説明

流体収容容器

【課題】ハンドリング性の高い流体収容容器を提供すること。
【解決手段】流体が収容される流体収容室を内部に有し、外面の一部に突出部が形成された筐体と、前記突出部に設けられ、前記筐体の内部に形成された第一経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室に収容された前記流体を外部に供給する流体供給口と、前記突出部に設けられ、前記第一経路とは別個に前記筐体の内部に形成された第二経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室と大気とを連通する大気連通口と、前記突出部に対して分離可能に装着され、前記流体供給口及び前記大気連通口を閉塞するキャップ部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばインクジェット型の印刷装置などは、記録ヘッドから記録媒体にインクを噴射することにより当該記録媒体に文字や画像などを記録するよう構成されている。このような流体消費装置には、例えばインクを収容したインクカートリッジなどの液体収容容器が装着される機構が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記インクカートリッジは、例えばインクが充填される収容室と、当該収容室に収容されている液体をインクジェット式記録装置に供給するための供給口と、収容室と外部とを連通する大気連通口とを備えている。供給口及び大気連通口は、収容室のインクが漏れ出さないように、それぞれ封止部材などによって封止されている。インクカートリッジは、当該封止部材を取り外した後に印刷装置に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−237720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構成においては、供給口を封止する封止部材と、大気連通口を封止する封止部材とを別個に取り外す必要があった。このため、インクカートリッジの装着に手間が掛かってしまい、ハンドリング上での問題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明は、ハンドリング性の高い流体収容容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る流体収容容器は、流体が収容される流体収容室を内部に有し、外面の一部に突出部が形成された筐体と、前記突出部に設けられ、前記筐体の内部に形成された第一経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室に収容された前記流体を外部に供給する流体供給口と、前記突出部に設けられ、前記第一経路とは別個に前記筐体の内部に形成された第二経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室と大気とを連通する大気連通口と、前記突出部に対して分離可能に装着され、前記流体供給口及び前記大気連通口を閉塞するキャップ部とを備えることを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、筐体の突出部に装着されたキャップ部を当該突出部に対して分離させることにより、流体供給口及び大気連通口が共に開放されることになる。流体供給口及び大気連通口が一動作で開放されるため、それぞれを別個に開放する場合に比べて手間を省くことができる。また、キャップ部が筐体の突出部に装着されているため、分離の際にはキャップ部を把持しやすくなる。これにより、ハンドリング性の高い流体収容容器を得ることができる。
【0009】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記突出部に装着された状態で、前記突出部のうち前記流体供給口と前記大気連通口とを含む領域に当接するように配置された閉塞部材を有することが好ましい。
このような構成によれば、突出部からキャップ部を分離することにより、流体供給口と大気連通口とを含む領域に当接するように配置されていた閉塞部材が突出部から分離されるため、流体供給口及び大気連通口が一動作で開放されることになる。これにより、手間を掛けることなく流体供給口及び大気連通口を開放することができる。
【0010】
上記の流体収容容器において、前記閉塞部材は、弾性変形可能に形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、閉塞部材が弾性変形可能に形成されているため、流体供給口及び大気連通口をより確実に閉塞させることができる。
【0011】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記突出部に対して一方向に分離可能に形成されており、前記大気連通口は、前記液体供給口よりも前記キャップ部の分離方向の上流側に配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、キャップ部が突出部に対して一方向に一部ずつ分離可能に形成されており、大気連通口が液体供給口よりもキャップ部の分離方向の上流側に配置されているため、流体供給口が開放される前に大気連通口を開放することができる。大気連通口を開放した後に流体供給口を開放することにより、流体収容室の圧力が大気と均衡になった状態で流体供給口が開放されることになる。これにより、キャップ部を分離させる際に流体収容室からの流体が流体供給口から漏出したり、流体供給口から流体収容室へ外気を引き込んでしまったりするのを防ぐことができる。
【0012】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記流体供給口を閉塞する第一部分と前記大気連通口を閉塞する第二部分との間の第三部分で折り曲げ可能に形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第一部分が流体供給口を閉塞する状態としつつ第二部分のみが突出部から分離されるように第三部分でキャップ部を折り曲げることができる。この場合、流体供給口が開放される前に大気連通口が開放されることになる。大気連通口を開放した後に流体供給口を開放することにより、流体収容室の圧力が大気と均衡になった状態で流体供給口が開放されることになる。これにより、キャップ部を分離させる際に流体収容室からの流体が流体供給口から漏出したり、流体供給口から流体収容室へ外気を引き込んでしまったりするのを防ぐことができる。
【0013】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記突出部に対して着脱可能に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、キャップ部が突出部に対して着脱可能に設けられているため、突出部から一度分離させたキャップ部を再度突出部に装着させることができる。これにより、例えば流体が流体供給口から外部に漏れるのを防ぐことができるなど、流体収容容器のハンドリング性が向上することになる。
【0014】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記筐体に連結されていることが好ましい。
このような構成によれば、キャップ部が筐体に連結されているため、筐体とキャップ部とを一体的に取り扱うことができる。これにより、流体収容容器のハンドリング性が向上することになる。
【0015】
上記の流体収容容器において、前記キャップ部は、前記突出部の一部に係止させる係止部を有することが好ましい。
このような構成によれば、キャップ部が突出部の一部に係止させる係止部を有するため、流体供給口及び大気連通口をより確実に閉塞させることができる。
【0016】
上記の流体収容容器において、前記筐体は、前記突出部への装着が解除された状態の前記キャップ部を保持する保持部を有することが好ましい。
このような構成によれば、突出部への装着が解除された状態のキャップ部が筐体に保持されるため、筐体とキャップ部とをまとめて取り扱うことができる。例えば、流体を供給した後、筐体とキャップ部とをまとめてリサイクルすることができる。これにより、流体収容容器のハンドリング性が向上することになる。
【0017】
上記の流体収容容器において、前記突出部は、平坦に形成された先端部を有し、前記流体供給口及び前記大気連通口は、前記先端部に設けられていることが好ましい。
このような構成によれば、流体供給部及び大気連通部が共に突出部のうち平坦に形成された先端部に設けられているため、流体供給部及び大気連通部を閉塞させるキャップ部の構成を平面状に近い構成とすることができる。これにより、キャップ部の構成をシンプルにすることができる。
【0018】
上記の流体収容容器において、前記第一経路には、前記流体を吸収する流体吸収部が配置されていることが好ましい。
このような構成によれば、流体を吸収する流体吸収部が第一経路に配置されているため、流体収容室に収容された流体が漏出するのを防ぐことができる。
【0019】
上記の流体収容容器において、前記第二経路は、複数箇所で屈曲するように形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、第二経路が複数箇所で屈曲するように形成されているため、第二経路に対して流体を流れ込みにくくすることができる。
【0020】
上記の流体収容容器において、前記突出部は、前記流体を消費する流体消費装置に接続される被接続部を有することが好ましい。
このような構成によれば、流体を噴射する流体噴射装置に被接続部を接続させる際の労力が軽減されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る印刷装置の構成を示す図。
【図2】本実施形態に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図3】本実施形態に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図4】本実施形態に係るインクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図5】本実施形態に係るインクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図6】本実施形態に係るインクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図7】本実施形態に係るインクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図8】本実施形態に係るインクカートリッジの一部の構成を示す図。
【図9】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図10】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図11】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図12】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【図13】本発明の他の態様に係るインクカートリッジの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷装置PRT(液体消費装置)の概略構成を示す図である。本実施形態では、印刷装置PRTとして例えばインクジェット型の印刷装置を例に挙げて説明する。印刷装置PRTには、本実施形態の特徴的構成要素であるインクカートリッジICが装着されている。
【0023】
図1に示す印刷装置PRTは、例えば、紙、プラスチックシートなどのシート状の媒体Mを搬送しつつ印刷処理を行う装置である。印刷装置PRTは、筐体PBと、媒体Mにインクを噴射するインクジェット機構IJと、当該インクジェット機構IJにインクを供給するインク供給機構ISと、媒体Mを搬送する搬送機構CVと、インクジェット機構IJの保全動作を行うメンテナンス機構MNと、これら各機構を制御する制御装置CONTとを備えている。
【0024】
以下、XYZ直交座標系を設定し、当該XYZ直交座標系を適宜参照しつつ各構成要素の位置関係を説明する。本実施形態では、例えば媒体Mの搬送方向をX方向とし、当該媒体Mの搬送面においてX方向に直交する方向をY方向とし、X軸及びY軸を含む平面に垂直な方向をZ方向と表記する。また、X軸周りの回転方向をθX方向、Y軸周りの回転方向をθY方向、Z軸周りの回転方向をθZ方向とする。
【0025】
筐体PBは、例えばY方向を長手とするように形成されている。筐体PBには、上記のインクジェット機構IJ、インク供給機構IS、搬送機構CV、メンテナンス機構MN及び制御装置CONTの各部が取り付けられている。筐体PBには、例えばプラテン13が設けられている。プラテン13は、媒体Mを支持する支持部材である。プラテン13は、例えば筐体PBのうちX方向の中央部に配置されている。プラテン13は、+Z方向に向けられた平坦面13aを有している。当該平坦面13aは、媒体Mを支持する支持面として用いられる。
【0026】
搬送機構CVは、例えば搬送ローラーや当該搬送ローラーを駆動するモーターなどを有している。搬送機構CVは、例えば筐体PBの−X側から当該筐体PBの内部に媒体Mを搬送し、当該筐体PBの+X側から当該筐体PBの外部に排出する。搬送機構CVは、筐体PBの内部において、媒体Mがプラテン13上を通過するように当該媒体Mを搬送する。搬送機構CVは、例えば制御装置CONTによって搬送のタイミングや搬送量などが制御されるようになっている。
【0027】
インクジェット機構IJは、インクを噴射するヘッドHと、当該ヘッドHを保持して移動させるヘッド移動機構ACとを有している。ヘッドHは、プラテン13上に送り出された媒体Mに向けてインクを噴射する。ヘッドHは、インクを噴射する噴射面Haを有している。噴射面Haは、例えば−Z方向に向けられており、例えばプラテン13の支持面13aに対向するように配置されている。
【0028】
ヘッド移動機構ACは、キャリッジ4を有している。ヘッドHは、当該キャリッジ4に固定されている。キャリッジ4は、筐体PBの長手方向(X方向)に架けられたガイド軸8に当接されている。ヘッドH及びキャリッジ4は、例えばプラテン13の+Z方向に配置されている。
【0029】
ヘッド移動機構ACは、キャリッジ4の他、例えばパルスモーター9と、当該パルスモーター9によって回転駆動される駆動プーリー10と、駆動プーリー10とはプリンタ本体5の幅方向の反対側に設けられた遊転プーリー11と、駆動プーリー10と遊転プーリー11との間に掛け渡されてキャリッジ4に接続されたタイミングベルト12とを有している。
【0030】
キャリッジ4は、当該タイミングベルト12に接続されている。キャリッジ4は、タイミングベルト12の回転に伴ってY方向に移動可能に設けられている。Y方向へ移動する際、キャリッジ4は、ガイド軸8によって案内されるようになっている。
【0031】
インク供給機構ISは、ヘッドHにインクを供給する。インク供給機構ISには、例えば複数のインクカートリッジICが収容されている。本実施形態の印刷装置PRTは、インクカートリッジICがヘッドHとは異なる位置に収容される構成(オフキャリッジ型)である。インク供給機構ISは、例えばヘッドHとインクカートリッジICとを接続する供給チューブTBを有している。インク供給機構ISは、当該供給チューブTBを介してインクカートリッジIC内に貯留されるインクをヘッドHに供給する不図示のポンプ機構を有している。
【0032】
メンテナンス機構MNは、ヘッドHのホームポジションに配置されている。このホームポジションは、例えば媒体Mに対して印刷が行われる領域から外れた領域に設定されている。本実施形態では、例えばプラテン13の+Y側にホームポジションが設定されている。ホームポジションは、例えば印刷装置PRTの電源がオフである時や、長時間に亘って記録が行われない時などに、ヘッドHが待機する場所である。
【0033】
メンテナンス機構MNは、例えばヘッドHの噴射面Haを覆うキャッピング機構CPや、当該噴射面Haを払拭するワイピング機構WPなどを有している。キャッピング機構CPには、例えば吸引ポンプなどの吸引機構SCが接続されている。吸引機構SCにより、キャッピング機構CPは、例えば噴射面Haを覆いつつ当該噴射面Ha上の空間を吸引できるようになっている。ヘッドHからメンテナンス機構MN側に排出された廃インクは、例えば廃液回収機構(不図示)において回収されるようになっている。
【0034】
図2及び図3は、インク供給機構ISに装着される前のインクカートリッジICの構成を示す図である。
インクカートリッジICは、例えば直方体の板状に形成された筐体20を有している。筐体20は、内部にインク収容室21を有している。インク収容室21には、上記印刷装置PRTのインクジェット機構IJから噴射されるインクが収容されている。筐体20の外面のうち一の面は、印刷装置PRTに装着される装着面20aとなっている。筐体20の装着面20aには、突出部22が形成されている。
【0035】
突出部22のうち例えば平坦に形成された先端面22aには、インク供給口23及び大気連通口24が形成されている。インク供給口23及び大気連通口24は、例えば筐体20の長手方向に並んで配置されている。
【0036】
インク供給口23は、筐体20の内部に形成されたインク供給経路(第一経路)25を介してインク収容室21に接続されている。インク供給口23は、インク収容室21に収容されたインクが供給されるようになっている。インク供給経路25には、インクを吸収するインク吸収部27が配置されている。インク吸収部27としては、例えばスポンジなどの多孔質部材などを用いることができる。インク吸収部27は、インクがインク供給口23から飛び出すのを抑える構成となっている。
【0037】
大気連通口24は、筐体20の内部にインク供給経路25とは別個に形成された大気連通経路(第二経路)26を介してインク収容室21に接続されている。大気連通口24は、インク収容室21の圧力が大気圧と等しくなるように形成されている。大気連通経路26は、例えば筐体20の内部において、複数箇所で屈曲するように形成されている。本実施形態においては、大気連通経路26は、大気連通口24からインク収容室21にかけて蛇行するように形成されている。このように、インク収容室21に収容されるインクが大気連通経路26に流入しにくい構成となっている。
【0038】
突出部22には、インク供給口23及び大気連通口24を閉塞するキャップ部28が装着されている。キャップ部28は、突出部22に対して分離可能に装着されている。キャップ部28は、一旦突出部22から分離された後、再度突出部22に装着可能に形成されている。このように、キャップ部28は、突出部22に対して着脱可能に形成されている。キャップ部28は、突出部22のうち例えば先端面22aの全体を塞ぐように形成されている。このように、インクカートリッジICは、キャップ部28によってインク供給口23及び大気連通口24がまとめて閉塞された構成となっている。
【0039】
図4は、キャップ部28の構成を示す斜視図である。図5は、図4におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。図6は、図3に示す構成における突出部22及びキャップ部28を拡大して示す図であり、キャップ部28が突出部22に装着された状態を示す図である。
【0040】
図4〜図6に示すように、キャップ部28は、閉塞部材81、支持部材82を有している。閉塞部材81は、平面視矩形に形成されており、長手方向及び短手方向を有するように形成された板状部材である。閉塞部材81は、キャップ部28が突出部22に装着された状態でインク供給口23と大気連通口24とを含む領域を覆うように配置されている(例えば、図6参照)。閉塞部材81は、例えば長手方向が筐体20の長手方向に一致するように配置されている。例えば閉塞部材81は、突出部22の先端面22aに当接させる当接面81aを有している。当接面81aが先端面22aに当接することにより、インク供給口23及び大気連通口24が閉塞されるようになっている。
【0041】
閉塞部材81は、例えばエラストマなどの樹脂材料を用いて弾性変形可能に形成されている。閉塞部材81は、当接面81aが先端面22aに当接された状態で、当該当接面81aの一部がインク供給口23及び大気連通口24に食い込むように変形可能になっている(図中破線部分参照)。このように、キャップ部28は、インク供給口23及び大気連通口24を確実に閉塞されることができる構成となっている。
【0042】
支持部材82は、底部82a、縁部82b及び把持部82cを有している。底部82aは、例えば長手方向及び短手方向を有するように平面視で矩形に形成されており、閉塞部材81を支持する部分である。底部82aは、当該底部82aの長手方向が閉塞部材81の長手方向に一致するように形成されている。
【0043】
縁部82bは、キャップ部28が突出部22に装着された状態において突出部22が嵌め込まれる部分である。縁部82bは、突出部22が嵌め込まれた状態で、当該突出部22の側部を保持するように形成されている。縁部82bには、例えば突出部22に係止させる係止部82d及び82eが形成されている。
【0044】
係止部82d及び82eは、キャップ部28の長手方向の両端の内周面に配置されている。突出部22には、係止部82d及び82eに係止される凹部22d及び22eが形成されている。把持部82cは、底部82aの長手方向の一端(例えば係止部82d側)に配置される縁部82bの外周面に取り付けられている。したがって、把持部82cは、縁部82bのうち係止部82dの反対面側に配置されていることになる。
【0045】
図7は、印刷装置PRTのインク供給機構ISにインクカートリッジICを装着した状態を示す図である。
図7に示すように、インクカートリッジICは、キャップ部28を突出部22から取り外した状態でインク供給機構ISに取り付けられている。インク供給機構ISには、挿入部材90が設けられている。挿入部材90は、例えば管状に形成されており、供給チューブTBに接続されている。挿入部材90の先端部は、例えばインクカートリッジICのインク供給口23に挿入されている。
【0046】
インクカートリッジICは、筐体20に設けられるレバー20hと印刷装置PRTのレバー保持部91とが係合された状態となっている。レバー20hは、筐体20の外面側に弾性変形可能に形成されている。レバー20hを筐体20側に引き寄せることで、当該レバー20hとレバー保持部91との間の係合状態を解除することができるようになっている。例えばインクカートリッジICをインク供給機構ISから取り外す場合には、当該レバー20hを筐体20側へ弾性変形させた後、インクカートリッジICを図中Z方向に引き抜くようにすれば良い。
【0047】
このように、インクカートリッジICは、インク供給口23を介して印刷装置PRTの挿入部材90に接続されていると共に、レバー20hを介して印刷装置PRTのレバー保持部91に接続されている。このため、インク供給口23及びレバー20hは、印刷装置PRTに接続される被接続部となっている。また、インクカートリッジICは、大気連通口24が開放された状態でインク供給機構ISに取り付けられる。
【0048】
インクカートリッジICがインク供給機構ISに取り付けられた状態において、インク収容室21に収容されたインクは、インク供給経路25を流通し、インク供給口23を介して挿入部材90の管内に供給されるようになっている。挿入部材90の管内に供給されたインクは、供給チューブTBを介してヘッドHに供給されるようになっている。
【0049】
インクカートリッジICを印刷装置PRTに装着する際には、まずキャップ部28を突出部22から取り外すことにより、インク供給口23及び大気連通口24を開放する。キャップ部28の取り外し動作においては、例えば作業者が当該把持部82cを保持して係止部82dの係止状態を解除する。
【0050】
この動作により、図8に示すように、係止部82d側から係止部82e側へ底部82aの長手方向に沿って、突出部22から一部ずつ分離される。このようにキャップ部28が取り外されることで、インク供給口23及び大気連通口24が一動作でまとめて開放される。
【0051】
本実施形態では、キャップ部28の把持部82cが大気連通口24側に設けられた構成となっている。このため、例えば作業者が把持部82cを保持してキャップ部28を突出部22から分離すると、キャップ部28が係止部82d側から係止部82e側へ離れることになる。したがって、インクカートリッジICは、キャップ部28を突出部22から分離する際、インク供給口23及び大気連通口24のうち、大気連通口24が先に開放され、当該大気連通口24が開放された後にインク供給口23が開放される。
【0052】
上記インクカートリッジICの構成においては、筐体20には大気連通口24がインク供給口23よりもキャップ部28の分離方向の上流側に配置されており、インク収容室21の圧力が大気と均衡になった状態でインク供給口23が開放される構成となっている。このため、キャップ部28を分離させる際にインク収容室21からのインクがインク供給口23から漏出したり、インク供給口23からインク収容室21へ外気を引き込んだりするのを防ぐことができる。インク供給口23及び大気連通口24を開放した後、インクカートリッジICを印刷装置PRTのインク供給機構ISに装着する。
【0053】
上記のように構成された印刷装置PRTを用いて印刷動作を行う場合、制御装置CONTは、搬送機構CRによって媒体Mを上記支持面13a上に配置させる。媒体Mを配置させた後、制御装置CONTは、印刷する画像の画像データに基づいて、ヘッドHに駆動信号を入力する。この動作により、ヘッドHの噴射面Haに形成されたノズルNZからインクが−X方向に噴射され、噴射されたインクによって、媒体Mに所望の画像が形成される。
【0054】
以上のように、本実施形態によれば、筐体20の突出部22に装着されたキャップ部28を当該突出部22に対して分離させることにより、インク供給口23及び大気連通口24が共に開放されることになる。インク供給口23及び大気連通口24が一動作で開放されるため、それぞれを別個に開放する場合に比べて手間を省くことができる。また、キャップ部28が筐体20の突出部22に装着されているため、分離の際にはキャップ部28を把持しやすくなる。これにより、ハンドリング性の高いインクカートリッジICを得ることができる。
【0055】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、キャップ部28と筐体20とが別部品として設けられている構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば図9に示すように、キャップ部28と筐体20とが連結された一部品として設けられている構成であっても構わない。図9に示すように、インクカートリッジICは、キャップ部28と筐体20とを連結する連結部100が設けられている。この構成により、筐体20とキャップ部28とを一部品として一体的に取り扱うことができる。これにより、インクカートリッジICのハンドリング性が向上することになる。
【0056】
また、例えば図10に示すように、キャップ部28が、インク供給口23を閉塞する第一部分28Aと大気連通口24を閉塞する第二部分28Bとを有しており、当該第一部分28Aと第二部分28Bとの間の第三部分28Cで折り曲げ可能に形成されている構成であっても構わない。図10に示すように、キャップ部28のうち閉塞部材81には、第三部分28Cにおいて、分割溝101が形成されている。閉塞部材81は、当該分割溝101によって、第一閉塞部材81A及び第二閉塞部材81Bに分割された構成になっている。また、支持部材82の底部82aには、第三部分28Cにおいて、折り目102が形成されている。支持部材82は、折り目102を中心に折り返し可能に形成されている。
【0057】
図10に示す状態から作業者が把持部82cを保持してキャップ部28を突出部22から分離させようとすると、図11に示すように、支持部材82の底部82aのうち把持部82cが配置された端部側が折り目102を中心として折れ曲がる。このため、支持部材82のうち折れ曲がった側に支持された第一閉塞部材81Aが大気連通口24から離れることになる。このように、まずキャップ部28の第二部分28Bが突出部22から分離し、大気連通口24が開放される。
【0058】
この状態から、更に作業者が把持部82cを保持してキャップ部28を突出部22から分離させようとすると、キャップ部28のうち残りの第二部分28Bが分離する。このように、大気連通口24が開放された後に、インク供給口23が開放されることになる。大気連通口24を開放した後にインク供給口23を開放することにより、インク収容室21の圧力が大気と均衡になった状態でインク供給口23が開放されることになる。これにより、キャップ部28を分離させる際にインク収容室21からの流体がインク供給口23から漏出したり、インク供給口23からインク収容室21へ外気を引き込んでしまったりするのを防ぐことができる。
【0059】
また、例えば図12に示すように、筐体20にキャップ保持部104が形成されている構成としても構わない。当該キャップ保持部104は、突出部22から分離されたキャップ部28を保持しておく部分である。この構成によれば、例えば図13に示すように、突出部22への装着が解除された状態のキャップ部28が筐体20に保持させることができるため、筐体20とキャップ部28とをまとめて取り扱うことができる。例えば、インクを供給した後、筐体20とキャップ部28とをまとめてリサイクルすることができる。これにより、インクカートリッジICのハンドリング性が向上することになる。
【0060】
この場合、例えば図13に示すように、キャップ部28の支持部材82に形成される把持部82cを上記実施形態に記載のレバー20hとして用いる構成であっても構わない。キャップ保持部104に保持されたキャップ部28の把持部82cをレバー保持部91に保持させることにより、インクカートリッジICを印刷装置PRTに接続することができる。この構成によれば、レバー20hを設ける必要が無いため、インクカートリッジICの構成をシンプルにすることができる。勿論、キャップ保持部104が他の位置に設けられた構成であっても、本発明の適用は可能である。
【0061】
また、上記実施形態においては、印刷装置PRTの例として、インクカートリッジICがヘッドHとは異なる位置に収容される構成(オフキャリッジ型)を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、インク供給機構ISがキャリッジ4に搭載されており、インクカートリッジICが当該キャリッジ4に収容される構成(オンキャリッジ型)であっても、本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0062】
PRT…印刷装置 IC…インクカートリッジ IS…インク供給機構20…筐体 20a…装着面 21…インク収容室 22…突出部 22a…先端面 22d…凹部 23…インク供給口 24…大気連通口 25…インク供給経路 26…大気連通経路 27…インク吸収部 28…キャップ部 28A…第一部分 28B…第二部分 28C…第三部分 81…閉塞部材 81A…第一閉塞部材 81B…第二閉塞部材 82…支持部材 82d…係止部 82e…係止部 90…挿入部材 91…レバー保持部 100…連結部 101…分割溝 104…キャップ保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が収容される流体収容室を内部に有し、外面の一部に突出部が形成された筐体と、
前記突出部に設けられ、前記筐体の内部に形成された第一経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室に収容された前記流体を外部に供給する流体供給口と、
前記突出部に設けられ、前記第一経路とは別個に前記筐体の内部に形成された第二経路を介して前記流体収容室に接続され、前記流体収容室と大気とを連通する大気連通口と、
前記突出部に対して分離可能に装着され、前記流体供給口及び前記大気連通口を閉塞するキャップ部と
を備える流体収容容器。
【請求項2】
前記キャップ部は、前記突出部に装着された状態で、前記突出部のうち前記流体供給口と前記大気連通口とを含む領域に当接するように配置された閉塞部材を有する
請求項1に記載の流体収容容器。
【請求項3】
前記閉塞部材は、弾性変形可能に形成されている
請求項2に記載の流体収容容器。
【請求項4】
前記キャップ部は、前記突出部に対して一方向に分離可能に形成されており、
前記大気連通口は、前記液体供給口よりも前記キャップ部の分離方向の上流側に配置されている
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項5】
前記キャップ部は、前記流体供給口を閉塞する第一部分と前記大気連通口を閉塞する第二部分との間の第三部分で折り曲げ可能に形成されている
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項6】
前記キャップ部は、前記突出部に対して着脱可能に設けられている
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項7】
前記キャップ部は、前記筐体に連結されている
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項8】
前記キャップ部は、前記突出部の一部に係止させる係止部を有する
請求項1から請求項7のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項9】
前記筐体は、前記突出部から分離された状態の前記キャップ部を保持する保持部を有する
請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項10】
前記突出部は、平坦に形成された先端部を有し、
前記流体供給口及び前記大気連通口は、前記先端部に設けられている
請求項1から請求項9のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項11】
前記第一経路には、前記流体を吸収する流体吸収部が配置されている
請求項1から請求項10のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項12】
前記第二経路は、複数箇所で屈曲するように形成されている
請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。
【請求項13】
前記突出部は、前記流体を消費する流体消費装置に接続される被接続部を有する
請求項1から請求項12のうちいずれか一項に記載の流体収容容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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