説明

洗濯破壊可能共振タグ

万引きなどの防止用電波検出システムと共に使用される共振タグであり、該タグは、コイルと、二軸延伸ポリプロピレンの極薄基板の対向面に形成されるキャパシタ回路とを有し、一方のキャパシタ電極が基板の一方の面に形成され、コイルと他方のキャパシタ電極が基板の他方の面に形成され、紙層がタグの両面に形成されることにより、タグが水で洗濯される、あるいはドライクリーニングされるときに回路が破壊される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、万引きなどの防止のために使用される共振タグ、特に、性能を犠牲にせずに非常に小さな商品上に使用可能なように極薄とすることができ、タグが装着される衣服片やその他の洗濯可能/ドライクリーニング可能な物品とともに洗濯またはドライクリーニングされたときに永久的に非活性化される共振タグに関する。
(関連出願の相互参照)
本PCT出願は、2007年8月29日に提出された仮出願第60/968,713号「洗濯破壊可能共振タグ(Wash Destructible Resonant Tag)」に優先権を主張する2008年8月19日に提出された米国出願第12/193,959号「洗濯破壊可能共振タグ(Wash Destructible Resonant Tag)」に優先権を主張しており、この出願は本願と同じ譲受人に譲渡されており、その開示を引用により本文書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
小売店や図書館などでは、電波と共振する共振タグと、送信アンテナと、受信アンテナとを備える監視システムが、万引き防止に使用されている。共振タグは、絶縁膜と、コイルと、絶縁膜の一方の面に形成される導電金属箔製の電極と、絶縁膜の他方の面に形成される導電金属箔製の電極とから成り、LC回路を構成して、特定周波数で共振する。共振タグを装着された物品が支払をされずに監視システムを通過する場合、共振タグが送信アンテナからの電波と共振し、受信アンテナがその共振を検出して警告を発する。典型的に使用される共振周波数は、様々なノイズ周波数と容易に区別できるため、5〜15MHzである。電子商品監視(EAS)では、8.2MHzの周波数が最も一般的に使用され、無線認証(RFID)では、13.56MHzの周波数が最も一般的に使用される。
【0003】
従来技術によると、最小の共振タグでさえ、32mm×35mmの矩形状のかなり大きなサイズであり、小型の化粧品や宝石などに装着しづらい。これは、周波数5〜15MHzでの共振能力と充分なゲインを保持しつつ、市場需要を満たすサイズで回路を製造することが不可能であるという事実による。
【0004】
発明者らは、絶縁膜の両面にコイルを形成する特別な構成の小型タグを以前に開発した(特公開第2001−167366号明細書を参照)。しかしながら、このタグは、絶縁膜の対向面に形成されるコイル回路を精密に互いに位置合わせする必要があるため、タグの製造が困難であるという欠点を備える。また、金属箔コイルが絶縁膜の両面に形成されるため、タグが厚くなり、手触りが粗く、柔軟性に欠け、ハンドラベラによる処理に適さないという問題もある。
【0005】
例示のためだけに、図1〜3は、コイル11と、基板13の一方の面の第1のキャパシタ電極12と(図1)、基板13の他方の面の第2のキャパシタ電極14と(図2)、を備える別の従来技術に係る共振タグ10を示す。図3は、従来の誘電体形成方法(たとえば、金属層間にポリエチレンを押出す)を用いて形成可能な最薄誘電体となり易い、約20ミクロンの典型的な基板厚tを示す従来技術に係るタグの断面図である。接着剤層15および17は、金属層を基板13にそれぞれ固定する。
【0006】
図1〜3に示される従来技術の共振タグは一般に、いったん共振タグ付きの物品が購入されれば、所定電圧を誘電体の薄肉部に印加し誘電破壊を生じさせることによって、共振タグを所定周波数の電波と共振できなくさせることで非活性化される。この種の非活性化手段の共通の問題は、タグが衣服の製品に組み込まれる、あるいは装着される場合に起こる。衣服が着古されたり洗濯されたりするとき、誘電体は自己回復することが多い。ポリエチレン誘導体を有するタグでは、タグの50%もが、着古しや洗濯で再活性化する。この意図せざる再活性化は、タグの共振周波数に調整される機器を備えた店舗を出る際に、セキュリティタグ検出装置を活性化させるという、着用者にとって望ましくない結果を招く。誤った警告は、再活性化されたタグの付いた衣服を着用する者にとって不便で迷惑なだけでなく、頻繁な誤警告は「狼少年」効果を招く恐れがある。タグの警告の多くが正当な購入品上の再活性化タグによって誤って引き起こされる場合、店員はタグの警告の実行について手ぬるくなり得る。再活性化可能なタグ付きの衣服ブランドは消費者をいらつかせるため、売上が落ちる。洗濯したときに再活性化しない衣服用のセキュリティタグが必要なことは明らかである。
【0007】
本文書に引用するすべての参考文献は、引用により本文書に全文を組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開第2001−167366号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、万引きなどの防止のために電波検出システム内で主に使用され、一方の面のみにコイル回路を形成してサイズを低減し性能を向上させて、衣服やその他タグに関連する物品の従来の洗濯またはドライクリーニングによって永久的に動作不能にされる共振タグを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
熱心な研究の結果、発明者らは、極薄ポリプロピレン膜を絶縁膜として使用し、絶縁膜および金属箔を特定の接着剤を用いてラミネートし、その装置が特定の接着剤で各表面に固着された外側紙層を有する場合、上記目的が達成できることを発見し、本発明を実現した。
【0011】
簡単に言うと、本発明は以下のとおりである。共振タグは所定周波数の電波と共振し、約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜(たとえば、二軸延伸ポリプロピレン膜)と、コイル部と第1のキャパシタ電極から成る電極部とを含む第1の金属箔(たとえば、アルミニウム)を備え、ポリプロピレン膜の一方の面に形成される第1の回路と、第2のキャパシタ電極から成る電極部を含む第2の金属箔(たとえば、アルミニウム)で作製され、ポリプロピレン膜の他方の面に形成される第2の回路と、共振タグの各面に接着させられる外側紙層とを備え、両回路が電気的に接続されることによりLC回路を構成し、金属箔とポリプロピレン膜が互いにラミネートされる。
【0012】
上述の共振タグでは、金属箔とポリプロピレン膜が、スチレン系またはオレフィン系接着剤によって互いにラミネートされる。
上述の共振タグは、共振タグの面積が面積約750mm以下である。
【0013】
上述の共振タグの所定の共振周波数は約5〜15MHzである。
所定周波数(たとえば、約5〜15MHz)で電波と共振する共振タグの製造方法は、約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜(たとえば、二軸延伸ポリプロピレン膜)を提供すること、ポリプロピレン膜の一方の面に第1の接着剤(たとえば、スチレン系またはオレフィン系接着剤)を塗布すること、第1の接着剤に第1の金属箔(たとえば、アルミニウム)を貼り付けること、ポリプロピレン膜の他方の面に第2の接着剤(たとえば、スチレン系またはオレフィン系接着剤)を塗布すること、第2の接着剤に第2の金属箔(たとえば、アルミニウム)を貼り付けて積層体を形成すること、積層体をエッチング工程に送って第1および第2の箔の一部分を除去し、LC回路を形成すること、第3の接着剤(アクリル)でタグの各面に紙層をラミネートすることを備える。
【0014】
所定周波数(たとえば、約5〜15MHz)で電波と共振する共振タグの製造方法は、約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜(たとえば、二軸延伸ポリプロピレン膜)を提供すること、第1の金属箔(たとえば、アルミニウム)の一方の面に第1の接着剤(たとえば、スチレン系またはオレフィン系接着剤)を塗布すること、第2の金属箔(たとえば、アルミニウム)の一方の面に第2の接着剤(たとえば、スチレン系またはオレフィン系接着剤)を塗布すること、ポリプロピレン膜のそれぞれの面に、第1の接着剤で第1の金属箔を貼り付け、第2の接着剤で第2の金属箔を貼り付けて積層体を形成すること、積層体にエッチング工程を供給して第1および第2の箔の一部分を除去し、LC回路を形成すること、第3の接着剤(たとえば、アクリル)でタグの各面に紙層をラミネートすることを備える。
【0015】
本発明に係る共振タグは、一方の面にのみコイルを有するが、高い性能を発揮する。本タグが従来のタグと同じサイズである場合、従来タグよりも高い性能を発揮する。本タグが従来タグと同じ性能を発揮する場合、従来タグよりもサイズが小さい。たとえば、34mm×36mmのサイズの本発明に係るタグは、40mm×40mmのサイズの従来タグとほぼ同じ性能を発揮する。たとえサイズが750mm以下であっても、本発明に係るタグは周波数5〜15MHzで共振し、充分なゲインを有する。コイルが誘電体膜の一方の面にのみ形成されるため、製造がより容易で、対向面の印刷パターンの位置合わせの実質上十分な許容誤差が確保され、充分な製造能力を有する印刷方法を使用することができる。驚くべきことに、共振周波数の変動は極端に小さい。また、このタグは、単位面積当たりの高ゲインを特徴とする。本発明は、このような高性能小型タグを提供することができる。特に、本発明は、矩形外形(正方形を含む)で25mm×28mm以下のサイズの共振タグ、さらには、23mm×26mm以下のサイズの共振タグを提供することができる。当然ながら、本発明はより大型の共振タグを提供することもできる。また、従来タグと比較してタグの厚みを低減することができる。さらに、本発明は、性能の観点から実現が困難であった細長い共振タグを提供することができ、よって、化粧品などのより幅広い様々な商業用途を有する。さらに、本発明は、従来の水ベースの工程またはドライクリーニング工程で洗濯される際に永久的に非活性化される。また、本発明は担体としてポリプロピレンを用いてウェブ工程で製造することができ、ウェブ幅は、従来技術の工程により構成されるタグで可能であったよりも広い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】従来技術の共振タグの一方の面の拡大平面図である。
【図2】図1の従来技術の共振タグの他方の面の拡大平面図である。
【図3】図1の線3−3に沿った従来技術の共振タグの断面図である。
【図4】外側紙層の塗布前の、仮想線で示される基板の他方または第2の面上にキャパシタ電極を有する本発明に係る共振タグの拡大平面図である。
【図5】本発明に係る共振タグの第1の面の拡大平面図である。
【図6】本発明に係る共振タグの基板の第2の面上で使用されるキャパシタ電極および関連導体の拡大図である。
【図7】図7は、外側紙層の塗布前の、図4の線7−7に沿った本発明に係る共振タグの断面図である。
【図8】ネットワークアナライザを用いて測定される共振曲線を示す図である。
【図9A】本発明の内側層の形成工程を示す図である。
【図9B】本発明の内側層の別の形成工程を示す図である。
【図10】本発明の各電極の薄肉部位を示すキャパシタ電極の拡大図である。
【図11A】別個の送信機および受信機を用いる共振タグ検出システムのブロック図である。
【図11B】送受信機を用いる共振タグ検出システムのブロック図である。
【図12】外側紙層を有する共振タグの断面図である。
【図13】布担体内に設置される共振タグを示す図である。
【図14】洗濯後の共振タグの状態を示す図である。
【図15】本発明に係る形成方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を図面と併せて説明する。図中、同様の参照符号は同様の構成要素を指す。
図4〜7に示すように、本発明に係る共振タグ20は、コイル部1と一方の面上のキャパシタの一つの電極部2とから成る回路と、他方の面上のキャパシタの他方の電極部3から成る回路とを有する。二つの回路は、電極部2がコイル部1の一端と電気的に接続され、コイル部1の他端が他方の電極3と電気的に接続されるように電気的に接続されたLC回路を構成する。電極部は好ましくは、他の部分より薄い絶縁膜を有する薄肉部(10Aおよび10B、図10を参照)を備えるため、そこに電圧が印加されると、絶縁破壊が起こる。図12に示すように、共振タグ20は、接着剤24Aおよび24Bでそれぞれ各箔部1/2および3に接着される紙製外側層21Aおよび21Bも有する。いったん共振タグ付きの物品が購入されると、所定電圧が薄肉部(10A、10B)に印加されて絶縁破壊を生じさせることによって、共振タグを所定周波数の電波と共振させなくする。タグが衣料品またはその他の洗濯可能な物品に装着または挿入される場合、衣服が洗濯されると、タグは永久的に動作不能にされる。
【0018】
本発明に使用される絶縁膜4(図7)は、ポリプロピレン、好ましくは、二軸延伸ポリプロピレン製である。絶縁膜4は、8μm以下、好ましくは、5μm以下の厚さtを有する。厚さが8μmを超える場合、必要な性能の小型共振タグが設計できない。
【0019】
コイル部1および電極部2、ならびに電極部3は、銅箔やアルミニウム箔、好ましくはアルミニウム箔などの金属箔から形成される。金属箔の厚さは通常、30〜120μm、好ましくは、50〜80μmである。
【0020】
接着剤(5Aおよび5B、図7を参照)は、金属箔とポリプロピレン絶縁膜4とを接合するために使用される。スチレン系またはオレフィン系接着剤が好ましい。スチレン系接着剤はスチレン−ブタジエン樹脂およびスチレン−イソピレン樹脂を含み、スチレン−ブタジエン樹脂がより好ましい。もしくは、アクリル酸、アクリル酸ブチル、マレイン酸などで改質されたこれらの樹脂を使用することもできる。オレフィン系接着剤はポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、および改質ポリプロピレンなどの改質オレフィン系樹脂を含み、改質ポリプロピレンがより好ましい。改質樹脂として、アクリル酸、アクリル酸ブチル、マレイン酸などで改質されたこのような樹脂が例示される。上記樹脂は溶剤タイプであっても、分散タイプであってもいずれでもよい。しかしながら、乾燥速度の観点からは、溶剤タイプがより好ましい。
【0021】
接着剤層(5Aおよび5B)は、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.7μm以下の厚みを有する。接着剤層(5Aおよび5B)の厚みが減少するにつれ、共振タグ20の性能が向上する。
【0022】
よって、極薄絶縁膜4、次に薄接着剤層5Aおよび5Bを使用することによって、共振タグ20の全体の性能を向上させることができる。これは以下のキャパシタンスの定義から理解することができる。
【0023】
C=kA/d
ただし、Cはキャパシタンス、Aは電極の面積、dは両者間の距離(有効には、絶縁膜4の厚みt)、kは誘電係数である。よって、8μm以下の絶縁膜4を使用することによって、より厚い誘電体とより大きなキャパシタ電極を有するキャパシタが提供するのと同じ性能を提供しつつ、キャパシタ電極2および3のサイズを低減することができる。さらに、キャパシタ電極2および3のサイズを低減することによって、より多くのフラックスがコイル1の中心を通過できることにより、共振タグの性能が向上する。
【0024】
本発明に係る共振タグ20は以下のように製造する。
接着剤5Aおよび5Bは、ロール塗布により二つの金属箔1Aおよび3Aの一方の面にそれぞれ塗布され、金属箔1Aおよび3Aは8μm以下の厚さのポリプロピレン膜4の両面にラミネートされる。これは、金属箔1A(最終的にコイル1/第1のキャパシタ電極2を形成する)および3A(最終的に第2のキャパシタ電極3および関連導体を形成する)のロールが膜4にラミネートされる図9Aで見ることができる。いったん各接着剤5A/5Bが塗布されれば、絶縁膜4のロールから絶縁膜4にラミネートされて、積層膜7を形成する。典型的には、塗布された接着剤の乾燥後にラミネートが実行される乾式ラミネートが採用される。従来の共振タグ製造方法では通常、金属箔のラミネートはポリエチレンの押出ラミネートによって達成される。しかしながら、このような従来方法は、ポリエチレン膜の厚さが一定の程度までしか低減されず、厚さが変動して共振タグの性能に制限を課すという問題がある。本発明によると、この従来技術の問題は、既知の方法で特定厚のポリプロピレン膜を予め作製し、ポリプロピレン膜の両面に特定の接着剤で金属箔をラミネートすることによって解決される。ポリプロピレン膜は、ウェブ製造工程で使用される際、膜がウェブ支持体としての役割を果たし、従来技術で可能であったよりも実質上広いウェブ工程幅を可能にするという追加の利点も備える。
【0025】
薄膜および金属層の別の形成工程を図9Bに示す。この工程では、接着剤5Aが、金属箔1Aに塗布されてから、絶縁膜4の一方の面にラミネートされ、ロール6に捕獲される。次に、接着剤5Bが、金属箔3Aに塗布されてから、絶縁膜4の他方の面にラミネートされ、積層膜7を形成する。
【0026】
結果として生じる積層膜7の金属箔1Aおよび3Aの両方に、エッチングレジストを用いて所望のパターンが描かれる。典型的には、コイル部1と電極部2とを含むパターンが一方の面に描かれ、電極部3を含むパターンが他方の面に描かれる。エッチングレジストの印刷は、スクリーン印刷、輪転凸版印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、フォトリソグラフィ、グラビア印刷などによって達成することができる。印刷されたエッチングレジストはエッチングされて、両面に金属箔回路を形成する。
【0027】
好ましくは、次に、薄肉部(10Aおよび10B、図10を参照)が電極部2および3にそれぞれ形成される。
いったん薄膜および金属層が形成されれば、たとえば、上述され、図9Aおよび9Bに示されるように、紙層21Aおよび21Bが追加される。紙層を追加する例示の工程を図15に示す。後述のように形成される金属層を有する積層膜は接着剤塗布段階に入り、そこで接着剤が両面に塗布される。典型的な実施形態では、該接着剤は、エマルジョン系アクリル接着剤などのアクリル接着剤である。その後、積層膜上のタグは、連続工程においてロール形状で提供される上側および下側紙層21Aおよび21Bの間に挟まれる。完成したタグが外側紙層の一方の面に接着剤を持つ場合、二つの紙層をタグに接着させた後にこの外側接着剤22が塗布される。タグが製品に直接塗布されない場合、製造工程の一環として保護され、接着剤22の外側層は感圧接着剤であり、タグ20は、タグが衣服などに接着された後で取り除かれる剥離紙に面する。例示の一実施形態では、剥離紙は100ミクロン以下の厚さのリトグラフ紙である。接着剤は、エマルジョンアクリル、PVOH(ポリビニルアルコール)、およびPVAc(ポリビニルアセテート)などの熱可塑性接着剤を含む。別の実施形態では、タグは、衣服に含まれるように直接布に接着される。
【0028】
本発明に係る共振タグ20では、所定の所望の周波数の電波と共振するLC回路が形成される。この目的で、上記のポリオレフィン薄膜の厚さと接着剤層の厚さが決定されるだけでなく、金属箔の厚さ、コイルの巻数、コイル間の距離、電極の面積などが適切に決定される。上述したように、最も一般的に使用される共振周波数は、EASの場合8.2MHzで、RFIDの場合13.56MHzである。また、タグが装着される物品が固有のキャパシタンスを有する場合、物品とタグ間の相互作用が所定の共振周波数を提供するように、タグの周波数特性が決定される。たとえば、肉が上記物品である。
【0029】
本発明に係る共振タグ20は、使用の際に物品Aに装着される(図11Aおよび11Bを参照)。絶縁破壊を受けていない共振タグ20付きの物品が店舗の出口などに設置された所定周波数の電波の送受信用の1対のアンテナ間を通過する場合、共振タグ20は送信機セクションから送信される電波と共振し、受信機セクションは結果として生じる共振電波を検出して、警告ALを発する。電波の送信と受信は、右側アンテナおよび左側アンテナの異なるアンテナによって達成させることができる。もしくは、各アンテナが、電波の送信および受信をどちらも行うことができる。送受信が(それぞれの台P上の)送信機Tおよび受信機Rからの異なるアンテナ(ANおよびAN、図11Aを参照)によって達成される場合、物品Aが送信アンテナANから離れて、すなわち、受信アンテナANに近づいてアンテナ間を通過すると、感度が低下する場合がある。一対のアンテナのそれぞれが、送受信機T/Rに接続されるために送受信の両方を(ANT/R、図11Bを参照)行うことができる場合、物品と送信機間の最大距離はアンテナ間の距離の半分であり、よって、感度は前者の場合に比べて高い。この場合、各アンテナは、極めて短いサイクルで送受信を交互に実行する。
【0030】
衣料品、または寝具、カーテン、キャンプ用品などの布製のその他の物品と共に使用される実施形態では、タグ20が、図13に示されるように、布製パウチ23Aと23Bの間に埋め込まれる。一実施形態では、タグ20は外表面に接着剤層22を有し、布23Aに接着される。その後、タグは、布層23Bと23Aの間に縫いつけられるかそれ以外の方法で捕捉される。パウチ23A、23B、およびタグ20は、商品内に縫いつけられるか、あるいはそれ以外の方法で接着または配置される。物品が洗濯可能である場合、タグ20は布23A、23Bを介して洗浄液にさらされる。洗濯工程では、紙層21A、21Bは洗浄液で飽和し、紙層、金属層、および誘電体層は変形して、図14に示されるように塊と小片状に崩壊する。通常の洗濯サイクルでは、紙とその下の金属箔の変形が著しく、タグは破壊され、箔はもはや共振回路として動作しない程度まで折り畳まれる。よって、再活性化を引き起こす工程が共振しない程度までタグを破壊してしまうため、洗濯の際に再活性化する従来技術のタグの問題は解決される。実験が示す通り、開示されるように構成されるタグは、水ベースの洗濯およびドライクリーニングによって破壊される。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の実施例を説明する。しかしながら、本発明はいかなる意味においても下記実施例に限定されない。ここでは、共振タグを後述するように評価した。
周波数、Q値、および振幅(Amp(dB))は、送信機および受信機が接続された測定コイルを有するネットワークアナライザを用いて測定する。いったん共振タグ20が測定コイルの中心に配置されれば、共振曲線がモニタに表示され、図8に示すように、モニタ上で横軸が周波数を表し、縦軸が振幅(Amp(dB))を表す。タグの周波数(f)は、振幅の中心値によって表わされる。振幅(Amp(dB))はタグ20から発せられる信号の強度を示し、信号強度は振幅(I−I)の大きさまたはGSTと称される信号密度として表される。GSTは、受信機で受信される信号の強度から、マルチメータによって生成される電圧値(ボルト)である。Q値は、f/半値幅(f−f)によって表わされる振幅の峻度(steepness)を示す。商業的に有益で、妥当な範囲で検知可能であるためには、タグのQ値は少なくとも50以上、好ましくは55以上でなければならない。
実施例1、比較例1
80μm厚のアルミニウム箔と9μm厚のアルミニウム箔のそれぞれの一方の面に対して、スチレン−ブタジエン系接着剤1g/m(乾燥重量)をロール塗布によって塗布し、乾燥させた。アルミニウム箔を5μm厚の二軸延伸ポリプロピレン膜の片面に乾式ラミネートによってラミネートした。グラビア印刷などにより、エッチングレジストを図5に示すパターンで、結果として生じる積層膜の80μm厚のアルミニウム箔に塗布し、図6に示すパターンで、9μmのアルミニウム箔に塗布した。次に、塩化第二鉄または塩酸を用いてエッチングを達成することにより、回路を形成した。このようにして、27mm×30mm(面積810mm)のサイズのタグを作製した。
【0032】
比較のために、ウレタン系接着剤を使用することを除き、実施例1と同様にしてタグを作製した。
これらのタグの評価結果を表1に示す。スチレン−ブタジエン系接着剤を使用する実施例1では、Q値、Amp、およびGSTはすべて十分高く、タグは十分な性能を提供することができる。しかしながら、ウレタン系接着剤を使用する比較例1では、三つの項目すべてにおいて、タグは実施例1のタグに劣り、十分な性能を提供できない。
【0033】
【表1】

実施例2〜4
塗布するスチレン−ブタジエン系接着剤の量を変更したことを除き、実施例1と同様にして25mm×28mm(面積700mm)のサイズのタグを作製し、タグの評価を行った。ただし、各タグにおいて、両アルミニウム箔(表ではAl 80μmおよびAl 9μmと表記)に等しい量の接着剤を塗布した。評価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

実施例5と比較例2
50μm厚の二つのアルミニウム箔のそれぞれの片面に、改質ポリプロピレン接着剤1g/m(乾燥重量)をロール塗布によって塗布し乾燥させ、5μm厚の二軸延伸ポリプロピレン膜の片面に乾式ラミネートによってアルミニウム箔をラミネートした。次に、実施例1と同様にして、27mm×30mm(面積810mm)のサイズのタグを作製した。
【0035】
比較のために、ウレタン系接着剤を使用したことを除き、実施例5と同様にしてタグを作製した。評価結果を表3に示す。
【0036】
【表3】

実施例6
改質ポリプロピレン接着剤0.54g/mをロール塗布によって80μm厚のアルミニウム箔の一方の面に塗布し、乾燥させ、スチレン−ブタジエン系接着剤0.59g/mをロール塗布によって9μm厚のアルミニウム箔の一方の面に塗布し、乾燥させ、該アルミニウム箔を乾式ラミネートによって5μm厚の二軸延伸ポリプロピレン膜の片面にラミネートした。次に、25mm×28mm(面積700mm)のサイズのタグを実施例1と同様にして作製した。評価結果を表4に示す。
【0037】
【表4】

本発明に係る共振タグは小型で柔軟性があり、総厚みが低減されている。本発明により、キャパシタの面積を小さくし、小さなサイズで新たな性能を発揮させることができる。したがって、このタグは、たとえば、小型商品の万引き防止用検出システムで適切に使用することができる。また、タグは、ハンドラベラに非常に適する。
【0038】
さらに、共振タグと物品Aの接続の別の側面が、所定の共振周波数に影響を及ぼす方法も提供可能であることに留意すべきである。たとえば、共振タグを物品Aに装着する際、共振タグが物品Aの固有キャパシタンスとの相互作用によって所定の共振周波数で共振するように、共振タグの最初の周波数を決定することができる。
【0039】
さらに、ウェブ工程でのタグの製造を本文書で例として説明したが、本文書に示すものと同じまたは類似の大きさの材料を使用するその他の製造方法も可能である。
本発明を特定の実施例を参照して詳細に説明したが、当業者にとって、本発明の精神と範囲を逸脱せずに様々な変更や修正が可能なことは自明であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周波数の電波と共振する共振タグであって、
約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜と、
コイル部と、キャパシタの第1電極から成る電極部とを含む第1の金属箔を含み、前記ポリプロピレン膜の一方の面に形成される第1の回路と、
前記キャパシタの第2電極から成る電極部を含む第2の金属箔で作製され、前記ポリプロピレン膜の他方の面に形成される第2の回路と、
前記第1の回路の面に接着される第1の紙層と、
前記第2の回路の面に接着される第2の紙層と
を備え、
前記第1及び第2の回路が電気的に接続されることによりLC回路を構成する、共振タグ。
【請求項2】
前記ポリプロピレン膜が二軸延伸ポリプロピレン膜を含む、請求項1に記載の共振タグ。
【請求項3】
前記共振タグの面積が750mm以下である、請求項2に記載の共振タグ。
【請求項4】
所定の共振周波数が5〜15MHzである、請求項2に記載の共振タグ。
【請求項5】
前記第1および第2の金属箔がアルミニウムを含む、請求項1に記載の共振タグ。
【請求項6】
前記金属箔と前記ポリプロピレン膜がスチレン系またはオレフィン系接着剤によって互いにラミネートされる、請求項1に記載の共振タグ。
【請求項7】
前記紙層が水性接着剤で前記第1の回路の面および第2の回路の面に接着される、請求項1に記載の共振タグ。
【請求項8】
所定周波数の電波と共振する共振タグの製造方法であって、
約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜を提供すること、
前記ポリプロピレン膜の一方の面に第1の接着剤を塗布すること、
前記第1の接着剤に第1の金属箔を貼り付けること、
前記ポリプロピレン膜の他方の面に第2の接着剤を塗布すること、
前記第2の接着剤に第2の金属箔を貼り付けて第1箔面および第2箔面を有する積層体を形成すること、
前記積層体をエッチング工程に送って、前記第1および第2の箔の一部分を除去しLC回路を形成すること、
前記第1および第2箔面の各々に紙シートを接着させること
を備える方法。
【請求項9】
前記第1および第2の接着剤がスチレン系またはオレフィン系接着剤を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリプロピレン膜が二軸延伸ポリプロピレン膜を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記共振タグの面積が750mm以下である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
所定の共振周波数が5〜15MHzである、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記第1および第2の金属箔がアルミニウムを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記紙シートが水性接着剤で前記第1箔面および第2箔面に接着される、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
所定周波数の電波と共振する共振タグの製造方法であって、
約8μm以下の厚さのポリプロピレン膜を提供すること、
第1の金属箔の一方の面に第1の接着剤を塗布すること、
第2の金属箔の一方の面に第2の接着剤を塗布すること、
ポリプロピレン膜のそれぞれの面に、前記第1の接着剤で前記第1の金属箔を貼り付け、前記第2の接着剤で前記第2の金属箔を貼り付けて、第1箔面および第2箔面を有する積層体を形成すること、
前記積層体をエッチング工程に送って前記第1および第2の箔の一部分を除去しLC回路を形成すること、
前記第1および第2箔面の各々に紙シートを接着させること
を備えることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記第1および第2の接着剤がスチレン系またはオレフィン系接着剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリプロピレン膜が二軸延伸ポリプロピレン膜を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記共振タグの面積が750mm以下である、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
所定の共振周波数が5〜15MHzである、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1および第2の金属箔がアルミニウムを含む、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−538370(P2010−538370A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−523061(P2010−523061)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【国際出願番号】PCT/US2008/074037
【国際公開番号】WO2009/032562
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(396026846)チエツクポイント システムズ, インコーポレーテツド (47)
【Fターム(参考)】