説明

注入用具及びこれを備えた薬液注入システム

【課題】薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる注入用具を提供すること。
【解決手段】押出用収容室S1及び注入用収容室S2は、当該両室S1、S2のうちの一方が拡張することに応じて他方が縮小するように相互に連結され、注入用収容室S2内に所定量以上の薬液が充填された状態で切換弁9を開放位置に切り換えることにより、薬液ポンプ2の吐出圧に応じた押出用収容室S1の拡張によって注入用収容室S2を縮小させて所定量の薬液を導出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液注入装置から吐出された薬液を所定量充填するとともに、使用者の操作に応じて前記所定量の薬液を導出するように構成された注入用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から前記注入用具として、例えば、特許文献1には、加圧下の液体源を供給するための液体源供給手段と、制御されたボウラス投与量の液体を提供するためのボウラス投与量装置と、液体の定常的な流量を調整するための手段とを含むアセンブリが開示されている。前記ボウラス投与量装置は、前記液体源供給手段からの液体を充填可能な投与量溜めを有し、この投与量溜めは、圧縮されることによりその内容物を排出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平03−505538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のボウラス投与量装置では、投与量溜めに充填された薬液を患者の体内へ注入するために、使用者に大きな力が要求されるという問題があった。具体的に、前記投与量溜めに充填された薬液を患者へ注入するためには、フィルターやカテーテルといった流通抵抗の大きな部材を介して薬液を押し流す必要があり、この流れを生成するために投与量溜めを圧縮する力は非常に大きなものとなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる注入用具及びこれを備えた薬液注入システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、加圧された薬液を吐出可能な吐出部に接続されるものであり、前記吐出部からの薬液を充填するとともに、使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具であって、前記吐出部に接続可能に構成され、前記吐出部からの薬液を導くための導入通路と、前記導入通路により導かれた薬液を収容可能で、かつ、前記薬液の収容に応じて拡張可能な押出用収容室と、前記吐出部から吐出された薬液の流量を調整するための調整部を介して前記吐出部に連通可能に構成され、前記薬液の収容に応じて拡張する一方、縮小させることに応じて収容された薬液を導出可能な注入用収容室と、前記注入用収容室から導出された薬液を患者側へ導くための導出通路と、前記導出通路による薬液の導出を阻止するための閉鎖位置と、前記導出通路による薬液の導出を許容する開放位置との間で切換可能な切換弁と、前記注入用収容室内に前記所定量の薬液が収容された状態で、使用者の操作を受けることにより前記切換弁を前記閉鎖位置から前記開放位置へ切換可能な操作部とを備え、前記押出用収容室及び注入用収容室は、当該両室のうちの一方が拡張することに応じて他方が縮小するように相互に連結され、前記注入用収容室内に前記所定量以上の薬液が充填された状態で前記切換弁を開放位置に切り換えることにより、前記吐出部の吐出圧に応じた前記押出用収容室の拡張によって前記注入用収容室を縮小させて前記所定量の薬液を導出させることを特徴とする注入用具を提供する。
【0007】
本発明によれば、吐出部による薬液の吐出圧に応じた押出用収容室の拡張によって、注入用収容室を縮小させて、当該注入用収容室内に充填された薬液を導出させることができる。つまり、本発明によれば、使用者が操作部を操作して切換弁を開放位置に切り換えれば、それ以上の力を与えることなく吐出部の吐出圧を利用して注入用収容室内の薬液を導出させることができるため、薬液の導出のために使用者に要求される力としては切換弁を開放位置に切り換えるための力に抑えることができる。したがって、本発明によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【0008】
前記注入用具において、前記注入用収容室及び押出用収容室は、前記押出用収容室に薬液が導入されること応じて、前記注入用収容室を拡張するとともに前記押出用収容室を縮小する方向の反力を生じさせることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、吐出部からの薬液を注入用収容室内に確実に充填することができる。具体的に、前記構成において、吐出部から薬液が吐出されると、まず、圧力損失を生じさせる調整部を介さない押出用収容室側に優先的に薬液が充填されるとともに、この充填に応じて注入用収容室を拡張する方向の反力が生じる。押出用収容室内にそれ以上薬液が充填できない状態になると薬液は行き場を失うが、前記構成では、注入用収容室を拡張する方向の反力が生じているため、行き場を失った薬液は、反力を利用して調整部を通じて徐々に注入用収容室内に導入される。そして、前記切換弁が開放位置に切り換え操作されると、導出通路を介した薬液の導出が許容されて注入用収容室内が減圧されるため、当該注入用収容室内の圧力よりも押出用収容室内の圧力(吐出部による吐出圧)の方が相対的に大きくなって、当該押出用収容室が拡張することにより注入用収容室内の薬液が導出されることになる。
【0010】
前記反力を発生させるために、例えば、前記注入用収容室及び前記押出用収容室に前記吐出部による圧力が付加された状態で前記注入用収容室が拡張するとともに前記押出用収容室が縮小する方向の力が生じるように、前記注入用収容室及び押出用収容室の受圧面積を設定することができる。
【0011】
前記注入用具において、前記押出用収容室と前記注入用収容室とを連通させる通路の少なくとも一部を構成するものとして、前記調整部をさらに備えていることが好ましい。
【0012】
この構成では、押出用収容室と注入用収容室とが調整部を介して連結されていることにより、押出用収容室は、調整部を介さずに吐出部に接続される一方、注入用収容室は、押出用収容室及び調整部を介して吐出部に接続されることになる。
【0013】
前記注入用具において、前記切換弁は、弁本体と、前記弁本体から延びるとともに前記操作部と係合することにより前記弁本体を閉鎖位置から開放位置に変位可能な被操作部とを備え、前記所定量の薬液が前記注入用収容室内に収容された状態において前記操作部と前記被操作部とが係合可能で、かつ、前記注入用収容室内に収容された薬液が前記所定量よりも予め設定された量だけ少ない場合にはこの不足量の分だけ拡張した前記押出用収容室によって前記操作部と前記被操作部との係合が規制されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、注入用収容室内に所定量の薬液が充填されるまでの間に操作部が操作されても弁本体が閉鎖位置に維持されるため、所定量に満たない薬液の導出を阻止することができる。したがって、前記構成によれば、目的とする効能を得るために予め定められた量(前記所定量)の薬液を確実に患者へ投与することが可能となるため、有効な薬液投与を実現することができるとともに、所定量に満たない薬液を導出してしまうことにより再度所定量を満たすために余分な時間を要するといった不具合を抑制することもできる。
【0015】
前記注入用具において、前記切換弁は、前記導出通路を介した薬液の導出終了に至る前記注入用収容室の縮小に応じて前記開放位置から前記閉鎖位置へ切り換えられることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、導出通路を介した薬液の導出終了とともに切換弁を閉鎖位置に自動的に切り換えることができるため、使用者により切換弁を閉鎖位置から開放位置にする操作が行なわれるだけで所定量の薬液を確実に患者へ投与することができるとともに、この投与の後に自動的に注入用収容室内への薬液の充填が開始されることになる。
【0017】
前記注入用具において、所定の伸縮軸に沿ってそれぞれ伸縮可能な注入用蛇腹容器及び押出用蛇腹容器と、前記注入用蛇腹容器と押出用蛇腹容器とを共通の伸縮軸に沿って伸縮可能となるように直列に並べた状態で、前記注入用蛇腹容器及び押出用蛇腹容器の相離間する外側の端面の位置をそれぞれ固定する固定部材とを備え、前記注入用蛇腹容器の内部に前記注入用収容室が設けられているとともに、前記押出用蛇腹容器の内部に前記押出用収容室が設けられていることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、注入用蛇腹容器及び押出用蛇腹容器が共通の伸縮軸に沿って伸縮可能となるように直列に並べられているとともに両蛇腹容器の外側の端面の位置が固定されているため、当該両蛇腹容器の相対向する内側の端面の移動を互いに連動させることができる。
【0019】
前記注入用具において、前記液体を収容可能な液体収容室を有する容器と、前記容器よりも高い伸縮性を有するとともに、前記液体収容室を前記注入用収容室及び押出用収容室に区画する隔壁とを備えていることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、前記押出用収容室と注入用収容室とが容器よりも高い伸縮性を有する隔壁によって区画されているため、この隔壁が伸縮することにより、両収容室の一方が拡張するとともに他方が縮小することになる。したがって、この構成によれば、吐出部の吐出圧により押出用収容室が縮小するように隔壁が伸張することにより、注入用収容室内の薬液を導出することができる。
【0021】
また、本発明は、加圧された薬液を吐出可能な吐出部と、前記吐出部に接続された前記注入用具とを備えていることを特徴とする薬液注入システムを提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の好ましい実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】図1の注入用具の分解斜視図である。
【図3】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、吐出完了後(初回充填時)の状態を示したものである。
【図4】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、注入用蛇腹容器に対する薬液充填期間中の状態を示したものである。
【図5】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、注入用蛇腹容器に対する薬液充填の完了時の状態を示したものである。
【図6】図1の注入用具の動作を示す断面図であり、操作ボタンの操作時の状態を示したものである。
【図7】図3〜図6の状態を示す一覧表である。
【図8】本発明の別の実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。
【図9】図8の薬液注入システムの注入用具を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。図2は、図1の注入用具の分解斜視図である。
【0026】
図1及び図2を参照して、薬液注入システム1は、加圧された薬液を吐出可能な薬液ポンプ(吐出部)2と、この薬液ポンプ2に接続され、薬液ポンプ2からの薬液を充填するとともに使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具3と、この注入用具3から導出された薬液を患者へ導くカテーテル4とを備えている。
【0027】
薬液ポンプ2は、薬液を収容する収容部を有し、この収容部内の薬液を所定の圧力に加圧した状態で吐出するように構成されたものである。具体的に、薬液ポンプ2としては、例えば、国際公開第95/28977号に開示されるような大気圧を駆動源とするもの、特開2004−147862号公報に開示されるような伸縮性容器の復元力を駆動力とするもの、又はばね等の弾性部材の付勢力を駆動力とするものを採用することができる。
【0028】
注入用具3は、前記薬液ポンプ2に接続された導入チューブ(導入通路)16と、この導入チューブ16により導かれた薬液を収容可能な押出用蛇腹容器5と、患者へ注入する所定量の薬液を充填するための注入用蛇腹容器6と、両蛇腹容器5、6を連結する連結部材7と、この連結部材7に設けられた調整部材(調整部)8及び切換弁9と、注入用蛇腹容器6と前記カテーテル4とを連通するための導出チューブ(導出通路)17と、両蛇腹容器5、6の相離間する外側の端面の位置を固定するための筒状容器(固定部材)10及び蓋体(固定部材)11と、筒状容器10の一端に押し込み操作可能に設けられた操作ボタン(操作部)12とを備えている。
【0029】
押出用蛇腹容器5は、所定方向(図1の上下方向)の伸縮軸に沿って伸縮可能に構成され、その伸縮方向の一方側(図1の上側)が閉じられているとともに、伸縮方向の他方側(図1の下側)が開口している。具体的に、押出用蛇腹容器5は、前記伸縮軸に沿って伸縮可能な円筒状の蛇腹本体5aと、この蛇腹本体5aの伸縮方向の一方側を閉じる底部5cと、この底部5cに設けられた突出部5bとを備えている。この突出部5bは、底部5cよりも小さな直径寸法を有して伸縮方向の一方側(図1の上)へ突出している。この押出用蛇腹容器5の内部には、押出用収容室S1が設けられている。
【0030】
注入用蛇腹容器6は、所定方向(図1の上下方向)の伸縮軸に沿って伸縮可能に構成され、その伸縮方向の一方側(図1の下側)が閉じられているとともに、伸縮方向の他方側(図1の上側)が開口している。具体的に、注入用蛇腹容器6は、前記伸縮軸に沿って伸縮可能な円筒状の蛇腹本体6aと、この蛇腹本体6aの伸縮方向の一方側を閉じる底部6cと、この底部6cに設けられた突出部6bとを備えている。この突出部6bは、底部6cよりも小さな直径寸法を有して伸縮方向の一方側(図1の下)に突出している。なお、注入用蛇腹容器6の蛇腹本体6aの直径寸法E2(図3参照)は、押出用蛇腹容器5の蛇腹本体5aの直径寸法E1よりも大きくされている。この注入用蛇腹容器6の内部には、注入用収容室S2が設けられている。
【0031】
連結部材7は、両蛇腹容器5、6のうちの一方が伸張することにより他方が縮小するように、当該両蛇腹容器5、6同士を連結するためのものである。具体的に、連結部材7は、略同等の直径寸法を有する一対の円板部7a及び円板部7bと、これら円板部7a、7bを同心に連結する連結部7cとを備えている。円板部7aの表面(図1の上面)には、前記押出用蛇腹容器5の蛇腹本体5aの開口側の端面が突き合わされた状態で接着されている。また、円板部7aは、蛇腹本体5aの内側となる位置で表裏(図1の上下)に貫通する貫通孔7dを有している。円板部7bの表面(図1の下面)には、前記注入用蛇腹容器6の蛇腹本体6aの開口側の端面が突き合わされた状態で接着されている。また、円板部7bは、蛇腹本体6aの内側となる位置で表裏(図1の上下)に貫通する貫通孔7eを有している。連結部7cは、各円板部7a、7bの略中心位置で当該各円板部7a、7bの相対向する面(図1における円板部7aの下面と円板部7bの上面)を連結する。各円盤部7a、7b及び連結部7cには、各部7a〜7cの中心位置に形成された孔を有するため、この孔を通じて両蛇腹容器5、6が互いに連通している。また、連結部7cには、図1に示すように、その側壁を貫く導入口7fと、この導入孔7fよりも注入用蛇腹容器6側で側壁を貫く導出口7gとが設けられている。導入孔7fには前記導入チューブ16が接続され、導出口7gには前記導出チューブ17が接続されている。
【0032】
調整部材8は、細孔8aを有する筒状の部材であり、両蛇腹容器5、6を連通する通路を構成する。具体的に、調整部材8の一方側の端部(図1の上側の端部)は、前記円板部7aの貫通孔7dに挿入された状態で、当該貫通孔7dと調整部材8の外側面との間の薬液の流通を阻止するように円板部7aに接着されている。また、調整部材8の他方側の端部(図1の下側の端部)は、前記円板部7bの貫通孔7eに挿入された状態で、当該貫通孔7eと調整部材8の外側面との間の薬液の流通を阻止するように円板部7bに接着されている。
【0033】
切換弁9は、前記連結部材7の連結部7cを通して両蛇腹容器5、6間に跨って配置されている。具体的に、切換弁9は、前記導出口7gの開閉を切り換えるための弁本体15と、この弁本体15から両蛇腹容器5、6側へそれぞれ延びる被操作部14とを備え、この被操作部14が後述する操作ボタン12に押圧されることにより弁本体15が変位するようになっている。弁本体15は、周方向に張出す一対のフランジ部15a、15bを有する弾性部材である。フランジ部15a、15bは、それぞれ前記連結部7cの壁面に密着することにより当該フランジ部15a、15bと連結部7cの壁面との間における薬液の流れを規制するとともに、当該両フランジ部15a、15b同士の間の薬液の流れを許容する。そして、弁本体15は、図3に示すように前記導出口7gを挟んだ両側位置で各フランジ部15a、15bが連結部7cの内壁面に密着することにより注入用蛇腹容器6から導出チューブ17への薬液の流れを阻止する閉鎖位置と、図1に示すようにフランジ部15bが注入用蛇腹容器6内に配置され、フランジ部15bのみが連結部7cの内壁面に密着することにより注入用蛇腹容器6から導出チューブ17へ向けた薬液の流れを許容する開放位置との間で変位可能とされている。なお、前記閉鎖位置及び開放位置の何れの位置においても、フランジ部15aは、導入口7fと導出口7gとの間で連結部7cの内壁面に密着しているため、押出用蛇腹容器5と注入用蛇腹容器6との間の薬液の流通は、規制される。被操作部14は、弁本体15に固定されたものである。詳しくは後述するが、被操作部14の長さは、以下のように設定されている。弁本体15から押出用蛇腹容器5側へ向けた被操作部14の突出長さは、注入用蛇腹容器6内に所定量の薬液が収容された状態で押出用蛇腹容器5の突出部5b内(後述する筒状容器10の位置決め部10aよりも上)に配置される長さである。弁本体15から注入用蛇腹容器6側へ向けた被操作部14の突出長さは、注入用蛇腹容器6から所定量の薬液が導出された状態で注入用蛇腹容器6の底面(図1の下面)に当接することにより弁本体15が閉鎖位置に押圧される長さである。
【0034】
筒状容器10は、蓋体11が取り付けられることにより、当該蓋体11との間で前記両蛇腹容器5、6の相離間する側の端面(底部5c、6c)の位置を固定しつつ、両蛇腹容器5、6、連結部材7、調整部材8及び切換弁9を収容するようになっている。
【0035】
具体的に、筒状容器10は、図1に示すように、筒状の本体10cと、この本体10cの一方の端部近傍(上端部よりも少し下の位置)で内側に突出する位置決め部10aと、この位置決め部10aを表裏(図1の上下)に貫通する円形の貫通孔10bとを備えている。本体10cは、前記両蛇腹容器5、6及び連結部材7を収容可能な太さを有している。より具体的に、本体10cの内側の直径寸法は、両蛇腹容器5、6よりも大きな連結部材7が摺動可能となる寸法に設定されている。貫通孔10bは、前記押出用蛇腹容器5の突出部5bを挿入可能な大きさとされている。つまり、位置決め部10aは、突出部5bを挿通した状態で押出用蛇腹容器5の底部5cが伸張方向(図1の上方)に移動するのを阻止するように当該底部5cの位置を固定する。なお、貫通孔10bに挿通した突出部5bは、位置決め部10aよりも上に配置され、後述する操作ボタン12により押圧可能とされる。
【0036】
一方、蓋体11は、前記筒状容器10の開口部を塞ぐように当該筒状容器10の端部(図1の下端部)に取り付けられている。この蓋体11は、前記注入用蛇腹容器6の突出部6bを収容するための凹部を有し、この凹部に突出部6bを収容した状態で注入用蛇腹容器6の底部6cを支持するようになっている。具体的に、蓋体11は、注入用蛇腹容器6の底部6cが伸張方向(図1の下方)に移動するのを阻止するように当該底部6cの位置を固定する。
【0037】
操作ボタン12は、蓋体11が取り付けられていない側(図1の上方)の開口部から筒状容器10の本体10cに挿入され、両蛇腹容器5、6の伸縮方向に沿って本体10cに対して摺動可能とされている。具体的に、操作ボタン12は、位置決め部10aから突出する押出用蛇腹容器5の突出部5bに押し出された図1の非操作状態と、外力を受けて突出部5bを押圧しつつ位置決め部10aに当接するまで本体10c内に押し込まれた図6に示す操作状態との間で、本体10cに対して摺動可能とされている。
【0038】
以下、前記薬液注入システム1の動作について、図3〜図7を参照して説明する。図3は、図1の注入用具3の動作を示す断面図であり、吐出完了後(初回充填時)の状態を示したものである。図4は、図1の注入用具3の動作を示す断面図であり、注入用蛇腹容器6に対する薬液充填期間中の状態を示したものである。図5は、図1の注入用具3の動作を示す断面図であり、注入用蛇腹容器6に対する薬液充填の完了時の状態を示したものである。図6は、図1の注入用具3の動作を示す断面図であり、操作ボタン12の操作時の状態を示したものである。図7は、図3〜図6の状態を示す一覧表である。
【0039】
図3及び図7を参照して、注入用蛇腹容器6内の薬液が全て導出された時、又は注入用具3の使用開始時においては、矢印Y1に示すように、導入孔7fを通って薬液ポンプ2からの薬液が押出用蛇腹容器5内に導入されることにより、当該押出用蛇腹容器5が伸張する。これに応じて、連結部材7は、矢印Y2に示すように、注入用蛇腹容器6側へ押圧され、当該注入用蛇腹容器6を収縮させる。この図3の状態においては、切換弁9の被操作部14の端部(図3の下端部)が注入用蛇腹容器6の底部6cに当接して上に押し上げられることにより、弁本体15が閉鎖位置とされている。そして、図3の状態から所定の時間(以下、ロックアウトタイムと称す)をかけて所定量(本実施形態では3ml)の薬液が注入用蛇腹容器6内に充填される。
【0040】
図4及び図7を参照して、押出用蛇腹容器5に導入された薬液は、矢印Y3に示すように、調整部材8の細孔8aを通じて注入用蛇腹容器6に導入される。具体的に、本実施形態では、押出用蛇腹容器5の直径寸法E1(図3参照)よりも注入用蛇腹容器6の直径寸法E2(図3参照)の方が大きくされているため、押出用収容室S1内における連結部材7に対する受圧面積よりも注入用収容室S2内における連結部材7に対する受圧面積の方が大きく、かつ、弁本体15が閉鎖位置とされた状態においては両収容室S1、S2内の薬液の圧力が互いに等しいため、連結部材7には、矢印Y4に示すように、押出用蛇腹容器5を収縮するとともに注入用蛇腹容器6を伸張させる方向の力が生じる。この力を利用して、押出用蛇腹容器5から注入用蛇腹容器6へ細孔8aを通して薬液が充填される。なお、弁本体15は、連結部材7の連結部7c内に弾性変形した状態で挿入されているため、この弾性変形の反力を受けて、切換弁9は、矢印Y4に示す連結部材7の移動に従動する。
【0041】
そして、注入用蛇腹容器6内に所定量の薬液が充填されると(ロックアウトタイムが到来すると)、図5に示すように、被操作部14が底部5cに当接することにより注入用蛇腹容器6の伸張が規制される。この状態においては、被操作部14の端部(図5の上端部)が筒状容器10の位置決め部10aよりも操作ボタン12側に配置されているため、操作ボタン12の押し込み操作に応じて被操作部14を押し動かすことができる。反対に、図3及び図4の状態では、位置決め部10aよりも内側に被操作部14が配置されているため、操作ボタン12を押しても位置決め部10aにより移動が規制されて被操作部14を押し動かすことができない(不能状態)。このようにロックアウトタイム中に操作ボタン12を不能状態とすることにより、所定量未満の薬液が充填されるのを回避することが可能となる。
【0042】
前記のようにロックアウトタイムが到来した後、図6に示すように、矢印Y5の方向に操作ボタン12を押し込み操作すると、矢印Y6に示すように被操作部14が連結部材7に対して相対変位することにより弁本体15が開放位置に操作される。これにより、注入用蛇腹容器6内の薬液は、矢印Y7に示すように導出口7gから導出可能となり、当該注入用蛇腹容器6内の薬液の圧力が押出用蛇腹容器5内の薬液の圧力よりも小さくなる。したがって、薬液ポンプ2の吐出圧により押出用蛇腹容器5が伸張し、これに応じて連結部材7が矢印Y8に示すように押し動かされることにより注入用蛇腹容器6が収縮して当該注入用蛇腹容器6内の所定量の薬液が導出される。
【0043】
以上説明したように、前記薬液注入システム1によれば、薬液ポンプ2による薬液の吐出圧に応じた押出用収容室S1の拡張によって、注入用収容室S2を縮小させて、当該注入用収容室S2内に充填された薬液を導出させることができる。つまり、薬液注入システム1によれば、使用者が操作ボタン12を操作して切換弁9を開放位置に切り換えれば、それ以上の力を与えることなく薬液ポンプ2の吐出圧を利用して注入用収容室S2内の薬液を導出させることができるため、薬液の導出のために使用者に要求される力としては切換弁9を開放位置に切り換えるための力に抑えることができる。したがって、本発明によれば、薬液注入のために使用者に要求される力を軽減することができる。
【0044】
前記実施形態のように押出用収容室S1及び注入用収容室S2内に薬液が充填された状態で、押出用収容室S1を縮小し、かつ、注入用収容室S2を拡張する方向の反力が生じるように、押出用収容室S1及び注入用収容室S2の受圧面積を設定した構成によれば、薬液ポンプ2からの薬液を確実に注入用収容室S2内に充填することができる。具体的に、薬液ポンプ2から薬液が吐出されると、まず、圧力損失を生じさせる調整部材8を介さない押出用収容室S1側に優先的に薬液が充填されるとともに、この充填に応じて両収容室S1、S2の受圧面積の差による前記反力が生じる。押出用収容室S1内にそれ以上の薬液が充填できない状態となると薬液は行き場を失うが、前記構成では、注入用収容室S2を拡張する方向の反力が生じているため、行き場を失った薬液は、前記反力を利用して調整部材8を通じて徐々に注入用収容室S2内に導入される。そして、切換弁9が開放位置に切り換え操作されると、導出チューブ17を介した薬液の導出が許容されて注入用収容室S2内が減圧されるため、当該注入用収容室S2内の圧力よりも押出用収容室S1内の圧力(薬液ポンプ2による吐出圧)の方が相対的に大きくなって、当該押出用収容室S1が拡張することにより注入用収容室S2内の薬液が導出されることになる。
【0045】
なお、前記実施形態では、両収容室S1、S2の受圧面積の差によって前記反力を生じさせることとしているが、これに限定されるものではなく、例えば、外力が付加されていない自然長の状態から伸張又は縮小させることにより発生する両蛇腹容器5、6の復元力を前記反力として利用することもできる。この復元力は、両蛇腹容器5、6の材質、蛇腹の折れ数、または両蛇腹容器5、6の側壁の肉厚等を適宜設定することにより調整することができる。
【0046】
前記実施形態のように、押出用収容室S1と注入用収容室S2とを連通させる通路を構成するものとして調整部材8を有する構成によれば、押出用収容室S1は調整部材8を介さずに薬液ポンプ2に接続される一方、注入用収容室S2は押出用収容室S1及び調整部材8を介して薬液ポンプ2に接続されることになる。
【0047】
なお、前記実施形態では、注入用具3の構成として調整部材8を有する構成を説明したが、後述する実施形態のように注入用具3に別途接続される構成として、流量調整器(図図8の符号26参照)を備えることとしてもよい。このようにすれば、注入用具3のロックアウトタイムを、当該注入用具3に接続する流量調整器の規定流量を変更することによって、適宜選択することが可能となる。
【0048】
前記実施形態のように、所定量の薬液が注入用収容室S2内に充填された状態で操作ボタン12により切換弁9を変位可能で、所定量の薬液が注入用収容室S2内に充填されていない状態で操作ボタン12により切換弁9を変位不能とした構成によれば、所定量に満たない薬液の導出を阻止することができる。したがって、前記実施形態によれば、目的とする効能を得るために予め定められた量(前記所定量)の薬液を確実に患者に投与することが可能となるため、有効な薬液投与を実現することができるとともに、所定量に満たない薬液を導出してしまうことにより再度所定量を満たすために余分な時間を要するといった不具合を抑制することもできる。
【0049】
前記実施形態のように、導出チューブ17を介した屋矩形の導出終了に至る注入用収容室S2の縮小に応じて切換弁9が開放位置から閉鎖位置へ切り換えられる構成によれば、導出チューブ17を介した薬液の導出終了とともに切換弁9を閉鎖位置に自動的に切り換えることができるため、使用者により切換弁9を閉鎖位置から開放位置にする操作が行なわれるだけで所定量の薬液を確実に患者へ投与することができるとともに、この投与の後に自動的に注入用収容室S2内への薬液の充填が開始されることになる。
【0050】
以下、本発明に係る別の実施形態について図8及び図9を参照して説明する。
【0051】
図8は、本発明の別の実施形態に係る薬液注入システムの全体構成を示す概略図である。図9は、図8の薬液注入システムの注入用具を示す断面図である。なお、前記実施形態と同様の構成については、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
薬液注入システム27は、前記薬液ポンプ2と、薬液ポンプ2に接続されたチューブ28a〜28cと、チューブ28bを流れる薬液の流量を調整するための流量調整器(調整部)26と、チューブ28aに接続され、薬液ポンプ2からの薬液を充填するとともに使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具20と、この注入用具20から導出された薬液を患者へ導くカテーテル4とを備えている。
【0053】
チューブ28aは、薬液ポンプ2と注入用具20とを直接連通させる。チューブ28bは、チューブ28aの途中部から分岐して流量調整器26を介して薬液ポンプ2と注入用具20とを連通させる。チューブ28cは、流量調整器26の下流側でチューブ28bから分岐して薬液ポンプ2と注入用具20とを連通させる。
【0054】
流量調整器26は、前記実施形態の調整部材8と同様に薬液ポンプ2からの薬液に圧力損失を生じさせることにより、薬液の流量を調整するためのものである。
【0055】
注入用具20は、チューブ28cに接続される容器本体(容器)23と、この容器本体23に取り付けられ、チューブ28a及び28bに接続される蓋体(容器)22と、容器本体23及び蓋体22内に変位可能に設けられた変位部材24と、容器本体23内の室(液体収容室)を押出用収容室S3と注入用収容室S4とに区画するための隔壁25と、注入用収容室S4から導出された薬液を導くチューブ29と、このチューブ29に設けられ、使用者の操作に応じてチューブ29を介した薬液の導出を許容又は阻止する手動開閉弁(切換弁)21とを備えている。なお、説明の便宜上、チューブ28b及びチューブ28cは、注入用具20の構成ではないものとして説明しているが、これらチューブ28b及びチューブ29cのうち、少なくとも後述する接続部23bと第三接続部22eとを接続する部分は、注入用具20の一部(導出通路の一部)を構成する。
【0056】
容器本体23は、一端が開口するとともに他端が閉じられた円筒状の円筒部23aと、円筒部23aの底部から突出するとともにチューブ28cを接続可能な接続部23bと、円筒部23aの底部及び突出部23bとを貫通する孔とを備え、この孔を介して突出部23bに接続されたチューブ28cから円筒部23a内に薬液が導入されるようになっている。
【0057】
蓋体22は、前記円筒部23aの開口を塞ぐように当該円筒部23aに固定される蓋部22aと、この蓋部22aにチューブ28aを接続するための第一接続部22bと、円筒部23aから離間する方向に向けて蓋部22aから突出する突出部22cと、この突出部22cからそれぞれ側方に延びる第二接続部22d及び第三接続部22eと、蓋部22aから前記円筒部23a内に延びるガイド部22fとを備えている。第一接続部22bは、円筒部23aから離間する方向に向けて蓋部22aから突出してチューブ28aに接続可能とされている。第一接続部22b及び蓋部22aには、これらを貫通する孔が形成され、この孔を介してチューブ28aからの薬液が容器本体23内に導入される。突出部22cは、その基端側が容器本体23内に開口するとともに先端部が閉じられた円筒状に形成されている。第二接続部22dは、突出部22c内に連通する筒状に形成され、チューブ29に接続可能とされている。第三接続部22eは、前記第二接続部22dよりも容器本体23側の位置で突出部22c内に連通する筒状に形成され、チューブ28bに接続可能とされている。ガイド部22fは、突出部22cと同心に配置され、容器本体23の円筒部23aの約半分の深さ位置まで延びる筒状に形成されている。
【0058】
変位部材24は、容器本体23の円筒部23a内に配置された支持板24aと、この支持板24aに立設されるとともにその先端部が蓋体22の突出部22c内に配置されたロッド24bと、このロッド24bの先端部に設けられた弾性体24eと、支持板24aに立設されたガイド筒24dとを備えている。支持板24aは、前記蓋体22のガイド部22fよりも大きな直径寸法を有する円板状に形成されている。弾性体24eは、前記蓋体22の突出部22cの内側面に密着して薬液の流通を規制する一対のフランジ部24cを有し、これらフランジ部24c間において突出部22c内の薬液の流通を許容する。ガイド筒24dは、蓋体22のガイド部22f内で摺動可能となる直径寸法を有し、当該ガイド部22f内に配置されている。
【0059】
そして、変位部材24は、図8に示すように支持板24aが蓋体22の突出部22cの端面に当接する開位置と、図9に示すように支持板24aが円筒部23aの底部に隔壁25を介して当接した閉位置との間で容器本体23及び蓋体22に対して変位可能とされている。ここで、開位置では、図8に示すように弾性体24eの一対のフランジ部24cが第二接続部22d及び第三接続部22eの開口部を挟むように配置され、両接続部22d、22e間の薬液の流通が許容される。また、閉位置では、図9に示すように弾性体24eの先端側のフランジ部24cが第二接続部22dと第三接続部22eとの間に配置され、両接続部22d、22e間の薬液の流通が規制される。なお、開位置及び閉位置の何れの位置においても、弾性体24eの基端側のフランジ部24cが第二接続部22d及び第三接続部22eよりも基端側に配置されているため、突出部22cと容器本体23との間の薬液の流通は規制されている。
【0060】
隔壁25は、弾性を有する合成樹脂(例えば、シリコーン樹脂)からなる円形の薄膜である。この隔壁25の周縁部は、前記蓋体22の蓋部22aと容器本体23の円筒部23aの開口端との間で挟持された状態で固定されている。また、隔壁25の中央部分は、前記変位部材24の支持板24aによって支持されている。したがって、隔壁25は、図9に示すように押出用収容室S3に薬液が導入された状態において、図8に示す開位置に戻ろうとする弾性力(反力)を生じさせることになる。
【0061】
手動開閉弁21は、通常閉じ、使用者の押圧操作に応じて開放する弁体を有する切換弁である。具体的に、手動開閉弁21の操作前の状態ではチューブ29とカテーテル4との間の薬液の流れが規制され、手動開閉弁21を操作することによりチューブ29とカテーテルとの間の薬液の流れが許容される。
【0062】
以下、薬液注入システム27の動作について説明する。
【0063】
図8に示すように、変位部材24が閉位置とされた状態において、薬液ポンプ2からの薬液は、流量調整器26による圧力損失が生じるチューブ28bに優先してチューブ28aを介して押出用収容室S3内に導入される。押出用収容室S3内への薬液の導入に伴い、隔壁25を弾性変形(伸張)させつつ、図9に示すように変位部材24を閉位置に変位させる。この状態からは、薬液ポンプ2からの薬液は、流量調整器26を介してチューブ28bに導入される。
【0064】
具体的に、手動開閉弁21は通常閉鎖されているため、流量調整器26からの薬液は、チューブ28cを介して注入用収容室S4内に導入される。そして、流量調整器26で調整される流量により規定されるロックアウトタイムが経過すると、図8に示す開位置となって注入用収容室S4内に所定量の薬液が充填される。ここで、注入用収容室S4に薬液が導入されるのは、隔壁25には開位置に戻ろうとする弾性力が働くためである。
【0065】
そして、手動開閉弁21を操作することにより、チューブ29を介した薬液の導出が許容されて注入用収容室S4内の圧力が低下するため、この圧力よりも薬液ポンプ2の吐出圧である押出用収容室S3内の圧力が相対的に高くなる。これにより、押出用収容室S3が拡張し、注入用収容室S4が縮小するため、当該注入用収容室S4内の所定量の薬液がカテーテル4を介して導出される。
【0066】
前記実施形態のように、容器本体23及び蓋体22により構成される容器と、この容器よりも高い伸縮性を有するとともに、前記容器内の室を押出用収容室S3及び注入用収容室S4に区画する隔壁25とを備えた構成によれば、隔壁25が伸縮することにより、両収容室S3、S4の一方が拡張するとともに他方が縮小することになる。したがって、薬液ポンプ2の吐出圧により押出用収容室S3が縮小するように隔壁25が伸張することにより、注入用収容室S4内の薬液を導出することができる。
【符号の説明】
【0067】
S1、S3 押出用収容室
S2、S4 注入用収容室
1、27 薬液注入システム
2 薬液ポンプ(吐出部)
3、20 注入用具
5 押出用蛇腹容器
6 注入用蛇腹容器
7 連結部材
8 調整部材(調整部)
9 切換弁
10 筒状容器(固定部)
11 蓋体(固定部)
12 操作ボタン(操作部)
14 被操作部
15 弁本体
16 導入チューブ(導入通路)
17 導出チューブ(導出通路)
21 手動開閉弁(操作部)
22 蓋体(容器及び導出通路の一部)
23 容器本体(容器)
25 隔壁
26 流量調整器(調整部)
28b、28c チューブ(導出通路の一部)
29 チューブ(導出通路の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された薬液を吐出可能な吐出部に接続されるものであり、前記吐出部からの薬液を充填するとともに、使用者の操作に応じて所定量の薬液を導出するように構成された注入用具であって、
前記吐出部に接続可能に構成され、前記吐出部からの薬液を導くための導入通路と、
前記導入通路により導かれた薬液を収容可能で、かつ、前記薬液の収容に応じて拡張可能な押出用収容室と、
前記吐出部から吐出された薬液の流量を調整するための調整部を介して前記吐出部に連通可能に構成され、前記薬液の収容に応じて拡張する一方、縮小させることに応じて収容された薬液を導出可能な注入用収容室と、
前記注入用収容室から導出された薬液を患者側へ導くための導出通路と、
前記導出通路による薬液の導出を阻止するための閉鎖位置と、前記導出通路による薬液の導出を許容する開放位置との間で切換可能な切換弁と、
前記注入用収容室内に前記所定量の薬液が収容された状態で、使用者の操作を受けることにより前記切換弁を前記閉鎖位置から前記開放位置へ切換可能な操作部とを備え、
前記押出用収容室及び注入用収容室は、当該両室のうちの一方が拡張することに応じて他方が縮小するように相互に連結され、
前記注入用収容室内に前記所定量以上の薬液が充填された状態で前記切換弁を開放位置に切り換えることにより、前記吐出部の吐出圧に応じた前記押出用収容室の拡張によって前記注入用収容室を縮小させて前記所定量の薬液を導出させることを特徴とする注入用具。
【請求項2】
前記注入用収容室及び押出用収容室は、前記押出用収容室に薬液が導入されること応じて、前記注入用収容室を拡張するとともに前記押出用収容室を縮小する方向の反力を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の注入用具。
【請求項3】
前記注入用収容室及び前記押出用収容室に前記吐出部による圧力が付加された状態で前記注入用収容室が拡張するとともに前記押出用収容室が縮小する方向の力が生じるように、前記注入用収容室及び押出用収容室の受圧面積が設定されていることを特徴とする請求項2に記載の注入用具。
【請求項4】
前記押出用収容室と前記注入用収容室とを連通させる通路の少なくとも一部を構成するものとして、前記調整部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項5】
前記切換弁は、弁本体と、前記弁本体から延びるとともに前記操作部と係合することにより前記弁本体を閉鎖位置から開放位置に変位可能な被操作部とを備え、
前記所定量の薬液が前記注入用収容室内に収容された状態において前記操作部と前記被操作部とが係合可能で、かつ、前記注入用収容室内に収容された薬液が前記所定量よりも予め設定された量だけ少ない場合にはこの不足量の分だけ拡張した前記押出用収容室によって前記操作部と前記被操作部との係合が規制されることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項6】
前記切換弁は、前記導出通路を介した薬液の導出終了に至る前記注入用収容室の縮小に応じて前記開放位置から前記閉鎖位置へ切り換えられることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項7】
所定の伸縮軸に沿ってそれぞれ伸縮可能な注入用蛇腹容器及び押出用蛇腹容器と、
前記注入用蛇腹容器と押出用蛇腹容器とを共通の伸縮軸に沿って伸縮可能となるように直列に並べた状態で、前記注入用蛇腹容器及び押出用蛇腹容器の相離間する外側の端面の位置をそれぞれ固定する固定部材とを備え、
前記注入用蛇腹容器の内部に前記注入用収容室が設けられているとともに、前記押出用蛇腹容器の内部に前記押出用収容室が設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項8】
前記液体を収容可能な液体収容室を有する容器と、
前記容器よりも高い伸縮性を有するとともに、前記液体収容室を前記注入用収容室及び押出用収容室に区画する隔壁とを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の注入用具。
【請求項9】
加圧された薬液を吐出可能な吐出部と、
前記吐出部に接続された請求項1〜8の何れか1項に記載の注入用具とを備えていることを特徴とする薬液注入システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−125433(P2011−125433A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285292(P2009−285292)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000205007)大研医器株式会社 (28)
【Fターム(参考)】