説明

活性エネルギー線硬化型樹脂組成物

【課題】 経時での変形が生じず、かつ強靭性が高い硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 分子内にポリオキシテトラメチレン基を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)、分子内に芳香環を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化樹脂組成物に関する。更に詳しくは、経時での変形が生じず、かつ強靭性が高い硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より液晶ディスプレイに使用されるプリズムシートや、プロジェクションTVに使用されるフレネルレンズ、レンチキュラーレンズといった光学レンズは、熱可塑性樹脂の射出成形や熱プレス成形により製造されるのが一般的であった。
これらの製造方法では、製造時の加熱および冷却に長時間を必要とするため生産性が低く、また、光学レンズの熱収縮により、微細構造の再現性が悪く、反るという問題点があった。
これらの問題点を解決するため、金型内面に透明樹脂基材がセットされた型内に紫外線硬化型樹脂組成物を流し込み、紫外線を照射して硬化させる方法が実施されている。
【0003】
しかしながら、本法で作成した紫外線樹脂硬化物は、紫外線照射のみでは硬化反応が十分ではなく、未反応のモノマーが残存した状態にある。そのため成型後反応が経時的に進行し、硬化収縮が生じ、硬化物が変形するという問題があった。
このような問題点を解決する手法として、紫外線照射時の反応率を高めるために、効率のよい開始剤を使用する方法(例えば特許文献1)、低Tgの単官能アクリレートを導入する方法(例えば特許文献2)等が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−089925号公報
【特許文献2】特開2008−094987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、両者の方法では紫外線照射後の反応率が未だ低く、硬化物の経時的な変形を抑制することができない。また後者の方法では硬化物の靱性が悪くなるという問題がある。
本発明の目的は、経時での変形が生じず、かつ強靭性が高い硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、分子内にポリオキシテトラメチレン基を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)、分子内に芳香環を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および分子内に芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物;およびその硬化物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、経時で反応が進行することによる硬化収縮の影響で変形が生じることがなく、かつ靭性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物は、分子内にポリオキシテトラメチレン基を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)、分子内に芳香環を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および分子内に芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレート(C)を必須成分とする。
【0009】
本発明における第1成分のポリテトラメチレン基含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)は、分子内にポリテトラメチレン基と2個の(メタ)アクリロイル基を含有するウレタン化合物であれば特に限定されないが、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c)と水酸基含有(メタ)アクリレート(d)とのウレタン化反応から形成されるポリオキシテトラメチレン基含有ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0010】
そして、このイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c)は、ポリオキシテトラメチレングリコール(a)とポリイソシアネート(b)を反応させることにより得られ、(a)と(b)の反応におけるOH/NCO当量比が、通常0.45〜0.90、好ましくは0.50〜0.85である。
【0011】
このウレタンプレポリマー(c)の原料となるポリオキシテトラメチレングリコール(a)は、テトラヒドロフランの開環重合で得られるポリマーポリオールであり、樹脂硬化物靱性の観点から数平均分子量が好ましくは300〜3000、さらに好ましくは、500〜2000である。
【0012】
ウレタンプレポリマー(c)の原料となるポリイソシアネート(b)は、下記の(b1)〜(b5)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0013】
(b1):C6〜20(但しNCO基中の炭素原子の数を除く。以下同じ。)の芳香族ポリイソシアネートジイソシアネート(以下、ジイソシアネートをDIと略記する。)、1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(TDI)、4, 4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンDI(MDI)、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニ ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5−ナフチレンDI、およびm−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート)および4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート
【0014】
(b2):C2〜18の脂肪族ポリイソシアネート
DI、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ヘプタメチレンDI、オクタメチレンDI、ノナメチレンDI、デカメチレンDI、ドデカメチレンDI、2,2,4−および/または2,4,4 −トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、2,6−ジイソシアナトエチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネートおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えば1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートおよびリジンエステルトリイソシアネート(リジンとアルカノールアミンの反応生成物のホスゲン化物、例えば2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート)
【0015】
(b3):C4〜45の脂環式ポリイソシアネート
DI、例えばイソホロンDI(IPDI)、2,4−および/または2,6−メチルシクロヘキサンDI(水添TDI)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−DI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキシレン−1,2−ジカルボキシレートおよび2,5−および/または2,6−ノルボルナンDI、ダイマー酸DI(DDI);および3官能以上のPI(トリイソシアネート等)、例えばビシクロヘプタントリイソシアネート
【0016】
(b4):C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート
m−および/またはp−キシリレンDI(XDI)、ジエチルベンゼンDIおよびα,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)
(b5):上記(c1)〜(c4)のヌレート化物
【0017】
これらのポリイソシアネート(b)のうち反応性制御の観点から好ましいのは(b2)、(b3)および(b4)である。
【0018】
ポリオキシテトラメチレングリコール(a)とポリイソシアネート(b)の反応におけるOH/NCO当量比は0.45〜0.80、好ましくは0.50〜0.75、さらに好ましくは0.55〜0.70である。該当量比が0.45未満では硬化時の収縮率が大きくなり後述する基材との密着性が悪くなり、0.80を超えると靱性の高い硬化物が得られない。
【0019】
上記(a)と(b)の反応で得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c)に、さらに水酸基含有(メタ)アクリレート(d)を反応させて、本発明の必須成分のポリオキシテトラメチレン基を有する2官能のウレタン(メタ)アクリレート(A)を得ることができる。
【0020】
この水酸基含有(メタ)アクリレート(d)としては、下記の(d1)〜(d6)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(d1):(メタ)アクリル酸のAO付加物〔Mn116〜5,000〕
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、−2−ヒドロキシプロピル、−2−ヒドロキシブチルおよびこれらのAO付加物(Mn160〜5,000)等
【0021】
(d2):(a11)のε−カプロラクトン付加物(Mn230〜5,000)
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−ε−カプロラクトン2モル付加物等
(d3):ジオール(Mn300〜5,000)のモノ(メタ)アクリレート
ジオール[Mn300〜5,000で、例えばポリカーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール]のモノ(メタ)アクリレート
(d4):エポキシドとヒドロキシ(メタ)アクリル酸の反応生成物
3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ビフェノキシ−2−ヒドロキシプロプル(メタ)アクリレート等
【0022】
(d5):(メタ)アクリル酸と3官能以上のポリオール(Mn92〜5,000)の反応生成物およびそのAO1〜100モル付加物
グリセリンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ−およびジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンモノ−、ジ−およびトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ−、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ(メタ)アクリレートおよびそれらのAO付加物(付加モル数1〜100)等
【0023】
(d6):(メタ)アクリル酸とブタジエンポリオール、イソプレンポリオール、水添ブタジエンポリオールおよび水添イソプレンポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール(Mn300〜5,000)との反応生成物
【0024】
これらの水酸基含有(メタ)アクリレート(d)のうち、前述のポリイソシアネート成分(b)との反応性の観点から好ましいのは(d1)および(d2)であり、さらに好ましいのは(d1)である。
【0025】
本発明における第2成分の分子内に芳香環を含有する2官能のウレタン(メタ)アクリレート(B)は、分子内に1個以上の芳香環と2個の(メタ)アクリロイル基を含有するウレタン化合物であれば特に限定されないが、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)と水酸基含有(メタ)アクリレート(d)とのウレタン化反応から形成される芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。
【0026】
そして、このイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)は、芳香族含有ポリオール(e)とポリイソシアネート(b)を反応させることにより得られ、(e)と(b)の反応におけるOH/NCO当量比が、通常0.45〜0.90、好ましくは0.50〜0.85である。
【0027】
このウレタンプレポリマー(f)の原料となるポリオール(e)には、芳香環を含有する多価ポリオールであり、芳香環を含有する多価アルコール(e1)には、下記の2価のポリオール(e11)と3価以上のポリオール(e12)が挙げられる。
【0028】
(e11)芳香環を有する2価アルコール(C8〜20またはそれ以上。なお、以下、炭素数をCと略称する。)
芳香脂肪族2価アルコール[例えば、キシリレングリコール、ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン等]、C6〜18の2価フェノール[単環2価フェノール(例えばハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、多環2価フェノール{例えばビスフェノール(ビスフェノールA、F、C、B、ADおよびS、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)}、縮合多環2価フェノール{ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等}]、ポリエーテルジオール[上記2価アルコールまたは上記2価フェノールのアルキレンオキシド(以下、AOと略称する。)付加物(数平均分子量(以下Mnと略称する)が150〜20,000)、ポリエステルジオール[(Mn200〜20,000)、例えば上記2価アルコールまたは上記ポリエーテルジオールとジカルボン酸{脂肪族ジカルボン酸(C4〜C30、例えばコハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸)、芳香(脂肪)族ジカルボン酸(C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸無水物、キシリレンジカルボン酸)}からなる縮合物]、ポリカーボネート(Mn500〜10,000)、並びにポリエステルジオール、ポリカーボネートのAO1〜300モル付加物等が挙げられる。
【0029】
芳香環を有する3価〜8価またはそれ以上の多価アルコール(e12):
3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール等)、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン等)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)、ポリエーテルポリオール[上記3価〜8価またはそれ以上の多価フェノールのAO付加物(Mn200〜20,000)、等]、ポリエステルポリオール[(Mn370〜20,000)、例えば上記ポリエーテルポリオールとジカルボン酸{脂肪族ジカルボン酸(C4〜C30、例えばコハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸)、芳香(脂肪)族ジカルボン酸(C8〜30、例えばイソフタル酸、テレフタル酸、フタル酸無水物、キシリレンジカルボン酸)}からなる縮合物]、並びにこれらのポリエステルポリオールのAO1〜300モル付加物等が含まれる。
【0030】
上記のウレタンプレポリマー(f)の原料となるポリオール(e)のうち、後述する本発明の硬化物の柔軟性の観点から好ましいのは(e11)である。
【0031】
本発明の(B)におけるウレタンプレポリマー(f)で芳香族含有ポリオール(e)と反応における相手のポリイソシアネート(b)としては、本発明の(A)におけるウレタンプレポリマー(c)で既に例示した(b1)〜(b5) 、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】
芳香族含有ポリオール(e)とポリイソシアネート(b)の反応におけるOH/NCO当量比は0.45〜0.80、好ましくは0.50〜0.75、さらに好ましくは0.55〜0.70である。該当量比が0.45未満では硬化時の収縮率が大きくなり後述する基材との密着性が悪くなり、0.80を超えると靱性の高い硬化物が得られない。
【0033】
上記と(b)の反応で得られたイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)に、さらに水酸基含有(メタ)アクリレート(d)を反応させて、本発明の必須成分の芳香環を有する2官能のウレタン(メタ)アクリレート(B)を得ることができる。
【0034】
本発明の(B)のおける上記ウレタンプレポリマー(f)に反応させる相手の水酸基含有(メタ)アクリレート(d)としては、本発明の(A)におけるウレタンプレポリマー(c)で既に例示した(d1)〜(d6)と同様のもの、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
本発明の樹脂組成物中のポリオキシテトラメチレン基の含量は、硬化物の経時での変形性および強靭性の観点から、通常、3〜40重量%、好ましくは5〜20重量%である。
ポリオキシテトラメチレン基の含量が3重量%未満では硬化物の経時での変形性および強靭性を得ることが困難となり、40重量%を超えると吸湿性が極端に高くなる。
ポリオキシテトラメチレン基含量を求める場合には、H−NMRにおいて、検量線を作成し、定量することができる。
例えば、6.0ppmにピークが検出されるテトラブロモエタンを標準物質として使用し、1.4ppmに検出されるポリオキシテトラメチレン基のメチレン基のピークに対して検量線を作成する。
【0036】
2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の製造においては、ウレタン化触媒を用いてもよい。ウレタン化触媒には、金属化合物(有機ビスマス化合物、有機スズ化合物、有機チタン化合物等)および4級アンモニウム塩が含まれる。
【0037】
ウレタン化触媒の使用量は、(A)の重量に基づいて通常1重量%以下、反応性、透明性の観点から好ましくは0.001〜0.5重量%、さらに好ましくは、0.05〜0.2重量%である。
【0038】
本発明の2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)におけるポリオキシテトラメチレングリコール(a)とポリイソシアネート(b)のウレタン化反応の条件は、特に限定されず、例えば、(a)に(b)を混合し、通常40〜100℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは60〜95℃で、2〜20時間反応させてイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c)を製造することができる。
【0039】
また、必要により溶剤(酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエン等)で希釈して反応させてもよい。 溶剤の使用量は、(a)と(b)および(d)の合計重量に基づいて通常5,000重量%以下、下限は混合物の取り扱い性の観点から、上限は反応速度の観点から、好ましくは10〜1,000重量%である。
【0040】
本発明の2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)におけるウレタンプレポリマー(c)と水酸基含有(メタ)アクリレート(d)のウレタン化反応の条件は、特に限定されず、例えば、(c)に(d)を混合し、通常40〜80℃、反応性および該混合物の安定性の観点から好ましくは60〜75℃で2〜15時間反応させて(メタ)アクリル基を有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)を製造することができる。
【0041】
ウレタン化反応は、常圧、減圧または加圧のいずれでも行うことができる。ウレタン化反応の進行状況は、例えば反応系のNCO%および水酸基価を測定することにより判断することができる。
【0042】
本発明の芳香環含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)における芳香族含有ポリオール(e)とポリイソシアネート(b)のウレタン化反応の条件は、上記の(A)で既に例示した条件に基づいて実施することができる。
【0043】
本発明の芳香環含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)におけるウレタンプレポリマー(f)と水酸基含有(メタ)アクリレート(d)のウレタン化反応の条件は、上記の(A)で既に例示した条件に基づいて実施することができる。
【0044】
本発明における2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量は、(A)、(B)および(C)の合計重量に基づいて、通常5〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。(B)の含有量が5重量%未満であると、樹脂自体が非常にもろくなってしまうことがある。また50重量%を超えると、金型からの離型が極端に悪くなる可能性がある。
【0045】
本発明における第3の必須成分である芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート(C)は、分子内に、芳香環を有していれば、特にその化学構造は限定されない。
好ましい構造としては下記一般式(1)で表されるモノマーである。
【0046】
【化1】

【0047】
式中、Rは水素原子またはCHであり、好ましくは水素原子である。
Xは、水素原子、または炭素数1〜20のアルキル基、COOH、もしくはCOOCHCHOHで表される有機基であり、好ましくは水素原子である。
【0048】
Yは2価の芳香環であり、例えば、1,4−フェニル基などが挙げられる。
【0049】
Zは炭素数1〜20のアルキレン基、ポリオキシアルキレン基[(CHCHO)(nは2〜20)、または[CHCH(CH)O](nは2〜20)で表される有機基であり、特に好ましくはCHCHOである。
【0050】
本発明における芳香環を有する単官能(メタ)アクリレート(C)について、以下に具体例を示す。下記化合物を単独で用いても、その混合物でもよい
【0051】
(C1):フェノール(C6〜30)のAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレート等。
【0052】
(C2):[アルキル(C1〜20)]フェノール(C6〜30)のAO1〜30モル付加物の(メタ)アクリレート
ノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート等。
【0053】
(C3):芳香族カルボン酸変性(メタ)アクリレート
フタル酸モノキドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピルフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル等。
【0054】
(C4):芳香族エポキシアクリレート
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等。
【0055】
(C5):その他の芳香環含有単官能(メタ)アクリレート
ベンジル(メタ)アクリレート等。
【0056】
上記(C1)〜(C5)のうち、樹脂への密着性および硬化物の屈折率の観点から好ましいのは、(C1)および(C5)であり、さらに好ましいのは(C1)に属するフェノキシエチル(メタ)アクリレートおよび(C5)に属するベンジル(メタ)アクリレートである。
【0057】
(C1)〜(C5)のうちで活性水素原子を有するものは、ウレタン化反応終了後に加え、活性水素原子を有しないものはウレタン化反応時および/または反応終了後のいずれの段階で加えてもよい。
【0058】
本発明における(A)、(B)および(C)の合計重量に基づいて、芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)の含有量は通常20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%、より好ましくは3〜50重量%である。
(C)の含有量が20重量%未満であると、基材との密着性が悪化し、簡単に剥がれてしまうことがある。また70重量%を超えると、樹脂自体非常にもろくなってしまい、強度が悪化することがある。
【0059】
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、光重合開始剤(D)を含有させることにより、紫外線照射で硬化させることができる。
紫外線により硬化する場合の紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2である。
【0060】
光重合開始剤(D)としては、ヒドロキシベンゾイル化合物(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等)、ベンゾイルホルメート化合物(メチルベンゾイルホルメート等)、チオキサントン化合物(イソプロピルチオキサントン等)、ベンゾフェノン(ベンゾフェノン等)、リン酸エステル化合物(1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等)、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。これらのうち硬化物の着色防止の観点から好ましいのは2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび1,3,5−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドである。
【0061】
(D)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、それぞれ通常10重量%以下、好ましくは0.1〜7重量%である。さらに好ましくは1〜5重量%である。
【0062】
本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で必要によりさらに塗料、インキに使用される種々の添加剤(E)を含有させてもよい。
添加剤(E)には、離型剤(E1)、酸化防止剤(E2)および紫外線吸収剤(E3)が含まれる。
【0063】
離型剤(E1)としては、1級もしくは2級のアルキル(C1〜20またはそれ以上)のリン酸エステル、または1級もしくは2級のアルコール(C1〜20またはそれ以上)のAO1〜30モル付加物のリン酸エステル類が挙げられる。またC4〜30の3級脂肪族アミン、1級もしくは2級の脂肪族(C4〜30)アミンのAO(C2〜4)1〜30モル付加物等の3級アミン類等が挙げられる。
(E1)は1種類で用いてもよく、また数種類を併用してもよい。(E1)の使用量は本発明の組成物の全重量に基づいて、通常300ppm〜2,000ppm、好ましくは500ppm〜1,500ppm、より好ましくは700ppm〜1,200ppmである。
【0064】
酸化防止剤(E2)としては、ヒンダードフェノール化合物〔トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル〕およびアミン化合物(n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミノメチルメタクリレート等)が挙げられる。
(E2)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3重量%以下、好ましくは0.005〜2重量%である。
【0065】
紫外線吸収剤(E3)としては、ベンゾトリアゾール化合物[2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等]、トリアジン化合物〔2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール〕、ベンゾフェノン(2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン等)、シュウ酸アニリド化合物(2−エトキシ−2’−エチルオキサリック酸ビスアニリド等)が挙げられる。
(E3)の使用量は、本発明の組成物の全重量に基づいて、通常3重量%以下、好ましくは0.005〜2重量%である。
【0066】
本発明の組成物は、塗工の際に、塗工に適した粘度に調整するために、必要に応じて溶剤で希釈した塗料とすることができる。
溶剤の使用量は、組成物の重量に基づいて通常2,000%以下、好ましくは10〜500%である。また、塗料の粘度は、使用時の温度(通常5〜60℃)で、通常5〜500,000mPa・s、安定塗工の観点から好ましくは50〜10,000mPa・sである。
溶剤としては、本発明の組成物中の樹脂分を溶解するものであれば特に限定されない。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要により溶剤で希釈して、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布し、必要により乾燥させた後、後述する活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、基材の表面および/または裏面の少なくとも一部に硬化物を有する被覆物を得ることができる。
塗工に際しては、通常用いられる装置、例えば塗工機[バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター(サイズプレスロールコーター、ゲートロールコーター等)、エアナイフコーター、スピンコーター、ブレードコーター等]が使用できる。塗工膜厚は、硬化乾燥後の膜厚として、通常0.5〜300μm、乾燥性、硬化性の観点から好ましい上限は250μm、耐擦傷性、耐溶剤性、耐汚染性の観点から好ましい下限は1μmである。
【0068】
本発明の組成物を溶剤で希釈して使用する場合は、塗工後に乾燥するのが好ましい。
乾燥方法としては、例えば熱風乾燥(ドライヤー等)が挙げられる。乾燥温度は、通常10〜200℃、塗膜の平滑性および外観の観点から好ましい上限は150℃、乾燥速度の観点から好ましい下限は30℃である。乾燥時間は通常10分以下、硬化膜の物性および生産性の観点から好ましくは1〜5分である。
【0069】
本発明における活性エネルギー線には、紫外線、電子線、X線、赤外線および可視光線が含まれる。これらの活性エネルギー線のうち硬化性と樹脂劣化の観点から好ましいのは紫外線と電子線である。
【0070】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を紫外線照射で硬化させる場合は、種々の紫外線照射装置〔例えば型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製〕、光源としてはキセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等を使用することができる。紫外線の照射量は、通常10〜10,000mJ/cm2、組成物の硬化性および硬化物(硬化膜)の可撓性の観点から好ましくは100〜5,000mJ/cm2である。
【0071】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を電子線照射で硬化させるに際しては、種々の電子線照射装置[例えばエレクトロンビーム、岩崎電気(株)製]を使用することができる。電子線の照射量は、通常0.5〜20Mrad、組成物の硬化性の観点から好ましい下限は1Mrad、硬化物の可撓性、並びに硬化物(コーティング膜)または基材の損傷を避けるとの観点から、好ましい上限は15Mradである。
【0072】
本発明の組成物は、通常、活性エネルギー線(紫外線、電子線、X線等)により硬化させるが、必要により熱硬化触媒を含有させた場合は熱で硬化させることができる。
【0073】
本発明の硬化物のガラス転移点は、硬化物の経時的な変形性および強靭性の観点から通常、40〜60℃、好ましくは45〜55℃である。
【0074】
本発明の組成物は、基材のコーティング剤、接着剤、シーリング材などとして使用することができる。適用される基材としては、特に限定はされないが、例えば紙、プラスチック、ガラスおよび金属が挙げられる。具体的には、紙(例えば薄葉紙、紙間強化紙、チタン紙、ラテックス含浸紙および石膏ボード用原紙)、プラスチック[プラスチックフィルム(塩化ビニル、ポリエステル、ポリプロピレンおよびポリメチルメタクリレート等のフィルム)、プラスチック板(ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートおよびメチルメタクリレート/スチレン共重合物等の板)等]、ガラス板、銅板、鉄板等が挙げられる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0076】
製造例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、数平均分子量1000のポリテトラメチレングリコール[商品名:PBG−1000M、三菱ガス化学(株)製]410部、イソホロンジイソシアネート[商品名:VEATANAT、デグサジャパン社(株)製]182部、およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)(2−エチルヘキサン酸50%溶液)1.2部仕込み、110℃で6時間反応させ、その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート[商品名:ライトエステルHOA、共栄社化学(株)製]106部を加え、80℃で3時間反応させてウレタンアクリレート(A−1)を得た。(NCO含量:0.1%)
【0077】
製造例2
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのPO2モル付加物[商品名:ニューポールBP−2P、三洋化成工業(株)製]116部、キシリレンジイソシアネート[商品名:タケネート500、三井武田ケミカル(株)製]73部、およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)1.2部仕込み、80℃で6時間反応させ、その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート12部を加え、80℃で3時間反応させてウレタンアクリレート(B−1)を得た。(NCO含量:0.1%)
【0078】
比較製造例1
撹拌機、冷却管および温度計を備えた反応容器に、数平均分子量1000のポリプロピレングリコール[商品名:サンニックスPP−1000、三洋化成工業(株)製]410部、イソホロンジイソシアネート182部、およびウレタン化触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)1.2部仕込み、110℃で6時間反応させ、その後2−ヒドロキシエチルアクリレート106部を加え、80℃で3時間反応させ、比較例のためのウレタンアクリレート(A’−1)を得た。(NCO含量:0.1%)
【0079】
実施例1〜3、比較例1〜3
表1の配合組成にしたがってディスパーザーで混合撹拌し、実施例1〜3、比較例1〜3の樹脂組成物を得た。実施例、比較例ではいずれも成分を一括配合し、均一混合して組成物を作成した。
【0080】
【表1】

【0081】
なお、表中の配合成分の記号は下記の通りである。
(D−1):フェニルケトン系重合開始剤[商品名:イルガキュア184、チバジャパン(株)製]
(D−2):ホスフィンオキサイド系重合開始剤[商品名:DAROCURE TPO、チバジャパン(株)製]
(E−1):ビスフェノールAのエチレンオキサイド4モル付加物ジアクリレート[商品名:ネオマーBA−641、三洋化成工業(株)製]
【0082】
上記の樹脂組成物について、反応率、加熱後の変形率、光照射後のイエローインデックス変化率、折曲げ試験について評価した。結果を表1に示す。
【0083】
(1)反応率
厚み50μmのセロハンテープを2枚重ねて貼ったガラス板に樹脂組成物を塗布した(樹脂膜厚は約100μm)。
次に、表面を化学処理して密着性を高めたPETフィルム[商品名:コスモシャインA4300、東洋紡(株)製、厚さ100μm]を、上記ガラス板に塗工した樹脂組成物の上から空気が入らないように押さえて、積層圧着した。
これに紫外線照射装置[商品名:VPS/I600、フュージョンUVシステムズ(株)製、以下同じ]を用いて1000mJ/cmの紫外線を照射して硬化フィルムを得た。
この硬化物からガラス板だけを剥がし、得られた硬化フィルムの表面を、赤外線分光光度計にて積分回数16回で測定し、スペクトルチャートを得た。
カルボニル部位(1610cm−1)の振動強度とアクリル二重結合部位(808cm−1)の振動強度の相対比から反応率を算出した。
【0084】
(2)加熱後の変形率
(1)と同じ方法でPETフィルムに密着した樹脂硬化物を得た。
この樹脂硬化物をガラス板から剥離後、0.5cm×0.5cm正方形にカットしレーザー顕微鏡[機器名:VK−8710 キーエンス(株)社製]で周囲長を測定した。次にサンプルを10mLのスクリュー菅に入れ、80℃にセットされた循風乾燥機に投入した。
250時間経過、サンプルを取り出し、室温にまで冷却後、レーザー顕微鏡にて周囲長を測定し、変化率を算出した。
【0085】
(3)光照射後のイエローインデックス(YI)変化率
厚み50μmのセロハンテープを2枚重ねて貼ったガラス板に樹脂組成物を塗布した(樹脂膜厚は約100μm)。
次に、表面を化学処理して密着性を高めたPETフィルム[商品名:コスモシャインA4300、東洋紡(株)製、厚さ100μm]を、上記ガラス板に塗工した樹脂組成物の上から空気が入らないように押さえて、積層圧着した。さらにこの積層物に紫外線照射装置を用いて1000mJ/cmの紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。
(1)と同じ方法でPETフィルムに密着した樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物をガラス板から剥離後、色度計(日本電色工業社製A−300)を用いてJIS Z8722に準拠してYIを測定した。
次に本サンプルを耐光性試験機[アイスーパーUVテスター SUVW131 岩崎電機社製]に投入し、50℃、500W/m、3時間紫外線を照射後、再度JIS Z8722に準拠してYIを測定し、耐光性試験前後の変化率を算出した。
【0086】
(4)折り曲げ試験
厚み250μmのテープを2枚重ねて貼ったガラス板に樹脂組成物を塗布した(樹脂膜厚は約500μm)。次に、表面を化学処理して密着性を高めたPETフィルム[商品名:コスモシャインA4300、東洋紡(株)製、厚さ100μm]を、上記ガラス板に塗工した樹脂組成物の上から空気が入らないように押さえて、積層圧着した。さらにこの積層物に紫外線照射装置を用いて1000mJ/cmの紫外線を照射して樹脂組成物を硬化させた。
厚み250μmのテープを2枚重ねて厚みを約500μmに代えた以外は(1)と同じ方法でPETフィルムに密着した樹脂硬化物を得た。この樹脂硬化物をガラス板から剥離後、フィルムを一気に180度の角度まで折り曲げた。硬化物にヒビが入らないものを○、硬化物にヒビが入ったものを△、硬化物にヒビが入りされに割れた破片が飛び散ったものを×として評価した。
【0087】
表1の結果から、本発明の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を硬化させてなる硬化物(膜)は経時での変形、色度変化が生じず、かつ強靭性が高い硬化物を与える活性エネルギー線硬化型樹脂組成物に関する。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明の組成物を硬化させてなる硬化物は、経時での変形、色度変化が生じず、かつ強靭性が高いことから、光学部材(プラスチックレンズ、プリズム、光ファイバー等)、電気・電子部材(フレキシブルプリント配線板用ソルダーレジスト、メッキレジスト 、多層プリント配線板用層間絶縁膜、感光性光導波路等)、紙やプラスチック等のコーティング剤として幅広く用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子内にポリオキシテトラメチレン基を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)、分子内に芳香環を含有する2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)、および分子内に芳香環を含有する単官能(メタ)アクリレート(C)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項2】
該ポリオキシテトラメチレン基含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)が、ポリオキシテトラメチレングリコール(a)とポリイソシアネート(b)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(c)と、水酸基含有(メタ)アクリレート(d)とのウレタン化反応から形成されるポリオキシテトラメチレン基含有ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項3】
該芳香環含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(B)が、芳香族含有ポリオール(e)とポリイソシアネート(b)を反応させて得られるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(f)と、水酸基含有(メタ)アクリレート)(d)とのウレタン化反応から形成される芳香環含有ウレタン(メタ)アクリレートである請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項4】
該芳香環含有単官能(メタ)アクリレート(C)が、下記一般式(1)で表される請求項1〜3いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【化1】

[式中、Rは水素原子またはCHを表す。Xは、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、COOH、またはCOOCHCHOHを表す。Yは2価の芳香環を表す。Zは、炭素数1〜20のアルキレン基またはポリオキシアルキレン基を表す。]
【請求項5】
樹脂組成物中のポリオキシテトラメチレン基含有量が3〜40重量%である請求項1〜4いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項6】
(A)、(B)、および(C)の合計重量に基づいて、該ポリオキシテトラメチレン基含有2官能ウレタン(メタ)アクリレート(A)を5〜50重量%含有する請求項1〜5いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、光重合開始剤(D)を含有する請求項1〜6いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか記載の活性エネルギー線硬化型樹脂組成物を、基材に塗布し、活性エネルギー線を照射して硬化させて得られ、そのガラス転移温度が40〜60℃であることを特徴とする樹脂硬化物。

【公開番号】特開2010−222500(P2010−222500A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72805(P2009−72805)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】