実施の形態においては、磁石をカラー17に、コイルをシャフト15に配置することで、ベース19に配置された電子装置へのコイルの電気的結合を容易にするのが効果的であろう。
【0012】
部材同士を相対的に移動させるメカニズムについても、実施の形態ごとに変えることができる。一例として、図5の装置は、中心に空洞28を備えたカラー27を有し、その空洞の内部でハウジング25がスライドする。空洞28は2つの端部開口部29を有し、流体は当該開口部を通って流れる形で空洞28に出入りすることができる。図に示した2つの開口部は大きさがほぼ等しいが、装置21が浮いている流体が空洞28に出入りする形で流れることができさえすれば、開口部の数を変えたり、開口部の配置を変えたり、あるいは、開口部のサイズを変えたりした別の実施の形態も可能である。装置21が、流体の表面に浮かぶ程度にまで浮力を有する場合は、空洞の頂上部で適当な量の空気流が出入り可能となるように、空洞28内に通じる開口部をいくつか設計してもよい。
【0013】
多くの場合、ブイ装置は電子装置を保持する目的とした格納用の空洞を1つ以上有しており、こうしや電子装置はブイ装置のコイルによって(直接的または間接的に)動力を与えられる。こうした空洞についても、サイズ、形状および位置は実施の形態ごとに変わる。図1、5における格納用の空洞(図5では番号26)は、中央ハウジング5、25の内部にある。図4における格納用の空洞はベース19の中にある。図6では、装置31が浮カラー37を有し、当該カラーは中心の空洞38と格納用空洞36とを有する。そして、空洞38の内部に永久磁石装置35が浮かぶ形となっている。
【0014】
場合によっては、装置に、格納ユニットから分離できる1以上の発電ユニットを持たせてもよい。図7における装置41は、発電ユニット43に結合された格納ユニット42から成る。ユニット43は複数の空洞48を有し、当該空洞の内部を磁石部材45が移動する。ユニット43は、図5の装置27が複数組み合されたようなものとして見ることができる。すなわち、装置27は連続的かつ平行に結合されて一体化されて、端部開口部49が一直線上に並ぶ形で隣接したスタックを形成している。ここで使った「連続的」という語は、上方向または下方向に進む流体の移動が時間的に順番に各部材に作用することを意味し、一方、「平行に」という語は、この移動がほぼ同時に各部材に作用することを意味する。図8に示す別の例における装置51は、伝導ケーブル54を介して発電ユニット53から電力の供給を受ける格納ユニット52を有する。発電ユニット53から電力を得ることに加えて、格納ユニット52は発電ユニット53からぶら下がる形となっており、その形で同ユニット53に支えられている。
【0015】
ブイ部材同士の間の相対的な移動については、様々な方向に移動する場合や、ブイ部材が互いに対して並進および回転の両方の形で移動する場合が考えられる。ただし、好適な実施の形態における装置は、通常一方の側が反対側よりも上にくる状態で浮く形になるように構成されるであろう。それにより、上にくる側は装置の頂上として機能し、反対側は装置の底面となる。さらに、好適な実施の形態においては、発電を引き起こす移動は通常、装置の頂上と底面との間を延びるラインに沿った直線的な移動となるであろう。装置の頂上と底面との間を中心軸が延びるという特徴を備えるのに充分な程度に、装置が対称性を有する場合、移動は中心軸または中心軸に平行な1以上のラインに沿う形となるのが好ましい。ここでの「ラインまたは軸に沿った移動」には、当該ラインまたは軸の上に位置する部材の移動と、当該ラインまたは軸に平行な部材の移動とが含まれる。
【0016】
上述したような発電ブイ装置については、様々な形状、サイズ、そして構造を持たせることが考えられる。つまり、全体的に円筒形のものもあれば、別の形状を有するものもある。さらには、部材が互いに対して自由に移動可能であれば、特に決まった形状でなくともよい。また、実施の形態によっては、様々な素材および/または素材の組合せから成ることにしてもよい。
【0017】
ここで説明した発電ブイ装置は、流体運動がエネルギ源を提供する全ての場合において効果的であるが、特に効果的なのは、流体が海または水の大きなまとまりであって、その表面における運動が大きい場合である。こうした装置はまた、様々な用途にも用いることができる。そうした用途の1つはソノブイへの電力供給である。
図9におけるソノブイ101は、海の波の力を利用して、自給自足するのに充分な電気をより長い期間にわたって発生させるによう設計されたブイ装置である。ソノブイ101は、ハウジングアセンブリ103、中心のハウジング105、自由移動するウレタンフォームの浮カラー107、そしてセンサアレイアセンブリ102を有する。中心の電子機器ハウジング105は、図10に示すように、上側電子機器ユニット(UEU)111と下側電子機器ユニット(LEU)113とを有する。中心のハウジング105の内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周りにワイヤのコイルが巻かれている。浮カラー107は、内部に永久磁石を備える形で作られている。浮カラー107が中心ハウジング105の外側で上下移動すると、コイルを通って移動する磁石から生じた磁力は低周波AC電力を発生させる。ハウジングアセンブリ103内の電力供給回路は、発生した低周波AC電力をDC電力に変え、ハウジングアセンブリ103内にあるバッテリを充電する。発生した過剰熱は、海水に接触する熱伝導プレートまたは他の部材により、伝導冷却の形で放熱される。
【0018】
中心のハウジング105と取付けられたセンサアレイアセンブリ102とは一緒になって重みを加え、わずかに正の浮力を作り出す。ハウジング105は、カラー107の下側端開口部109を通って水が流れるのに応える形で空洞108の中をゆっくり上昇し、最終的には、径の狭くなったフランジ115によってカラー107の頂上部の位置で止められる(図10を参照)。波やうねりがソノブイ101に当たると、軽量の浮カラー107は上昇し、その速度は、ハウジング105とセンサアレイアセンブリ102との組合せの場合に比べてはるかに速い。これは、浮カラー107が、中央ハウジング105とアレイアセンブリ102との組合せに比べて、浮力がはるかに大きく、重量(mass)が非常に小さくなっていることによる。中心のハウジング105(UEUとLEUとが中に入っている)の有する固有の密度および運動量はさらに高く、これがアレイアセンブリ102に含まれるダンパプレート(海錨)114および100メートルのケーブル/センサアレイの抵抗係数と結びつき、上昇の速度はカラー107に比べてはるかに遅くなる。2つの浮体(ケーブル/センサアレイと海錨114とが取付けられた浮カラー107および中心ハウジング105)の相対的な浮力、運動量そして抵抗は、中心ハウジングが次の波やうねりに間に合うタイミングで一番上の位置まで再上昇し、それによって継続的な相対移動と発電とが保証される、ということが確実になるように設計されている。中心のハウジング105は、図10で示すように、カラー107の底にあって径の小さくなっている第2フランジ117によって、その下方向の移動が制限される。
【0019】
下側のカラーフランジストップ117と中心ハウジング105の下側部分とは両方とも、喫水線より下に延びている。喫水線の下にそれらを延ばすことで、発生させられる磁気フィールドに関して最大移動距離に対応でき、さらに、ハウジングアセンブリ25(ケーブル/センサアセンブリ29が取付けられた状態)の浮力により、浮カラーに対する相対位置に関りなく一定した信頼性のある形で上部カラーストップまで上昇することが保証される、と考えられる。
【0020】
中心のハウジング105のLEU113が、空洞108の内部での中心ハウジング105の位置に関係なく、下側端部の開口部109を通り抜けた形で延びる点に留意する必要がある。こうすることで多くの効果が得られると考えられ、そのうちの1つは、センサアレイアセンブリ102が空洞108の中に引き込まれる事態を防止する、というものである(こうした事態は、中心のハウジング105と浮カラー107との間の相対移動を妨げるおそれがある)。さらに、これによって、中心のハウジング105がその一番上の位置まで一定した信頼性のある形で再上昇することを確実にするのに充分な浮力が存在することが保証される。当該浮力は、浮カラー107に対して充分に低い位置に存在し、中心ハウジング105とケーブル/センサアレイおよびダンパプレート(海錨)114との運動量および抵抗によって弱められる。中心ハウジング105に関するこの上側の名目(nominal)位置は、次の波またはうねりにおいて浮カラーに加わる比較的大きな浮力によって、カラーが中心ハウジングに対して上方向に急速移動して電力が発生する、という結果を得るのに必要である。
【0021】
図11は、1つ以上の磁石141、1つ以上のコイル143、コントローラ145、バッテリ147、そして負荷149について考え得る配置を示した構造図である。ソノブイ101においては、コイル143、電源コントローラ145、電子機器格納ユニット147、そして、負荷149の少なくとも一部がUEUの構成部品となっている。さらに、図12に示すように、UEU111には、音響水中聴音器およびプリアンプ151、光ファイバセンサ用のレーザ光電子工学アセンブリ152、水中聴音器センサアレイ153、無線周波数(RF)浮アンテナ154、および/または予備電源155を持たせてもよい。UEU111にはまた、変調・復調回路156と、センサヘッド157への入出力(I/O)インターフェースと、RF送信機158と、ハードディスクドライブ159を備えたPCベースのプロセッサと、そしてバッテリ充電回路160とを持たせることもできる。
【0022】
LEU113は、センサアレイアセンブリ102へのインターフェースを提供し、さらに、UEU111には音響的、電気的または光学的な信号を提供する。信号提供はワイヤまたは光ファイバケーブルと対応するサスペンションシステムとを介して行うことができる。センサアレイアセンブリ102は、中心ハウジング105に結合されており、センサアレイ133、ダンパー/海錨プレート114、そしてケーブル131を有し、ケーブルは初期状態ではケーブルパックの中で巻かれた状態にある。ソノブイ101が配備される際にケーブル131はケーブルパックから解かれ、最終的にセンサアレイ133は中心ハウジング105の下方に配備された状態となる。そしてその位置で、ケーブルは、ソノブイ101の製品寿命の終わりまで、センサアレイを縦位置に維持する働きをする。
【0023】
以上に述べた発電システムは、場合によっては、衝撃吸収装置または緩衝装置としても働き、波の動きによってセンサ/つなぎ線に加わる引張り力を最小限に抑える。
本発明の実施の形態の一例としては、径が24インチで高さが10.4インチの浮カラー107と、高さ14インチの中心/電子機器ハウジング105とを有するものが考えられる。ハウジング105は、ワインディングが位置する上側部分での径は16インチであるが、下側部分での径は狭くなって14インチである。このアセンブリのおよその重量は25ポンドとなる。100メートルのケーブルを含むセンサアレイアセンブリ102の推定正味重量は5ポンドとなる。組み合わされたハウジング105とセンサアセンブリ102とは釣り合っており、それによって、風、波、うねり、そして水流などの全ての条件において信頼性の高い動作が保証される。
【0024】
24インチ(径)×10.4インチ(0.866ft)(高さ)の浮カラーに加わる浮力(BF)を算出する。推定総重量を20ポンド、外径=2ft(R=1ft)、そして内径:d=16インチ(r = 8/12ft)という数字を用いる:
BF=π(R2−r2)×0.87(ft)×62.5(lbs/ft3)−20(lb)(カラー重量)= 74(lb)(浮力、完全に水に入った状態)
この浮力によってカラー107は磁石と共に上向きに移動させられ、ワイヤワインディングを通過する。そして、算出された力は、ワイヤのコイルと磁石との間の誘導リアクタンスを克服するのに充分なものである。この74(lb)の力の7インチの距離にわたる移動から発生する電力を見積ることができる。機械的動作は直接的にAC電流に変換されるため、平均効率は80%と推定する。この機械的動作を実施させるには、7インチの小さな波またはうねりだけで足りる。電力見積りについては、これらの波またはうねりが1分あたり平均で6回発生すると仮定する。20(lb)という重量は、カラー107がその名目位置に向かって下がるサイクルにある際のコイルの誘導リアクタンスを克服するには、充分以上なものである。
【0025】
仕事量(Work)=80%×6(うねり)×1(ft)×74(lbs)=355(ft-lb)
電力は、355(ft-lb)/min× .0226W/(ft-lb/min) =8(W)である
したがって、本例の発電機は、平均で8Wの電力を供給して内部バッテリを充電する。電源は、可変振幅や可変周波数のAC電圧をDCに変換する。AC電圧はその後調整され、ピーク電圧レベルまでコンデンサを充電し、それからDC/DCコンバータに供給する。その出力はバッテリの充電に用いられる。DC/DCコンバータは、発電機出力の予想される広い振幅範囲に対応するために、広い入力電圧範囲から動作するように設計されている。
【0026】
構内アセンブリが一定した形で名目位置に戻ることを確認するために、「浮力対水中の深さ」は計算したところ、図13の表に示す結果となった。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一例としての実施の形態による第1のブイ装置を示す斜視図である。
【図2】図1の装置について、カラーが装置頂上部近くに位置する状態で示す側面図である。
【図3】図1の装置について、カラーが装置底面部近くに位置する状態で示す側面図である。
【図4】本発明の一例としての実施の形態による第2のブイ装置を示す斜視図である。
【図5】本発明の一例としての実施の形態による第3のブイ装置を示す断面図である。
【図6】本発明の一例としての実施の形態による第4のブイ装置を示す断面図である。
【図7】本発明の一例としての実施の形態による第5のブイ装置を示す断面図である。
【図8】本発明の一例としての実施の形態による第6のブイ装置を示す概略図である。
【図9】本発明の一例としての実施の形態によるソノブイを示す図である。
【図10】図9のソノブイを示す概略図である。
【図11】図9のソノブイを示す概略図である。
【図12】図9のソノブイの電子装置を示す構造図である。
【図13】浮力対水深の計算値を示す表である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体に浮くように作られ、少なくとも2つの浮部材を有するブイ装置であって、
前記少なくとも2つの浮部材は互いに対して相対的に移動可能であり、そして、
前記少なくとも2つの浮部材は、前記少なくとも2つの浮部材の間の相対的な移動を電気に変換するエネルギ変換装置を有すること、
を特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの浮部材のうち第1の浮部材は細長い形となっており、前記少なくとも2つの浮部材のうち第2の浮部材は前記第1の浮部材の長さ方向に沿って移動可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2の浮部材は、少なくとも部分的に第1の浮部材の一部を囲んでいること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第2の浮部材は第1の浮部材の一部を完全に取り囲む形となっていること、
を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第1および第2の浮部材は、少なくとも1つの伝導コイルと少なくとも1つの永久磁石とを有し、前記コイルおよび磁石は、前記第1および第2の部材のうち別々の部材に配置されること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの浮部材のうち一方は、前記少なくとも2つの浮部材のもう一方よりも浮力が大きいこと、
を特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記浮力の小さい方の部材は少なくとも部分的に浮力がより小さく、それは、当該部材からぶら下がるアセンブリのためであること、
を特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記浮力の小さい方の部材からぶら下がるアセンブリはセンサアレイであること、
を特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの浮部材のうち少なくとも1つは、格納用空洞を少なくとも1つ有すること、
を特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの格納用空洞には電子回路が入っていること、
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの格納用空洞内に配置されたバッテリと電力コントローラとを有し、前記の電力コントローラおよびバッテリと少なくとも1つの伝導コイルとが電気的に結合されて一体化しており、その結合は、コイルの中を流れる電流が電力コントローラによってバッテリの充電に用いられる、というものであること、
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
ハウジングアセンブリであって、中心のハウジングと波およびうねりの運動に伴って前記中心のハウジングの外側を上下移動する自由移動ウレタンフォーム浮カラーとを有する、というハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリの内部にある電源回路と、
前記ハウジングアセンブリの内部にあるバッテリと、
前記ハウジングアセンブリに結合されたセンサアレイと、を有するソノブイであって、
前記中心のハウジングの内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周囲にワイヤのコイルが巻かれており、
前記浮カラーは内部に永久磁石を備える形で作られており、
前記浮カラーが前記中心のハウジングの外側で上下移動することで低周波AC電流がコイルにおいて発生し、そして、
前記電源回路は発生した低周波AC電力をDC電力に変換してバッテリを充電すること、
を特徴とするソノブイ。
【請求項13】
金属プレートであって、その表面はソノブイの外表面の一部をなし、ソノブイの動作中には少なくとも部分的に水面下に入る位置にある、という金属プレートを更に有し、
前記金属プレートは、熱的にコイル、電源回路、そしてバッテリのうち少なくとも1つと結合されており、その結合は、発生した余分な熱が金属プレートを介しての伝導冷却の形で、ソノブイが配備されている所の流体に放熱される、というものであること、
を特徴とする請求項12に記載のソノブイ。
【請求項14】
海にソノブイを配備し、配備された状態の当該ソノブイに電力を供給する方法であって、
浮部材同士の間での相対的な移動を利用して電気を発生させる発電ユニットをソノブイに設けるステップと、
ソノブイを所望の場所に輸送するステップと、そして、
ソノブイを海の中に置くステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
ソノブイはソノブイ配備に先立って充電される電気保存ユニットを更に有し、
配備後に発電ユニットが発生させた電気を用いて前記電気保存ユニットを再充電するステップを更に有すること、
を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ソノブイは、浮部材のうち第1の浮部材に結合された細長い形状のセンサアレイを有し、センサアレイは浮部材に存在し、ソノブイを海の中に置くステップによってセンサアレイはそれが結合された浮部材からぶら下がる形となること、
を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
発電ユニットをソノブイに設ける前記ステップは、浮部材のうち第2の浮部材の浮力がセンサアレイと第1の浮部材との組合せの浮力よりも大きくなることを確実にする処理が含まれること、
を特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
発電ユニットをソノブイに設ける前記ステップには、第1の浮部材と第2の浮部材とをスライド可能な形で一体に結合させる処理が含まれること、
を特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項1】
流体に浮くように作られ、少なくとも2つの浮部材を有するブイ装置であって、
前記少なくとも2つの浮部材は互いに対して相対的に移動可能であり、そして、
前記少なくとも2つの浮部材は、前記少なくとも2つの浮部材の間の相対的な移動を電気に変換するエネルギ変換装置を有すること、
を特徴とする前記装置。
【請求項2】
前記少なくとも2つの浮部材のうち第1の浮部材は細長い形となっており、前記少なくとも2つの浮部材のうち第2の浮部材は前記第1の浮部材の長さ方向に沿って移動可能であること、
を特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第2の浮部材は、少なくとも部分的に第1の浮部材の一部を囲んでいること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第2の浮部材は第1の浮部材の一部を完全に取り囲む形となっていること、
を特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
第1および第2の浮部材は、少なくとも1つの伝導コイルと少なくとも1つの永久磁石とを有し、前記コイルおよび磁石は、前記第1および第2の部材のうち別々の部材に配置されること、
を特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの浮部材のうち一方は、前記少なくとも2つの浮部材のもう一方よりも浮力が大きいこと、
を特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記浮力の小さい方の部材は少なくとも部分的に浮力がより小さく、それは、当該部材からぶら下がるアセンブリのためであること、
を特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記浮力の小さい方の部材からぶら下がるアセンブリはセンサアレイであること、
を特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの浮部材のうち少なくとも1つは、格納用空洞を少なくとも1つ有すること、
を特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの格納用空洞には電子回路が入っていること、
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの格納用空洞内に配置されたバッテリと電力コントローラとを有し、前記の電力コントローラおよびバッテリと少なくとも1つの伝導コイルとが電気的に結合されて一体化しており、その結合は、コイルの中を流れる電流が電力コントローラによってバッテリの充電に用いられる、というものであること、
を特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
ハウジングアセンブリであって、中心のハウジングと波およびうねりの運動に伴って前記中心のハウジングの外側を上下移動する自由移動ウレタンフォーム浮カラーとを有する、というハウジングアセンブリと、
前記ハウジングアセンブリの内部にある電源回路と、
前記ハウジングアセンブリの内部にあるバッテリと、
前記ハウジングアセンブリに結合されたセンサアレイと、を有するソノブイであって、
前記中心のハウジングの内部垂直壁はポリマー素材から作られ、その周囲にワイヤのコイルが巻かれており、
前記浮カラーは内部に永久磁石を備える形で作られており、
前記浮カラーが前記中心のハウジングの外側で上下移動することで低周波AC電流がコイルにおいて発生し、そして、
前記電源回路は発生した低周波AC電力をDC電力に変換してバッテリを充電すること、
を特徴とするソノブイ。
【請求項13】
金属プレートであって、その表面はソノブイの外表面の一部をなし、ソノブイの動作中には少なくとも部分的に水面下に入る位置にある、という金属プレートを更に有し、
前記金属プレートは、熱的にコイル、電源回路、そしてバッテリのうち少なくとも1つと結合されており、その結合は、発生した余分な熱が金属プレートを介しての伝導冷却の形で、ソノブイが配備されている所の流体に放熱される、というものであること、
を特徴とする請求項12に記載のソノブイ。
【請求項14】
海にソノブイを配備し、配備された状態の当該ソノブイに電力を供給する方法であって、
浮部材同士の間での相対的な移動を利用して電気を発生させる発電ユニットをソノブイに設けるステップと、
ソノブイを所望の場所に輸送するステップと、そして、
ソノブイを海の中に置くステップと、
を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
ソノブイはソノブイ配備に先立って充電される電気保存ユニットを更に有し、
配備後に発電ユニットが発生させた電気を用いて前記電気保存ユニットを再充電するステップを更に有すること、
を特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ソノブイは、浮部材のうち第1の浮部材に結合された細長い形状のセンサアレイを有し、センサアレイは浮部材に存在し、ソノブイを海の中に置くステップによってセンサアレイはそれが結合された浮部材からぶら下がる形となること、
を特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
発電ユニットをソノブイに設ける前記ステップは、浮部材のうち第2の浮部材の浮力がセンサアレイと第1の浮部材との組合せの浮力よりも大きくなることを確実にする処理が含まれること、
を特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
発電ユニットをソノブイに設ける前記ステップには、第1の浮部材と第2の浮部材とをスライド可能な形で一体に結合させる処理が含まれること、
を特徴とする請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−519859(P2007−519859A)
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−502805(P2007−502805)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/002622
【国際公開番号】WO2006/085836
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506118629)ノースロップ グルーマン コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/002622
【国際公開番号】WO2006/085836
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506118629)ノースロップ グルーマン コーポレーション (7)
【Fターム(参考)】
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