説明

洗面ボウルの洗浄構造

【課題】平面視矩形形状の洗面ボウルの洗浄を簡単で確実に実施できる洗浄構造を提供することを目的とする。
【解決手段】
洗面ボウル23は後面23aと両側面23bと前面23cと底板23dから成る平面視矩形形状で、後面23aは両側面23bより高く形成される。後面23aの幅方向の中央部で側面23bより上方に漏斗形状で別体のマニホールド25が組込まれ、マニホールド25の表面部25aに洗浄水Pを左右下方に吐出する一対の第一の吐出口27と、洗浄水Pを水平と下方に向けて吐出する3組の第二の吐出口28を備える。洗浄水Pは洗剤を含有する水が用いられる。導水段部Sは第一の吐出口27から前面23cに亘って連続的に下り勾配で傾斜して前面23cの中央部で連通し、導水段部Sから洗浄水Pがボウル内面を覆うように溢れて流れ出すのでボウル内面を確実に洗浄できる。導水段部Sは幅T、高さHの溝状に抉って形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面化粧台等に備える洗面ボウルの洗浄構造に関し、詳しくは、洗面ボウルを容易で確実に洗浄できる洗浄構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗面化粧台等に備える洗面ボウルの洗浄構造については、特許文献1に記載の内容が知られている。
【0003】
この特許文献1によれば、図5に示すように、洗面台の洗面ボウル1の外周縁部に水の通る空洞5を作り、空洞5に通じる穴6を洗面ボウル1の周縁部の内側から数十ケ所開ける。パイプ4に流れた水は空洞5を通って穴6から洗面ボウル1に流れ出る。そして、蛇口3に設けた切り替えレバー2によって、パイプ4と蛇口3の両方または片方から水を流すことができる。
【0004】
洗面ボウル1の周縁部の穴から水が流れ出ることで、洗面ボウル1の内側についた石鹸垢や剃った後の髭などを容易に流す事ができる。
【特許文献1】特開平5−269048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、洗面ボウル1の外周縁部に水の通る空洞5を設ける必要があるので、洗面ボウル1の製作が複雑になりコスト高に繋がるという問題があった。
【0006】
また、水だけでは洗面ボウル1の汚れが確実に洗浄できないので、洗面ボウル1に洗剤を掛けたりスポンジに洗剤をふくませて洗面ボウル1を擦って洗う等の必要があった。この場合、所定の場所にスポンジと洗剤が用意されていない場合には取りに行く手間が不便なため洗浄を省いてしまうことになり洗面ボウル1に汚れが蓄積し易いという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記問題を解決して、特に平面視矩形形状の洗面ボウルの洗浄を簡単で確実に実施できる洗面ボウルの洗浄構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、洗面化粧台等に備える洗面ボウルの洗浄構造であって、前記洗面ボウルの洗浄水は洗剤を含有する水が用いられ、前記洗面ボウルは後面と両側面と前面と底板から成る平面視矩形形状で前記後面は両側面より高く形成され、前記後面の幅方向の中央部で前記側面より上方に洗浄水の第一の吐出口が一対設けられ、前記洗浄水を流す導水段部がそれぞれの第一の吐出口から前記後面と両側面と前面に亘って各面を直角に抉って形成されることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記導水段部は前記一対の第一の吐出口からそれぞれ前記前面の中央部に亘って傾斜することを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記一対の第一の吐出口の近傍に前記後面に沿って洗浄水を水平左右方向と下方向に吐出する複数の第二の吐出口を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記前面は下端部が前記後面に向って傾斜して形成されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、前記洗面ボウルの洗浄水は洗剤を含有する水が用いられるので、水による洗浄に比べて確実に洗浄効果が向上する。また、前記後面の一対の第一の吐出口からそれぞれの導水段部が前記後面と両側面と前面に亘って各面を直角に抉って形成されるので、一対の第一の吐出口から吐出した洗浄水は導水段部を介して後面から前面まで左右に旋回して流れるとともに、導水段部から洗浄水がボウル内面を覆うように溢れて流れ出すのでボウル内面全域を容易且つ確実に洗浄できる。さらに、導水段部は各面を直角に抉るだけの単純な構造なので洗面ボウルの製作が容易でありコストを低減することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、前記導水段部は前記一対の第一の吐出口からそれぞれ前記前面の中央部に亘って傾斜するので、洗浄水は第一の吐出口から前面に亘って確実に旋回するので、請求項1の発明の効果と同様の効果をさらに確実に得ることができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記一対の第一の吐出口の近傍に複数の第二の吐出口を備えるので、前記第一の吐出口からの洗浄水ではカバーできない前記後面の水平左右方向と下方向の洗浄が補えるので、前記後面の略全域が確実に洗浄できる。
【0015】
請求項4の発明によれば、前記第一の吐出口から最遠の前記前面においては洗浄水の水勢が衰えるので洗浄不足領域が発生し易い傾向にあるが、前記前面は下端部が前記後面に向って傾斜して形成されるので洗浄水が前記前面の中央部まで到達し易くなるので前記前面における洗浄が確実にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の第一の実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
<洗面ボウルの洗浄構造の構成>
【0017】
図1、図2、図3に示すように、洗面化粧台21に備える洗面ボウル23は後面23aと両側面23bと前面23cと底板23dから成る平面視矩形形状で、後面23aは両側面23bより高く形成される。洗面ボウル23の底板23dには排水を下水管に導くための排出口23eが設けられる。
【0018】
後面23aの幅方向の中央部で側面23bより上方に洗浄水Pの第一の吐出口27が一対設けられ、洗浄水Pには洗剤を含有する水が用いられる。なお、洗面ボウル23には図示しない水栓が配置される。
【0019】
より詳しくは、後面23aには漏斗形状で別体のマニホールド25が組込まれその表面部25aは後面23aの表面と略面一に形成され、表面部25aに第一の吐出口27がそれぞれ左右の側面23bに向けて一対設けられる。
【0020】
洗浄水Pを流す導水段部Sは一対の第一の吐出口27から後面23aと両側面23bと前面23cに亘ってそれぞれ左右対称に連続的に下り勾配で傾斜して前面23cの中央部で互いが連通する。導水段部Sの形状は水平状態で連続的に傾斜するように後面23aと両側面23bと前面23cの各面を幅T、高さHの溝状に抉って形成される。
【0021】
好ましくは、洗面ボウル23の後面23aと側面23bの隅部G1、及び側面23bと前面23cの隅部G2を弧状に形成すると導水段部Sも弧状となるので、洗浄水Pが隅部G1、G2でスムーズに流れて前面23c中央部まで容易に到達するので洗面ボウル23の全域を確実に洗浄することができる。
【0022】
さらに、一対の第一の吐出口27の中間には第二の吐出口28を備え、第二の吐出口28はそれぞれ洗浄水Pを後面23aに沿って水平左右方向に吐出する2組と下方に向けて吐出する3組で合計5組形成される。
【0023】
洗浄水Pを圧送するための洗浄水圧送装置30は、洗浄水タンク31と、洗浄水タンク31から配管32を介してマニホールド25に洗浄水Pを圧送するポンプ33と、ポンプ制動電源スイッチ34とから成る。また、洗浄水タンク31とマニホールド25間に配管32を開閉する電磁弁35を備える。ポンプ33と電磁弁35はポンプ制動電源スイッチ34と電線36で結線され、ポンプ33と電磁弁35のON/OFFは図示しない電気制御回路によって同期するように制御される。
【0024】
ポンプの停止は設定時間後に自動停止する回路を組んでも良いし、ポンプ制動電源スイッチに連動してON/OFF作動させても良い。
【0025】
洗浄水タンク31は直方体形状で頂部31aに洗浄水Pの充填用の充填筒31bが設けられ、底部31cに配管32が連結される。充填筒31bは所要の長さに延在して先端にキャップ31dを備える。
【0026】
洗面化粧台21の頂面22の表面にキャップ31dを備えた充填筒31bの上端部と後面23aの上方脇部にポンプ制動電源スイッチ34が露出配置されるが、それ以外の洗浄水圧送装置30は洗面化粧台21の内部に収納配置される。
【0027】
洗面ボウル23は陶器、ホーロー鋼板、樹脂成形品等で形成され、洗浄水タンク31とマニホールド25と配管32は樹脂又はステンレス等の錆びない金属、或いは鋼材にメッキ処理した材料等が用いられる。
<洗面ボウルの洗浄構造の作用>
【0028】
図1に示すように、使用者が洗面ボウル23を洗浄する際にポンプ制動電源スイッチ34を操作するとポンプ33が作動して洗浄水タンク31の洗浄水Pが配管32によってマニホールド25に圧送され、二組の第一の吐出口27から吐出した洗浄水Pは導水段部Sを介して後面23aに沿って左右方向にそれぞれ吐出されて両側面から前面まで旋回しながら下降するとともに、導水段部Sから洗浄水Pがボウル内面を覆うように溢れて流れ出すのでボウル内面を容易且つ確実に洗浄できる。
【0029】
洗面ボウルの洗浄水には洗剤を含有する水が用いられるので水による洗浄に比べて確実且つ格段に洗浄効果が向上する。
【0030】
なお、洗浄水による洗浄後に洗面ボウルに覆われる洗浄水の残り膜を水栓からの水でスポンジを用いて洗い流してもよい。
【0031】
<本発明の第二の実施形態>
図4に示すように、本発明の第二の実施形態における導水段部Sの断面はコ字状溝の代わりに幅TでL字状溝に形成される。
【0032】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0033】
導水段部Sは一対の第一の吐出口27から前面23cに亘ってそれぞれ左右対称に連続的に下り勾配で傾斜して形成されるが、左右からの導水段部Sは前面23cの中央部近傍まで形成されて連通しない状態でも構わない。
【0034】
洗面ボウル23の後面23aと側面23bの隅部G1、及び側面23bと前面23cの隅部G2が弧状でない場合でも、導水段部の幅Tを深くすれば導水段部Sそのものを弧状に形成することができる。
【0035】
洗浄水タンクとマニホールド間に設けられる電磁弁は省略しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第一の実施形態における、洗面ボウル23に組込まれたマニホールド25に設けられた第一の吐出口27と第二の吐出口28から洗浄水Pを吐出して洗面ボウル23を洗浄する状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態における、洗浄水圧送装置30の組付け図である。
【図3】本発明の第一の実施形態における、図1におけるA−A断面図である。
【図4】本発明の第二の実施形態における、図1におけるA−A断面図である。
【図5】従来例における、洗浄水を案内する空洞5を備える洗面ボウル1の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
23 洗面ボウル
23a 後面
23b 側面
23c 前面
23d 底板
25 マニホールド
25a 表面部
27 第一の吐出口
28 第二の吐出口
P 洗浄水
S 導水段部
T 幅
H 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面化粧台等に備える洗面ボウルの洗浄構造であって、
前記洗面ボウルの洗浄水は洗剤を含有する水が用いられ、前記洗面ボウルは後面と両側面と前面と底板から成る平面視矩形形状で前記後面は両側面より高く形成され、前記後面の幅方向の中央部で前記側面より上方に洗浄水の第一の吐出口が一対設けられ、前記洗浄水を流す導水段部がそれぞれの第一の吐出口から前記後面と両側面と前面に亘って各面を直角に抉って形成されることを特徴とする洗面ボウルの洗浄構造。
【請求項2】
請求項1に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記導水段部は前記一対の第一の吐出口からそれぞれ前記前面の中央部に亘って傾斜することを特徴とする洗面ボウルの洗浄構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記一対の第一の吐出口の近傍に前記後面に沿って洗浄水を水平左右方向と下方向に吐出する複数の第二の吐出口を備えることを特徴とする洗面ボウルの洗浄構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の洗面ボウルの洗浄構造であって、前記前面は下端部が前記後面に向って傾斜して形成されることを特徴とする洗面ボウルの洗浄構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−79354(P2009−79354A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247131(P2007−247131)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】