説明

流体噴射装置及び流体噴射装置におけるキャップ保護方法

【課題】流体噴射ヘッドとキャップとの間を搬送経路とするターゲットからの塵埃等の異物がキャップに付着することを効果的に回避できる流体噴射装置及び流体噴射装置におけるキャップ保護方法を提供する。
【解決手段】電動モータ26が正転駆動されると、各ローラ21〜23に巻き掛けられた搬送ベルト24,25が回転して用紙は搬送方向Xに搬送される。各ローラ21〜23間には一対のローラ33,34に巻き付けられた平ベルト32がそれぞれ配置されている。ローラ33,34の一端部には、各ローラ21〜23の一端部に固定された歯車37に歯車36を噛合させた摩擦クラッチギヤ機構35が設けられている。平ベルト32は、電動モータ26が用紙搬送時の駆動方向に駆動されると、キャップ45を覆うカバー位置に配置され、電動モータ26が用紙搬送時と逆方向に駆動されると、その開口32Aがキャップ45と対向する非カバー位置に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体噴射ヘッドをキャッピングするキャップを往復移動自在に備えた流体噴射装置及び流体噴射装置におけるキャップの保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1及び2には、キャップユニットを備えた流体噴射装置としてのラインプリンタ(ライン型インクジェット記録装置)が開示されている。このラインプリンタは、用紙を搬送するための複数本の搬送ベルトを備え、流体噴射ヘッドは複数本の搬送ベルトの隙間の位置に千鳥配置されている。そして、各記録ヘッドの下方には一対一で対応するキャップを備えたキャップユニット(ヘッド回復手段)が、搬送ベルトの間隙を挟んで対向する状態に配置されていた。各キャップユニットは、対応する記録ヘッドのノズル形成面をキャッピングするためのキャップを有し、非印刷時にキャップをノズル形成面に当接させてキャッピングすることにより、ノズル内のインクの増粘や乾燥などを回避する構成となっていた。
【0003】
また、キャップユニットは吸引手段として吸引ポンプを備え、キャッピング状態で吸引ポンプを駆動してキャップ内を負圧にすることで、ノズル内の増粘したインクやインク中の気泡を強制的に吸引排出してノズルのクリーニングを行う機能も備えていた。ラインプリンタでは、記録ヘッドは固定されているため、キャップは記録ヘッドと対向する固定位置に配置されている。そして、用紙が搬送されている印刷時にはキャップは用紙と干渉しない退避位置に下降し、用紙が搬送されていない非印刷時(印刷待機時)には記録ヘッドのノズル形成面に当接するキャッピング位置に上昇する構成となっていた。なお、特許文献3には、シリアル式プリンタではあるが、キャップの移動に連動して、キャップが印字ヘッドから離れるとキャップを密閉するように駆動されるキャップカバーを備えた構成が開示されている。
【特許文献1】特開2007−69448号公報(例えば明細書段落[0050][0051]、図7,図8)
【特許文献2】特開2005−67127号公報(例えば明細書段落[0055]、図2(B),図12)
【特許文献3】特開平5−116330号公報(例えば明細書段落[0013]、図2、図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ラインヘッド方式では、前述のようにキャップが記録ヘッドと対向する位置に配置されていたので、印刷時に記録ヘッドの下方を搬送される用紙は、キャップの上方を搬送されることになる。一方、搬送中の用紙からは搬送装置のローラ又は搬送ベルトとの擦れ等により紙粉が発生しやすく、用紙に付着した紙粉が搬送中の用紙から落下すると、その落下した紙粉がキャップに付着するという問題があった。
【0005】
シリアルプリンタであれば、キャップが印刷領域の外側に配置されているため、用紙から落下した紙粉がキャップに付着することはないが、ラインプリンタの場合、印刷時も非印刷時も記録ヘッドの下方にキャップが位置するので、用紙から落下した紙粉がキャップに付着する心配があった。紙粉が例えばキャップのシール部に付着すると、記録ヘッドのノズル形成面とキャップのシール部との間に介在した紙粉が原因で隙間ができ、シール性が低下するキャッピング不良を招くという問題があった。そして、キャップのシール部に一旦付着した紙粉はなかなか取れにくく、キャッピング不良が継続するという問題がある。
【0006】
キャッピング不良が起こると、キャップの封止性能の低下から、キャッピングされていてもノズル内のインクが増粘する傾向にあり、ノズルの目詰まりを誘発することになる。また、封止性能の低下は、キャップ内の残存インクの乾燥を促進させてキャップに接続されているインク排出チューブを詰まらせる。さらに、キャップ内の残存インクは、キャッピング時においてその水分蒸発によってキャップ内に保湿性を付与する働きがあり、その保湿機能によってノズル内のインクの増粘を抑制する働きもある。しかし、キャッピング不良によりキャップ内の残存インクが乾燥しやすくなってその保湿機能が損なわれると、ノズルの目詰まりが誘発されやすくなるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体噴射ヘッドとキャップとの間を搬送経路とするターゲットからの塵埃等の異物がキャップに付着することを効果的に回避できる流体噴射装置及び流体噴射装置におけるキャップ保護方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ターゲットに対して流体を噴射可能な流体噴射ヘッドを備えた流体噴射装置であって、ターゲットを搬送する搬送手段と、前記流体噴射ヘッドに対してターゲットの搬送経路を挟む反対側に配置されたキャップを、前記流体噴射ヘッドに当接するキャッピング位置と前記流体噴射ヘッドから離間する退避位置とに相対的に移動可能に備えたキャップユニットと、カバー部材を有するとともにターゲット搬送時に前記カバー部材が前記キャップを覆う覆閉位置に配置され、キャッピング時に前記カバー部材が前記キャップを覆わない開放位置に配置されるように、前記搬送手段と連動して前記カバー部材を前記覆閉位置と前記開放位置とに移動可能に駆動されるカバーユニットとを備えたことを要旨とする。
【0009】
これによれば、流体噴射ヘッドからターゲットに対して流体を噴射する流体噴射処理時にターゲットは搬送される。ターゲット搬送中においては、搬送手段に連動してカバー部材が覆閉位置に配置され、キャップがカバー部材により覆われる。このため、搬送中のターゲットから例えば落下等して離脱した塵埃(例えばターゲットが用紙であれば紙粉等)等の異物が、キャップに付着することが回避される。また、流体噴射処理が終了した場合など、流体噴射ヘッドへのキャッピングが必要なときは、搬送手段に連動するカバー部材がキャップを覆わない開放位置に配置される。このため、キャップはカバー部材と干渉することなく退避位置からキャッピング位置へ移動して流体噴射ヘッドをキャッピングできる。そして、この際、塵埃等の異物がキャップに付着していないことから、キャップと流体噴射ヘッドとの当接面に塵埃等の異物が介在して隙間が発生することに起因するキャッピング不良を回避できる。
【0010】
本発明の流体噴射装置においては、前記搬送手段は動力源を備え、前記カバー部材が前記搬送手段と連動するように前記カバーユニットは前記搬送手段と動力伝達機構を介して連結されており、前記動力源がターゲット搬送時の駆動方向に駆動されると、前記ターゲットが搬送されるとともに前記カバー部材が覆閉位置に配置され、前記動力源がターゲット搬送時の駆動方向と逆方向に駆動されると、前記カバー部材が開放位置に配置されるように構成されていることが好ましい。
【0011】
これによれば、流体噴射処理時には、動力源がターゲット搬送時の駆動方向に駆動され、ターゲットが流体噴射ヘッドとキャップとの間の搬送経路に沿って搬送される。この際、搬送手段から動力伝達機構を介して伝達される動力によりカバーユニットが駆動され、カバー部材が開放位置から覆閉位置に配置される。一方、流体噴射処理が終わって搬送手段の駆動が停止した後、流体噴射ヘッドをキャッピングする際は、動力源が搬送時の駆動方向と逆方向に駆動され、カバー部材が覆閉位置から開放位置に配置される。このようにカバーユニットが搬送手段と連動する構成なので、搬送ベルトユニット(動力源)の動力を利用し、しかも搬送手段の搬送動作に応じた適切なタイミングでカバー部材を覆閉位置と開放位置との間で移動させることができる。
【0012】
本発明の流体噴射装置においては、前記搬送手段は、ベルト駆動軸と、ベルト従動軸と、前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とのうち搬送方向上流側の対と下流側の対とに千鳥配置をなすように巻き掛けられた複数の搬送ベルトと、前記ベルト駆動軸を駆動させる前記動力源とを備えた搬送ベルトユニットであり、前記流体噴射ヘッド、前記キャップ及び前記カバー部材は前記搬送ベルト間の隙間に対応する位置に千鳥配置されており、前記カバー部材は、前記ベルト駆動軸と連動して移動するように前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とのうち少なくとも一方と前記動力伝達機構を介して連結されていることが好ましい。
【0013】
これによれば、千鳥配置された複数の搬送ベルト間に、流体噴射ヘッド、キャップ及びカバー部材を千鳥配置した構成の流体噴射装置では、ターゲットが流体噴射ヘッドとキャップの間を通って搬送されるため、搬送中のターゲットから落ちるなどして離脱した塵埃(紙粉など)等の異物がキャップに付着しやすい課題があるが、カバー部材によりこの種の課題を効果的に解決できる。また、ベルト駆動軸とベルト従動軸とのうち少なくとも一方から動力伝達機構を介して伝達された動力によりカバーユニットは駆動されるので、搬送ベルトユニットの動力を利用し、しかも搬送手段の搬送動作に応じた適切なタイミングでカバー部材を覆閉位置と開放位置との間で移動させることができる。
【0014】
本発明の流体噴射装置においては、前記動力伝達機構は、前記カバー部材の前記開放位置と前記覆閉位置との間の移動範囲において動力伝達可能に接続され、かつ前記カバー部材が前記覆閉位置まで移動したとき及び前記開放位置まで移動したときに動力伝達不能に接続が切れるクラッチ機構を備えていることが好ましい。
【0015】
これによれば、カバー部材が開放位置から覆閉位置まで移動すると、動力伝達機構のクラッチ機構は動力伝達不能な状態にその接続が切れる。このため、カバー部材は覆閉位置に保持される。また、カバー部材が覆閉位置から開放位置まで移動すると、動力伝達機構のクラッチ機構は動力伝達不能な状態にその接続が切れる。このため、カバー部材は開放位置に保持される。搬送手段が駆動され続けても、カバー部材を所望位置に保持できる。
【0016】
本発明の流体噴射装置においては、前記カバー部材は前記開放位置と前記覆閉位置とが移動範囲のエンドとなるように構成され、
前記クラッチ機構は、前記カバー部材が前記エンドに達して、前記カバーユニット側から受ける負荷が前記カバー部材の移動範囲で受ける負荷よりも大きな前記エンドに達したときの負荷を受けるようになると接続が切れる負荷切り換わり方式のクラッチ機構であることが好ましい。
【0017】
これによれば、カバー部材が開放位置から覆閉位置まで移動すると、その移動方向のエンドに達して負荷が大きくなるためクラッチ機構の接続が切れる。このため、カバー部材は覆閉位置に保持される。また、カバー部材が覆閉位置から開放位置まで移動すると、その移動方向のエンドに達して負荷が大きくなるためクラッチ機構の接続が切れる。このため、カバー部材は開放位置に保持される。よって、搬送手段が駆動中であっても、カバー部材を覆閉位置と開放位置とに保持できる。
【0018】
本発明の流体噴射装置においては、前記カバー部材は、前記キャップと前記流体噴射ヘッドとの間に配置されるとともに前記キャップが挿通可能なサイズの開口を有する平ベルトであって、前記カバーユニットは、前記平ベルトが巻き付けられた一対のローラを更に備え、前記一対のローラは前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とにそれぞれ前記動力伝達機構を介して連結され、前記動力源が前記ターゲット搬送時の駆動方向に駆動したときに、前記平ベルトは前記開口のない部分が前記キャップを覆うように配置され、前記動力源が前記ターゲット搬送時の駆動方向と逆方向に駆動したときに、前記平ベルトは前記開口が前記キャップと対応して位置するように配置されることが好ましい。
【0019】
これによれば、動力源がターゲット搬送時の駆動方向に駆動されると、平ベルトが覆閉位置に配置され、キャップは平ベルトの開口のない部分で覆われる。一方、動力源がターゲット搬送時の駆動方向と逆方向に駆動されることで、平ベルトはその開口がキャップと対応して位置する開放位置に配置される。この結果、キャップは開口を通り抜けることで退避位置とキャッピング位置との間の移動が可能になる。
【0020】
本発明の流体噴射装置においては、前記搬送手段、前記キャップユニット及び前記カバーユニットを駆動制御する制御手段を更に備え、前記制御手段は、前記カバー部材をターゲット搬送中は前記覆閉位置に配置し、キャッピング時は前記開放位置に配置するように前記搬送手段の動力源を制御するとともに、前記制御手段は、前記ターゲット搬送中は前記キャップを前記覆閉位置に配置された前記カバー部材に当接させるように前記キャップユニットを制御することが好ましい。
【0021】
これによれば、キャップは、ターゲット搬送中のため退避している間、カバー部材に当接する。よって、退避中においてキャップ内は略密閉状態に保持される。このため、退避中におけるキャップ内の残留流体の蒸発等が抑制される。例えばキャッピング時にキャップ内で蒸発(揮発)しうる状態に残留流体が保持され、キャップ内の保湿性が確保されやすい。また、キャップ内で流体が固化することを抑制できる。
【0022】
本発明は、ターゲットを搬送する搬送手段と、搬送されたターゲットに流体を噴射可能な流体噴射ヘッドと、前記流体噴射ヘッドをキャッピングするキャップを有するキャップユニットとを備えた流体噴射装置におけるキャップ保護方法であって、ターゲットの搬送時に、カバー部材を前記キャップが覆われる覆閉位置に移動させる段階と、前記流体噴射ヘッドにキャッピングすべきときは、前記カバー部材を前記キャップの退避位置とキャッピング位置との間の移動を妨げない開放位置に移動させる段階と、を備えたことを要旨とする。
【0023】
これによれば、上記流体噴射装置の発明と同様の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第一実施形態)
以下、本発明を具体化した第一実施形態を図1〜図10に従って説明する。
図1は流体噴射装置としてのインクジェット式記録装置の模式平面図、図2は模式正断面図を示す。また、図3、図4はラインヘッドの下面高さから見たインクジェット式記録装置の模式平面図、図5はインクジェット式記録装置の側断面図を示す。なお、図1、図5等では、インクカートリッジ等のインク供給系を省略している。
【0025】
図1及び図2に示すように、インクジェット式記録装置(以下、単にプリンタ11という)は、上側が開口する箱状の本体ケース11A(図2に示す)内に、ターゲット(媒体)としての用紙12(図2に示す)を搬送するための搬送ユニット13と、用紙12にインク滴を噴射することが可能な流体噴射ヘッドとしてのラインヘッド14を有する噴射ユニット15とを備える。本実施形態のラインヘッド14は、複数個(本例では9個)の記録ヘッド16(単位ヘッド)が用紙12の搬送方向Xと直交する幅方向Yに最大用紙幅全域に渡る範囲で図1の平面視で示す千鳥配置の状態でヘッド支持部材17に組み付けられて構成される。
【0026】
図1及び図2に示すように、搬送ユニット13は、ラインヘッド14の下方に配設され、幅方向Yが軸方向になる向きで互いに平行に配列された三本のローラ21〜23(図1では一本のみ図示)を備えている。三本のローラ21〜23は、中央一本のローラ21が駆動ローラ、両側二本のローラ22,23が従動ローラとなっている。搬送方向上流側(図1における右側)に配置された一対のローラ21,22には、5本の無端状の搬送ベルト24が搬送方向Xに延びる状態かつローラ軸方向(幅方向Y)に一定の間隔で巻き掛けられている。一方、搬送方向下流側に配置された一対のローラ21,23には、4本の無端状の搬送ベルト25が同じく搬送方向Xに延びる状態でローラ軸方向に一定の間隔かつ搬送ベルト24の巻き掛け位置とは幅方向Yに間隔の半ピッチだけずれた位置に巻き掛けられている。
【0027】
中央の駆動用のローラ21は電動モータ26と直接又は不図示の減速機構を介して動力伝達可能に連結されている。電動モータ26が駆動されて中央のローラ21が回転駆動することにより、搬送ベルト24,25が回転駆動されて、搬送ユニット13の上流側に配置された給紙部27から受け渡された用紙12が、搬送ベルト24,25上に順次載置されながらX方向(搬送方向)に搬送される。そして、搬送ベルト25の下流端まで搬送された用紙12は、搬送ベルト25から搬送方向下流側に配置された排紙部28に受け渡されるように構成されている。本実施形態の搬送ユニット13は、搬送ベルト24,25に帯電された静電気力により用紙12を搬送ベルト24,25の表面に吸着して搬送できる静電吸着方式を採用するものである。
【0028】
ここで、3本のローラ21〜23及び搬送ベルト24,25は、図1に示す平面視で、千鳥配置された複数個の記録ヘッド16を避けるように配置されている。このため、複数個の記録ヘッド16の下方には、搬送ベルト24,25の間隙を挟んで対峙するように、図2及び図4に示すキャップ45が配置されている。キャップ45は、各記録ヘッド16においてインク滴を噴射するノズル開口が形成されたノズル形成面16A(図2、図6参照)を、非印刷時にキャッピングするためのものであり、印刷時には各記録ヘッド16から下方に離間した図2に示す退避位置に配置される。そして、用紙12は、搬送ベルト24,25上に載置された状態で、図2に示すように、記録ヘッド16とキャップ45との間を搬送される。
【0029】
また、図1に示すように、搬送ユニット13を構成する3本のローラ21〜23の間には、一組のカバーユニット30,31が配設されている。カバーユニット30,31は、各記録ヘッド16の下方対向位置に配置されたキャップ45(図2,図4に示す)を、カバー部材としての平ベルト32でカバー(保護)するための装置である。キャップ45を平ベルト32で覆うことにより、搬送中の用紙12から落下した紙粉等を含む塵埃がキャップ45に付着しないようにしている。各平ベルト32は、一対のローラ33,34に巻き付けられており、一対のローラ33,34が搬送ユニット13を構成するローラ21〜23と連動するように構成されている。各ローラ33,34の一端部には摩擦クラッチギヤ機構35が設けられ、摩擦クラッチギヤ機構35を構成する歯車36が、各ローラ21〜23の一端部に固定された歯車37と噛合している。このため、電動モータ26が駆動されて、搬送ユニット13が駆動されると、この搬送ユニット13の駆動に連動して平ベルト32が駆動される構成となっている。なお、カバーユニット30,31の詳細構成については後述する。
【0030】
図2に示すように、本体ケース11A内には、例えば4本(図1では2本のみ図示)の駆動軸38(スクリュー軸)がフレーム(図示せず)に支持された状態で立設されている。そして、複数個の記録ヘッド16を支持する前述のヘッド支持部材17は、4本の駆動軸38に対してその四隅のネジ穴にて螺合する状態で支持されている。
【0031】
4本の駆動軸38は同期回転可能に動力伝達機構(図示せず)を介して連結されており、そのうち一本の駆動軸38が歯車機構39を介して昇降モータ40と動力伝達可能に連結されている。よって、ラインヘッド14は、昇降モータ40が正逆転駆動されることにより図1におけるZ方向に昇降可能となっている。なお、ラインヘッド14を昇降させることによって、記録ヘッド16と用紙12(又は搬送ベルト24,25の上面)との間のギャップが調整される。
【0032】
図2に示すように、本体ケース11A内の所定位置には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色の流体としてのインクをそれぞれ収容する4個のインクカートリッジ42C,42M,42Y,42Kが装填されている。各インクカートリッジ42C,42M,42Y,42Kからのインクは、インク供給チューブ43(一本のみ図示)を通じて各記録ヘッド16に供給される。なお、流体供給源(インク供給源)は、インクカートリッジに替えてインクタンクを採用できる。また、インク供給方式は、水頭差を利用した水頭差方式、加圧空気等を利用した加圧供給方式などを採用できる。加圧供給方式としては、加圧空気の他、バネの付勢力を利用して加圧する方式、磁石の磁力を利用して加圧する方式なども採用できる。
【0033】
図6は、ラインヘッドをノズル開口面側から見た底面図を示す。なお、同図ではヘッド支持部材を省略している。幅方向Yに沿って千鳥状に配列された複数個の記録ヘッド16のノズル形成面16Aには、インクの4色に対応する4本のノズル列16Bが形成されている。一本のノズル列16Bは、多数個(例えば180個)のノズルが千鳥状に配列されてなる。記録ヘッド16内には、各ノズル列16Bに対応する4つの流路が形成されており、各流路には対応するインク色のインクが供給される。よって、同一のノズル列16Bを構成するノズルからは、同一色のインクが噴射される。
【0034】
記録ヘッド16内には、ノズル毎に吐出駆動素子(いずれも図示せず)が設けられ、吐出駆動素子が駆動されて吐出力がインクに及ぶことで、ノズルからインク滴が吐出される。なお、吐出駆動方式としては、吐出駆動素子として圧電振動素子を用いた圧電方式、静電駆動素子を用いた静電方式、ヒータを用いた加熱によるインクの膜沸騰を利用して吐出力を得るサーマル方式などを採用できる。
【0035】
また、記録ヘッド16が千鳥配置されることにより、1列目(図6における上列)の記録ヘッド16のノズル列と、2列目の記録ヘッド16のノズル列とが、搬送方向X(同図における上下方向)に投影したときに両端部の少なくとも1個のノズルが重なるか、両端のノズルがノズルピッチを開けて連続する位置関係となっている。このため、最大用紙幅全域に渡ってノズルが配列されているため、ラインヘッド14を固定したまま用紙12を搬送するだけで用紙12への印刷が可能となっている。
【0036】
次にキャップユニットの構成を説明する。図2に示すように、各記録ヘッド16の下方には、前記キャップ45を備えたキャップユニット46が複数(但し、図2では紙面直交方向手前側の5個のみ図示)配設されている。図2に示すように、キャップユニット46は、記録ヘッド16のノズル形成面16Aをキャッピングするためのキャップ45と、キャップ45を昇降させる昇降機構47とを備える。昇降機構47は、キャップ45の底面に当接するカム48(回転カム)と、カム48を正逆往復回動させる動力を出力する電動モータ49と、電動モータ49の動力をカム48に伝達するための歯車列50とを備える。なお、昇降機構47は、回転式のカム48を用いた機構に替えて円筒カムを用いた機構を採用でき、また動力源についても電動モータ49に替えて、シリンダ、ソレノイド、圧電アクチュエータ等も採用できる。
【0037】
図9はキャップユニットの模式正断面図を示し、(a)はキャップが退避位置に配置された状態、(b)はキャッピング位置に配置された状態である。キャップ45が図9(a)に示す退避位置に配置された状態で、電動モータ49が正転駆動すると、カム48が同図における時計方向へ回動して、カム48に持ち上げられるかたちでキャップ45が図9(b)に示すキャッピング位置(最上昇位置)まで上昇する。一方、キャップ45がキャッピング位置にある状態で電動モータ49が逆転駆動すると、カム48が反時計方向へ回動して、キャップ45が図9(a)に示す退避位置まで下降する。なお、キャップ45は、退避位置とキャッピング位置との中間位置であるフラッシング位置にも配置される。ここで、フラッシングとは、印刷中に使用されないノズルがあっても、そのノズル内のインクが増粘してノズル目詰まりを誘発することを回避すべく、例えばタイマ計時により定期的あるいは印刷が一枚終了する度に、印刷とは関係のないインク滴を用紙以外の箇所(本例ではキャップ45内)に噴射する処理である。
【0038】
なお、キャップ45は、上側が開口する四角箱状のキャップ支持体45Aと、その上端周縁に沿って固着された略四角環状(図8(b)参照)の弾性材料(エラストマー等)からなるシール部45Bとが例えば2色成形されて構成されている。図9に示すように、キャップ45は、その下側に配置された支持板51に対する上限位置が係合部45C,51Aの係合により規制された状態で、その底面と支持板51との間に介装されたバネ52の弾性力により上方へ付勢されている。また、支持板51から下方へ延出するガイド51Bが、ケース46Aの内側壁に形成された例えばガイド凹部(図示省略)に案内されて、キャップ45が昇降可能に構成されている。
【0039】
図2に戻って、各キャップ45はチューブ53(配管)を介して吸引ポンプ54の吐出口と接続されている。吸引ポンプ54はポンプモータ55と動力伝達可能に連結され、ポンプモータ55が駆動されると吸引動作する。キャップ45が記録ヘッド16のノズル形成面16Aに当接したキャッピング状態の下で、ポンプモータ55が駆動されると、チューブ53を通じて各キャップ45に吸引力が及んでキャップ45内が負圧になり、ノズル内の増粘インクやインク中の気泡等を強制的に吸引除去するクリーニングが行われる。
【0040】
次にカバーユニットの構成を説明する。本実施形態のプリンタ11において、図1、図3及び図4に示すカバーユニット30,31は、記録ヘッド16及びキャップユニット46と対応する位置に、搬送中の用紙12から落下した紙粉がキャップ45(特にシール部45B)に付着することを防止するカバー部材としての平ベルト32を有する。搬送方向上流側のカバーユニット30は、上流側の第一列(4個)の記録ヘッド16と対応する4個のキャップ45をカバーするためのものであり、一方、下流側のカバーユニット31は、下流側の第2列(5個)の記録ヘッド16と対応する5個のキャップ45をカバーするためのものである。
【0041】
図3、図4、図5及び図8に示すように、カバーユニット30,31は、キャップ45を搬送方向Xに挟む両側に配置された一対の第一ローラ33及び第二ローラ34と、第一及び第二ローラ33,34に両端部がそれぞれ固定された状態で巻き付けられた平ベルト32とを備える。平ベルト32は、幅方向Yにキャップ45の幅よりもその幅が広く、その全長がキャップ45の搬送方向全長の2倍を十分超える長さを有している。そして、その一端部が第一ローラ33に固定されるとともに他端部が第二ローラ34に固定され、両ローラ33,34に一部巻き付けられることで、平ベルト32はローラ33,34間に水平に張設されている。
【0042】
図8は(a)平ベルトがキャップをカバーする状態と、(b)平ベルトがキャップをカバーしない状態とを示す。図8(a)は、平ベルト32が、一対のローラ33,34のうち搬送方向上流側に位置する第二ローラ34にエンドまで巻き取られた状態(以下、カバー位置(覆閉位置)という)を示し、このカバー位置状態では、キャップ45の上側開口部が平ベルト32に覆われる。図8(b)に示すように、搬送方向下流側の第一ローラ33に平ベルト32がエンドまで巻き取られた状態(以下、非カバー位置(開放位置)という)において、平ベルト32におけるキャップ45と相対する位置には、キャップ45が挿通可能な開口サイズの長方形の開口32A(貫通孔)が形成されている。このため、平ベルト32が非カバー位置に配置された状態では、図8(b)に示すように開口32Aからキャップ45が露出する。この非カバー状態では、キャップ45は、平ベルト32と干渉することなく開口32Aを通り抜けることができ、退避位置とキャッピング位置間の昇降が可能となっている。そして、図9(b)に示すように、平ベルト32が非カバー位置に配置された状態においては、電動モータ49が正転駆動されれば、キャップ45が平ベルト32の開口32Aを通り抜けて記録ヘッド16のノズル形成面16Aに当接するキャッピング位置まで上昇する構成となっている。
【0043】
図1、図3及び図4に示すように、第一ローラ33と第二ローラ34の各々の一端部(各図における上端部)には、摩擦クラッチギヤ機構35が設けられている。摩擦クラッチギヤ機構35は、第一ローラ33と第二ローラ34の各一端部にそれぞれ固定された円柱部56と、円柱部56と同軸状態に相対回転可能に取り付けられた歯車36と、歯車36を円柱部56の端面に圧接させる方向へ付勢するコイルバネ57とを備える。歯車36と円柱部56との接触面はコイルバネ57の付勢力を受けて摩擦係合されるようになっており、円柱部56(つまりローラ33,34)に係合摩擦力(静止摩擦力)より大きな負荷がかかると接触面(クラッチ面)が滑って歯車36のみが空回りし、一方、円柱部56にかかる負荷が係合摩擦力以下のうちは、円柱部56と歯車36との摩擦係合により歯車36と円柱部56(つまりローラ33,34)は一体回転する。なお、本実施形態では、摩擦クラッチギヤ機構35が、動力伝達機構及びクラッチ機構を構成する。
【0044】
図7は、摩擦クラッチギヤ機構の分解斜視図を示す。図7に示すように、ローラ33(34)は、その一端部側にて軸受58により回転可能に支持されている。ローラ33(34)の一端部に固定された円柱部56の端面中央部から垂直に軸部56Aが突出しており、この軸部56Aが歯車36の孔36Aに挿通されることで、歯車36は円柱部56に対して同軸状態で相対回転可能に組み付けられる。
【0045】
軸受58の外周面には、その周方向に異なる複数箇所(本例では3箇所)に複数の係止突起58Aが突設されている。保持部材59は、円盤状の保持部59Aと、保持部59Aの周縁部から軸線方向に延出する複数本(例えば3本)の係止延出部59Bとを有している。各係止延出部59Bには係止孔59C(長孔)が形成されている。保持部材59は、コイルバネ57を一端部が歯車36の端面に当接し他端部が保持部59Aの凹部59Dに挿着された状態で、そのコイルバネ57を圧縮させつつ、三本の係止延出部59Bの係止孔59Cが軸受58の係止突起58Aに係止されることにより、摩擦クラッチギヤ機構35は、ローラ33(34)の端部に組み付けられている。つまり、コイルバネ57はその螺旋内に軸部56Aが挿通された状態で歯車36と保持部材59の保持部59Aとの間に取着されるとともに、保持部材59の係止延出部59Bが軸受58の係止突起58Aに係止されることにより、歯車36と保持部59Aとの間に圧縮状態に組み付けられ、常には歯車36を円柱部56に押し付けるように付勢している。この組み付け状態では、歯車36は、コイルバネ57の弾性力により円柱部56の端面に押し付けられて両者の端面同士が摩擦係合可能に当接している。保持部材59は軸受58に固定されており、歯車36、円柱部56及びローラ33(34)は、保持部材59及び軸受58に対して相対回転可能となっている。そして、歯車36は、搬送ユニット13側のローラ21〜23の端部に固定された歯車37と、保持部材59の係止延出部59B間の間隙を介して噛合している。
【0046】
図5に示すように、駆動用のローラ21に固定された歯車37には、搬送方向X上流側のカバーユニット30の第一ローラ33側の摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36と、下流側のカバーユニット31の第二ローラ34側の摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36とが噛合している。また、上流側の従動用のローラ22に固定された歯車37には、上流側のカバーユニット30の第二ローラ34側の摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36が噛合している。さらに、下流側の従動用のローラ23に固定された歯車37には、下流側のカバーユニット31の第一ローラ33側の摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36が噛合している。
【0047】
こうして電動モータ26が正転駆動されると、中央の駆動用のローラ21が図5における反時計方向に回転して、搬送ベルト24,25を介して動力が伝達されることにより、従動用の各ローラ22,23も反時計方向へ回転し、これにより搬送ベルト24,25上の用紙12は搬送方向Xへ搬送される。
【0048】
各ローラ21〜23が用紙搬送時の回転方向に回転(正転)すると、歯車37と歯車36との噛合を介して歯車36が正転し(図5における時計方向に回転し)、この歯車36の回転が摩擦係合された円柱部56に伝達されることで、第一及び第二ローラ33,34が正転方向(図5における時計方向)に回転する。この第一及び第二ローラ33,34の正転により、平ベルト32が上流側の第二ローラ34に巻き取られる。そして、平ベルト32が第二ローラ34側へエンドまで巻き取られると、第一及び第二ローラ33,34のそれ以上の正転方向への回転が規制され、ローラ33,34を正転させようとする負荷が増大するため、摩擦クラッチギヤ機構35を構成する歯車36と円柱部56との摩擦係合面が滑って歯車36のみが空転する。このため、第二ローラ34にエンドまで巻き取られた平ベルト32は、図3及び図8(a)に示すように、その開口していない部分がキャップ45の上方に配置されるカバー位置に保持される。
【0049】
一方、電動モータ26が逆転駆動されると、中央の駆動用のローラ21が図5における時計方向に回転して、搬送ベルト24,25を介して動力が伝達されることにより、従動用の各ローラ22,23も時計方向へ回転する。各ローラ21〜23が用紙搬送時の回転方向と逆方向に回転(逆転)すると、歯車37と歯車36との噛合を介して歯車36が逆転し(図5における反時計方向に回転し)、この歯車36の回転が摩擦係合された円柱部56に伝達されることで、第一及び第二ローラ33,34が逆転方向(図5における反時計方向)に回転する。この第一及び第二ローラ33,34の逆転により、平ベルト32が下流側の第一ローラ33に巻き取られる。そして、平ベルト32が第一ローラ33側へエンドまで巻き取られると、第一及び第二ローラ33,34のそれ以上の逆転方向への回転が規制され、ローラ33,34を逆転させようとする負荷が増大するため、摩擦クラッチギヤ機構35を構成する歯車36と円柱部56との摩擦係合面が滑って歯車36のみが空転する。このため、第一ローラ33にエンドまで巻き取られた平ベルト32は、図4及び図8(b)に示すように、その開口32Aがキャップ45の上方に配置される非カバー位置に保持されるようになっている。
【0050】
図10は、プリンタの電気的構成を示す。図10に示すように、プリンタ11は、制御手段としてのコントローラ60、ヘッドドライバ61及びモータドライバ62〜65を備えている。コントローラ60は、ヘッドドライバ61を介して各記録ヘッド16と接続され、モータドライバ62を介して搬送ユニット13の電動モータ26と接続されている。さらにモータドライバ63を介して昇降モータ40と接続されるとともに、モータドライバ64を介してキャップユニット46の電動モータ49と接続され、モータドライバ65を介してポンプモータ55と接続されている。
【0051】
コントローラ60は、CPU71、ASIC72(Application Specific IC(特定用途向けIC))、ROM73及びRAM74を内蔵している。ROM73には、CPU71が実行するための各種プログラムが記憶されている。RAM74は、CPU71が演算結果等のデータを一時記憶するための作業メモリとして使用される。
【0052】
印刷時にはコントローラ60は電動モータ26を正転駆動させて搬送ユニット13を駆動させることにより、用紙12を搬送する。そして、搬送ベルト24,25上を搬送される用紙12に向けて印刷データ(ラスタデータ)に基づく画像のドット位置に記録ヘッド16からインク滴が噴射されることで、用紙12に画像の印刷が施される。
【0053】
このとき搬送ユニット13のローラ21〜23の回転力は、ローラ21〜23の端部に固定された歯車37と、摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36との噛合及び歯車36と円柱部56との摩擦係合を介してローラ33,34に伝達される。そして、正転方向の回転が伝達されたローラ33,34は正転方向に回転駆動し、平ベルト32が第二ローラ34に巻き取られる。平ベルト32がエンドまで巻き取られることで、平ベルト32はキャップ45の上方を覆うカバー位置に配置される。このとき、ローラ21〜23は回転し続けるが、平ベルト32がエンドに達したことにより、各ローラ33,34のそれ以上の正転が規制されるので、摩擦クラッチギヤ機構35がローラ33,34側から受ける負荷が過大となって、歯車36と円柱部56との摩擦係合面が滑ることで、この時点で摩擦クラッチギヤ機構35の接続(摩擦係合)が切れる。よって、摩擦係合による接続が切れて歯車36が空転することにより、搬送ベルト24,25が搬送方向Xに駆動されつつも、平ベルト32がカバー位置に保持される。
【0054】
よって、搬送中の用紙12から紙粉が落下しても、その紙粉は平ベルト32の上面に付着し、平ベルト32に覆われたキャップ45に付着することが防止される。そして、印刷が終了して用紙12が排紙されると、電動モータ26の駆動が停止され、その停止に引き続き電動モータ26が逆転駆動される。つまり、非印刷時には、記録ヘッド16をキャップ45にてキャッピングするが、そのキャッピングに際して、電動モータ26が逆転駆動される。各ローラ21〜23の逆転方向の回転力は、歯車37と摩擦クラッチギヤ機構35の歯車36との噛合及び歯車36と円柱部56との摩擦係合を介してローラ33,34に伝達される。その逆転方向の回転が伝達されたローラ33,34が逆転方向に回転駆動することにより、平ベルト32はエンドに達するまで第一ローラ33に巻き取られ、平ベルト32はその開口32Aがキャップ45の上方に位置する非カバー位置に配置される。非カバー位置に達すると、電動モータ26の駆動が停止される。
【0055】
その後、電動モータ49が正転駆動されて上昇したキャップ45は開口32Aを通り抜けてキャッピング位置に配置される。例えば前回のクリーニング時からのタイマによる計時時間が既にクリーニング時期に相当する値に達していれば、キャッピング後にポンプモータ55を駆動させて吸引ポンプ54を吸引動作させることで、クリーニングを行う。
【0056】
このとき、キャップ45のシール部45Bに紙粉等の塵埃が付着しにくくなっているため、キャッピング位置に配置されたキャップ45のシール部45Bとノズル形成面16Aとの当接面に紙粉等の塵埃が介在してできる隙間が発生しないので、この種の隙間に起因するキャップ45のシール性能の低下を回避できる。
【0057】
以上、詳述したように本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)用紙搬送中はキャップ45が平ベルト32でカバーされるので、用紙12から落下した紙粉がキャップ45に付着することを回避できる。この結果、キャップ45のシール部45Bに付着した紙粉が原因で、キャッピング時のシール性能が損なわれるキャッピング不良を回避できる。よって、キャッピング不良に起因するノズル内のインクの増粘を回避できる。さらにキャッピング不良に起因するキャップ45内の残留インクの乾燥が抑えられるので、キャップ45に接続されたチューブ53の詰まりや、キャッピング時におけるキャップ45内の保湿性の低下が抑えられる。例えばキャップ内の残留インクから蒸発した水分(水蒸気)によりキャップ45内の水蒸気圧が高くなってその保湿性が担保されれば、ノズル内のインクからの水分の蒸発が少なく抑えられ、ノズル内のインクの増粘速度が低く抑えられる。従って、キャッピング中におけるノズル内のインクの増粘や乾燥に起因するノズル目詰まりを回避できる。例えばキャッピング中にノズル内のインクが増粘や乾燥により固化すると、次回印刷時にクリーニングが行われても、ノズルを回復できず、さらに強力なクリーニングを行わなければならなくなるが、本実施形態によれば、ノズル目詰まりを効果的に回避できるので、強力クリーニングにより印刷に使用されない多量のインクが無駄に廃棄されることを回避できる。
【0058】
(2)搬送ユニット13の動力源である電動モータ26の動力を利用し、各ローラ21〜23に連動してカバーユニット30,31のローラ33,34を回転駆動させる構成を採用した。そして、各ローラ21〜23が用紙搬送時の回転方向(正転方向)に回転駆動されると、平ベルト32がキャップ45を覆うカバー位置に配置され、電動モータ26が用紙搬送時の回転方向と逆方向(逆転方向)に回転駆動されると、平ベルト32はその開口32Aがキャップ45の上方に位置する非カバー位置に配置される。よって、用紙搬送中はキャップ45をカバー位置に配置してキャップ45への紙粉の付着を防止でき、しかも、印刷終了後(用紙搬送停止後)のキャッピング時やクリーニング時には平ベルト32を非カバー位置に配置し、キャップ45を、開口32Aを通り抜けてキャッピング位置へ上昇させることができる。このように平ベルト32を、搬送ユニット13の駆動方向に連動してその移動方向が切り換わる構成としたので、カバーユニット専用の動力源が不要であるうえ、用紙12の搬送/非搬送に応じた適切なタイミングで、平ベルト32をカバー位置と非カバー位置とに切り換えることができる。
【0059】
(3)搬送ユニット13側のローラ21〜23と平ベルト32が巻き付けられたローラ33,34との間での動力を伝達する動力伝達機構として、摩擦クラッチギヤ機構35を採用した。よって、電動モータ26が正転駆動されると、搬送ベルト24,25が用紙搬送方向に駆動されるとともに平ベルト32が第二ローラ34に巻き取られ、平ベルト32がそのエンドであるカバー位置(覆閉位置)に達すれば摩擦クラッチギヤ機構35の接続が切れて、平ベルト32をカバー位置に保持できる。一方、印刷終了後に、電動モータ26が逆転駆動されると、平ベルト32が第一ローラ33に巻き取られるとともに、そのエンドである非カバー位置に達した時点で摩擦クラッチギヤ機構35の接続が切れ、平ベルト32はその開口32Aがキャップ45の上方に位置するカバー位置に保持される。よって、電動モータ26が用紙搬送のために正転駆動され続けても、平ベルト32をカバー位置に保持できる。また、キャッピングは用紙12の搬送が終了した後に行われるため、電動モータ26を逆転駆動させても、用紙12の搬送に支障を来すことはない。
【0060】
(4)複数個のキャップ45を個々に保護する各平ベルト32を共通のローラ33,34に巻き掛けるとともに、各ローラ33,34の端部に摩擦クラッチギヤ機構35を設けた。よって、キャップ45の個々に摩擦クラッチギヤ機構35を設ける必要がなく、カバーユニット30,31を簡単な構成で実現できる。
【0061】
(第二実施形態)
本実施形態は、キャップ45の退避中に、キャップ45を平ベルト32の下面に当接させる点が、前記第一実施形態と異なる。
【0062】
用紙搬送時は、搬送ユニット13の駆動に連動して、平ベルト32が第一ローラ33に巻き取られて図11に示すカバー位置に配置される。平ベルト32がカバー位置に配置されると、コントローラ60は電動モータ49を正転方向に駆動させてキャップ45を少量上昇させる。このときの電動モータ49の駆動量は、キャップ45のシール部45Bが平ベルト32の裏面(下面)にやや上方に押圧気味に当接できるような上昇ストロークが得られるように設定されている。この結果、図11に示すように、キャップ45は平ベルト32の下面に当接した略封止状態に保持される。このため、印刷時におけるキャップ45の退避中に、キャップ45内の残留インクが乾燥することを抑制できる。従って、キャッピング時にキャップ45内の残留インクからの水分蒸発によりキャップ45内の保湿性が確保され、キャッピング中におけるノズル内インクの増粘速度を低く抑えることができる。
【0063】
尚、実施形態は、上記に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
(変形例1)動力伝達機構が有するクラッチ機構は、カバーユニット30,31側から受ける負荷が大きくなると接続が切れる摩擦クラッチギヤ機構のような負荷切り換わり方式に限定されない。要するに、クラッチ機構は、搬送ユニット13が駆動され続けても、カバー部材が覆閉位置に達すればその位置に保持できる構成であれば足りる。例えば、カバー部材が覆閉位置又は開放位置まで移動すると、負荷によらず接続が切れる方式でも構わない。例えば第一及び第二ローラ33,34の一端部に設けた歯車36がその外周面上に歯のある歯部と歯のない欠歯部とを有し、カバー部材が覆閉位置と開放位置との間を移動する移動可能範囲では、搬送手段側の歯車37がカバーユニット側の歯車36の歯部と噛合して動力が伝達される。一方、カバー部材が覆閉位置又は開放位置まで移動し終わると、搬送手段側の歯車37がカバーユニット30,31側の歯車36の欠歯部と対応し、カバー部材がその位置に保持される構成とする。さらに、例えば動力伝達機構としてカム機構を採用し、カム機構のカムはローラ21〜23が回転し続けても、カムフォロアがカバー部材を覆閉位置又は開放位置まで移動案内すれば、カムフォロアのそれ以上の移動が規制されるカム式のクラッチ機構も採用できる。また、カバー部材は平ベルトに限定されず、キャップを覆うことができる形状及びサイズの部材であれば足りる。例えばカバー部材を樹脂、金属あるいは無機材料等からなるプレートとし、プレートを移動させる構成も採用できる。なお、負荷切り換え方式ではないクラッチ機構を採用した場合、カバー部材の覆閉位置をエンド位置とする必要がない。よって、無端状の平ベルトをローラ33,34に巻き掛けた構成のカバーユニットも採用できる。
【0064】
(変形例2)動力伝達機構を、用紙搬送中にローラ33,34の回転方向を切り換え可能なクラッチ機構を備えた構成としてもよい。例えば歯車37の噛合先を、第一歯車と第二歯車との間で選択可能なクラッチ機構を設け、第一歯車が第一ローラ33側の摩擦クラッチギヤ機構の歯車であり、第二歯車が奇数個の歯車を介して第二ローラ34側の摩擦クラッチギヤ機構の歯車と噛合する構成とする。そして、歯車37の噛合相手を、クラッチ機構により第一歯車と第二歯車との間で切り換えることで、ローラ33,34の回転方向の選択が可能となる。この構成によれば、搬送ベルト駆動途中にクラッチ機構により歯車37の噛合相手を第一歯車から第二歯車に切り換えて、第一及び第二ローラ33,34の回転方向(つまり平ベルト32のローラ33、34に対する巻き取り方向)を切り換えることで、平ベルト32をカバー位置からフラッシング可能な非カバー位置に配置できる。この結果、先行用紙と後続用紙との間でフラッシングを行うときに搬送ベルトの駆動を一時停止させることなく、平ベルト32を非カバー位置に配置し、先行用紙と後続用紙との隙間のタイミングで開口32Aを介してキャップ45内へフラッシングを行うことができる。
【0065】
(変形例3)ローラ21〜23上にその軸方向所定間隔毎に各キャップ45に対応する歯車37を設け、平ベルト32毎の短いローラ33,34及び摩擦クラッチギヤ機構35を設ける構成も採用できる。また、前記各実施形態において、ローラ33,34の両端部に摩擦クラッチギヤ機構35を設けてもよい。
【0066】
(変形例4)カバーユニットはベルト方式に限定されない。例えば搬送ユニットのローラから歯車列を介して入力した回転を直動運動に変換する機構を設け、その変換された直動運動によりカバー部材を覆閉位置と開放位置との間で進退させる構成も採用できる。
【0067】
(変形例5)ラインヘッドを構成する記録ヘッドの列数は、千鳥配置された二列に限定されず、ローラ21〜23間の二つの隙間にそれぞれ記録ヘッドを二列千鳥に配置し、合計4列とする構成も採用できる。また、搬送手段のローラを一対のみとし、一対のローラ間に二列、三列あるいは四列以上の記録ヘッドを配置してもよい。ローラ間に二列以上の記録ヘッドが配置される場合、その二列以上の記録ヘッドがカバー部材を共有する構成も採用できる。例えば幅方向Yに最大用紙幅あるいはそれより少し幅狭の平ベルトを用いたり、ローラ間の搬送方向Xに複数列のキャップ間で平ベルトを共有する構成でもよい。
【0068】
(変形例6)搬送手段は、搬送ベルトユニットに限定されず、一対の搬送ローラが用紙を挟持した状態で回転駆動されることで用紙を搬送する搬送ローラ方式も採用できる。この搬送ローラ方式であっても、搬送手段の動力源の動力を動力伝達機構を介してカバーユニットに伝達する構成を採用することで、搬送手段の動力を利用して、カバーユニットを駆動させることができる。よって、カバーユニット専用の動力源が不要となる。
【0069】
(変形例7)搬送ユニット13の動力源(電動モータ26)が吸引ポンプ54の動力源を兼ねてもよい。この場合、電動モータ26を用紙搬送時と逆方向に駆動させると吸引ポンプ54が駆動される構成とする。また、搬送ユニット13の動力源がキャップユニット46の動力源を兼ねていてもよい。この場合、電動モータ26を用紙搬送時と逆方向に駆動させると、キャップ45がキャッピング位置へ上昇する構成とする。但し、キャップの昇降する間は、平ベルトの移動が開始されないように、遅延機構を設けることが好ましい。ここで、遅延機構としては、例えば昇降機構47のうち一の歯車の回転軸を、平ベルト32の入力軸と同軸となるように配置する。そして、前記回転軸がキャップ45の昇降ストローク分に相当する一回転未満の所定回動量だけ回動するとその回転軸に設けられた係合部が、平ベルト32の入力軸に設けられた係合部と係合し、その後、両者の係合を介して平ベルト32への動力伝達が開始される構成を挙げることができる。
【0070】
(変形例8)前記実施形態では、流体噴射装置をインクジェット式記録装置に具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の流体(液体や、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流状体、流体として流して噴射できる固体を含む)を噴射したり吐出したりする流体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液状体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。なお、「流体」とは、気体のみからなる流体を含まない概念であり、例えば液体(無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)等を含む)、液状体、流状体などが含まれる。
【0071】
前記各実施形態及び変形例に記載された技術思想を以下に記載する。
(1)請求項1乃至6のいずれか一項において、前記搬送手段、前記キャップユニット及び前記カバーユニットを駆動制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記カバー部材がターゲット搬送中は前記覆閉位置に配置され、キャッピング時は前記開放位置に配置されるように前記搬送手段の動力源を駆動制御する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】第一実施形態におけるプリンタの模式平面図。
【図2】プリンタの模式正断面図。
【図3】用紙搬送時における搬送ユニット及びカバーユニットを示す模式平面図。
【図4】キャッピング時における搬送ユニット及びカバーユニット等を示す模式平面図。
【図5】プリンタの模式側断面図。
【図6】ラインヘッドを示す底面図。
【図7】摩擦クラッチギヤ機構の分解斜視図。
【図8】(a)平ベルトがカバー位置に配置された状態、(b)平ベルトが非カバー位置に配置された状態を示すカバーユニットの部分平面図。
【図9】(a)(b)キャップユニットの構成及び動作を示す模式正断面図。
【図10】プリンタの電気的構成を示すブロック図。
【図11】第二実施形態におけるキャップユニットの動作を示す模式正断面図。
【符号の説明】
【0073】
11…流体噴射装置としてのプリンタ、12…ターゲット(媒体)としての用紙、13…搬送手段及び搬送ベルトユニットとしての搬送ユニット、14…ラインヘッド、16…流体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、17…ヘッド支持部材、21…ベルト駆動軸としてのローラ、22,23…ベルト従動軸としてのローラ、24,25…搬送ベルト、26…動力源としての電動モータ、30,31…カバーユニット、32…カバー部材としての平ベルト、32A…開口、33…ローラとしての第一ローラ、34…ローラとしての第二ローラ、35…動力伝達機構を構成するとともにクラッチ機構及び摩擦クラッチ機構としての摩擦クラッチギヤ機構、36…歯車、37…動力伝達機構を構成する歯車、45…キャップ、46…キャップユニット、47…昇降機構、48…カム、49…電動モータ、50…歯車列、54…吸引ポンプ、55…ポンプモータ、60…制御手段としてのコントローラ、71…制御手段を構成するCPU。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットに対して流体を噴射可能な流体噴射ヘッドを備えた流体噴射装置であって、
ターゲットを搬送する搬送手段と、
前記流体噴射ヘッドに対してターゲットの搬送経路を挟む反対側に配置されたキャップを、前記流体噴射ヘッドに当接するキャッピング位置と前記流体噴射ヘッドから離間する退避位置とに相対的に移動可能に備えたキャップユニットと、
カバー部材を有するとともにターゲット搬送時に前記カバー部材が前記キャップを覆う覆閉位置に配置され、キャッピング時に前記カバー部材が前記キャップを覆わない開放位置に配置されるように、前記搬送手段と連動して前記カバー部材を前記覆閉位置と前記開放位置とに移動可能に駆動されるカバーユニットと
を備えたことを特徴とする流体噴射装置。
【請求項2】
前記搬送手段は動力源を備え、前記カバー部材が前記搬送手段と連動するように前記カバーユニットは前記搬送手段と動力伝達機構を介して連結されており、
前記動力源がターゲット搬送時の駆動方向に駆動されると、前記ターゲットが搬送されるとともに前記カバー部材が覆閉位置に配置され、前記動力源がターゲット搬送時の駆動方向と逆方向に駆動されると、前記カバー部材が開放位置に配置されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、ベルト駆動軸と、ベルト従動軸と、前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とのうち搬送方向上流側の対と下流側の対とに千鳥配置をなすように巻き掛けられた複数の搬送ベルトと、前記ベルト駆動軸を駆動させる前記動力源とを備えた搬送ベルトユニットであり、
前記流体噴射ヘッド、前記キャップ及び前記カバー部材は前記搬送ベルト間の隙間に対応する位置に千鳥配置されており、
前記カバー部材は、前記ベルト駆動軸と連動して移動するように前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とのうち少なくとも一方と前記動力伝達機構を介して連結されていることを特徴とする請求項2に記載の流体噴射装置。
【請求項4】
前記動力伝達機構は、前記カバー部材の前記開放位置と前記覆閉位置との間の移動範囲において動力伝達可能に接続され、かつ前記カバー部材が前記覆閉位置まで移動したとき及び前記開放位置まで移動したときに動力伝達不能に接続が切れるクラッチ機構を備えていることを特徴とする請求項3に記載の流体噴射装置。
【請求項5】
前記カバー部材は前記開放位置と前記覆閉位置とが移動範囲のエンドとなるように構成され、
前記クラッチ機構は、前記カバー部材が前記エンドに達して、前記カバーユニット側から受ける負荷が前記カバー部材の移動範囲で受ける負荷よりも大きな前記エンドに達したときの負荷を受けるようになると接続が切れる負荷切り換わり方式のクラッチ機構であることを特徴とする請求項4に記載の流体噴射装置。
【請求項6】
前記カバー部材は、前記キャップと前記流体噴射ヘッドとの間に配置されるとともに前記キャップが挿通可能なサイズの開口を有する平ベルトであって、
前記カバーユニットは、前記平ベルトが巻き付けられた一対のローラを更に備え、
前記一対のローラは前記ベルト駆動軸と前記ベルト従動軸とにそれぞれ前記動力伝達機構を介して連結され、
前記動力源が前記ターゲット搬送時の駆動方向に駆動したときに、前記平ベルトは前記開口のない部分が前記キャップを覆うように配置され、前記動力源が前記ターゲット搬送時の駆動方向と逆方向に駆動したときに、前記平ベルトは前記開口が前記キャップと対応して位置するように配置されることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項7】
前記搬送手段、前記キャップユニット及び前記カバーユニットを駆動制御する制御手段を更に備え、前記制御手段は、前記カバー部材をターゲット搬送中は前記覆閉位置に配置し、キャッピング時は前記開放位置に配置するように前記搬送手段の動力源を制御するとともに、前記ターゲット搬送中は前記キャップを前記覆閉位置に配置された前記カバー部材に当接させるように前記キャップユニットを制御することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の流体噴射装置。
【請求項8】
ターゲットを搬送する搬送手段と、搬送されたターゲットに流体を噴射可能な流体噴射ヘッドと、前記流体噴射ヘッドをキャッピングするキャップを有するキャップユニットとを備えた流体噴射装置におけるキャップ保護方法であって、
ターゲットの搬送時に、カバー部材を前記キャップが覆われる覆閉位置に移動させる段階と、
前記流体噴射ヘッドにキャッピングすべきときは、前記カバー部材を前記キャップの退避位置とキャッピング位置との間の移動を妨げない開放位置に移動させる段階と、
を備えたことを特徴とする流体噴射装置におけるキャップ保護方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−18537(P2009−18537A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184247(P2007−184247)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】