説明

流体投与部材、およびそうした部材を有する投与装置

ネック(21)を有する流体容器(2)に組み付けられる設計となった流体投与部材であって、流体チャンバ(10)の少なくとも一部分を形作る本体(1;1’)であって、容器のネックに固定するための固定手段(11)が設けられ、また、容器の内部を流体チャンバに接続する流体入り口を有する、という前記本体と、休止位置と駆動位置との間を軸方向に移動することができる形で本体に設置されたプッシャ(3;3’)と、そして、プッシャを休止位置に押しやるスプリング(5;5’)と、を有し、特徴となるのは、スプリング全体がプッシャの内部に収容され、本体は透明または半透明の素材で作られていることである、という投与部材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に流体容器に組み合わされ、それと共に流体投与装置を構成するよう設計された流体投与部材に関する。一般的に、ユーザは1本の指を用いて手動で投与部材を駆動する。流体は、微細スプレー粒子での噴霧、連続流、さらには、特に化粧用クリームなどの粘性流体の場合には大粒の流体の形で投与される。そうした流体投与部材は、香水、化粧品、さらには医薬品の分野において、粘性の異なった流体を投与するために用いられる。
【背景技術】
【0002】
さらに具体的に言えば、本発明は、通常「プッシャポンプ」という語で示されるタイプの投与部材に関する(ただし、これに限るわけではない)。そうした名称は、投与部材はプッシャを有し、前記プッシャは投与開口部が形成されているだけでなく、流体チャンバの一部も形作っており、前記流体チャンバの中で流体が選択的に圧力を加えられる、ということから説明できる。ポンプの場合、流体チャンバはポンプチャンバである。プッシャポンプの特徴は、以下の点にある。すなわち、全体的にほぼ筒状のプッシャの内面は、ピストンが隙間なくスライドする形で接触する面として働き、それにより投与開口部が選択的に開く、というものである。ピストンは、一般的に差動タイプのピストンで、チャンバ内部の流体の圧力の変化に応じて移動する。差動ピストンは、プッシャの駆動によって移動するメインピストンとは異なる。すなわち、こうしたプッシャポンプにおいては、差動ピストンとメインピストンとの両方があり、それらピストンは、それぞれのシリンダの中で隙間なく接触した状態で移動することができる。また、メインピストン用のメインシリンダも、プッシャの内部に形成することができる。
【0003】
このことは、具体的には、WO 97/23304号の文書で説明されたポンプの場合に当てはまる。プッシャはプレス壁を有し、プッシャを駆動するためには、指で前記プレス壁に力を加える。さらに、プッシャは、プレス壁から下向きに延びたスカートを有する。スカートには、差動ピストンのための第1の耐漏洩スライド用シリンダと、ポンプのメインピストンのための第2のメインシリンダとが形成されている。差動ピストンはメインピストンから分離されている。差動ピストンは、スプリングの力によりプレス壁から遠ざけられ、前記ピストンは、戻しスプリングと事前圧縮スプリングとの両方の役割を果たす。差動ピストンがスライド移動するシリンダは出口ダクトを備える形で形成されており、前記出口ダクトは、プッシャのスカートに形成されたハウジングの中に固定されたノズルに通じている。ノズルには投与開口部が形成され、流体は前記投与開口部を通って投与部材から出てゆく。さらに、スカートに形成されたハウジングには渦システムが設けられ、前記渦システムはノズルと協働し、流体が投与開口部から出てゆく前の段階で前記流体が渦を巻くようにする。プッシャを押すと、メインピストンはプッシャのメインシリンダの中で上昇し、それにより、差動ピストンは差動シリンダの内部で耐漏洩様態でスライド移動する。これにより、スプリングは圧縮され、この時、差動ピストンはプッシャのプレス壁の方へ上向きに移動する。差動ピストンの有効密封リップは、流体と直接接触し、出口チャネルの下方に位置するシリンダの下側部分の中でスライド移動する。差動ピストンが出口ダクトに達するとすぐに、チャンバの中で圧力を受けた流体は前記ダクトを通ってチャンバから放出され、ノズルに流れて、ここで渦を巻いてから投与開口部を通って噴出される。
【0004】
したがって、本発明は主に「プッシャポンプ」という名称でよく知られた、上記のようなタイプの投与部材に関する(ただし、これに限るわけではない)。さらに詳しく言えば、本発明は、サンプルとして用いられるプッシャポンプタイプの投与部材に関する(ただし、これに限るわけではない)。こうした場合、投与部材のサイズは小さく、容量は小さく、小さなサイズの容器(ここでは「フラスコ」と呼ぶ)に設置される。フラスコは、一般的に延伸ガラスから作られているが、プラスチック材料または金属で作ることもできる。幅広い分野のサンプル、さらに具体的に言えば香水の分野において、香水のサンプルは、ストッパが設けられたガラス製のフラスコの形で見かけることが多い。ストッパは2つ部分、すなわち、フラスコの開口部に固着されたベース部分と、ベース部分に耐漏洩様態かつ取り外し可能な形で設けられたストッパ部分とで作ることができる。
【0005】
サンプルは、容器部分と、ベース部分と、そしてストッパ部分とを有することが、ユーザにはすぐにわかる。ベース部分はストッパ部分と容器部分との間のインターフェースまたは接合部を提供する。
ベース部分とストッパ部分とは、一般的に半透明または透明の低コストなプラスチック材料で作られる。したがって、ベース部分および/あるいはストッパ部分は透けて見ることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、全体としてベース部分とストッパ部分とで形成された一般的なストッパの外観を有する流体投与部材、さらに一般的に言えば流体投与装置を作ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するため、本発明は、ネックを有する流体容器に組み付けられる設計となった流体投与部材であって、流体チャンバの少なくとも一部分を形作る本体であって、容器のネックに固定するための固定手段が設けられ、また、容器の内部を流体チャンバに接続する流体入り口を有する、という前記本体と、休止位置と駆動位置との間を軸方向に移動することができる形で本体に設置されたプッシャと、そして、プッシャを休止位置に押しやるスプリングと、を有し、特徴となるのは、スプリング全体がプッシャの内部に収容され、本体は透明または半透明の素材で作られていることである、という投与部材を提供する。これにより、従来型の先行技術のストッパと比較すると、プッシャはストッパ部材の外観を有し、本体は容器またはフラスコに固定されたベース部分の外観を有する。スプリング全体をプッシャの内部に収容することで、スプリングはユーザの目に見えなくなる。さらに、透明または半透明のプラスチック材料で本体を作ることにより、前記本体の外観は、従来通りのストッパの従来通りのベース部分に近くなる。スプリングが従来通りスチール製であれば、このスプリングが投与部材のうち最も見えやすい構成部品となる。そのため、本発明の文脈においては、スプリングをプッシャの内部に入れ、プッシャそのものを不透明、白、または色の付いたプラスチック材料で作る、という点が重要となる。
スプリングをプッシャの内部に収容することが意図する目的とは、ポンプの有する目に見える構成部品全てを、不透明の部品の内部に入れることである。
【発明の効果】
【0008】
効果的な構成として、プッシャは、側面スカートを有し、前記側面スカートは、本体に形成された内部誘導ブッシングを囲む形ではめられていることとする。
好ましい構成として、スカートとブッシングとは、休止位置を規定する相補的受け手段を有することとする。これにより、プッシャは、本体の一部分を中心に軸方向に移動することができる。
本発明の別の効果的な特徴によれば、固定手段は、本体と一体化された単一部品として作られ、効果的な構成として、ネックを囲む形ではめられる設計となっている。また、好ましい構成として、投与部材はプッシャの内部で軸方向に移動することができるピストン部品をさらに有し、スプリングは、ピストン部品とプッシャとを休止位置に押しやることとする。
また、本発明の効果的な別の側面によれば、スプリングは、第1にプッシャに接し、第2にピストン部品の上に接している。変形例において、スプリングは、第1に本体に、第2にピストン部品に接していることとする。
【0009】
本発明の別の特徴によれば、ピストン部品には移動可能な入り口弁部材が形成され、前記入り口弁部材は、本体に形成された入り口弁シートに耐漏洩様態で押し付けられる設計となっている。1つの実施の形態において、ピストン部品全体が、プッシャの内部に収容されていることとする。これにより、鋼球を移動可能な入り口弁部材として使用せずに済ますことができる。前記鋼球は、透明または半透明の本体を通して目に見える可能性があり、そうなると、投与部材、結果として投与装置全体の外観が損なわれてしまう。
【0010】
さらに、ピストン部品をプッシャの内部に収容すれば、投与部材の機能的な部品全てを、好ましい構成として不透明なプッシャの内部に収容し、覆い隠すことができる。
このように、本発明の投与部材はユーザにとって、全体的または一般的にはベース部分とストッパ部分とから成るストッパの従来通りの形状を有している。したがって、投与部材は、ストッパと投与部材との両方で構成されたさまざまな商品に一体化させることができる。
【0011】
さらに、本発明は、流体容器と上記の投与部材とを有する流体投与装置を規定する。効果的な構成として、本体は、容器のネックと耐漏洩接触していることとする。これだと、本体と容器との間に密封状態を実現するためにネックガスケットを用いる必要はない。ガスケットは一般的にエラストマー素材から作られ、不透明であるため、本体および/あるいは容器を通して目に見えてしまう。
【0012】
本発明の別の特徴によれば、容器と、本体と、そしてプッシャとは最大の外径が同一であって、そのため、投与装置は、全体として筒状の外観を有し、効果的な構成として円筒形であることとする。この管状の面は、本体を固定するための固定手段が容器のネックの周囲に配置された場合、および、プッシャが本体を囲む形で延びている場合は、さらに強化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に関して、非限定的な例として本発明の2つの実施の形態を示す添付図を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2(a)、(b)の2つの実施の形態において、本発明の投与部材は、ネック21の形で開口部を有する容器2の上に設置されるか、またはそれに組み付けられる設計となっている。ネック21には外側周縁の肥厚部分を形成して、投与部材の容器への取り付けまたは固定に役立つ下側ショルダーを形作ることにしてもよい。従来の様態において、容器は容器本体を有し、その下側は下側壁により閉じられ、上側部分にはネック21が形作られている。効果的な構成として、容器の本体は、その高さの少なくとも一部分(好ましい構成として、その高さ全体)にわたって筒状の形状を呈している。効果的な構成として、筒状部分の断面を円形とすることで、容器が全体として円筒管の形を呈するようにすることができる。当然のことながら、容器のこうした特定の形状は本発明にとって非限定的であり、本発明は、具体的には投与部材に関連する。
【0014】
ネック21が下側ショルダーを有する必要はない。また、投与部材はネックの内側に取り付けることもできる。
図の2つの実施の形態において、投与部材は事前圧縮タイプのポンプである。さらに具体的に言えば、ポンプは先に定義した意味において「プッシャポンプ」タイプのものである。しかし、本発明は、プッシャポンプ以外の他のタイプのポンプにも適用できる。ただし、図に示された2つの実施の形態において、投与部材またはポンプは以下の構成部品を有する。その構成部品とはすなわち、ポンプ本体1と、プッシャ3と、ピストン部品4と、そしてスプリング5である。図2(a)、(b)における第2の実施の形態のための参照番号には、順不同の数字が用いられている。
【0015】
好ましい構成として、本体1、1’は射出成形されたプラスチック材料で作られている。本発明において用いられるプラスチック材料は、透明または少なくとも半透明で、本体は透視できる。
本体1、1’には固定手段11が設けられ、前記固定手段11はこの場合、効果的な構成として本体と一体化された単一部品として作られている。固定手段11は、ネック21を囲む形で延びるよう作られた外周スカートを有する。スカートをネックに固定するため、スカートには1つまたは複数の内部固定プロフィール111が形成されており、前記内部固定プロフィール111は、ネック21の肥厚部分で形成されたショルダーの下にはまる設計となっている。スカート11は、圧力嵌めによってネックの上に設置することができ、ネックのショルダーの下にスナップ留めすることで永久的に固定される。必須ではないが、図1に示すように通気路112を設け、それにより、流体が投与部材から取り出される際に外部の空気が容器に入るようにしてもよい。
【0016】
さらに、スカートをネックの中にはめてもよい。
スカート11にはほぼ筒状の外壁が見られ、前記外壁の外径は容器の本体の径とほぼ等しく、そのため、図から見て取れるようにスカート11が容器と一直線上に延びる形となる。このように、スカート11は、ネック21によって起こる狭小化を和らげるか、または、それを覆い隠す役割をする。
【0017】
本体1、1’は、スカート11によってネックに密封状態で固定されている。密封状態は、図1のように、ネックの上側エッジに押し付けられたネックガスケット113により実現することができる。さらに厳密に言えば、本体には環状のプレート12が形成され、スカート11のプロフィール111をネック21のショルダーの下にはめると、前記環状のプレート12によりガスケット113が圧迫される。スカート11は、プレート12の外周から下向きに延びている。図2(a)、(b)の第2の実施の形態はネックガスケットを有さない。このため、密封状態を保証するのは、ネック21の内壁と密封接触した密封スリーブ18である。この第2の実施の形態は、以下の理由で好ましい。その理由とは、ガスケットは一般的に不透明な素材から作られているため目に見えるが、第2の実施の形態ではガスケットを使用する必要がない、というものである。第2の実施の形態において、本体1’は、追加部品を使用することなくネック21に直接固定され、本体は透明または不透明のプラスチック材料で作られているため、ユーザは本体がネックに固定されているのを直接的に見て取ることができる。
【0018】
本体1、1’にはディップチューブ14がさらに形成され、前記ディップチューブ14は、プレート12から容器2の内部まで延びている。本体、さらには投与部材の部品のうち容器のネックに貫入するのは、ディップチューブ14および密封スリーブ18のみである。さらに、本体1、1’には入り口弁シート13が形成されている。図1において、シート13は、ディップチューブ14とプレート12とのほぼ接合部の位置に形成されている。ボール6は、選択的に対漏洩様態でシート13に載り、移動可能な入り口弁部材の役割を果たす。別の方法として、図2(a)、(b)の実施の形態では、シート13は、ディップチューブ14のほぼ延長線上に延びた入り口ダクト17の端部に設けられている。ディップチューブ14はプレート12から下向きに延び、一方、入り口ダクト17は同じプレート12から上向きに延びている。入り口弁シート13は、径方向内向きに突き出した周縁ビードで形成されている。シート13は移動可能な入り口弁部材6’と協働する(これについては、後に説明する)。
【0019】
図1の第1の実施の形態において、本体1にはリング15がさらに形成され、前記リング15はプレート12から上向きに延びている。リング15の上側自由端は、メインピストンのリップ16を形作っている。さらに、本体1には部分的に穴を開けられた入り口ダクト17が形作られ、前記入り口ダクト17は、プレート12から、シート13の正に延長線上に延びている。
【0020】
図2(a)、(b)の第2の実施の形態において、本体1’にはリング15が形成され、前記リング15はプレート12から上向きに延びている。リング15の筒状の内部壁はメインシリンダとして働き、(後に説明するように)メインピストン46は前記メインシリンダの中でスライド移動する。さらに、本体1’には内部誘導ブッシング19が形成され、前記誘導ブッシング19は、ブッシング19の外周上に延びた受けプロフィール191を備えている。入り口ダクト17はリング15の内部でそれと同心状態で延び、前記リング15自体も誘導ブッシング19の内部でそれと同心状態で延びている。
【0021】
上記の実施の形態において、効果的な構成として、本体1、1’は上記の構成部品全てと一体化された単一部品として作られている。
両方の実施の形態において、プッシャ3、3’は上側プレス壁31とほぼ筒状の周縁スカート32とを有する。スカートは、プレス壁31の外周から下向きに延びている。ユーザはプレス壁31を指で押さえることができる。スカート32には投与開口部341が設けられ、前記投与開口部341は、スカートに形成された適当なハウジング321の中に固定されたノズル34により形成することができる。これは、図1の場合である。図2(a)、(b)において、投与開口部341はスカートの中に直接形成されている。これら2つの実施の形態において、プッシャには渦システムが設けられ、前記渦システムにより、投与開口部341から投与される前の段階の流体が渦を巻くようにすることができる。図1の実施の形態において、渦システムは小さなチャネル33から供給を受ける。
【0022】
2つの実施の形態において、プッシャのスカート32には、受けプロフィール191と協働する設計となった内部相補的受けプロフィール324が形成されている。前記受けプロフィール191は、第2の実施の形態では、誘導ブッシング19に形成され、図1の実施の形態では、メインピストンのリップ16の下側面に形成されている。2つの受けプロフィールが相互に係合し合う時、プッシャは休止位置にあり、これは図1および図2(a)に相当する。逆に、受け面31を押すと、相補的な受け面同士は、図2(b)に示されるように互いから離れる形で移動する。この時、プッシャのスカートは固定スカート11に近づいてゆく。
【0023】
図1の実施の形態において、プッシャ3には内径の異なる2つのシリンダ322、323が形成されている。径のより小さな差動シリンダ322は、投与開口部341に位置づけられ、小さなチャネル33が前記シリンダの中に開いている。径がより大きな下側メインシリンダ323は、受けプロフィール324のすぐ上に位置している。メインピストンのリップ16は、メインシリンダ323の内部で、耐漏洩様態でスライド接触している。
【0024】
第2の実施の形態において、スカートの内壁は差動シリンダ322を形成しており、前記差動シリンダ322の径は、投与開口部341が形成された地点における径よりも大きい。
両方の実施の形態において、ピストン部品4、4’はリップを備えた差動ピストン41を有し、前記リップは差動シリンダ322の内部で耐漏洩様態でスライド接触している。差動ピストンをスライド移動させることにより、投与部材の内部で圧力を受けた流体のための出口路を作ることができる。こうして、流体を投与開口部から放出することができる。この場合、ポンプチャンバは、本体と、プッシャと、そしてピストン部品との間に作られている。
【0025】
ピストン部品、したがってプッシャを、図1および図2(a)の休止位置の方へ押しやるため、スプリング5、5’はピストン部品4、4’に作用する。第1の実施の形態において、スプリング5は、第1にプレス壁31の下に接し、第2にピストン部品4に接触している。こうして、ピストン4は、受け部品31から遠ざけられている。休止位置において、ピストン部品は小さな入り口ダクト17に受け止められた状態となっている。この場合、ポンプチャンバ10は、リング15と、プレート12と、シート13と、メインシリンダ323と、そしてピストン部品4との間に形作られている。プレス壁31を押すと、ボール6はシート13に押し付けられ、プッシャ3は本体1に対し移動し始める。リップ16は、メインシリンダ323の中を隙間のない状態でスライド移動する。同時に、ピストン部品4は差動シリンダ322の中でプレス壁31の方へスライド移動し始め、スプリング5を圧縮する。差動ピストン41のリップがチャネル33に達するとすぐに、チャンバ10の中で圧力を受けた流体のための通路が作られる。こうして、流体を投与開口部341の方へ逃がすことができる。
【0026】
第2の実施の形態において、ピストン部材4’にはメインピストンのリップ46が形成され、前記リップ46は、メインシリンダとして働くリング15の内側で耐漏洩様態でスライド接触している。さらに、ピストン部材4’は、ピストン部材4’を貫通する通路44を有し、前記通路44はポンプチャンバ10の一部分を形作っている。ポンプチャンバ10は、リング15と入り口ダクト17との間と、通路44と、そして差動ピストン41の上側面とプレス壁31の下側面との間に規定された空間とで形作られている。さらに、ピストン部品4’には移動可能な入り口弁部材6’が形成され、前記入り口弁部材6’は、選択的に入り口弁シート13と耐漏洩様態で協働する。スプリング5’は、ピストン部品4’をプレス壁31の方へ押しやる。これを実現するために、スプリング5’は、第1に誘導ブッシング19のショルダーに、第2に差動ピストン41の下側に接触している。これは、図2(a)の休止位置に相当する。ポンプチャンバ10と投与開口部341との間の流れは、差動ピストン41とプレス壁31との間に実現された耐漏洩接触により回避される。逆に、プレス壁31を押すとすぐに、メインピストン41はシリンダ15の中へスライド移動してゆき、スプリング5’を圧縮する。これにより、ピストン部材4’は受け面31から遠ざかる形に移動させられ、スプリングをさらに圧縮する。ピストン部材4’がプレス壁31から離れるとすぐに、ポンプチャンバ10と投与開口部341との間に通路が作られ、その結果、圧力を受けた流体が逃がされる。
【0027】
見て取れるように、本発明の両方の実施の形態において、スプリング5,5’は全体がプッシャ3、3’の内部に収容または格納されている。プッシャの内部のスプリングが目に見えないようにするため、プッシャは、好ましい構成として不透明または色の付いたプラスチック材料で作られている。本体が透明または半透明の素材で作られている場合でさえ、ユーザからはスプリングは見えないため、そのことは、本発明の効果的な特徴である。
【0028】
第2の実施の形態のもう1つの効果的な特徴は、ピストン部材4’もまたその全体がプッシャ3’の内部に収容または格納されている、という点にある。このため、ピストン部材4’はユーザの目に見えない。結果として、投与部材はポンプではなく、ストッパの従来通りの外観を有する。ユーザからは、投与部材は2つの部品(すなわち、この場合においてはプッシャと透明または半透明の本体)のみで構成されているように見え、プッシャは、従来通りのストッパ部分と見なすことができる。
【0029】
別の効果的な特徴は、プッシャのスカート32の外壁は、効果的な構成として、固定スカート11および容器2の本体と一直線上に延びている、という点である。これにより、容器と本発明の投与部材とから構成される投与装置は、全体として円筒管の形の外観を有する。
このポンプのタイプ(この場合は「プッシャポンプ」)を、本発明を実施することができる唯一のタイプと考えてはならない。しかし、プッシャポンプであれば、ポンプのいくつかの構成部品を同一の部品(この場合は、プッシャ)の内部に収容できるようになるため、プッシャポンプは効果的である。結果として、本体を透明とし、それにより簡易なストッパとの類似性をいっそう増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態を構成する投与部材の縦断面図である。
【図2】(a)本発明の第2の実施の形態を構成する投与部材が実装された流体投与装置の休止位置における縦断面図である。(b)図2(a)と同様の図であって、駆動位置における図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネック(21)を有する流体容器(2)に組み付けられる設計となった流体投与部材であって、
・流体チャンバ(10)の少なくとも一部分を形作る本体(1;1’)であって、容器のネックに固定するための固定手段(11)が設けられ、また、容器の内部を流体チャンバに接続する流体入り口を有する、という前記本体と、
・休止位置と駆動位置との間を軸方向に移動することができる形で本体に設置されたプッシャ(3;3’)と、そして、
・プッシャを休止位置に押しやるスプリング(5;5’)と、を有し、
特徴となるのは、
・スプリング全体がプッシャの内部に収容され、
・本体は、透明または半透明の素材で作られていることである、
という投与部材。
【請求項2】
プッシャは、側面スカート(32)を有し、前記側面スカート(32)は、本体に形成された内部誘導ブッシング(15;19)を囲む形ではめられていること、
を特徴とする請求項1に記載の投与部材。
【請求項3】
スカートとブッシングとは、休止位置を規定する相補的受け手段(324、191)を有すること、
を特徴とする請求項2に記載の投与部材。
【請求項4】
固定手段(11)は、本体と一体化された単一部品として作られ、効果的な構成として、ネックを囲む形ではめられる設計となっていること、
を特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の投与部材。
【請求項5】
プッシャの内部で軸方向に移動することができるピストン部品(4;4’)をさらに有し、スプリングは、ピストン部品とプッシャとを休止位置に押しやること、
を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の投与部材。
【請求項6】
スプリングは、第1にプッシャに接し、第2にピストン部品の上に接していること、
を特徴とする請求項5に記載の投与部材。
【請求項7】
スプリングは、第1に本体に、第2にピストン部品に接していること、
を特徴とする請求項5に記載の投与部材。
【請求項8】
ピストン部品(4’)には移動可能な入り口弁部材(6’)が形成され、前記入り口弁部材(6’)は、本体に形成された入り口弁シート(13)に耐漏洩様態で押し付けられる設計となっていること、
を特徴とする請求項5、6、または7に記載の投与部材。
【請求項9】
ピストン部品(4;4)全体が、プッシャの内部に収容されていること、
を特徴とする請求項5乃至8のいずれかに記載の投与部材。
【請求項10】
流体容器と請求項1乃至9のいずれかに記載の投与部材とを有すること、
を特徴とする流体投与装置。
【請求項11】
本体は、容器のネックと耐漏洩接触していること、
を特徴とする請求項10に記載の投与部材。
【請求項12】
容器と、本体と、そしてプッシャとは最大の外径が同一であって、そのため、投与装置は、全体として筒状の外観を有し、効果的な構成として円筒形であること、
を特徴とする請求項10または11に記載の投与装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−515353(P2007−515353A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546214(P2006−546214)
【出願日】平成16年5月14日(2004.5.14)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001188
【国際公開番号】WO2005/070559
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】