流体を用いた処理装置
【課題】 本発明は容器内に流体通路を介して処理筒を配置することにより、容器の外側の温度に影響されずらく、容器内での流体の対流による撹拌を防止して、一様な流れとなり、容器の母材の温度や容器内流体温度が処理温度に到達していなくても、流入する処理流体が処理温度に達していれば処理温度で処理でき、到達時間の短縮と制御性が向上し、偏差も少ない流体を用いた処理装置を得るにある。
【解決手段】 被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで流体を用いた処理装置を構成している。
【解決手段】 被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで流体を用いた処理装置を構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他、混合ガス等の処理流体を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の被処理体を洗浄、抽出、溶出、含浸等の処理を行なう流体を用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガスは高温、高圧のいわゆる超臨界状態になると溶剤性情を示し、高密度においても粘性が低く、物資の細部にまで浸入する性格を有する。このために旧来から食品の特定物質を取出す抽出(例えばコーヒーのカフェイン除去、食品の色素、臭気成分、健康要素成分の分離)
が行なわれている。高密度、低粘性を利用し精密部品の洗浄、脱脂などにも利用される。
また、樹脂やゴムなどを処理すると物質内部の特定物質を溶解して溶出させ、炭酸ガスに溶解成分を付加すると、その効果が大きい。特定成分を添加すると、その材料に成分が浸入し、含浸させることも可能となる。
これら洗浄、抽出、溶出、含浸などの処理には、目的の物理的操作は圧力、温度の精密な制御が必要で、これにより出来上がりの性能に大きく影響する。炭酸ガスの場合、超臨界では圧力、温度とも高く、容器の肉厚も厚くなり、温度設定が難しく、制御時間も長くなってしまう。これらは実用上の大きな障害となっている。
【0003】
従来のこの種の処理装置は
(1)容器温度と外気温度は相当違う場合、容器には常に外気への放熱により容器内温度は一定でない。
(2)電気ヒーター、ジャケットにより加熱する場合、加熱源として容器内処理温度より高くなければならず、特に肉厚容器では温度制御ムラや偏差が生じる。到達時間も長くなる。
(3)容器内に被処理体を装着し、内部に貯留した流体で加熱する場合でも加熱源との温度差や強制撹拌などの処理が必要となる。
(4)加熱制御した流体の流出入で主に加熱などの処理をする場合、流体を加熱源とすれば処理温度と加熱温度は同一に設定できるが、容器内は一様な流れではない。
その場合、その流体と被処理体とは均一な加熱条件で処理することが困難である。例えば金属の材料の改質には加熱条件(
加熱温度、加熱時間)の違いが影響し、材料の加熱処理後の性質にばらつきが生じる。
という欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330841
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、容器内に流体通路を介して処理筒を配置することにより、容器の外側の温度に影響されずらく、容器内での流体の対流による撹拌を防止して、一様な流れとなり、容器の母材の温度や容器内流体温度が処理温度に到達していなくても、流入する処理流体が処理温度に達していれば処理温度で処理でき、到達時間の短縮と制御性が向上し、偏差も少ない流体を用いた処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで流体を用いた処理装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで構成されているので、処理流体を一方向へ流して処理することができる。
したがって、被処理体より除去した異物を再付着させたりする不具合を確実に防止することができる。
【0010】
(2)前記(1)により、処理筒内を流れる処理流体の温度が処理温度に達していれば、処理温度で被処理体を処理することができる。
これに対し、従来のように容器温度と外気温度が相当違う場合、容器は常に外気への放熱により容器内温度が一定しなかったり、電気ヒーター、ジャケットにより加熱する場合、加熱源としての容器内処理温度より高くなければならず、特に肉厚容器では温度制御ムラや偏差が生じ、到達時間も長くなるが、本願発明は到達時間の短縮と制御性が向上し、偏差も少なくなる。
【0011】
(3)前記(1)によって、処理筒と容器との間に設けられた流体通路によって、該流体通路を流れる流体で断熱効果が得られる。
したがって、加熱時間の短縮と目的温度への調節が容易にできる。
また、流体の温度制御性がよいため、処理条件の変更を容易に行なうことができる。
【0012】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理筒内の被処理体に整流板によって、均一に処理流体に接触させることができる。
【0013】
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理筒を容器より取り外して作業を行なうことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0014】
(6)請求項4も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理流体を循環させて使用することができるので、経済的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の概略説明図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の底面図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明の処理温度になるまでかかる時間の説明図。
【図6】従来の処理温度になるまでかかる時間の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の概略説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の底面図。
【図9】図7の9−9線に沿う断面図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の概略説明図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の底面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第4の形態の概略説明図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の底面図。
【図15】図13の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第5の形態の概略説明図。
【図17】図16の17−17線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他の混合ガス等の処理流体2を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の被処理体3の異物除去、洗浄、含浸等の処理を行なう本発明の流体を用いた処理装置で、この流体を用いた処理装置1は前記被処理体3を収納して前記処理流体2を通過させることができる円筒状の処理筒4と、この処理筒4の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒4の外周部および他端部に流体通路5が形成され、処理筒4内への被処理体3の出し入れが可能な開閉扉6を有する容器7と、前記処理筒4の一端部に接続された処理流体の導入通路8と、前記処理筒4の一端部側の容器7に前記流体通路5より処理流体2をほぼ均一に導出できるように取付けられた複数個の流量計9、9、9、9を備えた分岐管10、10、10、10を有する導出通路11と、この導出通路11と前記導入通路8とを接続する接続通路12、この接続通路12に介装された処理流体の供給源13、加熱機14、除外機15、吸着器16および循環機17とからなる処理流体供給装置18と、前記処理筒4の上流部と下流部に設けられた整流板19、19と、前記容器7の外側に設けられたヒーター20や断熱材21とで構成されている。
【0018】
上記構成の流体を用いた処理装置1は開閉扉6を開放し、整流板19を処理筒4より外し、処理筒4内に被処理体3を収納し、整流板19を取付け、開閉扉6を閉じる。
次に処理流体供給装置18を作動させ、接続通路12、導入通路8、処理筒4内、流体通路5、複数個の分岐管10、10、10、10を有する導出通路11を処理流体の供給源13より供給された処理流体2を循環機17で循環させる。
この処理流体2が接続通路12を通過する際に、被処理体3を最適に処理できる温度に加熱機14で加熱されるとともに、被処理体3を通過させることで異物除去、洗浄、含浸等の処理を行ない、通過した処理流体2に含まれる異物を除外機15や吸着器16で除去する。
【0019】
このように構成された流体を用いた処理装置1は、導入通路8より処理筒4内へ処理流体2が導入され、該処理筒4と容器7との間の流体通路5を通過して導出通路11へ流れるため、図5に示すように処理温度に短時間になるとともに、処理筒4内温度と処理筒4外温度の差がほとんどないのに対し、従来のヒーター加熱の場合、処理温度になるまでに時間がかかるとともに、ヒーター加熱温度、ヒーター出力、容器平均温度が図6に示す状態となり、効率が悪い。
[発明を実施するための異なる形態]
【0020】
次に、図7ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、容器7内の流体通路5の分岐管10、10、10、10を備えた導入通路8Aを接続するとともに、処理筒4に導出通路11を接続した点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、容器7の一端部に処理筒4を支持する導入通路8に接続されたパッキング22を設けた円筒状の支持台23を設け、この支持台23に押し付けて、少し回転させることにより係合状態となる係合溝24、24、24と係合片25、25、25と着脱可能な係合手段26を設けた点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、処理筒4内への被処理体3の出し入れを、処理筒4を容器7より外して行なうことができる。
【0023】
図13ないし図15に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、処理筒4および容器7を横向きとなるようにした点で、このように構成した流体を用いた処理装置1C にしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図16および図17に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、導入通路8に処理流体の供給源13、加熱機14、コンプレッサー27を設け、該導入通路8と導出通路11を接続しないものにした点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Dにしてもよい。
【0025】
なお、前記本発明を実施するための各形態では処理流体を加熱して使用するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、処理流体供給装置18の加熱機14の代わりに冷却機を用いることにより、処理流体を冷却して使用する場合にも同様に使用することができる。
また、処理筒4や容器7を円筒以外の筒状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他の混合ガス等の処理流体を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の異物除去、洗浄、含浸等の処理を行なう流体を用いた処理装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B、1C、1D:流体を用いた処理装置、
2:処理流体、 3:被処理体、
4:処理筒、 5:流体通路、
6:開閉扉、 7:容器、
8、8A:導入通路、 9:流量計、
10:分岐管、 11:導出通路、
12:接続通路、 13:処理流体の供給源、
14:加熱機、 15:除外機、
16:吸着器、 17:循環機、
18:処理流体供給装置、 19:整流板、
20:ヒーター、 21:断熱材、
22:パッキング、 23:支持台、
24:係合溝、 25:係合片、
26:係合手段、 27:コンプレッサー。
【技術分野】
【0001】
本発明は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他、混合ガス等の処理流体を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の被処理体を洗浄、抽出、溶出、含浸等の処理を行なう流体を用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
炭酸ガスは高温、高圧のいわゆる超臨界状態になると溶剤性情を示し、高密度においても粘性が低く、物資の細部にまで浸入する性格を有する。このために旧来から食品の特定物質を取出す抽出(例えばコーヒーのカフェイン除去、食品の色素、臭気成分、健康要素成分の分離)
が行なわれている。高密度、低粘性を利用し精密部品の洗浄、脱脂などにも利用される。
また、樹脂やゴムなどを処理すると物質内部の特定物質を溶解して溶出させ、炭酸ガスに溶解成分を付加すると、その効果が大きい。特定成分を添加すると、その材料に成分が浸入し、含浸させることも可能となる。
これら洗浄、抽出、溶出、含浸などの処理には、目的の物理的操作は圧力、温度の精密な制御が必要で、これにより出来上がりの性能に大きく影響する。炭酸ガスの場合、超臨界では圧力、温度とも高く、容器の肉厚も厚くなり、温度設定が難しく、制御時間も長くなってしまう。これらは実用上の大きな障害となっている。
【0003】
従来のこの種の処理装置は
(1)容器温度と外気温度は相当違う場合、容器には常に外気への放熱により容器内温度は一定でない。
(2)電気ヒーター、ジャケットにより加熱する場合、加熱源として容器内処理温度より高くなければならず、特に肉厚容器では温度制御ムラや偏差が生じる。到達時間も長くなる。
(3)容器内に被処理体を装着し、内部に貯留した流体で加熱する場合でも加熱源との温度差や強制撹拌などの処理が必要となる。
(4)加熱制御した流体の流出入で主に加熱などの処理をする場合、流体を加熱源とすれば処理温度と加熱温度は同一に設定できるが、容器内は一様な流れではない。
その場合、その流体と被処理体とは均一な加熱条件で処理することが困難である。例えば金属の材料の改質には加熱条件(
加熱温度、加熱時間)の違いが影響し、材料の加熱処理後の性質にばらつきが生じる。
という欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−330841
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、容器内に流体通路を介して処理筒を配置することにより、容器の外側の温度に影響されずらく、容器内での流体の対流による撹拌を防止して、一様な流れとなり、容器の母材の温度や容器内流体温度が処理温度に到達していなくても、流入する処理流体が処理温度に達していれば処理温度で処理でき、到達時間の短縮と制御性が向上し、偏差も少ない流体を用いた処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで流体を用いた処理装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
【0009】
(1)被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とで構成されているので、処理流体を一方向へ流して処理することができる。
したがって、被処理体より除去した異物を再付着させたりする不具合を確実に防止することができる。
【0010】
(2)前記(1)により、処理筒内を流れる処理流体の温度が処理温度に達していれば、処理温度で被処理体を処理することができる。
これに対し、従来のように容器温度と外気温度が相当違う場合、容器は常に外気への放熱により容器内温度が一定しなかったり、電気ヒーター、ジャケットにより加熱する場合、加熱源としての容器内処理温度より高くなければならず、特に肉厚容器では温度制御ムラや偏差が生じ、到達時間も長くなるが、本願発明は到達時間の短縮と制御性が向上し、偏差も少なくなる。
【0011】
(3)前記(1)によって、処理筒と容器との間に設けられた流体通路によって、該流体通路を流れる流体で断熱効果が得られる。
したがって、加熱時間の短縮と目的温度への調節が容易にできる。
また、流体の温度制御性がよいため、処理条件の変更を容易に行なうことができる。
【0012】
(4)請求項2も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理筒内の被処理体に整流板によって、均一に処理流体に接触させることができる。
【0013】
(5)請求項3も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理筒を容器より取り外して作業を行なうことができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0014】
(6)請求項4も前記(1)〜(3)と同様な効果が得られるとともに、処理流体を循環させて使用することができるので、経済的に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の概略説明図。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の平面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の底面図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明の処理温度になるまでかかる時間の説明図。
【図6】従来の処理温度になるまでかかる時間の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の概略説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の底面図。
【図9】図7の9−9線に沿う断面図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の概略説明図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の底面図。
【図12】図10の12−12線に沿う断面図。
【図13】本発明を実施するための第4の形態の概略説明図。
【図14】本発明を実施するための第4の形態の底面図。
【図15】図13の15−15線に沿う断面図。
【図16】本発明を実施するための第5の形態の概略説明図。
【図17】図16の17−17線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0017】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他の混合ガス等の処理流体2を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の被処理体3の異物除去、洗浄、含浸等の処理を行なう本発明の流体を用いた処理装置で、この流体を用いた処理装置1は前記被処理体3を収納して前記処理流体2を通過させることができる円筒状の処理筒4と、この処理筒4の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒4の外周部および他端部に流体通路5が形成され、処理筒4内への被処理体3の出し入れが可能な開閉扉6を有する容器7と、前記処理筒4の一端部に接続された処理流体の導入通路8と、前記処理筒4の一端部側の容器7に前記流体通路5より処理流体2をほぼ均一に導出できるように取付けられた複数個の流量計9、9、9、9を備えた分岐管10、10、10、10を有する導出通路11と、この導出通路11と前記導入通路8とを接続する接続通路12、この接続通路12に介装された処理流体の供給源13、加熱機14、除外機15、吸着器16および循環機17とからなる処理流体供給装置18と、前記処理筒4の上流部と下流部に設けられた整流板19、19と、前記容器7の外側に設けられたヒーター20や断熱材21とで構成されている。
【0018】
上記構成の流体を用いた処理装置1は開閉扉6を開放し、整流板19を処理筒4より外し、処理筒4内に被処理体3を収納し、整流板19を取付け、開閉扉6を閉じる。
次に処理流体供給装置18を作動させ、接続通路12、導入通路8、処理筒4内、流体通路5、複数個の分岐管10、10、10、10を有する導出通路11を処理流体の供給源13より供給された処理流体2を循環機17で循環させる。
この処理流体2が接続通路12を通過する際に、被処理体3を最適に処理できる温度に加熱機14で加熱されるとともに、被処理体3を通過させることで異物除去、洗浄、含浸等の処理を行ない、通過した処理流体2に含まれる異物を除外機15や吸着器16で除去する。
【0019】
このように構成された流体を用いた処理装置1は、導入通路8より処理筒4内へ処理流体2が導入され、該処理筒4と容器7との間の流体通路5を通過して導出通路11へ流れるため、図5に示すように処理温度に短時間になるとともに、処理筒4内温度と処理筒4外温度の差がほとんどないのに対し、従来のヒーター加熱の場合、処理温度になるまでに時間がかかるとともに、ヒーター加熱温度、ヒーター出力、容器平均温度が図6に示す状態となり、効率が悪い。
[発明を実施するための異なる形態]
【0020】
次に、図7ないし図17に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0021】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、容器7内の流体通路5の分岐管10、10、10、10を備えた導入通路8Aを接続するとともに、処理筒4に導出通路11を接続した点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Aにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0022】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、容器7の一端部に処理筒4を支持する導入通路8に接続されたパッキング22を設けた円筒状の支持台23を設け、この支持台23に押し付けて、少し回転させることにより係合状態となる係合溝24、24、24と係合片25、25、25と着脱可能な係合手段26を設けた点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られるとともに、処理筒4内への被処理体3の出し入れを、処理筒4を容器7より外して行なうことができる。
【0023】
図13ないし図15に示す本発明を実施するための第4の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、処理筒4および容器7を横向きとなるようにした点で、このように構成した流体を用いた処理装置1C にしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0024】
図16および図17に示す本発明を実施するための第5の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、導入通路8に処理流体の供給源13、加熱機14、コンプレッサー27を設け、該導入通路8と導出通路11を接続しないものにした点で、このように構成した流体を用いた処理装置1Dにしてもよい。
【0025】
なお、前記本発明を実施するための各形態では処理流体を加熱して使用するものについて説明したが、本発明はこれに限らず、処理流体供給装置18の加熱機14の代わりに冷却機を用いることにより、処理流体を冷却して使用する場合にも同様に使用することができる。
また、処理筒4や容器7を円筒以外の筒状に形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は炭酸ガス、超臨界炭酸ガス、窒素ガス、その他の混合ガス等の処理流体を用いてフィルターエレメント、樹脂、活性炭等の異物除去、洗浄、含浸等の処理を行なう流体を用いた処理装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0027】
1、1A、1B、1C、1D:流体を用いた処理装置、
2:処理流体、 3:被処理体、
4:処理筒、 5:流体通路、
6:開閉扉、 7:容器、
8、8A:導入通路、 9:流量計、
10:分岐管、 11:導出通路、
12:接続通路、 13:処理流体の供給源、
14:加熱機、 15:除外機、
16:吸着器、 17:循環機、
18:処理流体供給装置、 19:整流板、
20:ヒーター、 21:断熱材、
22:パッキング、 23:支持台、
24:係合溝、 25:係合片、
26:係合手段、 27:コンプレッサー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とからなることを特徴とする流体を用いた処理装置。
【請求項2】
処理筒の両端部には整流板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【請求項3】
処理筒は容器以内に着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【請求項4】
導入あるいは導出通路と導出あるいは導入通路は接続され、この接続通路に超臨界流体、超臨界炭酸ガス、高圧窒素、その他の混合ガス等の処理流体の供給源、加熱機、除外機、吸着器および循環機を設けた処理流体供給装置が介装されていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【請求項1】
被処理体を収納して処理流体を通過させることができる筒状の処理筒と、この処理筒の一端部の外周部に密封状態で取付けられた、該処理筒の外周部および他端部に流体通路が形成され、処理筒内への被処理体の出し入れが可能な開閉扉を有する容器と、前記処理筒の一端部に接続された処理流体の導入あるいは導出通路と、前記処理筒の一端部側の容器に接続された処理流体の導出あるいは導入通路と、この処理流体の導入通路に接続された処理流体供給装置とからなることを特徴とする流体を用いた処理装置。
【請求項2】
処理筒の両端部には整流板が設けられていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【請求項3】
処理筒は容器以内に着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【請求項4】
導入あるいは導出通路と導出あるいは導入通路は接続され、この接続通路に超臨界流体、超臨界炭酸ガス、高圧窒素、その他の混合ガス等の処理流体の供給源、加熱機、除外機、吸着器および循環機を設けた処理流体供給装置が介装されていることを特徴とする請求項1記載の流体を用いた処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−221146(P2010−221146A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−71949(P2009−71949)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000187149)昭和炭酸株式会社 (60)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000187149)昭和炭酸株式会社 (60)
【Fターム(参考)】
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