説明

洗浄装置および分析装置

【課題】ノズル詰まりの発生を的確に検出し、液体が溢れる反応管を最低限に抑えた洗浄装置および分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置1は、ノズル洗浄槽252内に設けられた電極253と吸引ノズル251bとの間の静電容量を連続して検出する検知部254と、検知部254によって検出された静電容量の時間依存性であって、BF洗浄液Lw吸引後にノズル洗浄槽252外に上昇される吸引ノズル251bと電極253との静電容量の時間依存性をもとに吸引ノズル251bに詰まりが発生したか否かを判断する判断部45と、判断部45によって吸引ノズル251bに詰まりが発生したと判断された場合には、吐出ノズル251aによる反応管10内へのBF洗浄液の吐出を停止させる制御部41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗浄液を吐出する吐出ノズルと、洗浄槽または反応容器内に吐出ノズルとともに挿入され、洗浄槽または反応容器内の洗浄液または反応液を吸引する吸引ノズルとを備えた洗浄装置および該洗浄装置を有する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置は、多数の検体に対する分析処理を同時に行ない、さらに、多成分を迅速に、かつ、高精度で分析できるため、免疫検査、生化学検査、輸血検査などさまざまな分野での検査に用いられている。このうち、腫瘍マーカーや感染症に対する免疫検査を行なう分析装置においては、BF洗浄液の注入および吸引によって反応生成物と未反応物とを分離するBF(Bound−Free)分離を実施する不均一分析法が広く用いられている(たとえば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−83988号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、分析装置は、BF洗浄液を吸引する吸引ノズルを用いて反応管からBF洗浄液を吸引している。しかしながら、BF洗浄液が注入される反応管の反応液中には異物が存在することがあり、この異物によって吸引ノズルにノズル詰まりが発生すると、反応管内のBF洗浄液が残存してしまうこととなり、この反応管内にさらにBF洗浄液が吐出された場合には、BF洗浄液が反応管から溢れてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、上述した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、ノズル詰まりの発生を的確に検出し、液体が溢れる反応管を最低限に抑えた洗浄装置および分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる洗浄装置は、洗浄液を吐出する吐出ノズルと、ノズル洗浄槽または反応容器内に前記吐出ノズルとともに挿入され、前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内の洗浄液または反応液を吸引する吸引ノズルと、前記吐出ノズルおよび前記吸引ノズルを昇降させて前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内に挿入する昇降手段とを備えた洗浄装置において、前記ノズル洗浄槽内または前記ノズル洗浄槽周囲に設けられた電極と前記吸引ノズルとの間の静電容量を連続して検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された静電容量の時間依存性であって、洗浄液吸引後に前記ノズル洗浄槽外に上昇される前記吸引ノズルと前記電極との静電容量の時間依存性をもとに前記吸引ノズルに詰まりが発生したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記吸引ノズルに詰まりが発生したと判断された場合には、前記吐出ノズルによる前記反応容器内への洗浄液の吐出を停止させる制御手段と、を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【0007】
また、この発明にかかる洗浄装置は、前記判断手段は、洗浄液吸引後の前記吸引ノズルに対する前記昇降手段の上昇開始時刻から、前記吸引ノズルと電極との静電容量が所定の静電容量に低下するまでの経過時間が所定の時間を超えた場合には、前記吸引ノズルに詰まりが発生したと判断し、前記経過時間が前記所定の時間を超えない場合には、前記吸引ノズルに詰まりが発生していないと判断することを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる洗浄装置は、前記電極は、前記ノズル洗浄槽の側壁内および底壁内に設けられ、または、前記ノズル洗浄槽の側壁表面および/または底壁表面に沿って設けられることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる洗浄装置は、検体と試薬とを攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、上記いずれか一つに記載の洗浄装置を用いて洗浄液または前記反応液を吸引した吸引ノズルを洗浄することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗浄液を吐出する吐出ノズルと、ノズル洗浄槽または反応容器内に前記吐出ノズルとともに挿入され、前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内の洗浄液または反応液を吸引する吸引ノズルと、前記吐出ノズルおよび前記吸引ノズルを昇降させて前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内に挿入する昇降手段とを備えた洗浄装置において、前記ノズル洗浄槽内または前記ノズル洗浄槽周囲に設けられた電極と前記吸引ノズルとの間の静電容量を連続して検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された静電容量の時間依存性であって、洗浄液吸引後に前記ノズル洗浄槽外に上昇される前記吸引ノズルと前記電極との静電容量の時間依存性をもとに前記吸引ノズルに詰まりが発生したか否かを判断する判断手段と、前記判断手段によって前記吸引ノズルに詰まりが発生したと判断された場合には、その後の前記吐出ノズルによる前記反応容器内への洗浄液の吐出を停止させる制御手段とを、備えることによって、ノズル詰まりの発生を的確に検出し、液体が溢れる反応管を最低限に抑えることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、酵素免疫測定法(EIA)によって被検血液の抗原抗体反応を行なって免疫検査を実施する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0012】
図1は、本実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、検体と試薬との間の反応物の作用による発光基質の発光量を測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構4とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行なう。
【0013】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部21、チップ格納部22、検体分注部23、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、第1試薬庫26、第2試薬庫27、第1試薬分注部28、第2試薬分注部29、酵素反応テーブル30、測光部31、第1反応管移送部32および第2反応管移送部33を備える。測定機構2の各構成部位は、所定の動作処理を行なう単数または複数のユニットを備える。
【0014】
検体移送部21は、検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック21bを備える。検体容器21aに収容された検体は、検体の提供者から採取した血液または尿などである。
【0015】
チップ格納部22は、複数のチップを整列したチップケースを設置しており、このケースからチップを供給される。このチップは、感染症項目測定時のキャリーオーバー防止のため、検体分注部23のノズル先端に装着され、検体分注ごとに交換されるディスポーザブルのサンプルチップである。
【0016】
検体分注部23は、検体の吸引および吐出を行なうチップが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注部23は、検体移送部21によって所定位置に移動された検体容器21a内の検体をチップによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応管に分注して検体を所定タイミングでBFテーブル25上の反応管内に移送する。
【0017】
免疫反応テーブル24は、それぞれ配置された反応管内で検体と分析項目に対応する所定の試薬とを反応させるための反応ラインを有する。免疫反応テーブル24は、免疫反応テーブル24の中心を通る鉛直線を回転軸として反応ラインごとに回動自在であり、免疫反応テーブル24に配置された反応管を所定タイミングで所定位置に移送する。免疫反応テーブル24においては、図1に示すように、前処理、前希釈用の外周ライン24a、検体と固相担体試薬との免疫反応用の中周ライン24bおよび検体と標識試薬との免疫反応用の内周ライン24cを有する3重の反応ライン構造を形成してもよい。
【0018】
BFテーブル25は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(Bound−Free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル25は、BFテーブル25の中心を通る鉛直線を回転軸として反応ラインごとに回動自在であり、BFテーブル25に配置された反応管を所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル25は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、BF洗浄液を反応管内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄ノズルを有するBF洗浄部251と、集磁された磁性粒子を分散させる攪拌機構とを有する。
【0019】
BF洗浄部251は、図2に示すように、BF洗浄ノズルとして、吐出ノズル251aおよび吐出ノズル251aに対応する吸引ノズル251bを複数組有する。吐出ノズル251aは、図示しない洗浄液タンクから供給されたBF洗浄液を反応管10内に吐出する。吸引ノズル251bは、反応管10内のBF洗浄液を吸引し、吸引したBF洗浄液を図示しない排水タンクに排出する。
【0020】
そして、BF洗浄部251は、これらの吐出ノズル251aおよび吸引ノズル251bに対する鉛直方向への昇降作動と、水平方向への移動とを一括して行なう。吐出ノズル251aおよび吸引ノズル251bは、各反応管10におけるBF洗浄処理が終わるごとに図中矢印のようにノズル洗浄槽252に移送され、吐出ノズル251aが吐出するBF洗浄液Lwによって吸引ノズル251bが洗浄される。この場合、制御部41は、吐出ノズル251aからノズル洗浄槽252内にBF洗浄液Lwを吐出させ、BF洗浄液Lw内に吸引ノズル251bを浸すことによって吸引ノズル251b側壁を洗浄する。次いで、ノズル洗浄槽252内のBF洗浄液Lwを吸引ノズル251bに吸引、排出させることによって、吸引ノズル251b内壁を洗浄する。なお、吸引ノズル251bは、ステンレス等の導電性に優れた金属から成り、下端が吐出ノズル251aの下端よりも下方に配置されている。また、ノズル洗浄槽252は、大気よりも誘電率が高い樹脂等の絶縁性物質で形成される。また、ノズル洗浄槽252は、吐出ノズル251aおよび吸引ノズル251bの各組ごとに槽が設けられている。
【0021】
第1試薬庫26は、BFテーブル25に配置された反応管内に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器26aを複数収納できる。第2試薬庫27は、BFテーブル25に配置された反応管内に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器27aを複数収納できる。第1試薬庫26および第2試薬庫27は、図示しない駆動機構が駆動することによって、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器を第1試薬分注部28または第2試薬分注部29による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬は、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した不溶性担体である磁性粒子を含む試薬である。第2試薬は、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識物質(たとえば酵素)を含む試薬である。また、第2試薬庫27は、標識物質との酵素反応によって発光する基質を含む基質液が収容された基質液容器27bを収納し、時計回りまたは反時計回りに回動して所定の基質液容器27bを第1試薬分注部28による基質液吸引位置まで搬送する。
【0022】
第1試薬分注部28は、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。第1試薬分注部28は、第1試薬庫26によって所定位置に移動された第1試薬容器26a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって第1試薬吐出位置に搬送された反応管10に分注する。また、第1試薬分注部28は、第2試薬庫27によって所定位置に移動された基質液容器27b内の基質液をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって基質液吐出位置に搬送された反応管10に分注する。
【0023】
第2試薬分注部29は、第1試薬分注部28と同様の構成を有し、第2試薬庫27によって所定位置に移動された第2試薬容器27a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応管10に分注する。
【0024】
酵素反応テーブル30は、反応管内に注入された基質液内の基質が発光可能となる酵素反応処理を行なうための反応ラインである。測光部31は、反応管内の反応液内の基質から発する発光を測定する。測光部31は、たとえば、化学発光で生じた微弱な発光を検出する光電子倍増管を有し、カウント法を用いて発光量を測定する。また、測光部31は、光学フィルターを保持し、発光強度に応じて光学フィルターにより減光された測定値によって真の発光強度を算出する。
【0025】
第1反応管移送部32は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、液体を収容した反応管10を所定タイミングで、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、酵素反応テーブル30、図示しない反応管供給部および図示しない反応管廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。また、第2反応管移送部33は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、液体を収容した反応管10を所定タイミングで、酵素反応テーブル30、測光部31、図示しない反応管廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。
【0026】
つぎに、制御機構4について説明する。制御機構4は、制御部41、入力部43、分析部44、判断部45、記憶部46、出力部47および送受信部49を備える。測定機構2および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。制御機構4は、一または複数のコンピュータシステムを用いて実現され、測定機構2に接続する。制御機構4は、分析装置1の各処理にかかわる各種プログラムを用いて、測定機構2の動作処理の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう。
【0027】
制御部41は、制御機能を有するCPU等を用いて構成され、分析装置1の各構成部位の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。制御部41は、記憶部46が記憶するプログラムをメモリから読み出すことにより分析装置1の制御を実行する。
【0028】
入力部43は、種々の情報を入力するためのキーボード、出力部47を構成するディスプレイの表示画面上における任意の位置を指定するためのマウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部44は、測定機構2から取得した測定結果に基づいて検体に対する分析処理等を行なう。
【0029】
判断部45は、後述するノズル洗浄槽252内に設けられた電極と吸引ノズル251bとの間の静電容量を連続して検出する検知部によって測定された静電容量の時間依存性であって、BF洗浄液吸引後に洗浄槽外に上昇される吸引ノズル251bと電極との静電容量の時間依存性をもとに吸引ノズル251bに詰まりが発生したか否かを判断する。制御部41は、判断部45によって吸引ノズル251bに詰まりが発生したと判断された場合には、吐出ノズル251aによる反応管10内へのBF洗浄液の吐出を停止させる。
【0030】
記憶部46は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部46は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0031】
出力部47は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部41の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部47は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部48を備える。出力部47は、制御部41の制御のもと、判断部45によって吸引ノズル251bに詰まりが発生したと判断された場合、吸引ノズル251bに詰まりが発生したことを報知する警告を出力する。送受信部49は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0032】
この免疫検査を行なう分析装置においては、図1に図示しない反応管供給部より、BFテーブル25の所定位置に第1反応管移送部32によって反応管10が移送され、この反応管10内に磁性粒子を含む第1試薬が第1試薬分注部28から分注される第1試薬分注処理が行われる。そして、検体移送部21によって所定位置に移送された検体容器21a内から、チップ格納部22から供給されたチップを装着した検体分注部23によって、BFテーブル25上の反応管10内に検体が分注される検体分注処理が行われる。
【0033】
つぎに、反応管10は、BFテーブル25の攪拌機構によって攪拌された後、第1反応管移送部32によって、免疫反応テーブル24の中周ライン24bに移送される。この場合、一定の反応時間経過によって、検体中の抗原と磁性粒子とが結合した反応物が生成される。その後、反応管10は第1反応管移送部32によってBFテーブル25に移送され、反応管10内の未反応物質を除去する第1BF洗浄処理が行われる。次いで、BF分離後の反応管10内に標識抗体を含む標識試薬が第2試薬として第2試薬分注部29から分注され、攪拌機構によって攪拌される第2試薬分注処理が行われる。この結果、反応物と標識抗体とが結合した免疫複合体が生成される。
【0034】
そして、この反応管10は、第1反応管移送部32によって免疫反応テーブル24の内周ライン24cに移送され、一定の反応時間が経過した後、BFテーブル25に移送される。次いで、反応管10に対して、未反応の標識抗体を除去する2回目の第2BF洗浄処理が行われる。その後、反応管10に基質を含む基質液が分注され再度攪拌される基質液分注処理が行われる。つぎに、反応管10は、第1反応管移送部32によって酵素反応テーブル30に移送され、酵素反応に必要な一定の反応時間が経過した後、第2反応管移送部33によって測光部31に移送される。酵素反応を経た基質は、免疫複合体の酵素作用により光を発する。この状態で、測光部31によって基質から発せられる光Lが測定される測定処理が行われる。そして、分析部44は、測定された光量をもとに検出対象の抗原量を求める分析処理を行なう。
【0035】
つぎに、図2を参照して、図1に示すノズル洗浄槽252について説明する。図2に示すように、ノズル洗浄槽252の側壁内および底壁内には、導電性物質で形成された電極253が設けられている。この電極253は検知部254に接続しており、検知部254は、導電性を有する吸引ノズル251bを他方の電極として、電極253に流れる交流電流の変化を検出することによって、吸引ノズル251bと電極253との静電容量を検出し、検出した静電容量に対応する電気信号を、制御部41を介して判断部45に出力する。検知部254は、吸引ノズル251bと電極253との静電容量を連続して検出する。なお、静電容量変化検出のための構造としては、たとえば図2のように、交流電圧発生部255の一方をアースとし、もう一方を検知部254を経由して電極253に接続する構造がある。
【0036】
ここで、本分析装置1においては、吸引ノズル251bと電極253との静電容量の時間依存性をもとに、吸引ノズル251bに詰まりが発生したか否かを判断している。具体的に、図3〜図5を参照して説明する。
【0037】
まず、吸引ノズル251bに詰まりがない場合について説明する。吸引ノズル251bに詰まりがないため、図3(1)に示すように、吸引ノズル251bの洗浄が終了したBF洗浄液Lwは、吸引ノズル251bによって吸引されてノズル洗浄槽252外に排出される。この吸引ノズル251bは、ノズル洗浄後のBF洗浄液Lwを確実に排出するために、ノズル洗浄槽252の底壁に接触するように図示しないノズル押し付けバネが付加されている。ここで、吸引ノズル251bによってBF洗浄液Lwがほぼ吸引された場合であっても、ノズル洗浄槽252の底壁上はBF洗浄液Lwで濡れた状態となる。このため、図3(1)に示すように、吸引ノズル251bは、BF洗浄液Lwを介して電極253と接触する状態となる。このように、BF洗浄液Lwを介して吸引ノズル251bと電極253とが接触することによって、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量は、吸引ノズル251bの上昇タイミングT0以前においては、図4に示すように高い容量C1を示すこととなる。
【0038】
次いで、図3(2)の矢印Y1に示すように、BF洗浄部251によって、吸引ノズル251bおよび吐出ノズル251aが上昇を開始した場合には、吸引ノズル251bは、底壁を濡らすBF洗浄液Lwから圧縮されていたノズル押し付けバネ(不図示)が通常状態に回復した後に離れることとなる。すなわち、吸引ノズル251bおよび吐出ノズル251aの上昇によって、吸引ノズル251bは、BF洗浄液Lwを介した電極253との接触から一定時間後に解除される。したがって、図4の曲線L1に示すように、吸引ノズル251bに詰まりがない場合には、吸引ノズル251bの上昇タイミング後の一定時間後に吸引ノズル251bと電極253との接触が解除されるため、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量は、吸引ノズル251bの上昇タイミングT0よりも、圧縮されていたノズル押し付けバネが通常状態に回復するのに必要な分だけ後の時間T1において、図4に示すようにC1よりも格段に低い容量C2に変化する。
【0039】
そして、吸引ノズル251bに詰まりがある場合について説明する。吸引ノズル251bに詰まりがある場合には、図5(1)に示すように、吸引ノズル251bの洗浄が終了した後も、BF洗浄液Lwは、ノズル洗浄槽252外に排出されず、そのままノズル洗浄槽252内に残存したままとなってしまう。したがって、図5(2)の矢印Y1に示すようにBF洗浄部251の上昇開始によって、ノズル詰まりがなければ洗浄液Lwとの接触を解除されていた高さまで吸引ノズル251bが上昇した場合であっても、吸引ノズル251bは、BF洗浄液Lw内に浸ったままとなる。そして、図5(3)の矢印Y2に示すように、吸引ノズル251b下端がノズル洗浄槽252上部まで上昇したときに、ようやく吸引ノズル251bがBF洗浄液Lwから離脱する。
【0040】
したがって、吸引ノズル251bに詰まりが発生した場合には、BF洗浄液Lwがノズル洗浄槽252内に残存したままであり、吸引ノズル251b下端がノズル洗浄槽252上部まで上昇しなければ吸引ノズル251bと電極253との接触が解除されないため、図4の曲線L2に示すように、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量は、吸引ノズル251bの上昇タイミングT0から、圧縮されていたノズル押し付けバネが通常状態に回復するのに必要な分だけ後の時間T1を経過しても、高い容量C1を示したままである。そして、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量は、吸引ノズル251b下端がノズル洗浄槽252上部まで上昇し吸引ノズル251bがBF洗浄液Lwから離脱した後の時間T2において、ようやく容量C2に変化する。
【0041】
このように、吸引ノズル251bにおいて詰まりが発生していた場合には、詰まりによって吸引できなかったBF洗浄液Lwと吸引ノズル251bとの上昇開始後の接触時間が長くなることにともない、詰まりが発生していない場合と比較し、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量の時間依存性が異なる。具体的には、図4に示すように、吸引ノズル251bの上昇タイミングから吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量C2まで低下するまでの時間が、吸引ノズル251bにおいて詰まりが発生していた場合と発生していない場合とで異なる。
【0042】
このため、分析装置1では、吸引ノズル251bの上昇タイミングから吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量C2まで低下するまでの時間において、吸引ノズル251bにおいて詰まりが発生していた場合と発生していない場合とで切り分け可能な閾値時間Tkを設定する。そして、判断部45は、吸引ノズル251bの上昇タイミングから吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量C2まで低下するまでの時間が、この閾値時間Tkを超えたか否かで吸引ノズル251bの詰まりの発生を判断している。なお、この閾値時間Tkは、吸引ノズル251bに詰まりがあった場合および詰まりがなかった場合の双方の場合において、吸引ノズル251b上昇時における吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量の時間依存性を予め検出しておき、この検出結果および検出処理時間差をもとに設定される。
【0043】
つぎに、図6を参照して、分析装置1における吸引ノズル251bの詰まり発生検出処理について説明する。図6に示すように、制御部41は、BF洗浄処理が終了後、BF洗浄部251に対して、BF洗浄処理を行った吸引ノズル251bを吐出ノズル251aとともにノズル洗浄槽252内に移動させてから、吸引ノズル251bを洗浄するノズル洗浄処理を開始する(ステップS2)。そして、制御部41は、ノズル洗浄槽252内のBF洗浄液Lwが全て吸引ノズル251bによって吸引され、ノズル洗浄処理が終了したか否かを判断する(ステップS4)。制御部41は、ノズル洗浄処理が終了したと判断するまでステップS4の判断処理を繰り返す。
【0044】
そして、制御部41は、ノズル洗浄処理が終了したと判断した場合には(ステップS4:Yes)、検知部254に対して、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量の検出を開始させる(ステップS5)。その後、制御部41は、BF洗浄部251に対して、吐出ノズル251aおよび吸引ノズル251bをノズル洗浄槽252外に移送するため、吐出ノズル251aおよび吸引ノズル251bを上昇させるノズル上昇処理を開始させる(ステップS6)。さらに、制御部41は、BF洗浄部251の上昇タイミングと同時に、判断部45が内蔵するタイマーの計時をスタートさせる(ステップS8)。なお、検知部254が検出した吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量は、制御部41を介して判断部45に順次出力される。
【0045】
そして、判断部45は、検知部254から順次出力された吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量値、たとえばC2まで低下するか否かを判断する(ステップS10)。判断部45は、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量まで低下するまでステップS10の判断処理を繰り返し、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量が所定の静電容量まで低下したと判断した場合(ステップS10:Yes)、内蔵するタイマーをストップする(ステップS12)。そして、判断部45は、このタイマーの計時値Tmを取得し(ステップS14)、一時的に記憶した後、制御部41は、検知部254に対して、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量の検出を終了させるとともに(ステップS15)、判断部45におけるタイマーの計時値を0に戻しリセットする(ステップS16)。
【0046】
ここで、判断部45が取得した計時値Tmは、BF洗浄液吸引後の吸引ノズル251bに対するBF洗浄部251の上昇開始時刻から、吸引ノズル251bと電極253との静電容量が所定の静電容量値に低下するまでの経過時間に相当する。判断部45は、この計時値Tmと所定の閾値時間Tkとを比較し、Tm>Tkであるか否かを判断する(ステップS18)。
【0047】
Tm>Tkである場合は、吸引ノズル251bがBF洗浄液から離脱するまでに時間がかかった場合に対応し、ノズル詰まりに起因してノズル洗浄槽252内にBF洗浄液Lwが残存している場合に対応する。このため、判断部45は、Tm>Tkであると判断した場合(ステップS18:Yes)、吸引ノズル251bに詰まりが発生したと判断し(ステップS20)、判断結果を制御部41に出力する。制御部41は、この判断結果を受けて、吐出ノズル251aによる反応管10へのBF洗浄液の吐出動作を停止する(ステップS22)。具体的には、制御部41は、詰まりが発生したと判断された吸引ノズル251bが直前のBF洗浄処理においてBF洗浄処理を行った反応管に対する吐出ノズル251aによるBF洗浄液の吐出を停止する。そして、制御部41は、出力部47に対して、吸引ノズル251bに詰まりが発生したことを報知する警告を出力させる(ステップS24)。
【0048】
これに対し、Tm>Tkでない場合(ステップS18:No)、すなわち計時値Tmが閾値時間Tk以下である場合には、吸引ノズル251bがBF洗浄液から即時に離脱できた場合に対応し、ノズル洗浄槽252内にBF洗浄液Lwが残存していない場合、言い換えると、吸引ノズル251bによって、ノズル洗浄槽252内のBF洗浄液Lwが正常に排出された場合に対応する。このため、判断部45は、Tm>Tkでないと判断した場合(ステップS18:No)、吸引ノズル251bには詰まりなしと判断し(ステップS26)、判断結果を制御部41に出力する。そして、この吸引ノズル251bは詰まりがなく正常であるため、BF洗浄処理を続行できることから、次のBF洗浄処理および/もしくは次のノズル洗浄処理があるか否かを判断し(ステップS28)、次のBF洗浄処理および/もしくは次のノズル洗浄処理があると判断した場合には(ステップS28:Yes)、この吸引ノズル251bおよび吐出ノズル251aに対して、BF洗浄処理を行わせた後に、ステップS2に戻って、ノズル洗浄処理を開始する。また、制御部41は、次のBF洗浄処理および次のノズル洗浄処理がないと判断した場合には(ステップS28:No)、このまま処理を終了する。
【0049】
このように、実施の形態においては、吸引ノズル251bにおいて詰まりが発生していた場合には、詰まりによって吸引できなかったBF洗浄液Lwと吸引ノズル251bとの吸引ノズル251bの上昇時の接触時間が長くなることにともない、吸引ノズル251bに詰まりが発生していない場合と比較し、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量の時間依存性が異なることを用いて、BF洗浄液吸引後にノズル洗浄槽252外に上昇される吸引ノズル251bと電極253との静電容量の時間依存性をもとに吸引ノズル251bに詰まりが発生したか否かを的確に検出している。そして、本実施の形態においては、吸引ノズル251bに詰まりが発生したと判断した場合には、吐出ノズル251aによるBF洗浄液の吐出を停止させるため、BF洗浄液が残存した反応管10内へのさらなるBF液洗浄液吐出を防止でき、液体が溢れる反応管を最低限に抑えることが可能になる。
【0050】
また、本実施の形態においては、ノズル洗浄槽252における吸引ノズル洗浄処理ごとに吸引ノズル251bの詰まり状態を検出できることから、BF洗浄処理時に吸引ノズル251bにおいて詰まりが発生した場合であっても、このBF洗浄処理後のノズル洗浄処理時にて詰まりを検出して次のBF洗浄処理におけるBF洗浄液吐出を停止するため、吸引ノズル251bに詰まりが発生したままで分析処理を続行することを最小限に抑制することができる。
【0051】
また、本実施の形態においては、ノズル洗浄槽252内のBF洗浄液Lwを介在させた状態で吸引ノズル251bの詰まり発生を検出している。すなわち、本実施の形態においては、常に同じ液体を介在させた状態で吸引ノズル251bの詰まり発生を検出しているため、毎回違う液体を介在させた状態で詰まり発生を検出する方法と比較して、検出処理の正確性を安定して保持することができる。
【0052】
また、従来では、吸引ノズルと排水液タンクとを接続する配管周囲に電極を設け、BF洗浄処理時における反応管内の反応液吸引時に、この電極と吸引ノズルとの静電容量の変化、すなわちインピーダンス変化を検知して吸引ノズルの詰まり発生を検出する検出方法が提案されている。しかしながら、この検出方法では、吸引ノズルが反応管内のたんぱく質等の物質を含んだ反応液を吸引した場合に、この吸引ノズルと連通した配管であって絶縁性材料で形成された配管の内壁に反応液中のタンパク質等が付着して蓄積してしまうことがあった。そして、BF洗浄液が導電性を有していた場合には、この蓄積物にBF洗浄液が浸透してしまうことによって、吸引ノズルと配管周囲の電極との間の抵抗成分のインピーダンスが常に低くなってしまう。この結果、微弱な静電容量成分の変化に起因するインピーダンス変化を検出することが困難となってしまい、実際に吸引ノズルに詰まりが発生した場合であっても、詰まりに起因するインピーダンスの変化を検出できず、吸引ノズルの詰まりを検出することができなかった。
【0053】
これに対し、本実施の形態では、吸引ノズル251bと連通する絶縁性材料で形成された配管内壁にタンパク質等の付着物が蓄積した場合であっても、配管周囲ではなくノズル洗浄槽252内に設けた電極253と、該電極253と離れた空間に位置する吸引ノズル251bとの間の静電容量を、BF洗浄液Lwなどの液体を介在させた状態で検出するため、そもそも蓄積物の影響を受けることがない。したがって、本実施の形態においては、吸引ノズル251bのBF洗浄液Lwからの離脱にともなう静電容量の低下を正確に検出できるため、吸引ノズル251bの詰まり発生を高精度で検出できる。
【0054】
なお、各吸引ノズル251bの設置高さに応じて各吸引ノズル251bごとに閾値時間Tkを設定してもよい。一の昇降機構に吸引ノズルおよび吐出ノズルが複数組取り付けられている場合には、取り付け高さの誤差により、各吸引ノズル251bの設置高さに誤差が生じる。
【0055】
たとえば図7に示すように、下端がノズル洗浄槽2521の底壁にほぼ接触している吸引ノズル2511bと、下端がノズル洗浄槽2522の底壁から高さHの位置にある吸引ノズル2512bとを比較する。この場合には、吸引ノズル2512bの下端が吸引ノズル2511bの下端よりも高い位置にあるため、吸引ノズル2512bは、吸引ノズル2511bがBF洗浄液Lwから離脱するよりも早い時間でノズル洗浄液Lwから離脱する。したがって、図8の曲線L12に示すように、吸引ノズル2512bと電極2532との間の静電容量は、曲線L1に示す吸引ノズル2511bと電極2531とにおける静電容量の低下時間T1よりも、矢印Y11のように早い時間T12において所定の静電容量値C2に低下する。このため、吸引ノズル2512bに対する詰まり吸引検出のための閾値時間は、図8の矢印Y12に示すように、吸引ノズル2511bに対応する閾値時間Tkよりも短い時間Tk1に設定する。なお、図7における吐出ノズル2511aは吸引ノズル2511bに対応する吐出ノズルであり、吐出ノズル2512aは吸引ノズル2512bに対応する吐出ノズルである。
【0056】
この閾値時間Tk1は、吸引ノズル2512bにおける詰まりがあった場合および詰まりがなかった場合の双方の場合において、吸引ノズル2512b上昇時における吸引ノズル2512bと電極2532との間の静電容量の時間依存性を予め検出しておき、この検出結果および圧縮されたノズル押し付けバネ(不図示)が通常状態に回復するのに必要な時間をもとに設定される。また、吸引ノズル下端の各高さと、所定の静電容量値C2に低下する各低下時刻をもとに設定された各閾値時間との対応づけを予め取得して、分析装置1に該対応づけを予め記憶させておく。この場合、判断部45は、詰まり検出対象となる吸引ノズル2512bの下端の高さを入力部43などから入力された情報などをもとに取得し、記憶された対応づけの中から、取得した吸引ノズル251bの下端の高さに対応する閾値時間を該ノズル2512bに対する閾値時間として、吸引ノズルの詰まり判断を行なってもよい。
【0057】
このように、実施の形態においては、各吸引ノズルごとに異なるBF洗浄液Lwからの離脱タイミングに対応させて閾値時間Tkをそれぞれ設定することによって、さらに正確に各吸引ノズルの詰まり発生の有無を検出することができる。
【0058】
また、本実施の形態においては、電極面積を大きくするためにノズル洗浄槽252の側壁内および底壁内にコップ状に電極253を設けた場合を例に説明したが、吸引ノズル251bと電極との間の静電容量の変化を検知できれば足りるため、図9に示すようにノズル洗浄槽252aの側壁内のみに電極253aを設けてもよく、図10に示すようにノズル洗浄槽252bの底壁内のみに電極253bを設けてもよい。
【0059】
また、本実施の形態においては、ノズル洗浄槽252内部に電極253を設けた場合を例に説明したが、吸引ノズル251bと電極との間の静電容量の変化を検知できれば足りるため、図11に示すように、ノズル洗浄槽252cの側壁表面および底壁表面に沿って電極253を設けてもよい。この場合、吸引ノズル251bと電極253との間の静電容量変化を確実に検出できるようにするために、ノズル洗浄槽252cと電極253との間の誘電率を大気よりも高くする必要がある。このため、図11に示すように、ノズル洗浄槽252cと電極253との間を、空気層ができないように誘電率が高いシリコン樹脂254などで充填する。この場合、経時的に固体化する流動性樹脂などを用いることによって、ノズル洗浄槽252cと電極253との間を確実かつ簡易に埋めることができる。
【0060】
また、本実施の形態においては、発光物質である基質を標識物質として使用する分析装置を例に説明したが、もちろんこれに限らず、蛍光物質を標識物質として使用する場合、放射性同位体を標識物質として使用する場合、スピン試薬を標識物質として使用する場合など、BF洗浄処理を行なう分析装置に適用可能である。また、反応容器内の洗浄液を吸引して排出する吸引ノズルを備えた分析装置に対しても、同様に適用可能である。
【0061】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示すノズル洗浄槽の構成を説明する図である。
【図3】図2に示す吸引ノズルに詰まりがない場合の吸引ノズルの上昇処理について説明する図である。
【図4】図2に示す吸引ノズルと電極との間の静電容量の時間変化を示す図である。
【図5】図2に示す吸引ノズルに詰まりがある場合の吸引ノズルの上昇処理について説明する図である。
【図6】図1に示す分析装置における吸引ノズルの詰まり発生検出処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示すノズル洗浄槽の構成を説明する図である。
【図8】図7に示す吸引ノズルに詰まりがない場合の吸引ノズルの上昇処理について説明する図である。
【図9】図1に示すノズル洗浄槽の他の構成を説明する図である。
【図10】図1に示すノズル洗浄槽の他の構成を説明する図である。
【図11】図1に示すノズル洗浄槽の他の構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0063】
1 分析装置
2 測定機構
4 制御機構
10 反応管
21 検体移送部
21a 検体容器
21b 検体ラック
22 チップ格納部
23 検体分注部
24 免疫反応テーブル
24a 外周ライン
24b 中周ライン
24c 内周ライン
25 BFテーブル
25b 集磁機構
251 BF洗浄部
252 ノズル洗浄槽
253 電極
254 検知部
255 交流電圧発生部
251a 吐出ノズル
251b 吸引ノズル
26 第1試薬庫
26a 第1試薬容器
27 第2試薬庫
27a 第2試薬容器
27b 基質液容器
28 第1試薬分注部
29 第2試薬分注部
30 酵素反応テーブル
31 測光部
32 第1反応管移送部
33 第2反応管移送部
41 制御部
43 入力部
44 分析部
45 判断部
46 記憶部
47 出力部
48 表示部
49 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄液を吐出する吐出ノズルと、ノズル洗浄槽または反応容器内に前記吐出ノズルとともに挿入され、前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内の洗浄液または反応液を吸引する吸引ノズルと、前記吐出ノズルおよび前記吸引ノズルを昇降させて前記ノズル洗浄槽または前記反応容器内に挿入する昇降手段とを備えた洗浄装置において、
前記ノズル洗浄槽内または前記ノズル洗浄槽周囲に設けられた電極と前記吸引ノズルとの間の静電容量を連続して検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された静電容量の時間依存性であって、洗浄液吸引後に前記ノズル洗浄槽外に上昇される前記吸引ノズルと前記電極との静電容量の時間依存性をもとに前記吸引ノズルに詰まりが発生したか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段によって前記吸引ノズルに詰まりが発生したと判断された場合には、前記吐出ノズルによる前記反応容器内への洗浄液の吐出を停止させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする洗浄装置。
【請求項2】
前記判断手段は、洗浄液吸引後の前記吸引ノズルに対する前記昇降手段の上昇開始時刻から、前記吸引ノズルと電極との静電容量が所定の静電容量値に低下するまでの経過時間が所定の時間を超えた場合には、前記吸引ノズルに詰まりが発生したと判断し、前記経過時間が前記所定の時間を超えない場合には、前記吸引ノズルに詰まりが発生していないと判断することを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記電極は、前記ノズル洗浄槽の側壁内および底壁内に設けられ、または、前記ノズル洗浄槽の側壁表面および/または底壁表面に沿って設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
検体と試薬とを攪拌して反応させ、反応液の光学的特性を測定して前記反応液を分析する分析装置であって、請求項1〜3のいずれか一つに記載の洗浄装置を用いて洗浄液または前記反応液を吸引した吸引ノズルを洗浄することを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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