活性部位プローブとしての不可逆的カスパーゼ3インヒビター
本発明は、カスパーゼ活性部位プローブとして有用な式(I)の化合物を含む。これらのプローブは、種々の病状の動物モデルの組織内または細胞内でカスパーゼが活性化されているかどうかを判定するために使用することが可能である。さらに、競合に基づくアッセイにより、これらのカスパーゼ活性部位プローブは、活性カスパーゼが他の未標識インヒビターにより占拠されている割合を算出するために使用することが可能である。
【化14】
【化14】
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
アポトーシスは、組織化され秩序だった様態で細胞が分解される細胞死の一形態である。アポトーシスは、ほとんどの場合、細胞の恒常性に必要な正常な過程である。しかし、多数の病状が、過多または過少の異常細胞死を示す。したがって、薬剤でアポトーシスを調節し患者の健康の改善をもたらすことに多大な関心が持たれている。
【0002】
アポトーシス中に見られる細胞形態学的変化の多くは、カスパーゼと称されるシステインプロテアーゼにより引き起こされる。これらの酵素は休眠形態ですべての細胞型に存在し、アポトーシスプログラムの開始後のタンパク質分解プロセシングにより活性化される。活性カスパーゼは、2つの20kDaサブユニットと2つの10kDaサブユニットとのヘテロ四量体よりなり、活性部位システインは該20kDaサブユニット上に位置する。カスパーゼは常に、短く比較的保存されたコンセンサス配列に先行するアスパラギン酸残基の後で、それらのタンパク質基質を切断する。カスパーゼの、ほとんどの薬理学的インヒビターは、アスパラギン酸を含有する短いペプチド様分子であり、細胞内でアポトーシスを阻害することが示されている。カスパーゼの阻害に基づく治療に関する重要な考慮点は、治療利益を達成するためにインヒビターにより占拠される必要のあるカスパーゼ活性部位の割合である。本発明は、活性部位システインに不可逆的に結合する標識されたカスパーゼプローブを記載する。これらのプローブは、種々の病状の動物モデルの組織内または細胞内でカスパーゼが活性化されているかどうかを判定することを可能にする。さらに、競合に基づくアッセイにより、これらのカスパーゼ活性部位プローブは、活性カスパーゼが他の未標識インヒビターにより占拠されている割合を算出するのを可能にする。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、カスパーゼ活性部位プローブとして有用な式I
【0004】
【化4】
の化合物を含む。これらのプローブは、種々の病状の動物モデルの組織内または細胞内でカスパーゼが活性化されているかどうかを判定するために使用することが可能である。さらに、競合に基づくアッセイにより、これらのカスパーゼ活性部位プローブは、活性カスパーゼが他の未標識インヒビターにより占拠されている割合を算出するために使用することが可能である。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、式I:
【0006】
【化5】
[式中、
Xはハロであるか、または
Xは−O−W−Zであり、ここで、Wは結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり;
Zは、
(1)H、
(2)C1−11アルキル、
(3)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、
(4)フェニルまたはナフチル、および
(5)HET1(ここで、HET1は、O、SおよびNから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜10員の単環式もしくは二環式の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゼン縮合類似体を表す。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(2)、(3)および(5)は、所望により、1〜2個のオキソ基により置換されていてもよく、
前記の基(2)〜(5)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジル
(k)ベンジルオキシ、および
(l)O、SおよびNよりなる群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5または6員の芳香族または非芳香族環
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により更に置換されていてもよく、
前記の基(d)〜(g)は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルコキシから選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
前記の基(h)〜(l)は、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
基(4)は、その最大限度までハロ基により、所望により更に置換されていてもよく;
R2は、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はフェニルまたはC1−10アルキルであり、該C1−10アルキルは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)であり;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物を含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、Xがハロである式Iの化合物を含む。
【0008】
本発明のもう1つの実施形態は、Xが−O−W−Zである式Iの化合物を含む。この実施形態においては、Zは、
(1)C1−11アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)フェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、ここで、前記の基(1)〜(3)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジルおよび
(k)ベンジルオキシ
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。
【0009】
本発明のもう1つの実施形態は、R3がメチルである式Iの化合物を含む。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態は、R2および各R4が水素である式Iの化合物を含む。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態は、R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれる、式Iの化合物を含む。
【0012】
本発明のもう1つの実施形態は、
Xがハロまたは−O−W−Zであり、
Wが結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり、
Zが、
(1)1〜3個のハロ基により、所望により置換されていてもよいC1−6アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の基により、所望により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、
R3がメチル、エチルまたはフェニルであり、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、C5−7シクロアルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、式Iの化合物を含む。
【0013】
本発明のもう1つの実施形態は、式II:
【0014】
【化6】
[式中、
Xはハロである;
R1およびR2は、それぞれ独立して、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はC1−10アルキルであり、これは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)である;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物を含む。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態は、
R1が、
(1)ハロ、
(2)C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ(これらはそれぞれ、所望により、オキソおよび1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)、および
(3)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、これは、独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、式IIの化合物を含む。
【0016】
この実施形態においては、HET3は、所望によりC1−4アルキルにより置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾールである。
【0017】
本発明は、哺乳動物の細胞または組織を式Iの化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法をも含む。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態は、哺乳動物の細胞または組織を式IIの化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法をも含む。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態は、
1)サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターを細胞損傷の動物モデルに投与すること、
2)該動物を安楽死させ、該損傷細胞を摘出すること、
3)該損傷細胞をエクスビボ(ex vivo)で式Iの化合物と接触させること、
4)式Iの化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
5)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定することを含んでなる、細胞損傷の動物モデルにおいて、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法を含む。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態は、
1)細胞培養を、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターと接触させること、
2)該細胞培養を式Iの化合物と接触させること、
3)式Iの化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
4)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定することを含んでなる、細胞培養内で、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法を含む。
【0021】
本発明は、式Iの化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキットをも含む。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態は、式IIの化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキットをも含む。
【0023】
本発明は、5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4−オキソペンタン酸またはその塩、エステルもしくは水和物である放射能標識化合物をも含む。
【0024】
本発明は、以下の表から選ばれる放射能標識化合物またはそれらのいずれかの塩、エステルもしくは水和物をも含む。
【0025】
【表2】
【0026】
本明細書のこの目的においては、「細胞または組織を接触させる」なる表現は、本発明の化合物をカスパーゼ3酵素と接触させそれに結合させることを意味する。動物モデルにおいては、該表現は、本発明の化合物を、例えばi.c.v.注射により、該動物に投与することを含む。
【0027】
「活性カスパーゼ3を検出」なる表現は、カスパーゼ3を、それに結合した標識化合物により検出することを意味する。本発明の化合物を検出するための方法は当技術分野でよく知られており、後記の方法において例示される。例えば、I125で標識された本発明の化合物をオートラジオグラフィーにより検出することが可能である。
【0028】
本明細書の目的においては、アルキルは、特に示さない限り1〜20個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状構造体およびそれらの組合せを意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、エイコシル、3,7−ジエチル−2,2−ジメチル−4−プロピルノニルなどが含まれる。
【0029】
シクロアルキルは、所望により直鎖状または分枝状構造体と組合されていてもよい、特に示さない限り1〜20個の炭素原子を含有する環状構造体を意味する。シクロアルキル基の具体例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどが含まれる。
【0030】
アルコキシは、直鎖状、分枝状または環状配置の、特に示さない限り1〜10個の炭素原子のアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の具体例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどが含まれる。
【0031】
アルキルチオは、直鎖状、分枝状または環状配置の、特に示さない限り1〜10個の炭素原子のアルキルチオ基を意味する。アルキルチオ基の具体例には、メチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなどが含まれる。例えば、プロピルチオ基は−SCH2CH2CH3を意味する。
【0032】
ハロには、F、Cl、BrおよびIが含まれる。
【0033】
HET1の具体例には、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、チアゾールおよびオキサゾールが含まれる。
【0034】
HET2の具体例には、ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−ピロリジノン、ピリジンおよびピリミジンが含まれる。
【0035】
HET3の具体例には、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、チオフェン、ピロール、ピリジン、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールおよび1,3,4−トリアゾールが含まれる。
【0036】
本明細書の目的においては、以下の略語は、以下に示す意義を有する。
AcOH = 酢酸、
Alloc = アリルオキシカルボニル、
APCI = 大気圧化学イオン化、
BOC = t−ブチルオキシカルボニル、
CBZ = カルボベンゾキシ、
DCC = 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、
DIBAL = ジイソブチルアルミニウムヒドリド、
DIEA = N,N−ジイソプロイルエチルアミン、
DMAP = 4−(ジメチルアミノ)ピリジン、
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド、
EDCI = 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、
EDTA = エチレンジアミン四酢酸 四ナトリウム塩水和物、
ESI = エレクトロスプレーイオン化、
FAB = 高速原子衝撃、
FMOC = 9−フルオレニルメトキシカルボニル、
HMPA = ヘキサメチルホスホルアミド、
HATU = O−(7−アザベンゾトリアゾール−l−イル)N,N,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、
HOBt = l−ヒドロキシベンゾトリアゾール、
HRMS = 高分解能質量分析、
ICI = 一塩化ヨウ素、
IBCF = イソブチルクロロホルマート、
KHMDS = カリウムヘキサメチルジシラザン、
LDA = リチウムジイソプロピルアミド、
MCPBA = メタクロロ過安息香酸、
Ms = メタンスルホニル = メシル、
MsO = メタンスルホナート = メシラート、
NBS = N−ブロモスクシンイミド、
NMM = 4−メチルモルホリン、
NMO = 4−メチルモルホリン N−オキシド、
PCC = ピリジニウムクロロクロマート、
PDC = ピリジニウムジクロマート、
Ph = フェニル、
PPTS = ピリジニウム p−トルエンスルホナート、
pTSA = p−トルエンスルホン酸、
r.t. = 室温、
rac. = ラセミ体、
TFA = トリフルオロアセタート、
TfO = トリフルオロメタンスルホナート = トリフラート、
TLC = 薄層クロマトグラフィー、
TPAP = テトラプロピルアンモニウム ペルルテナート。
【0037】
アルキル基の略語:
Me = メチル、
Et = エチル、
n−Pr = ノルマルプロピル、
i−Pr = イソプロピル、
n−Bu = ノルマルブチル、
i−Bu = イソブチル、
s−Bu = 第二級ブチル、
t−Bu = 第三級ブチル。
【0038】
L−アミノ酸および略語:
【0039】
【化7】
【0040】
本明細書に記載の化合物は、純粋な形態の塩、エナンチオマー、エステルおよび水和物ならびにそれらの混合物を包含すると意図される。また、窒素原子が存在する場合には、窒素原子の原子価を満足させるのに十分な水素原子が存在すると理解される。
【0041】
後記においてはキラル構造が示されているが、示されているもの以外のエナンチオマーを合成スキームに代入することにより、あるいは、エナンチオマーの混合物をスキームに代入することにより、異なる異性体またはラセミ混合物を得ることが可能である。したがって、すべてのそのような異性体および混合物が本発明に含まれる。
【0042】
記載されている化合物は、典型的には、不斉中心を含有し、したがって、ジアステレオマーおよび光学異性体が存在しうる。本発明は、そのような可能なジアステレオマーおよびそれらのラセミ体、ならびに光学分割されたエナンチオ的に純粋な形態およびそれらの医薬上許容される塩を含むと意図される。
【0043】
本明細書に記載の化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含有し、特に示さない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むと意図される。
【0044】
本発明の化合物を投与するために、医薬組成物を使用することが可能である。そのような医薬組成物は式Iまたは式IIの化合物と、医薬上許容される担体、および場合によっては他の治療成分とを含む。「塩」なる語は、無機塩基および有機塩基を含む医薬上許容される塩基から製造された塩を意味する。無機塩基に由来する代表的な塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン酸、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬上許容される有機塩基に由来する代表的な塩には、第一級、第二級および第三級アミン、置換アミン、例えば天然に存在する置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。
【0045】
本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機酸および有機酸を含む医薬上許容される無毒性酸から製造されうる。そのような酸の具体例には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0046】
式Iまたは式IIの化合物の用量の大きさは、もちろん、試験されているモデルおよび個々の式Iの化合物に応じて様々となろう。本発明において使用する化合物の代表的な量は、後記の実施例において例示されている。該化合物の適当な量が用いられる。
【0047】
本発明の化合物の投与を行うためには、任意の適当な投与経路を用いることが可能である。例えば、経口、非経口および局所経路を用いることが可能である。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、水剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などが含まれる。
【0048】
該組成物には、経口、非経口および眼内経路に適した組成物が含まれる。それらは、単位投与形として簡便に提供され、薬学の分野でよく知られた任意の方法により製造されうる。
【0049】
実際の使用においては、通常の医薬調剤技術に従い、式Iまたは式IIの化合物を有効成分として、医薬担体と密接に混合させることが可能である。該担体は、投与に望ましい製剤化の形態に応じて多種多様な形態をとりうる。経口剤形用の組成物の製造においては、例えば懸濁剤、エリキシル剤および水剤のような経口液体製剤の場合には、例えば水、アルコール、油、香味剤、保存剤、着色剤などのような通常の任意の医薬媒体を、また、例えば散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固体製剤の場合には、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体を使用することが可能であり、固体経口製剤が液体製剤より好ましい。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのため、最も有利な経口単位投与形を代表し、この場合には、明らかに、固体医薬担体を使用する。所望により、標準的な水性または非水性技術により錠剤をコーティングすることが可能である。
【0050】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、所定量の有効成分をそれぞれが含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような分離した単位として、あるいは散剤または顆粒剤として、あるいは水性液体、非水性液体、水中油エマルションまたは油中水エマルション中の水剤または懸濁剤として提供されうる。そのような組成物は、任意の薬学的方法により製造することが可能であるが、すべての方法は、1以上の必要成分を構成する担体と有効成分とを接触させる工程を含む。一般には、該組成物は、液体担体または細かく分割された固体担体またはそれらの両方と有効成分とを均一かつ密接に混合し、ついで必要に応じて、該産物を、所望の外観に成型することにより製造する。例えば、錠剤は、場合によっては1以上の補助成分と共に、圧縮またはすりこみにより製造することが可能である。圧縮錠剤は、場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒のような自由流動形態の有効成分を、適当な装置中で圧縮することにより製造することが可能である。すりこみ錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適当な装置中ですりこむことにより製造することが可能である。
【0051】
合成方法
本発明の実施例1は、以下の合成スキームに従い合成することが可能である。
【0052】
【化8】
【0053】
本発明の化合物は、前記スキームと同様の方法により当業者により製造されうる。
【0054】
代表的な実施例
本発明を例示するのは以下の化合物である。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4− オキソペンタン酸(29):
【0056】
【化9】
【0057】
工程1:(5−ヨード−2−メトキシフェニル)酢酸(21):
20mlの2:1:1 THF:MeOH:水中のメチル(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセタート(0.92g,3mmol)の溶液に水酸化リチウム(8mmol)を加え、該溶液を2時間攪拌した。ついで該反応を1N HCl(8mLの1M 水溶液、8mmol)でクエンチし、ついでEtOAcで抽出した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、40〜100% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、0.9gの21を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 10.9(br s,1H),7.6(s,2H),6.8(m,1H),3.8(s,3H),3.6(s,2H)。
【0058】
工程2:N−[(1S)−1−アセチル−2−メチルプロピル]−2−(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセトアミド(22):
50mLのCH2Cl2中の21(0.9g,3mmol)の溶液にL−バリン tert−ブチルエステル塩酸塩(0.84g,4mmol)、EDCI(0.86g,4.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.6mL,9.0mmol)を順次加え、ついで3時間攪拌した。ついで該反応を1N HCl(10mLの1M 水溶液、10mmol)でクエンチし、ついでEtOAcで抽出した。ついで、合わせた抽出物を飽和NaHCO3、ついでブラインで洗浄した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1.0gの22を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(m,2H),7.0(bd,1H),6.8(d,1H),4.3(dd,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.1(m,1H),1.4(s,9H),0.95(d,3H),0.9(d,3H)。
【0059】
工程3:N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリン(23):
10mLのCH2Cl2中の22(1.0g,2.2mmol)に10mLのTFAを加えた。該溶液を2時間攪拌し、ついで真空中で濃縮した。生成物が沈殿するまで、該粗油にエーテルを加えた。有機層をデカントし、該固体をポンプ(pumped)乾燥させて、0.9gの23を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(m,2H),6.8(d,1H),4.5(dd,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.2(m,1H),0.95(d,3H),0.9(d,3H)。
【0060】
工程4:N1−(1−エチル−3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−N2−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリンアミド(25)
5mLのDMF中の24(391mg,1.0mmol)にtert−ブチル 3−アミノ−2,3,5−トリデオキシ−5−フルオロペントナート(Tetrahedron Letters 1994,35.52,9693における公知手順で製造したもの)(170mg,0.82mmol)、HATU(380mg,1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.6mL,9.0mmol)を加え、該溶液を3時間攪拌した。水を加え、該溶液をEtOAcで抽出した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、250mgの25を4つのジアステレオマーの混合物として無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(d,2H),7.4−6.9(d,1H),6.8(m,1H),4.8−4.65(d,1H),4.6−4.1(m,3H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.7−2.4(m,2H),2.1(m,1H),1.4(s,9H),0.95(m,6H)。
【0061】
工程5:N’−(1−エチル−3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−N2−{[2−メトキシ−5−(トリブチルスタンニル)フェニル]アセチル}−L−バリンアミド(26)
5mLのトリエチルアミン中の25(116mg,0.2mmol)の溶液にPd(OAc)2(10mg,0.044mmol),Pd(PPh3)4(25mg,0.022mmol)を50℃で加え、ヘキサブチル二スズ(0.2mL,0.4mmol)を加え、得られた溶液を100℃に加熱し、2時間攪拌した。ついで該溶液を冷却し、セライトのパッドでエーテルと共に濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、70mgの25を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(d,1H),7.3(m,2H),7.0(m,1H),6.8(m,1H),4.7−4.6(d,1H),4.5−4.1(m,3H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.7−2.4(m,2H),2.1(m,1H),1.5(m,18H),1.4(s,9H),1.0−0.8(m,9H),0.95(m,6H)。
【0062】
工程6:Nl−(1−エチル−3−フルオロ−2−オキソプロピル)−N2−{[2−メトキシ−5−(トリブチルスタンニル)フェニル]アセチル}−L−バリンアミド(27)
2mLのCH2Cl2中の26(10mg)の溶液にNMO(20mg)、ついでTPAP結晶を加え、得られた溶液を1時間攪拌した。該溶液を真空中で濃縮し、該化合物を、50% 酢酸エチル/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、10mgの27を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.8−7.7(d,1H),7.3(m,2H),7.2(m,1H),7.0(m,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.7(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.9−2.7(m,2H),1.6−0.8(m,42H)。
【0063】
工程7:N1−(1−エチル−3−フルオロ−2−オキソプロピル)−N2−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリンアミド(28)
0.2mLのDMF中の27(2mg)にヨウ化ナトリウム(0.1mLの水に溶解した5mCi)、ついでクロラミンT(0.2mLの1:1 DMF:水に溶解した2mg)を加えた。得られた溶液を2時間攪拌し、ついで分取HPLCにより直接的に精製した。非放射性化合物に関するデータを示す。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.1−7.7(d,1H),7.5(m,2H),7.2(d,1H),6.8(d,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.6(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(m,2H),2.9−2.6(m,2H),2.10(m,1H),1.4(s,9H),0.90(m,6H)。
【0064】
工程8:5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4−オキソペンタン酸(29)
5mLのCH2Cl2中の28(直前の実験からのもの)の溶液に2mLのTFAを加えた。該溶液を2時間攪拌し、ついで真空中で濃縮して29を得た。非放射性化合物に関するデータを示す。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.1−7.7(d,1H),7.5(m,2H),7.2(d,1H),6.8(d,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.6(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(m,2H),2.9−2.6(m,2H),2.10(m,1H),0.90(m,6H)。
【0065】
以下の実施例は、前記の合成方法および実施例1と同様の手順に従うことにより合成することが可能である。
【0066】
【表3】
【0067】
有用性
本発明の化合物は、種々のインビトロまたはインビボのアッセイまたはモデルにおけるカスパーゼ活性部位プローブとして有用である。例えば、本発明の化合物は以下のとおりに有用であろう。
【0068】
・カスパーゼ(精製されたもの及び細胞損傷の動物モデルからの組織タンパク質抽出物からのもの)のインビトロ標識、例えば、新生児ラットにおける低酸素症−虚血、ラットおよびマウスにおける盲腸結紮および穿刺、ラット、マウスまたはウサギにおける心筋梗塞のLCAOモデルにおけるもの。
【0069】
・インビトロでの可逆的カスパーゼインヒビターによるカスパーゼ活性部位占拠の測定。
【0070】
・細胞および血液における、例えば胸腺細胞、NT2、Jurkats、ラット白血球における活性カスパーゼの標識。
【0071】
・細胞培養、例えば胸腺細胞、Jurkats、NT2細胞における可逆的カスパーゼインヒビターによるカスパーゼ活性部位占拠の測定。
【0072】
・細胞損傷の動物モデル、例えば新生児ラットにおける低酸素症−虚血、マウスにおける盲腸結紮および穿刺誘発性腹膜炎におけるインビボでのカスパーゼ標識。
【0073】
・エクスビボでのカスパーゼインヒビターの動物への投与の後のカスパーゼ活性部位占拠の測定(例えば、CLPラット、胸腺細胞上で行うエクスビボ標識)。
【0074】
方法
特に示さない限り、以下の方法において使用する本発明の化合物の比活性は2000Ci/mmolである。
【0075】
本明細書の目的においては、M791なる表示は、以下の構造を有する化合物(3S)−5−(ベンジルチオ)−3−[(N−{[2−メトキシ−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]アセチル}−L−バリル)アミノ]−4−オキソペンタン酸を意味する。
【0076】
【化10】
この化合物の製造方法は、2001年5月1日付けで付与された米国特許第6,225,288号に開示されている。
【0077】
本明細書の目的においては、M867なる表示は、以下の構造を有する化合物(3S)−3−({(2S)−2−[5−tert−ブチル−3−{[(4−メチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)メチル]アミノ}−2−オキソピラジン−1(2H)−イル]ブタノイル}アミノ)−5−[メチル(ペンチル)アミノ]−4−オキソペンタン酸を意味する。
【0078】
【化11】
この化合物の製造方法は、2002年9月3日付けで付与された米国特許第6,444,811号に開示されている。
【0079】
本明細書の目的においては、[125I]−M808なる表示は実施例1の放射能標識カスパーゼインヒビターを意味する。M808なる表示は実施例1の対応未標識カスパーゼインヒビターを意味する。
【0080】
本明細書の目的においては、MF R280は抗ヒトカスパーゼ3抗体であり、MF467は抗ラットカスパーゼ3抗体である。MF R280はRoyら(2001)PNAS 98:6132−6137に記載されている。
【0081】
Ac−DEVD−AMC(AMC,アミノ−4−メチルクマリン)は以下の構造を有する。
【0082】
【化12】
この化合物は、以下のとおりに製造されうる:i)N−Ac−Asp(OBn)−Glu(OBn)−Val−CO2Hの合成、ii)Asp(OBn)−7−アミノ−4−メチルクマリンとのカップリング、iii)ベンジル基の除去。
【0083】
組織、細胞抽出物
組織(ラット肝臓、腎臓、脳、胸腺、マウス胸腺)をそれらの摘出の20分以内に凍結または加工した。ラット組織および培養細胞を、5mM DTTおよび完全プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)で補足された氷冷細胞溶解バッファー(50mM Tris−Cl pH7.5,2mM EDTA,1% NP−40)中でホモジナイズした。[125I]−M808を注射したマウスからの胸腺を、25μMのM808で補足された細胞溶解バッファー中でホモジナイズした。核残渣を13000rpmで10分間の遠心分離により除去し、可溶性画分をブラッドフォード(Bradford)アッセイ(Bio−Rad)により定量した。カスパーゼ3様活性を、Royら(2001)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 98:6132−6137に記載されているとおりに発蛍光性基質Ac−DEVD−AMCで測定した。
【0084】
胸腺細胞懸濁液
ラット胸腺細胞をその摘出の20分以内に加工した。2mlの氷冷胸腺細胞単離バッファー(PBS,2 mM グルコース,2mM L−グルタミン,1% FBS)を含有する50μM メディコン(Medicon)(Dako)およびメディマシン(Medimachine)(Dako)中、2×15秒パルスで該胸腺を破砕することにより、単個細胞懸濁液を得た。該細胞懸濁液を50μM ナイロンメッシュ(Becton−Dickinson)により濾過した。細胞を300g、4℃で10分間遠心分離し、10mlの低張性細胞溶解バッファー(17mM Tris−Cl pH 7.5;140mM NH4Cl)に懸濁させ、室温で10分間インキュベートした。胸腺細胞を300gで10分間の遠心分離によりペレット化し、FBSを含有する5〜10mlの胸腺細胞単離バッファーに懸濁させた。細胞を血球計算盤およびトリパンブルー染色により計数した。
【0085】
細胞培養
Jurkat細胞(ATCC#TIB−152)を、10% FBS、2mM L−グルタミンおよび抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)で補足されたRPMI1640中で維持した。カンプトテシン(Sigma;3g/ml)の添加により、CytoSf4培地(Kemp technologies)内で36時間飢餓させた細胞(1ml当たり100万個の細胞)上で、アポトーシスを誘導した。NT2細胞(ATCC 3813555)をDMEM + 10% FBS + 2mM L−グルタミンおよび抗生物質中で培養した。細胞培養内でカンプトテシン(5μg/ml)でアポトーシスを誘導した。
【0086】
2mM L−グルタミンおよびペニシリン−ストレプトマイシンおよび示されている濃度のカスパーゼインヒビターで補足されたCytoSF4中、ラット胸腺細胞を10×106細胞/mlの密度で24時間培養した。
【0087】
動物および手術法
雌Sprague−Dawleyラット(250〜300g;Charles River,St−Constant,Qc,Canada)およびND4マウス(20〜25gのHarlane Sprague−Dawley)を、食餌および水に自由に近づけるようにして、12時間の明/暗周期で収容した。すべての方法は、Merck and Co.の動物保護方針を遵守し適当な動物保護委員会(Animal Care Committee)の承認のもとで行った。盲腸結紮および穿孔のために、動物を2.5% イソフルランで麻酔し、温度調節加熱毛布の使用により体温を維持した。動物の腹壁に正中線切開を施し、盲腸を体外露出させた。回盲弁の近位においてナイロン(4−0)縫合により盲腸を結紮した。マウスにおいては、盲腸の遠位部分を貫通させる23g針を使用して盲腸の穿孔を行った。ラットの大腿静脈カニューレ挿入は鼡径部における小さな切開により行い、大腿静脈を単離した。ポリウレタンカテーテル(PU−C30,3 French,80cm,Instech Solomon)に接続されたシリコーン(Silicone)カテーテル(0.02”×0.037”、Lomir)を大静脈内に挿入し、頚部において体外露出させ、手術の間、クランプで固定した。カニューレ挿入の直後に、盲腸の結紮および穿孔を行った。これは、該体外露出盲腸の遠位部分に完全に貫通させる20gカニューレ(Abbott Ireland,Sligo.Rep.of Ireland)を使用して行った。編まれた絹(サイズ0)を該カニューレに通し、腹膜内への盲腸内容物の漏出が可能となるよう適所で結紮した。模擬操作動物においては、盲腸を体外露出させたが、盲腸の結紮も穿刺も行わなかった。腹壁をPDS(4−0)で縫合し、皮膚を外科用糊(マウス)またはクリップ(ラット)で縫合した。手術直後、すべての動物に1ccの0.9% 塩類液を皮下注射により投与した。ビヒクルまたは化合物(M867)の丸塊を静脈内カテーテルを介して投与し、この場合、それを2ml/時間/kgの運搬速度のMedfusion 2010i Syringeポンプ(Medex Inc.Duluth,Georgia,USA)に24時間接続した。
【0088】
アポトーシスの検出
80% EtOH中の氷上で30分間固定された1.5×106個の胸腺細胞または500,000個のJurkat細胞上のフローサイトメトリーにより、DNAの断片化を測定した。該細胞を300gで10分間の遠心分離によりペレット化し、PBSに懸濁させ、氷上で45分間インキュベートした。ペレット化細胞を500μlのPI染色溶液(PBS/0.1% トリトンX−100/RNアーゼA(Roche)/25μg/ml ヨウ化プロピジウム(PI;Sigma))に懸濁させた。FACSCalibur装置(Becton−Dickinson)を使用して20,000事象/サンプルでフローサイトメトリーを行い、その各サンプルは二重に調製した。非常に小さな細胞残渣を、前方(forward)光散乱に基づき電気的にゲートアウト(gated out)させた。Cell Death Detection ELISAキット(Roche)を該製造業者の説明に従い使用して、NT2細胞DNA断片化を定量した。すべてのアッセイは、凍結されていないタンパク質抽出物に対して行った。なぜなら、凍結−解凍タンパク質抽出物は反応性を改変することを、本発明者らは見出しているからである。アッセイ直線範囲内にシグナルが見出されることが保証されるよう、各サンプルについて幾つかの希釈物を調製した。
【0089】
[125I]−M808標識
5mM DTTで補足されたICEバッファーIII(50mM Hepes−KOH pH 7.0,0.1% CHAPS,10% スクロース,2mM EDTA)中、示されている量のカスパーゼインヒビター(M791)またはビヒクル(DMSO)と共に精製組換えヒトカスパーゼ3を25℃で1時間プレインキュベートすることにより、[125I]−M808標識によるカスパーゼ活性の測定を行った。[125I]−M808を1.25nMの最終濃度まで加え、25℃で5分間インキュベートした。60〜80μgのライセートを[125I]−M808と共に25℃で15分間インキュベートすることにより、組織または細胞抽出物中の活性カスパーゼを標識した。Laemliバッファー(2% SDS;0.35M β−メルカプトエタノール;50mM Tris−Cl pH 6.8;10% グリセロール;0.05% ブロモフェノールブルー)の添加により及び95℃で5分間の加熱により、標識を停止した。全細胞におけるカスパーゼ標識は以下のとおりに行った。NT2細胞を24ウェルディッシュ内のDMEM+10% FBS中にプレーティングした(50 000細胞/ウェル)。翌日、カンプトテシン(5μg/ml)および示されている量のカスパーゼインヒビターを含有する培地により、培地交換した。培地をインキュベーションの5時間後に除去し、12.5nMの[125I]−M808を含有する100μlの新鮮な培地により交換した。37℃で1時間のインキュベーションの後、培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄し、細胞溶解バッファー+25μM M808中で細胞溶解させた。細胞残渣を13000rpmで10分間の遠心分離により除去し、Laemliバッファー中、95℃で沸騰させた。実質的に同じ方法により、アポトーシスJurkat細胞およびラット胸腺細胞を[125I]−M808で標識した。簡潔に説明すると、飢餓Jurkat細胞(50万個)をカンプトテシン(5μM/ml)および示されている濃度のカスパーゼインヒビターと共にCytoSF4内で5時間プレーティングした。ついで該細胞を350gで10分間の遠心分離によりペレット化し、12.5nM [125I]−M808および示されている濃度のカスパーゼインヒビターを含有するCytoSF4培地内に該細胞ペレットを37℃で1時間のインキュベーション時間にわたり懸濁させた。該細胞を1mlのPBS+25μM M808で洗浄することにより、標識を停止させた。該細胞を遠心分離によりペレット化し、記載されているとおりに細胞溶解させた。300万細胞/アッセイを使用したこと及びCytoSF4培地内で24時間の培養時間にわたりアポトーシスが自発的に生じたこと以外は同じ方法により、ラット胸腺細胞を処理した。12.5nM [125I]−M808での標識を37℃で15分間行った。10% PEG200中の0.43μM [125I]−M808(1125Ci/mmol)溶液125μlの静脈内注射により、活性カスパーゼのインビボ標識を行った。1.25ml/マウスの平均血液容量を仮定すると、[125I]−M808の推定初期血中濃度は43nMである。[125I]−M808注射の45分後に動物を安楽死させた。胸腺を回収し、前記のとおりタンパク質抽出のために加工した。
【0090】
電気泳動およびウエスタンブロット法
1×Laemliバッファー中の変性タンパク質抽出物を、Tris−グリシンバッファー中、30mAで、18% アクリルアミド勾配SDS−PAGEゲル(Invitrogen)により分離した。[125I]−M808で標識されたサンプルを、染料先端がゲル末端の0.5cm上方に達するまで泳動させ、染料先端の1cm上方のアクリルアミドを切り出して、全ての遊離[125I]−M808を除去しバックグラウンドを減少させる。該ゲルを40% メタノール−10% 酢酸溶液中で45分間固定し、80℃で90分間乾燥させた後、MS増感スクリーンを伴うMS Kodakフィルムに露出させた。ウエスタンブロット法の場合には、Tris−グリシン−20% メタノールバッファー中の45μmニトロセルロースメンブレン(Invitrogen)上にタンパク質を40Vで2時間トランスファーした。ブロッキングバッファー(5% 脱脂乳/TBS/0.1% Tween−20)中で該メンブレンを1時間インキュベートすることにより、非特異的タンパク質結合を最小化した。抗カスパーゼ3(MF R280およびMF467)をブロッキングバッファー中で2000倍希釈し、25℃で1時間インキュベートした。メンブレンをTBS/0.1% Tween−20中で洗浄し、ブロッキングバッファー中で5000倍希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG抗体(Amersham/Pharmacia)と共に45分間インキュベートした。化学発光反応をSupersignal West Femto化学発光試薬(Pierce)で行い、Hyperfilm ECL(Amersham/Pharmacia)に露出させた。BioRad装置およびQuantityOneソフトウェアを使用して、デンシトメトリーを行った。ANOVAにより統計分析を行った。
【0091】
タンパク質抽出物におけるカスパーゼの飽和標識(図7)
CLP由来ラット胸腺の培養細胞(Jurkats、胸腺細胞)タンパク質抽出物を低比活性[125I]−M808に長時間さらすことにより、活性カスパーゼの全量の定量を行った。簡潔に説明すると、M867を投与したCLP操作ラットからの80μgのラット胸腺タンパク質抽出物を[125I]−M808(2000Ci/mmolで5nM)およびM808(395nM)と共に3時間または18時間インキュベートした。平行して、高比活性[125I]−M808(2000Ci/mmolで1.25nM)の存在下で80μgの抽出物の短いインキュベーション(5分間)も行った。Laemliバッファーの添加および沸騰により該標識反応を停止させ、タンパク質をSDS−PAGEにより分離した。[125I]−M808シグナル強度の変化は3時間の標識と18時間の標識との間では認められなかった。[125I]−M808シグナル強度とカスパーゼ3 p17バンドとの間の良好な相関性が確認され、このことは、すべての活性カスパーゼ3を定量的に標識するためには3時間で十分であることを示している。
【0092】
結果
活性部位は大カスパーゼサブユニットと小カスパーゼサブユニットとにより共有され、活性部位システインは該大サブユニット上に位置する。p17カスパーゼサブユニット上に共有結合が形成されると予想される。
【0093】
インビトロでのM808の特異性および感度
本発明者らは、粗タンパク質抽出物中の活性カスパーゼに対する[125I]−M808の特異性を最初に試験した。等量の種々のラット組織ホモジネートを[125I]−M808と共にインキュベートするか、グランザイムBで前処理した後でM808を加えた。平行して、グランザイムB処理抽出物中のカスパーゼ活性をDEVD−AMC切断により測定した。予想どおり、精製組換えヒトカスパーゼ3のp17サブユニットが[125I]−M808に共有結合した(図2A レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織が[125I]−M808標識p19バンドを含有していたが、肝臓および胸腺は、20kDaに移動する追加的なバンドを示さなかった(レーン2〜5)。カスパーゼとしての該放射能標識タンパク質の同定は幾つかの手段により確認した。グランザイムB処理を省略した場合には、この位置に移動する放射能標識タンパク質が観察された(データ非表示)。[125I]−M808の前にカスパーゼ3特異的インヒビターM791を該抽出物に加えた場合には、放射能標識(レーン6〜8)も、強く低下した標識(レーン9)も認められなかった。全DEVDアーゼ活性とp19/p20標識タンパク質のデンシトメトリーとの間に非常に良好な相関性が確認された(図2B)。アポトーシス誘導剤カンプトテシンまたは抗Fasで処理した培養細胞からの抽出物においては(図2C)、[125I]−M808は、17、19および20kDaに移動するポリペプチドを認識した。アポトーシス誘導剤を使用しなかった場合またはM791を加えた場合には、これらのバンドは存在しなかった。総合すると、これらの結果は、M808が複合タンパク質混合物中のカスパーゼ(カスパーゼ3を包含する)を特異的に認識することを示している。
【0094】
精製組換えヒトカスパーゼ3を使用して、[125I]−M808の感度閾値が0.5fmol(0.02ng;データ非表示)であることを確認した。本発明者らは、アポトーシスが病状に関与していると考えられる疾患の動物モデルにおいて活性カスパーゼを検出するのに十分な程度に[125I]−M808が感受性であるかどうかを確認した。低酸素症−虚血(HI)新生児ラット脳、梗塞形成したラットの心臓、皮質および海馬ならびに敗血症ラット胸腺からの抽出物を[125I]−M808と共にインキュベートし、SDS−PAGEにより分離した(図2D)。17kDaに移動する弱い放射能標識シグナルが、HIラット脳および梗塞形成ラット心臓からの虚血損傷組織においては観察されたが、非損傷対側性組織においては観察されなかった。敗血症においては強い標識が観察されたが、模擬操作ラット胸腺においては観察されなかった(M791競合シグナルを伴う)。虚血成体ラット皮質および海馬においては、特異的シグナルは観察されなかった(データ非表示)。このように、[125I]−M808は幾つかの型の損傷組織において活性カスパーゼを特異的に認識する。
【0095】
[125I]−M808はカスパーゼ活性をインビトロで測定する
本発明者らは、[125I]−M808が、アポトーシス誘導剤で処理された培養細胞または損傷組織において活性カスパーゼを認識する感受性かつ特異的なプローブであることを示した。活性部位プローブとしての[125I]−M808の潜在的用途は、可逆的カスパーゼインヒビターで処理された細胞内に保有するカスパーゼ活性の量の測定である。[125I]−M808が活性カスパーゼの量を正確に測定しうることを、次第に増加する量のM791と共にプレインキュベートされた精製組換えカスパーゼ3を使用して、初めて証明した(図3)。該混合物の半分をDEVDアーゼ活性に使用し、残りの部分には、SDS−PAGE上の分離の5分前に[125I]−M808を加えた。IC50はDEVD切断により0.6nMおよび0.45nMであると測定された。5分間ではなく60分間、[125I]−M808と共にインキュベートすると、見掛けIC50が1nMに増加した。したがって、SDS−PAGEに伴った[125I]−M808の使用は、酵素と可逆的インヒビターとの混合物中に存在する活性カスパーゼの量を反映する。該プローブを、より長時間にわたり放置すると、見掛けIC50の増加が観察されるが、これは、十中八九、可逆的M791の解離および不可逆的[125I]−M808によるその置換によるものであろう。
【0096】
[125I]−M808は細胞内のカスパーゼ活性部位占拠を測定する
ついで、本発明者らは、[125I]−M808が全細胞内の活性カスパーゼを検出し可逆的カスパーゼインヒビターの存在下で残留カスパーゼ活性を示しうるかどうかを評価した。Jurkat細胞を、5時間にわたり、アポトーシスを受けるよう誘導した。該インキュベーション時間の終了の1時間前に、[125I]−M808を培地内に加えた。細胞の放射能標識を行わなかった抗カスパーゼ3ウエスタンブロットは、全カンプトテシン処理レーンにおいて、プロセシングされたカスパーゼ3のp17、p19およびp20形態の種々の量の存在を示している(図4)。M791はp19およびp17へのp20カスパーゼ3の自己プロセシングを妨げるが、それはp20の全体的な形成を遮断しない。培地への[125I]−M808の添加は全3形態のカスパーゼ3の標識をもたらした。M867の濃度が増加するにつれて放射能標識バンドの強度が低下したことから、活性カスパーゼ3のM867占拠は明らかであった(図4)。
【0097】
培養内に配置されるとアポトーシスにより自発的に死亡する初代ラット胸腺細胞において、同様の実験を行った。いくつかのカスパーゼインヒビターの研究は、培養胸腺細胞および細胞損傷のインビボモデルにおける、DNA断片化により測定したIC50とスペクトリン切断により測定したIC50との間の矛盾をあらわにした(N.Methotら,印刷中)。DNA断片化を阻害するためには、スペクトリン切断と比較して3倍多くのM867が必要である(IC50はそれぞれ0.27および0.09μM,p<0.01)。DNA断片化の阻害は、M867によるカスパーゼ3の、より大きな部分的(fractional)阻害を必要とした、と本発明者らは推測している。この仮説を直接的に試験するために、培養胸腺細胞においてM867により占拠されたカスパーゼ3の割合を[125I]−M808標識により測定した。切断されたカスパーゼ3およびDNA断片化を、平行して評価した。既に観察されているとおり、M867は培養ラット胸腺細胞内でDNA断片化を0.24μMのIC50で阻害し(図5)、最高濃度以外ではカスパーゼ3の切断に最小限の影響を及ぼした(図5B)。M808の存在下の胸腺細胞のインキュベーションはM867によるカスパーゼの占拠を0.14μMのIC50で示した。5つの独立した実験は、M808で測定されたIC50がDNA断片化のIC50より有意に低いが(0.13+/−0.025μM 対 0.27+/−0.045μM,p=0.03)、スペクトリン切断により測定されたIC50と統計的には異なっていないことを証明した。これらの細胞においてはカスパーゼ3が標識p17カスパーゼの大部分を占めるため、本発明者らは、全細胞における[125I]−M808標識が活性カスパーゼ3の真の量を反映すると結論づけている。また、M867により占拠されたカスパーゼの実際の割合も測定した(表III)。図5Aには、カスパーゼ活性部位占拠の割合を求めるために用いた計算の説明が示されている。
【0098】
M808はインビボで活性カスパーゼを検出する
つぎに、[125I]−M808が活性カスパーゼをインビボで検出しうるかどうかを確認した。マウスにおける盲腸結紮および穿刺は腹膜炎を引き起こす。カスパーゼの活性化は、脾臓、胸腺および腸のような組織で見られる。カスパーゼ3は、胸腺で活性化される主要カスパーゼであり、活性のピークはCLPの16〜24時間後に見られる(N.M.,未公開データ)。マウスにおいてCLPにより腹膜炎を23時間にわたり誘導し、安楽死の1時間前に動物に[125I]−M808を静脈内注射した(図6A)。胸腺タンパク質抽出物上でのウエスタンブロットは、すべてのCLP動物においてはp17カスパーゼ3の存在を示すが、模擬操作動物においては示さない(図6B)。同様に、放射能標識p17タンパク質はCLPにおいて認められたに過ぎず、模擬動物においては認められなかった(図6C)。したがって、[125I]−M808は活性カスパーゼをインビボで検出しうる。しかし、タンパク質抽出物および全細胞標識とは対照的に、該p17シグナルの強度はp17カスパーゼ3の存在量に比例しなかった。このことは、等しいゲルローディングにもかかわらず、非特異的標識胸腺タンパク質にも同様に当てはまった。この矛盾は、敗血症中の損傷胸腺への該プローブの接近性のばらつきによるものであろう。なぜなら、この状態は器官の低循環を引き起こすことが知られているからである。このように、[125I]−M808が活性カスパーゼをインビボで検出するが、その有用性は、すべての動物において組織が同等に良く潅流されている系に限定される。しかし、M867を投与した敗血症動物からの胸腺細胞についてのエクスビボ試験はカスパーゼ活性占拠の測定を可能にするであろう(図5を参照されたい)。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】[125I]−M808の構造、およびカスパーゼのサブセットに対する阻害定数(Ki)。
【図2A】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2B】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2C】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2D】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図3A】[125I]−M808標識による及びDEVD−AMC切断活性によるカスパーゼインヒビターの効力評価。A、B−精製組換えヒトカスパーゼ3でのカスパーゼインヒビターの力価測定および[125I]−M808標識。A−5分間の標識反応でのM791および60分間の標識反応でのM791。Aにおいては、示されているIC50は、カスパーゼ−3の[125I]−M808標識p17サブユニットの強度を50%減少させるM791の濃度と定義された。B−示されている濃度のM791と共にインキュベートされた組換えヒトカスパーゼー3でのカスパーゼインヒビターの力価測定およびDEVD−AMC切断活性。発蛍光アッセイ条件下、Ki=IC50/2。
【図3B】[125I]−M808標識による及びDEVD−AMC切断活性によるカスパーゼインヒビターの効力評価。A、B−精製組換えヒトカスパーゼ3でのカスパーゼインヒビターの力価測定および[125I]−M808標識。A−5分間の標識反応でのM791および60分間の標識反応でのM791。Aにおいては、示されているIC50は、カスパーゼ−3の[125I]−M808標識p17サブユニットの強度を50%減少させるM791の濃度と定義された。B−示されている濃度のM791と共にインキュベートされた組換えヒトカスパーゼー3でのカスパーゼインヒビターの力価測定およびDEVD−AMC切断活性。発蛍光アッセイ条件下、Ki=IC50/2。
【図4A】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。A−カンプトテシン処理Jurkat細胞抽出物上でのカスパーゼ3のウエスタンブロット。
【図4B】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。B−次第に増加する量のM791にさらされたアポトーシスJurkat細胞における[125I]−M808標識p17、p19およびp20カスパーゼサブユニット。
【図4C】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。C−次第に増加する量のM791で処理されたアポトーシスJurkat細胞におけるDNA断片化活性(亜二倍体細胞集団)。
【図5A】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5B】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5C】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5D】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図6A】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図6B】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図6C】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図7】短い又は長いインキュベーション時間にわたり[125I]−M808で標識されたp17カスパーゼの比較。敗血症ラットにビヒクルまたは示されている濃度のM867を静脈内投与した。CLP手術の24時間後に胸腺を集めた。切断されたp17カスパーゼ3の出現を示すウエスタンブロット。高比活性プローブでの5分間の部分カスパーゼ3標識。同じ胸腺抽出物中の活性カスパーゼの、低比活性プローブでの3時間または18時間の飽和[125I]−M808標識。その長いインキュベーション時間中、カスパーゼ3上に元々存在するM867(低い又は存在しない標識から認められる)は活性部位から解離し、不可逆的活性部位プローブ[125I]−M808により置換される。37℃での3時間のインキュベーション時間と18時間のインキュベーション時間との間に標識強度における変化が観察されなかったため、3時間までに置換は実質的に完了している。
【背景技術】
【0001】
アポトーシスは、組織化され秩序だった様態で細胞が分解される細胞死の一形態である。アポトーシスは、ほとんどの場合、細胞の恒常性に必要な正常な過程である。しかし、多数の病状が、過多または過少の異常細胞死を示す。したがって、薬剤でアポトーシスを調節し患者の健康の改善をもたらすことに多大な関心が持たれている。
【0002】
アポトーシス中に見られる細胞形態学的変化の多くは、カスパーゼと称されるシステインプロテアーゼにより引き起こされる。これらの酵素は休眠形態ですべての細胞型に存在し、アポトーシスプログラムの開始後のタンパク質分解プロセシングにより活性化される。活性カスパーゼは、2つの20kDaサブユニットと2つの10kDaサブユニットとのヘテロ四量体よりなり、活性部位システインは該20kDaサブユニット上に位置する。カスパーゼは常に、短く比較的保存されたコンセンサス配列に先行するアスパラギン酸残基の後で、それらのタンパク質基質を切断する。カスパーゼの、ほとんどの薬理学的インヒビターは、アスパラギン酸を含有する短いペプチド様分子であり、細胞内でアポトーシスを阻害することが示されている。カスパーゼの阻害に基づく治療に関する重要な考慮点は、治療利益を達成するためにインヒビターにより占拠される必要のあるカスパーゼ活性部位の割合である。本発明は、活性部位システインに不可逆的に結合する標識されたカスパーゼプローブを記載する。これらのプローブは、種々の病状の動物モデルの組織内または細胞内でカスパーゼが活性化されているかどうかを判定することを可能にする。さらに、競合に基づくアッセイにより、これらのカスパーゼ活性部位プローブは、活性カスパーゼが他の未標識インヒビターにより占拠されている割合を算出するのを可能にする。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、カスパーゼ活性部位プローブとして有用な式I
【0004】
【化4】
の化合物を含む。これらのプローブは、種々の病状の動物モデルの組織内または細胞内でカスパーゼが活性化されているかどうかを判定するために使用することが可能である。さらに、競合に基づくアッセイにより、これらのカスパーゼ活性部位プローブは、活性カスパーゼが他の未標識インヒビターにより占拠されている割合を算出するために使用することが可能である。
【0005】
発明の詳細な説明
本発明は、式I:
【0006】
【化5】
[式中、
Xはハロであるか、または
Xは−O−W−Zであり、ここで、Wは結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり;
Zは、
(1)H、
(2)C1−11アルキル、
(3)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、
(4)フェニルまたはナフチル、および
(5)HET1(ここで、HET1は、O、SおよびNから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜10員の単環式もしくは二環式の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゼン縮合類似体を表す。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(2)、(3)および(5)は、所望により、1〜2個のオキソ基により置換されていてもよく、
前記の基(2)〜(5)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジル
(k)ベンジルオキシ、および
(l)O、SおよびNよりなる群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5または6員の芳香族または非芳香族環
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により更に置換されていてもよく、
前記の基(d)〜(g)は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルコキシから選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
前記の基(h)〜(l)は、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
基(4)は、その最大限度までハロ基により、所望により更に置換されていてもよく;
R2は、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はフェニルまたはC1−10アルキルであり、該C1−10アルキルは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)であり;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物を含む。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、Xがハロである式Iの化合物を含む。
【0008】
本発明のもう1つの実施形態は、Xが−O−W−Zである式Iの化合物を含む。この実施形態においては、Zは、
(1)C1−11アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)フェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、ここで、前記の基(1)〜(3)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジルおよび
(k)ベンジルオキシ
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。
【0009】
本発明のもう1つの実施形態は、R3がメチルである式Iの化合物を含む。
【0010】
本発明のもう1つの実施形態は、R2および各R4が水素である式Iの化合物を含む。
【0011】
本発明のもう1つの実施形態は、R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれる、式Iの化合物を含む。
【0012】
本発明のもう1つの実施形態は、
Xがハロまたは−O−W−Zであり、
Wが結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり、
Zが、
(1)1〜3個のハロ基により、所望により置換されていてもよいC1−6アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の基により、所望により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、
R3がメチル、エチルまたはフェニルであり、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、C5−7シクロアルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、式Iの化合物を含む。
【0013】
本発明のもう1つの実施形態は、式II:
【0014】
【化6】
[式中、
Xはハロである;
R1およびR2は、それぞれ独立して、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はC1−10アルキルであり、これは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい)である;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物を含む。
【0015】
本発明のもう1つの実施形態は、
R1が、
(1)ハロ、
(2)C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ(これらはそれぞれ、所望により、オキソおよび1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)、および
(3)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、これは、独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、式IIの化合物を含む。
【0016】
この実施形態においては、HET3は、所望によりC1−4アルキルにより置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾールである。
【0017】
本発明は、哺乳動物の細胞または組織を式Iの化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法をも含む。
【0018】
本発明のもう1つの実施形態は、哺乳動物の細胞または組織を式IIの化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法をも含む。
【0019】
本発明のもう1つの実施形態は、
1)サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターを細胞損傷の動物モデルに投与すること、
2)該動物を安楽死させ、該損傷細胞を摘出すること、
3)該損傷細胞をエクスビボ(ex vivo)で式Iの化合物と接触させること、
4)式Iの化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
5)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定することを含んでなる、細胞損傷の動物モデルにおいて、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法を含む。
【0020】
本発明のもう1つの実施形態は、
1)細胞培養を、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターと接触させること、
2)該細胞培養を式Iの化合物と接触させること、
3)式Iの化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
4)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定することを含んでなる、細胞培養内で、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法を含む。
【0021】
本発明は、式Iの化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキットをも含む。
【0022】
本発明のもう1つの実施形態は、式IIの化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキットをも含む。
【0023】
本発明は、5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4−オキソペンタン酸またはその塩、エステルもしくは水和物である放射能標識化合物をも含む。
【0024】
本発明は、以下の表から選ばれる放射能標識化合物またはそれらのいずれかの塩、エステルもしくは水和物をも含む。
【0025】
【表2】
【0026】
本明細書のこの目的においては、「細胞または組織を接触させる」なる表現は、本発明の化合物をカスパーゼ3酵素と接触させそれに結合させることを意味する。動物モデルにおいては、該表現は、本発明の化合物を、例えばi.c.v.注射により、該動物に投与することを含む。
【0027】
「活性カスパーゼ3を検出」なる表現は、カスパーゼ3を、それに結合した標識化合物により検出することを意味する。本発明の化合物を検出するための方法は当技術分野でよく知られており、後記の方法において例示される。例えば、I125で標識された本発明の化合物をオートラジオグラフィーにより検出することが可能である。
【0028】
本明細書の目的においては、アルキルは、特に示さない限り1〜20個の炭素原子を含有する、直鎖状または分枝状構造体およびそれらの組合せを意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、エイコシル、3,7−ジエチル−2,2−ジメチル−4−プロピルノニルなどが含まれる。
【0029】
シクロアルキルは、所望により直鎖状または分枝状構造体と組合されていてもよい、特に示さない限り1〜20個の炭素原子を含有する環状構造体を意味する。シクロアルキル基の具体例には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロドデシルメチル、2−エチル−1−ビシクロ[4.4.0]デシルなどが含まれる。
【0030】
アルコキシは、直鎖状、分枝状または環状配置の、特に示さない限り1〜10個の炭素原子のアルコキシ基を意味する。アルコキシ基の具体例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどが含まれる。
【0031】
アルキルチオは、直鎖状、分枝状または環状配置の、特に示さない限り1〜10個の炭素原子のアルキルチオ基を意味する。アルキルチオ基の具体例には、メチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオなどが含まれる。例えば、プロピルチオ基は−SCH2CH2CH3を意味する。
【0032】
ハロには、F、Cl、BrおよびIが含まれる。
【0033】
HET1の具体例には、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、チアゾールおよびオキサゾールが含まれる。
【0034】
HET2の具体例には、ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2−ピロリジノン、ピリジンおよびピリミジンが含まれる。
【0035】
HET3の具体例には、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、チオフェン、ピロール、ピリジン、テトラゾール、オキサゾール、チアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾールおよび1,3,4−トリアゾールが含まれる。
【0036】
本明細書の目的においては、以下の略語は、以下に示す意義を有する。
AcOH = 酢酸、
Alloc = アリルオキシカルボニル、
APCI = 大気圧化学イオン化、
BOC = t−ブチルオキシカルボニル、
CBZ = カルボベンゾキシ、
DCC = 1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド、
DIBAL = ジイソブチルアルミニウムヒドリド、
DIEA = N,N−ジイソプロイルエチルアミン、
DMAP = 4−(ジメチルアミノ)ピリジン、
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド、
EDCI = 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、
EDTA = エチレンジアミン四酢酸 四ナトリウム塩水和物、
ESI = エレクトロスプレーイオン化、
FAB = 高速原子衝撃、
FMOC = 9−フルオレニルメトキシカルボニル、
HMPA = ヘキサメチルホスホルアミド、
HATU = O−(7−アザベンゾトリアゾール−l−イル)N,N,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、
HOBt = l−ヒドロキシベンゾトリアゾール、
HRMS = 高分解能質量分析、
ICI = 一塩化ヨウ素、
IBCF = イソブチルクロロホルマート、
KHMDS = カリウムヘキサメチルジシラザン、
LDA = リチウムジイソプロピルアミド、
MCPBA = メタクロロ過安息香酸、
Ms = メタンスルホニル = メシル、
MsO = メタンスルホナート = メシラート、
NBS = N−ブロモスクシンイミド、
NMM = 4−メチルモルホリン、
NMO = 4−メチルモルホリン N−オキシド、
PCC = ピリジニウムクロロクロマート、
PDC = ピリジニウムジクロマート、
Ph = フェニル、
PPTS = ピリジニウム p−トルエンスルホナート、
pTSA = p−トルエンスルホン酸、
r.t. = 室温、
rac. = ラセミ体、
TFA = トリフルオロアセタート、
TfO = トリフルオロメタンスルホナート = トリフラート、
TLC = 薄層クロマトグラフィー、
TPAP = テトラプロピルアンモニウム ペルルテナート。
【0037】
アルキル基の略語:
Me = メチル、
Et = エチル、
n−Pr = ノルマルプロピル、
i−Pr = イソプロピル、
n−Bu = ノルマルブチル、
i−Bu = イソブチル、
s−Bu = 第二級ブチル、
t−Bu = 第三級ブチル。
【0038】
L−アミノ酸および略語:
【0039】
【化7】
【0040】
本明細書に記載の化合物は、純粋な形態の塩、エナンチオマー、エステルおよび水和物ならびにそれらの混合物を包含すると意図される。また、窒素原子が存在する場合には、窒素原子の原子価を満足させるのに十分な水素原子が存在すると理解される。
【0041】
後記においてはキラル構造が示されているが、示されているもの以外のエナンチオマーを合成スキームに代入することにより、あるいは、エナンチオマーの混合物をスキームに代入することにより、異なる異性体またはラセミ混合物を得ることが可能である。したがって、すべてのそのような異性体および混合物が本発明に含まれる。
【0042】
記載されている化合物は、典型的には、不斉中心を含有し、したがって、ジアステレオマーおよび光学異性体が存在しうる。本発明は、そのような可能なジアステレオマーおよびそれらのラセミ体、ならびに光学分割されたエナンチオ的に純粋な形態およびそれらの医薬上許容される塩を含むと意図される。
【0043】
本明細書に記載の化合物のいくつかはオレフィン性二重結合を含有し、特に示さない限り、EおよびZ幾何異性体の両方を含むと意図される。
【0044】
本発明の化合物を投与するために、医薬組成物を使用することが可能である。そのような医薬組成物は式Iまたは式IIの化合物と、医薬上許容される担体、および場合によっては他の治療成分とを含む。「塩」なる語は、無機塩基および有機塩基を含む医薬上許容される塩基から製造された塩を意味する。無機塩基に由来する代表的な塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン塩、亜マンガン酸、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩が含まれる。特に好ましいのは、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。医薬上許容される有機塩基に由来する代表的な塩には、第一級、第二級および第三級アミン、置換アミン、例えば天然に存在する置換アミン、環状アミン、ならびに塩基性イオン交換樹脂、例えばアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチル−モルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が含まれる。
【0045】
本発明の化合物が塩基性である場合には、塩は、無機酸および有機酸を含む医薬上許容される無毒性酸から製造されうる。そのような酸の具体例には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが含まれる。特に好ましいのは、クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0046】
式Iまたは式IIの化合物の用量の大きさは、もちろん、試験されているモデルおよび個々の式Iの化合物に応じて様々となろう。本発明において使用する化合物の代表的な量は、後記の実施例において例示されている。該化合物の適当な量が用いられる。
【0047】
本発明の化合物の投与を行うためには、任意の適当な投与経路を用いることが可能である。例えば、経口、非経口および局所経路を用いることが可能である。剤形には、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、水剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などが含まれる。
【0048】
該組成物には、経口、非経口および眼内経路に適した組成物が含まれる。それらは、単位投与形として簡便に提供され、薬学の分野でよく知られた任意の方法により製造されうる。
【0049】
実際の使用においては、通常の医薬調剤技術に従い、式Iまたは式IIの化合物を有効成分として、医薬担体と密接に混合させることが可能である。該担体は、投与に望ましい製剤化の形態に応じて多種多様な形態をとりうる。経口剤形用の組成物の製造においては、例えば懸濁剤、エリキシル剤および水剤のような経口液体製剤の場合には、例えば水、アルコール、油、香味剤、保存剤、着色剤などのような通常の任意の医薬媒体を、また、例えば散剤、カプセル剤および錠剤のような経口固体製剤の場合には、デンプン、糖、微晶質セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などのような担体を使用することが可能であり、固体経口製剤が液体製剤より好ましい。錠剤およびカプセル剤は、それらの投与の容易さのため、最も有利な経口単位投与形を代表し、この場合には、明らかに、固体医薬担体を使用する。所望により、標準的な水性または非水性技術により錠剤をコーティングすることが可能である。
【0050】
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、所定量の有効成分をそれぞれが含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤のような分離した単位として、あるいは散剤または顆粒剤として、あるいは水性液体、非水性液体、水中油エマルションまたは油中水エマルション中の水剤または懸濁剤として提供されうる。そのような組成物は、任意の薬学的方法により製造することが可能であるが、すべての方法は、1以上の必要成分を構成する担体と有効成分とを接触させる工程を含む。一般には、該組成物は、液体担体または細かく分割された固体担体またはそれらの両方と有効成分とを均一かつ密接に混合し、ついで必要に応じて、該産物を、所望の外観に成型することにより製造する。例えば、錠剤は、場合によっては1以上の補助成分と共に、圧縮またはすりこみにより製造することが可能である。圧縮錠剤は、場合によっては結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤または分散剤と混合された、粉末または顆粒のような自由流動形態の有効成分を、適当な装置中で圧縮することにより製造することが可能である。すりこみ錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化化合物の混合物を適当な装置中ですりこむことにより製造することが可能である。
【0051】
合成方法
本発明の実施例1は、以下の合成スキームに従い合成することが可能である。
【0052】
【化8】
【0053】
本発明の化合物は、前記スキームと同様の方法により当業者により製造されうる。
【0054】
代表的な実施例
本発明を例示するのは以下の化合物である。
【実施例】
【0055】
(実施例1)
5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4− オキソペンタン酸(29):
【0056】
【化9】
【0057】
工程1:(5−ヨード−2−メトキシフェニル)酢酸(21):
20mlの2:1:1 THF:MeOH:水中のメチル(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセタート(0.92g,3mmol)の溶液に水酸化リチウム(8mmol)を加え、該溶液を2時間攪拌した。ついで該反応を1N HCl(8mLの1M 水溶液、8mmol)でクエンチし、ついでEtOAcで抽出した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、40〜100% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、0.9gの21を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 10.9(br s,1H),7.6(s,2H),6.8(m,1H),3.8(s,3H),3.6(s,2H)。
【0058】
工程2:N−[(1S)−1−アセチル−2−メチルプロピル]−2−(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセトアミド(22):
50mLのCH2Cl2中の21(0.9g,3mmol)の溶液にL−バリン tert−ブチルエステル塩酸塩(0.84g,4mmol)、EDCI(0.86g,4.5mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.6mL,9.0mmol)を順次加え、ついで3時間攪拌した。ついで該反応を1N HCl(10mLの1M 水溶液、10mmol)でクエンチし、ついでEtOAcで抽出した。ついで、合わせた抽出物を飽和NaHCO3、ついでブラインで洗浄した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、1.0gの22を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(m,2H),7.0(bd,1H),6.8(d,1H),4.3(dd,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.1(m,1H),1.4(s,9H),0.95(d,3H),0.9(d,3H)。
【0059】
工程3:N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリン(23):
10mLのCH2Cl2中の22(1.0g,2.2mmol)に10mLのTFAを加えた。該溶液を2時間攪拌し、ついで真空中で濃縮した。生成物が沈殿するまで、該粗油にエーテルを加えた。有機層をデカントし、該固体をポンプ(pumped)乾燥させて、0.9gの23を白色固体として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(m,2H),6.8(d,1H),4.5(dd,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.2(m,1H),0.95(d,3H),0.9(d,3H)。
【0060】
工程4:N1−(1−エチル−3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−N2−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリンアミド(25)
5mLのDMF中の24(391mg,1.0mmol)にtert−ブチル 3−アミノ−2,3,5−トリデオキシ−5−フルオロペントナート(Tetrahedron Letters 1994,35.52,9693における公知手順で製造したもの)(170mg,0.82mmol)、HATU(380mg,1mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(1.6mL,9.0mmol)を加え、該溶液を3時間攪拌した。水を加え、該溶液をEtOAcで抽出した。ついで有機相を合わせ、MgSO4で乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、250mgの25を4つのジアステレオマーの混合物として無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(d,2H),7.4−6.9(d,1H),6.8(m,1H),4.8−4.65(d,1H),4.6−4.1(m,3H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.7−2.4(m,2H),2.1(m,1H),1.4(s,9H),0.95(m,6H)。
【0061】
工程5:N’−(1−エチル−3−フルオロ−2−ヒドロキシプロピル)−N2−{[2−メトキシ−5−(トリブチルスタンニル)フェニル]アセチル}−L−バリンアミド(26)
5mLのトリエチルアミン中の25(116mg,0.2mmol)の溶液にPd(OAc)2(10mg,0.044mmol),Pd(PPh3)4(25mg,0.022mmol)を50℃で加え、ヘキサブチル二スズ(0.2mL,0.4mmol)を加え、得られた溶液を100℃に加熱し、2時間攪拌した。ついで該溶液を冷却し、セライトのパッドでエーテルと共に濾過し、真空中で濃縮した。該化合物を、10〜50% EtOAc/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、70mgの25を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.5(d,1H),7.3(m,2H),7.0(m,1H),6.8(m,1H),4.7−4.6(d,1H),4.5−4.1(m,3H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.7−2.4(m,2H),2.1(m,1H),1.5(m,18H),1.4(s,9H),1.0−0.8(m,9H),0.95(m,6H)。
【0062】
工程6:Nl−(1−エチル−3−フルオロ−2−オキソプロピル)−N2−{[2−メトキシ−5−(トリブチルスタンニル)フェニル]アセチル}−L−バリンアミド(27)
2mLのCH2Cl2中の26(10mg)の溶液にNMO(20mg)、ついでTPAP結晶を加え、得られた溶液を1時間攪拌した。該溶液を真空中で濃縮し、該化合物を、50% 酢酸エチル/ヘキサンを使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、10mgの27を無色油として得た。1H NMR(400MHz,アセトン−d6):δ 7.8−7.7(d,1H),7.3(m,2H),7.2(m,1H),7.0(m,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.7(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(AB quartet,2H),2.9−2.7(m,2H),1.6−0.8(m,42H)。
【0063】
工程7:N1−(1−エチル−3−フルオロ−2−オキソプロピル)−N2−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリンアミド(28)
0.2mLのDMF中の27(2mg)にヨウ化ナトリウム(0.1mLの水に溶解した5mCi)、ついでクロラミンT(0.2mLの1:1 DMF:水に溶解した2mg)を加えた。得られた溶液を2時間攪拌し、ついで分取HPLCにより直接的に精製した。非放射性化合物に関するデータを示す。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.1−7.7(d,1H),7.5(m,2H),7.2(d,1H),6.8(d,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.6(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(m,2H),2.9−2.6(m,2H),2.10(m,1H),1.4(s,9H),0.90(m,6H)。
【0064】
工程8:5−フルオロ−3−({N−[(5−ヨード−2−メトキシフェニル)アセチル]−L−バリル}アミノ)−4−オキソペンタン酸(29)
5mLのCH2Cl2中の28(直前の実験からのもの)の溶液に2mLのTFAを加えた。該溶液を2時間攪拌し、ついで真空中で濃縮して29を得た。非放射性化合物に関するデータを示す。1H NMR(400MHz,CDCl3):δ 8.1−7.7(d,1H),7.5(m,2H),7.2(d,1H),6.8(d,1H),5.3−5.0(m,2H),4.8−4.6(m,1H),4.2(m,1H),3.8(s,3H),3.5(m,2H),2.9−2.6(m,2H),2.10(m,1H),0.90(m,6H)。
【0065】
以下の実施例は、前記の合成方法および実施例1と同様の手順に従うことにより合成することが可能である。
【0066】
【表3】
【0067】
有用性
本発明の化合物は、種々のインビトロまたはインビボのアッセイまたはモデルにおけるカスパーゼ活性部位プローブとして有用である。例えば、本発明の化合物は以下のとおりに有用であろう。
【0068】
・カスパーゼ(精製されたもの及び細胞損傷の動物モデルからの組織タンパク質抽出物からのもの)のインビトロ標識、例えば、新生児ラットにおける低酸素症−虚血、ラットおよびマウスにおける盲腸結紮および穿刺、ラット、マウスまたはウサギにおける心筋梗塞のLCAOモデルにおけるもの。
【0069】
・インビトロでの可逆的カスパーゼインヒビターによるカスパーゼ活性部位占拠の測定。
【0070】
・細胞および血液における、例えば胸腺細胞、NT2、Jurkats、ラット白血球における活性カスパーゼの標識。
【0071】
・細胞培養、例えば胸腺細胞、Jurkats、NT2細胞における可逆的カスパーゼインヒビターによるカスパーゼ活性部位占拠の測定。
【0072】
・細胞損傷の動物モデル、例えば新生児ラットにおける低酸素症−虚血、マウスにおける盲腸結紮および穿刺誘発性腹膜炎におけるインビボでのカスパーゼ標識。
【0073】
・エクスビボでのカスパーゼインヒビターの動物への投与の後のカスパーゼ活性部位占拠の測定(例えば、CLPラット、胸腺細胞上で行うエクスビボ標識)。
【0074】
方法
特に示さない限り、以下の方法において使用する本発明の化合物の比活性は2000Ci/mmolである。
【0075】
本明細書の目的においては、M791なる表示は、以下の構造を有する化合物(3S)−5−(ベンジルチオ)−3−[(N−{[2−メトキシ−5−(3−メチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル)フェニル]アセチル}−L−バリル)アミノ]−4−オキソペンタン酸を意味する。
【0076】
【化10】
この化合物の製造方法は、2001年5月1日付けで付与された米国特許第6,225,288号に開示されている。
【0077】
本明細書の目的においては、M867なる表示は、以下の構造を有する化合物(3S)−3−({(2S)−2−[5−tert−ブチル−3−{[(4−メチル−1,2,5−オキサジアゾール−3−イル)メチル]アミノ}−2−オキソピラジン−1(2H)−イル]ブタノイル}アミノ)−5−[メチル(ペンチル)アミノ]−4−オキソペンタン酸を意味する。
【0078】
【化11】
この化合物の製造方法は、2002年9月3日付けで付与された米国特許第6,444,811号に開示されている。
【0079】
本明細書の目的においては、[125I]−M808なる表示は実施例1の放射能標識カスパーゼインヒビターを意味する。M808なる表示は実施例1の対応未標識カスパーゼインヒビターを意味する。
【0080】
本明細書の目的においては、MF R280は抗ヒトカスパーゼ3抗体であり、MF467は抗ラットカスパーゼ3抗体である。MF R280はRoyら(2001)PNAS 98:6132−6137に記載されている。
【0081】
Ac−DEVD−AMC(AMC,アミノ−4−メチルクマリン)は以下の構造を有する。
【0082】
【化12】
この化合物は、以下のとおりに製造されうる:i)N−Ac−Asp(OBn)−Glu(OBn)−Val−CO2Hの合成、ii)Asp(OBn)−7−アミノ−4−メチルクマリンとのカップリング、iii)ベンジル基の除去。
【0083】
組織、細胞抽出物
組織(ラット肝臓、腎臓、脳、胸腺、マウス胸腺)をそれらの摘出の20分以内に凍結または加工した。ラット組織および培養細胞を、5mM DTTおよび完全プロテアーゼインヒビターカクテル(Roche)で補足された氷冷細胞溶解バッファー(50mM Tris−Cl pH7.5,2mM EDTA,1% NP−40)中でホモジナイズした。[125I]−M808を注射したマウスからの胸腺を、25μMのM808で補足された細胞溶解バッファー中でホモジナイズした。核残渣を13000rpmで10分間の遠心分離により除去し、可溶性画分をブラッドフォード(Bradford)アッセイ(Bio−Rad)により定量した。カスパーゼ3様活性を、Royら(2001)Proc.Nat.Acad.Sci.USA 98:6132−6137に記載されているとおりに発蛍光性基質Ac−DEVD−AMCで測定した。
【0084】
胸腺細胞懸濁液
ラット胸腺細胞をその摘出の20分以内に加工した。2mlの氷冷胸腺細胞単離バッファー(PBS,2 mM グルコース,2mM L−グルタミン,1% FBS)を含有する50μM メディコン(Medicon)(Dako)およびメディマシン(Medimachine)(Dako)中、2×15秒パルスで該胸腺を破砕することにより、単個細胞懸濁液を得た。該細胞懸濁液を50μM ナイロンメッシュ(Becton−Dickinson)により濾過した。細胞を300g、4℃で10分間遠心分離し、10mlの低張性細胞溶解バッファー(17mM Tris−Cl pH 7.5;140mM NH4Cl)に懸濁させ、室温で10分間インキュベートした。胸腺細胞を300gで10分間の遠心分離によりペレット化し、FBSを含有する5〜10mlの胸腺細胞単離バッファーに懸濁させた。細胞を血球計算盤およびトリパンブルー染色により計数した。
【0085】
細胞培養
Jurkat細胞(ATCC#TIB−152)を、10% FBS、2mM L−グルタミンおよび抗生物質(ペニシリンおよびストレプトマイシン)で補足されたRPMI1640中で維持した。カンプトテシン(Sigma;3g/ml)の添加により、CytoSf4培地(Kemp technologies)内で36時間飢餓させた細胞(1ml当たり100万個の細胞)上で、アポトーシスを誘導した。NT2細胞(ATCC 3813555)をDMEM + 10% FBS + 2mM L−グルタミンおよび抗生物質中で培養した。細胞培養内でカンプトテシン(5μg/ml)でアポトーシスを誘導した。
【0086】
2mM L−グルタミンおよびペニシリン−ストレプトマイシンおよび示されている濃度のカスパーゼインヒビターで補足されたCytoSF4中、ラット胸腺細胞を10×106細胞/mlの密度で24時間培養した。
【0087】
動物および手術法
雌Sprague−Dawleyラット(250〜300g;Charles River,St−Constant,Qc,Canada)およびND4マウス(20〜25gのHarlane Sprague−Dawley)を、食餌および水に自由に近づけるようにして、12時間の明/暗周期で収容した。すべての方法は、Merck and Co.の動物保護方針を遵守し適当な動物保護委員会(Animal Care Committee)の承認のもとで行った。盲腸結紮および穿孔のために、動物を2.5% イソフルランで麻酔し、温度調節加熱毛布の使用により体温を維持した。動物の腹壁に正中線切開を施し、盲腸を体外露出させた。回盲弁の近位においてナイロン(4−0)縫合により盲腸を結紮した。マウスにおいては、盲腸の遠位部分を貫通させる23g針を使用して盲腸の穿孔を行った。ラットの大腿静脈カニューレ挿入は鼡径部における小さな切開により行い、大腿静脈を単離した。ポリウレタンカテーテル(PU−C30,3 French,80cm,Instech Solomon)に接続されたシリコーン(Silicone)カテーテル(0.02”×0.037”、Lomir)を大静脈内に挿入し、頚部において体外露出させ、手術の間、クランプで固定した。カニューレ挿入の直後に、盲腸の結紮および穿孔を行った。これは、該体外露出盲腸の遠位部分に完全に貫通させる20gカニューレ(Abbott Ireland,Sligo.Rep.of Ireland)を使用して行った。編まれた絹(サイズ0)を該カニューレに通し、腹膜内への盲腸内容物の漏出が可能となるよう適所で結紮した。模擬操作動物においては、盲腸を体外露出させたが、盲腸の結紮も穿刺も行わなかった。腹壁をPDS(4−0)で縫合し、皮膚を外科用糊(マウス)またはクリップ(ラット)で縫合した。手術直後、すべての動物に1ccの0.9% 塩類液を皮下注射により投与した。ビヒクルまたは化合物(M867)の丸塊を静脈内カテーテルを介して投与し、この場合、それを2ml/時間/kgの運搬速度のMedfusion 2010i Syringeポンプ(Medex Inc.Duluth,Georgia,USA)に24時間接続した。
【0088】
アポトーシスの検出
80% EtOH中の氷上で30分間固定された1.5×106個の胸腺細胞または500,000個のJurkat細胞上のフローサイトメトリーにより、DNAの断片化を測定した。該細胞を300gで10分間の遠心分離によりペレット化し、PBSに懸濁させ、氷上で45分間インキュベートした。ペレット化細胞を500μlのPI染色溶液(PBS/0.1% トリトンX−100/RNアーゼA(Roche)/25μg/ml ヨウ化プロピジウム(PI;Sigma))に懸濁させた。FACSCalibur装置(Becton−Dickinson)を使用して20,000事象/サンプルでフローサイトメトリーを行い、その各サンプルは二重に調製した。非常に小さな細胞残渣を、前方(forward)光散乱に基づき電気的にゲートアウト(gated out)させた。Cell Death Detection ELISAキット(Roche)を該製造業者の説明に従い使用して、NT2細胞DNA断片化を定量した。すべてのアッセイは、凍結されていないタンパク質抽出物に対して行った。なぜなら、凍結−解凍タンパク質抽出物は反応性を改変することを、本発明者らは見出しているからである。アッセイ直線範囲内にシグナルが見出されることが保証されるよう、各サンプルについて幾つかの希釈物を調製した。
【0089】
[125I]−M808標識
5mM DTTで補足されたICEバッファーIII(50mM Hepes−KOH pH 7.0,0.1% CHAPS,10% スクロース,2mM EDTA)中、示されている量のカスパーゼインヒビター(M791)またはビヒクル(DMSO)と共に精製組換えヒトカスパーゼ3を25℃で1時間プレインキュベートすることにより、[125I]−M808標識によるカスパーゼ活性の測定を行った。[125I]−M808を1.25nMの最終濃度まで加え、25℃で5分間インキュベートした。60〜80μgのライセートを[125I]−M808と共に25℃で15分間インキュベートすることにより、組織または細胞抽出物中の活性カスパーゼを標識した。Laemliバッファー(2% SDS;0.35M β−メルカプトエタノール;50mM Tris−Cl pH 6.8;10% グリセロール;0.05% ブロモフェノールブルー)の添加により及び95℃で5分間の加熱により、標識を停止した。全細胞におけるカスパーゼ標識は以下のとおりに行った。NT2細胞を24ウェルディッシュ内のDMEM+10% FBS中にプレーティングした(50 000細胞/ウェル)。翌日、カンプトテシン(5μg/ml)および示されている量のカスパーゼインヒビターを含有する培地により、培地交換した。培地をインキュベーションの5時間後に除去し、12.5nMの[125I]−M808を含有する100μlの新鮮な培地により交換した。37℃で1時間のインキュベーションの後、培地を除去し、細胞をPBSで1回洗浄し、細胞溶解バッファー+25μM M808中で細胞溶解させた。細胞残渣を13000rpmで10分間の遠心分離により除去し、Laemliバッファー中、95℃で沸騰させた。実質的に同じ方法により、アポトーシスJurkat細胞およびラット胸腺細胞を[125I]−M808で標識した。簡潔に説明すると、飢餓Jurkat細胞(50万個)をカンプトテシン(5μM/ml)および示されている濃度のカスパーゼインヒビターと共にCytoSF4内で5時間プレーティングした。ついで該細胞を350gで10分間の遠心分離によりペレット化し、12.5nM [125I]−M808および示されている濃度のカスパーゼインヒビターを含有するCytoSF4培地内に該細胞ペレットを37℃で1時間のインキュベーション時間にわたり懸濁させた。該細胞を1mlのPBS+25μM M808で洗浄することにより、標識を停止させた。該細胞を遠心分離によりペレット化し、記載されているとおりに細胞溶解させた。300万細胞/アッセイを使用したこと及びCytoSF4培地内で24時間の培養時間にわたりアポトーシスが自発的に生じたこと以外は同じ方法により、ラット胸腺細胞を処理した。12.5nM [125I]−M808での標識を37℃で15分間行った。10% PEG200中の0.43μM [125I]−M808(1125Ci/mmol)溶液125μlの静脈内注射により、活性カスパーゼのインビボ標識を行った。1.25ml/マウスの平均血液容量を仮定すると、[125I]−M808の推定初期血中濃度は43nMである。[125I]−M808注射の45分後に動物を安楽死させた。胸腺を回収し、前記のとおりタンパク質抽出のために加工した。
【0090】
電気泳動およびウエスタンブロット法
1×Laemliバッファー中の変性タンパク質抽出物を、Tris−グリシンバッファー中、30mAで、18% アクリルアミド勾配SDS−PAGEゲル(Invitrogen)により分離した。[125I]−M808で標識されたサンプルを、染料先端がゲル末端の0.5cm上方に達するまで泳動させ、染料先端の1cm上方のアクリルアミドを切り出して、全ての遊離[125I]−M808を除去しバックグラウンドを減少させる。該ゲルを40% メタノール−10% 酢酸溶液中で45分間固定し、80℃で90分間乾燥させた後、MS増感スクリーンを伴うMS Kodakフィルムに露出させた。ウエスタンブロット法の場合には、Tris−グリシン−20% メタノールバッファー中の45μmニトロセルロースメンブレン(Invitrogen)上にタンパク質を40Vで2時間トランスファーした。ブロッキングバッファー(5% 脱脂乳/TBS/0.1% Tween−20)中で該メンブレンを1時間インキュベートすることにより、非特異的タンパク質結合を最小化した。抗カスパーゼ3(MF R280およびMF467)をブロッキングバッファー中で2000倍希釈し、25℃で1時間インキュベートした。メンブレンをTBS/0.1% Tween−20中で洗浄し、ブロッキングバッファー中で5000倍希釈されたホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗ウサギIgG抗体(Amersham/Pharmacia)と共に45分間インキュベートした。化学発光反応をSupersignal West Femto化学発光試薬(Pierce)で行い、Hyperfilm ECL(Amersham/Pharmacia)に露出させた。BioRad装置およびQuantityOneソフトウェアを使用して、デンシトメトリーを行った。ANOVAにより統計分析を行った。
【0091】
タンパク質抽出物におけるカスパーゼの飽和標識(図7)
CLP由来ラット胸腺の培養細胞(Jurkats、胸腺細胞)タンパク質抽出物を低比活性[125I]−M808に長時間さらすことにより、活性カスパーゼの全量の定量を行った。簡潔に説明すると、M867を投与したCLP操作ラットからの80μgのラット胸腺タンパク質抽出物を[125I]−M808(2000Ci/mmolで5nM)およびM808(395nM)と共に3時間または18時間インキュベートした。平行して、高比活性[125I]−M808(2000Ci/mmolで1.25nM)の存在下で80μgの抽出物の短いインキュベーション(5分間)も行った。Laemliバッファーの添加および沸騰により該標識反応を停止させ、タンパク質をSDS−PAGEにより分離した。[125I]−M808シグナル強度の変化は3時間の標識と18時間の標識との間では認められなかった。[125I]−M808シグナル強度とカスパーゼ3 p17バンドとの間の良好な相関性が確認され、このことは、すべての活性カスパーゼ3を定量的に標識するためには3時間で十分であることを示している。
【0092】
結果
活性部位は大カスパーゼサブユニットと小カスパーゼサブユニットとにより共有され、活性部位システインは該大サブユニット上に位置する。p17カスパーゼサブユニット上に共有結合が形成されると予想される。
【0093】
インビトロでのM808の特異性および感度
本発明者らは、粗タンパク質抽出物中の活性カスパーゼに対する[125I]−M808の特異性を最初に試験した。等量の種々のラット組織ホモジネートを[125I]−M808と共にインキュベートするか、グランザイムBで前処理した後でM808を加えた。平行して、グランザイムB処理抽出物中のカスパーゼ活性をDEVD−AMC切断により測定した。予想どおり、精製組換えヒトカスパーゼ3のp17サブユニットが[125I]−M808に共有結合した(図2A レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織が[125I]−M808標識p19バンドを含有していたが、肝臓および胸腺は、20kDaに移動する追加的なバンドを示さなかった(レーン2〜5)。カスパーゼとしての該放射能標識タンパク質の同定は幾つかの手段により確認した。グランザイムB処理を省略した場合には、この位置に移動する放射能標識タンパク質が観察された(データ非表示)。[125I]−M808の前にカスパーゼ3特異的インヒビターM791を該抽出物に加えた場合には、放射能標識(レーン6〜8)も、強く低下した標識(レーン9)も認められなかった。全DEVDアーゼ活性とp19/p20標識タンパク質のデンシトメトリーとの間に非常に良好な相関性が確認された(図2B)。アポトーシス誘導剤カンプトテシンまたは抗Fasで処理した培養細胞からの抽出物においては(図2C)、[125I]−M808は、17、19および20kDaに移動するポリペプチドを認識した。アポトーシス誘導剤を使用しなかった場合またはM791を加えた場合には、これらのバンドは存在しなかった。総合すると、これらの結果は、M808が複合タンパク質混合物中のカスパーゼ(カスパーゼ3を包含する)を特異的に認識することを示している。
【0094】
精製組換えヒトカスパーゼ3を使用して、[125I]−M808の感度閾値が0.5fmol(0.02ng;データ非表示)であることを確認した。本発明者らは、アポトーシスが病状に関与していると考えられる疾患の動物モデルにおいて活性カスパーゼを検出するのに十分な程度に[125I]−M808が感受性であるかどうかを確認した。低酸素症−虚血(HI)新生児ラット脳、梗塞形成したラットの心臓、皮質および海馬ならびに敗血症ラット胸腺からの抽出物を[125I]−M808と共にインキュベートし、SDS−PAGEにより分離した(図2D)。17kDaに移動する弱い放射能標識シグナルが、HIラット脳および梗塞形成ラット心臓からの虚血損傷組織においては観察されたが、非損傷対側性組織においては観察されなかった。敗血症においては強い標識が観察されたが、模擬操作ラット胸腺においては観察されなかった(M791競合シグナルを伴う)。虚血成体ラット皮質および海馬においては、特異的シグナルは観察されなかった(データ非表示)。このように、[125I]−M808は幾つかの型の損傷組織において活性カスパーゼを特異的に認識する。
【0095】
[125I]−M808はカスパーゼ活性をインビトロで測定する
本発明者らは、[125I]−M808が、アポトーシス誘導剤で処理された培養細胞または損傷組織において活性カスパーゼを認識する感受性かつ特異的なプローブであることを示した。活性部位プローブとしての[125I]−M808の潜在的用途は、可逆的カスパーゼインヒビターで処理された細胞内に保有するカスパーゼ活性の量の測定である。[125I]−M808が活性カスパーゼの量を正確に測定しうることを、次第に増加する量のM791と共にプレインキュベートされた精製組換えカスパーゼ3を使用して、初めて証明した(図3)。該混合物の半分をDEVDアーゼ活性に使用し、残りの部分には、SDS−PAGE上の分離の5分前に[125I]−M808を加えた。IC50はDEVD切断により0.6nMおよび0.45nMであると測定された。5分間ではなく60分間、[125I]−M808と共にインキュベートすると、見掛けIC50が1nMに増加した。したがって、SDS−PAGEに伴った[125I]−M808の使用は、酵素と可逆的インヒビターとの混合物中に存在する活性カスパーゼの量を反映する。該プローブを、より長時間にわたり放置すると、見掛けIC50の増加が観察されるが、これは、十中八九、可逆的M791の解離および不可逆的[125I]−M808によるその置換によるものであろう。
【0096】
[125I]−M808は細胞内のカスパーゼ活性部位占拠を測定する
ついで、本発明者らは、[125I]−M808が全細胞内の活性カスパーゼを検出し可逆的カスパーゼインヒビターの存在下で残留カスパーゼ活性を示しうるかどうかを評価した。Jurkat細胞を、5時間にわたり、アポトーシスを受けるよう誘導した。該インキュベーション時間の終了の1時間前に、[125I]−M808を培地内に加えた。細胞の放射能標識を行わなかった抗カスパーゼ3ウエスタンブロットは、全カンプトテシン処理レーンにおいて、プロセシングされたカスパーゼ3のp17、p19およびp20形態の種々の量の存在を示している(図4)。M791はp19およびp17へのp20カスパーゼ3の自己プロセシングを妨げるが、それはp20の全体的な形成を遮断しない。培地への[125I]−M808の添加は全3形態のカスパーゼ3の標識をもたらした。M867の濃度が増加するにつれて放射能標識バンドの強度が低下したことから、活性カスパーゼ3のM867占拠は明らかであった(図4)。
【0097】
培養内に配置されるとアポトーシスにより自発的に死亡する初代ラット胸腺細胞において、同様の実験を行った。いくつかのカスパーゼインヒビターの研究は、培養胸腺細胞および細胞損傷のインビボモデルにおける、DNA断片化により測定したIC50とスペクトリン切断により測定したIC50との間の矛盾をあらわにした(N.Methotら,印刷中)。DNA断片化を阻害するためには、スペクトリン切断と比較して3倍多くのM867が必要である(IC50はそれぞれ0.27および0.09μM,p<0.01)。DNA断片化の阻害は、M867によるカスパーゼ3の、より大きな部分的(fractional)阻害を必要とした、と本発明者らは推測している。この仮説を直接的に試験するために、培養胸腺細胞においてM867により占拠されたカスパーゼ3の割合を[125I]−M808標識により測定した。切断されたカスパーゼ3およびDNA断片化を、平行して評価した。既に観察されているとおり、M867は培養ラット胸腺細胞内でDNA断片化を0.24μMのIC50で阻害し(図5)、最高濃度以外ではカスパーゼ3の切断に最小限の影響を及ぼした(図5B)。M808の存在下の胸腺細胞のインキュベーションはM867によるカスパーゼの占拠を0.14μMのIC50で示した。5つの独立した実験は、M808で測定されたIC50がDNA断片化のIC50より有意に低いが(0.13+/−0.025μM 対 0.27+/−0.045μM,p=0.03)、スペクトリン切断により測定されたIC50と統計的には異なっていないことを証明した。これらの細胞においてはカスパーゼ3が標識p17カスパーゼの大部分を占めるため、本発明者らは、全細胞における[125I]−M808標識が活性カスパーゼ3の真の量を反映すると結論づけている。また、M867により占拠されたカスパーゼの実際の割合も測定した(表III)。図5Aには、カスパーゼ活性部位占拠の割合を求めるために用いた計算の説明が示されている。
【0098】
M808はインビボで活性カスパーゼを検出する
つぎに、[125I]−M808が活性カスパーゼをインビボで検出しうるかどうかを確認した。マウスにおける盲腸結紮および穿刺は腹膜炎を引き起こす。カスパーゼの活性化は、脾臓、胸腺および腸のような組織で見られる。カスパーゼ3は、胸腺で活性化される主要カスパーゼであり、活性のピークはCLPの16〜24時間後に見られる(N.M.,未公開データ)。マウスにおいてCLPにより腹膜炎を23時間にわたり誘導し、安楽死の1時間前に動物に[125I]−M808を静脈内注射した(図6A)。胸腺タンパク質抽出物上でのウエスタンブロットは、すべてのCLP動物においてはp17カスパーゼ3の存在を示すが、模擬操作動物においては示さない(図6B)。同様に、放射能標識p17タンパク質はCLPにおいて認められたに過ぎず、模擬動物においては認められなかった(図6C)。したがって、[125I]−M808は活性カスパーゼをインビボで検出しうる。しかし、タンパク質抽出物および全細胞標識とは対照的に、該p17シグナルの強度はp17カスパーゼ3の存在量に比例しなかった。このことは、等しいゲルローディングにもかかわらず、非特異的標識胸腺タンパク質にも同様に当てはまった。この矛盾は、敗血症中の損傷胸腺への該プローブの接近性のばらつきによるものであろう。なぜなら、この状態は器官の低循環を引き起こすことが知られているからである。このように、[125I]−M808が活性カスパーゼをインビボで検出するが、その有用性は、すべての動物において組織が同等に良く潅流されている系に限定される。しかし、M867を投与した敗血症動物からの胸腺細胞についてのエクスビボ試験はカスパーゼ活性占拠の測定を可能にするであろう(図5を参照されたい)。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】[125I]−M808の構造、およびカスパーゼのサブセットに対する阻害定数(Ki)。
【図2A】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2B】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2C】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図2D】[125I]−M808はタンパク質抽出物中の活性カスパーゼを検出する。完全にプロセシングされたカスパーゼ−3の大きなサブユニットは17kDaで泳動する(p17)。部分的にプロセシングされたカスパーゼ−3はプロドメインの一部(p19)または全部(p20)を保有するが、p17形態と同等に活性である。プロドメインの除去は自己触媒される。A−予想どおり、精製された組換えヒトカスパーゼ−3のp17サブユニットは[125I]−M808に共有結合した(レーン1)。すべてのグランザイムB処理ラット組織は[125I]−M808標識19kDaタンパク質を含有し、肝臓および胸腺は、20kDaで泳動する追加的なポリペプチドを示した(レーン2〜5)。標識反応中にM791を含有させると、p17標識バンドおよびp19標識バンドが消失または強力に減弱する(レーン6〜9)。B−p17およびp19[125I]−M808標識タンパク質の強度は、グランザイムB処理組織抽出物中に存在するカスパーゼ−3様活性の全量に相関する。C−[125I]−M808は、アポトーシスNT2およびJurkat細胞においてはp17、p19およびp20カスパーゼサブユニットを標識するが、健常細胞においては標識しない。D−[125I]−M808は3つの異なる細胞損傷モデルにおいてp17カスパーゼサブユニットを標識する(HI:低酸素−虚血;MI:心筋梗塞;CLP:敗血症をもたらす盲腸結紮および穿刺。同側、VLV(腹側左室)および模擬体は非損傷対照組織である)。
【図3A】[125I]−M808標識による及びDEVD−AMC切断活性によるカスパーゼインヒビターの効力評価。A、B−精製組換えヒトカスパーゼ3でのカスパーゼインヒビターの力価測定および[125I]−M808標識。A−5分間の標識反応でのM791および60分間の標識反応でのM791。Aにおいては、示されているIC50は、カスパーゼ−3の[125I]−M808標識p17サブユニットの強度を50%減少させるM791の濃度と定義された。B−示されている濃度のM791と共にインキュベートされた組換えヒトカスパーゼー3でのカスパーゼインヒビターの力価測定およびDEVD−AMC切断活性。発蛍光アッセイ条件下、Ki=IC50/2。
【図3B】[125I]−M808標識による及びDEVD−AMC切断活性によるカスパーゼインヒビターの効力評価。A、B−精製組換えヒトカスパーゼ3でのカスパーゼインヒビターの力価測定および[125I]−M808標識。A−5分間の標識反応でのM791および60分間の標識反応でのM791。Aにおいては、示されているIC50は、カスパーゼ−3の[125I]−M808標識p17サブユニットの強度を50%減少させるM791の濃度と定義された。B−示されている濃度のM791と共にインキュベートされた組換えヒトカスパーゼー3でのカスパーゼインヒビターの力価測定およびDEVD−AMC切断活性。発蛍光アッセイ条件下、Ki=IC50/2。
【図4A】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。A−カンプトテシン処理Jurkat細胞抽出物上でのカスパーゼ3のウエスタンブロット。
【図4B】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。B−次第に増加する量のM791にさらされたアポトーシスJurkat細胞における[125I]−M808標識p17、p19およびp20カスパーゼサブユニット。
【図4C】生細胞における[125I]−M808での活性カスパーゼの検出。C−次第に増加する量のM791で処理されたアポトーシスJurkat細胞におけるDNA断片化活性(亜二倍体細胞集団)。
【図5A】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5B】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5C】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図5D】培養ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の占拠の測定。A−全細胞におけるM867により占拠されたカスパーゼ3活性部位の割合を求めるための理論的計算。カスパーゼ3 p17サブユニットの全量を飽和[125I]−M808標識のいずれかのウエスタンブロット法でデンシトメトリーにより測定する。全細胞における活性カスパーゼの部分標識を行う(「材料および方法」を参照されたい)。M867(または他の可逆的カスパーゼインヒビター)の非存在下の部分[125I]−M808標識シグナルに対するp17の量のグラフをプロットする。測定したp17の量から予想される[125I]−M808シグナルをこのプロットから推定する。不可逆的インヒビターの存在下の実測[125I]−M808シグナル(部分標識によるもの)を測定する。予想[125I]−M808シグナルに対する実測[125I]−M808シグナルの比率に100を掛け算したもの=インヒビターにより占拠されていないカスパーゼ活性部位の割合(%)。占拠率=100−遊離活性部位率(%)。B−C 全ラット胸腺細胞におけるM867によるカスパーゼ活性部位の実際の測定。B−カスパーゼ3のウエスタンブロット。C−次第に増加する濃度のM867にさらされた全ラット胸腺細胞からの[125I]−M808シグナル。DNA断片化阻害および[125I]−M808標識により測定したM867カスパーゼ阻害効力(IC50)の比較も示す。
【図6A】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図6B】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図6C】CLP操作マウスにおける[125I]−M808での活性カスパーゼのインビボ標識の概要図。マウスは、模擬手術(n=2)またはCLP手術(n=5)を受けた。23.15時間後に[125I]−M808を静脈内注射し、手術の24時間後に動物を安楽死させた。B−CLPおよび[125I]−M808投与の後のマウス胸腺抽出物のカスパーゼ3ウエスタンブロット。矢印は完全長プロカスパーゼ3(p32)およびプロセシングされたカスパーゼ大サブユニット(p17)を示す。C−敗血症マウスからの胸腺抽出物におけるインビボ[125I]−M808標識タンパク質。矢印は放射能標識カスパーゼ大サブユニットを示す。
【図7】短い又は長いインキュベーション時間にわたり[125I]−M808で標識されたp17カスパーゼの比較。敗血症ラットにビヒクルまたは示されている濃度のM867を静脈内投与した。CLP手術の24時間後に胸腺を集めた。切断されたp17カスパーゼ3の出現を示すウエスタンブロット。高比活性プローブでの5分間の部分カスパーゼ3標識。同じ胸腺抽出物中の活性カスパーゼの、低比活性プローブでの3時間または18時間の飽和[125I]−M808標識。その長いインキュベーション時間中、カスパーゼ3上に元々存在するM867(低い又は存在しない標識から認められる)は活性部位から解離し、不可逆的活性部位プローブ[125I]−M808により置換される。37℃での3時間のインキュベーション時間と18時間のインキュベーション時間との間に標識強度における変化が観察されなかったため、3時間までに置換は実質的に完了している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
Xはハロであるか、または
Xは−O−W−Zであり、ここで、Wは結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり;
Zは、
(1)H、
(2)C1−11アルキル、
(3)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、
(4)フェニルまたはナフチル、および
(5)HET1(ここで、HET1は、O、SおよびNから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜10員の単環式もしくは二環式の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゼン縮合類似体を表す。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(2)、(3)および(5)は、所望により、1〜2個のオキソ基により置換されていてもよく、
前記の基(2)〜(5)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジル
(k)ベンジルオキシ、および
(l)O、SおよびNよりなる群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5または6員の芳香族または非芳香族環
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により更に置換されていてもよく、
前記の基(d)〜(g)は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルコキシから選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
前記の基(h)〜(l)は、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
基(4)は、その最大限度までハロ基により、所望により更に置換されていてもよく;
R2は、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はフェニルまたはC1−10アルキルであり、該C1−10アルキルは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)であり;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項2】
Xがハロである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが−O−W−Zである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Zが、
(1)C1−11アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)フェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、ここで、前記の基(1)〜(3)が、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジルおよび
(k)ベンジルオキシ
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R3がメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R2および各R4が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Xがハロまたは−O−W−Zであり、
Wが結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり、
Zが、
(1)1〜3個のハロ基により、所望により置換されていてもよいC1−6アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の基により、所望により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、
R3がメチル、エチルまたはフェニルであり、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、C5−7シクロアルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化2】
[式中、
Xはハロである;
R1およびR2は、それぞれ独立して、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はC1−10アルキルであり、これは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)である;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項10】
R1が、
(1)ハロ、
(2)C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ(これらはそれぞれ、所望により、オキソおよび1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)、および
(3)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、これは、独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
HET3が、所望によりC1−4アルキルにより置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾールである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
哺乳動物の細胞または組織を請求項1記載の化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法。
【請求項13】
哺乳動物の細胞または組織を請求項9記載の化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法。
【請求項14】
1)サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターを細胞損傷の動物モデルに投与すること、
2)該動物を安楽死させ、該損傷細胞を摘出すること、
3)該損傷細胞をエクスビボ(ex vivo)で請求項1記載の化合物と接触させること、
4)該化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
5)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定すること
を含んでなる、細胞損傷の動物モデルにおいて、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法。
【請求項15】
1)細胞培養を、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターと接触させること、
2)該細胞培養を請求項1記載の化合物と接触させること、
3)該化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
4)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定すること
を含んでなる、細胞培養内で、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法。
【請求項16】
請求項1記載の化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキット。
【請求項17】
請求項9記載の化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキット。
【請求項18】
【化3】
である、請求項1記載の化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項19】
以下の表:
【表1】
から選ばれる、請求項1記載の化合物または前記のいずれかの塩、エステルもしくは水和物。
【請求項20】
哺乳動物の細胞または組織における活性カスパーゼ3の検出に使用するための、請求項1〜11、18または19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
細胞損傷の動物モデルにおける、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠の測定に使用するための、請求項1〜11、18または19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項1】
式I:
【化1】
[式中、
Xはハロであるか、または
Xは−O−W−Zであり、ここで、Wは結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり;
Zは、
(1)H、
(2)C1−11アルキル、
(3)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、
(4)フェニルまたはナフチル、および
(5)HET1(ここで、HET1は、O、SおよびNから選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5〜10員の単環式もしくは二環式の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゼン縮合類似体を表す。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(2)、(3)および(5)は、所望により、1〜2個のオキソ基により置換されていてもよく、
前記の基(2)〜(5)は、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジル
(k)ベンジルオキシ、および
(l)O、SおよびNよりなる群から選ばれる1〜3個のヘテロ原子を含有する5または6員の芳香族または非芳香族環
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により更に置換されていてもよく、
前記の基(d)〜(g)は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルコキシから選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
前記の基(h)〜(l)は、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく、
基(4)は、その最大限度までハロ基により、所望により更に置換されていてもよく;
R2は、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、オキソにより並びに独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はフェニルまたはC1−10アルキルであり、該C1−10アルキルは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)であり;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項2】
Xがハロである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Xが−O−W−Zである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
Zが、
(1)C1−11アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)フェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、ここで、前記の基(1)〜(3)が、
(a)ハロ、
(b)ニトロ、
(c)ヒドロキシ、
(d)C1−4アルキル、
(e)C1−4アルコキシ、
(f)C1−4アルキルチオ、
(g)C3−6シクロアルキル、
(h)フェニルまたはナフチル、
(i)フェノキシ、
(j)ベンジルおよび
(k)ベンジルオキシ
よりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R3がメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R2および各R4が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Xがハロまたは−O−W−Zであり、
Wが結合、−CH2−、−C(O)−または−C(O)CH2−であり、
Zが、
(1)1〜3個のハロ基により、所望により置換されていてもよいC1−6アルキル、
(2)C3−11シクロアルキルまたはそのベンゾ縮合類似体、および
(3)ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜3個の基により、所望により置換されていてもよいフェニルまたはナフチル
よりなる群から選ばれ、
R3がメチル、エチルまたはフェニルであり、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、C5−7シクロアルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
式II:
【化2】
[式中、
Xはハロである;
R1およびR2は、それぞれ独立して、
(1)H、
(2)ハロ、
(3)ヒドロキシ、
(4)ニトロ、
(5)シアノ、
(6)C1−10アルキル、C3−10シクロアルキル、C1−10アルコキシ、−S(O)0−2C1−10アルキルまたは−NHC1−10アルキル[ここで、これらのそれぞれは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロおよびC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)。]、
(7)フェノキシまたは−S(O)0−2フェニル、
(8)ベンジルオキシまたは−S(O)0−2ベンジル、
(9)ベンゾイル、
(10)フェニルまたはナフチル、
(11)−O−HET2または−S−HET2(ここで、HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)、および
(12)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、該HET3は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、後記のとおりに置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
前記の基(7)〜(12)はそれぞれ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R3はC1−10アルキルであり、これは、所望により、1〜2個のオキソまたはカルボキシ基により置換されていてもよく、更に、以下のものよりなる群から、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよく:
(a)ハロ、
(b)ヒドロキシ、
(c)シアノ、
(d)C1−4アルコキシ、
(e)−NHR7(ここで、R7は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)、
(f)−S(O)0−2C1−4アルキルおよび
(g)HET2(ここで、HET2は、O、SおよびNR8(ここで、R8は、独立して、HまたはC1−5アルキルである。)から選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜7員の芳香族もしくは非芳香族環を表し、該HET2は、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、ハロまたはC1−4アルキルから、独立して選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。);
各R4は、独立して、H、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシよりなる群から選ばれ、該C1−6アルキルおよびC1−4アルコキシは、所望により、オキソにより置換されていてもよく、更に、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよく;
R5は、H、フェニル、ナフチル、C1−6アルキル(これは、所望により、OR12および1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびC5−7シクロアルキル(これは、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。)よりなる群から選ばれ、
ここで、R12は、H、C1−5アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)およびベンジル(これは、ハロ、C1−4アルキルおよびC1−4アルコキシから、独立して選ばれる1〜3個の置換基により、所望により置換されていてもよい。)よりなる群から選ばれ、
R13は、HまたはC1−4アルキル(これは、所望により、1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)である;
R6はHを表し;
あるいは、R5とR6とが一緒になって、4〜7員環を表し、該環は、O、SおよびNR13から選ばれる1個のヘテロ原子を、所望により含有していてもよい。]
により表される化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項10】
R1が、
(1)ハロ、
(2)C1−4アルキルまたはC1−4アルコキシ(これらはそれぞれ、所望により、オキソおよび1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)、および
(3)HET3(ここで、HET3は、O、SおよびNから選ばれる1〜4個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員の芳香族もしくは非芳香族環またはそのベンゾ縮合類似体であり、これは、独立してハロおよびC1−4アルキルから選ばれる1〜2個の置換基により、所望により置換されていてもよく、該C1−4アルキルは1〜3個のハロ基により置換されていてもよい。)
よりなる群から選ばれ、
R2および各R4が水素であり、
R5が、C1−6アルキル、フェニルおよびナフチルよりなる群から選ばれ、
R6が水素である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
HET3が、所望によりC1−4アルキルにより置換されていてもよい1,2,4−オキサジアゾールである、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
哺乳動物の細胞または組織を請求項1記載の化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法。
【請求項13】
哺乳動物の細胞または組織を請求項9記載の化合物と接触させ、活性カスパーゼ3を検出することを含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するための方法。
【請求項14】
1)サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターを細胞損傷の動物モデルに投与すること、
2)該動物を安楽死させ、該損傷細胞を摘出すること、
3)該損傷細胞をエクスビボ(ex vivo)で請求項1記載の化合物と接触させること、
4)該化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
5)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定すること
を含んでなる、細胞損傷の動物モデルにおいて、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法。
【請求項15】
1)細胞培養を、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターと接触させること、
2)該細胞培養を請求項1記載の化合物と接触させること、
3)該化合物の量を検出して、カスパーゼ3の遊離活性部位の数を測定すること、
4)該カスパーゼ3遊離活性部位の数を活性カスパーゼの全量と比較して、カスパーゼ3活性部位占拠を測定すること
を含んでなる、細胞培養内で、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠を測定するための方法。
【請求項16】
請求項1記載の化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキット。
【請求項17】
請求項9記載の化合物を含んでなる、哺乳動物の細胞または組織において活性カスパーゼ3を検出するためのキット。
【請求項18】
【化3】
である、請求項1記載の化合物またはその塩、エステルもしくは水和物。
【請求項19】
以下の表:
【表1】
から選ばれる、請求項1記載の化合物または前記のいずれかの塩、エステルもしくは水和物。
【請求項20】
哺乳動物の細胞または組織における活性カスパーゼ3の検出に使用するための、請求項1〜11、18または19のいずれか1項記載の化合物。
【請求項21】
細胞損傷の動物モデルにおける、サンプルである可逆的カスパーゼ3インヒビターのカスパーゼ3活性部位占拠の測定に使用するための、請求項1〜11、18または19のいずれか1項記載の化合物。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【公表番号】特表2006−519777(P2006−519777A)
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501408(P2006−501408)
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000152
【国際公開番号】WO2004/069773
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000152
【国際公開番号】WO2004/069773
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】
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