説明

洗浄装置

【課題】被洗浄体から除去された汚れが被洗浄体に再び付着する事態を防止し得る洗浄装置を提供する。
【解決手段】洗浄槽11と、洗浄槽11内を減圧させる減圧機構と、洗浄槽11に洗浄液70を供給する液送ポンプ4と、洗浄槽11の開口部11cの縁部から溢れ出た洗浄液70および汚れ90を受け止める液受け部12とを備え、液受け部12は、開口部11cの縁部よりも下側の位置において洗浄槽11の側壁11bを取り囲むようにして外向きに突出形成された鍔部12aと、鍔部12aの外周部に沿って立設されると共にその上端部が側壁11bの縁部よりも上方に位置するよう形成された外周壁12bとを備えて構成され、減圧機構は、液受け部12の開口部12cを覆う蓋部13と、液受け部12および洗浄槽11内の気体を排気させる真空ポンプ3とを備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被洗浄体を洗浄可能に構成されると共に、被洗浄体から除去された付着物を洗浄液と共に溢れ出させて排出可能に構成された洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の洗浄装置として、特開平9−10711号公報に開示された洗浄装置が知られている。この洗浄装置は、密閉可能なチャンバー、タンクに充填された洗浄液(有機系洗浄剤)をチャンバー内に注入する液送ポンプ、および密閉されたチャンバー内を減圧する真空ポンプ等を備えて構成されている。この洗浄装置を用いて被洗浄体(ワーク)を洗浄する際には、まず、被洗浄体をチャンバー内にセットした後にチャンバーを閉じて密閉状態にする。次いで、タンク内の洗浄液を配管を通してチャンバー内に注入し、被洗浄体を洗浄液に浸漬する。続いて、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧する。この際に、洗浄液に浸漬された被洗浄体の細部に残留している空気(エアートラップ)が気泡となって被洗浄体から遊離する。次いで、チャンバー内を大気圧に戻した後に、チャンバー内の洗浄液を配管を通してタンクに移す。続いて、上記の工程を複数回繰り返す。次いで、被洗浄体を乾燥させた後にチャンバーから取り出す。これにより、被洗浄体に付着していた汚れ(付着物)が除去されて洗浄が完了する。この場合、この洗浄装置では、上記したようにチャンバー内を減圧することで被洗浄体の細部に残留していた空気を被洗浄体から遊離させることができるため、被洗浄体の細部にまで洗浄液が浸入して、被洗浄体を細部に亘って十分に洗浄することが可能となっている。
【特許文献1】特開平9−10711号公報(第2−4頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記の洗浄装置には、以下の問題点がある。すなわち、この洗浄装置では、洗浄に用いた洗浄液を配管を通してチャンバーからタンクに移し、その使用済みの洗浄液を繰り替えして用いて洗浄を行っている。このため、被洗浄体から除去されて洗浄液に浮遊している汚れ(付着物)が被洗浄体に再び付着することがあり、十分な洗浄が困難となるおそれがある。この場合、使用済みの洗浄液を浄化する装置を備えることもできるが、被洗浄体から除去された汚れが洗浄液の液面に浮遊しているときには、洗浄液をチャンバーからタンクに移す際に汚れがチャンバーの壁面に付着することがあり、被洗浄体への汚れの再付着を確実に防止するのは困難である。
【0004】
一方、洗浄液の液面に浮遊している汚れを除去する方法として、チャンバーの上部側に排出孔を設けて、洗浄液の供給を所定時間継続することで、浮遊している汚れを洗浄液と共に排出孔から溢れ出させて排出する方法も考えられる。しかしながら、この方法では、例えば、液面の全面に汚れが広がって浮遊しているときには、排出孔から離れた位置に浮遊している汚れを全て排出させるのが困難なため、被洗浄体をチャンバーから取り出すときや、洗浄液をチャンバーから引き抜く際に液面が下がったときに、残った汚れが被洗浄体に再び付着するおそれが依然として存在する。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、被洗浄体から除去された汚れが被洗浄体に再び付着する事態を防止し得る洗浄装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の洗浄装置は、上部に開口部を有して洗浄液を貯留可能な洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧させる減圧機構と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給部とを備えて、被洗浄体を洗浄可能に構成されると共に当該被洗浄体から除去された付着物を前記洗浄槽に対する前記洗浄液の供給によって前記開口部の縁部から当該洗浄液と共に溢れ出させて排出可能に構成され、前記開口部の縁部から溢れ出た前記洗浄液を受け止める液受け部を備え、前記液受け部は、前記洗浄槽の側壁における前記開口部の縁部よりも下側の位置において当該側壁を取り囲むようにして外向きに突出形成された鍔部と、前記鍔部の外周部に沿って立設されると共にその上端部が当該側壁の前記縁部よりも上方に位置するよう形成された外周壁とを備えて構成され、前記減圧機構は、前記液受け部における前記外周壁の前記上端部によって構成される開口部を覆う蓋部と、前記液受け部に形成された排気口から当該液受け部および前記洗浄槽内の気体を排気させる排気部とを備えて構成されている。
【0007】
また、請求項2記載の洗浄装置は、上部に開口部を有して洗浄液を貯留可能な洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧させる減圧機構と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給部とを備えて、被洗浄体を洗浄可能に構成されると共に当該被洗浄体から除去された付着物を前記洗浄槽に対する前記洗浄液の供給によって前記開口部の縁部から当該洗浄液と共に溢れ出させて排出可能に構成され、前記開口部の縁部から溢れ出た前記洗浄液を受け止める液受け部を備え、前記液受け部は、前記洗浄槽を収容可能でかつ上部が開口した収容容器で構成されると共に当該洗浄槽を収容した状態において当該収容容器の外周壁の上端部が当該洗浄槽の側壁における前記開口部の縁部よりも上方に位置するように構成され、前記減圧機構は、前記収容容器における前記外周壁の前記上端部によって構成される開口部を覆う蓋部と、前記収容容器に形成された排気口から当該収容容器および前記洗浄槽内の気体を排気させる排気部とを備えて構成されている。
【0008】
また、請求項3記載の洗浄装置は、請求項1または2記載の洗浄装置において、前記液受け部によって受け止められた前記洗浄液を浄化する浄化部を備え、前記供給部は、前記浄化部によって浄化された前記洗浄液を前記洗浄槽に供給する。
【0009】
請求項4記載の洗浄装置は、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄装置において、前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液を超音波振動させる超音波振動部を備えている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の洗浄装置によれば、上部に開口部を有して洗浄液を貯留可能な洗浄槽と洗浄槽の開口部の縁部から溢れ出た洗浄液を受け止める液受け部とを備えたことにより、開口部の縁部における至る所から洗浄液を溢れ出させることができるため、汚れが液面の全面に広がって浮遊したとしても、洗浄液と共に汚れを液受け部に確実に排出させることができる。したがって、洗浄液の排出によって液面が下がる際や、洗浄液が洗浄槽に貯留されている状態において洗浄液の中から被洗浄体を取り出す際に、浮遊している汚れが洗浄済みの被洗浄体に再び付着する事態を確実に防止することができる。また、洗浄液の排出によって液面が下がる際に、洗浄槽の側壁や底板に汚れが付着する事態を確実に防止することができるため、次の洗浄を行う際に、洗浄に先立って側壁や底板を洗浄する工程を省略することができる。
【0011】
また、請求項2記載の洗浄装置によれば、洗浄槽を収容可能に構成されて洗浄槽における開口部の縁部から溢れ出た洗浄液を受け止める液受け部として機能する収容容器を備えたことにより、汚れが液面の全面に広がって浮遊したとしても、洗浄液と共に汚れを収容容器に確実に排出させることができる。したがって、洗浄液の排出の際や、洗浄液の中から部品を取り出す際に、浮遊している汚れが洗浄済みの被洗浄体に再び付着する事態を確実に防止することができる。また、洗浄液の排出の際に、洗浄槽の側壁や底板に汚れが付着する事態を確実に防止することができるため、次の洗浄に先立って側壁や底板を洗浄する工程を省略することができる。
【0012】
また、請求項3記載の洗浄装置によれば、液受け部によって受け止められた洗浄液を浄化する浄化部を備え、供給部が浄化部によって浄化された洗浄液を洗浄槽に供給することにより、洗浄槽から汚れと共に溢れ出た洗浄液を浄化した後に循環して用いることができるため、ランニングコストを十分に低減することができる。
【0013】
また、請求項4記載の洗浄装置によれば、洗浄槽に貯留された洗浄液を超音波振動させる超音波振動部を備えたことにより、付着している汚れを超音波振動のキャビテーション効果によって被洗浄体から確実に剥離させることができるため、洗浄効果を十分に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る洗浄装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0015】
最初に、洗浄装置1の構成について説明する。
【0016】
図1に示す洗浄装置1は、本発明に係る洗浄装置の一例であって、同図および図2に示すように、本体部2、真空ポンプ3、液送ポンプ4、浄化装置5、貯留タンク6および振動装置7を備えて、被洗浄体(一例とし、図2に示す部品80)を洗浄可能に構成されている。
【0017】
本体部2は、図1,2に示すように、洗浄槽11、液受け部12および蓋部13を備えて構成されている。洗浄槽11は、円形状の底板11aと、底板11aの縁部に沿って立設された側壁11bとを備えて上部に開口部11cを有する有底円筒状に形成されて、例えば、界面活性剤(洗剤)を添加した水を主体とする洗浄液70を貯留可能に構成されている。この場合、側壁11bの下部(底板11aの近傍)には洗浄槽11内に洗浄液70を流入させるための給液口21が形成され、この給液口21には、給液管22が取り付けられている。この場合、給液管22は、給液バルブ23を介して液送ポンプ4に繋げられている。また、底板11aには洗浄槽11内に貯留されている洗浄液70を排出させるための排液口31が形成され、この排液口31には、排液管32が取り付けられている。この場合、排液管32は、排液バルブ33を介して浄化装置5に繋げられている。
【0018】
液受け部12は、洗浄槽11における開口部11cの縁部から溢れ出た洗浄液70を受け止める機能を有している。具体的には、液受け部12は、図1,2に示すように、鍔部12aおよび外周壁12bを備えて構成されている。鍔部12aは、洗浄槽11における側壁11bの上端部(つまり、開口部11cの縁部)よりも下部において、側壁11bを取り囲むようにして外向きに突出形成されている。この場合、鍔部12aには、洗浄槽11から溢れ出た洗浄液70を廃出するための廃液口61が形成され、廃液口61には、廃液管62が取り付けられている。また、廃液管62には、廃液バルブ63が取り付けられている。
【0019】
外周壁12bは、図1,2に示すように、洗浄槽11の側壁11bに対向するようにして鍔部12aの外周部に沿って立設されている。この場合、外周壁12bは、その上端部が側壁11bの上端部よりも上方に位置するようにその高さが規定されている。また、外周壁12bには、洗浄槽11および液受け部12の内部空間の気体(空気)を排気するための排気口41、および内部空間に気体(空気)を流入させるための吸気口51が形成され、排気口41および吸気口51には、排気管42および吸気管52がそれぞれ取り付けられている。また、排気管42および吸気管52には、排気バルブ43および吸気バルブ53がそれぞれ取り付けられている。
【0020】
蓋部13は、液受け部12における外周壁12bの上端部によって構成される開口部12cを覆い被すための部材であって、開口部12cよりもやや大径の円板状の天板13aと、天板13aの縁部に取り付けられた側板13bとを備えて構成されている。この場合、蓋部13と真空ポンプ3とによって本発明における減圧機構が構成される。
【0021】
真空ポンプ3は、本発明における排気部に相当し、液受け部12に取り付けられている排気管42に排気バルブ43を介して繋がれて、洗浄槽11および液受け部12の内部空間内の気体を吸引することによって減圧洗浄槽11および液受け部12の内部空間を減圧する。液送ポンプ4は、本発明における供給部に相当し、洗浄槽11に取り付けられている給液管22に給液バルブ23を介して繋がれて、貯留タンク6に貯留されている洗浄液70を洗浄槽11の内部に供給する。
【0022】
浄化装置5は、本発明における浄化部に相当し、図2に示すように、洗浄槽11に取り付けられている排液管32に排液バルブ33を介して繋がれると共に、液受け部12に取り付けられている廃液管62に廃液バルブ63を介して繋がれて、洗浄槽11から排出される洗浄液70および液受け部12によって受け止められて廃出される洗浄液70に含まれている汚れを除去する。貯留タンク6は、洗浄液70を貯留可能に構成されている。この場合、貯留タンク6は、液送ポンプ4および浄化装置5に配管で繋がれており、外部から投入された洗浄液70および浄化装置5によって浄化された洗浄液70を貯留すると共に、洗浄液70を液送ポンプ4に供給する。振動装置7は、本発明における超音波振動部に相当し、洗浄槽11の底板11aの外部に配設されて、洗浄槽11、および洗浄槽11に貯留された洗浄液70を超音波振動させる。なお、振動装置7(超音波振動子)を洗浄槽11の内部に配設する構成を採用することもできる。
【0023】
次に、洗浄装置1の使用方法について、図面を参照して説明する。
【0024】
最初に、洗浄装置1の使用方法の一例として、洗浄対象体としての有底筒状の部品80を洗浄する例について説明する。まず、洗浄液70が貯留されていない空の状態の洗浄槽11の内部に部品80を収容する。次いで、排液バルブ33を閉じると共に給液バルブ23を開いた後に、液送ポンプ4を作動させる。この際に、貯留タンク6に貯留されている洗浄液70が給液バルブ23および給液管22を通って給液口21から洗浄槽11の内部に液送ポンプ4によって供給される。続いて、洗浄液70が所定の水位に達した時点で給液バルブ23を閉じ、次いで、蓋部13を液受け部12の開口部12cに嵌め合わせる。これにより、洗浄槽11および液受け部12が蓋部13によって密閉される。続いて、吸気バルブ53および廃液バルブ63を閉じると共に排気バルブ43を開いた後に、真空ポンプ3を作動させる。この際に、洗浄槽11および液受け部12の内部空間内の空気が液受け部12の排気口41に連結されている排気管42および排気バルブ43を通って真空ポンプ3によって吸引されることにより、内部空間が減圧される。この場合、例えば、部品80の内部に空気が残留していたとしても、洗浄槽11の内部空間が減圧されているため、残留している空気が部品80の内部から洗浄液70中に気泡となって排出される。
【0025】
次いで、真空ポンプ3を停止させた後に、排気バルブ43を閉じると共に吸気バルブ53を開く。この際に、洗浄槽11および液受け部12の内部空間に吸気バルブ53および吸気管52を通って空気が供給されることにより、洗浄槽11および液受け部12の内部空間が大気圧に復帰する。続いて、給液バルブ23を開いて、洗浄液70の供給を再開すると共に、廃液バルブ63を開く。この場合、洗浄液70の水位が上昇して開口部11cの縁部に達したときには、図2に示すように、さらなる供給の継続によって洗浄液70が開口部11cの縁部を乗り越えて液受け部12に溢れ出る。次いで、振動装置7を作動させて、洗浄槽11、および洗浄槽11に貯留されている洗浄液70を超音波振動させる。この際に、部品80に付着している付着物(例えば図2に示す汚れ90)が、超音波振動のキャビテーション効果によって部品80から剥離されて洗浄液70中に排出される。この場合、洗浄槽11の内部空間を減圧して部品80の内部に残留していた空気を排出したことにより、部品80の内部の隅々まで洗浄液70が行き渡るため、部品80が隅々まで十分に洗浄される。
【0026】
一方、図2に示すように、洗浄液70中に排出されて洗浄液70の液面に浮遊している汚れ90は、洗浄液70と共に洗浄槽11の側壁11bにおける開口部11cの縁部を乗り越えて液受け部12に溢れ出る。この場合、この洗浄装置1では、洗浄槽11の上部が開口しているため、その開口部11cの縁部における至る所(縁部の周囲における任意の部位)から洗浄液70を溢れ出させることが可能となっている。このため、汚れ90が液面の全面に広がって浮遊したとしても、洗浄液70と共に汚れ90を液受け部12に確実に排出させることが可能となっている。
【0027】
続いて、振動装置7の作動開始から所定時間が経過した時点で、振動装置7を停止させる。次いで、液送ポンプ4を停止させると共に給液バルブ23を閉じる。以上により、部品80の洗浄が完了する。続いて、排液バルブ33を開く。この際に、洗浄槽11内に貯留されている洗浄液70が洗浄槽11の排液口31に連結されている排液管32および排液バルブ33を通って浄化装置5に排出される。この場合、洗浄液70に浮遊していた汚れ90が洗浄液70と共に確実に排出されているため、洗浄液70の排出によって液面が下がる際に、汚れが部品80に再び付着する事態、および汚れが洗浄槽11の側壁11bや底板11aに付着する事態が確実に防止される。次いで、洗浄の完了した部品80を洗浄槽11から取り出す。次に、他の被洗浄体を洗浄するときには、上記した手順を繰り返す。この場合、洗浄槽11の側壁11bや底板11aへの汚れの付着が防止されているため、被洗浄体の洗浄に先立って側壁11bや底板11aを洗浄する工程を省略することができる。
【0028】
なお、他の被洗浄体を引き続いて洗浄するときには、洗浄液70を排出することなく、洗浄液70が貯留されている状態の洗浄槽11の中から洗浄の完了した部品80を取り出してもよい。この場合においても、洗浄液70に浮遊していた汚れ90が洗浄液70と共に確実に排出されているため、部品80を取り出す際に、浮遊している汚れ90が洗浄済みの部品80に再び付着する事態が確実に防止される。
【0029】
このように、この洗浄装置1によれば、上部に開口部11cを有して洗浄液70を貯留可能な洗浄槽11と、洗浄槽11の開口部11cの縁部から溢れ出た洗浄液70を受け止める液受け部12とを備えたことにより、開口部11cの縁部における至る所から洗浄液70を溢れ出させることができるため、汚れ90が液面の全面に広がって浮遊したとしても、洗浄液70と共に汚れ90を液受け部12に確実に排出させることができる。したがって、洗浄液70の排出によって液面が下がる際や、洗浄液70が洗浄槽11に貯留されている状態において洗浄液70の中から部品80を取り出す際に、浮遊している汚れ90が洗浄済みの部品80に再び付着する事態を確実に防止することができる。また、洗浄液70の排出によって液面が下がる際に、洗浄槽11の側壁11bや底板11aに汚れが付着する事態を確実に防止することができるため、次の洗浄を行う際に、洗浄に先立って側壁11bや底板11aを洗浄する工程を省略することができる。
【0030】
また、この洗浄装置1によれば、液受け部12から排出された洗浄液70を浄化する浄化装置5を備え、浄化装置5によって浄化した洗浄液70を液送ポンプ4によって洗浄槽11に供給することにより、洗浄槽11から汚れ90と共に溢れ出た洗浄液70を浄化した後に循環して用いることができるため、ランニングコストを十分に低減することができる。
【0031】
また、この洗浄装置1によれば、洗浄槽11に貯留された洗浄液70を超音波振動させる振動装置7を備えたことにより、付着している汚れを超音波振動のキャビテーション効果によって部品80から確実に剥離させることができるため、洗浄効果を十分に高めることができる。
【0032】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、図3に示す洗浄装置101を採用することもできる。なお、以下の説明において、上記した洗浄装置1における構成要素と同じ機能を有する構成要素については同一の符号を付して重複した説明を省略する。この洗浄装置101は、液受け部12に代えて、液受け部として機能する収容容器112を備えて構成されている。この場合、収容容器112は、同図に示すように、円形状の底板112aと、底板112aの縁部に沿って立設された外周壁112bとを備えて上部に開口部112cを有する(上部が開口した)有底円筒状に形成されると共に、洗浄槽11を収容可能に構成されている。この場合、外周壁112bは、洗浄槽11を収容した状態において、その上端部が洗浄槽11における側壁11bの上端部よりも上方に位置するようにその高さが規定されている。
【0033】
また、外周壁112bの下部(底板112aの近傍)には、洗浄槽11の給液口21に取り付けられている給液管22を挿通させるための挿通孔121が形成されている。また、外周壁12bには、洗浄槽11および収容容器112の内部空間の空気(気体)を排気するための排気口141、および内部空間に空気を流入させるための吸気口151が形成され、排気口141および吸気口151には、排気管42および吸気管52がそれぞれ取り付けられている。また、底板112aには、洗浄槽11の排液口31に取り付けられている排液管32を挿通させるための挿通孔122が形成されている。また、底板112aには、廃液口161が形成され、廃液口161には、洗浄槽11から溢れ出た洗浄液70を廃出するための廃液管62が取り付けられている。
【0034】
この洗浄装置101によれば、洗浄槽11を収容可能に構成されて洗浄槽11における開口部11cの縁部の周囲における任意の部位から溢れ出た洗浄液70を受け止める液受け部として機能する収容容器112を備えたことにより、上記した洗浄装置1と同様にして、汚れ90が液面の全面に広がって浮遊したとしても、洗浄液70と共に汚れ90を収容容器112に確実に排出させることができる。したがって、洗浄液70の排出の際や、洗浄液70の中から部品80を取り出す際に、浮遊している汚れ90が洗浄済みの部品80に再び付着する事態を確実に防止することができる。また、洗浄液70の排出の際に、洗浄槽11の側壁11bや底板11aに汚れが付着する事態を確実に防止することができるため、次の洗浄に先立って側壁11bや底板11aを洗浄する工程を省略することができる。
【0035】
また、有底円筒状、つまり平面視が円形の洗浄槽11と、平面視が円環状の液受け部12とを備えた構成例について上記したが、洗浄槽11の形状は、任意に規定することができる。一例として、図4に示す洗浄装置201のように、平面視が矩形の(立方体状または直方体状)の洗浄槽211と、平面視が矩形環状(回字状)の液受け部212とを備えた構成を採用することができる。また、界面活性剤(洗剤)が添加された水を主体とする洗浄液70を用いる例について上記したが、洗浄液としては、これに限定されず、有機溶剤、水(純粋)、および酸やアルカリの溶液等を用いることができる。
【0036】
また、振動装置7を備えた例について上記したが、振動装置7を備えていない構成を採用することもできる。また、ヒータを備えて洗浄液70を加熱しつつ洗浄する構成を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】洗浄装置1の斜視図である。
【図2】洗浄装置1の断面図である。
【図3】洗浄装置101の斜視図である。
【図4】洗浄装置201の斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1,101,201 洗浄装置
3 真空ポンプ
4 液送ポンプ
5 浄化装置
7 振動装置
11,211 洗浄槽
11b 側壁
11c 開口部
12,212 液受け部
12a 鍔部
12b 外周壁
13 蓋部
41,141 排気口
70 洗浄液
80 部品
90 汚れ
112 収容容器
112b 外周壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口部を有して洗浄液を貯留可能な洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧させる減圧機構と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給部とを備えて、被洗浄体を洗浄可能に構成されると共に当該被洗浄体から除去された付着物を前記洗浄槽に対する前記洗浄液の供給によって前記開口部の縁部から当該洗浄液と共に溢れ出させて排出可能に構成され、
前記開口部の縁部から溢れ出た前記洗浄液を受け止める液受け部を備え、
前記液受け部は、前記洗浄槽の側壁における前記開口部の縁部よりも下側の位置において当該側壁を取り囲むようにして外向きに突出形成された鍔部と、前記鍔部の外周部に沿って立設されると共にその上端部が当該側壁の前記縁部よりも上方に位置するよう形成された外周壁とを備えて構成され、
前記減圧機構は、前記液受け部における前記外周壁の前記上端部によって構成される開口部を覆う蓋部と、前記液受け部に形成された排気口から当該液受け部および前記洗浄槽内の気体を排気させる排気部とを備えて構成されている洗浄装置。
【請求項2】
上部に開口部を有して洗浄液を貯留可能な洗浄槽と、前記洗浄槽内を減圧させる減圧機構と、前記洗浄槽に前記洗浄液を供給する供給部とを備えて、被洗浄体を洗浄可能に構成されると共に当該被洗浄体から除去された付着物を前記洗浄槽に対する前記洗浄液の供給によって前記開口部の縁部から当該洗浄液と共に溢れ出させて排出可能に構成され、
前記開口部の縁部から溢れ出た前記洗浄液を受け止める液受け部を備え、
前記液受け部は、前記洗浄槽を収容可能でかつ上部が開口した収容容器で構成されると共に当該洗浄槽を収容した状態において当該収容容器の外周壁の上端部が当該洗浄槽の側壁における前記開口部の縁部よりも上方に位置するように構成され、
前記減圧機構は、前記収容容器における前記外周壁の前記上端部によって構成される開口部を覆う蓋部と、前記収容容器に形成された排気口から当該収容容器および前記洗浄槽内の気体を排気させる排気部とを備えて構成されている洗浄装置。
【請求項3】
前記液受け部によって受け止められた前記洗浄液を浄化する浄化部を備え、
前記供給部は、前記浄化部によって浄化された前記洗浄液を前記洗浄槽に供給する請求項1または2記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記洗浄槽に貯留された前記洗浄液を超音波振動させる超音波振動部を備えている請求項1から3のいずれかに記載の洗浄装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate