説明

流体シリンダ装置

【解決手段】各油圧シリンダ1,2をピストンロッド5の往復動方向Xに対し交差する方向Yへ並設して、各油圧シリンダ1,2のシリンダチューブ3を連結部8により互いに固定している。一方の油圧シリンダ1の往動用流体室6と他方の油圧シリンダ2の往動用流体室6とを往動用流体路(往動用通路9及び往動用環路15)により互いに接続するとともに、一方の油圧シリンダ1の復動用流体室7と他方の油圧シリンダ2の復動用流体室7とを復動用流体路(復動用通路10及び復動用環路16)により互いに接続している。連結部8には往動用流体路の一部である往動用通路9を設けるとともに復動用流体路の一部である復動用通路10を設けている。
【効果】往動用流体路及び復動用流体路の一部として兼用した連結部8に給排管や管継手などとしての機能をも持たせて、各油圧シリンダ1,2の周りで配管構造を簡略化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複数の流体シリンダを備えた流体シリンダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体シリンダ装置では、複数の流体シリンダが、例えば下記特許文献1に示すように、ピストンロッドの往復動方向に対し直交する方向へ並列的に配設されたり、ピストンロッドの往復動方向へ直列的に配設されて、それらの流体シリンダが互いに協働して機能するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−232662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
各流体シリンダにおいては、それぞれ、シリンダチューブ内でピストンにより区画された各流体室に流体の給排管が接続されている。その各給排管は、流体シリンダごとにそれぞれ別々に配設されたり、流体シリンダ間で互いに兼用して配設されたりしている。いずれの場合にも、各給排管は各流体シリンダの周りにコンパクトに配設する必要があるため、各流体シリンダの周りに各給排管を直接溶接したり、複数の管継手を溶接または螺着してその各管継手に給排管を溶接または螺着したりしていた。そのため、給排管や管継手や溶接箇所などについてそれらの数が増え、配管の作業効率が悪くなるばかりでなく、各流体シリンダの周りで配管構造が複雑になっていた。
【0005】
この発明は、このような流体シリンダ装置において各流体シリンダの周りで配管構造を簡略化することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
後記実施形態(図1〜2に示す第1実施形態、図3〜5に示す第2実施形態)の図面の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる流体シリンダ装置は、第1〜2実施形態に対応し、下記のように構成されている。
【0007】
流体シリンダ装置は複数の流体シリンダ(1,2)を備えている。各流体シリンダ(1,2)は、シリンダチューブ(3)と、シリンダチューブ(3)内で往復動可能に挿嵌されたピストン(4)と、ピストン(4)に連結されてシリンダチューブ(3)の外側に突出するピストンロッド(5)と、シリンダチューブ(3)内でピストン(4)により区画された往動用流体室(6)と復動用流体室(7)とを有している。各流体シリンダ(1,2)をピストンロッド(5)の往復動方向(X)に対し交差する方向(Y)へ並設して、各流体シリンダ(1,2)のシリンダチューブ(3)を連結部(8)により互いに固定している。各流体シリンダ(1,2)のうち、一方の流体シリンダ(1)の往動用流体室(6)と他方の流体シリンダ(2)の往動用流体室(6)とを往動用流体路(9,15,20)により互いに接続するとともに、一方の流体シリンダ(1)の復動用流体室(7)と他方の流体シリンダ(2)の復動用流体室(7)とを復動用流体路(10,16,21)により互いに接続している。前記連結部(8)には前記往動用流体路の一部である往動用通路(9)を設けるとともに前記復動用流体路の一部である復動用通路(10)を設けている。なお、この連結部(8)には往動用流体路(9,15,20)に対する給排口(15a,9a)と復動用流体路(10,16,21)に対する給排口(16a,10a)とを設けている。
【0008】
請求項1の発明では、一方の流体シリンダ(1)と他方の流体シリンダ(2)とをピストンロッド(5)の往復動方向(X)に対し交差する方向(Y)へ並列的に配設したので、ピストンロッド(5)の往復動方向(X)における長さを短くしたコンパクトな流体シリンダ装置を提供することができる。しかも、各流体シリンダ(1,2)のシリンダチューブ(3)を互いに固定する場合に必要な連結部(8)を往動用流体路(9,15,20)及び復動用流体路(10,16,21)の一部として兼用したので、その連結部(8)に給排管や管継手などとしての機能をも持たせて、各流体シリンダ(1,2)の周りで配管構造を簡略化することができる。
【0009】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明(第1〜2実施形態に対応)において、前記一方の流体シリンダ(1)のピストンロッド(5)の往動向き(XF)と前記他方の流体シリンダ(2)のピストンロッド(5)の往動向き(XF)とは互いに逆向きに設定されているとともに、前記一方の流体シリンダ(1)のピストンロッド(5)の復動向き(XB)と前記他方の流体シリンダ(2)のピストンロッド(5)の復動向き(XB)とは互いに逆向きに設定されている。請求項2の発明では、請求項1の発明によりコンパクト化した流体シリンダ装置において、一方の流体シリンダ(1)と他方の流体シリンダ(2)とをピストンロッド(5)の往復動方向(X)へ直列的に配設する場合と同じ往復動ストロ−クを得ることができる。
【0010】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請3項の発明(第1実施形態に対応)において、前記連結部(8)は、前記一方の流体シリンダ(1)のシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)間の中間部と、前記他方の流体シリンダ(2)のシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)間の中間部との間で固定されている。なお、この連結部(8)には往動用流体路(9,15)に対する給排口(15a)と復動用流体路(10,16)に対する給排口(16a)とを設けている。請求項3の発明では、各流体シリンダ(1,2)の中間部に設けた連結部(8)に前記往動用流体路の一部である往動用通路(9)と前記復動用流体路の一部である復動用通路(10)とを設けるだけでよいため、それらの流体路を簡単にすることができる。
【0011】
請求項3の発明を前提とする請求項4の発明にかかる流体シリンダ装置は、第1実施形態に対応し、下記のように構成されている。
前記各流体シリンダ(1,2)においてシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)と前記連結部(8)との間にはそれぞれシリンダチューブ(3)の外周を囲う管筒(13,14)を設けている。その両管筒(13,14)のうち、一方の管筒(14)の内側とシリンダチューブ(3)の外側との間には前記連結部(8)の往動用通路(9)に連通する往動用環路(15)を設けるとともに、他方の管筒(13)の内側とシリンダチューブ(3)の外側との間には前記連結部(8)の復動用通路(10)に連通する復動用環路(16)を設けている。前記往動用流体路は一方の流体シリンダ(1)の往動用環路(15)と他方の流体シリンダ(2)の往動用環路(15)とそれらの往動用環路(15)を連通する前記連結部(8)の往動用通路(9)とを有している。前記復動用流体路は一方の流体シリンダ(1)の復動用環路(16)と他方の流体シリンダ(2)の復動用環路(16)とそれらの復動用環路(16)を連通する前記連結部(8)の復動用通路(10)とを有している。請求項4の発明では、各流体シリンダ(1,2)の往動用流体路と復動用流体路としての配管をなくしてそれらの流体路をコンパクトにまとめることができる。
【0012】
請求項3または請求項4の発明を前提とする請求項5の発明(第1実施形態に対応)において、前記連結部(8)は、一方の流体シリンダ(1)におけるシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)間の中間部に固定された分割部(8a)と、他方の流体シリンダ(2)におけるシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)間の中間部に固定された分割部(8b)とを有し、それらの分割部(8a,8b)にはそれぞれ往動用通路(9)と復動用通路(10)とを設け、各分割部(8a,8b)を互いに接合した際に、それぞれの往動用通路(9)が互いに接続されるとともに、それぞれの復動用通路(10)が互いに接続される。請求項5の発明では、連結部(8)を各分割部(8a,8b)に分割することができるので、往動用通路(9)と復動用通路(10)とを連結部(8)に形成する作業が容易になる。
【0013】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項6の発明(第2実施形態に対応)において、前記連結部(8)は、前記一方の流体シリンダ(1)のシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)と、前記他方の流体シリンダ(2)のシリンダチューブ(3)の両端部(3a,3b)とのうち、互いに隣接する一端部(3a,3b)間で固定された挟持部(17)と、互いに隣接する他端部(3b,3a)間で固定された挟持部(18)とを有し、それらのシリンダチューブ(3)はそれらの挟持部(17,18)間に配設され、一端部(3a)側の挟持部(17)に設けた往動用通路(9)と他端部(3b)側の挟持部(18)に設けた往動用通路(9)とを往動用流体路の一部である往動用接続路(20)により互いに接続するとともに、一端部(3a)側の挟持部(17)に設けた復動用通路(10)と他端部(3b)側の挟持部(18)に設けた復動用通路(10)とを復動用流体路の一部である復動用接続路(21)により互いに接続している。なお、この連結部(8)の挟持部(18)には往動用流体路(9,20)に対する給排口(9a)と復動用流体路(10,21)に対する給排口(10a)とを設けている。請求項6の発明では、各流体シリンダ(1,2)の両端部(3a,3b)に設けた連結部(8)の挟持部(17,18)に前記往動用流体路の一部である往動用通路(9)と前記復動用流体路の一部である復動用通路(10)とを設けるだけでよいため、それらの流体路を簡単にすることができる。
【0014】
請求項6の発明を前提とする請求項7の発明(第2実施形態に対応)において、前記往動用流体路の往動用接続路(20)及び前記復動用流体路の復動用接続路(21)は、前記両挟持部(17,18)の相対向面間でなす区域(S)の内側に配設されている。請求項7の発明では、この往動用流体路の往動用接続路(20)及び復動用流体路の復動用接続路(21)を両挟持部(17,18)間でまとめて流体シリンダ装置をコンパクトにすることができる。
【0015】
請求項6または請求項7の発明を前提とする請求項8の発明(第2実施形態に対応)において、一方の流体シリンダ(1)のシリンダチューブ(3)及び他方の流体シリンダ(2)のシリンダチューブ(3)は、前記両挟持部(17,18)の相対向面間でなす区域(S)の内側に配設されている。請求項8の発明では、各シリンダチューブ(3)を両挟持部(17,18)間でまとめて流体シリンダ装置をコンパクトにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、各流体シリンダ(1,2)を並列的に配設してコンパクト化した流体シリンダ装置において、各流体シリンダ(1,2)を互いに固定する連結部(8)に往動用流体路(9,15,20)及び復動用流体路(10,16,21)の一部を設けたので、各流体シリンダ(1,2)の周りで配管構造を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)は本発明の第1実施形態にかかる油圧シリンダ装置(流体シリンダ装置)を示す正面図であり、(b)は同じく底面図であり、(c)は同じく左側面図であり、(d)は同じく右側面図である。
【図2】図1(a)の油圧シリンダ装置を正面側から見た断面図である。
【図3】(a)は本発明の第2実施形態にかかる油圧シリンダ装置(流体シリンダ装置)を示す正面図であり、(b)は同じく底面図であり、(c)は同じく左側面図であり、(d)は同じく右側面図である。
【図4】図3(a)の油圧シリンダ装置を正面側から見た断面図である。
【図5】図3(a)の油圧シリンダ装置を背面側から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、本発明の第1実施形態にかかる油圧シリンダ装置(流体シリンダ装置)について図1〜2を参照して説明する。
油圧シリンダ装置は一対の油圧シリンダ1,2を備えている。各油圧シリンダ1,2は、シリンダチューブ3と、シリンダチューブ3内で往復動可能に挿嵌されたピストン4と、ピストン4に連結されてシリンダチューブ3の頭部3aの外側に突出するピストンロッド5と、シリンダチューブ3内でピストン4により区画された往動用流体室6と復動用流体室7とを有し、ピストンロッド5の往復動方向Xに対し交差する方向Yへ並設されている。各ピストンロッド5の突出向きは互いに逆向きになっているため、各油圧シリンダ1,2のピストンロッド5の往復動方向Xにおいて、油圧シリンダ1のピストンロッド5の往動向きXFと油圧シリンダ2のピストンロッド5の往動向きXFとは互いに逆向きに設定されているとともに、油圧シリンダ1のピストンロッド5の復動向きXBと油圧シリンダ2のピストンロッド5の復動向きXBとは互いに逆向きに設定されている。
【0019】
油圧シリンダ1のシリンダチューブ3の頭部3aと尻部3bとの間の中間部(往復動方向Xの中央部)と、油圧シリンダ2のシリンダチューブ3の頭部3aと尻部3bとの間の中間部(往復動方向Xの中央部)とが、一つの連結部8により互いに固定されている。連結部8は、油圧シリンダ1のシリンダチューブ3に固定された分割部8aと、油圧シリンダ2のシリンダチューブ3に固定された分割部8bとを有している。それらの分割部8a,8bにはそれぞれ往動用通路9と復動用通路10とが形成されている。各分割部8a,8bを互いに接合して一つの連結部8とした際に、それぞれの往動用通路9が互いに接続されるとともに、それぞれの復動用通路10が互いに接続され、往動用通路9と復動用通路10とは互いに別々のものとして図面上交差している。
【0020】
各油圧シリンダ1,2においてシリンダチューブ3の頭部3a及び尻部3bに設けられたチューブカバー11,12と連結部8(分割部8a,8b)との間にはそれぞれシリンダチューブ3の外周を囲う管筒13,14が設けられている。両管筒13,14のうち、管筒14の内側とシリンダチューブ3の外側との間には往動用流体路の一部としての往動用環路15が設けられ、管筒13の内側とシリンダチューブ3の外側との間には復動用流体路の一部としての復動用環路16が設けられている。各往動用環路15は、連結部8の往動用通路9に連通しているとともに、各油圧シリンダ1,2の往動用流体室6に口部6aを介して連通している。各復動用環路16は、連結部8の復動用通路10に連通しているとともに、各油圧シリンダ1,2の復動用流体室7に口部7aを介して連通している。油圧シリンダ2側の分割部8bには往動用環路15の給排口15aと復動用環路16の給排口16aとがそれぞれ形成されている。
【0021】
さて、図2に示すように各ピストンロッド5の突出量が最も小さくなった後退状態で、連結部8の給排口15aから供給された油は、油圧シリンダ2において往動用環路15から往動用流体室6に至るとともに、その往動用環路15から連結部8の往動用通路9を通り、油圧シリンダ1において往動用環路15から往動用流体室6に至る。従って、各油圧シリンダ1,2において往動用流体室6の圧力が上昇し、各ピストンロッド5の突出量が最も大きくなる前進状態となる。その際、各油圧シリンダ1,2において復動用流体室7の圧力が下降し、余分な油は連結部8の給排口16aから排出される。
【0022】
各ピストンロッド5の突出量が最も大きくなった前進状態で、連結部8の給排口16aから供給された油は、油圧シリンダ2において復動用環路16から復動用流体室7に至るとともに、その復動用環路16から連結部8の復動用通路10を通り、油圧シリンダ1において復動用環路16から復動用流体室7に至る。従って、図2に示すように各ピストンロッド5の突出量が最も小さくなる後退状態となる。その際、各油圧シリンダ1,2において往動用流体室6の圧力が下降し、余分な油は連結部8の給排口15aから排出される。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態にかかる油圧シリンダ装置(流体シリンダ装置)について第1実施形態との相違点を中心に図3〜5を参照して説明する。
油圧シリンダ1のシリンダチューブ3の頭部3a(一端部)と油圧シリンダ2のシリンダチューブ3の尻部3b(一端部)とは互いに隣接し、その頭部3aと尻部3bとがシリンダチューブ3のカバーを兼用する連結部8の挟持部17により固定されている。また、油圧シリンダ1のシリンダチューブ3の尻部3b(他端部)と油圧シリンダ2のシリンダチューブ3の頭部3a(他端部)とは互いに隣接し、その尻部3bと頭部3aとがシリンダチューブ3のカバーを兼用する連結部8の挟持部18により固定されている。各油圧シリンダ1,2のシリンダチューブ3は、連結部8においてタイロッド19により互いに連結された挟持部17,18間に配設されている。油圧シリンダ1のピストンロッド5はシリンダチューブ3の頭部3aから連結部8の挟持部17を貫通して外側へ突出しているとともに、油圧シリンダ2のピストンロッド5はシリンダチューブ3の頭部3aから連結部8の挟持部18を貫通して外側へ突出し、それらのピストンロッド5の突出向きは互いに逆向きになっている。そのため、各油圧シリンダ1,2のピストンロッド5の往復動方向Xにおいて、油圧シリンダ1のピストンロッド5の往動向きXFと油圧シリンダ2のピストンロッド5の往動向きXFとは互いに逆向きに設定されているとともに、油圧シリンダ1のピストンロッド5の復動向きXBと油圧シリンダ2のピストンロッド5の復動向きXBとは互いに逆向きに設定されている。
【0024】
連結部8の挟持部17と連結部8の挟持部18とには、それぞれ、往動用流体路の一部としての往動用通路9と復動用通路10とが形成され、挟持部18で往動用通路9の給排口9aと復動用通路10の給排口10aとが形成されている。油圧シリンダ1において、挟持部17の往動用通路9は口部6aを介して往動用流体室6に接続され、挟持部18の復動用通路10は復動用流体室7に口部7aを介して接続されている。油圧シリンダ2において、挟持部18の往動用通路9は往動用流体室6に口部6aを介して接続され、挟持部17の復動用通路10は復動用流体室7に口部7aを介して接続されている。挟持部17の往動用通路9と挟持部18の往動用通路9とは往動用流体路の一部としての金属管やフレックス管などの往動用接続路20により互いに接続されている。挟持部17の復動用通路10と挟持部18の復動用通路10とは復動用流体路の一部としての金属管や可撓管などの復動用接続路21により互いに接続されている。各シリンダチューブ3と往動用接続路20及び復動用接続路21とは、両挟持部17,18の相対向面間でなす区域Sの内側に配設されている。
【0025】
さて、図4,5に示すように各ピストンロッド5の突出量が最も小さくなった後退状態で、連結部8(挟持部18)の給排口9aから供給された油は、油圧シリンダ1において連結部8(挟持部18)の往動用通路9から往動用流体室6に至るとともに、その往動用通路9から往動用接続路20を通り、油圧シリンダ2において連結部8(挟持部17)の往動用通路9から往動用流体室6に至る。従って、各油圧シリンダ1,2において往動用流体室6の圧力が上昇し、各ピストンロッド5の突出量が最も大きくなる前進状態となる。その際、各油圧シリンダ1,2において復動用流体室7の圧力が下降し、余分な油は連結部8(挟持部18)の給排口10aから排出される。
【0026】
各ピストンロッド5の突出量が最も大きくなった前進状態で、連結部8(挟持部18)の給排口10aから供給された油は、油圧シリンダ2において連結部8(挟持部18)の復動用通路10から復動用流体室7に至るとともに、その復動用通路10から復動用接続路21を通り、油圧シリンダ1において連結部8(挟持部17)の復動用通路10から復動用流体室7に至る。従って、各油圧シリンダ1,2において復動用流体室7の圧力が上昇し、図4,5に示すように各ピストンロッド5の突出量が最も小さくなる後退状態となる。その際、各油圧シリンダ1,2において往動用流体室6の圧力が下降し、余分な油は連結部8(挟持部18)の給排口9aから排出される。
【0027】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 第1,2実施形態では、油圧シリンダ1と油圧シリンダ2とをピストンロッド5の往復動方向Xに対し交差する方向Yへ並列的に配設したので、各油圧シリンダをピストンロッドの往復動方向へ直列的に配設する場合と比較して、ピストンロッド5の往復動方向Xにおける長さを短くしてコンパクトにすることができる。
【0028】
(2) 第1,2実施形態では、油圧シリンダ1と油圧シリンダ2とについては、ピストンロッド5の往動向きXFを互いに逆向きに設定するとともに、ピストンロッド5の復動向きXBを互いに逆向きに設定しているので、前述したように油圧シリンダ装置をコンパクト化した場合にも、各油圧シリンダをピストンロッドの往復動方向へ直列的に配設する場合と同じ往復動ストロ−クを得ることができる。
【0029】
(3) 第1実施形態では、各油圧シリンダ1,2の中間部に設けた連結部8に往動用流体路の一部である往動用通路9と復動用流体路の一部である復動用通路10とを設けて往動用流体路及び復動用流体路の一部として兼用したので、その連結部8に給排管や管継手などとしての機能をも持たせて、各油圧シリンダ1,2の周りで配管構造を簡略化することができる。
【0030】
(4) 第2実施形態では、各油圧シリンダ1,2の頭部3a及び尻部3bに設けた連結部8の挟持部17,18に往動用流体路の一部である往動用通路9と復動用流体路の一部である復動用通路10とを設けて往動用流体路及び復動用流体路の一部として兼用したので、その連結部8の挟持部17,18に給排管や管継手などとしての機能をも持たせて、各油圧シリンダ1,2の周りで配管構造を簡略化することができる。
【0031】
(5) 第1実施形態では、各油圧シリンダ1,2のシリンダチューブ3の外周を囲う管筒13,14により往動用環路15及び復動用環路16を往動用流体路及び復動用流体路の一部として設けたので、各油圧シリンダ1,2の往動用流体路と復動用流体路としての配管をなくしてそれらの流体路をコンパクトにまとめることができる。
【0032】
(6) 第1実施形態では、連結部8を各分割部8a,8bに分割することができるので、往動用通路9と復動用通路10とを連結部8に形成する作業が容易になる。
(7) 第2実施形態では、往動用流体路の往動用接続路20及び復動用流体路の復動用接続路21と各シリンダチューブ3とを連結部8の両挟持部17,18の相対向面間でなす区域Sの内側にまとめて油圧シリンダ装置をコンパクトにすることができる。
【0033】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 第1,2実施形態においては、各油圧シリンダ1,2を備えた油圧シリンダ装置以外に、各空気圧シリンダを備えた空気圧シリンダ装置などの流体シリンダ装置に応用することができる。
【0034】
・ 第1,2実施形態においては、油圧シリンダ1と油圧シリンダ2とについては、ピストンロッド5の往動向きXFを互いに逆向きに設定するとともに、ピストンロッド5の復動向きXBを互いに逆向きに設定しているが、その往動向きXFを互いに同じ向きに設定するとともに、その復動向きXBを互いに同じ向きに設定することができる。
【0035】
・ 第1,2実施形態においては、一つの油圧シリンダ1と一つの油圧シリンダ2とを互いに並列させて連結部8により固定しているが、一つの油圧シリンダ1と複数の油圧シリンダ2とを互いに並列させて連結部8により固定したり、複数の油圧シリンダ1と複数の油圧シリンダ2とを互いに並列させて連結部8により固定することができる。
【0036】
・ 第1実施形態においては、往動用環路15及び復動用環路16に代えて、往動用流体路及び復動用流体路の一部としての金属管やフレックス管を設けることができる。
【符号の説明】
【0037】
1,2…油圧シリンダ(流体シリンダ)、3…シリンダチューブ、3a…頭部(一端部または他端部)、3b…尻部(他端部または一端部)、4…ピストン、5…ピストンロッド、6…往動用流体室、7…復動用流体室、8…連結部、8a,8b…連結部の分割部、9…連結部の往動用通路、10…連結部の復動用通路、13,14…管筒、15…往動用環路、16…復動用環路、17,18…連結部の挟持部、20…往動用接続路、21…復動用接続路、X…ピストンロッドの往復動方向、XF…ピストンロッドの往動向き、XB…ピストンロッドの復動向き、S…区域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブと、シリンダチューブ内で往復動可能に挿嵌されたピストンと、ピストンに連結されてシリンダチューブの外側に突出するピストンロッドと、シリンダチューブ内でピストンにより区画された往動用流体室と復動用流体室とを有する流体シリンダを複数備え、
各流体シリンダをピストンロッドの往復動方向に対し交差する方向へ並設して、各流体シリンダのシリンダチューブを連結部により互いに固定し、
各流体シリンダのうち、一方の流体シリンダの往動用流体室と他方の流体シリンダの往動用流体室とを往動用流体路により互いに接続するとともに、一方の流体シリンダの復動用流体室と他方の流体シリンダの復動用流体室とを復動用流体路により互いに接続し、
前記連結部には前記往動用流体路の一部である往動用通路を設けるとともに前記復動用流体路の一部である復動用通路を設けた
ことを特徴とする流体シリンダ装置。
【請求項2】
前記一方の流体シリンダにおけるピストンロッドの往動向きと前記他方の流体シリンダにおけるピストンロッドの往動向きとは互いに逆向きに設定されているとともに、前記一方の流体シリンダにおけるピストンロッドの復動向きと前記他方の流体シリンダにおけるピストンロッドの復動向きとは互いに逆向きに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の流体シリンダ装置。
【請求項3】
前記連結部は、前記一方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部間の中間部と、前記他方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部間の中間部との間で固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体シリンダ装置。
【請求項4】
前記各流体シリンダにおいてシリンダチューブの両端部と前記連結部との間にはそれぞれシリンダチューブの外周を囲う管筒を設け、その両管筒のうち、一方の管筒の内側とシリンダチューブの外側との間には前記連結部の往動用通路に連通する往動用環路を設けるとともに、他方の管筒の内側とシリンダチューブの外側との間には前記連結部の復動用通路に連通する復動用環路を設け、
前記往動用流体路は一方の流体シリンダの往動用環路と他方の流体シリンダの往動用環路とそれらの往動用環路を連通する前記連結部の往動用通路とを有し、
前記復動用流体路は一方の流体シリンダの復動用環路と他方の流体シリンダの復動用環路とそれらの復動用環路を連通する前記連結部の復動用通路とを有している
ことを特徴とする請求項3に記載の流体シリンダ装置。
【請求項5】
前記連結部は、一方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部間の中間部に固定された分割部と、他方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部間の中間部に固定された分割部とを有し、それらの分割部にはそれぞれ往動用通路と復動用通路とを設け、各分割部を互いに接合した際に、それぞれの往動用通路が互いに接続されるとともに、それぞれの復動用通路が互いに接続されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の流体シリンダ装置。
【請求項6】
前記連結部は、前記一方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部と、前記他方の流体シリンダにおけるシリンダチューブの両端部とのうち、互いに隣接する一端部間で固定された挟持部と、互いに隣接する他端部間で固定された挟持部とを有し、それらのシリンダチューブはそれらの挟持部間に配設され、
一端部側の挟持部に設けた往動用通路と他端部側の挟持部に設けた往動用通路とを往動用流体路の一部である往動用接続路により互いに接続するとともに、一端部側の挟持部に設けた復動用通路と他端部側の挟持部に設けた復動用通路とを復動用流体路の一部である復動用接続路により互いに接続した
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流体シリンダ装置。
【請求項7】
前記往動用流体路の往動用接続路及び前記復動用流体路の復動用接続路は、前記両挟持部の相対向面間でなす区域の内側に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の流体シリンダ装置。
【請求項8】
前記一方の流体シリンダのシリンダチューブ及び他方の流体シリンダのシリンダチューブは、前記両挟持部の相対向面間でなす区域の内側に配設されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の流体シリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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