説明

流体圧シリンダの位置検出装置

【課題】センサ固定ねじの先端によってセンサホルダを損傷させることなく、位置センサをシリンダチューブに簡単かつ安全にしかも位置調節可能に取り付ける。
【解決手段】シリンダチューブ10の外周に取付バンド20でセンサホルダ18を取り付け、該センサホルダ18にセンサ固定ねじ19で位置センサ17を固定する位置検出装置において、前記センサ固定ねじ19に鍔状の係止部32を設け、該センサ固定ねじ19を時計回りに回転させたときは、前記係止部32がセンサ取付溝26の開口部27の口縁部外面27aに当接することにより位置センサ17が引き上げられ、開口部27の口縁内面に係止して固定され、前記センサ固定ねじ19を反時計回りに回転させたときは、前記係止部32が貫通孔33の上壁面33aに当接することにより位置センサ17が押し下げられ、センサ取付溝26の溝底26bに押し付けられて固定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダのピストンの動作位置を検出する位置検出装置に関するものであり、更に詳しくは、取付バンドを用いて位置センサをシリンダチューブに取り付けるタイプの位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダには、一般に、ピストンの動作位置を検出してその検出信号を流体圧シリンダの制御用信号として使用するため、位置検出装置が取り付けられている。この位置検出装置は、前記ピストンに取り付けた永久磁石の磁気を、シリンダチューブの外面に取り付けた磁気感応形の位置センサで検出するようにしたもので、該位置センサをシリンダチューブの外面に取り付けるため、従来より様々な機構が用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、開口部の幅が狭いセンサ取付溝を備えたセンサホルダを取付バンドでシリンダチューブの外周に取り付け、前記センサ取付溝内に位置センサを収容し、該位置センサに螺着したセンサ固定ねじで該位置センサをセンサホルダに固定した位置センサの取付構造が開示されている。
【0004】
前記従来の取付構造においては、前記センサ固定ねじを締め込んでその先端をセンサ取付溝の溝底に当接させ、その状態で更に該センサ固定ねじを回転させることによって前記位置センサを浮上させ、センサ取付溝の開口部の口縁部外面に該位置センサを係止させて固定するようにしていた。このため、前記センサ固定ねじの先端によってセンサ取付溝の溝底に傷が付き易かった。特に、前記位置センサをシリンダチューブの外面にできるだけ近づけて感度を高めるために、前記センサホルダを合成樹脂により形成してセンサ取付溝の底部を薄く形成した場合には、該センサホルダが前記センサ固定ねじの当接によって破損することもあった。また、前記位置センサ及びセンサ取付溝の断面形状によっては該位置センサが傾いた姿勢で固定されてしまうという不都合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−125150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、センサ固定ねじの先端によってセンサホルダを損傷させることなく、位置センサをシリンダチューブに簡単かつ安全にしかも位置調節可能に取り付けられるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明によれば、流体圧シリンダのピストンの位置を検出する位置センサと、該位置センサを保持するセンサホルダと、前記位置センサを該センサホルダに固定するため前記位置センサに螺着されたセンサ固定ねじと、前記センサホルダをシリンダチューブの外周に取り付ける取付バンドとを有する流体圧シリンダの位置検出装置が提供される。
前記センサ固定ねじは、頭部に鍔状の係止部を有し、前記センサホルダは、シリンダチューブの軸線方向に延びる前記センサ取付溝と、該センサ取付溝に沿って形成された前記開口部と、該開口部に沿ってセンサホルダを貫通するように延びる貫通孔と、前記センサホルダの上面から該貫通孔に達するように形成された中空部とを有している。
また、前記開口部の幅は、前記センサ取付溝の内部の溝幅及び前記センサ固定ねじの係止部の径より小さく形成され、前記貫通孔の横幅は、前記センサ取付溝の開口部の幅及び前記センサ固定ねじの係止部の径より大きく形成され、該貫通孔の上下幅は、前記センサ固定ねじの係止部の厚みより大きく形成されている。
更に、前記センサ固定ねじの係止部は、該センサ固定ねじを時計回り又は反時計回りに回転させることにより前記センサ取付溝の開口部の口縁部外面と前記貫通孔の上壁面とに選択的に当接可能であり、該係止部が前記口縁部外面又は上壁面に係止することにより前記位置センサが前記センサ固定ねじで前記センサ取付溝内に固定されるように構成され、前記センサ固定ねじは前記中空部を通じて工具により回転操作可能である。
【0008】
本発明の具体的な構成態様によれば、前記取付バンドが、前記シリンダチューブの外周を取り巻くバンド主体部と、該バンド主体部の両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部とを有し、該一対の挟持部間に前記センサホルダが挟持され、該挟持部とセンサホルダとを貫通する取付ねじで前記一対の挟持部を相互に引き締めることにより該センサホルダが前記シリンダチューブの外周に取り付けられている。また、前記センサホルダは、前記取付バンドの挟持部間に挟持されるホルダ本体部と、該ホルダ本体部の第1端及び反対側の第2端から前記センサ取付溝に沿って延出する第1延出部及び第2延出部のうち少なくとも前記第1延出部とを有していて、該第1延出部からホルダ本体部に至るように前記センサ取付溝及び開口部が形成され、前記ホルダ本体部に前記貫通孔と中空部とが形成されている。
【0009】
本発明においては、前記ホルダ本体部の左右両側面にはそれぞれ、該ホルダ本体部の高さ方向に延びる2つのリブが平行に形成され、該2つのリブの間に前記取付バンドの挟持部が介在することにより、前記取付ねじを中心とする前記挟持部とセンサホルダとの相対的な回転が防止されていることが好ましい。
【0010】
本発明において好ましくは、前記中空部がホルダ本体部の端部に形成されていることである。
また、前記センサ取付溝の一端は開放して該一端に前記位置センサを挿入するための挿入口が形成され、他端は補強用の壁で塞がれていても良く、前記該センサ取付溝の溝底は外部に開放していても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、取付バンド及び取付ねじでセンサホルダをシリンダチューブに固定したまま、センサ固定ねじを緩めるだけで、位置センサの位置調整を簡単に行うことができる。また、前記位置センサの固定時に前記センサ固定ねじの先端がセンサ取付溝の溝底に当接しないため、該センサ固定ねじでセンサ取付溝の溝底やシリンダチューブ外面等が損傷されることがない。更に、前記センサ固定ねじを時計回り又は反時計回りに回転させて係止部をセンサ取付溝の開口部の口縁部外面と貫通孔の上壁面とに選択的に当接させることにより、位置センサをセンサ取付溝の溝底から浮上させた状態と溝底に押し付けた状態との何れの状態でも固定することができるので、条件に応じて固定方法を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る位置検出装置の一実施形態を示す組立状態の斜視図である。
【図2】図1の位置検出装置を分解して示す斜視図である。
【図3】図2の一部の部品を拡大して示す斜視図である。
【図4】図1における取付ねじの位置での要部拡大断面図である。
【図5】図1におけるセンサ固定ねじの位置での要部拡大断面図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図である。
【図7】センサ固定ねじによる位置センサの一つの固定態様を示す断面図である。
【図8】センサ固定ねじによる位置センサの他の固定態様を示す断面図である。
【図9】センサホルダの他の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1−図6は本発明に係る位置検出装置の一実施形態を示すもので、図中の符号1は流体圧シリンダ、2は該流体圧シリンダ1の外面に取り付けられた位置検出装置を示している。
【0014】
前記流体圧シリンダ1は、シリンダ孔を内部に有する円筒形をしたシリンダチューブ10と、該シリンダチューブ10の両端に取り付けられたロッドカバー11及びヘッドカバー12とを有し、前記シリンダチューブ10の内部にはピストン13が該シリンダチューブ10の中心軸線(以下、「チューブ軸線」という)L方向に摺動自在なるように収容され、該ピストン13に基端部を連結されたピストンロッド14が、前記ロッドカバー11を摺動自在に貫通して前記シリンダチューブ10の前方に向けて延出している。
【0015】
前記ロッドカバー11及びヘッドカバー12にはポート15a,15bが形成され、該ポート15a,15b通じて前記ピストン13の両側の圧力室に圧力流体(例えば圧縮空気)を交互に給排することにより、前記ピストン13及びピストンロッド14が前進したり後退したりする。
【0016】
前記ピストン13の外周にはリング状の永久磁石16が取り付けられ、この永久磁石16の磁気を前記位置検出装置2で検出することにより前記ピストン13の動作位置が検出されるようになっている。この場合、前記位置検出装置2を図示したようにシリンダチューブ10のロッドカバー11寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の前進ストローク端の位置を検出することができ、前記位置検出装置2をシリンダチューブ10のヘッドカバー12寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の後退ストローク端の位置を検出することができ、2つの位置検出装置2をシリンダチューブ10の両端寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の前進ストローク端と後退ストローク端との位置を検出することがる。
【0017】
前記位置検出装置2は、前記永久磁石16の磁気を検出する位置センサ17と、該位置センサ17を保持するセンサホルダ18と、前記位置センサ17を該センサホルダ18に固定するセンサ固定ねじ19と、前記センサホルダ18を前記シリンダチューブ10の外周に取り付ける取付バンド20と、前記シリンダチューブ10に対する該取付バンド20の固定と該取付バンド20に対する前記センサホルダ18の固定とを同時に行う1本の取付ねじ21とで構成されている。
【0018】
前記取付バンド20は、細長い帯状をした弾性金属板好ましくは非磁性の金属板を円弧状に湾曲させて形成したもので、前記シリンダチューブ10の外周を取り巻くバンド主体部20aと、該バンド主体部20aの両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部20b,20cとを有している。
前記バンド主体部20aには、必要に応じてゴムや合成樹脂等の弾性と圧縮性とを備えた素材からなる滑り止め22を取り付けることができる。この滑り止め22は、図示したように帯状をしていて、前記バンド主体部20aの内周全体に連続的に装着されていても良いが、独立する複数の弾性体を適当な間隔で前記バンド主体部20aに取り付けたものであっても良い。
【0019】
前記一対の挟持部20b,20cの内側面は平らな挟持面であり、該一対の挟持部20b,20cには、それぞれねじ締付孔23a,23bが形成されている。一方の挟持部20bに形成された第1のねじ締付孔23aは、内周に雌ねじが形成されていない通常の孔であり、他方の挟持部20cに形成された第2のねじ締付孔23bは、内周に雌ねじが切られたねじ孔である。そして、前記第1のねじ締付孔23a側から挿入された取付ねじ21の先端の雄ねじが、第2のねじ締付孔23bの内周の雌ねじに螺着されるようになっている。
【0020】
なお、前記一対の挟持部20b,20cのうち少なくとも第2のねじ締付孔23bが形成されている挟持部20bは、取付バンド20の端部に厚肉の補強部材を一体に接合するかあるいは重設することによって厚みをバンド主体部20aより厚く形成されているが、該取付バンド20の端部を複数に折り重ねることにより形成することもできる。
また、前記取付バンド20は、硬質で弾性を有する合成樹脂によって形成することもできる。
【0021】
前記センサホルダ18は、合成樹脂などの非磁性素材により形成された単一の部品であって、前記取付バンド20の一対の挟持部20b,20c間に挟持されるホルダ本体部18Aと、該ホルダ本体部18Aの第1端18a及び反対側の第2端18bの下半部からチューブ軸線L方向に延出する第1延出部18B及び第2延出部18Cとを有している。前記ホルダ本体部18Aの底面と第1延出部18B及び第2延出部18Cの底面とは、互いに同一面上にある。また、該第1延出部18B及び第2延出部18Cの高さは、互いに等しいが、前記ホルダ本体部18Aの高さよりは低く、該ホルダ本体部18Aの高さの約1/2程である。更に、前記第1延出部18B及び第2延出部18Cのチューブ軸線L方向の長さは互いに異なっており、第1延出部18Bの長さが第2延出部18Cの長さより長い。しかし、第1延出部18Bの長さと第2延出部18Cの長さとは互いに等しくても構わない。
【0022】
前記センサホルダ18には、チューブ軸線L方向に延びるセンサ取付溝26と、該センサ取付溝26に沿って延びる開口部27とが、前記第1延出部18Bからホルダ本体部18Aを貫通して第2延出部18Cに達するように形成されている。前記開口部27は、センサ取付溝26の上側部に沿って形成され、前記第1延出部18B及び第2延出部18Cの位置では外部に露出している。
【0023】
前記センサ取付溝26は、断面形状を優弧形とすることにより開口部27の幅を内部の溝幅より狭くしたもので、該センサ取付溝26の長手方向の一端即ち第1延出部18B側の端部は、挿入口26aとして開放し、該センサ取付溝26の他端即ち第2延出部18C側の端部は、補強用の壁28で塞がれている。そして、前記挿入口26aから位置センサ17が該センサ取付溝26内に挿入され、前記センサ固定ねじ19で該センサ取付溝26内に固定されている。なお、前記壁28は無くすこともできる。
【0024】
前記位置センサ17は、細長い棒状をしたもので、優弧形の断面形状を有する本体部分17aと、該本体部分17aの上面に形成された矩形の断面形状を有する台状部分17bとからなっている。前記本体部分17aの直径(横幅)は、前記センサ取付溝26の内部の溝幅より小さいが、前記開口部27の幅より大きく形成され、それによって該位置センサ17が開口部27に溝内部から係止できるようになっている。
また、前記台状部分17bは、前記センサ取付溝26の開口部27内に嵌合し、回り止めの役目を果たしている。
図中29は、センサから位置検出信号を取り出すためのリード線である。
【0025】
前記位置センサ17の前端部には、ねじ孔17cが該位置センサ17を上下方向に貫通するように形成され、このねじ孔17cに前記センサ固定ねじ19の先端部が螺着され、該位置センサ17の中間位置には、位置検出時に点灯するインジケータランプ17dが設けられている。
【0026】
前記センサ固定ねじ19の頭部は、前記開口部27を貫通してセンサ取付溝26の外部に突出し、該頭部に鍔状の係止部32が形成されている。この係止部32は、前記センサ取付溝26の開口部27の平らな口縁部外面27aに該センサ取付溝26の外側から係止可能である。該係止部32の平面視形状は円形であることが望ましく、また、該係止部32の上下面のうち、前記センサ取付溝26の口縁部外面27aに当接する下面部分と、貫通孔33の上壁面33aに当接する上面部分とは、平坦面に形成されていることが望ましい。前記係止部32の上面には、ドライバ等の工具の先端を係止させて回転操作するための操作溝32aが形成されている。
【0027】
前記ホルダ本体部18Aの内部には、前記開口部27に沿って延びる前記貫通孔33が、該ホルダ本体部18Aを第1端18a側から第2端18b側まで貫通するように形成され、該貫通孔33内に前記センサ固定ねじ19の係止部32が嵌合できるようになっている。該貫通孔33の上壁面33aは水平面である。
【0028】
また、前記ホルダ本体部18Aの第1端18a寄り及び第2端18b寄りの位置には、該ホルダ本体部18Aの上面から該貫通孔33に達する深さの中空部34と透視窓35とが、前記センサ取付溝26に沿って平面視形状がU字状をなすように切り込まれている。そして、前記中空部34を通じて前記センサ固定ねじ19をドライバ等の工具で回転操作することができ、前記透視窓35を通じて位置センサ17の上面の前記インジケータランプ17dを視認することができるようになっている。
【0029】
前記センサ取付溝26の開口部27の幅は、該センサ取付溝26の内部の溝幅及び前記センサ固定ねじ19の係止部32の径より小さく、前記貫通孔33の横幅は、前記センサ取付溝26の開口部27の幅及び前記センサ固定ねじ19の係止部32の径より大きく、該貫通孔33の縦幅(上下幅)は、前記センサ固定ねじ19の係止部32の厚みより大きい。また、前記中空部34の横幅は、前記センサ固定ねじ19の係止部32の径より小さい。
【0030】
前記センサ固定ねじ19は、それを時計回り又は反時計回りに回転させることにより、前記係止部32が前記センサ取付溝26の開口部27の口縁部外面27aと前記貫通孔33の上壁面33aとに選択的に当接し、それによって前記位置センサ17をセンサ取付溝26内に固定することができるものである。
【0031】
即ち、図7に示すように、前記センサ固定ねじ19を時計回りに回転させたときは、前記係止部32が前記開口部27の口縁部外面27aにセンサ取付溝26の外側から係止するため、前記位置センサ17が該センサ固定ねじ19により引き上げられ、センサ取付溝26の開口部27の口縁部内面に内側から当接、係止してセンサ取付溝26内に固定される。このとき、前記係止部32は、前記開口部27の両側の平坦な口縁部外面27aに跨るように係止し、水平姿勢を維持するため、位置センサ17も水平に固定されることになる。この固定方法は、前記センサ固定ねじ19が前記中空部34の位置で貫通孔33内に嵌合している場合でも、該貫通孔33から完全に脱出して前記第1延出部18B上に位置している場合でも、用いることができる。
【0032】
また、前記センサ固定ねじ19が前記中空部34の位置で貫通孔33内に嵌合している場合には、図8に示すように、前記中空部34を通じて工具で該センサ固定ねじ19を反時計回りに回転させると、該センサ固定ねじ19は上昇して係止部32が前記貫通孔33の水平な上壁面33aに当接し、その状態で該センサ固定ねじ19を更に回転させることにより、前記位置センサ17はセンサ取付溝26の溝底26bに押し付けられて固定される。この場合にも、前記係止部32が水平な上壁面33aに当接して水平姿勢を維持するため、位置センサ17も水平に固定されることになる。
【0033】
このようにして、前記センサ固定ねじ19を時計回り又は反時計回りに回転させて係止部32をセンサ取付溝26の開口部27の口縁部外面27aと貫通孔33の上壁面33aとに選択的に当接させることにより、位置センサ17をセンサ取付溝26の溝底26bから浮上させた状態と溝底26bに押し付けた状態との何れの状態でも固定することができるので、位置検出装置2の設置条件に応じて位置センサ17の固定方法を適宜選択することができる。
【0034】
また、前記センサ固定ねじ19は、それを時計回り及び反時計回りの何れの方向に回転させて前記位置センサ17を固定しても、該センサ固定ねじ19の先端がセンサ取付溝26の溝底26bに当接することがないので、該センサ固定ねじ19でセンサ取付溝26の溝底26bが損傷されることがない。
【0035】
図1−図3から分かるように、前記ホルダ本体部18Aの左右の側面18cは、相互に平行な平面に形成され、該側面18cの上端部近くの位置に、前記挟持部20b,20cのねじ締付孔23a,23bに連なるねじ挿通孔36が、該ホルダ本体部18Aを幅方向に貫通するように形成されている。該ねじ挿通孔36は、前記貫通孔33を完全に横切らないような位置に設けられている。その理由は、前記位置センサ17を前記センサ取付溝26内に出し入れしたり、あるいは位置調整のため変位させたりする場合に、前記ねじ挿通孔36に挿通した取付ねじ21と前記センサ固定ねじ19の係止部32とがぶつかり合うのを避けるためである。
【0036】
そして、前記取付ねじ21を、一方の挟持部20bの第1のねじ締付孔23aから、前記ねじ挿通孔36内に挿通して他方の挟持部20cの第2のねじ締付孔23bの雌ねじに螺着し、該取付ねじ21を締め付けて2つの挟持部20b,20cを相互に引き締めることにより、前記シリンダチューブ10に対する前記取付バンド20の固定と、該取付バンド20に対する前記センサホルダ18の固定とが、前記取付ねじ21によって同時に行われている。
【0037】
前記ホルダ本体部18Aの左右両側面18cにはそれぞれ、該ホルダ本体部18Aの高さ方向に延びる2つのリブ37が平行に形成され、該2つのリブ37の間に前記取付バンド20の挟持部20bが介在することにより、前記取付ねじ21を締め付ける際に該取付ねじ21を中心とする前記挟持部20bとセンサホルダ18との相対的な回転が防止されている。また、前記リブ37は、ホルダ本体部18Aを補強する機能も有する。
前記リブ37は、ホルダ本体部18Aの高さ全体にわたって形成されているが、該ホルダ本体部18Aの上半部だけに形成することもできる。
【0038】
前記位置検出装置2は、このように構成されて前記シリンダチューブ10に取り付けられているから、前記位置センサ17の位置調整を行うときは、前記取付ねじ21で取付バンド20とセンサホルダ18とをシリンダチューブ10に固定したまま、前記センサ固定ねじ19を緩め、前記位置センサ17をセンサ取付溝26に沿って移動させてピストン13の永久磁石16の磁気に最も感応し易い位置に配置したあと、前記センサ固定ねじ19を再び締め込むことにより、該位置センサ17をその位置に固定することができる。従って、前記取付ねじ21を緩めて取付バンド20やセンサホルダ18を変位させる作業を行う必要がなく、位置センサ17だけを単独で変位させて簡単にその位置調整を行うことができる。
【0039】
前記センサホルダ18は、それを合成樹脂で形成する場合、不透明な合成樹脂で形成することも、透明な合成樹脂で形成することもできる。不透明な合成樹脂で形成する場合には、図示した実施形態のように、位置センサ17のインジケータランプ17dを視認するための透視窓35を形成することが望ましいが、透明な合成樹脂で形成した場合には、このような透視窓35を必ずしも設ける必要がなく、それを省略することもできる。
【0040】
また、図示した実施形態では、前記センサ取付溝26が優弧形の断面形状をしていて、溝底26bを有しているが、図9に示すように、該溝底26bは外部に開放されていても良い。この場合、前記センサ固定ねじ19の係止部32を前記貫通孔33の水平な上壁面33aに当接させることによって前記位置センサ17をセンサ取付溝26の溝底26b側に押圧したとき、該位置センサ17は、図8のように溝底26bが塞がれている場合よりはシリンダチューブの10の外面に近接した位置を占めるか、あるいは、該シリンダチューブの10の外面に直接押し付けられることになり、位置検出の感度が高まる。
【0041】
また、図示した実施形態では、センサホルダ18がホルダ本体部18Aの両側に第1延出部18Bと第2延出部18Cとを有しているが、第1延出部18Bだけを残して第2延出部18Cは省略しても構わない。また、前記第2延出部18Cの有無に拘わらず、前記中空部34は必ずしも図示したようなU字形の切り込みである必要はなく、ホルダ本体部18Aの第2端18b側が開放していない長孔であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 流体圧シリンダ
2 位置検出装置
10 シリンダチューブ
13 ピストン
17 位置センサ
18 センサホルダ
18A ホルダ本体部
18B 第1延出部
18C 第2延出部
18a 第1端
18b 第2端
19 センサ固定ねじ
20 取付バンド
20a バンド主体部
20b,20c 挟持部
21 取付ねじ
26 センサ取付溝
26a 挿入口
26b 溝底
27 開口部
27a 口縁部外面
28 壁
32 係止部
33 貫通孔
33a 上壁面
34 中空部
37 リブ
L 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧シリンダのピストンの位置を検出する位置センサと、該位置センサを保持するセンサホルダと、前記位置センサを該センサホルダに固定するため前記位置センサに螺着されたセンサ固定ねじと、前記センサホルダをシリンダチューブの外周に取り付ける取付バンドとを有し、
前記センサ固定ねじは、頭部に鍔状の係止部を有し、
前記センサホルダは、シリンダチューブの軸線方向に延びる前記センサ取付溝と、該センサ取付溝に沿って形成された前記開口部と、該開口部に沿ってセンサホルダを貫通するように延びる貫通孔と、前記センサホルダの上面から該貫通孔に達するように形成された中空部とを有し、
前記開口部の幅は、前記センサ取付溝の内部の溝幅及び前記センサ固定ねじの係止部の径より小さく形成され、前記貫通孔の横幅は、前記センサ取付溝の開口部の幅及び前記センサ固定ねじの係止部の径より大きく形成され、また、該貫通孔の上下幅は、前記センサ固定ねじの係止部の厚みより大きく形成され、
前記センサ固定ねじの係止部は、該センサ固定ねじを時計回り又は反時計回りに回転させることにより前記センサ取付溝の開口部の口縁部外面と前記貫通孔の上壁面とに選択的に当接可能であり、該係止部が前記口縁部外面外面又は上壁面に係止することによって前記位置センサが前記センサ固定ねじで前記センサ取付溝内に固定されるように構成され、
前記センサ固定ねじは前記中空部を通じて工具により回転操作可能である、
ことを特徴とする流体圧シリンダの位置検出装置。
【請求項2】
前記取付バンドは、前記シリンダチューブの外周を取り巻くバンド主体部と、該バンド主体部の両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部とを有し、該一対の挟持部間に前記センサホルダが挟持され、該挟持部とセンサホルダとを貫通する取付ねじで前記一対の挟持部を相互に引き締めることにより該センサホルダが前記シリンダチューブの外周に取り付けられ、
前記センサホルダは、前記取付バンドの挟持部間に挟持されるホルダ本体部と、該ホルダ本体部の第1端及び反対側の第2端から前記センサ取付溝に沿って延出する第1延出部及び第2延出部のうち少なくとも前記第1延出部とを有していて、該第1延出部からホルダ本体部に至るように前記センサ取付溝及び開口部が形成され、前記ホルダ本体部に前記貫通孔と中空部とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記ホルダ本体部の左右両側面にはそれぞれ、該ホルダ本体部の高さ方向に延びる2つのリブが平行に形成され、該2つのリブの間に前記取付バンドの挟持部が介在することにより、前記取付ねじを中心とする前記挟持部とセンサホルダとの相対的な回転が防止されていることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記中空部は、前記ホルダ本体部の端部に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記センサ取付溝の一端は開放して該一端に前記位置センサを挿入するための挿入口が形成され、他端は補強用の壁で塞がれていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記センサ取付溝の溝底は外部に開放していることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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