説明

流体圧シリンダの位置検出装置

【課題】位置調整の自由度に勝れ、振動の作用によっても位置センサが位置ずれを生じにくい位置検出装置を提供する。
【解決手段】位置センサ17を保持するセンサ保持部材26と、該センサ保持部材26をシリンダチューブ10に取り付ける取付部材27とを別個に形成し、前記センサ保持部材26は、センサ取付溝28をシリンダチューブ10の軸線L方向に向けた姿勢で該シリンダチューブ10の外面に接触する状態に配設し、前記取付部材27は、該センサ保持部材26に跨るように配設し、取付ねじ21を締め込んで前記取付部材27を取付バンド20で固定することにより、前記センサ保持部材26が該取付部材27でシリンダチューブ10の外面に押し付けられて固定され、前記取付ねじ21を緩めると、前記センサ保持部材26が前記取付部材27に対してシリンダチューブ10の軸線L方向に変位可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダのピストンの動作位置を検出する位置検出装置に関するものであり、更に詳しくは、取付バンドを用いて位置センサをシリンダチューブに取り付けるタイプの位置検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体圧シリンダには、一般に、ピストンの動作位置を検出してその検出信号を流体圧シリンダの制御用信号として使用するため、位置検出装置が取り付けられている。この位置検出装置は、前記ピストンに取り付けた永久磁石の磁気を、シリンダチューブの外面に取り付けた磁気感応形の位置センサで検出するようにしたもので、該位置センサをシリンダチューブの外面に取り付けるため、従来より様々な機構が用いられている。
【0003】
例えば特許文献1には、開口部の幅が狭いセンサ挿入溝を備えたセンサホルダを取付バンド(帯状バンド)でシリンダチューブの外周に取り付け、前記センサ挿入溝内に位置センサを収容し、該位置センサに螺着した止めネジで該位置センサをセンサホルダに固定した位置検出装置が開示されている。この位置検出装置において、前記位置センサの位置調整は、前記止めネジを緩めて該位置センサをセンサホルダ内において最適な検出位置まで移動させ、その位置で前記止めネジを再び締め付けることにより行う。
【0004】
ところが、この位置検出装置のように位置センサだけを移動させて位置調整する方法では、位置調整の自由度に欠け、例えばシリンダチューブに対する取付バンドの取付位置に制約がある場合などに、位置センサを移動させるだけでは足りず、十分に対応しきれないことがある。
センサホルダを移動させて位置調整する方法も考えられるが、この場合には、該センサホルダと取付バンドとを取付ねじと長孔とによって連結しなければならず、振動の作用等によってセンサホルダが長孔方向に位置ずれし易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−125150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、取付バンドとセンサホルダとによって位置センサをシリンダチューブに位置調整可能に取り付けることができると共に、位置調整の自由度に勝れ、振動の作用によっても位置センサが位置ずれを生じない、流体圧シリンダの位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の位置検出装置は、流体圧シリンダのピストンの位置を検出する位置センサと、該位置センサを位置調整自在なるように保持するセンサホルダと、前記センサホルダをシリンダチューブの外周に取り付ける取付バンドとを有する。
前記取付バンドは、前記シリンダチューブの外周を取り巻くバンド主体部と、該バンド主体部の両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部とを有し、該一対の挟持部間に前記センサホルダが挟持され、取付ねじで前記一対の挟持部を相互に引き締めることにより該挟持部間に前記センサホルダが固定されている。
前記センサホルダは、前記位置センサが嵌合するセンサ取付溝を備えたセンサ保持部材と、前記取付バンドの一対の挟持部間に挟持される取付部材とからなっていて、前記センサ保持部材と取付部材とは別個に形成されている。このうち前記センサ保持部材は、前記センサ取付溝をシリンダチューブの軸線方向に向けた姿勢で該シリンダチューブの外面に接触するように配設され、また、前記取付部材は、該取付部材の下面の嵌合溝内に前記センサ保持部材が嵌合する姿勢で該センサ保持部材に跨るように配設され、前記取付ねじを締め付けて前記一対の挟持部間に取付部材を固定することにより該取付部材とセンサ保持部材とが相互に固定され、前記取付ねじを緩めると前記センサ保持部材が前記取付部材に対してシリンダチューブの軸線方向に変位可能となる。
【0008】
本発明の一つの好ましい構成態様によれば、前記センサ保持部材に、複数の係止用凹部がセンサ取付溝に沿って列状に形成され、前記取付部材には、該係止用凹部に係止する係止用突起が形成され、前記取付ねじを締め付けると該係止用突起と前記係止用凹部とが係止し、前記取付ねじを緩めると該係止用突起と前記係止用凹部との係止が解除されるように構成される。
この場合、前記係止用凹部は、前記センサ取付溝の左右両側にそれぞれ形成され、前記係止用突起は、取付部材における前記嵌合溝の左右の溝壁にそれぞれ形成されていることが望ましい。
【0009】
本発明の他の好ましい構成態様によれば、前記センサ保持部材の前記センサ取付溝に沿う方向の一端と他端とに、前記取付部材の端部に係止して該センサ保持部材が前記取付部材から抜け出すのを防止するストッパが形成されている。
【0010】
本発明において好ましくは、前記取付部材の左右両側面に、それぞれ該取付部材の高さ方向に延びる2つのリブが平行に形成され、該2つのリブの間に前記取付バンドの挟持部が介在することにより、前記取付ねじを中心とする前記挟持部とセンサホルダとの相対的な回転が防止されていることである。
本発明において、前記センサ取付溝の一端は開放して該一端に前記位置センサを挿入するための挿入口が形成され、他端は壁で塞がれていても良い。
【0011】
また、本発明においては、前記位置センサをセンサ取付溝内に固定するセンサ固定ねじが、頭部に鍔状の係止部を有し、該係止部は、前記センサ固定ねじを時計回り及び反時計回りに回転させることによって前記センサ取付溝の開口部の口縁部外面と前記取付部材の貫通孔の上壁面とに選択的に係止可能であり、該係止部を前記口縁部外面に係止させると位置センサがセンサ取付溝の開口部の口縁内面に係止して固定され、該係止部を貫通孔の上壁面に係止させると位置センサが前記センサ取付溝の溝底に押し付けられて固定されるように構成することもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、取付ねじを緩めることにより、取付バンドの一対の挟持部間に取付部材を保持させたまま、センサ保持部材を該取付部材に対して変位させて位置センサの位置調整を行うことができ、しかも、位置センサは前記センサ保持部材に対して単独でも位置調整することができるので、位置調整の自由度に勝れる。
また、取付バンドとセンサホルダとを長孔等によって連結する必要がないので、振動の作用によっても位置センサが長孔に沿って位置ずれし易いという問題も回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る位置検出装置の第1実施形態を示す組立状態の斜視図である。
【図2】図1の位置検出装置を分解して示す斜視図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】図1の要部拡大断面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った断面図である。
【図6】本発明に係る位置検出装置におけるセンサホルダの第2実施形態を示す組立状態の斜視図である。
【図7】図6のセンサホルダを分解して示す斜視図である。
【図8】図6の横断面図である。
【図9】図8のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】本発明に係る位置検出装置におけるセンサホルダの第3実施形態を示す組立状態の斜視図である。
【図11】図10のセンサホルダを分解して示す斜視図である。
【図12】センサ固定ねじによる位置センサの一つの固定態様を示す断面図である。
【図13】センサ固定ねじによる位置センサの他の固定態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1−図5は本発明に係る位置検出装置の第1実施形態を示すもので、図中の符号1は流体圧シリンダ、2は該流体圧シリンダ1の外面に取り付けられた位置検出装置を示している。
【0015】
前記流体圧シリンダ1は、シリンダ孔を内部に有する円筒形をしたシリンダチューブ10と、該シリンダチューブ10の両端に取り付けられたロッドカバー11及びヘッドカバー12とを有し、前記シリンダチューブ10の内部にはピストン13が該シリンダチューブ10の中心軸線(以下、「チューブ軸線」という)L方向に摺動自在なるように収容され、該ピストン13に基端部を連結されたピストンロッド14が、前記ロッドカバー11を摺動自在に貫通して前記シリンダチューブ10の前方に向けて延出している。
【0016】
前記ロッドカバー11及びヘッドカバー12にはポート15a,15bが形成され、該ポート15a,15b通じて前記ピストン13の両側の圧力室に圧力流体(例えば圧縮空気)を交互に給排することにより、前記ピストン13及びピストンロッド14が前進したり後退したりする。
【0017】
前記ピストン13の外周にはリング状の永久磁石16が取り付けられ、この永久磁石16の磁気を前記位置検出装置2で検出することにより前記ピストン13の動作位置が検出されるようになっている。この場合、前記位置検出装置2を図示したようにシリンダチューブ10のロッドカバー11寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の前進ストローク端の位置を検出することができ、前記位置検出装置2をシリンダチューブ10のヘッドカバー12寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の後退ストローク端の位置を検出することができ、2つの位置検出装置2をシリンダチューブ10の両端寄りの位置に取り付けたときは、ピストン13の前進ストローク端と後退ストローク端との位置を検出することがる。
【0018】
前記位置検出装置2は、前記永久磁石16の磁気を検出する位置センサ17と、該位置センサ17を保持するセンサホルダ18Aと、該センサホルダ18Aを前記シリンダチューブ10の外周に取り付ける取付バンド20と、前記シリンダチューブ10に対する該取付バンド20の固定と該取付バンド20に対する前記センサホルダ18Aの固定とを同時に行う1本の取付ねじ21とで構成されている。
【0019】
前記取付バンド20は、細長い帯状をした弾性金属板好ましくは非磁性の金属板を円弧状に湾曲させて形成したもので、前記シリンダチューブ10の外周を取り巻くバンド主体部20aと、該バンド主体部20aの両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部20b,20cとを有している。前記バンド主体部20aの内面には、必要に応じてゴムや合成樹脂等からなる帯状あるいは点状の滑り止めを取り付けることができる。
【0020】
前記一対の挟持部20b,20cの内側面は平らな挟持面であり、該一対の挟持部20b,20cには、それぞれねじ締付孔23a,23bが形成されている。一方の挟持部20bに形成された第1のねじ締付孔23aは、内周に雌ねじが形成されていない通常の孔であり、他方の挟持部20cに形成された第2のねじ締付孔23bは、内周に雌ねじが切られたねじ孔である。そして、前記第1のねじ締付孔23a側から挿入された取付ねじ21の先端の雄ねじが、第2のねじ締付孔23bの内周の雌ねじに螺着されるようになっている。
【0021】
なお、前記一対の挟持部20b,20cのうち、少なくとも第2のねじ締付孔23bが形成されている挟持部20cは、取付バンド20の端部に補強部材を一体に接合するかあるいは重設することによって厚みをバンド主体部20aより厚く形成されているが、該取付バンド20の端部を2つに折り重ねることにより形成することもできる。
また、前記取付バンド20は、硬質で弾性を有する合成樹脂によって形成することもできる。
【0022】
前記センサホルダ18Aは、前記位置センサ17が嵌合するセンサ取付溝28を備えたセンサ保持部材26と、前記取付バンド20の挟持部20b,20c間に挟持される取付部材27とからなるもので、該取付部材27とセンサ保持部材26とは、合成樹脂などの非磁性素材によって別個に形成されている。
【0023】
前記センサ保持部材26は、前記取付部材27より横に細長い棒状の部材で、その長手方向に延びる前記センサ取付溝28と、該センサ取付溝28の上側部に沿って延びる開口部29とを有し、前記センサ取付溝28をシリンダチューブ10の軸線L方向に向けた姿勢で、底面を該シリンダチューブ10の外面に接触させた状態に配設されている。
【0024】
前記センサ取付溝28は、断面形状を優弧形とすることにより、前記開口部29の幅を内部の溝幅より狭く形成したもので、該センサ取付溝28の長手方向の一端(後端)はセンサ挿入口28aとして開放し、他端(前端)は壁30で塞がれている。そして、前記挿入口28aから位置センサ17が該センサ取付溝28内に挿入され、センサ固定ねじ31で該センサ取付溝28内に固定されている。
【0025】
前記位置センサ17は、細長い棒状をしたもので、優弧形の断面形状を有する本体部分17aと、該本体部分17aの上面に形成された矩形の断面形状を有する台状部分17bとからなっている。前記本体部分17aの直径(横幅)は、前記センサ取付溝28の内部の溝幅より小さいが、前記開口部29の幅より大きく形成され、それによって該位置センサ17が開口部29に溝内部から係止できるようになっている。
また、前記台状部分17bは、前記センサ取付溝28の開口部29内に嵌合し、回り止めの役目を果たしている。
【0026】
前記位置センサ17の前端部には、ねじ孔17cが該位置センサ17を上下方向に貫通するように形成され、このねじ孔17cに前記センサ固定ねじ31が螺着され、該位置センサ17の中間位置には、位置検出時に点灯するインジケータランプ17dが設けられている。
前記センサ固定ねじ31は、一定の直径を有するもので、上面にドライバ等の工具により回転操作するための操作溝31aが形成されている。
【0027】
そして、前記センサ固定ねじ31をねじ込んでその先端を前記センサ取付溝28の溝底28bに当接させることにより、前記位置センサ17を浮上させて前記センサ取付溝28の開口部29の口縁に内側から係止させることにより、該位置センサ17が前記センサ取付溝28内に固定されている。
図中17eは、センサから位置検出信号を取り出すためのリード線である。
【0028】
前記センサ保持部材26の左右の側面の下端部には、該センサ保持部材26の幅方向に張り出す張出縁34が該センサ保持部材26の全長にわたって形成されている。また、該センサ保持部材26の左右の側面の上端部即ち左右の肩部は、角を取るために面取りされるかあるいは円弧などの曲面に形成され、該左右の肩部に、複数の係止用凹部35が、前記センサ取付溝28に沿って一定ピッチで列状に形成されている。
【0029】
一方、前記取付部材27は、前記センサ保持部材26の約1/2程の長さを有するブロック状の部材であり、該取付部材27の下面には、該取付部材27をシリンダ軸線L方向の第1端27aから第2端27bまで貫通する逆凹形の嵌合溝36が形成され、該嵌合溝36内に前記センサ保持部材26を嵌合させることにより、該取付部材27が、前記センサ保持部材26上に、該センサ保持部材26に跨るように配設されている。
前記取付部材27の第1端27aは、前記センサ取付溝28の後端側即ち壁30がある側の端部であり、前記第2端27bは、前記センサ取付溝28の前端側即ちセンサ挿入口28a側の端部である。
【0030】
前記嵌合溝36は、前記センサ保持部材26の前記張出縁34より上方の部分が嵌合できるような溝形状を有し、前記取付部材27を該センサ保持部材26上に重ねて配設したとき、前記嵌合溝36の溝底である上壁36aが、前記センサ保持部材26の上面に当接するようになっている。
【0031】
前記嵌合溝36の内部には、前記センサ保持部材26の前記係止用凹部35に対応する左右の溝壁部分に、複数の係止用突起39が前記係止用凹部35と同じピッチで該嵌合溝36に沿って列状に形成され、前記取付部材27をセンサ保持部材26上に重ねて配設して前記取付バンド20及び取付ねじ21で固定したとき、該係止用突起39が前記係止用凹部35に嵌合、係止するようになっている。
前記取付ねじ21を緩めると、前記係止用突起39と前記係止用凹部35との係止が解除され、前記センサ保持部材26を取付部材27に対して変位させることが可能になる。
前記係止用突起39は、前記嵌合溝36の左右の溝壁部に該嵌合溝36の全長にわたって複数形成する必要はなく、該嵌合溝36の中央や一端あるいは他端の相対する位置に、少なくとも一対形成すれば良い。
【0032】
前記取付部材27の左右の側面27cは、前記取付バンド20の挟持部20b,20cが当接する当接面となっていて、相互に平行な平面に形成され、該側面27cに、前記挟持部20b,20cのねじ締付孔23a,23bに連なるねじ挿通孔40が、該取付部材27を幅方向に貫通するように形成されている。
【0033】
そして、前記取付ねじ21を、一方の挟持部20bの第1のねじ締付孔23aから、前記ねじ挿通孔40内に挿通して他方の挟持部20cの第2のねじ締付孔23bの雌ねじに螺着し、該取付ねじ21を締め付けて2つの挟持部20b,20cを相互に引き締めることにより、該2つの挟持部20b,20c間に前記取付部材27が挟持されて固定されると共に、該取付部材27で前記センサ保持部材26がシリンダチューブ10の外面に押し付けられて固定される。また、前記取付部材27の係止用突起39がセンサ保持部材26の係止用凹部35に係止し、該センサ保持部材26の位置ずれが防止される。
このとき、前記取付部材27の下端部即ち嵌合溝36の両側壁の下端部は、シリンダチューブ10の外面に当接しない。
【0034】
前記取付部材27の左右両側面27cの上半部には、該取付部材27の高さ方向に延びる2つのリブ41が平行に形成され、該2つのリブ41の間に前記取付バンド20の挟持部20bが介在することにより、前記取付ねじ21を締め付ける際に該取付ねじ21を中心とする前記挟持部20bとセンサホルダ18Aとの相対的な回転が防止されている。前記リブ41は、取付部材27の高さ全体にわたって形成しても良い。
【0035】
また、前記取付部材27には、平面視形状がU字状の中空部42と透視窓43とが、該取付部材27の第1端27a側及び第2端27b側から前記センサ取付溝28に沿って延在するように形成されている。該中空部42及び透視窓43は、取付部材27の上面から前記嵌合溝36に達する深さを有すると共に、前記センサ取付溝28の開口部29の幅と同じ幅を有し、このうち中空部42は、前記センサ固定ねじ31をドライバ等の工具で回転操作するためのものであり、透視窓43は、位置センサ17の上面の前記インジケータランプ17dを視認するためのものである。
【0036】
前記位置検出装置2はこのように構成されたもので、前記位置センサ17の位置調整を行うときは、前記取付ねじ21を緩めて取付部材27とセンサ保持部材26との結合状態を緩めることにより、前記係止用突起39と係止用凹部35との係止が解除されるから、その状態で前記センサ保持部材26を取付部材27に対してシリンダ軸線L方向に必要量だけ移動させる。そして、そのあと再び前記取付ねじ21を締め付けることにより、前記取付部が挟持部20b,20cに挟持されて固定されると共に、該取付部材27で前記センサ保持部材26がシリンダチューブ10の外面に押し付けられ、同時に、前記係止用突起39が係止用凹部35に係止することにより、該センサ保持部材26が前記調整後の位置に位置決めされた状態に固定されるものである。
【0037】
また、前記センサ保持部材26を変位させる代わりに、前記センサ固定ねじ31を緩めることにより、位置センサ17を該センサ保持部材26に対して単独で変位させることもできる。この場合には、前記取付ねじ21を緩める必要がない。
あるいは、前記センサ保持部材26と位置センサ17とを両方変位させて位置調整を行うこともできる。
【0038】
従って、位置調整の自由度に勝れ、取付バンド20の取付位置に制約があるような場合でも、位置センサ17の位置調整を確実に行うことができる。
また、前記取付バンド20とセンサホルダ18Aとを長孔によって連結する必要がないので、振動の作用によっても位置センサ17が長孔に沿って位置ずれし易いという問題も回避することができる。
【0039】
図6−図9には、本発明の位置検出装置におけるセンサホルダの第2実施形態が示されている。この第2実施形態のセンサホルダ18Bが前記第1実施形態のセンサホルダ18Aと相違する点は、センサ保持部材26と取付部材27とに第1実施形態のような係止用凹部35と係止用突起39とが形成されることなく、その代わりに、センサ保持部材26におけるセンサ取付溝28に沿う方向の一端と他端とに、取付部材27の第1端27aと第2端27bとに当接、係止して該センサ保持部材26が取付部材27から抜け出すのを防止するストッパ50a,50bが形成されている点である。
【0040】
即ち、前記センサ保持部材26の前端と後端には、該センサ保持部材26と同じ幅で上方に立ち上がった前記ストッパ50a,50bが形成され、該センサ保持部材26を最大限変位させたとき、このストッパ50a,50bが前記取付部材27の第1端27a又は第2端27bに係止し、それ以上変位できないようになっている。
【0041】
この第2実施形態の上記以外の構成及び流体圧シリンダ1に対する取り付け方は、実質的に第1実施形態と同じであるから、第1実施形態と同一の構成部分に第1実施形態と同一の符号を付し、説明は省略する。
【0042】
図10−図13には本発明の位置検出装置におけるセンサホルダの第3実施形態が示されている。このセンサホルダ18Cが前記第1実施形態のセンサホルダ18Aと相違する主要な点は、頭部に鍔状の係止部31bを備えたセンサ固定ねじ31Aを使用している点である。
【0043】
前記センサ固定ねじ31Aは、その頭部がセンサ保持部材26のセンサ取付溝28の開口部29を貫通して該センサ取付溝28の外部に突出するように、位置センサ17のねじ孔17cに螺着され、該頭部に、前記センサ取付溝28の開口部29の平らな口縁部外面29aに該センサ取付溝28の外側から係止可能な前記係止部31bが形成されている。従って、該係止部31bの直径は前記開口部29の幅より大きい。
【0044】
また、取付部材27には、嵌合溝36の上方に該嵌合溝36より幅広の貫通孔52が該嵌合溝36に沿って前記取付部材27を貫通するように形成されている。この貫通孔52の左右方向の孔幅は、前記センサ取付溝28の開口部29の幅及び前記センサ固定ねじ31Aの係止部31bの径より大きく、該貫通孔52の縦幅(上下幅)は、前記センサ固定ねじ31Aの係止部31bの厚みより大きく、前記中空部42の横幅は、前記センサ固定ねじ31Aの係止部31bの径より小さく形成されており、これにより、前記係止部31bが該貫通孔52に嵌合可能であると共に、前記中空部42の位置で該係止部31bが前記貫通孔52の上壁面52aに当接できるようになっている。
【0045】
前記係止部31bは、平面視形状が円形であることが望ましく、また、該係止部31bの上下面のうち、前記口縁部外面29aに当接する下面部分と、貫通孔52の上壁面52aに当接する上面部分とは、平坦面に形成されていることが望ましい。前記係止部31bの上面には、ドライバ等の工具の先端を係止させて回転操作するための操作溝31aが形成されている。
【0046】
前記センサ固定ねじ31Aは、時計回り又は反時計回りに回転させることにより、前記係止部31bが前記センサ取付溝28の開口部29の口縁部外面29aと前記貫通孔52の上壁面52aとに選択的に当接し、それによって前記位置センサ17をセンサ取付溝28内に固定することができるものである。
【0047】
即ち、図12に示すように、前記センサ固定ねじ31Aを時計回りに回転させると、前記係止部31bが前記開口部29の口縁部外面29aにセンサ取付溝28の外側から係止するため、前記位置センサ17が該センサ固定ねじ31Aにより引き上げられ、センサ取付溝28の開口部29の口縁部内面に内側から当接、係止してセンサ取付溝28内に固定される。このとき、前記係止部31bは、前記開口部29の両側の平坦な口縁部外面29aに跨るように係止し、水平姿勢を維持するため、位置センサ17も水平に固定されることになる。この固定方法は、前記センサ固定ねじ31Aが前記中空部42の位置で貫通孔52内に嵌合している場合でも、該貫通孔52から完全に脱出した位置にある場合でも、用いることができる。
【0048】
また、前記センサ固定ねじ31Aが前記中空部42の位置で貫通孔52内に嵌合している場合には、図13に示すように、前記中空部42を通じて工具で該センサ固定ねじ31Aを反時計回りに回転させると、該センサ固定ねじ31Aは上昇して係止部31bが前記貫通孔52の水平な上壁面52aに当接し、その状態で該センサ固定ねじ31Aを更に回転させることにより、前記位置センサ17はセンサ取付溝28の溝底28bに押し付けられて固定される。この場合にも、前記係止部31bが水平な上壁面52aに当接して水平姿勢を維持するため、位置センサ17も水平に固定されることになる。
【0049】
このようにして、前記センサ固定ねじ31Aを時計回り又は反時計回りに回転させて係止部31bをセンサ取付溝28の開口部29の口縁部外面29aと貫通孔52の上壁面52aとに選択的に当接させることにより、位置センサ17をセンサ取付溝28の溝底28bから浮上させた状態と溝底28bに押し付けた状態との何れの状態にも固定することができるので、位置検出装置2の設置条件に応じて位置センサ17の固定方法を適宜選択することができる。
【0050】
また、前記センサ固定ねじ31Aは、それを時計回り及び反時計回りの何れの方向に回転させて前記位置センサ17を固定しても、該センサ固定ねじ31Aの先端がセンサ取付溝28の溝底28bに当接することがないので、該センサ固定ねじ31Aでセンサ取付溝28の溝底28bが損傷されることがない。従って、前記溝底28bを薄くして位置センサ17の感度を高めることが可能になる。
【0051】
この第3実施形態の上記以外の構成及び流体圧シリンダに対する取り付け方は、実質的に第1実施形態と同じであるから、第1実施形態と同一の構成部分に第1実施形態と同一の符号を付し、説明は省略する。
なお、前記第3実施形態の構成は、第2実施形態のようにセンサ保持部材26と取付部材27とが係止用凹部35と係止用突起39とを有さないものにも適用可能である。
【0052】
前記各実施形態において、前記センサホルダ18A,18B,18Cを合成樹脂で形成する場合、不透明な合成樹脂で形成することも透明な合成樹脂で形成することもできる。不透明な合成樹脂で形成する場合には、各実施形態のように、位置センサ17のインジケータランプ17dを視認するための透視窓43を形成することが望ましいが、透明な合成樹脂で形成した場合には、このような透視窓43を必ずしも設ける必要がない。
【符号の説明】
【0053】
1 流体圧シリンダ
2 位置検出装置
10 シリンダチューブ
13 ピストン
17 位置センサ
18A,18B,18C センサホルダ
20 取付バンド
20a バンド主体部
20b,20c 挟持部
21 取付ねじ
26 センサ保持部材
27 取付部材
28 センサ取付溝
28a センサ挿入口
28b 溝底
29 開口部
29a 口縁部外面
31A センサ固定ねじ
31b 係止部
35 係止用凹部
36 嵌合溝
39 係止用突起
41 リブ
50a,50b ストッパ
52 貫通孔
L 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧シリンダのピストンの位置を検出する位置センサと、該位置センサを位置調整自在なるように保持するセンサホルダと、前記センサホルダをシリンダチューブの外周に取り付ける取付バンドとを有し、
前記取付バンドは、前記シリンダチューブの外周を取り巻くバンド主体部と、該バンド主体部の両端に互いに相対するように形成された一対の挟持部とを有し、該一対の挟持部間に前記センサホルダが挟持され、取付ねじで前記一対の挟持部を相互に引き締めることにより該挟持部間に前記センサホルダが固定されており、
前記センサホルダは、前記位置センサが嵌合するセンサ取付溝を備えたセンサ保持部材と、前記取付バンドの一対の挟持部間に挟持される取付部材とからなっていて、前記センサ保持部材と取付部材とは別個に形成され、
前記センサ保持部材は、前記センサ取付溝をシリンダチューブの軸線方向に向けた姿勢で該シリンダチューブの外面に接触するように配設され、前記取付部材は、該取付部材の下面の嵌合溝内に前記センサ保持部材が嵌合する姿勢で該センサ保持部材に跨るように配設され、前記取付ねじを締め付けて前記一対の挟持部間に取付部材を固定することにより該取付部材とセンサ保持部材とが相互に固定され、前記取付ねじを緩めると前記センサ保持部材が前記取付部材に対してシリンダチューブの軸線方向に変位可能となる、
ことを特徴とする流体圧シリンダの位置検出装置。
【請求項2】
前記センサ保持部材には、複数の係止用凹部がセンサ取付溝に沿って列状に形成され、前記取付部材には、該係止用凹部に係止する係止用突起が形成され、前記取付ねじを締め付けると該係止用突起と前記係止用凹部とが係止し、前記取付ねじを緩めると該係止用突起と前記係止用凹部との係止が解除されることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記係止用凹部は、前記センサ取付溝の左右両側にそれぞれ形成され、前記係止用突起は、取付部材における前記嵌合溝の左右の溝壁にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記センサ保持部材の前記センサ取付溝に沿う方向の一端と他端とに、前記取付部材の端部に係止して該センサ保持部材が前記取付部材から抜け出すのを防止するストッパが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記取付部材の左右両側面には、それぞれ該取付部材の高さ方向に延びる2つのリブが平行に形成され、該2つのリブの間に前記取付バンドの挟持部が介在することにより、前記取付ねじを中心とする前記挟持部とセンサホルダとの相対的な回転が防止されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記センサ取付溝の一端は開放して該一端に前記位置センサを挿入するための挿入口が形成され、他端は壁で塞がれていることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の位置検出装置。
【請求項7】
前記位置センサをセンサ取付溝内に固定するセンサ固定ねじが、頭部に鍔状の係止部を有し、該係止部は、前記センサ固定ねじを時計回り及び反時計回りに回転させることによって前記センサ取付溝の開口部の口縁部外面と前記取付部材の貫通孔の上壁面とに選択的に係止可能であり、該係止部を前記口縁部外面に係止させると位置センサがセンサ取付溝の開口部の口縁内面に係止して固定され、該係止部を貫通孔の上壁面に係止させると位置センサが前記センサ取付溝の溝底に押し付けられて固定されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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