説明

洗浄機用液体洗浄剤組成物

【課題】洗浄力に優れ、臭気の問題がなく、中性近傍のpHとした場合でも洗浄力の低下が生じない洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)金属イオン封鎖剤、(b)非イオン界面活性剤、並びに(c)炭素数14〜20の不飽和脂肪酸及び/又はその塩を含有し、0.1質量%水溶液の20℃でのpHが6〜8である、洗浄機用液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
業務用プラスチックコンテナ、食器など、各種物品に対して自動的に洗浄を行う洗浄機が知られている。業務用の洗浄機では、大量の物品を連続して自動的に洗浄する必要があることから、洗浄に用いられる洗浄剤も投入の制御がしやすいように液体で用いられることが多い。また、業務用洗浄機では、洗浄時間も短いことから、洗浄剤には優れた洗浄力を有することが求められる。更に、洗浄に際しては泡立ちが少なく、泡切れの良いものが望まれる。こうした観点から、洗浄機用の洗浄剤に、多量の有機及び/又は無機のビルダー成分を用いること、HLBの比較的低い低泡性の非イオン界面活性剤を用いることが知られている。一般に、ビルダー成分と非イオン界面活性剤とを共存させると塩析が生じ、均一で安定な組成物を得るのが困難となる。
【0003】
特許文献1には、低泡性非イオン界面活性剤と、洗浄ビルダーと、炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸とを必須成分とする自動食器洗浄機用洗浄剤が開示されている。該文献では、炭素数6〜10の脂肪族カルボン酸が、低泡性非イオン界面活性剤と洗浄ビルダーの可溶化剤として作用することが記載されている(段落0015)。
【0004】
特許文献2には、水酸化アルカリ金属塩、炭素数5〜10の脂肪族カルボン酸、金属イオン封鎖剤、界面活性剤、高分子ポリマー及び水を含有するコンテナ用洗浄剤組成物が開示されている。該文献では、可溶化剤や溶剤を配合しなくても貯蔵安定性(低温安定性)に優れたものであるとされている(段落0032)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−33100号公報
【特許文献2】特開2006−335896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、洗浄機用の洗浄剤としては、更なる洗浄力の向上が望まれている。また、特許文献1、2では、比較的炭素数の小さいカルボン酸(短鎖カルボン酸)を用いることから、液体洗浄剤の臭気も問題となる。また、自然環境に対する影響や作業性を考慮すると洗浄排水は中性近傍のpHであることが望ましく、そのためには液体洗浄剤のpHを中性近傍とすることが1つの方策となるが、特許文献1、2のように短鎖カルボン酸を用いた液体洗浄剤のpHを中性にすると、この短鎖カルボン酸が酸の状態で存在し、むしろ油汚れとしての挙動を示すことから、洗浄力の低下が懸念され、しかも臭気の問題はいっそう顕著となることがわかった。
【0007】
本発明の課題は、洗浄力に優れ、臭気の問題がなく、中性近傍のpHとした場合でも洗浄力の低下が生じない洗浄機用液体洗浄剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)金属イオン封鎖剤〔以下、(a)成分という〕、(b)非イオン界面活性剤〔以下、(b)成分という〕、(c)炭素数14〜20の不飽和脂肪酸又はその塩〔以下、(c)成分という〕を含有し、0.1質量%水溶液の20℃でのpHが6〜8である、洗浄機用液体洗浄剤組成物に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、均一溶解性に優れ、洗浄力に優れ、臭気の問題がなく、中性近傍のpHとした場合でも洗浄力の低下が生じない洗浄機用液体洗浄剤組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<(a)成分>
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(a)成分として、金属イオン封鎖剤を含有する。
【0011】
本発明の(a)成分は、主に洗浄性能、耐硬水性ために用いられる成分である。例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ニトリロトリ酢酸、エチレングリコースビス(2−アミノエチルエーテル)テトラ酢酸、クエン酸、グルコン酸、ヒドロキシベンジルイミノ酢酸、イミノジ酢酸及びこれらの塩(ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。)から選ばれる一種類以上が挙げられる。これらの中では、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸及びこれらの塩が好ましく、エチレンジアミン四酢酸、クエン酸及びこれらの塩(ナトリウム塩が好ましい。)がより好ましい。
【0012】
また、(a)成分として、エチレンジアミン四酢酸又はその塩とクエン酸又はその塩を併用することが洗浄効果及び(b)成分の可溶化の観点から好ましく、クエン酸又はその塩/エチレンジアミン四酢酸又はその塩の質量比は、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜50、特に好ましくは5〜15である。
【0013】
<(b)成分>
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(b)成分として、非イオン界面活性剤を含有する。
【0014】
(b)成分としては、洗浄性及び低泡性の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等の下記一般式(1)で示される非イオン界面活性剤が好ましい。
1−O−[(EO)a/(PO)b]−H (1)
〔式中、R1は水素原子又は炭素数8〜18、好ましくは10〜14の炭化水素基、好ましくはアルキル基であり、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、EOとPOはブロック又はランダムに付加していてもよい。a、bは、平均付加モル数であり、それぞれ独立に1〜50、好ましくは1〜30の数である。a+bは2〜50、更に2〜30の数が好ましい。〕
【0015】
より具体的には下記(b1)〜(b2)から選ばれる非イオン界面活性剤が好ましく、可溶化及び低泡性の観点から(b2)がより好ましい。
【0016】
(b1);一般式(1)において、R1が炭素数8〜18の炭化水素基であり、R1の1級炭素にプロピレンオキシ基及び/又はエチレンオキシ基が結合した非イオン界面活性剤、好ましくは下記一般式(1−1)で表される非イオン界面活性剤
1−O−(EO)g−(PO)h−(EO)i−H (1−1)
〔式中、R1は炭素数8〜18の炭化水素であり、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基であり、R1−O−の酸素原子と結合するR1の炭素原子が1級炭素原子であり、g、h、iは、平均付加モル数であり、gは1〜10、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8であり、hは1〜6、好ましくは1〜4.5、より好ましくは1〜3であり、iは1〜12、好ましくは2〜10、より好ましくは3〜8であり、また、g+h+iは2〜28、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜15である。〕
【0017】
(b2);一般式(1)において、R1が炭素数8〜18の炭化水素基であり、R1の2級炭素原子にプロピレンオキシ基及び/又はエチレンオキシ基が結合した非イオン界面活性剤、好ましくは下記一般式(1−2)で表される非イオン界面活性剤
1−O−(EO)j−(PO)k−H (1−2)
〔式中、R1は炭素数8〜18の炭化水素であり、好ましくは炭素数10〜14のアルキル基であり、R1−O−の酸素原子と結合するR1の炭素原子が2級炭素原子であり、j、kは、平均付加モル数であり、jは1〜15、好ましくは2〜12、より好ましくは4〜10であり、kは1〜15、好ましくは2〜12、より好ましくは3〜10であり、また、j+kは2〜30、好ましくは2〜20、より好ましくは4〜16である。〕
【0018】
<(c)成分>
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(c)成分として、炭素数14〜20の不飽和脂肪酸及び/又はその塩を含有する。
【0019】
本発明の(c)成分は、洗浄性、均一溶解性及び低臭性の観点から、好ましくは炭素数16〜20の不飽和脂肪酸及び/又はその塩である。例えば、パルミトイル酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エイコサジエン酸、エイコサトリエン酸、アラキドン酸、リシノレイン酸を挙げることができる。塩として用いる場合には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、特にカリウム塩が好適である。
【0020】
(c)成分のような化合物は、一般的には親油性が強く、界面活性能としては低いものであり、最も一般的な脂肪酸であるラウリン酸やミリスチン酸などの炭素数12〜14程度の飽和脂肪酸の方が油の乳化力という点では優れていることが知られている。しかしながら、多量にビルダーが存在し、非イオン界面活性剤を含有する水性組成物においては、本発明の(c)成分が非常に高い可溶化力を示す。(a)成分、(b)成分に対して(c)成分がこのような効果をもたらすことは驚くべきことである。
【0021】
(c)成分としては、洗浄性、均一溶解性、及び低臭性の観点から、好ましくは、炭素数14〜20、より好ましくは炭素数16〜20のヒドロキシ不飽和脂肪酸及び/又はその塩である。塩として用いる場合には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アルカノールアミン塩、特にカリウム塩が好適である。
【0022】
炭素数14〜20のヒドロキシ不飽和脂肪酸とは、分子内に1個以上(好ましくは1〜2個、より好ましくは1個)の水酸基を有する不飽和脂肪酸である。例えば、12−ヒドロキシオレイン酸(リシノレイン酸)、13−ヒドロキシオレイン酸、15−ヒドロキシオレイン酸等のモノヒドロキシ不飽和脂肪酸や、9,10−ジヒドロキシオレイン酸等のジヒドロキシ不飽和脂肪酸等が挙げられ、洗浄性、均一溶解性、及び低臭性の観点から、12−ヒドロキシオレイン酸(リシノレイン酸)が好ましい。
【0023】
本発明の(c)成分は、天然の油脂を原料とする混合脂肪酸を用いても差し支えなく、例えば大豆油由来脂肪酸(リノール酸50〜56%、オレイン酸21〜28%、パルミチン酸9〜12%、ステアリン酸3〜5%、リノレン酸7〜10%)、なたね油由来脂肪酸(パルミチン酸3〜6%、ステアリン酸1〜3%、オレイン酸55〜59%、リノール酸21〜32%、リノレン酸9〜15%)、ひまし油由来脂肪酸(リシノレイン酸90%以上、残余はオレイン酸、リノール酸、ステアリン酸)などを挙げることができ、特にひまし油由来脂肪酸が好適である。
【0024】
また、混合脂肪酸を用いる場合は、(c)成分に相当する不飽和脂肪酸の含有量が多いものが好ましい。(c)成分中、炭素数14〜20のヒドロキシ不飽和脂肪酸及び/又はその塩の割合が50質量%以上、更に80質量%以上であることが好ましい。更に、(c)成分中、リシノレイン酸及び/又はその塩の割合が50質量%以上、更に80質量%以上であることが好ましい。
【0025】
<洗浄機用液体洗浄剤組成物>
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は水を含有する。一般の水道水を用いても差し支えないが、微量に溶解しているカルシウムイオンなどの金属イオン成分を除去したイオン交換水や蒸留水、或いは、次亜塩素酸などの殺菌剤で消毒した次亜滅菌水などを用いることもできる。次亜滅菌水を用いる場合には、塩素濃度として0.1〜3ppm程度が好適である。
【0026】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(d)成分として、カルボン酸系水溶性高分子化合物を含有することができる。具体的な(d)成分としては、アクリル酸系ポリマー、マレイン酸系ポリマーが好ましく、なかでもポリアクリル酸、ポリマレイン酸及びアクリル酸−マレイン酸コポリマーから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。これらは一部又は全部がアルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩となっていてもよく、塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩が好ましい。(d)成分の重量平均分子量は2,000〜20,000が好ましく、より好ましくは2,000〜15,000である。また、マレイン酸系ポリマーは、マレイン酸のホモポリマー、若しくは無水マレイン酸と共重合可能な他のモノマーとのコポリマー、これらの水溶性塩であり、下記の一般式(d1)で表される構造を有するものが好ましい。
【0027】
【化1】

【0028】
〔式中、R1d、R2d、R3d、R4dは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、又はカルボキシル基を示し、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属又はアルキル置換アンモニウム基であり、xとyは、x/y(モル比)が1/10〜10/1であり、該ポリマーの重量平均分子量が2,000〜100,000となる数である。〕
【0029】
上記一般式(d1)において、x/y(モル比)は1/10〜10/1であり、好ましくは3/7〜7/3である。また、上記一般式(I)で表されるマレイン酸系ポリマーの重量平均分子量は2,000〜100,000であり、好ましくは2,000〜80,000で、更に好ましくは5,000〜80,000である。
【0030】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、業務用の食器洗浄機用洗浄剤やプラスチックコンテナ洗浄機用洗浄剤として好適であるが、このような洗浄剤は、すすぎ性が作業の効率化の点から重要な課題であり、従って(b)成分、(c)成分以外の界面活性剤、特に陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤は、泡立ち性が増加しすすぎ性を著しく損なうため、含有しない方が好適である。用いる場合でも、陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、アミンオキシド型界面活性剤、アルカノールアミド型界面活性剤から選ばれる界面活性剤の含有量の和は、組成物中に0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、特に好ましくは0.01質量%以下にするべきである。
【0031】
陽イオン界面活性剤〔以下(e)成分という〕は、対象物に抗菌効果を付与できる効果を有するため、泡立ち性を増加させない程度に含有することが好適である。用いることができる(e)成分としては、四級窒素原子に結合する基として、炭素数8〜12の長鎖アルキルを1又は2つと、炭素数1〜3の短鎖アルキル基又はベンジル基を2又は3つ有する四級アンモニウム化合物が好適である。
【0032】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、(a)成分を5〜15質量%、より7〜15質量%、さらに8〜12質量%含有することが好ましく、(b)成分を0.01〜5質量%、より0.05〜3質量%、さらに0.05〜2質量%含有することが好ましく、(c)成分を0.01〜5質量%、より0.02〜3質量%、さらに0.05〜1質量%含有することが好ましい。また、(d)成分を含有する場合の好ましい含有量は、0.01〜5質量%、より0.03〜3質量%、さらに0.05〜1.5質量%である。水の含有量は、60〜95質量%、より70〜92質量%、さらに80〜90質量が好ましい。さらに、組成物に抗菌効果を付与する目的等から(e)成分を含有する場合の好ましい含有量は、0.001〜1質量%、より0.01〜0.75質量%、さらに0.1〜0.5質量%である。
【0033】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄性及び均一溶解性の観点から、(b)成分と(c)成分の質量比が、(c)/(b)で好ましくは0.5〜10であり、より好ましくは0.8〜8、さらに好ましくは1〜6である。
【0034】
また、本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄効果の点から、(a)成分/〔(b)成分+(c)成分〕の質量比が、50〜1、更に30〜1、特に15〜1であることが好ましい。
【0035】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、0.1質量%水溶液の20℃でのpHが6〜8、好ましくは6.5〜7.8である。また、本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、原液の20℃でのpHを6〜11とすることができる。pHは(a)成分の種類及び配合量などで適宜調整でき、アルカリ剤として、例えば、モノエタノールアミン等のアルカノールアミン、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩等を配合して調整することも可能である。
【0036】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物の外観は均一であることが好ましく、更には均一透明であることが好ましい。またチューブを介した自動供給装置により供給されるといった使用形態を考慮すると、組成物の20℃での粘度は100mPa・s以下であることが好ましい。
【0037】
本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、洗浄機により洗浄される物品、なかでもプラスチック、金属、ガラスを含む物品に適用できるが、具体的には、コンテナ、パレット、容器、食器等が挙げられる。飲料工場、食品工場等で用いられるコンテナやパレットが好適である。
【0038】
一般的に、本発明の洗浄機用液体洗浄剤組成物は、0.05質量%〜0.2質量%に希釈され、50℃〜80℃の温度で、コンベアが併設された自動洗浄機にて洗浄が行われる。また洗浄時間はベルトコンベアの稼働中に行われるため、数秒〜数十秒という短い時間である。
【実施例】
【0039】
表1に示す液体洗浄剤組成物を調製し、以下の試験を行った。結果を表1に示す。
【0040】
〔I〕pH
液体洗浄剤組成物の原液100g又は液体洗浄剤組成物の0.1質量%水溶液100gをビーカーにとり、20℃でpHを測定した。
【0041】
〔II〕低泡性
表1の液体洗浄剤組成物をコンベア型自動食器洗浄機(三洋電機株式会社、DW−2000R/L)に供給し、以下の条件で操業したとき泡立ちの様子を観察し、以下の基準で低泡性を判定した。
・操業条件
操業温度:50℃
操業時間:5分
・判定基準
5:洗浄槽内に泡がほとんどみられない
4:若干泡が見られる
3:一面に泡がみられる
2:顕著に泡が多くみられる
1:洗浄槽から泡が溢れる
【0042】
〔III〕洗浄性
表1の液体洗浄剤組成物をコンベア型自動食器洗浄機(三洋電機株式会社、DW−2000R/L)に供給し、また、被洗物は、洗浄機のコンベア部中央の一定の場所に装着し、以下の条件で洗浄した。洗浄後、残存した油を、ヘキサンで洗い流し、あらかじめ質量を測定したスクリュー管(マルエムNo6)に回収し、窒素乾固して質量(残存量)を測定した。
・洗浄条件
洗浄温度:50℃
洗浄時間:20秒
液体洗浄剤組成物濃度:0.1質量%
・被洗物:ナタネ油脂に0.1質量%のスダンIIIを混合したモデル油汚れ2gを、乾燥したポリプロピレン製のトレイ(28cm×22cm)に塗布したもの。
【0043】
〔IV〕均一溶解性
液体洗浄剤組成物の外観を目視観察し、以下の基準で均一溶解性を判定した。評価はパネラー5人がそれぞれ行い、パネラー5人の平均値を表1に示した。平均値が大きいほど、均一溶解性がよく、液体洗浄剤組成物の溶液組成が均一であることを示し、使用する際の洗浄効果が安定に発揮できることを示す。
・判定基準
5:透明
4:半透明(微粒子の存在は目視では確認できないが薄っすらと濁った状態)
3:微白色(可溶化が不十分な界面活性剤の微粒子がわずかに見られる状態)
2:白濁(全体的に白く見える状態)
1:分離
【0044】
〔V〕臭い
表1の液体洗浄剤組成物をコンベア型自動食器洗浄機(三洋電機株式会社、DW−2000R/L)の洗浄槽(容量130L)に0.1質量%(130g)供給し、洗浄温度50℃で5分操業後に、開放している洗浄槽の真上10cmの高さに鼻を近づけ、官能により評価した。評価はパネラー5人がそれぞれ行い、パネラー5人の平均値を表1に示した。
5:ほとんど臭わない
4:わずかに臭う
3:臭う
2:強く臭う
1:非常に強く臭う
【0045】
【表1】

【0046】
表中の成分は以下のものである。なお、表中の配合量の数値は有効分を示すものである。
・クエン酸Na:精製クエン酸ナトリウム〔扶桑化学(株)〕
・EDTA・4Na・4H2O:クラビオンTS、東西石油化学(株)
・(b2)−1:一般式(1−2)中のR1が炭素数12〜14の2級アルキル基、j=7、k=8.5であり、R1に、EO、POの順でブロック付加したもの〔ソフタノールEP7085、(株)日本触媒〕
・ポリアクリル酸カリウム:オリゴマーM3 花王(株)、重量平均分子量8000
・ひまし油由来脂肪酸カリウム:FR−25、花王(株)、(リシノレイン酸89重量%、残余は、リノール酸4.5重量%、オレイン酸3.25重量%、パルミチン酸1重量%、ステアリン酸1重量%など)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)金属イオン封鎖剤、(b)非イオン界面活性剤、並びに(c)炭素数14〜20の不飽和脂肪酸及び/又はその塩を含有し、0.1質量%水溶液の20℃でのpHが6〜8である、洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項2】
組成物中の(a)の含有量が5〜15質量%、(b)の含有量が0.01〜5質量%、(c)の含有量が0.01〜5質量%である請求項1記載の洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(c)として、炭素数14〜20のヒドロキシ不飽和脂肪酸及び/又はその塩を含有する、請求項1又は2記載の洗浄機用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(b)が下記一般式(1)で表される非イオン界面活性剤である、請求項1〜3の何れか1項記載洗浄機用液体洗浄剤組成物。
1−O−[(EO)a/(PO)b]−H (1)
〔式中、R1は水素原子又は炭素数8〜18の炭化水素基であり、EOはエチレンオキシ基、POはプロピレンオキシ基であり、EOとPOはブロック又はランダムに付加していてもよい。a、bは、平均付加モル数であり、それぞれ独立に1〜50の数である。〕

【公開番号】特開2011−93961(P2011−93961A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246776(P2009−246776)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】