説明

洗濯乾燥機

【課題】装置の長寿命化を図るとともに製造コストを削減できる洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】洗濯兼脱水槽30に洗濯物を投入して洗濯を行う洗濯工程と、洗濯兼脱水槽30に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程とを備え、乾燥工程中または乾燥工程後にイオンを洗濯兼脱水槽30に供給する洗濯乾燥機1において、洗濯物に含まれる化繊の量を検知する化繊検知部を備え、化繊の量が所定量より少ないときに多いときと比較してイオン発生量を少なくした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯物の洗濯及び乾燥を行う洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯乾燥機の乾燥運転終了後、衣類が静電気を帯びている場合、衣類を取り出す際に使用者が不快感を感じることがある。本現象は特に化繊を乾燥した場合に発生しやすい。
【0003】
従来の洗濯乾燥機が特許文献1及び特許文献2に開示される。特許文献1の洗濯乾燥機は洗濯槽内にマイナスイオンを供給することにより衣類が帯びた静電気を除去することができる。特許文献2の洗濯乾燥機は加湿装置とアンテナからなる静電気検出手段を備える。静電気検出手段が衣類の静電気を検出した場合、加湿装置が衣類に湿気を与えて衣類が帯びた静電気を除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−326089号公報
【特許文献2】特開平4−348799号公報
【特許文献3】特開平6−233898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の洗濯乾燥機によると、特許文献1の洗濯乾燥機ではマイナスイオン発生手段の長期にわたる使用によりマイナスイオンの発生率が減少する問題があった。また、特許文献2の洗濯乾燥機ではあらたに静電気検出手段を設けるため、構造が複雑化し洗濯乾燥機の製造コストが増加する問題もあった。
【0006】
そこで、本発明は装置の長寿命化を図った洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の洗濯乾燥機は、洗濯兼脱水槽に洗濯物を投入して洗濯を行う洗濯工程と、前記洗濯兼脱水槽に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程とを備え、前記乾燥工程中または前記乾燥工程後にイオンを前記洗濯兼脱水槽に供給する洗濯乾燥機において、洗濯物に含まれる化繊の量を検知する化繊検知部を備え、化繊の量が所定量より少ないときに多いときと比較してイオン発生量を少なくしたことを特徴とする。この構成によると、化繊検知部で化繊の量を検知して発生する静電気の量が判断される。
【0008】
また、本発明の洗濯乾燥機は、上記構成において、化繊の量が所定量よりも少ないときにイオンの供給を停止したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の洗濯乾燥機は、上記構成において、洗濯物の量を検知する布量検知部と、前記洗濯兼脱水槽の水位を検知する水位センサとを備え、前記化繊検知部が、洗濯物の量に応じて給水された時の前記洗濯兼脱水槽の水位と給水後に所定時間が経過した時の前記洗濯兼脱水槽の水位との差によって洗濯物に含まれる化繊の量を検知することを特徴とする。
【0010】
この構成によると、布量検知部において洗濯物の量を検知して洗濯物の量を検知する。次に、洗濯物の量に応じた水量が洗濯兼脱水槽内に給水され、水位センサにより給水前後の水位差を検知する。洗濯物の量と給水前後の水位差から洗濯物に含まれる化繊の量を検知する。
【0011】
また、本発明の洗濯乾燥機は、上記構成において、洗濯物の量を検知する布量検知部と、前記洗濯兼脱水槽内の温度を検知する温度センサとを備え、前記化繊検知部が、前記乾燥工程を開始して所定時間が経過したときの前記洗濯兼脱水槽内の温度変化によって洗濯物に含まれる化繊の量を検知することを特徴とする。
【0012】
この構成によると、布量検知部において洗濯物の量を検知して洗濯物の量を検知する。次に、乾燥工程において、洗濯兼脱水槽内の温度変化を温度センサで検知する。洗濯物の量と洗濯兼脱水槽内の温度変化から洗濯物に含まれる化繊の量を検知する。
【0013】
また、本発明の洗濯乾燥機は、上記構成において、前記洗濯兼脱水槽内の過乾燥を検知した際にイオン濃度を増加させたことを特徴とする。この構成により、過乾燥により発生した静電気を除去することができる。
【0014】
また、本発明の洗濯乾燥機は、上記構成において、前記洗濯兼脱水槽内の洗濯物を攪拌するパルセータを備え、前記乾燥工程が前記洗濯兼脱水槽を回転する脱水回転期間と、前記洗濯兼脱水槽を停止して前記パルセータを回転する攪拌期間とを有し、前記攪拌期間のイオンの供給量が前記脱水回転期間よりも多いことを特徴とする。この構成により、パルセータの回転によりほぐされた洗濯物により多くのイオンを当てることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、静電気の発生状況に応じてイオン発生量を変化させることで、イオン発生量を必要最小限に抑え、装置の長寿命化を図ることができる。また、静電気検出手段を設けずに、洗濯乾燥機としての既存の検知手段を利用することで安価に静電気除去の要否を判定することができる。従って、従来例のような静電気検出手段を設ける必要がなく、洗濯乾燥機の製造コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機の概略構造を示す側面断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機の蓋部を開いた状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る洗濯乾燥機の各工程の動作制御を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る洗濯乾燥機の各工程の動作制御の変形例を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る洗濯乾燥機の各工程の動作制御を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る洗濯乾燥機の各工程の動作制御の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本発明の実施形態に係る洗濯乾燥機を前方斜め上視点で示す斜視図であり、図2は図1の洗濯乾燥機を側方視点で示す概略側面断面図である。なお、図2に示した洗濯乾燥機は左側が前面、右側が背面である。
【0018】
洗濯乾燥機1は全自動型であり、直方体形状の外箱10を備えている。外箱10は略直方体に成形され、その上下は開放されている。外箱10の上側開放部は上面板11で覆われている。また、上面板11の前面側には洗濯乾燥機の操作を行う操作部71が設けられ、上面板11の背面側にはバックパネル14が装着される。
【0019】
上面板11の中央部には洗濯乾燥機1内に洗濯物を投入するための出入口11aが開設されている。出入口11aはバックパネル14の前端部に設けたヒンジ部15aで枢支される蓋部15によって開閉される。蓋部15の周縁にはパッキン(不図示)が設けられ、出入口11aと蓋部15との間が密封されている。蓋部15を上下に回動させて出入口11aを開閉することにより、後述する脱水槽30に洗濯物を投入したり、脱水槽30から洗濯物を取り出すことができる。
【0020】
図3は蓋部15を開いた状態を示す斜視図である。図1〜図3において、外箱10の内部には、洗濯槽を兼ねる脱水槽30と、脱水槽30を収容する水槽20が収容される。脱水槽30は洗剤を溶かした水またはすすぎ用の水(以下これらを総称して「洗濯水」という)を溜める。水槽20及び脱水槽30はともに上面が開口した有底筒状に形成され、各々軸線を垂直にして水槽20を外側、脱水槽30を内側とする形で同心的に配置される。
【0021】
水槽20はサスペンション部材21によって吊り下げられる。サスペンション部材21は水槽20の外面下部と外箱10の内面コーナー部とを連結する形で計4箇所に配備され、水槽20を水平面内で揺動できるように支持している。
【0022】
脱水槽30はテーパ状に上方が広がる周壁を有し、この周壁にはその最上部に環状に配置した複数個の脱水孔31を除いて液体を通すための開口部はない。即ち、脱水槽30はいわゆる「孔なし」タイプに形成される。脱水槽30の上部開口部の縁には、洗濯物の脱水のため脱水槽30を高速回転させたときに振動を抑制する働きをする環状のバランサ32が装着される。脱水槽30の内部底面には槽内で洗濯水の流動を生じさせるためのパルセータ33が配置される。
【0023】
水槽20の下面には駆動ユニット40が取り付けられる。駆動ユニット40はモータ41及びクラッチ・ブレーキ機構43を有している。クラッチ・ブレーキ機構43はモータ41にベルト42で連結され、脱水軸44及びパルセータ軸45が上方に突出する。クラッチ・ブレーキ機構43は電磁力で動作し、脱水軸44及びパルセータ軸45の一方を択一的にモータ41に連結する。また、クラッチ・ブレーキ機構43は電磁力によって脱水軸44の回転にブレーキを掛けるとともに、ブレーキを解除する。
【0024】
脱水軸44とパルセータ軸45は二重軸構造となっており、脱水軸44が外側に配されてパルセータ軸45が内側に配される。脱水軸44は水槽20を貫通して脱水槽30に連結され、脱水槽30を軸支する。パルセータ軸45は水槽20及び脱水槽30を貫通してパルセータ33に連結され、パルセータ33を軸支する。脱水軸44と水槽20との間、及び脱水軸44とパルセータ軸45との間には各々水もれを防ぐためのシール部材が配置される。
【0025】
外箱10には出入口11aの周囲から下方に延びる延設部16が設けられる。延設部16は環状に形成される略鉛直の鉛直部16aと鉛直部16aの下端から略水平に延びる水平部16bとを有している。水平部16bの下面には環状の蛇腹状の弾性体17が取り付けられる。弾性体17によって延設部16と水槽20の上面とが連結され、脱水槽30の回転等による水槽20の振動が吸収される。
【0026】
また、延設部16及び弾性体17により出入口11aの周囲と水槽20の上面との間が遮蔽される。これにより、水槽20と出入口11aとの間に密閉空間が形成される。従って、水槽20の上面を開閉する内蓋を必要とせず、蓋部15を閉じて洗濯及び乾燥を行うことができる。
【0027】
外箱10の後部の延設部16上には乾燥ユニット91が設置される。乾燥ユニット91は送風機50及びヒータ54を備えるとともに、水位センサ74(図4参照)等の端子が水平部16b上に設置される。
【0028】
乾燥ユニット91は吸込口51aが延設部16の鉛直部16a及び水平部16bに2箇所開口し、吹出口51dが水平部16bに開口する。このとき、吹出口51dは下方に向かって脱水槽30の内周壁に沿って温風を吹き出すように配置される。
【0029】
吸込口51aと吹出口51dとは循環ダクト51により連結され、循環ダクト51内に正イオンと負イオンからなるプラズマクラスターイオン(以下「PCI」という)を発生するPCI発生器80、送風機50及びヒータ54が配される。PCIは洗濯物に帯電した静電気を除去する効果がある。
【0030】
ヒータ54はPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータから成り、送風機50及びヒータ54の駆動によって吹出口51dから温風が送出される。このとき、PCI発生器80で発生したPCIも循環ダクト51内に放出され、温風とともに吹出口51dから送出される。温風があまり高温になると、洗濯乾燥機1の内部の合成樹脂製部品が溶けるおそれが生じる。このため、循環ダクト51からの吹き出し温度が90℃を超えない程度に設定しておくのがよい。
【0031】
また、延設部16の水平部16bには給水口(不図示)が設けられる。給水口は給水弁77(図5参照)を介して市水に接続される。
【0032】
水槽20の底部には水槽20及び脱水槽30内の水を外箱10の外部に排水する排水ホース60が取付けられている。脱水槽30には排水孔62が同一円周上に4箇所設けられ、各排水孔62と排水ホース60との間は排水ダクト61により連結される。排水ダクト61内には排水弁63が設けられる。排水弁63を開くと排水ダクト61及び排水ホース60を介して脱水槽30内の水が排水される。また、脱水時に脱水槽30の上部から流出した水は水槽20の周壁と脱水槽30の周壁との間を通って排水ホース60から排水される。
【0033】
図4は洗濯乾燥機1の構成を示すブロック図である。制御部70にはモータ41、クラッチ・ブレーキ機構43、送風機50、ヒータ54、給水弁77、PCI発生器80、操作部71、表示部72、蓋開閉センサ73、水位センサ74、温度センサ75、湿度センサ76及び布量検知部78が接続される。
【0034】
表示部72は操作部71に設けられ、洗濯乾燥機1の操作画面や動作状態を表示する。蓋開閉センサ73は蓋部15の開閉状態を検知する。水位センサ74は脱水槽30の水位を検知する。温度センサ75は脱水槽30の内部の温度を検知する。湿度センサ76は脱水槽30の内部の湿度を検知する。布量検知部78は脱水槽30に投入された洗濯物の量を検知する。具体的には、洗濯の開始時にパルセータ33を回転させ、このときのモータ41の負荷を検出して洗濯物の量を検知する。
【0035】
図5は第1実施形態に係る洗濯乾燥機1の各工程の動作制御を示すフローチャートである。上記構成の洗濯乾燥機1において、出入口11aから脱水槽30に洗濯物が入れられ、蓋部15が閉じられる。操作部71により洗濯条件を選択して洗濯の開始を指示すると蓋開閉センサ73により蓋部15が閉じたことを検知して洗濯動作及び乾燥動作が実行される。
【0036】
洗濯工程では洗濯物投入後、ステップ♯11において布量検知部78で脱水槽30内の洗濯物の量を検知する。ステップ♯12では排水弁63を閉じて給水弁77が開かれ、給水口から脱水槽30に給水する。ステップ♯13では洗濯物の量に応じた目標水位に到達したか否かが判断される。水位センサ74の検知により目標水位に到達すると給水弁77が閉じられる。
【0037】
ステップ♯15では所定時間、パルセータ33を低速で回転させて洗濯物を攪拌し、洗濯物全体に水をなじませる。ステップ♯16では再び水位センサ74の検知によって水位を検知してメモリ(不図示)に記憶する。
【0038】
洗濯工程には洗い動作、脱水動作、すすぎ動作が含まれる。ステップ♯17ではクラッチ・ブレーキ機構43によりパルセータ軸45をモータ41に連結してモータ41を駆動する。これにより、パルセータ33が回転し、脱水槽30の中の水を攪拌して洗い動作が開始される。洗い動作終了後、排水弁63を開いて脱水槽30内の水が排水される。
【0039】
次に、クラッチ・ブレーキ機構43により脱水軸44がモータ41に連結される。これにより、モータ41の駆動によって脱水槽30が高速回転して脱水動作が行われる。脱水槽30の高速回転によって洗濯物から飛散した水は排水ダクト61及び脱水孔31から流出する。脱水動作終了後、排水弁63を閉じて給水弁77が開かれ、脱水槽30に所定量の水が溜まると水位センサ74の検知によって給水弁77が閉じられる。
【0040】
次に、クラッチ・ブレーキ機構43によりパルセータ軸45をモータ41に連結してモータ41を駆動する。これにより、パルセータ33が回転し、脱水槽30の中の水を攪拌してすすぎ動作が行われる。すすぎ動作終了後、再度脱水動作が行われ、これら洗濯工程が終了するとステップ♯21に移行する。
【0041】
洗濯工程が終了すると乾燥工程が行われる。ステップ♯21では送風機50及びヒータ54を駆動する。送風機50の駆動によって水槽20内の空気が循環ダクト51を介して循環する。循環ダクト51に流入した空気はヒータ54で昇温され、吹出口51dから水槽20内に送出される。これにより、水槽20内の空気が昇温される。
【0042】
ステップ♯30では湿度センサ76により脱水槽30の検知湿度が所定値よりも低下して乾燥工程を終了させるか否かが判断される。乾燥工程の終了と判断されるとステップ♯31に移行してヒータ54が停止される。
【0043】
ステップ♯32ではステップ♯11において検知した洗濯物の量とステップ♯15の洗濯物の攪拌前後における水位差から洗濯物に含まれる化繊の量を演算する。即ち、水位差が大きい時に化繊の量が少ないと判断し、水位差が小さい時に化繊の量が多いと判断する。従って、布量検知部78と水位センサ74は洗濯物に含まれる化繊の量を検知する化繊検知部を構成する。
【0044】
ステップ♯33において洗濯物に含まれる化繊が所定量より多いと判断したとき、ステップ♯34でPCI発生器80が駆動される。これにより、循環ダクト51内にPCIが放出され、脱水槽30内にPCIを含む空気が吹出口51dから送出される。このとき、PCIにより洗濯物が帯びた静電気が除去される。特に洗濯物に含まれる化繊の量が多いとき静電気が発生しやすいため、化繊の量に応じてPCI発生器80が放出するPCIの発生量を制御する。ステップ♯33において化繊が所定量より少ないと判断したとき、PCI発生器80は駆動されず、ステップ♯36に移行する。なお、パルセータ33を回転させて洗濯物をほぐしながらPCIを放出することにより効率よく静電気を除去することができる。
【0045】
ステップ♯35ではPCI発生器80を駆動開始して所定時間が経過するまで待機する。PCI発生器80を駆動開始して所定時間が経過すると、ステップ♯36に移行してPCI発生器80、送風機50を駆動停止する。そして、これら全動作が終了したことを表示部72の表示や音声等によって報知する。
【0046】
本実施形態によると洗濯物に含まれる化繊の量が所定量よりも多いときに発生する静電気が多いと判断してPCI発生器80を駆動し、少ないときにPCI発生器80を停止するので、PCI発生器80の駆動を必要最小限に抑えることができる。また、化繊の量が少ない時にPCI発生器80が放出するPCIの発生量を抑えるために、PCI発生器80を間欠駆動したり、PCI発生器80への印加電圧を抑える。これにより、PCI発生器80の長寿命化を図ることができる。
【0047】
また、既存の布量検知部78と水位センサ74により、洗濯物の化繊量を検知する化繊検知部を容易に実現することができるため、静電気検出手段を設けずに、洗濯物の化繊量を判別して静電気発生量を検知することができる。従って、洗濯乾燥機の製造コストを削減することができる。
【0048】
また、乾燥工程において、脱水槽30を回転させて洗濯物を乾燥させる脱水回転期間と、脱水槽30を停止してパルセータ33を回転させて洗濯物をほぐす攪拌期間とを有する。このとき、攪拌期間におけるPCIの供給量を脱水回転期間よりも多くすることにより、パルセータ33の回転によりほぐされた洗濯物により多くのPCIを当てることができる。これにより、洗濯物が帯びた静電気を効率よく除去することができる。
【0049】
なお、図6は第1実施形態に係る洗濯乾燥機1の各工程の動作制御の変形例を示すフローチャートである。ステップ♯32〜ステップ♯35をステップ♯22の後に配することにより、乾燥工程中にPCI発生器80を駆動して洗濯物の静電気を除去することができる。
【0050】
[第2実施形態]
図7は第2実施形態に係る洗濯乾燥機1の各工程の動作制御を示すフローチャートである。なお、図1〜図4に示す第1実施形態の洗濯乾燥機の構造と同一であり、第1実施形態と同一の工程は同一符号を付して説明を省略する。
【0051】
本実施形態の制御動作は、洗濯物の化繊量を検知する化繊検知部を布量検知部78と温度センサ75により実現する。
【0052】
洗濯工程が終了するとステップ♯21に移行し、送風機50及びヒータ54を駆動して昇温した空気を吹出口51dから水槽20内に送出する。
【0053】
ステップ♯22で乾燥動作開始後、ステップ♯23では温度センサ75により脱水槽30内の温度を検知する。ステップ♯24では所定時間が経過するまで待機し、所定時間が経過すると、ステップ♯25に移行して温度センサ75により脱水槽30内の温度を再度検知してメモリ(不図示)に記憶する。
【0054】
ステップ♯30では湿度センサ76により脱水槽30の検知湿度が所定値よりも低下して乾燥工程を終了させるか否かが判断される。乾燥工程の終了と判断されるとステップ♯31に移行してヒータ54が停止される。
【0055】
ステップ♯32ではステップ♯11において検知した洗濯物の量とステップ♯23とステップ♯25で検知した乾燥工程中の温度変化から洗濯物に含まれる化繊の量を演算する。即ち、乾燥工程において所定時間における温度上昇が小さい時に化繊の量が少ないと判断し、温度上昇が大きい時に化繊の量が多いと判断する。これは、化繊は吸水性が低く即乾性が高いからである。これにより、布量検知部78と温度センサ75が洗濯物に含まれる化繊の量を検知する化繊検知部を構成する。
【0056】
そして、ステップ♯33において洗濯物に含まれる化繊が所定量より多いと判断したとき、ステップ♯34でPCI発生器80が駆動される。ステップ♯33において化繊が所定量より少ないと判断したとき、PCI発生器80は駆動されず、ステップ♯36に移行する。
【0057】
ステップ♯35ではPCI発生器80を駆動開始して所定時間が経過するまで待機する。PCI発生器80を駆動開始して所定時間が経過すると、ステップ♯36に移行してPCI発生器80、送風機50を駆動停止する。
【0058】
本実施形態によると第1実施形態と同様の効果を得ることができ、PCI発生器80の駆動を必要最小限に抑え、PCI発生器80の長寿命化を図ることができる。
【0059】
また、既存の布量検知部78と温度センサ75により、洗濯物の化繊量を検知する化繊検知部を容易に実現することができるため、あらたに静電気検出手段を設けずに、洗濯乾燥機の製造コストを削減することができる。
【0060】
なお、図8は第2実施形態に係る洗濯乾燥機1の各工程の動作制御の変形例を示すフローチャートである。ステップ♯32〜ステップ♯35をステップ♯25の後に配することにより、乾燥工程中にPCI発生器80を駆動して洗濯物の静電気を除去することができる。
【0061】
第1、第2実施形態において、脱水槽30内で過乾燥を検知した場合に脱水槽30内に供給するイオン濃度を増加させてもよい。即ち、上記化繊検知部により洗濯物に含まれる化繊の量が多いと判断され、湿度センサ76により乾燥工程中の脱水槽30内の湿度が所定値より低下しているにもかかわらずユーザー設定により乾燥動作が続行している場合、過乾燥を検知する。このとき、PCI発生器80の駆動に加えて送風機50のファン回転数を上げてPCIの濃度を増加させることにより、過乾燥状態における静電気の発生を抑えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は洗濯乾燥機に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 洗濯乾燥機
10 外箱
11 上面板
11a 出入口
14 バックパネル
16 延設部
16a 鉛直部
16b 水平部
20 水槽
30 脱水槽(洗濯兼脱水槽)
32 バランサ
33 パルセータ
40 駆動ユニット
41 モータ
42 ベルト
43 クラッチ・ブレーキ機構
44 脱水軸
50 送風機
51 循環ダクト
51a 吸込口
51d 吹出口
54 ヒータ
70 制御部
71 操作部
72 表示部
73 蓋開閉センサ
75 温度センサ
76 湿度センサ
77 給水弁
78 布量検知部
80 PCI発生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯兼脱水槽に洗濯物を投入して洗濯を行う洗濯工程と、前記洗濯兼脱水槽に温風を送出して洗濯物を乾燥する乾燥工程とを備え、前記乾燥工程中または前記乾燥工程後にイオンを前記洗濯兼脱水槽に供給する洗濯乾燥機において、洗濯物に含まれる化繊の量を検知する化繊検知部を備え、化繊の量が所定量より少ないときに多いときと比較してイオン発生量を少なくしたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
化繊の量が所定量よりも少ないときにイオンの供給を停止したことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
洗濯物の量を検知する布量検知部と、前記洗濯兼脱水槽の水位を検知する水位センサとを備え、前記化繊検知部が、洗濯物の量に応じて給水された時の前記洗濯兼脱水槽の水位と給水後に所定時間が経過した時の前記洗濯兼脱水槽の水位との差によって洗濯物に含まれる化繊の量を検知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
洗濯物の量を検知する布量検知部と、前記洗濯兼脱水槽内の温度を検知する温度センサとを備え、前記化繊検知部が、前記乾燥工程を開始して所定時間が経過したときの前記洗濯兼脱水槽内の温度変化によって洗濯物に含まれる化繊の量を検知することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記洗濯兼脱水槽内の過乾燥を検知した際にイオン濃度を増加させたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記洗濯兼脱水槽内の洗濯物を攪拌するパルセータを備え、前記乾燥工程が前記洗濯兼脱水槽を回転する脱水回転期間と、前記洗濯兼脱水槽を停止して前記パルセータを回転する攪拌期間とを有し、前記攪拌期間のイオンの供給量が前記脱水回転期間よりも多いことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−143478(P2012−143478A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5553(P2011−5553)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】