説明

流体用スクリーンチェンジャー

【課題】 濾過面積の減少を招くことなく、小型化,軽量化を可能とした流体用スクリーンチェンジャーを提供する。
【課題手段】 立方体のケーシングの一辺に対し直接または間接的に流体の主入口1個が設けられ、該主入口からそれが辺に沿って2つの分岐路に分かれ、それぞれの端部がケーシングの副入口となる。ケーシングの略中央部に入口と直角で円筒形の空間が設けられ、該空間の軸方向両側から2つの濾過手段が出入り自由に挿入され、それぞれの濾過手段の入口がケーシングの副入口を介して、前記分岐路に通じる。そして、前記濾過手段の出口側はケーシング中央部側にあり、それぞれが合流して連通路となり、その中間からケーシングの軸方向中央付近の外面に開口する出口が設けられ、前記主入口から分岐路への交叉部に切換弁1個が設けられ、入口流を分岐路全体に、または片側に分流させるようにしたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体用スクリーンチェンジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として下記の特許文献1に示すものがあった。即ち、円柱状の回動棒がその中心軸線周りに回動できるよう案内する回動棒孔を有するケーシング本体と、前記回動棒孔に回動自在に挿入され、可動通路を外円周面に持ち、軸方向に並列した2本の回動棒と、該回動棒の一端又は両端に結合された回動駆動軸とを持つ。そして、前記回動棒に設けられた可動通路は、該棒のほぼ直径を通る直線上に貫通し、その中に同軸に濾過手段が挿入されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3806767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらこの技術では、前記回動棒に設けられた可動通路は、該棒のほぼ直径を通る直線上に貫通し、その中に同軸に濾過手段が挿入されている。 従って、通路の直径と軸方向長さは棒の直径に規制される。つまり、通路容積は原理的に棒の直径の制限を受ける。従って、この中に収容する濾過手段の大きさ、即ち、濾過面積が棒の直径で厳しく制限を受けてしまう。このため、必要な濾過面積を得るためには、棒の直径を大とせねばならず、勢いケーシングを含む装置全体の大きさ、重量の増大を甘受せざるを得なかった。
【0005】
本発明は上記問題を解決し、濾過面積の減少を招くことなく、小型化,軽量化を可能とした流体用スクリーンチェンジャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段の第1は、立方体のケーシングの一辺に対し直接または間接的に流体の主入口1個が設けられ、該主入口からそれが辺に沿って2つの分岐路に分かれ、それぞれの端部がケーシングの副入口となる。ケーシングの略中央部に入口と直角で円筒形の空間が設けられ、該空間の軸方向両側から2つの濾過手段が出入り自由に挿入され、それぞれの濾過手段の入口がケーシングの副入口を介して、前記分岐路に通じる。そして、前記濾過手段の出口側はケーシング中央部側にあり、それぞれが合流して連通路となり、その中間からケーシングの軸方向中央付近の外面に開口する出口が設けられ、前記主入口から分岐路への交叉部に切換弁1個が設けられ、入口流を分岐路全体に、または片側に分流させるようにしたことである。
【0007】
本発明の課題解決手段の第2は第1手段に加え、前記出口と連通路との交叉部に切換弁1個が設けられたことである。
【0008】
本発明の課題解決手段の第3は第1手段または第2手段に加え、ケーシング出口の流出方向は主入口の流入方向と同軸上または直角方向であることである。
【0009】
本発明の課題解決手段の第4は第1手段または第2手段または第3手段に加え、前記濾過手段は多孔板とその表面のスクリーンからなることである。
【0010】
本発明の課題解決手段の第5は第1手段または第2手段または第3手段に加え、前記濾過手段は有底濾過筒とその表面または内面または中間面に取り付けられたスクリーンよりなることである。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、濾過面積の減少を招くことなく、小型化,軽量化を可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例の正面図である。
【図2】図1のX2−X2断面図である。
【図3】図1,2のY3−Y3断面図である。
【図4】図2のY4−Y4断面図である。
【図5】他の実施例の図2に対応した図である。
【図6】更に他の実施例の図2に対応した図である。
【図7】更に他の実施例の図3に対応した図である。
【図8】本発明の効果を説明するグラフである。
【図9】本発明の効果を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の一実施例を図面に基づき説明する。
図1,2,3,4において、ケーシング本体10は外形が正面視で横長矩形、側面視で矩形、平面視で横長矩形をなした鋼のブロック状のものである。直方体のケーシングの一辺(前面)に対し流体の主入口11の1個が設けられ、該主入口からそれが辺に沿って2つの分岐路11bに分かれ、それぞれの端部がケーシングの副入口11aとなる。
【0014】
ケーシング10の略中央部に入口と直角で円筒形の空間13が設けられる。そして、該空間の軸方向両側から2つの濾過手段20が出入り自由に挿入され、それぞれの濾過手段の入口がケーシングの副入口11aを介して、前記分岐路11bに通じる。前記濾過手段20の出口側はケーシング中央部側にあり、それぞれが合流して連通路14となり、その中間からケーシングの軸方向中央付近の外面(後面)に開口する出口12が設けられる。前記主入口11から分岐路11baへの交叉部に入口三方切換弁30の1個が設けられ、入口流を分岐路全体に、または片側に分流させるようにしてある。
【0015】
ここで、前記空間13は、ケーシング本体の横辺(前面、後面)に沿った軸線を持つ円筒形を呈し、ケーシング本体の左右端面から中央に向かって深く開けられている。そして、中央部で、各々テーパ縮径部となった底13a(断を介した大径部と小径部からなる)となっている。両底を貫通して円形の連通路14が設けられ、この中央から延びてケーシングの背面(後面)に出口12が開口する。また、前記出口12から連通路14の交叉部に出口三方切換弁40の1個が設けられている。
【0016】
前記切換弁30,40において、上下に延びる円柱弁棒30a,40aの先端付近にT字型の流路30b,40bを持ち、弁棒の末端から操作棒30,40cがケーシング上面の外側に延び、その先端にハンドル30d,40dが設けられる。弁棒の末端付近にはパッキン30e,40eが設けられてケーシングの穴との液密が保たれる。流路30b,40bは、その軸線を含む水平断面においてT字型となる。
【0017】
前記空間13内には、同軸に濾過手段20が挿入される。濾過手段は有底濾過筒からなり、次のように構成される。補強多孔筒21は直円筒を呈して空間と同心となり、その外周に(または内周、中間)に円筒スクリーン22が装着される。補強多孔筒の一端にネジで取り付けられた底部材23は、外側中央が外側に凸となっている。案内部材24は底部材の内側の軸線上に突出された先細テーパ棒状を呈する。補強多孔筒21の他端は、底13aの小径部に嵌まる。これにより、円筒スクリーン22と空間の内面との間には間隔が保たれ、この間隔と補強多孔筒21の内側には、濾過室が構成される。
【0018】
空間13の開口端には、蓋3のフランジ部がケーシング本体にボルトで固定される。蓋の中心部は空間内に突入して嵌まる。そして、濾過手段20は取り付け部材4により、次のようにして蓋3に対して進退自在に取り付けられる。即ち、案内部材24と底部材23の中心軸線上をネジを介して貫通した頭付きボルト4aが、蓋3の中心をネジを介して貫通し、その外側にナット4bがねじ込まれる。蓋3には後記逆洗時に使われる排出孔3aが設けられる。
【0019】
以上において、作動状態を説明する。
通常運転時には、ケーシング10の主入口11より入った流体は2つの分岐路11bに分かれ、左右の副入口11aより濾過室に入り、スクリーン付き濾過筒20の穴より入り、濾過筒出口を経てケーシング出口12より排出される。不純物を含んだ流体はスクリーン22で濾過される。
【0020】
スクリーン逆洗時には、図2の左のスクリーンが目詰りした場合は、入口切り替え弁30を左90度回すと、左側の濾過室の流体の流れは止まる。このとき、ケーシング出口側の圧力によりの流体は、連通路14より逆に左の多孔筒21の内側に入り、スクリーン22の裏面より流入してスクリーンに付いた不純物を流体と共にはがして、排出孔3aより排出される。このとき流体は全て右側の濾過室を通り出口12より流出するので、運転に支障はない。今度は、入口切り替え弁30を右90度回すと、右側の濾過室の流体の流れは止まり、同様にして右側の濾過筒が逆洗される。
【0021】
スクリーン交換時には、左のスクリーンを交換する場合、入口切り替え弁30を左90度、出口弁40を右90度回すと、左の濾過室の流体が遮断され、蓋3を外して濾過筒20を取り出し、新品と交換する。左のスクリーンを交換する場合、前記切り替え弁を逆90度に回す。出口切り替え弁40がない場合は、成形ライン全体を停止して行う。
【0022】
図5は、前記濾過手段として多孔板とスクリーンとしたものである。円盤多孔板5の表面にスクリーン6が取り付けられ、この多孔板が空間13内で底13aの大径部までねじ込まれる。
【0023】
前記において、ケーシング出口の流出方向は主入口の流入方向と同軸上となっている。しかし、直角方向であってもよい。即ち、図6,図7で、連通路14の中央から延びてケーシングの下面に(または仮想線で示す上面に)出口12が開口する。前記出口12から連通路14の交叉部に出口三方切換弁40の1個が設けられている。
【0024】
前記出口切換弁40において、前後に延びる円柱弁棒40aの先端付近にT字型の流路40bを持ち、弁棒の末端から操作棒40cがケーシング後面の外側に延び、その先端にハンドル40dが設けられる。弁棒の末端付近にはパッキン40eが設けられてケーシングの穴との液密が保たれる。流路40bは、その軸線を含み左右に延びる鉛直断面においてT字型となる。
【0025】
図8,9は本発明による効果を説明するグラフである。図8は本発明のもの(図2の有底濾過筒20)と、従来技術(背景技術に記載)のもの(本発明と同様の有底濾過筒)の、回動棒の径の違いを示し、横軸がスクリーン面積、縦軸が直径である。図9は前記回動棒の径の違いによる機械重量の差を示し、横軸がスクリーン面積、縦軸が重量である。これから、構造の違いにより回動棒の径が小さくなり、機械全体がコンパクトで、軽量となり、コストも少なくなることが分かる。
【0026】
本発明は前記した実施例や実施態様に限定されず、特許請求の範囲を逸脱せずに種々の変形を含む。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は流体用スクリーンチェンジャーに利用される。
【符号の説明】
【0028】
10 ケーシング本体
11 主入口
11a 副入口
11b 分岐路
12 出口
13 空間
14 連通路
20 濾過手段
21 補強筒
22 スクリーン
23 底部材
24 案内部材
30 入口三方切り替え弁
40 出口三方切り替え弁
3 蓋
3a 排出孔
4 取り付け部材
5 円盤多孔板
6 円形スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
立方体のケーシングの一辺に対し直接または間接的に流体の主入口1個が設けられ、該主入口からそれが辺に沿って2つの分岐路に分かれ、それぞれの端部がケーシングの副入口となり、
ケーシングの略中央部に入口と直角で円筒形の空間が設けられ、該空間の軸方向両側から2つの濾過手段が出入り自由に挿入され、それぞれの濾過手段の入口がケーシングの副入口を介して、前記分岐路に通じ、
前記濾過手段の出口側はケーシング中央部側にあり、それぞれが合流して連通路となり、その中間からケーシングの軸方向中央付近の外面に開口する出口が設けられ、
前記主入口から分岐路への交叉部に切換弁1個が設けられ、入口流を分岐路全体に、または片側に分流させるようにしたことを特徴とする流体用スクリーンチェンジャー。
【請求項2】
前記出口と連通路との交叉部に切換弁1個が設けられたことを特徴とする請求項1記載の流体用スクリーンチェンジャー。
【請求項3】
ケーシング出口の流出方向は主入口の流入方向と同軸上または直角方向であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項記載の流体用スクリーンチェンジャー。
【請求項4】
前記濾過手段は多孔板とその表面のスクリーンからなることを特徴とする請求項1または2または3記載の流体用スクリーンチェンジャー。
【請求項5】
前記濾過手段は有底濾過筒とその表面または内面または中間面に取り付けられたスクリーンよりなることを特徴とする請求項1または2または3記載の流体用スクリーンチェンジャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−81371(P2012−81371A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226955(P2010−226955)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(507381271)
【Fターム(参考)】