説明

洗濯機等の操作ボタン装置

【課題】長手方向を持った形状のボタン部の端部を押してもシーソー状の動作をしないようにすることで、スイッチをオンし易くし、安価な方法で、使い勝手および視認性を向上すること。
【解決手段】ボタン取り付けベース部31と、ボタン部26の長手側の両端部に形成したボタン支持部32とが繋がり、ボタン部26の内側ボタン押圧部41が、シート39を介して、内側ボタン部37のスイッチ押圧部42がスイッチ35を操作するよう構成し、ボタン部26の長手側外縁にL字型リブ43を形成し、パネル21内面側と、制御装置33に貼り付けられたシート(中間層)39とで、L字型リブ43を挟みこむことで、ボタン部26がシーソー状の動作をすることがなく、使い勝手及び視認性を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル等の操作表示部に設け、機器の動作設定などを入力するスイッチを操作する洗濯機等の操作ボタン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の洗濯機等の操作ボタン装置は、図6〜図8に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図7は、従来の操作表示装置を備えた洗濯機の要部正面図、図8は、同操作表示装置の分解斜視図、図9は、同操作表示装置の要部断面図である。
【0004】
図7に示すように、操作表示パネル1は、洗濯機の洗濯槽(図示せず)を開閉自在に覆う蓋2の上方(手前側)に取り付けており、この操作表示パネル1に、操作部3〜5、コース表示部6などを設けている。操作ダイアル部3は、所定の運転コースを選択するとき操作するものであり、操作ボタン部4は、所定の運転コースの内容を調整するものであり、操作ボタン部5は、洗濯動作を開始するとき操作するものである。
【0005】
コース表示部6は、操作ダイアル部3により所定の運転コースを選択すると点灯し、操作ボタン部4により点灯表示が変化する。電源入りスイッチ7aは、洗濯機本体に電源を投入するものであり、電源切りスイッチ7bは、洗濯機本体の電源を遮断するものである。
【0006】
つぎに、図8および図9に示すように、操作表示パネル1の内側に洗濯機の運転を制御する制御装置8を装着し、この制御装置8に操作表示パネル1の操作ボタン部4に対応した位置に複数のスイッチ9を設けている。制御装置8は、内側操作部10でカバーされ、内側操作部10の上面には、弾性を有するシート11を貼着し、シート11に設けたシートボタン部12より、内側操作ボタン部13を介してスイッチ9を押圧することでオン、オフできるように構成している。
【0007】
ここで、操作ボタン部4は、ボタン取り付けベース部14に、弾性を有するように形成したボタン支持部15で上下動自在に支持され、操作表示パネル1の所定の位置に空けられた操作ボタン穴16に対応するように設置されている。また内側操作ボタン部13は、弾性を有するように形成したボタン支持部17により内側操作部10に上下動自在に支持されている。
【0008】
上記構成において動作を説明すると、電源スイッチ7をオンし、操作ダイアル3を回転させることで所定のコースを選択する。そして、操作ボタン部4a〜4dの内の選択する操作ボタン部、例えば4aを押圧すると、操作ボタン部4aに設けた押圧部18によりシートボタン部12、続いて内側操作ボタン部13が押圧され、内側操作ボタン部13に設けた内側押圧部19が、スイッチ9を押圧してオンし、所定の数値を選択する。そして、選択した表示6が点灯し、運転コース内容が調整されたこととなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−273545号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような従来の操作ボタン構成では、図10に示すように操作ボタン端部20を押圧した場合に、押圧部18が支点となり、操作ボタンが長手方向にシーソー状の動作をするためにスイッチ9が押圧されにくく、結果として、スイッチ9がオンするまで操作者が操作ボタンを深く押し込まなければならない課題があった。
【0011】
また、操作ボタンが長手方向にシーソー状の動作をするために、操作者は操作ボタンが正常に作用しているのか、視認による確認もしがたいという課題があった。
【0012】
また、操作ボタンが長手方向にシーソー状の動作をするために、ボタン支持部が変形をし、押圧力を吸収することで、操作者がスイッチをオンさせるために必要な力が過大になるという課題があった。
【0013】
本発明は上記課題を解決するもので、ボタン部が長手方向にシーソー状に動くことを防ぎ、スイッチをオンしやすくし、安価な方法で使い勝手および操作性を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために、パネルに設けた操作表示部と、長手方向を有する略矩形状のボタン部と、前記ボタン部の長手側の両端部に設けられ、前記ボタン部が押圧される方向にたわんで可動するボタン支持部と、前記ボタン部が押圧されることで内側ボタン部を介してオンされるスイッチと、前記内側ボタン部の周囲に設けた中間層とを備え、前記ボタン部の長手側に設けられるとともに前記ボタン支持部と同じ方向に配設されたL字型リブを有し、前記L字型リブは、前記ボタン部を押圧した場合に前記中間層と接するように構成した洗濯機等の操作ボタン装置である。
【0015】
これにより、操作ボタン部は長手方向にシーソー状の動作をせず、操作者が操作ボタンを押圧した場合にスイッチがオンしやすく、また操作者が操作ボタンの作用を視認しやすくなり、さらに部品点数の増加がないので、安価で量産性を損なうことがなく、操作者の使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の洗濯機等の操作ボタン装置は、操作ボタン部の端部を押した場合でもスイッチを容易にオンし、かつ操作ボタンの動きが操作者に不安感を与えることがなく、使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態の洗濯機等の操作ボタン装置の断面図
【図2】同洗濯機等の操作ボタン装置を備えた洗濯機の要部正面図
【図3】同洗濯機等の操作ボタン装置を備えた洗濯機のパネルの要部正面図
【図4】同洗濯機等の操作ボタン装置の弾性脚部で連結した操作ボタン部の斜視図
【図5】同洗濯機等の操作ボタン装置のボタン部を押した状態の断面図
【図6】同洗濯機等の操作ボタン装置の操作ボタン部の断面斜視図
【図7】従来の洗濯機等の操作ボタン装置を備えた洗濯機の要部正面図
【図8】同洗濯機等のパネルの要部分解斜視図
【図9】同洗濯機等の操作ボタン装置の断面図
【図10】同洗濯機等の操作ボタン装置の弾性脚部で連結した操作ボタン部の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
第1の発明は、パネルに設けた操作表示部と、長手方向を有する略矩形状のボタン部と
、前記ボタン部の長手側の両端部に設けられ、前記ボタン部が押圧される方向にたわんで可動するボタン支持部と、前記ボタン部が押圧されることで内側ボタン部を介してオンされるスイッチと、前記内側ボタン部の周囲に設けた中間層とを備え、前記ボタン部の長手側に設けられるとともに前記ボタン支持部と同じ方向に配設されたL字型リブを有し、前記L字型リブは、前記ボタン部を押圧した場合に前記中間層と接するように構成したことにより、使用者がボタン部の端部を押圧し、ボタン部が長手方向にシーソー状の動きをしようとすると、ボタン端部を押圧した反対側のL字型リブの上面がパネルの内面側に接触し、ボタン部の浮き上がりを防止する。さらに、パネル内面側にあたったL字型リブ上面が支点となり、そのままボタン端部を押圧しているので、支点となったL字型リブの反対側の下面が、内側操作部やシートといった中間層に接触し、その接触点が新たに支点となって、ボタン部の端部に入力された押圧を効率よくスイッチを押圧する方向へと動作させる。
【0019】
以上により、操作ボタン部は長手方向にシーソー状の動作をせず、操作者が操作ボタンを押圧した場合にスイッチがオンしやすく、また操作者が操作ボタンの作用を視認しやすくなり、操作者の使い勝手を向上させることができ、部品点数の増加がないので、安価で量産性を損なうことがない。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1および図2に示すように、パネル21の下方には、洗濯槽(図示せず)を開閉自在に覆う蓋22を取り付けており、このパネル21にボタン23、24、25、26、ダイアル27、コース表示部28を設けている。電源入りスイッチ23は、洗濯機本体の電源を入れるもので、電源切りスイッチ24は、洗濯機本体の電源を切るものである。ボタン25は洗濯動作をスタート・一時停止するとき操作するものであり、ボタン部26は、洗濯コースの運転プログラムを調整するものであり、ダイアル27は所定の洗濯コースを選択するとき操作するものであり、コース表示部28は、洗濯コースの様子を表示するものである。
【0022】
パネル21に、図3に示すように、操作表示部29を設けており、この操作表示部29は、ボタン23、24、25、26に対応した位置にボタン穴30を設けている。ボタン23、24、25、26は、図1に示すように、それぞれボタン取り付けベース部31とボタン支持部32で繋がり、ボタン支持部32は操作表示部29に対して上下動自在に設けている。すなわち、パネル21はABS樹脂あるいはポリプロピレン樹脂等により形成し、操作表示部29とボタン取り付けベース部31との間に薄肉のボタン支持部32を設けて、ボタン23、24、25、26を上下動自在としている。
【0023】
パネル21の操作表示部29の内側に、制御装置33と、制御装置33をカバーする、防水等を目的とした内側操作部(中間層)34を装着している。ここで、制御装置33はスイッチ35を設けている。内側操作部(中間層)34は、ボタン取付空間部36に内側ボタン部37を設け、内側ボタン部37は内側操作部34で繋がっており、それを覆うようにシート(中間層)39を貼着している。シート(中間層)39の下部には、内側ボタン部37を設けている。
【0024】
スイッチ35はボタン23、24、25、26を押圧したら、その内側ボタン押圧部41がシート39を介して内側ボタン部37を押圧し、さらに内側ボタン部37のスイッチ押圧部42が、スイッチ35を押圧することで操作されるようにしている。
【0025】
L字型リブ部43は、図4に示すように、例えばボタン部26の長手側外縁と一体に形成し、このL字型リブ部43の端部側は、パネル21の内面側と、内側操作部(中間層)34に貼着したシート(中間層)39で形成した空間に、シート(中間層)39に接するように位置している。
【0026】
上記構成において動作、作用を説明する。電源入りボタン23をオンし、ダイアル27にて所定の運転コースを選択したのち、例えば、ボタン部26を選択して押圧すると、図5に示すように、ボタン支持部32がボタン取り付けベース31を支点としてたわみ、内側ボタン押圧部41が、内側ボタン部37のスイッチ押圧部42を介して、スイッチ35をオンすることで、運転コースのプログラムを変更することができる。ついで、ボタン25を押圧すると、同様にして、内側ボタン押圧部41が、内側ボタン部37のスイッチ押圧部42を介して、スイッチ35をオンすることで、運転を開始する。
【0027】
このとき、ボタン部26の 端部44を押圧すると、内側ボタン押圧部41が支点となって、反対側の端部44が、押圧方向と反対方向に動作しようとするが、図6に示すように、端部44と同じ側にある、ボタン部26の長手側外縁に設けたL字型リブ43の端部45がパネル21内面側に接触し、端部45の浮き上がりを防止する。つづいて、端部44は引き続き押圧されているので、パネル21内面に接触した端部45が新たに支点となって、端部45と反対側にあるL字型リブの端部46をシート(中間層)39に接触させる。ここで端部45と端部46が軸48を形成して、内側ボタン押圧部41を図5の矢印方向48へ動作させることで、スイッチ35をオンすることができる。
【0028】
以上のように、本実施の形態においては、パネル21の内側に取り付けられたボタン取り付けベース部31と、ボタン部26の長手側の両端部に形成したボタン支持部32とが繋がり、ボタン部26の内側ボタン押圧部41が、シート39を介して、内側ボタン部37のスイッチ押圧部42がスイッチ35を操作するよう構成し、ボタン部26の長手側外縁にL字型リブ43を形成し、パネル21内面側と、制御装置33に貼り付けられたシート(中間層)39とで、L字型リブ43を挟みこむことで、ボタン部26がシーソー状の動作をすることがなく、使い勝手及び視認性を向上することができる。
【0029】
なお、本実施の形態では、ボタン部26の長手側外縁にL字型リブ43を形成しているが、L字型リブ43は、T字型リブでもよく、ボタン部を押圧した場合に、パネル21の内面とシート(中間層)39に接触する形状であれば、同様の作用、効果を得ることができる。
【0030】
また、L字型リブは、ボタン部を押圧した場合に防水等を目的とした内側操作部(中間層)34に貼着されたシート(中間層)39に接触しているが、例えば防水等を目的としていない面をパネル21と制御装置33との間に形成すれば、同様の作用、効果を得ることができるのはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明にかかる洗濯機等の操作ボタン装置は、シーソー状の動作をすることがなく、スイッチをオンしやすくすることができ、使い勝手および視認性を向上することができるので、パネル等の操作表示部に設け、機器の動作設定などを入力するスイッチを操作する各種機器の操作ボタン装置として有用である。
【符号の説明】
【0032】
21 パネル
26 ボタン部
30 ボタン穴
31 ボタン取り付けベース部
32 ボタン支持部
33 制御装置
34 内側操作部(中間層)
35 スイッチ
36 ボタン取り付け空間部
37 内側ボタン部
39 シート(中間層)
41 内側ボタン押圧部
42 スイッチ押圧部
43 L字型リブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネルに設けた操作表示部と、長手方向を有する略矩形状のボタン部と、前記ボタン部の長手側の両端部に設けられ、前記ボタン部が押圧される方向にたわんで可動するボタン支持部と、前記ボタン部が押圧されることで内側ボタン部を介してオンされるスイッチと、前記内側ボタン部の周囲に設けた中間層とを備え、前記ボタン部の長手側に設けられるとともに前記ボタン支持部と同じ方向に配設されたL字型リブを有し、前記L字型リブは、前記ボタン部を押圧した場合に前記中間層と接するように構成した洗濯機等の操作ボタン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170695(P2012−170695A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36752(P2011−36752)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】