説明

洗面台用シャワーヘッド

【課題】洗面台用シャワーヘッドにおけるシャワーヘッドからの噴出水は下向きであるため、柔らかく噴出する水を直接顔に当てて洗願を行うことが困難であるという問題を解決する洗面台用シャワーヘッドを提供する。
【解決手段】洗面台に設けられるシャワーヘッドにおいて、シャワーヘッドを洗面台に装着した状態において、水を下向きに噴出する下向き噴出面の他に、水を上向きに噴出する上向き噴出面を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面台で使用されるシャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
洗面化粧台など洗面台で使用されるシャワーヘッドは、その基部を洗面台の平坦部に、可撓管(ホース)を介して一定長さ引き出し自在に設置されている。水道水は洗面台に設けられたバルブを開くことにより、シャワーヘッドの下面の噴出面から多数の細孔を通して噴出する。洗顔はその下向きの噴出水を手の平で受けてその手の平を顔に当てて行い、洗髪はシャワーヘッドを洗面台から、屈めた頭の上方まで手で引き出し、それを頭上にかざして洗面台上で行う。シャワーヘッドの片方の面に二つの噴出面を設けたシャワーヘッドは、特許文献1、2に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−103690号公報
【特許文献2】特表2000−515053
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
洗面台用シャワーヘッドで洗顔する場合、シャワーヘッドからの噴出水は下向きであるので、普通、噴出水を掬い上げた手の指の部分で顔面を軽く擦りながら行う。したがって、洗面台用シャワーヘッドで、噴出する水を直接顔に当てて洗顔を行いたい場合は、シャワーヘッドを略180度回転可能なまで洗面台から引き出してその噴出面を上向きにした状態を片手で保持した状態で行なわなければならないという面倒かつ不自由であるという問題点がある。
【0005】
本発明は、従来の洗面台用シャワーヘッドの問題点を解決したシャワーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、洗面台用シャワーヘッドにおいて、水を噴出する多数の細孔を有し、シャワーヘッドを洗面台に装着した状態において、水を上向きに噴出する第1の噴出面及び水を下向きに噴出する第2の噴出面を有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の洗面台用シャワーヘッドにおいて、上記各噴出面に水を導入する入水路を、第1の噴出面に導入する第1の入水路または第2の噴出面に導入する第2の入水路に切り替える入水路切替手段を有することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の洗面台用シャワーヘッドにおいて、第1の噴出面の多数の細孔からの噴水は、第1の噴出面の上方で集束する向きに噴出することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1、2または3記載の洗面台用シャワーヘッドにおいて、第1の噴出面は、緩やかな凹の湾曲面または円錐面からなり、その底部に排水孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シャワーヘッドが水を上方に噴出する噴出面を備えているので、洗面台用シャワーヘッドで洗顔をする場合、洗面台用シャワーヘッドからの噴出水を掬い上げた手の平で顔を擦りながら行う洗顔以外に、柔らかく上方に向けて噴出する水を直接顔に当てる流水による洗顔が可能である。そのため、手の摩擦による肌の負担を軽減できるばかりでなく、石鹸成分、クレンジング成分を額や毛の生え際からきれいに洗い流すことができる。さらに、洗顔時、シャワーヘッドを上向きにして手で保持する必要がないので、片方の手が不自由であっても難なく洗顔を行えるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1において、シャワーヘッド10は、洗面台11の平坦部に従来の構造と同じ取り付け構造により、実線で示す定位置から可撓性の管12を介して点線10aで示すように、上方に引き出し自在に筒状基台13に取り付けられている。筒状基台13の側方にはシャワーヘッド10への水道水の導入、遮断を行うバルブ14が設けられていて、そのハンドル15を操作することにより、従来同様、水道水の導入、遮断及びシャワーヘッドからの単位時間当たりの噴出水量、すなわち、シャワーヘッドからの水の噴出の強さを調節する。
【0009】
シャワーヘッド10のヘッド部16は、シャワーヘッドを洗面台に装着した状態において、水を上向きに噴出する多数の細孔を有する第1の噴出面17と、水を下向きに噴出する多数の細孔を有する第2の噴出面18とを有し、水路切替用の操作部材19を操作することにより、第1の噴出面17または第2の噴出面18からの水の噴出を選択する。第1の噴出面17の多数の細孔からの噴水は、第1の噴出面17の上方で集束する向きに噴出する。
【0010】
図2は、シャワーヘッド10のヘッド部16及び水路切替部20の断面を示す。ヘッド部16の上端には、第1の噴出面17を有する上部キャップ21が着脱自在にねじ込まれており、ヘッド部16の下端には下部キャップ22が固定されている。
ヘッド部16は平板からなる仕切板25を有し、この仕切板25によってヘッド部16は上部空間16aと下部空間16bとに仕切られ、ヘッド部16と一体成形された導入部26は、上部入水路である第1の入水路27と下部入水路である第2の入水路28とに仕切られている。
【0011】
第1の噴出面17は緩やかな凹の湾曲面であって、その中心部には排水口23が設けられている。排水口23からは排水管21aが仕切板25を貫いて下部空間16bまで延びており、その下端開口は下部キャップ22の中心部に設けられた排水孔24に対向している。
第1の噴出面17は傾斜の緩やかな凹の円錐面、あるいは、噴水を上方で集束させる向きの細孔を有する平板でもよい。第1の噴出面の細孔の大きさ、第1の噴出面からの噴出水の噴出形状など好みに応じて上部キャップ21をヘッド部16に対して自由に交換することができる。上向きの第1の噴出面17を清潔に保つために、第1の噴出面17をおう覆う防塵キャップを用意することができる。
【0012】
水路切替部20の一端は導入部26に、他端は把手部32にそれぞれ連結固定されている。水路切替部20の、向かって右側の側面には水路切替用のレバーからなる操作部材19が配置されている。操作部材19は水路切替部20に回転自在に設けられた軸30の、水路切替部20の上記右側面から突出した軸端にその基部を固定されている。
軸30には、ヘッド部16に水を導入する入水路を、第1の入水路27または第2の入水路28に切り替える入水路切替弁31の基部が固定されている。
【0013】
図2、図3は入水路切替弁31の先端縁31aが水路切替部20の底面に当接し、水道水を第1の入水路27に導く状態を示す。この状態において、ハンドル15を操作することにより、水道水をシャワーヘッド10に流入させると、その流入水は第1の噴出面17の多数の細孔から噴出するのでその噴出水を当てることができる。
第1の噴出面17からの噴出水による洗顔は、図1に示すように、シャワーヘッド10を洗面台11にセットした状態、あるいは、シャワーヘッド10を洗顔者に応じて点線10aで示すように可撓性の管12を介して適当長さだけ引き出し、管12を手前側に適度屈曲させた引出し状態で行う。この引出し状態での洗顔を安定して行えるようにするために、引き出されたシャワーヘッドの自重による垂れ下がりや捩れが生じない程度の強度が可撓性の管12に与えられる。
顔に当たった噴出水の一部は、第1の噴出面17上に戻って排水口23から排水されるので、第1の噴出面17を凹の湾曲面に形成しても、第1の噴出面17上に戻った水で多数の細孔が塞がれるのを防止することができる。第1の噴出面を凸の湾曲面に形成して第1の噴出面上に戻った水を周囲に流下させるようにすれば、排水口は必ずしも必要ではない。
【0014】
第1の噴出面17からの水の噴出力が必要以上に強く顔に強い刺激を与えたり、水の噴出高さが必要以上に高くなって飛散したりするのを防止するために、バルブ14(図1)を全開にしたときのヘッド部16の上部空間16aへの短時間当たりの入水量を、第1の入水路27の有効断面積の大きさにより制限することができる。
シャワーヘッドから水を上方に噴出させる手段として、下方へのみの噴出面を有するヘッド部を180度回転させることにより、その噴出面を上向きにするヘッド部回転機構も考えられるが、このヘッド部回転機構を採用した場合、噴出面を上向きにした状態での噴出水の強さを調節する面倒さが存するばかりでなく、噴出水を上方で集束させたい場合、下向き噴出時に末広がり或いは筒状に噴出する噴出水を、ヘッド部を回転させて噴出面を上向きにしたとき噴出水を上方で集束させるべく噴出面の形状を変化させる機構を設けなければならない問題がある。
【0015】
操作部材19を操作して、図2において、入水路切替弁31を反時計方向に回動させ、その先端縁31aを水路切替部20の天井に当接させて水道水を第2の入水路28に導くと、水は第2の噴出面18から下方に噴出する。入水路切弁31を上下切替え位置の中間位置に置けば、水を第1及び第2の両噴出面から同時に噴出させることができるので、第1の噴出面17からの水の噴出力を調節することができる。
【0016】
上記の第1の実施の形態における入水路切替手段は、入水路を第1の入水路または第2の入水路に切り替える入水路切替弁31とこれを操作する部材19を有している。
図4に示す第2の実施の形態は、入水路切替弁とこれを操作する部材を必要としない。この実施の形態における入水路切替手段は、シャワーヘッドの把手に対してヘッド部を揺動可能に設けた構成、所謂、ヘッド部の首振り構成からなる。
図4、図5において、ヘッド部116は、その上面に第1の噴出面117を、下面に第2の噴出面118を、内部にヘッド部116を上部空間116aと下部空間116bとに仕切る仕切板125を有し、ヘッド部116の周面の一部から突出した導入部126が、把手部132に水平軸の周りに回転自在に連結されている。
導入部126には、両端板を有する筒部126aが形成されていて、ヘッド部116は、その筒部126aを把手部132の先端に形成された断面半円形の筒受け部131に嵌め込み、筒部126aの両端板を筒受け部131の両側板にねじ軸130で回動自在に取り付けられる。
【0017】
筒部126aの、筒受け部131と接する部分には、仕切板125を境に第1の開口133と第2の開口134が設けられており、一方、筒受け部131の一部には、ヘッド部116を把手部132に対して一定角回転させることにより、第1の開口133または第2の開口134に選択的に対向する送水開口135が設けられている。
導入部126は、仕切板125によって上部入水路である第1の入水路128と上部入水路である第2の入水路129とに仕切られている。
ヘッド部116を上面噴出状態に置いたときの第1の噴出面117からの水の噴出力が必要以上に強くなったり、水の噴出高さが必要以上に高くなって飛散したりすることのない大きさに第1の開口133の大きさを定めることができる。
【0018】
図5は、第2の開口134と送水開口135とが対向して、把手部132からの水をヘッド部116の下部空間に導入し、第2の噴出面118から水を噴出する第2のヘッド体位を示す。
図5において、ヘッド部116の第2のヘッド体位から、ヘッド部116を軸130の回りに時計方向に点線116cで示す、第1の噴出面117が略水平になる位置まで回転させて第1の開口133を送水開口135に対向させると、把手部132からの水がヘッド部116の上部空間116aに導入され、第1の噴出面117から水を噴出する第1のヘッド体位となる。
ヘッド部116の首振りの大きさ、すなわち把手部132に対するヘッド部116の傾きの度合いを適当に変えることにより、第1の噴出面117からの水の噴出力を調節することができる。
【0019】
第2の実施の形態によれば、入水路切替手段としてヘッド部の首振りにより第1の噴出面または第2の噴出面を選択できる水路切り替バルブを採用したので、シャワーヘッドの構造を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態を示すシャワーヘッドの斜視図である。
【図2】シャワーヘッドのヘッド部及び水路切替部の断面図である。
【図3】シャワーヘッドのヘッド部及び水路切替部の分解斜視図である。
【図4】本発明の別の実施形態を示すシャワーヘッドの斜視図である。
【図5】図4のヘッド部及び水路切替部の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
10、110 シャワーヘッド
11 洗面台
16、116 ヘッド部
17、117 第1の噴出面
18、118 第2の噴出面
19 操作部材
20 水路切替部
23、123 排水口
27、128 第1の入水路
28、129 第2の入水路
31 入水路切替弁
32、132 把手部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面台に設けられるシャワーヘッドにおいて、
水を噴出する多数の細孔を有し、シャワーヘッドを洗面台に装着した状態において、水を上向きに噴出する第1の噴出面及び水を下向きに噴出する第2の噴出面を有することを特徴とする洗面台用シャワーヘッド。
【請求項2】
請求項1記載のシャワーヘッドにおいて、
上記各噴出面に水を導入する入水路を、第1の噴出面に導入する第1の入水路または第2の噴出面に導入する第2の入水路に切り替える入水路切替手段を有することを特徴とする洗面台用シャワーヘッド。
【請求項3】
請求項1または2記載のシャワーヘッドにおいて、
第1の噴出面の多数の細孔からの噴水は、第1の噴出面の上方で集束する向きに噴出することを特徴とする洗面台用シャワーヘッド。
【請求項4】
請求項1、2または3記載のシャワーヘッドにおいて、
第1の噴出面は、緩やかな凹の湾曲面または円錐面からなり、その低部に排水孔を有することを特徴とする洗面台用シャワーヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−241898(P2006−241898A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−60985(P2005−60985)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(505082143)
【出願人】(505082154)
【Fターム(参考)】