説明

流体圧力測定装置

【課題】複数の部品を組み付ける際に誤差があっても、制御基板とプローブとの位置決めが簡単に行えて組付作業を容易に行える流体圧力測定装置を提供する。
【解決手段】継手1に検出部2を設け、この検出部2で検出された信号を制御する制御基板6をスペーサ7に取り付け、このスペーサ7を継手1に取り付け、このスペーサ7にホルダ4を支持させ、このホルダ4に制御基板6に電気的に接続するプローブ5を進退自在に設け、ホルダ4の抜け止めをする肩部32を有する筒状のケース3を継手1に固定し、このケース3とホルダ4との間に弾性ガスケット8を設けた。ケース3や、直列に接続される継手1、スペーサ7及びホルダ4にそれぞれ寸法誤差があっても、ケース3に設けられた肩部32とホルダ4との間に介装されている弾性ガスケット8がスペーサ7及びホルダ4等で積み上げられた寸法誤差に応じて弾性変形することになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧力測定装置、例えば、ブレーキ装置用の流体圧力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車、その他の車両ではブレーキシステムが搭載されている。このブレーキシステムに用いられるブレーキ装置として、ブレーキ圧を測定する圧力センサと、測定値を評価するための制御電子機器とを備え、この制御電子機器が圧力センサに被せられるケーシングに取り付けられていて、圧力センサと制御電子機器との間の電気的な接続がばねコンタクトピンによって行われ、このばねコンタクトピンの一端部が圧力センサ側のコンタクト面に押圧支持され、ばねコンタクトピンの他端部が制御電子機器側のコンタクト面に押圧支持される従来例がある(特許文献1)。
【0003】
特許文献1で示されるブレーキ装置では、ばねコンタクトピンが絶縁部材に形成されたガイドに差し込まれ、この絶縁部材が圧力センサを同心的に取り囲む有底円筒状のカプセル内にかしめ嵌めにて固定されている。
カプセルの開口端は圧力センサのフランジに固定されており、このフランジには射出成形部が取り付けられ、この射出成形部は、圧力センサ側のコンタクト面が形成されるプリント配線基板に受容針状部分を介して接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−542107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で示される従来例では、絶縁部材がカプセルにかしめによって固定されているので、測定装置を組み立てるには、まず、絶縁部材にばねコンタクトピンを挿入するとともに、絶縁部材をカプセルに収納し、このカプセルと絶縁部材とをかしめ嵌めし、さらに、カプセルを圧力センサに固定する。一方で、圧力センサのフランジ、射出成形部、受容針状部分及びプリント配線基板が直列に組み付けられる。
しかし、これらの部材は設計通りに製造されるとは限らず、この誤差が部材毎に存在すると、これらの部材を組み付ける際に、誤差が積み上がることになる。その結果、このような組付誤差に伴って、プリント配線基板のコンタクト面とばねコンタクトピンとの位置決めが煩雑となる。
【0006】
本発明の目的は、複数の部品を組み付ける際に組付誤差があっても、制御基板とプローブとの位置決めが簡単に行えて組付作業を容易に行える流体圧力測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の流体圧力測定装置は、被検出流体を導入する導入孔が形成される継手と、この継手に設けられるとともに導入された流体の圧力を検出する検出部と、この検出部で検出された信号を制御する制御基板と、この制御基板を取り付けるとともに前記継手に支持されるスペーサと、このスペーサに支持されるホルダと、このホルダに進退自在に設けられるとともに前記制御基板に電気的に接続されるプローブと、前記ホルダの抜け止めをする抜け止め部を一端部に形成されるとともに前記継手に他端部が固定される筒状のケースと、このケースと前記ホルダとの間に設けられる弾性ガスケットと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この構成の本発明では、予め検出部が設けられた継手にスペーサを支持し、このスペーサに制御基板を取り付ける。さらに、プローブをホルダに設け、プローブと制御基板とが電気的に接続するようにホルダをスペーサに支持させる。そして、ホルダとケースの抜け止め部との間に弾性ガスケットが配置される状態でケースを継手に押し付け、このケースの端部を継手に固定して流体圧力測定装置を組み付ける。
そのため、本発明では、ケースや直列に接続される継手、スペーサ及びホルダにそれぞれ誤差があり、これらの誤差が積み上げられることがあっても、ケースの抜け止め部とホルダとの間に弾性ガスケットが介装されているので、この弾性ガスケットが積み上げられた誤差に応じて弾性変形する。
従って、本発明では、ケース、継手、スペーサ及びホルダに誤差があっても、組付時に当該誤差を弾性ガスケットが吸収することになり、制御基板とプローブとの間の相対位置が変わらず、組立作業を容易に行うことができる。
【0009】
ここで、本発明では、前記スペーサは、前記ホルダをそれぞれ支持する端面部と、この端面部に隣接配置された段差部とを有する構成が好ましい。
この構成の本発明では、スペーサに段差が形成されることで、スペーサとホルダとの位置決めを容易に行うことができる。
【0010】
前記ホルダは、前記端面部に支持される部分と前記段差部に支持される部分との長さが相違する構成が好ましい。
この構成の本発明では、ホルダの長さが部分的に相違することから、ホルダの取付姿勢の間違いを防止することができる。
【0011】
前記ケースは、筒状本体と、この筒状本体の一端から軸心に向かって折れ曲がって形成された肩部とを備え、この肩部は前記抜け止め部とされている構成が好ましい。
この構成の本発明では、筒状本体の内部に挿入されたホルダと肩部との間に弾性ガスケットが介装されるので、ホルダとケースとの軸方向の組付誤差が弾性ガスケットで吸収されることになり、装置全体の組付作業が容易となる。
【0012】
前記制御基板は、前記検出部に近接配置された第一基板と、前記プローブの先端部に当接する第二基板とを備え、これらの第一基板と第二基板とは導電性ピンで互いに通電されるとともに所定間隔離れて位置決めされる構成が好ましい。
この構成の本発明では、制御基板を第一基板と第二基板とに分割するとともに、これらをケースの軸方向に沿って配置しているので、ケースの径方向における装置の小型化を図ることができる。そのため、小さな面積の被取付部に流体圧力測定装置を設置することが可能となる。しかも、これらの第一基板と第二基板とを導電性ピンで互いに通電するので、2枚の基板を制御基板として有効に利用できる。
【0013】
前記ホルダには前記制御基板に接続するアース端子が取り付けられている構成が好ましい。
この構成の本発明では、アース端子を通じて制御基板にアースをとることができるので、配線からのノイズをアースに逃がすことができて、耐ノイズ性を向上させることができる。
これに対して、本発明では、前記スペーサは金属製であって前記継手と電気的に接続され、前記スペーサと前記制御基板とが電気的に接続されている構成を採用することができる。
この構成の本発明では、アース端子を設けることなく、耐ノイズ性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態にかかる流体圧力測定装置の断面図。
【図2】前記実施形態にかかる流体圧力測定装置の一部を破断した斜視図。
【図3】(A)は第二基板が取り付けられたホルダを示す斜視図、(B)は、その側面図。
【図4】ケースの斜視図。
【図5】(A)は第一基板が取り付けられたスペーサを示す斜視図、(B)は、その側面図。
【図6】第二基板の斜視図。
【図7】(A)はアース端子を示す斜視図、(B)はアース端子が取り付けられたホルダの斜視図。
【図8】本発明の変形例にかかる流体圧力測定装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態にかかる流体圧力測定装置の断面図であり、図2は、その一部を破断した斜視図である。
図1及び図2において、本実施形態は、自動車,その他の車両のブレーキ装置に使用される流体測定装置である。
流体測定装置は、ブレーキ装置の被取付部に設置される継手1と、この継手1に設けられる検出部2と、この検出部2を覆うとともに開口端が継手1に接合される略筒状のケース3と、このケース3の内部に一部が露出するように配置されるホルダ4と、このホルダ4に進退自在に設けられる4本のプローブ5と、これらのプローブ5に電気的に接続させるとともに第一基板61及び第二基板62を有する制御基板6と、この制御基板6を取り付けるスペーサ7と、ケース3とホルダ4との間に設けられる弾性ガスケット8と、ホルダ4に設けられるアース端子9とを備えて構成されている。
【0016】
継手1は、被検出流体を導入する導入孔1Aが形成される軸部11と、この軸部11の中央部分から径方向に延びて形成されたフランジ部12とを有する。軸部11は、その一端部が図示しない被取付部にOリングシールや圧入等で取り付けられる構造とされ、その他端部が検出部2と接合する段部とされる。
検出部2は、継手1の他端部に溶接等で接合される筒状部21と、この筒状部21の一端側に形成された円板状のダイアフラム部22とが一体に形成された構造であり、このダイアフラム部22には図示しない歪みゲージ等が形成されて導入された流体の圧力を検出するようにされている。
【0017】
ケース3は、筒状本体31と、この筒状本体31の一端から軸心に向かって折れ曲がって形成された肩部32とを備えた金属製部材であり、肩部32はホルダ4の抜け止めをする抜け止め部とされている。
筒状本体31の他端部は継手1のフランジ部12に形成された係合用段差12Aに接合されている。
【0018】
ホルダ4の構成が図3に示されている。
図3において、ホルダ4は、支持部41と、この支持部41と一体に形成されプローブ5を保持する保持部42とを備えた合成樹脂製部品である。
支持部41は、第一支持部411と第二支持部412との一端部が円板状部413に接合された構造であり、第一支持部411は円板状部413の中心を挟んで2カ所形成されている。第一支持部411はスペーサ7に支持される。
第二支持部412は第一支持部411が形成されていない位置において円板状部413の中心を挟んで2カ所形成されている。これらの第一支持部411と第二支持部412とは互いに所定間隔離れて配置されている。
【0019】
2つの第一支持部411は、それぞれその径方向に沿った断面は、外側が円弧状に形成され、内側が直線状に形成されている。第一支持部411の内側には突起部411Aが形成されている。そして、2つの第一支持部411のうち一方は他方に比べて軸方向の長さが長く形成されている。
第二支持部412の径方向に沿った断面は、内側と外側とがそれぞれ円弧状に形成されている。第二支持部412には矩形状の窓412Aが形成されている。第二支持部412の内側には窓412Aに近接して第二基板62を係止する爪部412Bが形成されている。
保持部42は略円柱状に形成されており、その外形寸法がケース3の肩部32の内周より小さく形成されていて、その多くの部分がケース3から突出している。そして、保持部42にはプローブ5を挿通するためのガイド孔42Aがホルダ4の軸方向に沿って形成されており、そのガイド孔42Aは、その途中にプローブ5の抜け止めのための段差42Bが形成されている。
【0020】
保持部42の平面形状は、円の一部に直線上の切欠きが形成されたものであり、その平面形状に合わせてケース3の肩部32の平面形状が形成されている(図2及び図4参照)。つまり、肩部32の内周形状は円弧部と直線部とから形成されている。
支持部41の外周寸法は保持部42の外周寸法より大きく形成されており、そのため、支持部41と保持部42との接続部分には段差部4Aが形成されている。
この段差部4Aとケース3の肩部32との間にリング状の弾性ガスケット8が介装される。
【0021】
図1及び図2に示される通り、プローブ5は、それぞれ一端が開口された有底円筒状の大径部51及び小径部52と、これらの大径部51及び小径部52の間に収納されたコイルばね53とを備えたカプセル状の導電性部材である。
大径部51は、その外周部がホルダ4のガイド孔42Aに摺動自在とされ、ガイド孔42Aの途中に形成された段差42Bに大径部51の段差部51Aが係止可能とされる。
大径部51の内周部には小径部52の外周部が摺動自在に設けられている。大径部51の開口端には小径部52の抜け止め用の爪部51Bが形成されている。
小径部52は、その先端部がコイルばね53の付勢力によって第二基板62に当接される。
【0022】
制御基板6は、検出部2で検出された信号を制御するものであり、この制御基板6を構成する第一基板61は検出部2に近接配置され、第二基板62は第一基板61から所定間隔離れて対向配置されており、かつ、プローブ5の先端部が当接する面を有する。
これらの第一基板61と第二基板62とは複数本(図1では3本示す)の導電性ピン63を介して互いに通電される。
これらの導電性ピン63は、その両端部に第一基板61と第二基板62との位置決めをするための膨出部を有する。
【0023】
第一基板61の構成が図5に示されている。図5の(A)は第一基板が取り付けられたスペーサを示す斜視図、(B)は、その側面図である。
図5において、第一基板61は、互いに対向する位置に形成される直線部61Aと、これらの直線部61Aの端部同士を接続する円弧部61Bとを有する略円板状部材である。第一基板61の中心部には検出部2のダイアフラム部22を露出するための円形の窓61Cが形成され、この窓61Cを挟んで互いに対向する位置に導電性ピン63の一端部が圧入あるいは半田付けにより電気的に導通されるスルーホール64が3個ずつ合計6個形成されている。第一基板61の周縁部には窓61Cを挟んで互いに対向する位置にスペーサ7と位置決めするための位置決め孔61Dが形成されている。
第一基板61にはAuパッド65が複数形成され、これらのAuパッド65とダイアフラム部22の表面に形成されたAuパッド23とはワイヤボンディングにより電気的に接続されている。なお、ボンディングワイヤの材料はAuでもAlでもよい。
【0024】
図3において、第二基板62は、第一支持部411の内側平面部に当接する直線部62Aと、これらの直線部62Aの端部同士を接続するとともに第二支持部412の内側円弧面と当接する円弧部62Bとを有する略円板状部材である。第二基板62の直線部62Aが第一支持部411の内側平面部と当接することで、第二基板62が回り止めされる。直線部62Aはホルダ4の突起部411Aに係合する凹部62Cが形成されている。この直線部62Aの角部を支持する突起部411Bが第一支持部411に形成されている。
第二基板62の中心部には大きな電子部品6Aが設けられ、この電子部品6Aの周囲には小さな電子部品6Bが複数配置されている。
第二基板62の大きな電子部品6Aを挟んで互いに対向する位置に、それぞれ導電性ピン63の他端部が圧入あるいは半田付けにより電気的に導通されるスルーホール64が複数個ずつ2列となって配置されている。
【0025】
図6は、第二基板62のプローブ5と接触する面から見た斜視図であり、図3で示される第二基板62の面とは反対側の面から第二基板62を見ている。
図6において、第二基板62には複数の電子部品6Cが配列されており、これらの電子部品6Cの配置位置と離れてプローブ5の先端部と当接するコンタクトパッド66が形成され、さらに、電子部品6Cから離れてアースパッド67が形成されている。
【0026】
図1、図2及び図5において、スペーサ7は、第一基板61が固定される略円板状の端面部7Aと、この端面部7Aの外周縁部に一端部が設けられるとともに継手1に支持される筒状部7Bと、この筒状部7Bと端面部7Aとの間に設けられた段差部7Cとを有する金属製キャップ状部材である。
端面部7Aには第一基板61に形成された位置決め孔61Dに係合する突起7A1が形成されている。端面部7Aと第一基板61との固定は、突起7A1と位置決め孔61Dとを半田付けしてもよく、第一基板61の下面にパットを設け、半田ペーストや導電性接着剤を塗り、リフロー処理又は熱処理でスペーサ7と電気的に接続するものであってもよい。第一基板61とスペーサ7とは電気的に接続されていてアースをとることができるので、この場合、アース端子9を不要にできる。
【0027】
筒状部7Bは、その外周縁が第一基板61の外周縁と略一致する円筒形状を有する。この筒状部7Bは、その開口端部が継手1のフランジ部12に形成された係合用段差12Aに係合されてレーザー溶接で固定される。
段差部7Cは筒状部7Bの軸心と直交する平面とされる平面部7C1とこの平面部7C1から直交する垂直部7C2とを有する。この平面部7C1は、垂直部7C2に接する直線と筒状部7Bの外周に接する円弧とからなる領域を有するものであり、長さ寸法が長い第一支持部411の端縁部が支持される。
垂直部7C2は、その平面上の位置が第一基板61の直線部61Aと一致するように形成され、垂直部7C2は長さ寸法が長い第一支持部411の内側平面部と対向する。
この端面部7Aの中心部を挟んで段差部7Cと対向する位置では第一基板61の直線部61Aから露出する領域を有するものであり、この領域は長さ寸法が短い第一支持部411の端縁部が支持される。
【0028】
図1及び図2に示される通り、弾性ガスケット8はリング状に形成されており、その内径寸法は保持部42の外周寸法と略同一であり、その外径寸法はケース3の筒状本体31の内径寸法と略同一である。弾性ガスケット8の断面形状は、略矩形状である。弾性ガスケット8の外周側角部はケース3の筒状本体31の内周面と肩部32とに適合するように形成されている。
弾性ガスケット8は、弾性変形可能な材質であれば種々のもの、例えば、ゴムを採用することができる。
【0029】
アース端子9の具体的な構造が図7に示されている。
図7の(A)はアース端子9の斜視図であり、(B)はアース端子9がホルダ4に取り付けられた状態を示す斜視図である。
図7において、アース端子9は、ホルダ4の保持部42の内側面に対向配置される平板部9Aと、この平板部9Aにそれぞれ折り曲げ可能に設けられた複数の羽状部9Bとを備えた金属板である。
平板部9Aの中心には保持部42の内側面に形成された係合突起42Cと係合する係合孔9A1が形成され、この係合孔9A1の周囲にはプローブ5を挿通するための挿通孔9A2が形成されている。挿通孔9A2はプローブ5と干渉しないようにするため、プローブ5の外径より大きな円形とされる。平板部9Aは保持部42と必要に応じて接着剤で接着固定するものでもよい。
複数の羽状部9Bのうち一部は平板部9Aに対して略U字状に折曲形成され、残りは平板部9Aに対して略直角に折曲形成される。略U字状に折曲形成された羽状部9Bは、その折り曲げられた先端部分9B1が第二基板62のアースパッド67と接触し、略直角に折曲形成された羽状部9Bは、その先端部分9B2がケース3の内周部に接触することで、制御基板6にアースをとることが可能となる。
【0030】
本実施形態の流体圧力測定装置の組み付け手順について説明する。
まず、ホルダ4の保持部42にプローブ5を設けるとともに、保持部42にアース端子9を取り付ける。一方、継手1に検出部2を溶接で接合し、さらに、継手1にスペーサ7を取り付け、このスペーサ7に第一基板61を取り付ける。この状態では、第一基板61の窓61Cから検出部2のダイアフラム部22が露出されることになる。
そして、第一基板61に予め設けられたAuパッド65とダイアフラム部22に予め設けられたAuパッド23とをワイヤボンディングし、第一基板61に複数の導電性ピン63の一端部を取り付け、これらの導電性ピン63の他端部を第二基板62に取り付ける。なお、導電性ピン63の第一基板61や第二基板62への取り付けは圧入や半田付け等の適宜な手段で行われる。
【0031】
これらの第一基板61及び第二基板62を内部に収納するように前述のホルダ4の2つの第一支持部411をスペーサ7の端面部7Aと段差部7Cとにそれぞれ支持させる。これにより、第二基板62のコンタクトパッド66にプローブ5の先端部が接触することになり、第二基板62のアースパッド67にアース端子9の羽状部9Bの先端部分9B1が接触することになる。
その後、ホルダ4の段差部4Aに弾性ガスケット8を配置し、この状態で、ホルダ4及びスペーサ7を収納するようにしてケース3を継手1に向けて押し付ける。これにより、ケース3の肩部32とホルダ4の段差部4Aとの間に配置される弾性ガスケット8が弾性変形することになり、ケース3の開口端が継手1に当接する。さらに、ケース3の開口端を継手1に溶接で固定する。
【0032】
従って、本実施形態では次の作用効果を奏することができる。
(1)継手1に検出部2を設け、この検出部2で検出された信号を制御する制御基板6をスペーサ7に取り付け、このスペーサ7を継手1に取り付け、このスペーサ7にホルダ4を支持させ、このホルダ4に制御基板6に電気的に接続するプローブ5を進退自在に設け、ホルダ4の抜け止めをする肩部32を有する筒状のケース3を継手1に固定し、このケース3とホルダ4との間に弾性ガスケット8を設けた。そのため、ケース3や、直列に接続される継手1、スペーサ7及びホルダ4にそれぞれ寸法誤差があっても、ケース3に設けられた肩部32とホルダ4との間に弾性ガスケット8が介装されているので、この弾性ガスケット8がスペーサ7及びホルダ4等で積み上げられた寸法誤差に応じて弾性変形することになり、制御基板6とプローブ5との間の相対位置が変わらず、組付を容易に行うことができる。
【0033】
(2)スペーサ7は、ホルダ4をそれぞれ支持する端面部7Aと、この端面部7Aに隣接配置された段差部7Cとを有するから、スペーサ7とホルダ4との位置決めを容易に行うことができる。
【0034】
(3)ホルダ4は、端面部7Aに支持される第一支持部411と段差部7Cに支持される第一支持部411との長さが相違するので、ホルダ4のスペーサ7への取付姿勢が間違って場合には、ホルダ4が適正な位置でスペーサ7に支持されないことになるから、その間違いが直ぐに判明する。そのため、ホルダ4のスペーサ7への取付姿勢の間違いを防止し、あるいは、間違ったとしても、直ちに直すことができる。
【0035】
(4)ケース3は、筒状本体31を備え、この筒状本体31の一端から軸心に向かって肩部32を形成したから、筒状本体31の内部に挿入されたホルダ4と肩部32との間に弾性ガスケット8が介装されることになる。そのため、ホルダ4とケース3との軸方向の組付誤差が弾性ガスケット8で吸収されることになり、装置全体の組付作業が容易となる。
【0036】
(5)制御基板6は、検出部2に近接配置された第一基板61と、プローブ5の先端部に当接する第二基板62とを備えている。これらの第一基板61と第二基板62とは導電性ピン63で互いに通電されるとともに所定間隔離れて位置決めされる。そのため、第一基板61と第二基板62とをケース3の軸方向に沿って配置しているので、ケース3の径方向における装置の小型化を図ることができる。従って、小さな面積の被取付部に流体圧力測定装置を設置することが可能となる。
【0037】
(6)ホルダ4には第二基板62に接続するアース端子9が取り付けられているから、このアース端子9を通じて制御基板6にアースをとることができる。従って、配線からのノイズをアースに逃がすことができて、耐ノイズ性を向上させることができる。
(7)アース端子9は、ホルダ4の保持部42の内側面に取り付けられる平板部9Aと、この平板部9Aにそれぞれ折り曲げ可能に設けられた複数の羽状部9Bとを備え、これらの羽状部9Bのうち一部が平板部9Aに対して略U字状に折曲形成されて第二基板62のアースパッド67と接触し、残りの羽状部9Bがケース3の内周部に接触する構成とした。そのため、アース端子9をコンパクトな構造として装置の小型化を図ることができる。
【0038】
(8)平板部9Aの中心には保持部42の内側面に形成された係合突起42Cと係合する係合孔9A1が形成されているので、アース端子9のホルダ4への位置決めを容易に行うことができ、その結果、装置全体の組付作業を迅速に行うことができる。
(9)ホルダ4の第一支持部411の内側面は第二基板62の直線部に合わせて平面状に形成したから、ホルダ4に対して第二基板62が回ることを防止できる。
(10)ホルダ4は、その中心を挟んで互いに対向する位置に2つの第二支持部412を備え、これらの第二支持部412にはそれぞれ第二基板62を係止する爪部412Bが形成されているから、互いに対向配置される第二支持部412の間では、第二基板62の動きが規制されることになる。そのため、組付作業時において、第二基板62のホルダ4からの脱落を防止することができる。
【0039】
(11)弾性ガスケット8はホルダ4の段差部4Aに配置され、この段差部4Aに隣接する保持部42の外径と略同一の内径寸法を有するので、ケース3にホルダ4を収納する際に、弾性ガスケット8がホルダ4から誤って脱落することがないから、装着作業を円滑に行うことができる。
【0040】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、弾性ガスケット8の断面形状を略矩形状にしたが、本発明では、これに限定されるものではなく、弾性ガスケット8の断面形状を円形、楕円形、三角形等、適宜な形状としてもよい。
【0041】
本発明では、アース端子9を必ずしも設けることを要しない。例えば、図8に示される通り、第一基板61と金属製のスペーサ7とを電気的に接続し、金属製のスペーサ7と継手1とが電気的に接続されることで、制御基板6にアースをとることができる。この構成では、アース端子が不要とされるので、装置の構造を簡易なものにできる。そして、スペーサ7を介して継手1とのアースがとれるので、ケース3を金属材料とすることを要しない。
仮に、前記実施形態のようにアース端子9を設ける場合であっても、アース端子9とホルダ4とを別々に設けることを要しない。例えば、アース端子9をホルダ4にインサート成形で予め固定する構造としてもよい。
また、本発明では、スペーサ7は、必ずしも段差部7Cを設けることを要せず、端面部7A及び筒状部7Bから構成されるものとしてもよく、さらに、ホルダ4の2つの第一支持部411の長さを同じにしてもよい。
さらに、前記実施形態では、制御基板6を第一基板61と第二基板62との2枚から構成したが、本発明の制御基板は1枚であってもよく、あるいは、3枚以上であってもよい。1枚から制御基板を構成すれば導電性ピンは不要とされる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は自動車、その他の車両に搭載されるブレーキシステム、その他の装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…継手、1A…導入孔、2…検出部、3…ケース、4…ホルダ、4A…段差部、5…プローブ、6…制御基板、7…スペーサ、8…弾性ガスケット、9…アース端子、32…肩部(抜け止め部)、61…第一基板、62…第二基板、63…導電性ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出流体を導入する導入孔が形成される継手と、この継手に設けられるとともに導入された流体の圧力を検出する検出部と、この検出部で検出された信号を制御する制御基板と、この制御基板を取り付けるとともに前記継手に支持されるスペーサと、このスペーサに支持されるホルダと、このホルダに進退自在に設けられるとともに前記制御基板に電気的に接続されるプローブと、前記ホルダの抜け止めをする抜け止め部を一端部に形成されるとともに前記継手に他端部が固定される筒状のケースと、このケースと前記ホルダとの間に設けられる弾性ガスケットと、を備えたことを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載された流体圧力測定装置において、
前記スペーサは、前記ホルダをそれぞれ支持する端面部と、この端面部に隣接配置された段差部とを有することを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載された流体圧力測定装置において、
前記ホルダは、前記端面部に支持される部分と前記段差部に支持される部分との長さが相違することを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載された流体圧力測定装置において、
前記ケースは、筒状本体と、この筒状本体の一端から軸心に向かって折れ曲がって形成された肩部とを備え、この肩部は前記抜け止め部とされていることを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載された流体圧力測定装置において、
前記制御基板は、前記検出部に近接配置された第一基板と、前記プローブの先端部に当接する第二基板とを備え、これらの第一基板と第二基板とは導電性ピンで互いに通電されるとともに所定間隔離れて位置決めされることを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載された流体圧力測定装置において、
前記ホルダには前記制御基板に接続するアース端子が取り付けられていることを特徴とする流体圧力測定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれかに記載された流体圧力測定装置において、
前記スペーサは金属製であって前記継手と電気的に接続され、前記スペーサと前記制御基板とが電気的に接続されていることを特徴とする流体圧力測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate