説明

洗浄液タンクの戻りパイプ構造

【課題】洗浄液配管内の洗浄液をエアーで洗浄液タンクに押し戻す際、洗浄液タンク内の液面の波立ちを防止し、洗浄液がエアーブリーザから吹き出さないようにする。
【解決手段】戻りパイプ53は、洗浄液配管19内の洗浄液がエアーで押し戻される内側パイプ部55と、内側パイプ部55の外側に設けられた外側パイプ部56と、外側パイプ部56の上部外側に配設されたフランジパイプ部57とを備え、内側パイプ部55は、その下端が施蓋されていると共に内側パイプ部55の下部側面に複数の小孔59が穿設され、外側パイプ部56は、その下端が開口していると共に外側パイプ部56の上部側面に複数の小孔60が穿設され、外側パイプ部56の小孔60と下側開口端からエアーが外部に円滑に逃げるように構成する。これにより、洗浄液タンク18の液面の波立ちを効果的に防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄液タンクの戻りパイプ構造に関するものであり、特に、舗装機械等などに搭載される洗浄液タンクの戻りパイプ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、路面のアスファルト舗装工事を行う際は、路面とアスファルト混合物との間の接着剤として、舗装機械に搭載した乳剤散布装置によりアスファルト乳剤を散布している。そして、乳剤散布終了時には、乳剤循環路内を洗浄する洗浄液は、洗浄液タンクから洗浄液経路を介して乳剤往路に至った後、乳剤スプレイバを経由して乳剤復路から洗浄液経路に流入して洗浄液タンクに戻る。
【0003】
図9は、舗装機械に搭載した洗浄液タンクの従来例を示す。同図に示すように、洗浄液タンク71の上部には、洗浄液タンク71内外を通気するエアーブリーザ72の一端部が連結され、該エアーブリーザ72は、油温の変化などによる洗浄液タンク71内部の空気の膨張収縮による洗浄液タンク71の損傷を防止する。
【0004】
又、洗浄液タンク71上部におけるエアーブリーザ72の近傍には、洗浄液用の戻りパイプ73が連結されている。この戻りパイプ73の下端は、洗浄液タンク71内の液面70よりも高い所に位置している。そして、戻りパイプ73内の洗浄液は、エアーで戻りパイプ73から洗浄液タンク71内に押し戻されるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−60121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術では、戻りパイプが洗浄液タンク内の液面よりも高い位置に存し、上記洗浄液は、エアーの圧力で洗浄液タンク内に押し戻される。そして、エアーと共に洗浄液が洗浄液タンクの中に流入する際に、エアー圧による洗浄液の強制落下に伴う洗浄液タンク内の液面に対する強い衝撃によって、該洗浄液タンク内の液面に波立ちが発生する。その結果、波立った洗浄液がエアーブリーザから吹き出すという問題を有していた。
【0007】
上記吹き出しを防止する対応策として、洗浄液タンク内の液面を広くすべく、洗浄液タンク自体の体積を大きくすることが考えられる。しかし、このように構成しても、洗浄液の戻り量の変動に伴い、安定した波立ち抑制効果が期待し難いうえに、洗浄液タンクが大型化して広い設置スペースを確保しなければならなくなる。
【0008】
そこで、洗浄液タンクを大きくすることなく、洗浄液タンク内の液面の波立ちを効果的に抑止し、エアーブリーザからの洗浄液の吹き出しを防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、エアーブリーザが取り付けられた洗浄液タンクの上部に洗浄液用戻りパイプが連結され、該戻りパイプの下端が前記洗浄液タンク内の液面よりも高い所に位置する洗浄液タンクの戻
りパイプ構造において、前記戻りパイプは、洗浄液配管内の洗浄液がエアーで押し戻される内側パイプ部と、該内側パイプ部の外側に設けられた外側パイプ部と、該外側パイプ部の上部外側に配設されたフランジパイプ部とを備え、前記内側パイプ部は、その下端が施蓋されていると共に、該内側パイプ部の下部側面に複数の小孔が穿設され、前記外側パイプ部は、その下端が開口していると共に、該外側パイプ部の上部側面に複数の小孔が穿設され、該外側パイプ部の小孔と開口下端から前記エアーが外部に逃げるように構成したことを特徴とする洗浄液タンクの戻りパイプ構造を提供する。
【0010】
この構成によれば、下端が施蓋された内側パイプ部の下部側面に複数の小孔を穿設したので、洗浄液とエアーは、内側パイプ部から洗浄液タンク内に流入する際、内側パイプ部の小孔から噴出する。そして、噴出した洗浄液の殆どは、外側パイプ部の内面に沿って移動して洗浄液タンク内に落下する。
【0011】
また、外側パイプ部の上部側面に複数の小孔を穿設すると共に、外側パイプ部の小孔をフランジパイプ部により包囲したので、前記噴出したエアーは、外側パイプ部の小孔と開口下端から外部に放散する。その結果、エアーによる洗浄液の押し下げが無くなり、洗浄液は、洗浄液タンク内の液面に向かって緩やかに自然落下し、そのため、該液面の波立ちが抑制される。
【0012】
請求項2記載の発明は、上記内側パイプ部及び上記外側パイプ部に穿設した複数の各小孔はそれぞれ、上下方向に複数列に配置され、且つ、各列の小孔はパイプの全周方向に沿って配設されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄液タンクの戻りパイプ構造を提供する。
【0013】
この構成によれば、内側パイプ部の小孔と外側パイプ部の小孔は共に、上下方向に複数列を呈して配置されているとともに各パイプの全周方向に並んで形成されている。そのため、洗浄液とエアーが前記小孔から噴出する際は、当該パイプの放射方向外側に円滑に広がって放散される。
【0014】
請求項3記載の発明は、上記外側パイプ部の下端は、上記洗浄液タンクの液面近傍に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄液タンクの戻りパイプ構造を提供する。
【0015】
この構成によれば、外側パイプ部の開口下端が洗浄液タンクの液面に近接しているので、外側パイプ部の開口下端からの洗浄液は、洗浄液タンクの液面にゆっくり落下する。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明は、エアーによる洗浄液の押し下げが無くなることで、洗浄液タンク内の液面の波立ちを抑制できるので、エアーブリーザから洗浄液が吹き出すことを効果的に防止することができる。この場合、洗浄液タンクを大きくする必要がないうえに、洗浄液の戻り量が大きく変動した場合でも、常に安定した波立ち抑制効果が得られる。従って、本発明は、洗浄液タンクの品質性能を従来例に比し向上させることができる。
【0017】
請求項2記載の発明は、上記小孔において洗浄液とエアーが放射方向に向かって広範にスムーズに噴出するので、請求項1記載の発明の効果に加えて、エアーの放散効率を高めつつ、洗浄液の液面への落下が一層緩やかになるメリットを有する。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、洗浄液タンクの液面に殆ど衝撃を与えずに落下するので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、前記液面の波立ちを可及的に消失させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る洗浄液タンクを搭載した舗装機械を示す全体側面図。
【図2】本発明に係る乳剤散布装置の配管図。
【図3】本発明に係る乳剤散布装置の乳剤配管バルブスイッチボックスを示す平面図。
【図4】本発明に係る洗浄液タンクの断面図。
【図5】本発明に係る洗浄液タンクの戻りパイプ構造の平面図。
【図6】図5の正面図。
【図7】図5のA−A断面図。
【図8】本発明に係る戻りパイプ構造における洗浄液の落下状態を説明する断面図。
【図9】従来例の洗浄液タンクを示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、戻りパイプ内の洗浄液をエアーで洗浄液タンクに押し戻す際、洗浄液タンク内における洗浄液とエアーによる液面の波立ちを防止し、洗浄液がエアーブリーザから吹き出さないようにするという目的を達成するために、エアーブリーザが取り付けられた洗浄液タンクの上部に洗浄液用戻りパイプが連結され、該戻りパイプの下端が前記洗浄液タンク内の液面よりも高い所に位置する洗浄液タンクの戻りパイプ構造において、前記戻りパイプは、洗浄液配管内の洗浄液がエアーで押し戻される内側パイプ部と、該内側パイプ部の外側に設けられた外側パイプ部と、該外側パイプ部の上部外側に配設されたフランジパイプ部とを備え、前記内側パイプ部は、その下端が施蓋されていると共に、該内側パイプ部の下部側面に複数の小孔が穿設され、前記外側パイプ部は、その下端が開口していると共に、該外側パイプ部の上部側面に複数の小孔が穿設され、該外側パイプ部の小孔と開口下端から前記エアーが外部に逃げるように構成したことにより実現した。
【0021】
以下、本発明の好適な実施例に係る洗浄液タンクの戻りパイプ構造について、図1乃至図8を参照しながら説明する。
【実施例】
【0022】
図1に示す乳剤散布装置付きアスファルトフィニッシャ(舗装機械)は、主に前輪1aと後輪1b、車体2、エンジン3、アスファルト混合物を収容するホッパ4と、ホッパ4内のアスファルト混合物を運び出すバーフィーダ5と、バーフィーダ5によって運ばれたアスファルト混合物を路面に送り出すスプレッディングスクリュ6と、路面8に送り出されたアスファルト混合物を敷き均すスクリード7と運転席9とから構成されている。
【0023】
車体2の中央部にはエンジンルーム10が搭載され、エンジンルーム10内にエンジン3が設置されている。前記ホッパ4とスプレッディングスクリュ6との間にバーフィーダ5が介在され、又、スプレッディングスクリュ6の後方には、スクリード7が車体2に支持されて設置され、スクリード2は左右、前後に分けて伸縮自在に設けられている。
【0024】
図2に示す乳剤散布装置21は、アスファルト乳剤を貯留する乳剤タンク11と、乳剤タンク11内のアスファルト乳剤を吸い込む乳剤往路12と、乳剤往路12を介して乳剤タンク11から送られたアスファルト乳剤の一部を複数の散布ノズル13aへ振り分ける乳剤スプレイバ13と、乳剤スプレイバ13に送られたアスファルト乳剤を乳剤タンク11へ送り戻す乳剤復路14から構成されている。
乳剤タンク11は、途中左右に分岐する乳剤往路12を介して、左右の後輪1bとスプレッディングスクリュ6の間に設置されている左乳剤スプレイバ13bおよび右乳剤スプレイバ13cの一端と夫々接続されている。乳剤往路12の分岐する手前には乳剤フィルター15が介装され、乳剤タンク11より送られたアスファルト乳剤を濾過して送り出す。
【0025】
乳剤往路12の分岐する手前には乳剤ポンプ16が介装され、乳剤ポンプ16は、乳剤フィルター15内のアスファルト乳剤を乳剤スプレイバ13へ圧送する。又、乳剤スプレイバ13には、路面8にアスファルト乳剤を散布するための複数の散布ノズル13aが内蔵され、その構成要素たる左乳剤スプレイバ13bおよび右乳剤スプレイバ13cの一端は、途中で合流する2本の乳剤復路14にそれぞれ接続されている。
【0026】
乳剤往路12と乳剤復路14より形成された乳剤循環路17には、乳剤循環路17内等を洗浄するための乳剤洗浄装置22が付設されている。乳剤洗浄装置22は、洗浄液を貯留する洗浄液タンク18と、洗浄液を乳剤循環路17内に流し込む洗浄液経路19によって構成されている。
【0027】
洗浄液タンク18は、乳剤循環路17内に付着したアスファルト乳剤を除去する洗浄液を貯留している。又、洗浄液経路19は、その両端が乳剤循環路17にそれぞれ接続されて、洗浄液経路19の中間には洗浄液タンク18が介装されている。そして、洗浄液経路19の一端は、乳剤フィルター15よりも手前の乳剤往路12に接続され、洗浄液経路19の他端は乳剤復路14に接続されている
洗浄液経路(以下、「洗浄液配管」という)19の洗浄液タンク18よりも手前には、外部と連通する排出経路20が切換弁29を介して接続され、切換弁29により洗浄液タンク18側または排出経路20側に流路方向を切換制御できるように構成されている。
【0028】
乳剤往路12は、図示しない乳剤供給源及びエアー供給源に連通可能に接続されている。切換弁29等は、コントロールパネルの左上側に設けた図3の乳剤配管バルブスイッチボックス32に内蔵され、乳剤配管バルブスイッチボックス32には積込スイッチモード、散布スイッチモード、洗浄スイッチモード又は乳剤抜取スイッチモードの切換えを行う第1スイッチ43と、乳剤戻しスイッチモード、ライン洗浄スイッチモード又は洗浄液戻しスイッチモードの切換えを行う第2スイッチ44と、エアースイッチモードのオンオフ切換えを行う第3スイッチ45とが設けられている。各スイッチ43,44,45の中心部には切換操作用のモノレバー43a、44a、45aがそれぞれ設置されている。
【0029】
次に、乳剤洗浄装置22により乳剤循環路17内の洗浄液を洗浄液タンク18に戻す場合は、洗浄液戻しスイッチモード及びエアースイッチモードに設定する。これにより、切換弁28bおよび切換弁29がそれぞれ開状態になり、また、切換弁31が開状態になり、エアーが乳剤循環路17内に流入する。このエアーの圧力と乳剤ポンプ16の圧力によって、乳剤循環路17内の洗浄液は、乳剤往路12から乳剤スプレイバ13を経由して乳剤復路14に至ったのち、洗浄液配管19に流入する。洗浄液配管19に流入した洗浄液は、切換弁28bと切換弁29を経由して洗浄液タンク18に戻る。
【0030】
次に、洗浄液タンク18の戻りパイプ構造について詳細に説明する。本実施例に係る舗装機械の洗浄液タンク18は、図4に示すように、その上部にエアーブリーザ52及び洗浄液用戻りパイプ53が互いに近接して連結されている。この戻りパイプ53の下端は、従来例同様に、洗浄液タンク18内の液面よりも高い所に位置しているが、洗浄液及びエアーによるタンク内液面の波立ち現象が抑制できるように構成されている。
【0031】
戻りパイプ53は、洗浄液配管19内の洗浄液がエアーで洗浄液タンク18に押し戻される内側パイプ部55と、該内側パイプ部55の外側に設けられた外側パイプ部56と、該外側パイプ部56の上部外側に配設されたフランジパイプ部57から構成され、これらパイプ部55,56,57は同芯上に配管されている。
【0032】
外側パイプ部56の長さは、内側パイプ部55及びフランジパイプ部57よりも長く設定されている。また、外側パイプ部56の下端は、内側パイプ部55の下端よりも所定距
離だけ下方に位置し、洗浄液タンク18内の液面50に近接するように設定されている。
【0033】
図5、図6及び図7は本発明に係る戻りパイプ構造の平面図、正面図及び断面図を夫々示す。図7に示すように、内側パイプ部55の下端には板状の蓋部材58が固設されているため、内側パイプ部55の下端は閉鎖されている。
【0034】
また、内側パイプ部55の下部側面に多数の小孔59が穿設されている。多数の小孔59は上下方向に多数列に配置され、且つ、各列の小孔59は内側パイプ部55の全周方向に沿って配設されている。依って、多数の小孔59は、平面視で内側パイプ部55の中心から放射方向外方に向かって開口している。
【0035】
一方、外側パイプ部56の下端は開口して形成されている。また、図6に示すように、外側パイプ部56の上部側面には多数の小孔60が穿設されている。多数の小孔60は上下方向に多数列に配置され、且つ、各列の小孔60は外側パイプ部56の全周方向に沿って配設されている。依って、多数の小孔60は、平面視で外側パイプ部56の中心から放射方向外方に向かって開口している。更に、図4に示すように、外側パイプ部56の小孔60は、その外側に配設した前記フランジパイプ部57により包囲されている。
【0036】
次に、本実施例の作用について説明する。まず、図8に示すように、洗浄液配管19内の洗浄液Lとエアーが内側パイプ部55から洗浄液タンク18内に流入する。その際、洗浄液LとエアーAは、内側パイプ部55の下側側面に設けた多数の小孔59から外側に噴出する。そして、噴出した洗浄液Lは、その殆どが外側パイプ部56の内面に沿って洗浄液タンク18内の液面50に向かってゆっくり落下する。
【0037】
一方、エアーAについては、内側パイプ部55下側側面の多数の小孔59から外側に噴出した後、外側パイプ部56の上側側面に設けた多数の小孔60と、外側パイプ部56の開口下端から外側に円滑に逃げる。
【0038】
叙上の如く本発明によると、下端が施蓋された内側パイプ部の下部側面に多数の小孔を穿設したので、洗浄液とエアーは、内側パイプ部から洗浄液タンク内に流入する際、内側パイプ部の多数の小孔から放射方向外側に噴出する。そして、噴出した洗浄液の殆どは、外側パイプ部の内面に当たったのち、当該外側パイプ部の内面に沿って移動し、下端開口部から洗浄液タンクの液面に向かってゆっくり落ちる。
【0039】
また、本発明は、開口下端を有する外側パイプ部の上部側面に多数の小孔を穿設し、且つ、外側パイプ部の小孔をフランジパイプ部により包囲している。従って、内側パイプ部の小孔から噴出したエアーの一部は、外側パイプ部の開口下端から外部に逃げるが、残りのエアーは、外側パイプ部の上側側面に設けた多数の小孔から放射方向外側に放散する。
【0040】
その結果、エアーの圧力が急減し、洗浄液に対する押し下げ作用も無くなる。そのため、従来例のごときエアーと洗浄液によって、洗浄液タンク内の液面に波立ち現象が生ずることが有効に抑制され、以て、エアーブリーザから洗浄液が吹き出すことが効果的に防止される。この場合、洗浄液の戻り量が大きく変動した場合でも、常に安定した波立ち抑制効果が得られる。その結果、洗浄液タンクの品質性能を著しく向上させることができる。
【0041】
また、内側パイプ部の小孔と外側パイプ部の小孔は共に、上下方向に複数列をなすように配置され、しかも、各パイプの全周方向に並んで平面視放射方向に向かって形成されている。そのため、洗浄液とエアーが前記小孔から噴出する際は、当該パイプの放射方向外側に広範に広がって放散される。依って、エアーの放散効率を高めつつ、洗浄液の落下が一層緩やかになる。
【0042】
さらに、外側パイプ部の下端を洗浄液タンクの液面近傍に位置させた場合は、外側パイプ部の下端から洗浄液が液面に向かって自然落下する際、自然落下距離が短くなるので、外側パイプ部の開口下端からの洗浄液は、洗浄液タンクの液面に殆ど衝撃を与えることなく緩やかに落下し、結果として、前記液面の波立ちを可及的に消失させることができる。この場合、洗浄液タンクの小型化が図れるので、タンクスペースの縮小化が可能になる。
【0043】
以上、本発明の具体的な実施例の幾つかを説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る洗浄液タンクの戻りパイプ構造は、エアーブリーザと洗浄液用戻りパイプを備えた洗浄液タンクであれば、エアーブリーザと洗浄液用戻りパイプの位置関係や構造又は洗浄液の成分等を問わず、全ての洗浄液タンクに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0045】
18 洗浄液タンク
19 洗浄液配管(洗浄液経路)
50 液面
52 エアーブリーザ
53 洗浄液用戻りパイプ
55 内側パイプ部
56 外側パイプ部
57 フランジパイプ部
58 蓋部材
59,60 小孔
L 洗浄液
A エアー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアーブリーザが取り付けられた洗浄液タンクの上部に洗浄液用戻りパイプが連結され、該戻りパイプの下端が前記洗浄液タンク内の液面よりも高い所に位置する洗浄液タンクの戻りパイプ構造において、
前記戻りパイプは、洗浄液配管内の洗浄液がエアーで押し戻される内側パイプ部と、該内側パイプ部の外側に設けられた外側パイプ部と、該外側パイプ部の上部外側に配設されたフランジパイプ部とを備え、
前記内側パイプ部は、その下端が施蓋されていると共に、該内側パイプ部の下部側面に複数の小孔が穿設され、前記外側パイプ部は、その下端が開口していると共に、該外側パイプ部の上部側面に複数の小孔が穿設され、該外側パイプ部の小孔と開口下端から前記エアーが外部に逃げるように構成したことを特徴とする洗浄液タンクの戻りパイプ構造。
【請求項2】
上記内側パイプ部及び上記外側パイプ部に穿設した複数の各小孔は、上下方向に複数列に配置され、且つ、各列の小孔は、パイプの全周方向に沿って配設されていることを特徴とする請求項1記載の洗浄液タンクの戻りパイプ構造。
【請求項3】
上記外側パイプ部の下端は、上記洗浄液タンクの液面近傍に位置していることを特徴とする請求項1又は2記載の洗浄液タンクの戻りパイプ構造。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−104178(P2013−104178A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246949(P2011−246949)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(502246528)住友建機株式会社 (346)
【出願人】(590002482)株式会社NIPPO (130)
【Fターム(参考)】