説明

活性炭熱再生カートリッジ

【課題】加締め固定することなくヒータを容器底板に均等に固定接触させることができると共にサーミスタも同時に固定させることができ、伝熱効率と温度制御性能が優れ、しかも、組立て工数を低減した活性炭熱再生カートリッジを提供する。
【解決手段】容器20内部に収納されている活性炭10に通水することで水を浄化するとともに、容器20を外部より加熱手段30で加熱することで活性炭10を加熱再生する活性炭熱再生カートリッジ1において、加熱手段30が容器20に係合により締結するストッパプレート50で容器底板26との間に挟持固定され、容器底板26に接触させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内部に収納されている活性炭に通水することで水を浄化するとともに、容器を外部より加熱手段で加熱することで前記活性炭を加熱再生し、長期間に亘って活性炭の吸着能力を維持した活性炭熱再生カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
水道水を容器内部に収納されている活性炭に接触させ、水道水に含まれている残留塩素や有機塩素化合物等を活性炭に吸着除去するカートリッジが使用されているが、除去された前述の物質が活性炭に付着しているとカートリッジ不使用時に活性炭にバクテリアが発生し衛生的でないため、下記特許文献1においては、放熱板に支持されたヒータを容器底板に螺合により締結し容器を加熱し、活性炭を加熱再生することが提案されている。
【0003】
この方法だと、放熱板に支持されたヒータを容器底板に螺合により固定し接触させるので、容器底板が変形し伝熱効率が悪いという不具合点があったので、下記特許文献2では、上側の支持板を容器底板にロウ付けにより接着させた後に、ヒータを挟むようにして下側の支持板を上側の指示板に加締め固定することで、ヒータを容器底板に接触させることが提案されている。
【0004】
しかし、ヒータの全面を均等に容器底板に接触させるように内外周を加締め固定する加工が困難であり、また加締め過ぎるとヒータを押圧し破損させてしまうとの不具合点があった。更に、上側の支持板を容器底板にロウ付にて接着させる必要があると共に、サーミスタを別に固定する必要があり、加工工数が増加するという不具合点があった。
【0005】
【特許文献1】特開平06−339677号公報
【特許文献2】特開平10−015541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上の問題点を解決するために為されたものであって、その目的とするところは、加締め固定することなくヒータを容器底板に均等に接触させることができると共にサーミスタも同時に固定することができ、伝熱効率と温度制御性能が優れ、しかも、組立て工数を低減した活性炭熱再生カートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1にかかる活性炭熱再生カートリッジは、容器内部に収納されている活性炭に通水することで水を浄化するとともに、前記容器を外部より加熱手段で加熱することで前記活性炭を加熱再生する活性炭熱再生カートリッジにおいて、前記加熱手段が前記容器に係合により締結するストッパプレートで前記容器底板との間に挟持固定されることで、前記容器底板に接触することを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の請求項2にかかる活性炭熱再生カートリッジは、請求項1に記載の活性炭熱再生カートリッジであって、前記加熱手段は、ヒータと該ヒータを上下で挟持する支持板とを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の請求項3にかかる活性炭熱再生カートリッジは、請求項1または2に記載の活性炭熱再生カートリッジであって、前記容器の温度を検出するサーミスタが加熱手段と共に前記ストッパプレートで前記容器底板との間に挟持固定されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、以下の効果を奏する。
【0011】
すなわち、上記構成を備えた本発明の活性炭熱再生カートリッジは、ストッパプレートを容器に係合により締結させることで、過熱手段を容器底板に均等に接触させるように固定することができるので、熱を容器に伝え易くすることができ伝熱効率を上げることができる。
【0012】
また、ストッパプレートは容器に係合により締結するので、ストッパプレートと容器底板との間隔が一定となり加熱手段を押圧する位置が規制され、加熱手段を破損することなく挟持固定することができる。更に、ストッパプレートにより過熱手段をワンタッチで容器底板との間に挟持固定することができると共に、ストッパプレートの取り外しが容易であるのでヒータ等の交換を容易に行うことができる。
【0013】
更に加えるに、請求項3に記載の活性炭熱再生カートリッジは、サーミスタを加熱手段と共にストッパプレートで容器底板との間に容易に挟持固定することができるので温度制御性能に優れると共に、ストッパプレートの取り外しが容易であるのでサーミスタの交換を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示して説明する。
【0015】
活性炭熱再生カートリッジ1は、例えば水道水を処理するアルカリイオン整水機等の水処理装置に用いられるものであって、この水処理装置は図1に示す説明図の通り、初めに膜モジュール2により水道水に浮遊する粒子成分を処理し、次に活性炭熱再生カートリッジ1により水道水中に溶存する残留塩素等の物質を活性炭の吸着作用により除去し、最後に電解槽3により使用者の要求に応じ電気分解して酸性水やアルカリ性水を生成するものである。
【0016】
本発明が適用された活性炭熱再生カートリッジの実施例として、図2に分解斜視図、図3にそれらを組み立てたときの要部断面図を示す。この活性炭熱再生カートリッジ1は、活性炭10と、活性炭10を収納している容器20と、加熱手段30と、サーミスタ40と、ストッパプレート50と、を備えている。
【0017】
活性炭10は、活性炭炭素繊維を耐熱性バインダーで成形したものであって、後述する容器20の中央に配置されるインナーチューブ4によって容器内に固定される。
【0018】
容器20は、ステンレス鋼板等の金属製で成形された有底円筒形状であって、開口部21の周囲に形成されたフランジ部22は、間にシール材を挟んでカバー周縁部6と共に折り曲げられカシメ固定されるようになっている。また容器筒部25の容器底板26側端部の外周側には、後述するストッパプレート50が係合するための凹部27が円周状に形成され、容器底板26の中央には、ストッパプレート50の突出部55が嵌合するための中央凹部28がカバー5側に凹んで設けられている。
【0019】
加熱手段30は、ドーナツ状の平板のヒータ31と、そのヒータ31を上下に挟持するドーナツ状の平板の上側支持板32と下側支持板33とを備え、中心には容器底板26の温度を検出するサーミスタ40を装着するための中空部34が形成されていて、中空部34の内径の大きさは、容器底板26の中央凹部28の内径と略同じ大きさである。
【0020】
ストッパプレート50は、ステンレス鋼板等の金属製で成形された有底円筒形状であって、筒部51の内径は、容器底板6を覆うことができるように容器筒部25の外径より僅かに大きく成形されている。開口部52側の端部であって筒部51の内周側には、容器筒部25の外周側に形成された凹部27と係合する凸部53が円周状に形成されている。これによりストッパプレート50の筒部51の凸部53と容器筒部25の凹部27とを係合により締結したとき、底板54と容器底板26との間にヒータ31と支持板(32,33)を備えた過熱手段30を挟持固定できる程度の周方向に均等な空間が形成される。また、底板54には、ヒータ31と支持板(32,33)の中空部34を嵌挿し、容器底板26の中央凹部28に嵌合する中央にサーミスタ40が挿通する穴部56を有する開口部52側に突出した突出部55が設けられている。
【0021】
したがって、上記構成において、加熱手段30を容器底板26に接触させた状態で固定するには、ストッパプレート50の底板54の内部側に上側支持板32と下側支持板33とで挟持されているヒータ31を備えた加熱手段30を載置し、その加熱手段30の中空部34にサーミスタ40を装着し、この状態でストッパプレート50を容器20に締結させることにより行う。
【0022】
この場合にストッパプレート50の筒部51の内周側に形成されている凸部53と容器20の筒部25に形成されている凹部27を係合させることにより、ストッパプレート50を容器20に締結させるので、容器底板26とストッパプレート50の底板54の間隔が周方向に均一となり、加熱手段30を周方向に均一に容器底板26に接触させることが可能になると共に、加熱手段30を均等に挟持固定するのでヒータ31が破損するのを防止することが可能となる。
【0023】
また、ストッパプレート50を係合により容器20に締結させることにより加熱手段30及びサーミスタ40を挟持固定するので、ストッパプレート50の取り外しが容易となり、加熱手段30及びサーミスタ40の交換等のメインテナンスが容易となる。
【0024】
なお、本実施例では、容器筒部25に凹部27を形成し、ストッパプレート50の筒部51に凸部53を形成したが、逆に容器筒部25に凸部を形成し、ストッパプレート50の筒部51に凹部を形成してもよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】水処理装置の説明図
【図2】本発明に係る活性炭熱再生カートリッジの斜視図
【図3】本発明に係る活性炭熱再生カートリッジの要部断面図
【符号の説明】
【0026】
1 活性炭熱再生カートリッジル
4 インナーチューブ
5 カバー
10 活性炭
20 容器
21,52 開口部
22 フランジ部
25,51 筒部
26,54 底板
27 凹部
30 加熱手段
31 ヒータ
32,33 支持板
34 中空部
40 サーミスタ
50 ストッパプレート
53 凸部
55 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内部に収納されている活性炭に通水することで水を浄化するとともに、前記容器を外部より加熱手段で加熱することで前記活性炭を加熱再生する活性炭熱再生カートリッジにおいて、
前記加熱手段が前記容器に係合により締結するストッパプレートで前記容器底板との間に挟持固定されることで、前記容器底板に接触することを特徴とする活性炭熱再生カートリッジ。
【請求項2】
請求項1に記載の活性炭熱再生カートリッジであって、
前記加熱手段は、ヒータと該ヒータを上下で挟持する支持板とを備えていることを特徴とする活性炭熱再生カートリッジ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の活性炭熱再生カートリッジであって、
前記容器の温度を検出するサーミスタが加熱手段と共に前記ストッパプレートで前記容器底板との間に挟持固定されていることを特徴とする活性炭熱再生カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−245076(P2007−245076A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74813(P2006−74813)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】