説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型塗料及び成形物

【課題】 優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型塗料、該塗料の調製に用いる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び、該塗料を硬化させてなる硬化塗膜を有する成形物を提供すること。
【解決手段】 脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含む重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物、該活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有する活性エネルギー線硬化型塗料及び該活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有している成形物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物と、これを用いた硬化塗膜を有する成形物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶テレビや携帯電話のパネルは表面に保護層としてプラスチックのフィルムやシートが使用される場合が多い。そして、これらの表面は、傷つき防止のため硬度の高い塗料の硬化塗膜でコーティングされている。この塗料として、多くの場合、活性エネルギー線硬化型塗料が使用されている。
【0003】
保護層として用いているプラスチックのフィルムやシートは、汚染されやすい環境に曝露されている。具体的には、例えば、携帯電話の液晶画面やタッチパネル等の人の皮脂が付着しやすい環境が挙げられる。携帯電話の液晶画面やタッチパネル等は指先の皮脂が指紋となって付着しやすく、指紋が付着することにより、美観が損われたり、画面が見づらくなる等の問題が発生する。その為、保護層としてプラスチックのフィルムやシートを覆う硬化塗膜として、指紋が付着しにくい、指紋が付着しても目立たない、または、指紋が付着してもふき取りやすい等の性能(耐指紋性)が強く求められている。
【0004】
また、前記硬化塗膜としては、硬度が高い、硬化時に収縮しにくい性能も要求されている。このような硬化塗膜を得る為の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートとイソホロンジイソシアネートとを反応させて得られるウレタンアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの合計100重量部に対してコロイダルシリカを80重量部含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いた硬化塗料の硬化塗膜はもともと耐指紋性を考慮しているものでは無い為、得られる硬化塗膜は付着した指紋が目立ちやすい問題がある。また、付着した指紋をふき取ろうとしてもきれいにふき取るのは困難である。
【0006】
【特許文献1】特開2001−113649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型塗料、該塗料の調製に用いる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び、該塗料を硬化させてなる硬化塗膜を有する成形物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含む重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物で、且つ、該コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有させることにより、硬度が高く、且つ、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜が得られること等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含む重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特長とする活性エネルギー線硬化型塗料を提供するものである。
【0011】
更に、本発明は、前記活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有していることを特徴とする成形物を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、優れた硬度を有し、また、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜を形成する活性エネルギー線硬化型塗料と該塗料を得る為の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物及び活性エネルギー線硬化型塗料の硬化塗膜を有する成形物を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明で用いる重合性単量体(A)について説明する。重合性単量体(A)は、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含有し、塗膜の主成分となるものであり、エネルギー線照射により反応して、高い硬度と透明性を有する塗膜を形成する主要構成成分である。
【0014】
脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(a1)とは、一分子中にウレタン結合と(メタ)アクリル基を有する化合物である。脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート化合物と芳香族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の反応物1、芳香族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の反応物2及び脂肪族ポリイソシアネート化合物と脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の反応物3が挙げられる。本発明で用いる脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート(A)の中でも、得られる硬化塗膜の屈折率が皮脂の屈折率に近く、付着した指紋が目立ちにくい硬化塗膜が得られることから反応物3が好ましい。
【0015】
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略する。)、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2−メチルペンタメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート等が挙げられる。
【0016】
前記脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのモノ(メタ)アクリレート;
【0017】
トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等の、3価のアルコールのモノまたはジ(メタ)アクリレートで水酸基を1個有するものや、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やε−カプロラクトンで変性した水酸基を1個有するモノ及びジ(メタ)アクリレート;
【0018】
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等の、4価以上のアルコールの多官能(メタ)アクリレートで水酸基を1個有するものや、これらアルコールの水酸基の一部をアルキル基やε−カプロラクトンで変性した水酸基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
前記脂肪族ポリイソシアネート化合物の中でもイソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートが好ましい。また、前記脂肪族ヒドロキシ(メタ)アクリレート化合物の中でもペンタエリスリトールトリアクリレートが好ましい。そして、硬度が高く、透明性に優れる硬化塗膜が得られることから、イソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートと、ペンタエリスリトールトリアクリレートとを反応してなるウレタンアクリレートが好ましい。
【0020】
前記ポリイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとを反応させる際には、得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料の粘度を低くする目的で必要に応じてポリオールを同時に反応させても良い。
【0021】
本発明で用いるウレタンアクリレート(A)を得る際には、各種のウレタン化触媒を用いることができる。具体的には、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミンなどのアミン類、トリフェニルフォスフィン、トリエチルフォスフィンなどのフォスフィン類、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズトリラウレート、オクチルスズジアセテート、ジブチルスズジアセテート、オクタン酸スズなどの有機スズ化合物、オクタン酸亜鉛などの有機金属化合物が挙げられる。
【0022】
本発明で用いるウレタンアクリレート(A)を得る際のウレタン化反応は通常、無溶剤下で行うことができるが、必要により、ポリウレタン工業に常用の不活性溶剤、例えば、トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)等の芳香族系溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤を一種又は二種以上使用することもできる。従って、本発明で用いるウレタンアクリレート(A)を得る際の反応系の粘度を、反応条件に応じた粘度に調整することができる。
【0023】
次に、コロイダルシリカ(B)について説明する。本発明では、コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有することを特徴とする。この割合でコロイダルシリカ(B)を配合させることにより、初めて皮脂が塗膜表面に濡れ広がりやすくさせる効果が顕著に発現し、硬化塗膜に付着した指紋が目立ちにくくなる効果が得られる。皮脂が塗膜表面に濡れ広がりやすくさせる効果が発現するメカニズムは定かではないが、一つには重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有させる事で硬化塗膜表面に特定の微細な凹凸が形成し、その結果、指紋が濡れ広がりやすいと本発明の発明者らは考えている。また、シリカ微粒子表面の極性が高いことから、指紋の極性成分が濡れ広がりやすくなることも考えられる。さらには、SiO2の屈折率が低いことから、塗膜の屈折率を下げる効果があり、指紋や皮脂との屈折率差を小さくする効果があると考えられ、これによって指紋が目立ちにくくなる効果があると考えられる。
【0024】
尚、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して3〜10重量部含有する組成物がより好ましい。
【0025】
本発明で用いるコロイダルシリカ(B)は、例えば、種々の方法で製造され、市販されているものを用いることができる。具体的には、例えば、無水ケイ酸の超微粒子を、各種分散媒中に分散させたもの等が挙げられる。コロイダルシリカ(B)は、その表面が重合性単量体(A)や重合性単量体(A)の重合物と化学結合する反応性基で有機変性されているものを用いてもよいし、有機変性されていないものを用いてもよい。コロイダルシリカ(B)としては、一次粒子の平均粒子径が1〜200nmのものが、硬化塗膜に付着した指紋が目立たなくなり、且つ、硬化塗膜の透明性を損なわないことから好ましく、5〜100nmのものが特に好ましい。
【0026】
本発明で用いるコロイダルシリカ(B)は、通常、各種分散媒中に分散させて用いる事が好ましい。用いることができる分散媒としては、水、有機溶媒、水と有機溶媒の混合溶媒が挙げられる。前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール等のアルコール系溶剤;エチレングリコール等の多価アルコール系溶剤;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の多価アルコール誘導体;メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。
【0027】
本発明で用いるシリカ微粒子(C)としては、市販品を利用してもよい。シリカ微粒子(B)の市販品の具体例としては、例えば、オルガノシリカゾル IPA−ST、オルガノシリカゾル IPA−ST−UP、オルガノシリカゾル IPA−ST−ZL、オルガノシリカゾル EG−ST、オルガノシリカゾル NPC−ST−30、オルガノシリカゾル DMAC−ST、オルガノシリカゾル MEK−ST、オルガノシリカゾル MEK−ST−L、オルガノシカゾルMEK−ST−UP、オルガノシリカゾル MIBK−ST、オルガノシリカゾル XBA−ST、オルガノシリカゾル PMA−ST(以上、日産化学工業株式会社製)、クォートロン PL−1、クォートロン PL−2、クォートロン PL−3、クォートロン PL−5、クォートロン PL−10(以上、扶桑化学工業株式会社製)等が挙げられる。
【0028】
前記コロイダルシリカ(B)は1種類だけを用いても、2種類以上のものを同時に用いても構わない。
【0029】
また、コロイダルシリカ(B)の物理的形状にも特に制限はなく、例えば、真球状、不定形或いは粒子中に空隙を持っているもの、単分散のもの、2個以上の粒子の如何なる凝集体であっても良く、目的とする塗膜の性能に応じて、適宜選択することが好ましい。
【0030】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物においては、重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(B)とが、化学的に結合していないほうが、塗膜の表面エネルギーが上げられ、その結果、皮脂が濡れやすくなり指紋が目立ちにくくなるという効果が得られることから好ましい。化学的に結合させないためには、例えば、前記コロイダルシリカ(B)として、表面を重合性単量体(A)と化学結合する反応性基で有機変性されていないものを用いればよい。尚、重合性単量体(A)と反応する各種の反応性基としては、例えば、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、グリシジル基、アミノ基、イソシアネート基等が挙げられる。
【0031】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物には、更に必要に応じて脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a)以外の重合性単量体(a2)を含有する重合性単量体を含有させると硬化性が良好な活性エネルギー線硬化型樹脂組成物が得られることから好ましい。重合性単量体(a2)としては、例えば、脂肪族系(メタ)アクリレート、芳香族系(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
前記脂肪族系(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどの炭素原子数1〜22の直鎖アルキル基を持つ(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジルシクロカーボネート(メタ)アクリレート等の脂環式のアルキル基を有する(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート;
【0033】
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどの多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
前記芳香族系(メタ)アクリレートとしては、例えば、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−フェニル−2−(4−アクリロイルオキシフェニル)プロパン、クロロフェニル(メタ)アクリレート、ブロモフェニル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、ブロモベンジル(メタ)アクリレート、クロロフェニルエチル(メタ)アクリレート、ブロモフェニルエチル(メタ)アクリレート、クロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモベンジル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
重合性単量体(a2)としては、耐指紋性に優れる硬化塗膜が得られる活性エネルギー線硬化型樹脂組成物となることから脂肪族系(メタ)アクリレートが好ましく、中でも、耐指紋性に加え硬度が高い硬化塗膜が得られることから、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが好ましく、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートがより好ましい。
【0036】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物において、重合性単量体(A)として脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)と重合性単量体(a2)を含む重合性単量体を用いる場合の重合性単量体(a2)の使用量としては、その使用量は、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜90重量部が好ましく、1〜60重量部がより好ましい。
【0037】
本発明の活性エネルギー線硬化型塗料は本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有してなる。本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や本発明の活性エネルギー線硬化型塗料は、活性エネルギー線を照射することにより硬化することができるものである。活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線のうち、分子を重合、架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、例えば、可視光線、紫外線、X線等の電磁波、電子線等の荷電粒子線が挙げられる。これらの内で実用上よく用いられるのは、可視光線、紫外線または電子線である。
【0038】
紫外線で硬化させる場合は、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
【0039】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、可視光線または紫外線により硬化させる場合には、紫外線または可視光線の照射によって解離し、ラジカルを発生するような光重合開始剤を通常含有させる。
【0040】
かかる光重合開始剤としては、光の照射により解離してラジカルを発生するような各種の光重合開始剤が使用でき、例えば、ベンゾフェノン、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4´−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4,4´−ジクロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、3,3´,4,4´−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;キサントン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどのキサントン、チオキサントン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのアシロインエーテル類;ベンジル、ジアセチルなどのα−ジケトン類;テトラメチルチウラムジスルフィド、p−トリルジスルフィドなどのスルフィド類;4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルなどの安息香酸類;
【0041】
3,3´−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2,2´−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−ベンゾイル−4´−メチルジメチルスルフィド、2,2´−ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタ−ル、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール、o−ベンゾイル安息香酸メチル、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α−ジクロロ−4−フェノキシアセトフェノン、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−[ジ−(エトキシカルボニルメチル)アミノ]フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(4−エトキシ)フェニル−S−トリアジン、2,4−ビス−トリクロロメチル−6−(3−ブロモ−4−エトキシ)フェニル−S−トリアジンアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノンなどが挙げられる。
【0042】
また、光重合開始剤の市販品としては、例えば、Irgacure−184、同149、同261、同369、同500、同651、同754、同784、同819、同907、同1116、同1300、同1664、同1700、同1800、同1850、同2959、同4043、Darocur−1173、同MBF(以上、チバスペシャルティーケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、KAYACURE−DETX、同MBP、同DMBI、同EPA、同OA、同BMS〔以上、日本化薬(株)製〕、VICURE−10、同55(以上、STAUFFER Co.LTD製)、TRIGONALP1(AKZO Co.LTD製)、SANDORY 1000(SANDOZ Co.LTD製)、DEAP(APJOHN Co.LTD製)、QUANTACURE−PDO、同ITX、同EPD(以上、WARD BLEKINSOP Co.LTD製)等が挙げられる。
【0043】
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料では、光重合開始剤に各種の光増感剤を併用することができる。光増感剤としては、例えば、アミン類、尿素類、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル類もしくはその他の含窒素化合物等が挙げられる。
【0044】
前記光増感剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、チオキサントン、チオキサントン誘導体、2,2´−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン等が挙げられる。
【0045】
これら光増感剤は、単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることもできる。その使用量は特に制限はないが、感度を良好に保ち、結晶の析出、塗膜物性の劣化等を防止するため、活性エネルギー線硬化型樹脂成分(A)100重量部に対して0.05〜20重量部用いること好ましく、なかでも0.1〜10重量部が特に好ましい。
【0046】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いてなる硬化塗膜を表面上に有する合成樹脂成形物等を製造する際に、紫外線等の活性エネルギー線は支持体となる合成樹脂成形物を通して照射される場合がある。また、色材などの添加のため短波長領域しか吸収できない光重合開始剤では十分な硬化性が得られない場合がある。その場合、光重合開始剤は、長波長領域に吸光能力を有する光重合開始剤が好ましく、例えば、波長が360〜450nmの範囲において光重合開始能力を発揮する光重合開始剤の使用が望ましい。450nmを越える光でも強い吸収を有するものは安定性に劣るため、完全に遮光した環境での製造が必要となり、その取扱いが困難となる。なお、電子線を用いる場合は、これら光重合開始剤や光増感剤は不要である。
【0047】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いてなる塗膜を電子線で硬化させる場合は、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧器型絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等の照射源を備えた装置をいずれも用いることができ、100〜1,000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを持つ電子を通常照射する。照射線量としては、通常0.5〜30Mrad程度が好ましい。
【0048】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、合成樹脂成形物等の基材の表面上に形成された硬化塗膜に耐光性が要求される場合等、必要に応じて、紫外線吸収剤を添加することができる。さらに、塗膜の改質や塗装適性を改善させる場合には、酸化防止剤、レベリング剤、レオロジーコントロール剤、脱泡剤、防曇剤等を添加することも可能である。
【0049】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−[4−{(2−ヒドロキシ−3−トリデシルオキシプロピル)オキシ}−2−ヒドロキシフェニル]−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン誘導体;2−(2´−キサンテンカルボキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2´−o−ニトロベンジロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール誘導体;2−キサンテンカルボキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン、2−o−ニトロベンジロキシ−4−ドデシロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体などが挙げられる。
【0050】
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、有機硫黄系酸化防止剤、リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられる。
【0051】
前記した種々の添加剤の使用量としては、その効果を十分発揮し、また、紫外線硬化を阻害しない範囲であることから、活性エネルギー線硬化型樹脂成分(A)100重量部に対して、それぞれ0.01〜20重量部の範囲であることが好ましい。
【0052】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、粘度や透明基板への接着性改良等を目的として、樹脂を併用することができる。
【0053】
前記樹脂としては、例えば、メチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート系共重合物等のアクリル樹脂;ポリエステル樹脂、ポリブタジエンやブタジエン−アクリロニトリル系共重合物などのポリブタジエン樹脂などが挙げられる。
【0054】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、粘度調節のために有機溶剤を使用することができる。有機溶剤としては、通常、沸点が50〜180℃のものが、塗工時の作業性、硬化前後の乾燥性に優れることから好ましく、例えば、メタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、またはこれらの混合物類等が挙げられる。
【0055】
本発明で用いる有機溶媒の使用量は、特に限定されないが、通常は本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物の固形分濃度が5〜90重量%となる範囲である。
【0056】
本発明の硬化物は、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有している。このような硬化物としては、例えば、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料を、必要に応じて有機溶剤等により適当な塗装粘度に調整され、各種の基材の表面上に塗装され、活性エネルギー線を照射することにより硬化せしめて、優れた耐指紋性と優れた硬度を併有する硬化塗膜を有する基材等が挙げられる。前記基材として合成樹脂成形物を用いることにより本発明の合成樹脂成形物を製造することができる。なお、硬化塗膜の膜厚は通常0.5〜50μm、好ましくは1〜30μmである。
【0057】
前記基材としては、特に限定されないが、例えばガラス基材、金属基材、プラスチック基材等が挙げられる。特に、プラスチック基材としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニルからなる基材が挙げられ、これらはフィルム状であってもよい。また、プラスチック基材は、表面改質のために、予めコロナ放電、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理等の表面酸化を行ったり、サンドブラスト、型押し、溶剤処理等の表面の凹凸化処理を行った後に、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を用いて塗工しても良い。
【0058】
また、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料は、光学部品やディスプレイなどを基材として適用すると好適である。具体的には、例えば、レンズ、ミラー、ゴーグル、窓ガラスや、液晶表示装置、CRT表示装置、プラズマ表示装置、プロジェクション型表示装置、エレクトロクロミック表示装置、発光ダイオード表示装置、EL表示装置などの各種ディスプレイの画面保護などに適用すると好ましい。
【0059】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物や活性エネルギー線硬化型塗料の基材への塗工方法は、特に限定されないが、スピンコーター、ロールコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷などを用いる塗工方法の他、グラビア塗工、マイクログラビア塗工法、バー塗工法、スライドダイ塗工法、スロットダイ塗工法、デイップコート法、スプレーコーティング法などが挙げられる。
【実施例】
【0060】
次に本発明をより詳細に説明するために実施例を掲げる。なお、例中の部及び%は特に断りのない限り、すべて重量部及び重量%を表す。
【0061】
合成例1〔脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)の合成〕
攪拌機、乾燥空気導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた1リットルの清浄な4つ口フラスコに、乾燥空気を吹き込んだ後、フラスコにアロニックスM305〔東亜合成工業(株)製のペンタエリスリトールトリアクリレート〕536g、2,6−ジーターシャリーブチルー4―メチルフェノール(BHT)1.8g、メトキノン0.18g、触媒としてオクタン酸スズ0.12g、オクタン酸亜鉛0.12gを仕込み、攪拌しながら温度を50℃まで昇温し、発熱に注意し必要に応じ冷却しながらヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)84.0gを1時間かけて滴下仕込みした。NCO%が0.1%以下になるまで80℃で約4時間ウレタン化反応を行い本発明で用いる脂肪族系ウレタンアクリレート(a1−1)を得た。
【0062】
合成例2(同上)
攪拌機、乾燥空気導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた1リットルの清浄な4つ口フラスコに、乾燥空気を吹き込んだ後、フラスコにアロニックスM305 536g、BHT 0.6g、メトキノン0.1g、触媒としてオクタン酸スズ0.13g、オクタン酸亜鉛0.13gを仕込み、攪拌しながら温度を50℃まで昇温し、発熱に注意し必要に応じ冷却しながらイソホロンジイソシアネート(IPDI)111.0gを1時間かけて滴下仕込みした。NCO%が0.1%以下になるまで80℃で約4時間ウレタン化反応を行い本発明で用いる脂肪族系ウレタンアクリレート(a1−2)を得た。
【0063】
合成例3〔比較対照用ウレタン(メタ)アクリレート(a´1)の調製〕
攪拌機、乾燥空気導入管、コンデンサー、滴下ロートおよび温度計を備えた1リットルの清浄な4つ口フラスコに、乾燥空気を吹き込んだ後、フラスコにアロニックスM305 536g、BHT0.6g、メトキノン0.1g、触媒としてオクタン酸スズ0.13g、オクタン酸亜鉛0.13gを仕込み、攪拌しながら温度を50℃まで昇温し、発熱に注意し必要に応じ冷却しながら2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)87.0gを1時間かけて滴下仕込みした。さらに、NCO%が0.1%以下になるまで80℃で約4時間ウレタン化反応を行い、比較対照用ウレタンアクリレート(a´1−1)を得た。
【0064】
実施例1
ウレタンアクリレート(a1−1)50部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート50部、シリカ微粒子(B)として、IPA−ST(日産化学工業株式会社製のオルガノシリカゾル、有効成分30wt%)25部、光重合開始剤イルガキュア184 4部、メチルエチルケトン(MEK)53.7部及びイソプロピルアルコール(IPA)36.3部を配合し、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1を得た。
【0065】
次いで、活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の硬化塗膜を表層に有する成形物(フィルム)を得た。この成形物を用いて成形物表層の硬化塗膜の外観、該硬化塗膜に付けた指紋の目立ちにくさ、硬化塗膜の硬度及び硬化塗膜のカールを評価した。成形物の調製条件と各評価方法を下記に示す。また、評価結果は、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1の組成と共に第1表に示す。
【0066】
<成形物の調製条件>
活性エネルギー硬化型樹脂組成物1を、バーコーター(#12)でPETフィルム(東洋紡(株)製コスモシャインA4300)に塗布し、70℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプ(照射強度80W/cm、積算光量500mJ/cm2)で紫外線を照射して、硬化塗膜を表層に有するペットフィルムを得た。
【0067】
<硬化塗膜の外観の評価方法>
塗膜の外観を下記評価基準で目視にて評価した。
○:硬化塗膜表面全体が均一な状態である。
×:硬化塗膜表面が不均一である。
【0068】
<成形物表層の硬化塗膜に付けた指紋の目立ちにくさの評価方法>
硬化塗膜上に指紋を付着させ、黒い紙を下に敷いて、垂直方向から指紋を目視にて観察し、下記基準に従って評価した。
○:指紋が見えない。
×:指紋が見える。
【0069】
<硬化塗膜の硬度を評価方法>
鉛筆引っかき試験機を用いて、硬化塗膜に鉛筆を45度の角度で、荷重500gをかけ、1cm引っかいた後、傷の付き具合を目視にて判定した。5回の測定を行い、3回以上傷が付かない最高の鉛筆硬度を測定値とした。
【0070】
<カール>
硬化塗膜を5cm×5cmに切り出し、平らな台の上にのせ、4つの隅の台からの高さを測定し、4つの数値の平均値を計算し、この値をカールの評価結果とした。数値が大きいほど、カールの程度が大きいことを表す。
【0071】
実施例2〜4および比較例1〜3
第1表及び第2表に示す配合組成で各成分を配合した以外は実施例1と同様にして活性エネルギー線硬化型樹脂組成物2〜4及び比較対照用活性エネルギー線硬化型樹脂組成物1〜3を得た。実施例1と同様にしてこれらの硬化塗膜を有する成形品を作成し、評価した。評価結果を第1表及び第2表に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
【表2】

【0074】
<第1表及び第2表の脚注>
・DPHA:ルミキュアDPA−600〔大日本インキ化学工業(株)製ジペンタエリスリトールペンタ・ヘキサアクリレート〕
・光重合開始剤:イルガキュア184〔1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン〕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)を含む重合性単量体(A)とコロイダルシリカ(B)とを含有する活性エネルギー線硬化型樹脂組成物であり、該コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して1〜15重量部含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
前記コロイダルシリカ(B)を、重合性単量体(A)100重量部に対して3〜10重量部含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
前記脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a)が、イソホロンジイソシアネートおよび/またはヘキサメチレンジイソシアネートと、ペンタエリスリトールトリアクリレートとを反応させて得られたウレタン(メタ)アクリレートである、請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
前記重合性単量体(A)が、更に、脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)以外の重合性単量体(a2)を含有する重合性単量体である請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体(a2)の含有量が脂肪族系ウレタン(メタ)アクリレート(a1)と重合性単量体(a2)との合計100重量部に対して1〜90重量部である請求項4記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性単量体(a2)がジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートである請求項4記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を含有することを特長とする活性エネルギー線硬化型塗料。
【請求項8】
請求項7記載の活性エネルギー線硬化型塗料を用いて得られる硬化塗膜を有していることを特徴とする成形物。

【公開番号】特開2009−263410(P2009−263410A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111267(P2008−111267)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(000002886)DIC株式会社 (2,597)
【Fターム(参考)】