注入材料用カートリッジシステム
【課題】新規注入材料用カートリッジシステムの提供。
【解決手段】以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【解決手段】以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムパックに収容された主剤、硬化剤等の2成分からなる材料、例えば建築、土木分野におけるアンカーボルト固着材、接着剤、シーリング材等を押し出しガン(以下、コーキングガンともいう。)にセットして使用するための注入材料用カートリッジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤やシーリング剤などの流動性物質を目的の注入位置に吐出、注入するための注入材料用カートリッジシステムは広く使用されている。ここで用いられる流動性物質として、1成分の流動性物質を単独注入して使用される形態(以下、1液型注入剤ともいう。)として、建築や土木でシーリング材やコーキング材などがある。一方、2成分の流動性物質を規定の混合比で混合注入して使用される形態(以下、2液型注入剤ともいう。)として、接着剤や充填材やアンカーボルト用固着材などがある。
【0003】
従来の1液型注入剤の場合は、流動性物質をポリエチレンやポリプロピレンなどで円筒状に成型した容器に収容した注入材料用カートリッジが供されている。また、2液型注入剤は、2成分の流動性物質(例えば、一方が主剤、他方が硬化剤)をポリエチレンやポリプロピレンなどで円筒状に成型した容器に個別に収容した2本の収容筒を横並びに連結し、一体化した構造の注入材料用カートリッジが供されている。
【0004】
さらに、近年は使用後の廃棄物量の削減や環境への配慮や経済的観点から、包装材の廃棄物量を低減するため、流動性物質をラミネートフィルムなどの可とう性を有する折り畳み可能なチューブ等に収容したフィルムパックを円筒状のホルダー内に挿入して、コーキングガンなどの押し出しガンにセットして使用される注入材料用カートリッジが提供されている。
【0005】
例えば、以下の特許文献1には、予め柔軟かつ円筒のフィルム容器内に高粘度流動物を充填し、かつ、そのフィルム容器の両端を結束し、これをコーキングガンの円筒容器中に装填した後、前記フィルム容器のコーキング吐出側端部を切り取り、他端側から高粘度流体を押し出すシーリング材等の高粘度流動物の施工方法が開示されている。
この場合、フィルム容器のコーキング吐出側端部を切り取るためにハサミやナイフなどの切断道具を必要とするため、作業工程が増えるばかりか、切断する場合に手を汚したり怪我したりする可能性があるなどの問題がある。また、ノズルキャップ(吐出ヘッド)を装着前にフィルムパックの一端部を切断するため、フィルムパック内部圧力によって流動性物質が本体から外部に溢れ出て手や押し出しガンに付着してしまうという問題もある。
【0006】
道具を要しない注入材料用カートリッジシステムとしては、例えば、以下の特許文献2には、先端部に筒状をなす吐出口部が設けられたカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の吐出口部に基端部が装着されるノズルとを備え、上記吐出口部の内側の開口部が密封シートによって遮蔽された吐出ガン用カートリッジにおいて、上記ノズルの基端部に上記吐出口部の内部に着脱可能に挿入される挿入筒部を設け、この挿入筒部の先端部に、当該挿入筒部を上記吐出口部に挿入したときに上記密封シートに押し当たってこれを破る破断部を形成し、上記挿入筒部の一側部の先端が上記吐出口部の内側の開口端より外側に位置し、上記挿入筒部の他側部の先端が上記吐出口部の内側の開口端より内側に位置するように、上記挿入筒部の一側部と他側部との長さをそれぞれ設定したことを特徴とする吐出ガン用カートリッジが開示されている。
この場合、先端には吐出口部を密閉シートによって遮蔽した蓋体と補強リングがあり、後端には底部があるため、フィルムパックの形状が繁雑となり、フィルムパック自体の製造コストが高くなるだけでなく、内容物の充填においても連続生産が困難である。さらには、蓋体、補強リング、底部も廃棄物となるため、廃棄物量増加するという問題もある。
【0007】
2液型注入剤として、例えば、以下の特許文献3に記載されるように、それぞれ閉鎖端及び開口端を有し、それぞれの閉鎖端はそれを貫通する通路を有する2つの平行するシリンダーを有するハウジングと、それぞれの通路を伴う、二成分の混合物を配合するための混合ノズルを取り付けるための閉鎖端の外側の固定手段(ミキシングノズル装着部)とからなり、前記シリンダーのそれぞれが配合ガンから押し出されたソーセージ状パックを受入れそして保持するのに十分である長さ及び直径を有する、二成分ソーセージ状パック用の配合ガンのための使い捨てのマニホールドユニット(吐出ヘッド)が開示されており、該マニホールドユニットは、ソーセージ状パック(フィルムパック)を穴開けするための穴開けノズルを含んでいる。
【0008】
この場合、主剤と硬化剤を別々のフィルムパックで貯蔵し、吐出ヘッドに2本のフィルムパックを横並びに連結して一体化した構造(2本もの)の注入材料用カートリッジシステムであり、主剤と硬化剤を個々のフォイルパックに貯蔵しているため、互いに結合する際に作業工程が増えること、また、2液型注入剤は、接着剤の種類によって主剤と硬化剤の混合比が異なるため、接着剤の種類ごとにそれぞれの混合比に対応した大きさ(太さ)の異なるフィルムパックや、収納筒や専用の高価な押し出しガンを用意しなければならず、汎用性に欠けるという問題がある。さらに、穴開けノズルは固定されたものであり、使用前の保管時、輸送時にフィルムパックが誤って開封してしまうおそれもある。
【0009】
さらに、例えば、特許文献4には、接着剤やシーリング材等の注入材料を構成する複数種類の原液を区分けして内部に収容し、押し出しガンにセットして前記注入材料の注入施工に用いる注入材料用カートリッジであって、筒状本体と、この筒状本体の先端部に設けられた吐出口と、前記筒状本体の後端部に設けられ前記押し出しガンの押し出しピストンからの押圧によって筒状本体先端部に向けて筒状本体内に押し込まれるピストン部材とからなるケーシングの内部に、前記注入材料を構成する各原液が、該原液をフィルムによって包囲して収容する原液収容体に区分けして収容されていることを特徴とする注入材料用カートリッジも開示されている。
図11に示すように、特許文献4に記載された注入材料用カートリッジにおいては、吐出開口部から引き出すための引き出し部材がフィルムパックと連結されており、前記引き出し部材によりフィルムパックの一端を引き出し切断することにより、フィルムパックが開封される。この場合、切断道具を必要とし、作業工程が増えるばかりか、切断する場合に手を汚したり怪我をしたりする可能性があるという問題がある。さらには、フィルムパックが吐出開口部を通過する構造であるため、吐出開口部が狭くなり吐出抵抗が高くなったり吐出混合比が安定しなくなったりする問題もある。
【0010】
さらに、例えば、特許文献5には、多室チューブ状袋から物質を採取するための、特に2室チューブ状袋から物質を採取するためのアダプタ(吐出ヘッド)であって、袋室から採取された物質がアダプタ(吐出ヘッド)内でほぼ別々に案内されるものにおいて、アダプタは、袋室内に包含されている物質を当該アダプタを貫通して搬送するための少なくとも2つの貫通路を有し、かつ、袋室内に包含されている物質を排出する際に貫通路の内壁が当該物質と直接接触するように形成されていることを特徴とする多室チューブ状袋から物質を採取するためのアダプタ(吐出ヘッド)が開示されている。
図12に示すように、突き刺し部材の形状として、針状又はスパイク状の突き出し工具又は切断工具が記載されているが、針状又はスパイク状で突き刺すだけでは、フィルムパックの開封が小さく流路が確保されないため吐出抵抗が大きくなったり内容物の吐出混合比が安定しなくなったりする問題がある。切断工具について具体的な記載はない。特許文献5には、吐出ヘッドの受け部内面の形状も特に限定はない。また、開示されている図から、吐出ヘッド内に内容物が滞留するため、吐出混合比が一定にならず、特に吐出開始時には所定の混合比で吐出されないという問題や、内容物が吐出ヘッドとフィルムパックの隙間から外部に漏れ出す可能性があると思われる。さらに、フィルムの開封を同時に行うことが開示されているが、2成分の流動性物質の混合比の差が大きい場合、初めてフィルムパックからの押し出し開始する時(吐出開始初期ともいう。)においては2室式フィルムパックの小断面積側部(以下、小断面積側部ともいう。)の流動性物質の吐出がされ難くなるため、所定の吐出混合比とならず、捨てショット数が多くなり、内容物が無駄になり、結果、廃棄量も多くなるという問題がある。
【0011】
特許文献5には、開放手段が固定されている場合が開示されているが、固定されている場合は使用前の保管時、輸送時に誤ってフィルムパックが開封してしまうおそれがある。外からアダプタ(吐出ヘッド)に取り付け可能である場合も開示されているが、特に取り付け位置は指定されておらず、開示された図の位置である場合、開封手段のある部分が吐出ヘッド外部と貫通する形状となっており、当該部分から内容物が漏れ出すおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭50−5432公報
【特許文献2】特開2006−225047号公報
【特許文献3】特開平7−241507号公報
【特許文献4】特開2003−237860号公報
【特許文献5】特表2004−500286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、2成分からなる流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックを円筒状のホルダーに挿入し、先端に吐出ヘッド装着し、押出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、特殊な治具等を用いることなく、市販の押し出しガン(コーキングガン)にも適用でき、ハサミやナイフなどの道具を使用せずにかつ、安全に開封すること(自動開封)が可能であり、特に2成分の混合比の差が大きい場合においても、吐出開始初期から適正な混合比で確実に混合できる注入材料用カートリッジシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【0015】
[2]前記筒状カット刃は、上下2箇所にカット部を有する嘴状で、該カット部の先端は、鋭利なV字型であり、カット部先端は、前記2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックのそれぞれの成分の位置に当接するように配置される、前記[1]に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0016】
[3]前記筒状カット刃の上下2箇所のカット部の内、前記2室式のフィルムパックの断面積の小さい側の外周位置に当接するカット部を、前記流動性物質の吐出方向において長くしてある、前記[1]又は[2]に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0017】
[4]前記筒状カット刃の胴部に、前記流動性物質の通路が設けられている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0018】
[5]前記吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部に該ミキシングノズルを装着する時、前記筒状カット刃の該カット部の先端が、該該吐出ヘッドの保持部の内面から前記フィルムパックに向かって自動的に突出するように、前記筒状カット刃の長さが調整されている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0019】
[6]2液混合型の注入式アンカーボルト固着用途に使用される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【発明の効果】
【0020】
本発明の注入材料用カートリッジシステムは、専用の押し出しガンを用意する必要がなく、汎用的な押し出しガンのみで吐出ができ、ミキシングノズルを取り付けることで吐出ヘッド内面にカット刃が突出し、自動開封ができるものであり、2成分の流動性物質の混合量の差(混合比)が大きく、フィルムパックの2室の断面積比が大きい場合でも吐出開始所期から内容物を適正な吐出混合比で押し出し(以下、吐出ともいう。)できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る注入材料用カートリッジシステム
【図2】本発明に係るフィルムパック
【図3】本発明に係る円筒状ホルダー
【図4】本発明に使用する押し出しガン
【図5】本発明に係る吐出ヘッド
【図6】本発明に係る筒状カット刃
【図7】本発明に係る筒状カット刃のカット部が1箇所の場合の流動状態
【図8】本発明に係る筒状カット刃のカット部が2箇所の場合の流動状態
【図9】本発明に係る吐出ヘッドに筒状カット刃をセットした状態の断面図
【図10】本発明に係る注入材料用カートリッジを押し出しガンにセットして使用する状態
【図11】特許文献4に記載されたカートリッジシステム
【図12】特許文献5に記載された吐出ヘッド
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
以下の実施形態のカートリッジは、図1に示すように、2つの成分の流動性物質を分離収容した2室式フィルムパック1と円筒状ホルダー2と吐出ヘッド3と筒状カット刃4とミキシングノズル7を主な構成要素としている。
本発明における2成分の流動性物質とは、主剤と硬化剤の2成分を規定の混合比で混合して注入材料として使用されるものであり、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0023】
一般に、アンカーボルト固着材としては、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などに炭酸カルシウムや硅砂などのフィラー類を充填したものが使用される。また、アンカーボルト固着材の主剤、硬化剤の粘度は、5〜30Pa・s(スパイラル粘度計PCU−205((株)マルコム製)50rpm 25℃)であり、好ましくは8〜15Pa・sである。
【0024】
図2に示すように、本発明におけるフィルムパック1は、柔軟性を有するフィルム(膜体)を2成分の流動性物質(以下、内容物又は主剤、硬化剤ともいう。)の混合比に合わせた断面積で2室に隔離された筒状に成形されている。特に、2成分の混合比が大きい場合は、必然的に小断面積側部1aと大断面積側部1bの2室のフィルムパックとなる。内容物を充填は、例えば、前記2室式フィルムパックの一端を封止し、流動性物質を充填後に、他端を封止して行われる。両端の封止は、クリップなどの留め金12により結束することもできるが、内容物の滲み出しがあるため、ヒートシール11することが好ましい。さらに好ましくは、少なくとも吐出側をガゼット折りでヒートシール11することにより、筒状カット刃4の当接する部分が判別し易く、また、吐出時に大断面積側部1b(主剤)と小断面積側部1a(硬化剤)の開封領域が確保され易く、混合吐出比が一定となる。また、カゼット折りの方法(向き)は、小断面積側部1aの面積を確保するために、大断面積側部1bを加工(折り込む)することが好ましい。
【0025】
フィルムパック1に使用されるフィルム体の材質は、耐薬品性と耐バリア性が要求される。内容物の種類によるが、例えば、アルミニウムの薄膜と樹脂シートとをラミネートして構成されるものが使用できる。フィルムの厚みは、特に制限はないが厚すぎると、筒状カット刃4でフィルムパック1を突き破ることが困難となったり吐出時のフィルムの折り畳みが悪くなる。また、薄すぎると貯蔵、輸送時にフィルムパック1が破裂してしまうおそれがある。実質的な厚みとしては、10〜300μmの範囲が良く、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜120μmである。
【0026】
図3に示すように、本発明における円筒状ホルダー2は、シリンダー21とピストン22で構成される。円筒状ホルダー2は、実質的に中空のものであればよく、形状は自由に設計可能であるが、一般に普及している押し出しガンの構造から鑑みて、円筒状のものが好ましい。
円筒状ホルダーは内容物の吐出時に摩擦抵抗を軽減し、また、フィルムパック1のフィルムの噛み込みを防止することが必要である。特に限定はしないが、内壁に長手方向に線条の溝を複数設けたシリンダーと、該線条の溝に沿ってスライドするための羽を有するピストンからなるものや、円筒シリンダーと外周に鍔を設けたピストンからなるものなどが使用できる。また、ピストン22の先端(フィルムパック側)は、フィルムパック1内の内容物が可能な限り残らないようにするために、凸型23となっていることが好ましい。特に好ましくは、吐出ヘッド内面の形状と概同形状で、1mm〜2mm小さい形状が好ましい。
円筒状ホルダー2の材質としては、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが好ましい。
【0027】
また、図4に5bとして示すように、ホルダーが押出しガンと一体となったものもある。
【0028】
図5に示すように、本発明における吐出ヘッド3は、押さえ部35と保持部34で構成される。押さえ部35には、吐出開口部32があり、外側先端側部には吐出開口部32と連通するミキシングノズル接続部31が設けられている。保持部の内面を形成する吐出受け部33の形状は特に限定しないが、吐出開始時に内容物が滞留しないようにする必要がある。好ましくはフィルムパック1の当接する端部の形状と概同形状であることが好ましい。
吐出ヘッド3の材質は、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスチックティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが好ましい。
【0029】
以下詳細に説明するが、図9に示すように、吐出ヘッド3には、吐出方向に平行して前後スライド可能な状態で筒状カット刃4が設置される。
【0030】
図6に示すように、筒状カット刃4は、筒状で先端が鋭利なV字型の形状のカット部41と42を有する。
特に主剤と硬化剤の混合比が大きい場合、比率の大きい主剤(大断面積側部1b)が開封され吐出されると、比率の小さい硬化剤(小断面積側部1a)が開封されにくくなり、結果、吐出開始初期では主剤のみが吐出されることになる。そこで、吐出開始初期から適正な吐出混合比で吐出するためにも、カット部の形状は小断面積側部1aが開封されるようにすることが望ましい。
1箇所のカット部41でもよいが、好ましくは、嘴状で上下2箇所にカット部41とカット部42を設けることが好ましい。さらに、筒状カット刃4の胴部には、流動性物質が通過する開口部43を有するため、内容物の押し出されるための流路を確保することができる。
【0031】
図7に示すように、1箇所のカット部41の場合は、フィルムパック1の小断面積側部1aからフィルムを突き破り、ついで大断面積側部1bまで貫通させることによって確実にフィルムパック1の小断面積側部1aが開封され、吐出開始初期から吐出混合比が安定する効果が得られる。
【0032】
一方、図8に示すように、2箇所のカット部41とカット部42の場合は、小断面積側部1aからフィルムを突き破り、ついで大断面積側部1bを突き破り貫通させることで、確実に小断面積側部1aから開封され、吐出開始初期から吐出混合比が安定する効果が得られる。このような効果を確実に得るためには、図8及び図9に示すように、カット刃4の上下2箇所のカット部のうち、フィルムパック1の小断面積側部1aが当接する側である上側(C−D)を、下側(E−F)よりも、1mm〜8mm程長くする必要がある。さらに、カット刃4胴部には、流動性物質が通過する開口部43を有するため、内容物の押し出されるための流路も確保される。
【0033】
また、図6に示すように、V型のカット部先端の角度45は100度以下で加工するのが好ましく、さらに好ましくは、フィルムの突き破り易さを考慮し30度〜80度であることが好ましい。
一方、筒状カット刃4の角度44は、70度以下で加工するのが好ましく、さらに好ましくは、フィルムの突き破り易さを考慮し20度〜50度である。
【0034】
図9に示すように、筒状カット刃4の長さは、使用する際、すなわち、吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部にミキシングノズルを装着する時、吐出ヘッドの保持部の内面を形成する吐出ヘッド3の受け部33から、筒状カット刃4のカット部の先端41と42が10mm〜20mm程突出するように設計することにより、フィルムパック1の確実な突き破り及び流動性物質の通路の確保が達成される。
【0035】
筒状カット刃4の胴部に設けられる開口部43は、図7及び図8に示すように、筒状カット刃4がフィルムパック1を突き破った際に、フィルムパック1のそれぞれの室に止まるように設けられる。開口部43の形状は特に拘らないが、5角形、円形、楕円形等が挙げられる。
筒状カット刃4は、使用時に装着してもよいが、使用前から装着されていてもよい。使用前から装着されている場合は、吐出ヘッド内面に突出していないか、突出していても保管、輸送時にフィルムパック1を突き破らない程度に止めておく必要がある。いずれの場合においても、吐出ヘッド3のミキシングノズル装着部31にミキシングノズル7を装着する時に、筒状カット刃4が自動的に押されて、フィルムパック1を突き破るか又は押し出しガン5aで吐出する際の吐出圧力でフィルムパック1が押され、筒状カット刃4でフィルムパック1を突き破るだけの長さが、筒状カット刃4には要求される。
【0036】
筒状カット刃4の材質は、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスチックティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、金属、プラスティックが好ましく、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが最適である。
フィルムパック1と吐出ヘッド3は接着しても、接着しなくてもよいが、円筒状ホルダー部2への流動性物質の逆流を防ぐ目的で、適当なシール剤(接着剤)で接着させていることが好ましい。
【0037】
本発明における吐出ヘッド3に取り付けるミキシングノズル7は、何ら制約を受けることはなく、市販にあるものが使用可能である。例えば、円筒状ハウジング内に混合エレメントが収容されたスタティックミキサーなどがある。
【0038】
図4に示すように、本発明における押し出しガンは、本発明の注入材料用カートリッジシステムがセットできるものであればいずれでもよく、手動式、エアー式、電動式等が挙げられる。
【0039】
図10に示すように、上記構成を有する本発明に係る注入材料用カートリッジを使用する場合には、例えば、接着剤やシーリング材等の流動性物質を収容したフィルムパック1を、円筒状のホルダー2に挿入し、先端に吐出ヘッド3装着し、押し出しガン5aにセットする。1箇所のカット部がある筒状カット刃4aの場合はカット刃先端をフィルムパック1の小断面積側部1aに当たるように向きを調整し、2箇所のカット部がある筒状カット刃4bの場合は、カット部が長い方をフィルムパック1の小断面積側部1aに当たるように向きを調整し、吐出ヘッド3の吐出開口部32へ挿入する。ミキシングノズル装着部31にミキシングノズル7を装着時することで、吐出ヘッド内面にかかる筒状カット刃4が突出する。かかる筒状カット刃4により自動的にフィルムパック1の所望の部分が突き破られるか、押し出しガンの押し出しピストンからの押圧力によって、フィルムパック1が前方に押し出され、フィルムパック1の所望の部分が突き破られることになる。この際、確実に小断面積側部1aから順番に突き破られる。
【0040】
さらに、押し出しガンで押し出すと、フィルムパック1の内容物は、筒状カット刃4のカット部先端及び/又はカット刃胴部に設けた開口部43から、筒状カット刃4の内部を通ってミキシングノズル7へ押し出されてミキシングノズル7内で撹拌、混合され、結果、所望の配合比の流動性物質(2成分)がミキシングノズル先端から供給される。
このように、この発明の注入材料用カートリッジシステムにおいては、吐出ヘッド3の吐出開口部32に筒状カット刃4を挿入し、ミキシングノズル7を装着することによりフィルムパック1を突き破るという機構が設けられており、また、小断面積側部1aから先に開封されるように設計されているため、吐出開始初期から所望の混合比で内容物が吐出混合される。また、ミキシングノズル7を吐出ヘッド3に装着する時に、筒状カット刃4が吐出ヘッド3の内面から内面にフィルムパック1側に向かって突出されるため、例えば、ミキシングノズル7を吐出ヘッド3に装着しない状態で、フィルムパック1と吐出ヘッド3を接合して保管、輸送しても、誤ってフィルムパック1が開封されることはない。さらに、開封時には、フィルムパック1の一端を切断するための切断道具を必要としないため、人体への接触や怪我が生じるおそれはない。また、各流動性物質を貯蔵したフィルムパック1は、円筒状ホルダー2の中心軸線に沿って延在されているため、ミキシングノズル7内での複数の流動性物質の混合比(配合比)は常に一定に維持され、ミキシングノズル7先端から押し出される接着剤の性状、特性も安定している。
さらに、フィルムパック1は、薄い膜体で形成されているので、使用されるにしたがって潰され、使用後は吐出ヘッド3の受け部33にフィルムパック1が折り畳まれる状態となり、廃棄物としての量を減らすことができ、その運搬、処理を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る注入材用カートリッジシステムは、建築、土木、医療、エレクトロニクス、機械工業、粉体工業、金属加工などあらゆる分野において、種々の接着剤を包袋状のフィルムを装填して、接着剤を吐出、混合する場合に利用でき、特に、アンカーボルト固着材料に好適である。
【符号の説明】
【0042】
1 フィルムパック
11 ヒートシール
12 留め金
1a 小断面積部
1b 大断面積部
2 円筒状ホルダー
21 シリンダー
22 ピストン
23 凸型
3 吐出ヘッド
31 ミキシングノズル接続部
32 吐出開口部
33 吐出受け部
34 保持部
35 押さえ部
4 筒状カット刃
41 カット部
42 カット部
43 開口部
44 筒状カット刃の角度
45 筒状カット刃のV型のカット部先端の角度
4a 筒状カット刃(カット部1箇所)
4b 筒状カット刃(カット部2箇所)
5a 押し出しガン
5b ホルダー一体型押し出しガン
7 ミキシングノズル
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムパックに収容された主剤、硬化剤等の2成分からなる材料、例えば建築、土木分野におけるアンカーボルト固着材、接着剤、シーリング材等を押し出しガン(以下、コーキングガンともいう。)にセットして使用するための注入材料用カートリッジシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤やシーリング剤などの流動性物質を目的の注入位置に吐出、注入するための注入材料用カートリッジシステムは広く使用されている。ここで用いられる流動性物質として、1成分の流動性物質を単独注入して使用される形態(以下、1液型注入剤ともいう。)として、建築や土木でシーリング材やコーキング材などがある。一方、2成分の流動性物質を規定の混合比で混合注入して使用される形態(以下、2液型注入剤ともいう。)として、接着剤や充填材やアンカーボルト用固着材などがある。
【0003】
従来の1液型注入剤の場合は、流動性物質をポリエチレンやポリプロピレンなどで円筒状に成型した容器に収容した注入材料用カートリッジが供されている。また、2液型注入剤は、2成分の流動性物質(例えば、一方が主剤、他方が硬化剤)をポリエチレンやポリプロピレンなどで円筒状に成型した容器に個別に収容した2本の収容筒を横並びに連結し、一体化した構造の注入材料用カートリッジが供されている。
【0004】
さらに、近年は使用後の廃棄物量の削減や環境への配慮や経済的観点から、包装材の廃棄物量を低減するため、流動性物質をラミネートフィルムなどの可とう性を有する折り畳み可能なチューブ等に収容したフィルムパックを円筒状のホルダー内に挿入して、コーキングガンなどの押し出しガンにセットして使用される注入材料用カートリッジが提供されている。
【0005】
例えば、以下の特許文献1には、予め柔軟かつ円筒のフィルム容器内に高粘度流動物を充填し、かつ、そのフィルム容器の両端を結束し、これをコーキングガンの円筒容器中に装填した後、前記フィルム容器のコーキング吐出側端部を切り取り、他端側から高粘度流体を押し出すシーリング材等の高粘度流動物の施工方法が開示されている。
この場合、フィルム容器のコーキング吐出側端部を切り取るためにハサミやナイフなどの切断道具を必要とするため、作業工程が増えるばかりか、切断する場合に手を汚したり怪我したりする可能性があるなどの問題がある。また、ノズルキャップ(吐出ヘッド)を装着前にフィルムパックの一端部を切断するため、フィルムパック内部圧力によって流動性物質が本体から外部に溢れ出て手や押し出しガンに付着してしまうという問題もある。
【0006】
道具を要しない注入材料用カートリッジシステムとしては、例えば、以下の特許文献2には、先端部に筒状をなす吐出口部が設けられたカートリッジ本体と、このカートリッジ本体の吐出口部に基端部が装着されるノズルとを備え、上記吐出口部の内側の開口部が密封シートによって遮蔽された吐出ガン用カートリッジにおいて、上記ノズルの基端部に上記吐出口部の内部に着脱可能に挿入される挿入筒部を設け、この挿入筒部の先端部に、当該挿入筒部を上記吐出口部に挿入したときに上記密封シートに押し当たってこれを破る破断部を形成し、上記挿入筒部の一側部の先端が上記吐出口部の内側の開口端より外側に位置し、上記挿入筒部の他側部の先端が上記吐出口部の内側の開口端より内側に位置するように、上記挿入筒部の一側部と他側部との長さをそれぞれ設定したことを特徴とする吐出ガン用カートリッジが開示されている。
この場合、先端には吐出口部を密閉シートによって遮蔽した蓋体と補強リングがあり、後端には底部があるため、フィルムパックの形状が繁雑となり、フィルムパック自体の製造コストが高くなるだけでなく、内容物の充填においても連続生産が困難である。さらには、蓋体、補強リング、底部も廃棄物となるため、廃棄物量増加するという問題もある。
【0007】
2液型注入剤として、例えば、以下の特許文献3に記載されるように、それぞれ閉鎖端及び開口端を有し、それぞれの閉鎖端はそれを貫通する通路を有する2つの平行するシリンダーを有するハウジングと、それぞれの通路を伴う、二成分の混合物を配合するための混合ノズルを取り付けるための閉鎖端の外側の固定手段(ミキシングノズル装着部)とからなり、前記シリンダーのそれぞれが配合ガンから押し出されたソーセージ状パックを受入れそして保持するのに十分である長さ及び直径を有する、二成分ソーセージ状パック用の配合ガンのための使い捨てのマニホールドユニット(吐出ヘッド)が開示されており、該マニホールドユニットは、ソーセージ状パック(フィルムパック)を穴開けするための穴開けノズルを含んでいる。
【0008】
この場合、主剤と硬化剤を別々のフィルムパックで貯蔵し、吐出ヘッドに2本のフィルムパックを横並びに連結して一体化した構造(2本もの)の注入材料用カートリッジシステムであり、主剤と硬化剤を個々のフォイルパックに貯蔵しているため、互いに結合する際に作業工程が増えること、また、2液型注入剤は、接着剤の種類によって主剤と硬化剤の混合比が異なるため、接着剤の種類ごとにそれぞれの混合比に対応した大きさ(太さ)の異なるフィルムパックや、収納筒や専用の高価な押し出しガンを用意しなければならず、汎用性に欠けるという問題がある。さらに、穴開けノズルは固定されたものであり、使用前の保管時、輸送時にフィルムパックが誤って開封してしまうおそれもある。
【0009】
さらに、例えば、特許文献4には、接着剤やシーリング材等の注入材料を構成する複数種類の原液を区分けして内部に収容し、押し出しガンにセットして前記注入材料の注入施工に用いる注入材料用カートリッジであって、筒状本体と、この筒状本体の先端部に設けられた吐出口と、前記筒状本体の後端部に設けられ前記押し出しガンの押し出しピストンからの押圧によって筒状本体先端部に向けて筒状本体内に押し込まれるピストン部材とからなるケーシングの内部に、前記注入材料を構成する各原液が、該原液をフィルムによって包囲して収容する原液収容体に区分けして収容されていることを特徴とする注入材料用カートリッジも開示されている。
図11に示すように、特許文献4に記載された注入材料用カートリッジにおいては、吐出開口部から引き出すための引き出し部材がフィルムパックと連結されており、前記引き出し部材によりフィルムパックの一端を引き出し切断することにより、フィルムパックが開封される。この場合、切断道具を必要とし、作業工程が増えるばかりか、切断する場合に手を汚したり怪我をしたりする可能性があるという問題がある。さらには、フィルムパックが吐出開口部を通過する構造であるため、吐出開口部が狭くなり吐出抵抗が高くなったり吐出混合比が安定しなくなったりする問題もある。
【0010】
さらに、例えば、特許文献5には、多室チューブ状袋から物質を採取するための、特に2室チューブ状袋から物質を採取するためのアダプタ(吐出ヘッド)であって、袋室から採取された物質がアダプタ(吐出ヘッド)内でほぼ別々に案内されるものにおいて、アダプタは、袋室内に包含されている物質を当該アダプタを貫通して搬送するための少なくとも2つの貫通路を有し、かつ、袋室内に包含されている物質を排出する際に貫通路の内壁が当該物質と直接接触するように形成されていることを特徴とする多室チューブ状袋から物質を採取するためのアダプタ(吐出ヘッド)が開示されている。
図12に示すように、突き刺し部材の形状として、針状又はスパイク状の突き出し工具又は切断工具が記載されているが、針状又はスパイク状で突き刺すだけでは、フィルムパックの開封が小さく流路が確保されないため吐出抵抗が大きくなったり内容物の吐出混合比が安定しなくなったりする問題がある。切断工具について具体的な記載はない。特許文献5には、吐出ヘッドの受け部内面の形状も特に限定はない。また、開示されている図から、吐出ヘッド内に内容物が滞留するため、吐出混合比が一定にならず、特に吐出開始時には所定の混合比で吐出されないという問題や、内容物が吐出ヘッドとフィルムパックの隙間から外部に漏れ出す可能性があると思われる。さらに、フィルムの開封を同時に行うことが開示されているが、2成分の流動性物質の混合比の差が大きい場合、初めてフィルムパックからの押し出し開始する時(吐出開始初期ともいう。)においては2室式フィルムパックの小断面積側部(以下、小断面積側部ともいう。)の流動性物質の吐出がされ難くなるため、所定の吐出混合比とならず、捨てショット数が多くなり、内容物が無駄になり、結果、廃棄量も多くなるという問題がある。
【0011】
特許文献5には、開放手段が固定されている場合が開示されているが、固定されている場合は使用前の保管時、輸送時に誤ってフィルムパックが開封してしまうおそれがある。外からアダプタ(吐出ヘッド)に取り付け可能である場合も開示されているが、特に取り付け位置は指定されておらず、開示された図の位置である場合、開封手段のある部分が吐出ヘッド外部と貫通する形状となっており、当該部分から内容物が漏れ出すおそれもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭50−5432公報
【特許文献2】特開2006−225047号公報
【特許文献3】特開平7−241507号公報
【特許文献4】特開2003−237860号公報
【特許文献5】特表2004−500286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、2成分からなる流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックを円筒状のホルダーに挿入し、先端に吐出ヘッド装着し、押出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、特殊な治具等を用いることなく、市販の押し出しガン(コーキングガン)にも適用でき、ハサミやナイフなどの道具を使用せずにかつ、安全に開封すること(自動開封)が可能であり、特に2成分の混合比の差が大きい場合においても、吐出開始初期から適正な混合比で確実に混合できる注入材料用カートリッジシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記のとおりである。
[1]以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【0015】
[2]前記筒状カット刃は、上下2箇所にカット部を有する嘴状で、該カット部の先端は、鋭利なV字型であり、カット部先端は、前記2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックのそれぞれの成分の位置に当接するように配置される、前記[1]に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0016】
[3]前記筒状カット刃の上下2箇所のカット部の内、前記2室式のフィルムパックの断面積の小さい側の外周位置に当接するカット部を、前記流動性物質の吐出方向において長くしてある、前記[1]又は[2]に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0017】
[4]前記筒状カット刃の胴部に、前記流動性物質の通路が設けられている、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0018】
[5]前記吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部に該ミキシングノズルを装着する時、前記筒状カット刃の該カット部の先端が、該該吐出ヘッドの保持部の内面から前記フィルムパックに向かって自動的に突出するように、前記筒状カット刃の長さが調整されている、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【0019】
[6]2液混合型の注入式アンカーボルト固着用途に使用される、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の注入材料用カートリッジシステム。
【発明の効果】
【0020】
本発明の注入材料用カートリッジシステムは、専用の押し出しガンを用意する必要がなく、汎用的な押し出しガンのみで吐出ができ、ミキシングノズルを取り付けることで吐出ヘッド内面にカット刃が突出し、自動開封ができるものであり、2成分の流動性物質の混合量の差(混合比)が大きく、フィルムパックの2室の断面積比が大きい場合でも吐出開始所期から内容物を適正な吐出混合比で押し出し(以下、吐出ともいう。)できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る注入材料用カートリッジシステム
【図2】本発明に係るフィルムパック
【図3】本発明に係る円筒状ホルダー
【図4】本発明に使用する押し出しガン
【図5】本発明に係る吐出ヘッド
【図6】本発明に係る筒状カット刃
【図7】本発明に係る筒状カット刃のカット部が1箇所の場合の流動状態
【図8】本発明に係る筒状カット刃のカット部が2箇所の場合の流動状態
【図9】本発明に係る吐出ヘッドに筒状カット刃をセットした状態の断面図
【図10】本発明に係る注入材料用カートリッジを押し出しガンにセットして使用する状態
【図11】特許文献4に記載されたカートリッジシステム
【図12】特許文献5に記載された吐出ヘッド
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を詳細に説明する。
以下の実施形態のカートリッジは、図1に示すように、2つの成分の流動性物質を分離収容した2室式フィルムパック1と円筒状ホルダー2と吐出ヘッド3と筒状カット刃4とミキシングノズル7を主な構成要素としている。
本発明における2成分の流動性物質とは、主剤と硬化剤の2成分を規定の混合比で混合して注入材料として使用されるものであり、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。
【0023】
一般に、アンカーボルト固着材としては、エポキシ樹脂やビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂などに炭酸カルシウムや硅砂などのフィラー類を充填したものが使用される。また、アンカーボルト固着材の主剤、硬化剤の粘度は、5〜30Pa・s(スパイラル粘度計PCU−205((株)マルコム製)50rpm 25℃)であり、好ましくは8〜15Pa・sである。
【0024】
図2に示すように、本発明におけるフィルムパック1は、柔軟性を有するフィルム(膜体)を2成分の流動性物質(以下、内容物又は主剤、硬化剤ともいう。)の混合比に合わせた断面積で2室に隔離された筒状に成形されている。特に、2成分の混合比が大きい場合は、必然的に小断面積側部1aと大断面積側部1bの2室のフィルムパックとなる。内容物を充填は、例えば、前記2室式フィルムパックの一端を封止し、流動性物質を充填後に、他端を封止して行われる。両端の封止は、クリップなどの留め金12により結束することもできるが、内容物の滲み出しがあるため、ヒートシール11することが好ましい。さらに好ましくは、少なくとも吐出側をガゼット折りでヒートシール11することにより、筒状カット刃4の当接する部分が判別し易く、また、吐出時に大断面積側部1b(主剤)と小断面積側部1a(硬化剤)の開封領域が確保され易く、混合吐出比が一定となる。また、カゼット折りの方法(向き)は、小断面積側部1aの面積を確保するために、大断面積側部1bを加工(折り込む)することが好ましい。
【0025】
フィルムパック1に使用されるフィルム体の材質は、耐薬品性と耐バリア性が要求される。内容物の種類によるが、例えば、アルミニウムの薄膜と樹脂シートとをラミネートして構成されるものが使用できる。フィルムの厚みは、特に制限はないが厚すぎると、筒状カット刃4でフィルムパック1を突き破ることが困難となったり吐出時のフィルムの折り畳みが悪くなる。また、薄すぎると貯蔵、輸送時にフィルムパック1が破裂してしまうおそれがある。実質的な厚みとしては、10〜300μmの範囲が良く、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜120μmである。
【0026】
図3に示すように、本発明における円筒状ホルダー2は、シリンダー21とピストン22で構成される。円筒状ホルダー2は、実質的に中空のものであればよく、形状は自由に設計可能であるが、一般に普及している押し出しガンの構造から鑑みて、円筒状のものが好ましい。
円筒状ホルダーは内容物の吐出時に摩擦抵抗を軽減し、また、フィルムパック1のフィルムの噛み込みを防止することが必要である。特に限定はしないが、内壁に長手方向に線条の溝を複数設けたシリンダーと、該線条の溝に沿ってスライドするための羽を有するピストンからなるものや、円筒シリンダーと外周に鍔を設けたピストンからなるものなどが使用できる。また、ピストン22の先端(フィルムパック側)は、フィルムパック1内の内容物が可能な限り残らないようにするために、凸型23となっていることが好ましい。特に好ましくは、吐出ヘッド内面の形状と概同形状で、1mm〜2mm小さい形状が好ましい。
円筒状ホルダー2の材質としては、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが好ましい。
【0027】
また、図4に5bとして示すように、ホルダーが押出しガンと一体となったものもある。
【0028】
図5に示すように、本発明における吐出ヘッド3は、押さえ部35と保持部34で構成される。押さえ部35には、吐出開口部32があり、外側先端側部には吐出開口部32と連通するミキシングノズル接続部31が設けられている。保持部の内面を形成する吐出受け部33の形状は特に限定しないが、吐出開始時に内容物が滞留しないようにする必要がある。好ましくはフィルムパック1の当接する端部の形状と概同形状であることが好ましい。
吐出ヘッド3の材質は、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスチックティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが好ましい。
【0029】
以下詳細に説明するが、図9に示すように、吐出ヘッド3には、吐出方向に平行して前後スライド可能な状態で筒状カット刃4が設置される。
【0030】
図6に示すように、筒状カット刃4は、筒状で先端が鋭利なV字型の形状のカット部41と42を有する。
特に主剤と硬化剤の混合比が大きい場合、比率の大きい主剤(大断面積側部1b)が開封され吐出されると、比率の小さい硬化剤(小断面積側部1a)が開封されにくくなり、結果、吐出開始初期では主剤のみが吐出されることになる。そこで、吐出開始初期から適正な吐出混合比で吐出するためにも、カット部の形状は小断面積側部1aが開封されるようにすることが望ましい。
1箇所のカット部41でもよいが、好ましくは、嘴状で上下2箇所にカット部41とカット部42を設けることが好ましい。さらに、筒状カット刃4の胴部には、流動性物質が通過する開口部43を有するため、内容物の押し出されるための流路を確保することができる。
【0031】
図7に示すように、1箇所のカット部41の場合は、フィルムパック1の小断面積側部1aからフィルムを突き破り、ついで大断面積側部1bまで貫通させることによって確実にフィルムパック1の小断面積側部1aが開封され、吐出開始初期から吐出混合比が安定する効果が得られる。
【0032】
一方、図8に示すように、2箇所のカット部41とカット部42の場合は、小断面積側部1aからフィルムを突き破り、ついで大断面積側部1bを突き破り貫通させることで、確実に小断面積側部1aから開封され、吐出開始初期から吐出混合比が安定する効果が得られる。このような効果を確実に得るためには、図8及び図9に示すように、カット刃4の上下2箇所のカット部のうち、フィルムパック1の小断面積側部1aが当接する側である上側(C−D)を、下側(E−F)よりも、1mm〜8mm程長くする必要がある。さらに、カット刃4胴部には、流動性物質が通過する開口部43を有するため、内容物の押し出されるための流路も確保される。
【0033】
また、図6に示すように、V型のカット部先端の角度45は100度以下で加工するのが好ましく、さらに好ましくは、フィルムの突き破り易さを考慮し30度〜80度であることが好ましい。
一方、筒状カット刃4の角度44は、70度以下で加工するのが好ましく、さらに好ましくは、フィルムの突き破り易さを考慮し20度〜50度である。
【0034】
図9に示すように、筒状カット刃4の長さは、使用する際、すなわち、吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部にミキシングノズルを装着する時、吐出ヘッドの保持部の内面を形成する吐出ヘッド3の受け部33から、筒状カット刃4のカット部の先端41と42が10mm〜20mm程突出するように設計することにより、フィルムパック1の確実な突き破り及び流動性物質の通路の確保が達成される。
【0035】
筒状カット刃4の胴部に設けられる開口部43は、図7及び図8に示すように、筒状カット刃4がフィルムパック1を突き破った際に、フィルムパック1のそれぞれの室に止まるように設けられる。開口部43の形状は特に拘らないが、5角形、円形、楕円形等が挙げられる。
筒状カット刃4は、使用時に装着してもよいが、使用前から装着されていてもよい。使用前から装着されている場合は、吐出ヘッド内面に突出していないか、突出していても保管、輸送時にフィルムパック1を突き破らない程度に止めておく必要がある。いずれの場合においても、吐出ヘッド3のミキシングノズル装着部31にミキシングノズル7を装着する時に、筒状カット刃4が自動的に押されて、フィルムパック1を突き破るか又は押し出しガン5aで吐出する際の吐出圧力でフィルムパック1が押され、筒状カット刃4でフィルムパック1を突き破るだけの長さが、筒状カット刃4には要求される。
【0036】
筒状カット刃4の材質は、様々な種類が使用可能であり、紙、金属、プラスチックティック、繊維補強プラスティック、セラミック等が挙げられるが、金属、プラスティックが好ましく、製造性、コスト面から射出成形プラスティックが最適である。
フィルムパック1と吐出ヘッド3は接着しても、接着しなくてもよいが、円筒状ホルダー部2への流動性物質の逆流を防ぐ目的で、適当なシール剤(接着剤)で接着させていることが好ましい。
【0037】
本発明における吐出ヘッド3に取り付けるミキシングノズル7は、何ら制約を受けることはなく、市販にあるものが使用可能である。例えば、円筒状ハウジング内に混合エレメントが収容されたスタティックミキサーなどがある。
【0038】
図4に示すように、本発明における押し出しガンは、本発明の注入材料用カートリッジシステムがセットできるものであればいずれでもよく、手動式、エアー式、電動式等が挙げられる。
【0039】
図10に示すように、上記構成を有する本発明に係る注入材料用カートリッジを使用する場合には、例えば、接着剤やシーリング材等の流動性物質を収容したフィルムパック1を、円筒状のホルダー2に挿入し、先端に吐出ヘッド3装着し、押し出しガン5aにセットする。1箇所のカット部がある筒状カット刃4aの場合はカット刃先端をフィルムパック1の小断面積側部1aに当たるように向きを調整し、2箇所のカット部がある筒状カット刃4bの場合は、カット部が長い方をフィルムパック1の小断面積側部1aに当たるように向きを調整し、吐出ヘッド3の吐出開口部32へ挿入する。ミキシングノズル装着部31にミキシングノズル7を装着時することで、吐出ヘッド内面にかかる筒状カット刃4が突出する。かかる筒状カット刃4により自動的にフィルムパック1の所望の部分が突き破られるか、押し出しガンの押し出しピストンからの押圧力によって、フィルムパック1が前方に押し出され、フィルムパック1の所望の部分が突き破られることになる。この際、確実に小断面積側部1aから順番に突き破られる。
【0040】
さらに、押し出しガンで押し出すと、フィルムパック1の内容物は、筒状カット刃4のカット部先端及び/又はカット刃胴部に設けた開口部43から、筒状カット刃4の内部を通ってミキシングノズル7へ押し出されてミキシングノズル7内で撹拌、混合され、結果、所望の配合比の流動性物質(2成分)がミキシングノズル先端から供給される。
このように、この発明の注入材料用カートリッジシステムにおいては、吐出ヘッド3の吐出開口部32に筒状カット刃4を挿入し、ミキシングノズル7を装着することによりフィルムパック1を突き破るという機構が設けられており、また、小断面積側部1aから先に開封されるように設計されているため、吐出開始初期から所望の混合比で内容物が吐出混合される。また、ミキシングノズル7を吐出ヘッド3に装着する時に、筒状カット刃4が吐出ヘッド3の内面から内面にフィルムパック1側に向かって突出されるため、例えば、ミキシングノズル7を吐出ヘッド3に装着しない状態で、フィルムパック1と吐出ヘッド3を接合して保管、輸送しても、誤ってフィルムパック1が開封されることはない。さらに、開封時には、フィルムパック1の一端を切断するための切断道具を必要としないため、人体への接触や怪我が生じるおそれはない。また、各流動性物質を貯蔵したフィルムパック1は、円筒状ホルダー2の中心軸線に沿って延在されているため、ミキシングノズル7内での複数の流動性物質の混合比(配合比)は常に一定に維持され、ミキシングノズル7先端から押し出される接着剤の性状、特性も安定している。
さらに、フィルムパック1は、薄い膜体で形成されているので、使用されるにしたがって潰され、使用後は吐出ヘッド3の受け部33にフィルムパック1が折り畳まれる状態となり、廃棄物としての量を減らすことができ、その運搬、処理を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る注入材用カートリッジシステムは、建築、土木、医療、エレクトロニクス、機械工業、粉体工業、金属加工などあらゆる分野において、種々の接着剤を包袋状のフィルムを装填して、接着剤を吐出、混合する場合に利用でき、特に、アンカーボルト固着材料に好適である。
【符号の説明】
【0042】
1 フィルムパック
11 ヒートシール
12 留め金
1a 小断面積部
1b 大断面積部
2 円筒状ホルダー
21 シリンダー
22 ピストン
23 凸型
3 吐出ヘッド
31 ミキシングノズル接続部
32 吐出開口部
33 吐出受け部
34 保持部
35 押さえ部
4 筒状カット刃
41 カット部
42 カット部
43 開口部
44 筒状カット刃の角度
45 筒状カット刃のV型のカット部先端の角度
4a 筒状カット刃(カット部1箇所)
4b 筒状カット刃(カット部2箇所)
5a 押し出しガン
5b ホルダー一体型押し出しガン
7 ミキシングノズル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【請求項2】
前記筒状カット刃は、上下2箇所にカット部を有する嘴状で、該カット部の先端は、鋭利なV字型であり、カット部先端は、前記2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックのそれぞれの成分の位置に当接するように配置される、請求項1に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項3】
前記筒状カット刃の上下2箇所のカット部の内、前記2室式のフィルムパックの断面積の小さい側の外周位置に当接するカット部を、前記流動性物質の吐出方向において長くしてある、請求項1又は2に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項4】
前記筒状カット刃の胴部に、前記流動性物質の通路が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項5】
前記吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部に該ミキシングノズルを装着する時、前記筒状カット刃の該カット部の先端が、該該吐出ヘッドの保持部の内面から前記フィルムパックに向かって自動的に突出するように、前記筒状カット刃の長さが調整されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項6】
2液混合型の注入式アンカーボルト固着用途に使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項1】
以下の:
2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパック、
該フィルムパックが挿入される円筒状ホルダー、
該円筒状ホルダーの先端に装着される吐出ヘッド、
筒状カット刃、及び
ミキシングノズル、
から構成され、押し出しガンにセットして使用されるための注入材料用カートリッジシステムであって、該吐出ヘッドは、押さえ部と保持部からなり、該保持部の内面の形状は、当接する該フィルムパックの形状と概同形状であり、かつ、該押さえ部の先端外側には該ミキシングノズルの装着部と連通する開口部があり、該開口部の内側に、該流動性物質の吐出方向に平行して前後スライド可能な該筒状カット刃を設けたことを特徴とする前記注入材料用カートリッジシステム。
【請求項2】
前記筒状カット刃は、上下2箇所にカット部を有する嘴状で、該カット部の先端は、鋭利なV字型であり、カット部先端は、前記2成分の流動性物質を分離収容した2室式のフィルムパックのそれぞれの成分の位置に当接するように配置される、請求項1に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項3】
前記筒状カット刃の上下2箇所のカット部の内、前記2室式のフィルムパックの断面積の小さい側の外周位置に当接するカット部を、前記流動性物質の吐出方向において長くしてある、請求項1又は2に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項4】
前記筒状カット刃の胴部に、前記流動性物質の通路が設けられている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項5】
前記吐出ヘッドの押さえ部の先端外側に設けられたミキシングノズル装着部に該ミキシングノズルを装着する時、前記筒状カット刃の該カット部の先端が、該該吐出ヘッドの保持部の内面から前記フィルムパックに向かって自動的に突出するように、前記筒状カット刃の長さが調整されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【請求項6】
2液混合型の注入式アンカーボルト固着用途に使用される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注入材料用カートリッジシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−264994(P2010−264994A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116875(P2009−116875)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】
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