説明

注出口栓

【課題】容器が紙製品であっても、注出口栓を紙容器に強固に確実に固定でき、また、当該注出口栓を紙容器の任意の位置に取付けることができるようにする。
【解決手段】注出口栓Aの差込部5を紙容器Bの頂面部B−1に突刺して押し込むことにより、三個の差込部位12のナイフ部が頂面部B−1を切断することにより、頂面部B−1に三個の切裂片を形成し、これらの切裂片を押し拡げて差込口を形成し、次に、注出口栓を捻ることにより、切裂片の基部が、ナイフ部に連なる辺縁部に接しながら、この辺縁部と口栓部とがなす楔形状の隙間部に入り込み、注出口栓Aを紙容器Bに固定して注出口栓Aを紙容器Bに装着するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙容器に詰められた牛乳、ジュース等の液体飲料を注出する注出口栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、牛乳、ジュース等の液体飲料を厚紙製の容器に詰めたパック製品の普及が顕著であるが、これら紙容器内の液体飲料を注ぎ出す用具として、紙容器に装着する注出口栓が種々提供されている。
【0003】
従来の、この種の注出口栓としては、鍔の上部に抽出口を、下部に、開口部を有する差込栓を設け、この差込栓の外周面に螺旋を形成して構成したものがあり、この差込栓の螺旋をもって差込栓を紙容器に螺入して注出口栓を紙容器に取付け、開口部から抽出口を通して紙容器内の液体飲料を取り出すようにしてある(特許文献1参照)。
【0004】
また、従来の注出口栓としては、差込部材と螺子部材と注出部材とパッキンと栓とを組合せて構成したものがある。差込部材は紙容器を突破って紙容器内に差込まれるものであり、紙容器には差込部材が差込まれることに基づいて差込口を形成する。この差込口は差込部材が紙容器を押し拡げることで形成する。
【0005】
注出部材は紙容器の表面から突出するものであって、注ぎ口を有している。パッキンは紙容器の表面と注出部材との間で弾性的に圧潰されるものである。また、栓は注ぎ口に着脱可能に押込まれるものであり、注ぎ口に押込まれることに基づいて注ぎ口を閉鎖し、注ぎ口から取り外されることに基づいて注ぎ口を開放する。螺子部材は、差込部材に一体化されている。この螺子部材には内周面に位置して雌螺子部が形成してあり、外周面に雄螺子部が形成してある。この雄螺子部は、整形後の差込口に係合することによって注出具のずれ動きを抑制するものである(特許文献2参照)。
【0006】
また、従来の注出口栓としては、破断可能な封止フィルムで封止された注出孔を頂部に有する液体用紙容器に取付けられるものがある。この注出口栓は、注出筒と基部を有するスパウトと、このスパウトを覆うキャップと、スパウトに内蔵され且つキャップの螺旋による上下運動に連動して下上運動する開封刃とからなるものである。そして、スパウトの基部は、容器頂部であって注出孔の近傍に接合されて注出口栓を容器に固定して支持し、スパウトの注出筒は、容器内容物の液体を注ぎ出す通路を形成する。その開封刃は、スパウトに内蔵され且つキャップの開封時の上方運動に連動して下方運動する結果、その開封刃は、注出孔の破断可能な封止フィルムを破断する(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】 特開平10−53244号公報
【特許文献2】 特開2006−27729号公報
【特許文献3】 特開2004−67195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された注出口栓である差込栓にあっては、注出口栓を紙容器に取付け固定するのに、差込栓に形成された螺旋で差込栓を紙容器に螺入している。しかし、注出口栓は紙製品であるために、螺旋による固定を確実に行なうことができず、差込栓を紙容器に強固に固定することができないという課題があった。
【0009】
また、特許文献2に開示された注出口栓である注出具にあっては、差込部材に螺子部材が一体化してあって、この螺子部材の外周面に雄螺子部が形成してあり、差込部材は紙容器を突破って紙容器内に差込まれて紙容器に差込口を形成する。そして、雄螺子部が整形後の差込口に係合することによって注出具のずれ動きを抑制している。しかし、注出具は紙製品であるために、雄螺子部による固定を確実に行なうことができず、注出具を紙容器に強固に固定することができないという課題があった。
【0010】
また、特許文献3に開示された注出口栓にあっては、この注出口栓の液体用紙容器への取付箇所が、その頂部にある、封止フィルムで封止された注出孔に限定されており、注出口栓のスパウトの基部が注出孔の近傍に接合され、注出口栓を容器に固定し支持する構成であるために、液体用紙容器の任意の箇所には注出口栓を取付けることができないという課題があった。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するものであり、その目的とするところは、容器が紙製品であっても、容器に強固に確実に固定することができ、また、容器の任意の位置に取付けることができる注出口栓を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る注出口栓は、紙容器の任意の位置に着脱可能に装着される口栓部材を備え、この口栓部材は、紙容器に突刺して押し込むことにより、この紙容器の差込み部分に複数の切裂片を形成して、これらの切裂片を押し拡げて貫通し差込口を形成する差込部と、差し込まれた口栓部材を捻ることにより切裂片を挟持して口栓部材を固定する紙容器挟持部を有することを特徴とする。
【0013】
かかる構成により、注出口栓の差込部を紙容器に突刺して押し込むことにより頂面部を切断することによって、紙容器の差込み面部に複数個の切裂片を形成し、これらの切裂片を押し拡げて差込口を形成し、次に、注出口栓を捻ることにより、紙容器挟持部で差込口の切裂片の基部を挟持して注出口栓を紙容器に固定して注出口栓を紙容器に装着することができる。このために、容器が紙製品であっても、当該出口栓を容器に強固に確実に固定することができ、また、当該出口栓を紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができる。
【0014】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る注出口栓は、上記した本発明に係る注出口栓において、差込部は、周方向に等間隔をおいて配列された複数個の差込部位を備えており、これらの差込部位のそれぞれの基端側は、口栓本体の口栓部に連ねてあり、差込部位のそれぞれの先側を結合状態にすることにより、差込部は、差込み方向Xへ向かうに従って縮径する円錐状をなすものであり、差込部には、隣り合う差込部位間が開口していて、これらの開口部が周方向に等間隔をおいて存在しており、差込部位における注出口栓捻り方向Y側に位置する辺縁部は、それぞれに開口部に臨むナイフ部にしてあることを特徴とする。
【0015】
かかる構成により、注出口栓の差込部を紙容器の、例えば、頂面部に突刺して押し込むことにより、複数個の差込部位のナイフ部が頂面部を切断することによって、頂面部に複数個の切裂片を形成し、これらの切裂片を押し拡げて差込口を形成し、次に、注出口栓を捻ることにより、紙容器挟持部で差込口の切裂片の基部を挟持して注出口栓を紙容器に固定して注出口栓を紙容器に装着することができる。このために、容器が紙製品であっても、当該出口栓を容器に強固に確実に固定することができ、また、当該出口栓を紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができる。
【0016】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る注出口栓は、上記した本発明に係る注出口栓において、紙容器挟持部は、その差込部位のそれぞれの基端側を屈曲することにより、この屈曲部におけるナイフ部に連なる辺縁部と、口栓部との間に楔形状の隙間部を形成して構成してあることを特徴とする。
【0017】
かかる構成により、注出口栓の差込部を紙容器の、例えば、頂面部に突刺して押し込むことにより、複数個の差込部位のナイフ部が頂面部を切断することによって、頂面部に複数個の切裂片を形成し、これらの切裂片を押し拡げて差込口を形成し、次に、注出口栓を捻ることにより、切裂片の基部が、ナイフ部に連なる辺縁部に接しながら、この辺縁部と口栓部とがなす楔形状の隙間部に入り込み、注出口栓を紙容器に固定して注出口栓を紙容器に装着することができる。このために、容器が紙製品であっても、当該出口栓を容器に強固に確実に固定することができ、また、当該出口栓を紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る注出口栓によれば、容器が紙製品であっても、この紙容器に強固に確実に固定することができ、また紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる注出口栓を紙容器に装着した状態を示す一部破断した説明図である。
【図2】本発明に係わる注出口栓の正面図である。
【図3】同注出口栓における蓋体の取付状態を示す斜視図である。
【図4】同注出口栓の分解状態を示す斜視図である。
【図5】同注出口栓における口栓部材の斜視図である。
【図6】同口栓部材の正面図である。
【図7】同口栓部材の平面図である。
【図8】同口栓部材の縦断面図である。
【図9】同口栓部材の紙容器への固定状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
注出口栓を紙容器に強固に確実に固定することができ、また紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができるという目的を、注出口栓の差込部を紙容器に突刺して押し込むことにより紙容器の面部を切断して、紙容器の差込み面部に複数個の切裂片を形成し、これらの切裂片を押し拡げて差込口を形成し、次に、注出口栓を捻ることにより、紙容器挟持部で差込口の切裂片の基部を挟持して注出口栓を紙容器に固定して注出口栓を紙容器に装着することで実現した。
【実施例】
【0021】
本発明に係わる注出口栓Aは、図1乃至図4に示すように、口栓部材1と蓋体2とから構成してある。口栓部材1は、口栓本体4と差込部5と差込口整形部6と紙容器挟持部7とを組み合わせて構成してある。口栓本体4は、図4に示すように、円筒形状の注ぎ口8aを形成する口栓部8を備えており、この口栓部8の外周部には、その先側に位置させて環状の蓋体取付部9が形成してある。また、口栓部8の外周部には、注出口栓Aの紙容器Bへの差込み装着時に、当該注出口栓Aを捻り易くするための突条10が周方向に複数形成してある。また、口栓部8の外周部には、その基側に位置させて鍔形状の押圧部11が形成してある。
【0022】
差込部5は、図4に示すように、周方向に等間隔をおいて配列された三個の差込部位12を備えており、これらの差込部位12のそれぞれの基端側は、口栓本体4の口栓部8の押圧部11の内径部に連ねてあり、そして、差込部位12のそれぞれの先側を結合状態にすることにより、図2に示すように、差込部5は、差込み方向Xへ向かうに従って縮径する円錐状をなすものである。このために、差込部5には、隣り合う差込部位12間が開口していて、それぞれの開口部13が周方向に等間隔をおいて存在することになる。そして、各差込部位12における注出口栓捻り方向Y側に位置する辺縁部は、それぞれに開口部13に臨むナイフ部14にしてある。
【0023】
差込部位12のそれぞれの基端側には、上記した紙容器挟持部7が形成してある。図4に示すように、この紙容器挟持部7は、差込部位12のそれぞれの基端側を正面く字形状に屈曲することにより、この屈曲部15における前記ナイフ部14に連なる辺縁部15aと、口栓部8の押圧部11との間に楔形状の隙間部18を形成して構成してある。また、差込部位12のそれぞれの屈曲部15は差込部5の周方向に等間隔をおいて配列されるものであり、これらの屈曲部15は、差込部5の差込終端部における差込口整形部6を形成している。
【0024】
また、図5に示すように、口栓本体4の口栓部8の内周部には、図2に示す差込み方向Xに沿う突条部16が周方向に等間隔に形成してあり、これらの突条部16は差込部位12のそれぞれの基端側の屈曲部15の内面側に位置しており、突条部16には差込み方向Xに沿う空気孔17が貫通状態で形成してある。
【0025】
上記した蓋体2は、図3乃至図4に示すように、円環形状の取付部20にヒンジ部21を介して蓋部22を取付けて構成してある。そして、取付部20を口栓部材1の蓋体取付部9を嵌め込んで蓋体2が口栓部材1に取付けてあり、蓋部22側はヒンジ部21で折曲げられていて、蓋部22は注ぎ口8aを開閉可能に閉じている。また、図8に示すように、口栓部材1の押圧部11の押圧面には、パッキン装着用のパッキン装着溝11aが形成してある。
【0026】
次に、上記のように構成された注出口栓Aの紙容器Bへの装着及びこの装着の解除を説明する。図1に示すように、注出口栓Aの差込部5を紙容器Bの頂面部B−1に突刺して押し込むことにより、三個の各差込部位12のナイフ部14が頂面部B−1を切断することによって、図9に示すように、頂面部B−1に三個の三角形状の舌片状の切裂片Dを形成し、これらの切裂片Dを押し拡げて差込口Cを形成すると共に、上記した差込口整形部6が差込口Cを整形するし、さらに、パッキン23が口栓部8の押圧部11に押え付けられて紙容器Bの頂面部B−1に当接するようになる。
【0027】
次に、図9に示すように、注出口栓Aを捻ることにより、上記した紙容器挟持部7で差込口Cの切裂片Dの基部を挟持して、図1に示すように、注出口栓Aを紙容器Bに固定して注出口栓Aを紙容器Bに装着する。すなわち、注出口栓Aを捻ることにより、切裂片Dの基部が、ナイフ部14に連なる辺縁部15aに接しながら、この辺縁部15aと口栓部8の押圧部11とがなす楔形状の隙間部18に入り込み、注出口栓Aを紙容器Bに固定する。
【0028】
次に、蓋体2を口栓部材1の蓋体取付部9から外して、口栓部材1の注ぎ口8aを開けて、例えば、この注ぎ口8aから紙容器Bの内部にストロー(図示せず)を差し込み、紙容器B内の内容物である飲物を吸い出すか、または、紙容器Bを傾けて飲物をコップ(図示せず)等に移した際、紙容器B外に出された飲物の容量に相当する分量、大気圧により紙容器Bの胴部が収縮しようとするが、この時、注出口栓Aに設けた空気孔17から空気が紙容器B内部に吸い込まれることにより、紙容器Bの胴部の収縮は防止される。
【0029】
また、注出口栓Aを紙容器Bから外す場合には、注出口栓Aを、上記した装着の場合とは逆方向に捻ることにより、紙容器挟持部7の隙間部18から差込口Cの切裂片Dの基部を外して、注出口栓Aの紙容器Bへの固定を解除して注出口栓Aを紙容器Bから引き抜く。
【0030】
上記したように、本発明の実施例1によれば、注出口栓Aの差込部5を紙容器Bの頂面部B−1に突刺して押し込むことにより、三個の差込部位12のナイフ部14が頂面部B−1を切断することにより、頂面部B−1に三個の切裂片Dを形成し、これらの切裂片Dを押し拡げて差込口Cを形成し、次に、注出口栓Aを捻ることにより、切裂片Dの基部が、ナイフ部14に連なる辺縁部15aに接しながら、この辺縁部15aと口栓部8の押圧部11とがなす楔形状の隙間部18に入り込み、注出口栓Aを紙容器Bに固定して注出口栓Aを紙容器Bに装着することができる。このために、容器が紙製品であっても、注出口栓Aを紙容器Bに強固に確実に固定することができ、また、当該注出口栓Aを紙容器Bの任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することが可能になる。
【0031】
尚、本実施例では、容器が紙製品であっても、注出口栓を紙容器に強固に確実に固定することができ、また、当該注出口栓を紙容器の任意の位置に取付けることができて、内容物である飲物を確実に注出することができるという効果を有し、牛乳、ジュースに限らず液体を内容物とした紙容器の注出口栓として有用である。
【符号の説明】
【0032】
A 注出口栓
B 紙容器
B−1 頂面部
C 差込口
D 切裂片
1 口栓部材
4 口栓本体
5 差込部
6 差込口整形部
7 紙容器挟持部
8 口栓部
11 押圧部
12 差込部位
13 開口部
14 ナイフ部
15 屈曲部
16 突条部
17 空気孔
18 隙間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙容器の任意の位置に着脱可能に装着される口栓部材を備え、この口栓部材は、前記紙容器に突刺して押し込むことにより、この紙容器の差込み部分に複数の切裂片を形成して、これらの切裂片を押し拡げて貫通し差込口を形成する差込部と、差し込まれた前記口栓部材を捻ることにより前記切裂片を挟持して前記口栓部材を固定する紙容器挟持部を有することを特徴とする注出口栓。
【請求項2】
前記差込部は、
周方向に等間隔をおいて配列された複数個の差込部位を備えており、これらの差込部位のそれぞれの基端側は、前記口栓本体の口栓部に連ねてあり、前記差込部位のそれぞれの先側を結合状態にすることにより、前記差込部は、差込み方向Xへ向かうに従って縮径する円錐状をなすものであり、前記差込部には、隣り合う前記差込部位間が開口していて、これらの開口部が周方向に等間隔をおいて存在しており、前記差込部位における注出口栓捻り方向Y側に位置する辺縁部は、それぞれに前記開口部に臨むナイフ部にしてあることを特徴とする請求項1に記載の注出口栓。
【請求項3】
前記紙容器挟持部は、
前記差込部位のそれぞれの基端側を屈曲することにより、この屈曲部における前記ナイフ部に連なる辺縁部と、前記口栓部との間に楔形状の隙間部を形成して構成してあることを特徴とする請求項2に記載の注出口栓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−240752(P2012−240752A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127736(P2011−127736)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(594028989)株式会社清田エンジニアリング (4)
【Fターム(参考)】