説明

波長分散光学装置

【課題】 VIPA板の温度を変えることなく、かつ自由スペクトル領域を狭めることなく、VIPA板の動作波長を変化させることができる波長分散光学装置を提供する。
【解決手段】 出射光学系が光線束を出射する。出射光学系から出射した光線束がVIPA板に入射する。VIPA板は、入射した光線束を、波長ごとに相互に異なる方向に出射させる。再入射光学素子が、VIPA板から出射された光線束を、VIPA板から出射した光の進行方向によって、VIPA板の相互に異なる位置に再入射させる。出射光学系から出射し、VIPA板へ入射する光線束の入射角が変化するように、入射角調節機構が、VIPA板と出射光学系の出射部との相対的な位置関係を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーチャリ・イメージド・フェーズド・アレイ(VIPA)型の波長分散光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エタロン板の一種であるVIPA型波長分散光学装置について説明する。光ファイバから出射した光線束がコリメートレンズで平行光線束にされた後、シリンドリカルレンズでVIPA板上に集光される。VIPA板は、一方の表面に部分反射膜が形成され、他方の表面に全反射膜が形成された光学素子である。全反射膜が形成された表面の一部には、光線束が透過できる窓が形成されている。光線束は、この窓を透過して、部分反射膜が形成された表面に集光される。集光された領域のビーム断面は、VIPA板への光線束の入射面に垂直な方向に長い長尺形状を有する。
【0003】
VIPA板に入射した光線束は、VIPA板内で多重反射しながら、一部の光が、部分反射膜が形成された表面から出射する。多重反射の回数が異なる複数の光線束の干渉により、波長ごとに異なる方向に伝搬する光線束が得られる。VIPA板に入射する光線束の中心光線の進行方向と同一の方向に出射する光線束の波長を、VIPA板の動作波長という。干渉の次数ごとに、1つの動作波長が決定される。
【0004】
VIPA板から出射された光線束は、折返しミラーで反射し、VIPA板に再入射する。波長によって光線束の進行方向が異なるため、VIPA板への再入射位置も異なる。VIPA板へ再入射した光線束は、VIPA板内で多重反射して、光ファイバの出射端に戻る。波長によってVIPA板への再入射位置が異なるため、多重反射の回数も異なる。すなわち、波長によって、光ファイバに再入射するまでの光路長が異なる。
【0005】
動作波長の光線束の中心光線が、折返しミラーの中心に入射する。動作波長の近傍の波長を持つ光線束も、折返しミラーで折り返されて、VIPA板に再入射する。このため、動作波長を中心としたある波長帯域内の光が、光ファイバに戻る。光ファイバに戻る光の波長域を「透過帯域」ということとする。
【0006】
スペクトルの広がりの大きな光信号がVIPA板に入射すると、隣り合う次数の回折光同士が重なり合う現象が生じる。隣り合う次数の回折光同士が重ならない波長域を、自由スペクトル領域という。例えば、VIPA板の自由スペクトル領域の最小値は、100GHz程度である。干渉の次数ごとに、1つの動作波長が決定され、相互に隣り合う次数の動作波長の差は、100GHzに相当する。
【0007】
ある帯域の光信号に波長分散を生じさせるためには、動作波長を、光信号の中心波長(波長多重された光信号のひとつのグリッド波長)に一致させるか、または近づけることが好ましい。VIPA型波長分散光学装置の動作波長は、VIPA板の屈折率や厚さに依存する。VIPA板の屈折率を変化させることは困難であるため、一般的に、VIPA板の温度を調節してその厚さを変化させることによって、動作波長が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2000−511655号公報
【特許文献2】特表2002−514323号公報
【特許文献3】特開2003−195192号公報
【特許文献4】特開2003−294999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
波長分割多重伝送において、多重度を高めるために、グリッド波長の間隔を狭めることが要望されている。例えば、グリッド波長の間隔が50GHzである場合について考察する。すべてのチャンネルの光信号の波長分散を補償するために、以下の3通りの方法が考えられる。第1及び第2の方法では、自由スペクトル領域が100GHzのVIPA板が用いられる。第3の方法では、自由スペクトル領域が50GHzのVIPA板が用いられる。
【0010】
第1の方法について説明する。まず、1つのグリッド波長を第1の代表グリッド波長とし、第1の代表グリッド波長を動作波長とする第1のVIPA板を準備する。第1の代表グリッド波長との差が100GHzの整数倍に相当するグリッド波長を持つ光信号には、第1のVIPA板を適用することができる。ところが、第1の代表グリッド波長との差が50GHzに相当するグリッド波長を持つ光信号には、第1のVIPA板を適用することができない。
【0011】
第1の目標グリッド波長との差が50GHzに相当する第2の代表グリッド波長を動作波長とする第2のVIPA板を準備する。第2の代表グリッド波長との差が100GHzの整数倍に相当するグリッド波長を持つ光信号に、第2のVIPA板を適用することができる。
【0012】
この方法では、すべてのチャンネルの光信号の波長分散を補償するために、第1の代表グリッド波長用の第1のVIPA板と、第2の代表グリッド波長用の第2のVIPA板とを準備しなければならない。第1のVIPA板と第2のVIPA板とは、動作波長が異なるため、一方が他方を兼ねることはできない。
【0013】
第2の方法について説明する。上述の第1のVIPA板の温度を調節して、その厚さを変化させることにより、動作波長を50GHz相当分だけ変化させる。動作波長が50GHz相当分だけ変化した第1のVIPA板は、第1の方法で準備した第2のVIPA板と同様の機能を持つ。
【0014】
この方法では、2種類のVIPA板を準備する必要はないが、VIPA板の温度を調節しなければならない。例えば、動作波長を50GHz相当分だけ変化させるためには、VIPA板を約130℃まで加熱しなければならない。
【0015】
第3の方法では、自由スペクトル領域が、グリッド波長の間隔(50GHz相当)とほぼ等しいVIPA板を準備する。この方法では、1種類のVIPA板を、どのチャンネルの光信号にも適用することが可能である。ところが、自由スペクトル領域を50GHzに狭めたことに対応して、透過帯域幅も狭くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一観点によると、
光線束を出射する出射光学系と、
前記出射光学系から出射した光線束が入射し、入射した光線束を、波長ごとに相互に異なる方向に出射させるVIPA板と、
前記VIPA板から出射された光線束を、前記VIPA板から出射した光の進行方向によって、前記VIPA板の相互に異なる位置に再入射させる再入射光学素子と、
前記出射光学系から出射し、前記VIPA板へ入射する光線束の入射角が変化するように、前記VIPA板と前記出射光学系の出射部との相対的な位置関係を変化させる入射角調節機構と
を有する波長分散光学装置が提供される。
【発明の効果】
【0017】
VIPA板への入射角を変化させることにより、VIPA板の動作波長をシフトさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1による波長分散光学装置の概略斜視図である。
【図2】実施例1による波長分散光学装置のVIPA板及び光線束の経路を示す断面図である。
【図3】実施例1による波長分散光学装置の光線束の経路を、波長ごとに示す断面図(その1)である。
【図4】実施例1による波長分散光学装置の光線束の経路を、波長ごとに示す断面図(その2)である。
【図5】実施例1による波長分散光学装置の光線束の経路を、波長ごとに示す断面図(その3)である。
【図6】(6A)は、実施例1による波長分散光学装置の入射角調節機構の正面図であり、(6B)は、VIPA板と光線束との関係を示す側面図である。
【図7】(7A)は、実施例1による波長分散光学装置の透過率スペクトルを示すグラフであり、(7B)は、VIPA板への光線束の入射角を変化させたときの透過率スペクトルを示すグラフである。
【図8】(8A)は、波長分散値と自由曲面ミラーのx軸方向の位置との関係を記憶するデータテーブルを示す線図であり、(8B)は、VIPA板の温度、VIPA板の動作波長、及びVIPA板への光線束の入射角の関係を記憶するデータテーブルを示す線図である。
【図9】実施例1による波長分散光学装置の動作のフローチャートである。
【図10】(10A)は、実施例1による波長分散光学装置の透過スペクトルの一例を示すグラフであり、(10B)は、分散値、VIPA板の動作波長、及び入射角の微調整量の関係を記憶するデータテーブルを示す線図である。
【図11】実施例1による波長分散光学装置を適用した波長分散補償装置の概略図である。
【図12】実施例2による波長分散光学装置の概略斜視図である。
【図13】実施例2による波長分散光学装置のコリメートレンズとVIPA板との位置関係、及び光線束の経路を示す側面図である。
【図14】VIPA板への光線束の入射角と、自由曲面ミラーの位置との関係を記憶するデータテーブルを示す線図である。
【図15】実施例2による波長分散光学装置の動作のフローチャートである。
【図16】実施例3による波長分散光学装置の概略斜視図である。
【図17】実施例3による波長分散光学装置の動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら、実施例1〜実施例3について説明する。
【実施例1】
【0020】
図1に、実施例1による波長分散光学装置の概略斜視図を示す。出射光学系10が、第1の光ファイバ1、サーキュレータ2、第2の光ファイバ3、第3の光ファイバ4、及びコリメートレンズ11を含む。光信号が、第1の光ファイバ1を伝搬し、サーキュレータ2、第2の光ファイバ3を経由して、第2の光ファイバ3の端部から出射する。第1の光ファイバ1を伝搬する光信号の中心波長をλとし、そのスペクトルが波長λから波長λまで広がっているとする。一例として、光信号は、波長分割多重された光信号のうち、グリッド波長がλの1つのチャネルに対応する。
【0021】
コリメートレンズ11は、第2の光ファイバ3の端部から出射した発散光線束をコリメートする。コリメートレンズ11の出射側の表面が、出射光学系10の出射部となる。
【0022】
コリメートレンズ11でコリメートされた平行光線束が、凸シリンドリカルレンズ15に入射する。平行光線束の進行方向をz軸とするxyz直交座標系を定義する。凸シリンドリカルレンズ15は、x軸に平行な方向を母線の方向とする柱面を有する。凸シリンドリカルレンズ15の後方にVIPA板20が配置されている。VIPA板20は、凸シリンドリカルレンズ15の方向を向く入射側表面と、それに平行な出射側表面とを有する。VIPA板20は、入射側表面の法線ベクトルが、yz面に平行で、かつz軸の負の向きからy軸の正の向きに傾けた方向を向く姿勢で配置される。
【0023】
凸シリンドリカルレンズ15は、入射する平行光線束を、VIPA板20の出射側表面においてビームウエストを形成するように収束させる。VIPA板20の出射側表面におけるビーム断面16は、x軸に平行な長尺形状になる。長尺形状のビーム断面16は、第2の光ファイバ3の出射端の実像と考えることができる。以下、このビーム断面16を、単に「実像」という場合がある。VIPA板20の詳細な構造及び作用については、後に図2を参照して説明する。
【0024】
VIPA板20で多重反射した光線束が、出射側表面から出射する。VIPA板20から出射した光線束の進行方向は、波長によって異なる。例えば、波長λの光線束の進行方向は、z軸に平行である。波長がλよりも長い光線束の進行方向は、z軸の正の向きからy軸の負の向きに傾いている。傾きの角度は、波長が長くなるに従って大きくなる。波長がλよりも短い光線束の進行方向は、z軸の正の向きからy軸の正の向きに傾いている。傾きの角度は、波長が短くなるに従って大きくなる。
【0025】
VIPA板20から出射された光線束は、収束レンズ30を透過して、自由曲面ミラー(再入射光学素子)35に入射する。収束レンズ30は、zx面に平行な断面内において、光線束を、自由曲面ミラー35の反射表面上の1点に集光させる。自由曲面ミラー35は、入射する光線束を反射する。自由曲面ミラー35で反射された光線束が、集光レンズ30を透過してVIPA板20の出射側表面に再入射する。
【0026】
自由曲面ミラー35の反射面のyz面に平行な断面の形状は、x軸方向の位置によって異なる。例えば、x軸の正の向きに向かって、凸面から凹面に変化する。凸面の曲率半径は、x軸の正の向きに向って徐々に大きくなる。凹面の曲率半径は、x軸の正の向きに向かって徐々に小さくなる。
【0027】
自由曲面ミラー35は、ミラー移動機構36により、x軸方向及びy軸方向に移動可能である。自由曲面ミラー35をx軸方向に移動させることにより、収束レンズ30を透過した光線束が自由曲面ミラー35に入射する位置における反射表面の形状を変化させることができる。
【0028】
VIPA板20に再入射した光線束は、VIPA板20内で多重反射して、入射側表面から出射する。VIPA板20の入射側表面から出射した光線束は、シリンドリカルレンズ15を透過して、出射光学系10の出射部(コリメートレンズ11の表面)に再入射する。出射光学系10に再入射した光信号は、コリメートレンズ11を経由して、第2の光ファイバ3に導入される。第2の光ファイバ3に導入された光信号は、サーキュレータ2を経由して、第3の光ファイバ4に導入される。
【0029】
VIPA板20に、温度測定器21が取り付けられている。温度測定器21は、VIPA板20の温度を測定する。温度の測定結果が、制御装置40に入力される。VIPA板20を取り囲むようにヒータ28が配置されている。ヒータ28は、VIPA板20を加熱する。
【0030】
入射角調節機構45が、VIPA板20を、出射側表面上のビーム入射領域16を回転中心として回転可能に保持する。VIPA板20を回転方向に変位させると、光線束の入射角が変化する。ここで、「入射角」は、yz面に平行な断面において、シリンドリカルレンズ15により集光された光線束の中心光線と、VIPA板20の入射側表面の法線ベクトルとの成す角を意味する。
【0031】
制御装置40が、ミラー移動機構36、ヒータ28、及び入射角調節機構45を制御する。記憶装置41が、制御装置40による制御に必要なデータを記憶する。
【0032】
図2に、VIPA板20のyz面に平行な断面図を示す。VIPA板20は、入射する光線束の波長域で透明な光学部材、例えばガラスからなる光学板22を含む。光学板22の入射側表面に全反射膜23が形成され、出射側表面に部分反射膜24が形成されている。入射側表面には、全反射膜23が形成されていない透過窓25が画定されている。全反射膜23が形成された領域の出射側表面における光線束の反射率はほぼ100%である。部分反射膜24が形成された領域の出射側表面における光線束の反射率は、例えば95%である。透過膜25に入射する光線束の透過率はほぼ100%である。
【0033】
透過窓25を通ってVIPA板20に入射した光線束は、出射側表面においてビームウエストを形成する。ビームウエストの位置を、実像16と呼ぶこととする。入射する光線束の入射角をθとする。約5%の光線束が部分反射膜24を透過してVIPA板20から出射され、残りの95%の光線束は、部分反射膜24で反射する。部分反射膜24で反射した光線束は、VIPA板20内で多重反射する。VIPA板20の出射側表面で反射する度に、一部の光線束がVIPA板20から出射される。
【0034】
全反射膜23及び部分反射膜24により、実像16の虚像26が形成される。虚像26は、実像16を通過し、かつ入射側表面に垂直な仮想直線27上に等間隔に配列する。VIPA板20の厚さをdとすると、複数の虚像26の配列の周期は2dになる。実像16と、それに最も近い虚像26との間隔も2dである。
【0035】
VIPA板20の出射側表面から出射した光線束は、実像16及び複数の虚像26から、z軸の正の向きに、同位相で出射した光線束の集合と等価である。なお、虚像27からVIPA板20の出射側表面までの媒質の屈折率は、光学板22の屈折率と同一であると仮定される。
【0036】
実像16からVIPA板20の外側に出射した光線束の中心光線の進行方向は、z軸に平行である。各虚像26から出射し、VIPA板の出射側表面を通過した光線束の中心光線も、同様に、z軸に平行である。
【0037】
実像16及び複数の虚像26から出射された複数の光線束が相互に干渉するため、回折現象が生じる。原理的には、仮想直線27に垂直な方向に、干渉次数が0次の回折光が生じ、z軸の正の向き、またはその近傍の向きに干渉次数がm次の回折光(mは自然数)が生じる。実際には、実像16及び各虚像26から出射する光線束は、ほぼz軸の正の向きに伝搬するため、m次、及びその近傍の次数の回折光の強度が強くなる。
【0038】
z軸の正の向きにm次の回折光が生じる波長をλとし、入射角をθ、光学板22の屈折率をn、及びVIPA板の厚さをdとすると、以下の関係式が成り立つ。
【0039】
【数1】

【0040】
z軸の正の向きに、m次の回折光が生じる波長λを、VIPA板の「m次の動作波長」ということとする。図2において、VIPA板20に入射する光線束の中心波長λは、VIPA板20の1つの動作波長λに等しい。このため、波長λのm次の回折光が、z軸の正の向きに生じる。中心波長λよりも長い波長λの回折光は、z軸の正の向きからy軸の負の向きにやや傾いた方向に伝搬し、中心波長λよりも短い波長λの回折光は、z軸の正の向きからy軸の正の向きにやや傾いた方向に伝搬する。
【0041】
図3〜図5に、実像16及び虚像26から出射し、自由曲面ミラー35で反射して、VIPA板20に再入射するまでの波長λ、λ、λの光の中心光線の一例を示す。
【0042】
図3に示した例では、反射位置における自由曲面ミラー35の形状が平面である。VIPA板20から出射した光線束は、集束レンズ30を透過して、自由曲面ミラー35で反射し、再度収束レンズ30を透過してVIPA板20に再入射する。VIPA板20に再入射した光線束は、VIPA板20内で多重反射して、実像16の位置に戻る。VIPA板20内で多重反射して実像16の位置に戻る光路は、多重反射の回数に対応する虚像26に戻る光路と等価である。
【0043】
VIPA板20から出射して、z軸の正の向きからy軸の負の向きに傾いた方向に伝搬する波長λの光の中心光線は、z軸の正の向きに伝搬する波長λの光の中心光線よりも、実像16に近い位置においてVIPA板20に再入射する。すなわち、波長λの光線束は、波長λの光線束が戻る虚像26よりも、実像16に近い虚像26に戻る。このため、波長λの光の光路長が、波長λの光の光路長よりも短くなる。逆に、波長λの光の光路長は、波長λの光の光路長よりも長くなる。これにより、VIPA板20に入射する光信号に波長の正常分散が生じる。
【0044】
図4に示した例では、反射位置における自由曲面ミラー35の形状が凹面である。この場合には、波長λの光線束が、波長λの光線束が戻る虚像26よりも、実像16に近い虚像26に戻る。このため、波長λの光の光路長が、波長λの光の光路長よりも短くなる。逆に、波長λの光の光路長が、波長λの光の光路長よりも長くなる。これにより、VIPA板20に入射する光信号に波長の異常分散が生じる。
【0045】
図5に示した例では、反射位置における自由曲面ミラー35の形状が凸面である。波長λの光線束は、図3に示した波長λの光線束が戻る虚像26よりも、さらに実像16に近い虚像、または実像16に戻る。波長λの光の光路長と、波長λの光の光路長との大小関係は、図3の例と、図5の例とで同じである。ただし、波長λの光と波長λの光との光路差は、図5に示した例の方が、図3に示した例よりも大きい。同様に、波長λの光と波長λの光との光路差は、図5に示した例の方が、図3に示した例よりも大きい。これにより、VIPA板20に入射する光信号に波長の正常分散が生じる。この分散値は、図3に示した例の分散値よりも大きい。
【0046】
上述のように、実施例による波長分散光学装置により、光信号に正常分散または異常分散を生じさせることができる。この分散値は、自由曲面ミラー35の反射面の形状により調整することができる。波長分散が生じた光信号に、逆極性の波長分散を生じさせることにより、光信号に生じた波長分散を補償することができる。
【0047】
図1に示した自由曲面ミラー35をx軸方向に移動させると、光線束が入射する位置における反射面の、yz面に平行な断面形状が変化する。このため、自由曲面ミラー35をx軸方向に移動させることによって、光信号に生じさせる波長分散の分散値を変化させることができる。
【0048】
図6Aに、入射角調節機構45の正面図を示す。VIPA板20が保持部材48により保持されている。保持部材48は、支軸49を介してギアヘッド47に連結されている。ギアヘッド47は、モータ46の回転軸に連結されている。モータ46には、例えばステッピングモータが用いられる。ステッピングモータを用いると、フィードフォワード制御を行うことができる。モータ46を駆動すると、その回転力が、ギアヘッド47及び支軸49を介して保持部材48に伝達され、保持部材48及びVIPA板20が支軸49を中心として揺動する。
【0049】
図6Bに、出射光学系10、シリンドリカルレンズ15、及びVIPA板20の側面図を示す。出射光学系10から出射され、シリンドリカルレンズ15で収束された光線束が、VIPA板20の透過窓25を透過してVIPA板20に入射する。VIPA板20に入射した光線束は、出射側表面においてビームウエスト(実像)16を形成する。実像16の位置が、VIPA板20の揺動中心に一致する。
【0050】
VIPA板20に入射する収束光線束の中心光線と、VIPA板20の出射側表面に垂直な仮想直線27との成す角θが、光線束の入射角となる。VIPA板20を揺動させることにより、入射角θを変化させることができる。数式(1)からわかるように、入射角θが変動すると、m次の動作波長λも変動する。
【0051】
図7Aに、波長と透過率との関係の一例を示す。図1の出射光学系10から出射した光線束の光強度をIiとし、出射光学系10に戻ってきた光線束の強度をIoとしたとき、透過率は、Io/Iiで定義される。
【0052】
入射角θ=θのときのm次の動作波長をλとする。波長λからのずれが大きい波長の光線束は、自由曲面ミラー35の縁から外側に逸れてしまう。中心光線が自由曲面ミラー35から逸れた波長の透過率は、ほぼ0になる。動作波長λを中心とするある波長域(透過波長域)内において、透過率が大きくなる。
【0053】
m次の動作波長λよりも長波長側に、m−1次の動作波長λB(m−1)が存在し、短波長側に、m+1次の動作波長λB(m+1)が存在する。一例として、相互に隣り合う動作波長の差(自由スペクトル領域の帯域幅)は、周波数100GHzに相当する。m−1次の動作波長λB(m−1)及びm+1次の動作波長λB(m+1)の各々に対しても、これらの動作波長を中心とする透過波長域が存在する。
【0054】
図7Bに、入射角θをθ+Δθに変化させたときの、透過率と波長との関係を示す。数式(1)からわかるように、入射角θを大きくすると、m次の動作波長λはλ+Δλに変化する。一例として、光学板22の屈折率nが1.85、VIPA板20の厚さdが0.81mm、入射角θが3.1°、動作波長の次数mが1950のとき、入射角θを1°変化させると、m次の動作波長λは50GHzに相当する波長だけ変化する。自由スペクトル領域の帯域が100GHzである場合、入射角θを約1°変化させると、m次の動作波長λ+Δλは、入射角θがθであったときのm次の動作波長λと、m−1次の動作波長λB(m−1)との平均に等しくなる。
【0055】
図8A〜図8Cに、記憶装置41(図1)に記憶されている制御用のデータテーブルを示す。
【0056】
図8Aは、波長分散光学装置の波長分散値と自由曲面ミラー35のX軸方向の位置との関係を示す。図8Aに示した例では、波長分散光学装置の波長分散値をWDに設定したい場合には、自由曲面ミラー35のX軸方向の位置をXにすればよい。適宜、補間演算を行うことにより、任意の波長分散値に対して、自由曲面ミラー35のX軸方向の位置を決定することができる。
【0057】
図8Bは、VIPA板20の温度と、動作波長と、VIPA板20への入射角との関係を示す。数式(1)の屈折率nは固定であり、VIPA板20の温度から厚さdが決定される。このため、VIPA板20の温度と、m次の動作波長λが決定されると、入射角θを決定することができる。動作波長λの次数は、一例として、入射角θが2°〜4°程度になるように選択される。
【0058】
図8Bに示した例では、VIPA板20の温度がTで、動作波長をλに設定したい場合には、入射角θをθ11にすればよい。
【0059】
図9に、実施例1による波長分散光学装置の動作のフローチャートを示す。ステップSA1において、制御装置40に、目標動作波長と波長分散値とを入力する。目標動作波長として、例えば入力される光信号のスペクトルの中心波長が選択される。入力される光信号が、波長分割多重された光信号の1つのチャンネルに相当する場合には、そのチャンネルのグリッド波長が目標動作波長として選択される。波長分散値は、入力される光信号に付与すべき波長分散値である。
【0060】
ステップSA2において、VIPA板20が目標温度になるようにヒータ28を制御する。目標温度は、予め記憶装置41に記憶されている。ヒータ28の制御は、制御装置40により行われる。
【0061】
ステップSA3において、制御装置40が、目標温度及び目標動作波長から、VIPA板20への光線束の入射角を決定する。入射角の決定は、図8Bに示したデータテーブルを用いて行われる。
【0062】
ステップSA4において、ステップSA1で入力された波長分散値から、自由曲面ミラー35のx軸方向の位置を決定する。自由曲面ミラー35のx軸方向の位置は、図8Aに示したデータテーブルを用いて決定することができる。
【0063】
ステップSA5において、入射角調節機構45を制御して、入射角が、ステップSA3で決定された入射角になるように、VIPA板20の姿勢を変化させる。自由曲面ミラー35の位置が、ステップSA4で決定された位置になるように、ミラー移動機構36を制御して、自由曲面ミラー35を移動させる。
【0064】
これにより、光信号に、所望の波長分散を生じさせることができる。光信号に既に波長分散が生じている場合には、その波長分散を補償することができる。
【0065】
図9のフローチャートにおいて、各ステップSA2〜SA4は、必ずしもこの順番に実行する必要はない。各ステップの実行に必要となる情報が決定されているという条件の下で、これらのステップSA2〜SA4の順番を入れ換えてもよい。
【0066】
次に、動作波長の微調整の方法について説明する。図7Aでは、透過率のスペクトルが、動作波長を中心として対称形である場合を示した。ところが、透過率のスペクトルは、必ずしも対称形であるとは限らない。
【0067】
図10Aに、対称形ではないスペクトルを持つ透過率の一例を示す。動作波長λを中心として、透過波長域が画定されている。透過率のスペクトルは、動作波長λよりも短波長側に偏在している。動作波長λよりも短い波長λBLにおいて、透過率が極大値を示している。
【0068】
このように、透過率のスペクトルが対称形ではない場合、動作波長λを、波長分散を付与すべき光信号の中心波長に一致させるよりも、透過率が極大値を示す波長λBLを、光信号の中心波長に一致させる方が、損失を少なくすることができる。VIPA板20への光線束の入射角を、図8Bに示したデータテーブルを用いて決定された入射角に設定するt、光信号の中心波長が、動作波長λに一致する。透過率が極大値を示す波長λBLを、中心波長に一致させるためには、入射角を微調整しなければならない。
【0069】
図10Bに、波長分散値及び動作波長と、入射角の微調整量との関係を記憶したデータテーブルを示す。図10Bによると、例えば、波長分散値がWDであり、動作波長がλである場合、VIPA板20への光線束の入射角の微調整量がΔθ11と求まる。
【0070】
図9に示したステップSA3において、図10Bに示した入射角の微調整量を加味して、VIPA板20への入射角を決定してもよい。
【0071】
上記実施例1では、VIPA板20への入射角を変化させることにより、図7Bに示したように、動作波長をシフトさせることができる。
【0072】
図11に、6チャネル多重された波長分割多重光信号の波長分散を補償する光学装置の構成例を示す。
【0073】
6チャンネル多重された波長分割多重光信号が、光ファイバ50により伝送され、分波器51に入射する。分波器51による分波されたチャンネル#1〜#6の光信号が、それぞれ個別の波長分散光学装置55A〜55Fに導入される。このとき、実施例1による波長分散光学装置は、そのVIPA板の姿勢を調節することにより、波長分散光学装置55A〜55Fのいずれにも適用することができる。
【実施例2】
【0074】
図12に、実施例2による波長分散光学装置の概略斜視図を示す。以下、図1に示した実施例1による波長分散光学装置との相違点に着目して説明し、同一構成の部分については説明を省略する。
【0075】
実施例2による波長分散光学装置は、出射部移動機構60及び位置センサ61を有する。出射部移動機構60は、制御装置40により制御され、コリメートレンズ11をy軸方向に並進移動させる。出射部移動機構60には、例えば超音波直動モータを用いることができる。第2の光ファイバ3の端部は、コリメートレンズ11に固定されており、コリメートレンズ11の移動に追随して、y軸方向に移動する。位置センサ61は、コリメートレンズ11のy軸方向の位置を検出する。検出結果は、制御装置40に入力される。実施例2による波長分散光学装置には、図1に示した入射角調節機構45は設置されておらず、その姿勢は固定されている。以下に説明するように、出射部移動機構60が、入射角を変化させる機能を持つ。
【0076】
図13に、コリメートレンズ11のy軸方向の位置と、中心光線の進行方向との関係を示す。コリメートレンズ11の光軸を、シリンドリカルレンズ15の光軸と一致させたときのVIPA板20への入射角をθとする。
【0077】
シリンドリカルレンズ15の焦点において、光線束がビームウエスト(実像)16を形成する。コリメートレンズ11でコリメートされた光線束の進行方向がシリンドリカルレンズ15の光軸に平行であれば、コリメートレンズ11をy軸方向に移動させても、実像16の位置は変わらない。
【0078】
コリメートレンズ11をy軸の負の向きに移動させたときの、VIPA板20への光線束の入射角θは、入射角θよりも大きくなる。逆に、コリメートレンズ11をy軸の正の向きに移動させたときの、VIPA板20への入射角θは、入射角θよりも小さくなる。このように、コリメートレンズ11をy軸方向に並進移動させることにより、VIPA板20への光線束の入射角を変化させることができる。
【0079】
動作波長の光線束の進行方向は、VIPA板20に入射する光線束の進行方向に一致する。このため、コリメートレンズ11を移動させると、動作波長の光線束の進行方向が変化する。制御装置40は、コリメートレンズ11を移動させても、動作波長の中心光線が自由曲面ミラー35の中心に入射する状態が維持されるように、自由曲面ミラー35をy軸方向に移動させる。
【0080】
図14に、VIPA板20への光線束の入射角と、VIPA板20の動作波長の光線束が自由曲面ミラー35の中心に入射するための自由曲面ミラー35のy軸方向の位置との関係を記憶したデータテーブルを示す。このデータテーブルは、図1に示した記憶装置41に記憶されている。図14に示した例では、入射角をθに設定したとき、自由曲面ミラー35のy軸方向の位置をYにすると、動作波長の光線束が自由曲面ミラー35の中心に入射する。
【0081】
図15に、実施例2による波長分散光学装置の動作のフローチャートを示す。ステップSA1からSA4までは、図9に示した実施例1によるに波長分散光学装置の動作のフローチャートと共通である。
【0082】
ステップSA4の後、ステップSB1において、ステップSA3で決定されたVIPA板20への光線束の入射角から、コリメートレンズ11のy軸方向の位置を算出する。コリメートレンズ11のy軸方向の位置は、シリンドリカルレンズ15の焦点距離から、幾何光学的に求めることができる。
【0083】
ステップSB1の後、ステップSB2において、VIPA板20への光線束の入射角から、自由曲面ミラー35のy軸方向の位置を決定する。自由曲面ミラー35のy軸方向の位置は、図14に示したデータテーブルを用いて決定することができる。
【0084】
ステップSB2の後、ステップSB3において、コリメートレンズ11及び自由曲面ミラー35の位置を制御する。コリメートレンズ11は、位置センサ61の検出結果をフィードバックすることにより、正確に位置決めすることができる。
【0085】
実施例2においても、VIPA板20への入射角を調節することにより、波長分散光学装置の動作波長をシフトさせることができる。一例として、シリンドリカルレンズ15の焦点距離が15mmのとき、コリメートレンズ11を、シリンドリカルレンズ15の光軸の近傍で、y軸方向に約0.26mm移動させると、入射角θが約1°変化する。これにより、m次の動作波長が、約50GHzに相当する波長分変動する。
【実施例3】
【0086】
図16に、実施例3による波長分散光学装置の概略斜視図を示す。以下、図1に示した実施例1による波長分散光学装置との相違点に着目して説明し、同一構成の部分については説明を省略する。
【0087】
実施例3による波長分散光学装置では、図1に示したヒータ28が配置されていない。その他の構成は、図1に示した波長分散光学装置の構成と同一である。
【0088】
図17に、実施例3による波長分散光学装置の動作のフローチャートを示す。ステップSA1、SA4は、それぞれ図9に示したフローチャートのステップSA1、SA4と同一である。
【0089】
ステップSA1及びSA4を実行した後、ステップSC1において、VIPA板20の温度を測定する。ステップSC2において、ステップSC1で測定されたVIPA板20の温度、及びステップSA1で入力された目標動作波長とから、VIPA板20への光線束の入射角を決定する。この入射角の決定は、図8Bのデータテーブルを用いて行うことができる。
【0090】
ステップSC2の後、ステップSC3において、ステップSC2で決定された入射角、及びステップSA4で決定された自由曲面ミラー35の位置に基づいて、VIPA板20の姿勢、及び自由曲面ミラー35の位置を制御する。ステップSC3の後、ステップSC4において、運用停止か否かを判定する。運用を停止しない場合には、ステップSC1からステップSC3までの処理を繰り返す。運用を停止する場合には、処理を終了する。
【0091】
実施例3では、VIPA板20の温度制御が行われないため、VIPA板20の温度が環境によって変動する。VIPA板20の温度の変動に追随して、ステップSC2においてVIPA板20への入射角が決定される。このため、VIPA板20の温度が変動しても、所望の動作波長を維持することができる。
【0092】
上記実施例1〜実施例3による波長分散光学装置は、光ファイバを伝送され、波長分散が生じた光信号の波長分散を補償することができる。また、光ファイバによる伝送前に、光ファイバの持つ波長分散特性と逆の特性の波長分散を、光信号に与えることもできる。
【符号の説明】
【0093】
1 第1の光ファイバ
2 サーキュレータ
3 第2の光ファイバ
4 第3の光ファイバ
10 出射光学系
11 コリメートレンズ
15 シリンドリカルレンズ
16 ビーム入射領域
20 VIPA板
21 温度測定器
22 光学板
23 全反射膜
24 部分反射膜
25 透過窓
26 虚像
27 仮想直線
28 ヒータ
30 集束レンズ
35 自由曲面ミラー(再入射光学素子)
36 移動機構
40 制御装置
41 記憶装置
45 入射角調節機構
50 光ファイバ
51 分波器
55A〜55F 波長分散光学装置
60 出射部移動装置
61 位置センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線束を出射する出射光学系と、
前記出射光学系から出射した光線束が入射し、入射した光線束を、波長ごとに相互に異なる方向に出射させるVIPA板と、
前記VIPA板から出射された光線束を、該VIPA板に再入射させる再入射光学素子と、
前記出射光学系から出射し、前記VIPA板へ入射する光線束の入射角が変化するように、前記VIPA板と前記出射光学系の出射部との相対的な位置関係を変化させる入射角調節機構と
を有する波長分散光学装置。
【請求項2】
前記再入射光学素子によって前記VIPA板に戻された光が、前記VIPA板で多重反射して、前記出射光学系の前記出射部に戻るように、前記再入射光学素子が配置されている請求項1に記載の波長分散光学装置。
【請求項3】
前記VIPA板は、
相互に平行な第1及び第2の表面を持つ光学板と、
前記第2の表面に形成され、前記出射光学系から出射する光線束の一部を反射し、一部を透過させる部分反射膜と、
前記第1の表面に形成され、前記出射光学系から出射する光線束を反射する反射膜と、
前記第1の表面の一部に画定され、前記出射光学系から出射する光線束を透過させる透過窓と
を含み、
前記出射光学系から出射した前記光線束が、前記透過窓を透過して、前記第2の表面に入射し、
前記入射角調節機構は、前記VIPA板への前記光線束の入射面に垂直で、かつ前記第2の表面の、前記光線束の入射位置を通過する回転軸を中心として、前記VIPA板を回転させる請求項1または2に記載の波長分散光学装置。
【請求項4】
前記出射光学系から出射される光線束が、ある波長域内に広がるスペクトルを持つ光信号を含み、
前記波長分散光学装置は、さらに、前記入射角調節機構を制御する制御装置を有し、
前記制御装置は、前記光信号に付与すべき波長分散値、及び前記光信号のスペクトルの中心波長に基づいて、前記VIPA板への、前記光線束の入射角を決定し、決定された入射角になるように、前記入射角調節機構を制御する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の波長分散光学装置。
【請求項5】
前記波長分散光学装置は、さらに、前記VIPA板の温度を測定する温度測定器を有し、
前記制御装置は、前記温度測定器で得られた前記VIPA板の温度に基づいて、前記VIPA板への、前記光線束の入射角を決定し、決定された入射角になるように、前記入射角調節機構を制御する請求項4に記載の波長分散光学装置。
【請求項6】
前記波長分散光学装置は、
さらに、前記VIPA板への前記光線束の入射面に平行な断面に関して、前記出射光学系から出射された光線束を、前記VIPA板の前記第2の表面に収束させるレンズを有し、
前記出射光学系は、前記レンズを介して前記VIPA板に前記光線束を入射させ、
前記入射角調節機構は、
前記出射光学系の出射部を、前記VIPA板への前記光線束の入射面に平行で、かつ前記レンズの光軸に垂直な方向に並進移動させる請求項1または2に記載の波長分散光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−286630(P2010−286630A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139853(P2009−139853)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】