流体管理システム
本発明の流体管理システムは、注入液を患者に自動的に供給するように構成されている。流体管理システムは、流体管理装置、流体移送システム、及び流体注入器を有する。流体管理装置は、多回投与容器を保管して管理するものである。流体移送システムは、流体管理装置内に保管されている容器の出口を注入器に接続する。注入器は、流体移送システムを介して、容器から流体を取り出し、該流体を患者の管理装置に入れる。流体管理装置は、垂直回転軸を有する少なくとも一つの回転カルーセルと、前記回転カルーセルに取り付けられ、容器首部の開口端を下方に向けた状態で容器を垂直に位置させるように構成された少なくとも2つの容器ホルダと、前記回転カルーセルの下に設けられたスパイクホルダを有する。前記スパイクホルダは、スパイクホルダが容器ホルダに搭載されたスパイクされる容器の軸に前記スパイクホルダに接続されたスパイクを整列させるように向けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、複数の服用容器から患者に流体を投与する流体管理システムとその方法に関する。本発明に係る流体管理システムは、注入流体を患者に自動的に供給するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
多くの医療環境において、診断中又は治療中に医療流体が患者に注入される。一つの例が、コンピュータ断層撮影、血管造影、磁気共鳴(MR)、又は超音波画像診断などの診断撮像法による撮像を改善するために、動力式流体注入システムを用いて患者に造影剤を注入ことである。
【0003】
上述の処置を行うために利用される種々の手動注入装置及び自動注入装置が業界で知られている。国際特許出願WO2004/091688A2号又は国際特許出願WO2007/033103A1に開示されたシステムでは、注入流体が取り出される容器は手動で準備される、すなわち、手動でスパイクされてスパイク後に取り出し位置に手動で設置される。
【0004】
多回投与容器から造影剤を準備し、取扱い、投与する一般的な方法は、以下の通りである。通常は診断画像装置の近くに配置されたヒータを用いて、造影剤を含む多回投与容器を使用前に予め暖める。ヒータの温度は通常体温の摂氏37度に設定される。次に、造影剤を含む容器は、技術者によってヒータから取り除かれる。プラスチックの安全キャップが多回投与容器かの端部から取り除かれ、ゴムシールが露出される。注入ラインに造影剤を供給するために、技術者により、通気スパイクが造影剤注入器に接続され、手動で多回投与容器のゴムシールに押し込まれる。
【0005】
雑菌混入の理由から、スパイクは約6〜8時間ごとに交換しなければならない。次に、多回投与容器は、容器首端部を下方に向けて、IVポールに垂直に吊り下げられた容器ホルダに収容される。以後、一つの生理食塩水について上述の工程が繰り返される。続いて、技術者は、必要な造影剤と生理食塩水を多回投与容器から注入器用ユーザインターフェイスを介して注入容器に取り出す。カニューレ接続部を備えた新たな患者用接続チューブからの保護パッケージが取り除かれる。注入器用患者供給ラインの接続部を塞ぐために使用されているキャップが手で取り除かれる。
【0006】
患者接続チューブと患者供給ラインがカニューレ接続部を介して接続される。次に、技術者が手動で注入器を作動して生理食塩水と造影剤を小容器に送り込むことにより、空気がチューブから排出される。技術者は、目視でチューブを観察してラインがパージされたことを確認した後、注入器ポンプを停止する。新たなカニューレ接続部からのこん包が取り除かれ、接続部が患者チューブの端部に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の手動操作は費用がかかり非常に非効率的である。したがって、本発明の目的は高度に自動化することである。WO2008/076631A2に記載の多回投与注入装置は、多少自動化されたものを示す。
【0008】
しかし、単なる自動化は別の問題を生じる。多回投与容器に関して、推奨の使用時間を越えて容器が使用されること、または、以前にスパイク解除された容器を再使用することは、常に問題である。
【0009】
したがって、安全で効率的に使用できる流体管理システムが望まれている。特に、流体容器と流体の取り出しを正確に制御できるシステムが望まれている。また、容器の全使用期間に亘って流体供給が汚染無く行われることが大事である。
【0010】
また、種々の流体(造影剤、生理食塩水、フラッシング流体)及び種々の容器サイズを使用できる流体管理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上より、本発明の目的は、従来の流体注入作業に纏わる問題を欠点を解消する流体管理システム(FMS)を提供することを目的とする。
【0012】
本発明に係るFMSは、患者に注入液を自動的に供給するように構成されている。本発明に係るFMSは、流体管理装置(FMD)、流体移送システム(FTS)、および注入器を有する。
【0013】
FMDは、多回投与容器に流体を貯蔵して投与するためのものである。ただし、FMDは、一回投与容器に流体を貯蔵して投与するものも可能である。「容器」の用語は、少なくともボトル、ポーチ(小袋)、バッグ、カートリッジ、カプセルを含むものと理解すべきである。FTSは、FMD内に保管された容器の出口を注入器に接続する。注入器は、流体をFTSを介して容器から取り出し、該流体を患者管理装置に入れる。注入器は、少なくとも一つのポンプを有し、所定量の流体を所定の流速で注入するようにプログラムされる。
【0014】
FMDは、垂直回転軸を有する少なくとも一つの回転カルーセルと、前記回転カルーセルに取り付けられた少なくとも2つの容器ホルダを有する。前記容器ホルダは、容器首部の開口端部を下方に向けた状態で容器を垂直に位置させるように構成されている。FMDはさらに、前記回転カルーセルの下に設けられたスパイクホルダを有する。スパイクホルダは、スパイクホルダに接続されたスパイクを、容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある容器の軸に整列させるように向けられる。
【0015】
一つの実施例では、FMDは、2つの回転カルーセルを有する。他の実施例では、FMDは、一つ又はそれ以上、好ましくは2つの容器ホルダ(回転カルーセルに取り付けられていない容器ホルダ)を有する。
【0016】
好ましくは、各回転カルーセルは個々のチャンバに設けられており、回転カルーセルに取り付けられていない各容器ホルダも個々のチャンバに設けられている。実施例では、FMDは、一つ又は複数のチャンバが設けられるシャーシフレームワークを有する。
【0017】
好ましくは、回転カルーセルは、回転軸に配置されたカルーセル駆動シャフトを有する。
【0018】
容器ホルダが垂直に設けられる駆動シャフトにはプレートが取り付けられる。
【0019】
一実施例では、最大で10個までの容器ホルダが回転カルーセルに取り付けられる。好ましくは、5個の容器ホルダが、回転カルーセルに取り付けられる。同一の回転カルーセルに取り付けられるすべての容器ホルダは、同じ大きさの容器を保持するように構成されている。代わりに、幾つかの容器ホルダは、他の容器ホルダとは異なる大きさの容器を保持するように構成されている。好ましくは、一つの容器ホルダは、他の容器よりも小さな大きさの容器を保持するように構成されている。
【0020】
好ましくは、容器ホルダは、回転軸を中心とする円上に等間隔に配置されている。
【0021】
少なくとも一つのチャンバ、好ましくは回転カルーセルを有するチャンバは、温度制御されている。
【0022】
好ましくは、各チャンバは、個々にヒンジされた蓋又はドアをあけることによってアクセスできる。そのような蓋又はドアは、透明であるか、又は、各チャンバの内容物を視覚的に観察する窓を含む。
【0023】
FMDは、各回転カルーセルに対して、モータを有するカルーセル駆動システムと、前記モータの軸から回転カルーセルのシャフトに回転を伝える手段を有する。好ましくは、FMDは、回転カルーセルを収容するチャンバの蓋又はドアが開放されたときに回転カルーセルのシャフトを前記モータの軸から分離する手段を有する。
【0024】
各スパイクホルダは、直線スライドに移動可能に設けられており、スパイクホルダは垂直方向にスライドできるようになっている。FMDはさらに、各スパイクホルダについて、自動スパイクシステムを有する。自動スパイクシステムは、モータと、直線スライドに設けられたスパイクホルダを移動するための手段を有する。
【0025】
FMDはさらに、カルーセル駆動システムを制御する中央電子制御システム(CECS)と、自動スパイクシステムを有する。また、CECSは、以下の装置に接続されており、それらの装置を監視/制御するようにしてある。
a.ディスプレイ等の情報出力装置
b.タッチスクリーン又はキーボード等のユーザ入力装置
c.温度制御されたチャンバの温度
d.流体レベルセンサ
e.スパイク用の位置制御センサ
f.回転カルーセル用の位置制御センサ
g.FTSチューブに設けたバルブ
h.CM注入器との通信用の2方向データ移送システム、及び/又はコンピュータネットワーク
i.容器又は流体移送システム(FTS)に設けたデータストレージからデータを読み取るリーダ等の1方向データ移送システム
j.データストレージ
【0026】
流体移送システムは、少なくとも2つの第1端部を有し、前記第1端部はそれぞれスパイクに接続されており、少なくとも2つの第2端部を有し、前記第2端部はそれぞれ第1端部に対応している、第1の移送チューブと;少なくとも2つの入力開口と一つの出口開口を有し、前記移送チューブの前記第2端部が前記入力開口に接続されているマニホールドと;第1の移送チューブの第1端部と第2端部の間に設けられたバルブを有する。前記バルブにより、流体は、スパイクされた容器の一つから選択的に取り出される。
【0027】
前記第2の移送チューブの第2端部は注入器に接続されるように構成することができる。
【0028】
前記流体移送システムはさらに、流体移送システムの一意識別子を保管するデータ保管手段を備えている。一意識別子を読むにあたって、CECSは特定の流体移送システムの使用を記録し、スパイクの最大使用時間に達したときは、情報出力装置を介してユーザに警告することができる。
【0029】
前記スパイクのベースは、FMDのスパイクホルダで、前記スパイクを対応する設置アタッチメント手段に接続する設置アタッチメント手段を含む。スパイクの上部は、容器隔壁に入るように構成されている。スパイクを通じて簡単に流体を簡単に取り出すためには、孔付きスパイクが好ましい。前記スパイクは、汚染を防止するために、シースで覆ってもよい。
【0030】
本発明はさらに、患者に注入用流体を自動的に供給する方法に関し、
流体管理装置を提供する工程であって、前記流体管理装置は、流体を収容する少なくとも一つの容器を該容器の首部の開口端部を下方に向けた垂直状態で収容するように構成されており、前記容器はスパイクホルダを有し、前記スパイクホルダは該スパイクホルダに接続されたスパイクを前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある前記容器の軸に整列させるように設けられて接続されているものと、
流体移送システムを提供する工程であって、前記流体移送システムは移送チューブを有し、前記移送チューブはスパイクに接続された第1端部と注入器に接続されるように構成された第2端部を有するものと、
少なくとも一つの容器を該容器の首部の開口端部を下方に向けた状態で前記流体管理装置に搭載する工程であって、前記首部の前記開口端部は隔壁によって覆われているものと、
前記スパイクを前記スパイクホルダに取り付けるとともに前記移送チューブの第2端部を注入器に取り付け工程と、
前記隔壁に前記スパイクを侵入させる工程と、
前記容器から流体を取り出す工程を含む。
【0031】
前記方法はさらに、前記容器の隔壁から前記スパイクを引き抜く工程を有する。前記スパイクを前記隔壁から引き抜く工程は、スパイクされた前記容器が空であるか又は前記容器の最大使用時間に達したか若しくは前記スパイクの最大使用時間に達したかときに起動される信号に応答して行われる。そのような最大使用時間は、流体管理装置の中央電子制御システム(CECS)に接続されたタイマで記録される。スパイクされた容器の流体レベル/体積は、流体レベル/体積センサを介して、CECSで監視できる。
【0032】
他の実施例では、少なくとも2つの容器が流体管理装置に搭載される。流体管理装置はさらに、各容器を前記スパイクホルダに軸整列させて配置する手段を有する。この方法はさらに、第2の容器をスパイクホルダと軸整列する位置に移動する工程と、前記第2の容器の隔壁にスパイクを侵入させて前記第2の容器から流体を取り出す工程を有する。
【0033】
以下に説明する実施例の特徴は特許請求の範囲の請求項に具体的に記載されている。しかし、構造と動作方法に関する実施例は、同一部分は同一符号で特定した以下の説明と添付の図面を参照することによって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、流体管理装置の斜視図。
【図2】図2は、流体管理装置の別の斜視図。
【図3】図3は、流体管理装置の内側の正面図。
【図4】図4は、流体管理装置の内側の斜視図。
【図5】図5は、スパイクの斜視図。
【図6】図6は、シースを備えたスパイクの斜視図。
【図7】図7は、スパイクホルダの斜視図。
【図8】図8は、スパイクホルダの上面図。
【図9】図9は、スパイクされた容器とスパイクシステムの斜視図。
【図10】図10は、スパイクされた容器とスパイクシステムの図。
【図11】図11は、流体管理装置の上面図。
【図12】図12は、流体管理装置の別の上面図。
【図13】図13は、回転カルーセルの斜視図。
【図14】図14は、容器が取り付けられた回転カルーセルの斜視図。
【図15】図15は、流体管理装置の第2実施例の斜視図。
【図16】図16は、流体管理装置の第2実施例の別の斜視図。
【発明の詳細な説明】
【0035】
[流体管理システムの第1実施例]
以下に説明する第1実施例の流体管理システムは、予熱された造影剤(CM)と予熱されていない生理食塩水を造影剤が充填された容器(CM容器)又は生理食塩水が充填された容器(生理食塩水容器)から患者注入用CM注入器に自動的に供給するように構成されている。
【0036】
実施例によれば、図1〜図4に示す流体管理装置(FMD)は、4つの別々のチャンバ(部屋)20a、20b、21a、21bを有する。チャンバ20a、20bは、温度制御されており、CM容器22を収容するように構成されている。チャンバ20a,20bは、垂直方向に積層して配置されており、シャーシフレームワーク14に設けられている。チャンバ21a,21bは、温度制御されておらず、生理食塩水容器を収容するものである。チャンバ21a,12b垂直方向に積層して配置されており、温度制御されたチャンバ20a、20bに隣接して、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。FMD100は、プラスチックの成型体に収容されており、内部構成部品が周辺環境から遮断されている。各チャンバ20a,20b,21a,21bは、各チャンバの内容物を視覚的に観察するための透明観察窓を備えた個々のヒンジドア24a,24b,25a,25bを開けてアクセスできる。中央電子制御システム(CECS)(図示せず)は、2つの垂直方向に向けて設けられた温度制御付きチャンバ20a,20bの間で、FMDの中央に配置され、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。
【0037】
図13と図14に詳細に示す回転カルーセル(回転台)は、各温度制御室20a、20b内に固定されており、カルーセル駆動シャフト27が垂直に配置されている。カルーセル駆動シャフト27は、軸方向に向けて軸受に設けられており、軸受はシャーシフレームワーク(骨組み)14に固定して設けられている。カルーセル駆動システムは、中央電子制御システム(CECS)介して回転カルーセルを回転できるように設けられて配置されている。カルーセル駆動システムは、モータ、減速歯車箱、補助駆動装置(スプールギヤ、ベルト等)を備えており、補助駆動装置の主要ギヤ2,モータギヤ3,アイドラーギヤ4が図4,11,12に示してある。
【0038】
温度制御された各チャンバ20a,20bの中には5つのCM容器22(図13,図14に詳細に示す。)のそれぞれの容器ホルダが設けてあり、CM容器が自動スパイクシステムのスパイクホルダ10と軸方向に正しく整列するように該CM容器を配置し、方向付け、固定している。各CM容器ホルダは、カルーセル駆動シャフト27を中心とする円上で隣接するCM容器ホルダから等間隔に配置され、プレート7に垂直に設けられている。プレート7は、カルーセル駆動シャフト27に取り付けてある。各容器ホルダは、2つのクリップ28と一つのワイヤ容器ラック8を有する。
【0039】
温度制御されていない各チャンバ21a、21bの中には容器ホルダが設けてあり、生理食塩水容器23が自動スパイクシステム(例えば図4)のスパイクホルダ10と軸方向に正しく整列するように該生理食塩水容器23を位置付けて方向付けて固定している。容器ホルダはプレート18に垂直方向に取り付けられており、プレート18はシャーシフレームワーク14に取り付けられている。各容器ホルダは、2つのクリップ28と一つのワイヤ容器ラック8を有する。
【0040】
図9と図10に詳細に示す自動化スパイクシステムは、スパイクホルダ10と、スパイクホルダ10のためのリニアスライド9と、モータ、減速歯車箱、リードねじを含むスパイク駆動システム12を有する。スパイクホルダ10を有するリニアスライド9は、4つのチャンバ20a,20b,21a,21bのそれぞれの下で、シャーシフレームワーク14に垂直に設けてある。上述の自動スパイクシステムは、スパイクホルダ10がスパイク11をスパイクされる容器22,23の軸に対して軸方向に整列するように配置されて方向付けられている。
【0041】
棒31は、FMD100が天井取付アーム1に取り付けられるように、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。
【0042】
図1と図4に示す流体移動システム(FTS)は、各チャンバについて、チャンバ下でスパイクホルダ10に入れられるように構成されたスパイク11を含む。図5と図6に示すスパイク11は、基部41と上部10を有する。スパイク11は、通気孔付きスパイクである。基部41は、スパイクホルダ10(図7,8参照)のスライドレール55に対応して保持するように構成された2つのガイドノッチ45を両側に有する。基部の孔44は、スパイク11がスパイクホルダ10に入れられたときに、スパイクホルダ10のピン54をマウントするように構成されている。好ましくは、スパイク11は、使用前に汚染されるのを防止するためのシース43を有する。FTSはさらに、各スパイク11に接続され、流体をスパイクされた容器からCM注入器(図1と図4を参照)に移すための管15,16を有する。温度制御された上部のチャンバ20aのスパイク11の管15と温度制御された下部のチャンバ20bのスパイク11の管16との間にYコネクタ17が設けてある。温度制御されていない上部のチャンバ21aのスパイク11の管15と温度制御されていない下部のチャンバ21bのスパイク11の管16との間にYコネクタ17が設けてある。管18は、Yコネクタ17の出口端をCM注入器のコネクタプラグに接続する。スパイクされたそれぞれの容器からYコネクタに制御するために、各スパイク11とYコネクタ17の間に弁が設けてある。この弁により、CM又は生理食塩水が充填されている、スパイクされた上部又は下部の容器から、流体がCM注入器により選択的に取り出される。
【0043】
〔FMS−機能説明〕
〔中央電子制御システム〕
FMDのセンサや制御ユニットとの通信(以下に説明する。)には、独占的所有権で守られたソフトウェアを備えた中央電子制御システム(CECS)が使用される。CECSは、ユーザに情報を出力するために又はユーザの入力を受けるために、ユーザ装置インターフェイスに接続してもよい。特に、CECSは、すべてのチャンバの回転カルーセルと自動スパイクシステムと通信して駆動するように構成されている。CECSは、データ保存、許可された容器のデータストレージ手段と許可されたFTSとの間の一方向データ転送、および許可されたCM注入器との2方向データ転送を可能にする。
【0044】
〔予熱及び温度管理〕
FMDの各温度制御されたチャンバ内でCM容器を約摂氏37度に予熱することは、強制対流と内部温度制御システムを通じて行われる。すなわち、温度制御された各チャンバの大気温度は独立して制御される。この特徴により、CMを患者に注入する前にユーザがCM容器を暖める必要が無くなる。好適な実施例において、温度制御機構は、一日の始めに処置が始まる前に、改良された始動処理が自動的に開始するように構成される。
【0045】
〔CMと生理食塩水の保存〕
温度制御された各チャンバには5つのCM容器が収容されているので、FMDは複数の患者に対するほぼ丸一日の処置についてサービスを提供することができる。CM容器(また、生理食塩水容器)は、種々の大きさをとり得る。容器ホルダは、それと共に使用される容器の大きさに応じて決められる。好ましくは、500mlのCMが充填された4つの容器と100mlのCMが充填された一つの容器が、温度制御されたチャンバのそれぞれに設けられる。一日の作業の終わりに、または、CM容器の推奨使用時間を越える長時間治療における休止と休止の間では、小容量のCM容器を使用することにより、不要にCM流体を浪費することがなくなる。スパイク後のCM容器に残存するCM流体の耐用期間は限られる。既存のCMの場合、推奨されている使用時間は約10時間である。したがって、新たな500mlのCM容器がその日の最後の処置に使用された場合、残存流体は明朝までに廃棄されなければならない。CM流体の効率的な廃棄管理が可能である。温度管理されていない各チャンバに500mlの生理食塩水が充填された生理食塩水容器を保管することで、約半日分の処置量をまかなえる。
【0046】
CM又は生理食塩水が充填された複数の容器を保存しておくことで、ユーザは、一日中CM注入器に液体を常に補充する必要が無くなる。
【0047】
〔容器隔壁の自動スパイク〕
FMDがCMと生理食塩水をCM注入器に供給するためには、各容器の隔壁にFTSのスパイク11を挿入する。これを行うために、ユーザは、装着用及び取付用の機構(ガイドノッチ45、スライドレール55,ピン54,孔44)を介してFMD100のスパイクホルダ10にFTSのスパイク11を取り付ける必要がある。スパイクホルダ10は、容器隔壁に対してスパイク11が軸方向に良好に整列されるように設計されている。FMSが開始されると、チャンバには容器が補充され、温度制御チャンバが加熱され、中央電子制御システム(CECS)が自動スパイクシステム12と通信を行ってスパイク11を垂直上方に向けてスパイクホルダ10を駆動する。結果、スパイクが入口点を介して関連チャンバ、さらに容器隔壁に入る。これにより、シリコンゴムの蛇腹式シース43が押し潰され、スパイク上部42が容器隔壁に完全に入る。位置制御センサを用いて、CECSはスパイク11を所定距離だけ容器隔壁に押し込む。予め決められた距離に達すると、CECSは自動スパイクシステム12を停止し、スパイクホルダ10を容器隔壁に対する所定の垂直位置に保持する。
【0048】
スパイクされた各容器の流体レベル又は流体の量は、センサセンサで監視されてCECSにフィードバックされる。予め決められたレベル(「エンプティ」)まで容器が空になると、CECSは自動スパイクシステム12と通信を行い、スパイクホルダ10を垂直下方に向けて動かし、関連する容器からスパイクを外す。容器ホルダ8のこの位置は、CECSに「エンプティ」と記録される。容器のエンプティ/充満の状態を記録することで、CECSは、例えばユーザデバイスインターフェイスを介して、CMチャンバ内の最後の容器がスパイクされたとき、またはチャンバ内のすべての容器がエンプティになった時、ユーザに信号を送ることができる。
【0049】
FMDはまた、プッシュボタンを備えている。これにより、ユーザは、システムが別の容器をスパイクするのを阻止するために、自動スパイク機構を無効にすることができる。また、CM流体の廃棄を最小限にするために、ユーザは、一日の最後の処置のために小さなCM容器を手動で選択することができる。
【0050】
〔自由に回転するオプションを備えた、回転カルーセルの自動回転〕
温度制御された各チャンバ内における回転カルーセル回転自動化を採用し、新たなCM容器にアクセスしてスパイクするように、該新たなCM容器にインデックスを付ける。CECSは、回転カルーセルを所望の位置に回転(インデックス)する歯付きモータを駆動するために利用される。回転カルーセルの角度位置が位置センサとCECSで監視される。したがって、任意の時間で、CECSは各CM容器の場所を確認できる。これにより、特定のCM容器をスパイクするためには如何なる角度まで回転カルーセルを回転するかを決定できる。
【0051】
温度制御されたチャンバの扉をユーザが開けると、センサが起動してCECSに信号を送る。次に、CECSは、カルーセル駆動システムを遮断し(機械的、電気的、電子的、又はその他の手法により遮断し)、回転カルーセルが自動的に回転しないようにする。これにより、ユーザは回転カルーセルを自由に回転できるとともに、ユーザが容易に回転カルーセルを回転して各CM容器にできるだけ素早くアクセスできる手段を提供する。
【0052】
図11,12,13に示す実施例において、モータからの回転はモータギヤ2,アイドラーギヤ4を介してメインギヤ2に伝達される。アイドラーギヤ4は、ピボット回転するアタッチメント61の第1端部に取り付けられている。アタッチメント61の第2端部は、アイドラーピン6に移動可能に連結されている。アイドラーピン6は、温度制御されたチャンバの扉に連結されている。図12に示されるように、温度制御されたチャンバの扉が開くと、アイドラーピン6が扉と共に移動し、アタッチメント61が回転する。これにより、アイドラーギヤ4がモータギヤ3とメインギヤ2から外れる。
【0053】
〔容器とFTSの認識〕
FMDと共に使用される容器(所謂、承認された容器)にはRFIDタグ(又はその他のデータ保存手段)が取り付けてある。これにより、CECSは、RFIDリーダ(または、その他のデータ保存手段に対応したリーダ)を有する状態表示装置を通じて、何時、何処に容器が補充されたかを知ることができる。容器にRFIDタグが無ければ通信が行うことができないため、容器に問い合わせることで、CECSは容器が存在しないことを認識する。その場合、CECSは視覚的又は聴覚的なエラーフィードバックをユーザに送り、対応する容器の保管場所を閉鎖してスパイクできないようにする。これは、CM注入器に対する供給のために、適正な流体及び承認された容器だけがFMD内に保管されることを保証する、大切な安全上の特徴である。
【0054】
同様に、RFIDタグは、各FTSに取り付けられる。次に、CECSは各FTSと通信を行って、使用承認されていることを確認できる。
【0055】
また、FTSのスパイクが容器隔壁にスパイクされると、CECSは該FTSが使用されたものとして記録し、推奨スパイク使用時間である予め決められた時間のカウントを開始する。推奨スパイク使用時間(すなわち、24時間)が経過すると、視覚手段又は聴覚手段を通じて、CECSはエラー信号を発して、更なるFMSの使用が発生する前に、FTSを交換しなければならないことをユーザに警告する。
【0056】
〔流体データ〕
各容器のRFIDに記憶されたデータ(例えば、製造データ、流体処方等)は、RFIDリーダとCECSを通じて問い合わせることができるし、記憶することができる。このデータは、後に、CM注入器に送信されるか、移動記憶手段(すなわち、USBスティック)に記憶される。この特徴により、履歴管理(トレーサビィティ)が良くなる。
【0057】
〔閉鎖時間〕
CM容器がスパイクされると、CECSを通じて計測タイマが作動され、CM容器がスパイクされたことをCECSに記録する。CM容器に対する推奨使用時間が経過し、それぞれのCM容器がまだ「エンプティ」となっていない場合、CECSはそれぞれのCMをロックアウトし、自動スパイクシステムと交信してCM容器からスパイクを取り除く。CM容器のRFIDタグに記録された固有コードが使用済みとしてCECSに記録される、及び/又は、スパイクされた時に有効寿命を越えているとしてCECSに記録されるので、温度制御されたチャンバ内にあるCM容器をユーザが後に再利用したり、それに補充したりすることが防止される。
【0058】
〔ユーザ装置インターフェイス〕
実施例において、CM注入器に関連する情報(液体供給レベル、残留量、温度)は、CM注入器の主要ユーザインターフェイススクリーンに表示される。これは、FMDとCM注入器の間の直接的なデータ転送によって行われる。温度、どの容器がエンプティか、また、温度制御されたチャンバの推奨使用時間などの情報は、LEDを通じて表示されるか又はFMDのディスプレイスクリーンを通じて表示される。この特徴により、ユーザは、関連チャンバについて、FMD内の液レベルを直接監視できる。ユーザが視覚的に液レベルを見てどの容器に補充する必要があるかを確認するための二次的手段として、各チャンバドアに観察窓が設けられる。チャンバ内の容器がその時点でスパイクされていないことを条件に、ユーザはチャンバドアにアクセスして液を補充できる。温度制御されたチャンバのドアが開放されると、カルーセル駆動システムが解除され、ユーザが補充している間に回転カルーセルが自動的に動作するのを防止する。カルーセル駆動システムが解除されると、回転カルーセルは自由に回転できる。その結果、ユーザは、回転カルーセルを容易に回転し、素早く個々の容器にアクセスできる。温度制御されたチャンバのドアを閉じると、カルーセル駆動システムが再び係合し、自動的に回転カルーセルを駆動して使用できる。
【0059】
〔データ送信〕
FMSとCM注入器の間の双方向通信は、独自のソフトウェア通信プラットフォームを通じて行われる。これにより、ユーザは、CM注入器インターフェイスから直接に、FMDの複数機能を制御し観察できる。FMDとCMインジェクタの間のデータ転送は、限定的ではないが、以下のデータ転送方法を含む複数の転送手段を行うことができる。
・ワイヤケーブル−USB、LAN等
・ブルートゥース
・ワイヤレスネットワーク
【0060】
〔隔膜漏出防止〕
各温度制御されたチャンバの回転カルーセルの下と自動スパイクシステムの上に、手動で移動可能なドリップトレイ13が配置される。これにより、先にスパイクされたCM容器隔膜からのCM流体の漏れが、機械内で捕らえられる。
【0061】
本実施例で説明したFMSの実施形態では、CECSはFMD内での各容器の場所、それらがFMD内にどれほどの期間存在しているか、それらは以前にスパイクされたことがあるか否か、また、特定の容器の流体がその耐用期間を越えているか否か、を認識できる。これにより、原則的に、使用済み容器又は耐用期間が切れた容器をユーザが再びスパイクするといった安全上の問題が無くなる。
【0062】
[流体管理システムの第2実施例]
以下に説明する、第2実施例に係るFMSは、CMが充填された容器(CM容器)から又は生理食塩水が充填された容器(生理食塩水容器)から患者に注入するために、予め加熱された造影剤(CM)と予め加熱された生理食塩水をCM注入器に自動的に供給するように構成されている。
【0063】
図15と図16には、FMDの第2実施例が示されている。この実施例のFMD200は、シャーシフレームワークに取り付けられた、2つのチャンバ201,202を有する。両チャンバ201,202は、温度制御されている。各チャンバ201,202は、回転カルーセル205,206を収容している。各回転カルーセル205,206には、最大で5つのCM容器22と最大で5つの生理食塩水容器23を保持するために、各回転カルーセル205,206には5つの容器ホルダが設けてある。各チャンバ201,202は、蓋203,204を有し、上から載せられるように構成されている。両チャンバ202,202の間には、CECS用のハウジング215が、ディスプレイ217とプリンタ220と共に、シャーシフレームワークに設けてある。
【0064】
垂直方向に移動可能なスパイクホルダ210が、2つのチャンバ201、202のそれぞれの下に、シャーシフレームに対して垂直方向に設けてある。自動スパイクシステムは、各スパイクホルダ210がスパイクされる容器22,23の軸に対してスパイク211を軸方向に整列するように、配置されて方向付けされている。各スパイク211に接続されたチューブ219は、スパイクされた容器からCM注入器に流体を移送するように構成されている。
【0065】
本発明の第1実施例の機能的説明は、本発明の第2実施例にそのまま適用される。
【符号の説明】
【0066】
FMS:流体管理システム
FMD100:流体管理装置
FTS:流体移送システム
CM:造影剤
CECS:中央電子制御システム
1:天井アームアタッチメント
31:棒
5:温度制御されたチャンバ14のシャーシフレーム用のヒータ
2:主ギヤ
3:モータギヤ
4:アイドラーギヤ
5:アイドラーピン
61:アタッチメント
20a、20b:温度制御されたチャンバ
21a,21b:温度制御されていないチャンバ
22:CM容器
23:生理食塩水容器
24a,24b:温度制御されたチャンバのドア
25a,25b:温度制御されていないチャンバのドア
26:窓
27:カルーセル駆動シャフト
7:プレート(カルーセル)
18:プレート(生理食塩水ホルダ)
8:ワイヤ収容ラック
28:クリップ
13:ドリップトレイ
15:上部チャンバスパイクのチューブ
16:下部チャンバスパイクのチューブ
17:Yコネクタ
18:CM注入器のチューブ
9:リニアスライド
10:スパイクホルダ
11:スパイク
12:自動スパイクシステム
43:スパイク用シース
41:ベース
42:上部
44:孔
45:ガイドノッチ
54:ピン
55:スライドレール
200:FMD(第2実施例)
201:第1の温度制御されたチャンバ
202:第2の温度制御されたチャンバ
203:第1の温度制御されたチャンバの蓋
204:第2の温度制御されたチャンバの蓋
210:スパイクホルダ
211:スパイク
215:CECS用ハウジング
217:ディスプレイ
220:プリンタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、概略、複数の服用容器から患者に流体を投与する流体管理システムとその方法に関する。本発明に係る流体管理システムは、注入流体を患者に自動的に供給するように構成されている。
【背景技術】
【0002】
多くの医療環境において、診断中又は治療中に医療流体が患者に注入される。一つの例が、コンピュータ断層撮影、血管造影、磁気共鳴(MR)、又は超音波画像診断などの診断撮像法による撮像を改善するために、動力式流体注入システムを用いて患者に造影剤を注入ことである。
【0003】
上述の処置を行うために利用される種々の手動注入装置及び自動注入装置が業界で知られている。国際特許出願WO2004/091688A2号又は国際特許出願WO2007/033103A1に開示されたシステムでは、注入流体が取り出される容器は手動で準備される、すなわち、手動でスパイクされてスパイク後に取り出し位置に手動で設置される。
【0004】
多回投与容器から造影剤を準備し、取扱い、投与する一般的な方法は、以下の通りである。通常は診断画像装置の近くに配置されたヒータを用いて、造影剤を含む多回投与容器を使用前に予め暖める。ヒータの温度は通常体温の摂氏37度に設定される。次に、造影剤を含む容器は、技術者によってヒータから取り除かれる。プラスチックの安全キャップが多回投与容器かの端部から取り除かれ、ゴムシールが露出される。注入ラインに造影剤を供給するために、技術者により、通気スパイクが造影剤注入器に接続され、手動で多回投与容器のゴムシールに押し込まれる。
【0005】
雑菌混入の理由から、スパイクは約6〜8時間ごとに交換しなければならない。次に、多回投与容器は、容器首端部を下方に向けて、IVポールに垂直に吊り下げられた容器ホルダに収容される。以後、一つの生理食塩水について上述の工程が繰り返される。続いて、技術者は、必要な造影剤と生理食塩水を多回投与容器から注入器用ユーザインターフェイスを介して注入容器に取り出す。カニューレ接続部を備えた新たな患者用接続チューブからの保護パッケージが取り除かれる。注入器用患者供給ラインの接続部を塞ぐために使用されているキャップが手で取り除かれる。
【0006】
患者接続チューブと患者供給ラインがカニューレ接続部を介して接続される。次に、技術者が手動で注入器を作動して生理食塩水と造影剤を小容器に送り込むことにより、空気がチューブから排出される。技術者は、目視でチューブを観察してラインがパージされたことを確認した後、注入器ポンプを停止する。新たなカニューレ接続部からのこん包が取り除かれ、接続部が患者チューブの端部に取り付けられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の手動操作は費用がかかり非常に非効率的である。したがって、本発明の目的は高度に自動化することである。WO2008/076631A2に記載の多回投与注入装置は、多少自動化されたものを示す。
【0008】
しかし、単なる自動化は別の問題を生じる。多回投与容器に関して、推奨の使用時間を越えて容器が使用されること、または、以前にスパイク解除された容器を再使用することは、常に問題である。
【0009】
したがって、安全で効率的に使用できる流体管理システムが望まれている。特に、流体容器と流体の取り出しを正確に制御できるシステムが望まれている。また、容器の全使用期間に亘って流体供給が汚染無く行われることが大事である。
【0010】
また、種々の流体(造影剤、生理食塩水、フラッシング流体)及び種々の容器サイズを使用できる流体管理システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上より、本発明の目的は、従来の流体注入作業に纏わる問題を欠点を解消する流体管理システム(FMS)を提供することを目的とする。
【0012】
本発明に係るFMSは、患者に注入液を自動的に供給するように構成されている。本発明に係るFMSは、流体管理装置(FMD)、流体移送システム(FTS)、および注入器を有する。
【0013】
FMDは、多回投与容器に流体を貯蔵して投与するためのものである。ただし、FMDは、一回投与容器に流体を貯蔵して投与するものも可能である。「容器」の用語は、少なくともボトル、ポーチ(小袋)、バッグ、カートリッジ、カプセルを含むものと理解すべきである。FTSは、FMD内に保管された容器の出口を注入器に接続する。注入器は、流体をFTSを介して容器から取り出し、該流体を患者管理装置に入れる。注入器は、少なくとも一つのポンプを有し、所定量の流体を所定の流速で注入するようにプログラムされる。
【0014】
FMDは、垂直回転軸を有する少なくとも一つの回転カルーセルと、前記回転カルーセルに取り付けられた少なくとも2つの容器ホルダを有する。前記容器ホルダは、容器首部の開口端部を下方に向けた状態で容器を垂直に位置させるように構成されている。FMDはさらに、前記回転カルーセルの下に設けられたスパイクホルダを有する。スパイクホルダは、スパイクホルダに接続されたスパイクを、容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある容器の軸に整列させるように向けられる。
【0015】
一つの実施例では、FMDは、2つの回転カルーセルを有する。他の実施例では、FMDは、一つ又はそれ以上、好ましくは2つの容器ホルダ(回転カルーセルに取り付けられていない容器ホルダ)を有する。
【0016】
好ましくは、各回転カルーセルは個々のチャンバに設けられており、回転カルーセルに取り付けられていない各容器ホルダも個々のチャンバに設けられている。実施例では、FMDは、一つ又は複数のチャンバが設けられるシャーシフレームワークを有する。
【0017】
好ましくは、回転カルーセルは、回転軸に配置されたカルーセル駆動シャフトを有する。
【0018】
容器ホルダが垂直に設けられる駆動シャフトにはプレートが取り付けられる。
【0019】
一実施例では、最大で10個までの容器ホルダが回転カルーセルに取り付けられる。好ましくは、5個の容器ホルダが、回転カルーセルに取り付けられる。同一の回転カルーセルに取り付けられるすべての容器ホルダは、同じ大きさの容器を保持するように構成されている。代わりに、幾つかの容器ホルダは、他の容器ホルダとは異なる大きさの容器を保持するように構成されている。好ましくは、一つの容器ホルダは、他の容器よりも小さな大きさの容器を保持するように構成されている。
【0020】
好ましくは、容器ホルダは、回転軸を中心とする円上に等間隔に配置されている。
【0021】
少なくとも一つのチャンバ、好ましくは回転カルーセルを有するチャンバは、温度制御されている。
【0022】
好ましくは、各チャンバは、個々にヒンジされた蓋又はドアをあけることによってアクセスできる。そのような蓋又はドアは、透明であるか、又は、各チャンバの内容物を視覚的に観察する窓を含む。
【0023】
FMDは、各回転カルーセルに対して、モータを有するカルーセル駆動システムと、前記モータの軸から回転カルーセルのシャフトに回転を伝える手段を有する。好ましくは、FMDは、回転カルーセルを収容するチャンバの蓋又はドアが開放されたときに回転カルーセルのシャフトを前記モータの軸から分離する手段を有する。
【0024】
各スパイクホルダは、直線スライドに移動可能に設けられており、スパイクホルダは垂直方向にスライドできるようになっている。FMDはさらに、各スパイクホルダについて、自動スパイクシステムを有する。自動スパイクシステムは、モータと、直線スライドに設けられたスパイクホルダを移動するための手段を有する。
【0025】
FMDはさらに、カルーセル駆動システムを制御する中央電子制御システム(CECS)と、自動スパイクシステムを有する。また、CECSは、以下の装置に接続されており、それらの装置を監視/制御するようにしてある。
a.ディスプレイ等の情報出力装置
b.タッチスクリーン又はキーボード等のユーザ入力装置
c.温度制御されたチャンバの温度
d.流体レベルセンサ
e.スパイク用の位置制御センサ
f.回転カルーセル用の位置制御センサ
g.FTSチューブに設けたバルブ
h.CM注入器との通信用の2方向データ移送システム、及び/又はコンピュータネットワーク
i.容器又は流体移送システム(FTS)に設けたデータストレージからデータを読み取るリーダ等の1方向データ移送システム
j.データストレージ
【0026】
流体移送システムは、少なくとも2つの第1端部を有し、前記第1端部はそれぞれスパイクに接続されており、少なくとも2つの第2端部を有し、前記第2端部はそれぞれ第1端部に対応している、第1の移送チューブと;少なくとも2つの入力開口と一つの出口開口を有し、前記移送チューブの前記第2端部が前記入力開口に接続されているマニホールドと;第1の移送チューブの第1端部と第2端部の間に設けられたバルブを有する。前記バルブにより、流体は、スパイクされた容器の一つから選択的に取り出される。
【0027】
前記第2の移送チューブの第2端部は注入器に接続されるように構成することができる。
【0028】
前記流体移送システムはさらに、流体移送システムの一意識別子を保管するデータ保管手段を備えている。一意識別子を読むにあたって、CECSは特定の流体移送システムの使用を記録し、スパイクの最大使用時間に達したときは、情報出力装置を介してユーザに警告することができる。
【0029】
前記スパイクのベースは、FMDのスパイクホルダで、前記スパイクを対応する設置アタッチメント手段に接続する設置アタッチメント手段を含む。スパイクの上部は、容器隔壁に入るように構成されている。スパイクを通じて簡単に流体を簡単に取り出すためには、孔付きスパイクが好ましい。前記スパイクは、汚染を防止するために、シースで覆ってもよい。
【0030】
本発明はさらに、患者に注入用流体を自動的に供給する方法に関し、
流体管理装置を提供する工程であって、前記流体管理装置は、流体を収容する少なくとも一つの容器を該容器の首部の開口端部を下方に向けた垂直状態で収容するように構成されており、前記容器はスパイクホルダを有し、前記スパイクホルダは該スパイクホルダに接続されたスパイクを前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある前記容器の軸に整列させるように設けられて接続されているものと、
流体移送システムを提供する工程であって、前記流体移送システムは移送チューブを有し、前記移送チューブはスパイクに接続された第1端部と注入器に接続されるように構成された第2端部を有するものと、
少なくとも一つの容器を該容器の首部の開口端部を下方に向けた状態で前記流体管理装置に搭載する工程であって、前記首部の前記開口端部は隔壁によって覆われているものと、
前記スパイクを前記スパイクホルダに取り付けるとともに前記移送チューブの第2端部を注入器に取り付け工程と、
前記隔壁に前記スパイクを侵入させる工程と、
前記容器から流体を取り出す工程を含む。
【0031】
前記方法はさらに、前記容器の隔壁から前記スパイクを引き抜く工程を有する。前記スパイクを前記隔壁から引き抜く工程は、スパイクされた前記容器が空であるか又は前記容器の最大使用時間に達したか若しくは前記スパイクの最大使用時間に達したかときに起動される信号に応答して行われる。そのような最大使用時間は、流体管理装置の中央電子制御システム(CECS)に接続されたタイマで記録される。スパイクされた容器の流体レベル/体積は、流体レベル/体積センサを介して、CECSで監視できる。
【0032】
他の実施例では、少なくとも2つの容器が流体管理装置に搭載される。流体管理装置はさらに、各容器を前記スパイクホルダに軸整列させて配置する手段を有する。この方法はさらに、第2の容器をスパイクホルダと軸整列する位置に移動する工程と、前記第2の容器の隔壁にスパイクを侵入させて前記第2の容器から流体を取り出す工程を有する。
【0033】
以下に説明する実施例の特徴は特許請求の範囲の請求項に具体的に記載されている。しかし、構造と動作方法に関する実施例は、同一部分は同一符号で特定した以下の説明と添付の図面を参照することによって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、流体管理装置の斜視図。
【図2】図2は、流体管理装置の別の斜視図。
【図3】図3は、流体管理装置の内側の正面図。
【図4】図4は、流体管理装置の内側の斜視図。
【図5】図5は、スパイクの斜視図。
【図6】図6は、シースを備えたスパイクの斜視図。
【図7】図7は、スパイクホルダの斜視図。
【図8】図8は、スパイクホルダの上面図。
【図9】図9は、スパイクされた容器とスパイクシステムの斜視図。
【図10】図10は、スパイクされた容器とスパイクシステムの図。
【図11】図11は、流体管理装置の上面図。
【図12】図12は、流体管理装置の別の上面図。
【図13】図13は、回転カルーセルの斜視図。
【図14】図14は、容器が取り付けられた回転カルーセルの斜視図。
【図15】図15は、流体管理装置の第2実施例の斜視図。
【図16】図16は、流体管理装置の第2実施例の別の斜視図。
【発明の詳細な説明】
【0035】
[流体管理システムの第1実施例]
以下に説明する第1実施例の流体管理システムは、予熱された造影剤(CM)と予熱されていない生理食塩水を造影剤が充填された容器(CM容器)又は生理食塩水が充填された容器(生理食塩水容器)から患者注入用CM注入器に自動的に供給するように構成されている。
【0036】
実施例によれば、図1〜図4に示す流体管理装置(FMD)は、4つの別々のチャンバ(部屋)20a、20b、21a、21bを有する。チャンバ20a、20bは、温度制御されており、CM容器22を収容するように構成されている。チャンバ20a,20bは、垂直方向に積層して配置されており、シャーシフレームワーク14に設けられている。チャンバ21a,21bは、温度制御されておらず、生理食塩水容器を収容するものである。チャンバ21a,12b垂直方向に積層して配置されており、温度制御されたチャンバ20a、20bに隣接して、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。FMD100は、プラスチックの成型体に収容されており、内部構成部品が周辺環境から遮断されている。各チャンバ20a,20b,21a,21bは、各チャンバの内容物を視覚的に観察するための透明観察窓を備えた個々のヒンジドア24a,24b,25a,25bを開けてアクセスできる。中央電子制御システム(CECS)(図示せず)は、2つの垂直方向に向けて設けられた温度制御付きチャンバ20a,20bの間で、FMDの中央に配置され、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。
【0037】
図13と図14に詳細に示す回転カルーセル(回転台)は、各温度制御室20a、20b内に固定されており、カルーセル駆動シャフト27が垂直に配置されている。カルーセル駆動シャフト27は、軸方向に向けて軸受に設けられており、軸受はシャーシフレームワーク(骨組み)14に固定して設けられている。カルーセル駆動システムは、中央電子制御システム(CECS)介して回転カルーセルを回転できるように設けられて配置されている。カルーセル駆動システムは、モータ、減速歯車箱、補助駆動装置(スプールギヤ、ベルト等)を備えており、補助駆動装置の主要ギヤ2,モータギヤ3,アイドラーギヤ4が図4,11,12に示してある。
【0038】
温度制御された各チャンバ20a,20bの中には5つのCM容器22(図13,図14に詳細に示す。)のそれぞれの容器ホルダが設けてあり、CM容器が自動スパイクシステムのスパイクホルダ10と軸方向に正しく整列するように該CM容器を配置し、方向付け、固定している。各CM容器ホルダは、カルーセル駆動シャフト27を中心とする円上で隣接するCM容器ホルダから等間隔に配置され、プレート7に垂直に設けられている。プレート7は、カルーセル駆動シャフト27に取り付けてある。各容器ホルダは、2つのクリップ28と一つのワイヤ容器ラック8を有する。
【0039】
温度制御されていない各チャンバ21a、21bの中には容器ホルダが設けてあり、生理食塩水容器23が自動スパイクシステム(例えば図4)のスパイクホルダ10と軸方向に正しく整列するように該生理食塩水容器23を位置付けて方向付けて固定している。容器ホルダはプレート18に垂直方向に取り付けられており、プレート18はシャーシフレームワーク14に取り付けられている。各容器ホルダは、2つのクリップ28と一つのワイヤ容器ラック8を有する。
【0040】
図9と図10に詳細に示す自動化スパイクシステムは、スパイクホルダ10と、スパイクホルダ10のためのリニアスライド9と、モータ、減速歯車箱、リードねじを含むスパイク駆動システム12を有する。スパイクホルダ10を有するリニアスライド9は、4つのチャンバ20a,20b,21a,21bのそれぞれの下で、シャーシフレームワーク14に垂直に設けてある。上述の自動スパイクシステムは、スパイクホルダ10がスパイク11をスパイクされる容器22,23の軸に対して軸方向に整列するように配置されて方向付けられている。
【0041】
棒31は、FMD100が天井取付アーム1に取り付けられるように、シャーシフレームワーク14に取り付けられている。
【0042】
図1と図4に示す流体移動システム(FTS)は、各チャンバについて、チャンバ下でスパイクホルダ10に入れられるように構成されたスパイク11を含む。図5と図6に示すスパイク11は、基部41と上部10を有する。スパイク11は、通気孔付きスパイクである。基部41は、スパイクホルダ10(図7,8参照)のスライドレール55に対応して保持するように構成された2つのガイドノッチ45を両側に有する。基部の孔44は、スパイク11がスパイクホルダ10に入れられたときに、スパイクホルダ10のピン54をマウントするように構成されている。好ましくは、スパイク11は、使用前に汚染されるのを防止するためのシース43を有する。FTSはさらに、各スパイク11に接続され、流体をスパイクされた容器からCM注入器(図1と図4を参照)に移すための管15,16を有する。温度制御された上部のチャンバ20aのスパイク11の管15と温度制御された下部のチャンバ20bのスパイク11の管16との間にYコネクタ17が設けてある。温度制御されていない上部のチャンバ21aのスパイク11の管15と温度制御されていない下部のチャンバ21bのスパイク11の管16との間にYコネクタ17が設けてある。管18は、Yコネクタ17の出口端をCM注入器のコネクタプラグに接続する。スパイクされたそれぞれの容器からYコネクタに制御するために、各スパイク11とYコネクタ17の間に弁が設けてある。この弁により、CM又は生理食塩水が充填されている、スパイクされた上部又は下部の容器から、流体がCM注入器により選択的に取り出される。
【0043】
〔FMS−機能説明〕
〔中央電子制御システム〕
FMDのセンサや制御ユニットとの通信(以下に説明する。)には、独占的所有権で守られたソフトウェアを備えた中央電子制御システム(CECS)が使用される。CECSは、ユーザに情報を出力するために又はユーザの入力を受けるために、ユーザ装置インターフェイスに接続してもよい。特に、CECSは、すべてのチャンバの回転カルーセルと自動スパイクシステムと通信して駆動するように構成されている。CECSは、データ保存、許可された容器のデータストレージ手段と許可されたFTSとの間の一方向データ転送、および許可されたCM注入器との2方向データ転送を可能にする。
【0044】
〔予熱及び温度管理〕
FMDの各温度制御されたチャンバ内でCM容器を約摂氏37度に予熱することは、強制対流と内部温度制御システムを通じて行われる。すなわち、温度制御された各チャンバの大気温度は独立して制御される。この特徴により、CMを患者に注入する前にユーザがCM容器を暖める必要が無くなる。好適な実施例において、温度制御機構は、一日の始めに処置が始まる前に、改良された始動処理が自動的に開始するように構成される。
【0045】
〔CMと生理食塩水の保存〕
温度制御された各チャンバには5つのCM容器が収容されているので、FMDは複数の患者に対するほぼ丸一日の処置についてサービスを提供することができる。CM容器(また、生理食塩水容器)は、種々の大きさをとり得る。容器ホルダは、それと共に使用される容器の大きさに応じて決められる。好ましくは、500mlのCMが充填された4つの容器と100mlのCMが充填された一つの容器が、温度制御されたチャンバのそれぞれに設けられる。一日の作業の終わりに、または、CM容器の推奨使用時間を越える長時間治療における休止と休止の間では、小容量のCM容器を使用することにより、不要にCM流体を浪費することがなくなる。スパイク後のCM容器に残存するCM流体の耐用期間は限られる。既存のCMの場合、推奨されている使用時間は約10時間である。したがって、新たな500mlのCM容器がその日の最後の処置に使用された場合、残存流体は明朝までに廃棄されなければならない。CM流体の効率的な廃棄管理が可能である。温度管理されていない各チャンバに500mlの生理食塩水が充填された生理食塩水容器を保管することで、約半日分の処置量をまかなえる。
【0046】
CM又は生理食塩水が充填された複数の容器を保存しておくことで、ユーザは、一日中CM注入器に液体を常に補充する必要が無くなる。
【0047】
〔容器隔壁の自動スパイク〕
FMDがCMと生理食塩水をCM注入器に供給するためには、各容器の隔壁にFTSのスパイク11を挿入する。これを行うために、ユーザは、装着用及び取付用の機構(ガイドノッチ45、スライドレール55,ピン54,孔44)を介してFMD100のスパイクホルダ10にFTSのスパイク11を取り付ける必要がある。スパイクホルダ10は、容器隔壁に対してスパイク11が軸方向に良好に整列されるように設計されている。FMSが開始されると、チャンバには容器が補充され、温度制御チャンバが加熱され、中央電子制御システム(CECS)が自動スパイクシステム12と通信を行ってスパイク11を垂直上方に向けてスパイクホルダ10を駆動する。結果、スパイクが入口点を介して関連チャンバ、さらに容器隔壁に入る。これにより、シリコンゴムの蛇腹式シース43が押し潰され、スパイク上部42が容器隔壁に完全に入る。位置制御センサを用いて、CECSはスパイク11を所定距離だけ容器隔壁に押し込む。予め決められた距離に達すると、CECSは自動スパイクシステム12を停止し、スパイクホルダ10を容器隔壁に対する所定の垂直位置に保持する。
【0048】
スパイクされた各容器の流体レベル又は流体の量は、センサセンサで監視されてCECSにフィードバックされる。予め決められたレベル(「エンプティ」)まで容器が空になると、CECSは自動スパイクシステム12と通信を行い、スパイクホルダ10を垂直下方に向けて動かし、関連する容器からスパイクを外す。容器ホルダ8のこの位置は、CECSに「エンプティ」と記録される。容器のエンプティ/充満の状態を記録することで、CECSは、例えばユーザデバイスインターフェイスを介して、CMチャンバ内の最後の容器がスパイクされたとき、またはチャンバ内のすべての容器がエンプティになった時、ユーザに信号を送ることができる。
【0049】
FMDはまた、プッシュボタンを備えている。これにより、ユーザは、システムが別の容器をスパイクするのを阻止するために、自動スパイク機構を無効にすることができる。また、CM流体の廃棄を最小限にするために、ユーザは、一日の最後の処置のために小さなCM容器を手動で選択することができる。
【0050】
〔自由に回転するオプションを備えた、回転カルーセルの自動回転〕
温度制御された各チャンバ内における回転カルーセル回転自動化を採用し、新たなCM容器にアクセスしてスパイクするように、該新たなCM容器にインデックスを付ける。CECSは、回転カルーセルを所望の位置に回転(インデックス)する歯付きモータを駆動するために利用される。回転カルーセルの角度位置が位置センサとCECSで監視される。したがって、任意の時間で、CECSは各CM容器の場所を確認できる。これにより、特定のCM容器をスパイクするためには如何なる角度まで回転カルーセルを回転するかを決定できる。
【0051】
温度制御されたチャンバの扉をユーザが開けると、センサが起動してCECSに信号を送る。次に、CECSは、カルーセル駆動システムを遮断し(機械的、電気的、電子的、又はその他の手法により遮断し)、回転カルーセルが自動的に回転しないようにする。これにより、ユーザは回転カルーセルを自由に回転できるとともに、ユーザが容易に回転カルーセルを回転して各CM容器にできるだけ素早くアクセスできる手段を提供する。
【0052】
図11,12,13に示す実施例において、モータからの回転はモータギヤ2,アイドラーギヤ4を介してメインギヤ2に伝達される。アイドラーギヤ4は、ピボット回転するアタッチメント61の第1端部に取り付けられている。アタッチメント61の第2端部は、アイドラーピン6に移動可能に連結されている。アイドラーピン6は、温度制御されたチャンバの扉に連結されている。図12に示されるように、温度制御されたチャンバの扉が開くと、アイドラーピン6が扉と共に移動し、アタッチメント61が回転する。これにより、アイドラーギヤ4がモータギヤ3とメインギヤ2から外れる。
【0053】
〔容器とFTSの認識〕
FMDと共に使用される容器(所謂、承認された容器)にはRFIDタグ(又はその他のデータ保存手段)が取り付けてある。これにより、CECSは、RFIDリーダ(または、その他のデータ保存手段に対応したリーダ)を有する状態表示装置を通じて、何時、何処に容器が補充されたかを知ることができる。容器にRFIDタグが無ければ通信が行うことができないため、容器に問い合わせることで、CECSは容器が存在しないことを認識する。その場合、CECSは視覚的又は聴覚的なエラーフィードバックをユーザに送り、対応する容器の保管場所を閉鎖してスパイクできないようにする。これは、CM注入器に対する供給のために、適正な流体及び承認された容器だけがFMD内に保管されることを保証する、大切な安全上の特徴である。
【0054】
同様に、RFIDタグは、各FTSに取り付けられる。次に、CECSは各FTSと通信を行って、使用承認されていることを確認できる。
【0055】
また、FTSのスパイクが容器隔壁にスパイクされると、CECSは該FTSが使用されたものとして記録し、推奨スパイク使用時間である予め決められた時間のカウントを開始する。推奨スパイク使用時間(すなわち、24時間)が経過すると、視覚手段又は聴覚手段を通じて、CECSはエラー信号を発して、更なるFMSの使用が発生する前に、FTSを交換しなければならないことをユーザに警告する。
【0056】
〔流体データ〕
各容器のRFIDに記憶されたデータ(例えば、製造データ、流体処方等)は、RFIDリーダとCECSを通じて問い合わせることができるし、記憶することができる。このデータは、後に、CM注入器に送信されるか、移動記憶手段(すなわち、USBスティック)に記憶される。この特徴により、履歴管理(トレーサビィティ)が良くなる。
【0057】
〔閉鎖時間〕
CM容器がスパイクされると、CECSを通じて計測タイマが作動され、CM容器がスパイクされたことをCECSに記録する。CM容器に対する推奨使用時間が経過し、それぞれのCM容器がまだ「エンプティ」となっていない場合、CECSはそれぞれのCMをロックアウトし、自動スパイクシステムと交信してCM容器からスパイクを取り除く。CM容器のRFIDタグに記録された固有コードが使用済みとしてCECSに記録される、及び/又は、スパイクされた時に有効寿命を越えているとしてCECSに記録されるので、温度制御されたチャンバ内にあるCM容器をユーザが後に再利用したり、それに補充したりすることが防止される。
【0058】
〔ユーザ装置インターフェイス〕
実施例において、CM注入器に関連する情報(液体供給レベル、残留量、温度)は、CM注入器の主要ユーザインターフェイススクリーンに表示される。これは、FMDとCM注入器の間の直接的なデータ転送によって行われる。温度、どの容器がエンプティか、また、温度制御されたチャンバの推奨使用時間などの情報は、LEDを通じて表示されるか又はFMDのディスプレイスクリーンを通じて表示される。この特徴により、ユーザは、関連チャンバについて、FMD内の液レベルを直接監視できる。ユーザが視覚的に液レベルを見てどの容器に補充する必要があるかを確認するための二次的手段として、各チャンバドアに観察窓が設けられる。チャンバ内の容器がその時点でスパイクされていないことを条件に、ユーザはチャンバドアにアクセスして液を補充できる。温度制御されたチャンバのドアが開放されると、カルーセル駆動システムが解除され、ユーザが補充している間に回転カルーセルが自動的に動作するのを防止する。カルーセル駆動システムが解除されると、回転カルーセルは自由に回転できる。その結果、ユーザは、回転カルーセルを容易に回転し、素早く個々の容器にアクセスできる。温度制御されたチャンバのドアを閉じると、カルーセル駆動システムが再び係合し、自動的に回転カルーセルを駆動して使用できる。
【0059】
〔データ送信〕
FMSとCM注入器の間の双方向通信は、独自のソフトウェア通信プラットフォームを通じて行われる。これにより、ユーザは、CM注入器インターフェイスから直接に、FMDの複数機能を制御し観察できる。FMDとCMインジェクタの間のデータ転送は、限定的ではないが、以下のデータ転送方法を含む複数の転送手段を行うことができる。
・ワイヤケーブル−USB、LAN等
・ブルートゥース
・ワイヤレスネットワーク
【0060】
〔隔膜漏出防止〕
各温度制御されたチャンバの回転カルーセルの下と自動スパイクシステムの上に、手動で移動可能なドリップトレイ13が配置される。これにより、先にスパイクされたCM容器隔膜からのCM流体の漏れが、機械内で捕らえられる。
【0061】
本実施例で説明したFMSの実施形態では、CECSはFMD内での各容器の場所、それらがFMD内にどれほどの期間存在しているか、それらは以前にスパイクされたことがあるか否か、また、特定の容器の流体がその耐用期間を越えているか否か、を認識できる。これにより、原則的に、使用済み容器又は耐用期間が切れた容器をユーザが再びスパイクするといった安全上の問題が無くなる。
【0062】
[流体管理システムの第2実施例]
以下に説明する、第2実施例に係るFMSは、CMが充填された容器(CM容器)から又は生理食塩水が充填された容器(生理食塩水容器)から患者に注入するために、予め加熱された造影剤(CM)と予め加熱された生理食塩水をCM注入器に自動的に供給するように構成されている。
【0063】
図15と図16には、FMDの第2実施例が示されている。この実施例のFMD200は、シャーシフレームワークに取り付けられた、2つのチャンバ201,202を有する。両チャンバ201,202は、温度制御されている。各チャンバ201,202は、回転カルーセル205,206を収容している。各回転カルーセル205,206には、最大で5つのCM容器22と最大で5つの生理食塩水容器23を保持するために、各回転カルーセル205,206には5つの容器ホルダが設けてある。各チャンバ201,202は、蓋203,204を有し、上から載せられるように構成されている。両チャンバ202,202の間には、CECS用のハウジング215が、ディスプレイ217とプリンタ220と共に、シャーシフレームワークに設けてある。
【0064】
垂直方向に移動可能なスパイクホルダ210が、2つのチャンバ201、202のそれぞれの下に、シャーシフレームに対して垂直方向に設けてある。自動スパイクシステムは、各スパイクホルダ210がスパイクされる容器22,23の軸に対してスパイク211を軸方向に整列するように、配置されて方向付けされている。各スパイク211に接続されたチューブ219は、スパイクされた容器からCM注入器に流体を移送するように構成されている。
【0065】
本発明の第1実施例の機能的説明は、本発明の第2実施例にそのまま適用される。
【符号の説明】
【0066】
FMS:流体管理システム
FMD100:流体管理装置
FTS:流体移送システム
CM:造影剤
CECS:中央電子制御システム
1:天井アームアタッチメント
31:棒
5:温度制御されたチャンバ14のシャーシフレーム用のヒータ
2:主ギヤ
3:モータギヤ
4:アイドラーギヤ
5:アイドラーピン
61:アタッチメント
20a、20b:温度制御されたチャンバ
21a,21b:温度制御されていないチャンバ
22:CM容器
23:生理食塩水容器
24a,24b:温度制御されたチャンバのドア
25a,25b:温度制御されていないチャンバのドア
26:窓
27:カルーセル駆動シャフト
7:プレート(カルーセル)
18:プレート(生理食塩水ホルダ)
8:ワイヤ収容ラック
28:クリップ
13:ドリップトレイ
15:上部チャンバスパイクのチューブ
16:下部チャンバスパイクのチューブ
17:Yコネクタ
18:CM注入器のチューブ
9:リニアスライド
10:スパイクホルダ
11:スパイク
12:自動スパイクシステム
43:スパイク用シース
41:ベース
42:上部
44:孔
45:ガイドノッチ
54:ピン
55:スライドレール
200:FMD(第2実施例)
201:第1の温度制御されたチャンバ
202:第2の温度制御されたチャンバ
203:第1の温度制御されたチャンバの蓋
204:第2の温度制御されたチャンバの蓋
210:スパイクホルダ
211:スパイク
215:CECS用ハウジング
217:ディスプレイ
220:プリンタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入用流体を患者に自動的に供給する流体管理装置(100)であって、
垂直回転軸を有する少なくとも一つの回転カルーセルと、
前記回転カルーセルに取り付けられるとともに、首部の開放端を下方に向けた状態で容器(22,23)を垂直に配置するように構成された、少なくとも2つの容器ホルダと、
スパイクホルダ(10)であって、前記回転カルーセルの下に設けられ、該スパイクホルダ(10)が前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある容器(22,23)の軸に、スパイク(11)を軸方向に整列させるように向けられている、スパイクホルダ(10)を備えた、流体管理装置。
【請求項2】
2つの回転カルーセルを備えた、請求項1の流体管理装置(100)。
【請求項3】
前記回転カルーセルに取り付けられていない、一つ又は複数、好ましくは2つの容器ホルダを備えた、請求項1又は2の流体管理装置(100)。
【請求項4】
2つの回転カルーセルと、前記回転カルーセルに取り付けられていない2つの容器ホルダを備えた、請求項1の流体管理装置(100)。
【請求項5】
最大で10個、好ましくは5個の容器ホルダが前記回転カルーセルに取り付けられている、請求項1〜4のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項6】
前記回転カルーセルに取り付けられたすべての容器ホルダが同一の大きさの容器(22,23)を保持するように構成されているか、いくつかの容器ホルダが他の容器ホルダとは異なる大きさの容器(22,23)を保持するように構成されている、請求項1〜5のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項7】
一つの容器ホルダが他の容器よりも小さな大きさの容器(22,23)を保持するように構成されている、請求項6の流体管理装置(100)。
【請求項8】
各回転カルーセルが個々のチャンバ(20a,20b)に設けられている、請求項1〜7のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項9】
前記回転カルーセルに取り付けられていない各容器ホルダが別々のチャンバ(21a、21b)に設けられている、請求項3又は4の流体管理装置(100)。
【請求項10】
すべてのチャンバ(20a,20b,21a,21b)がシャーシフレームワーク(14)に設けられている、請求項8又は9の流体管理装置(100)。
【請求項11】
前記チャンバ(20a,20b,21a,21b)の少なくとも一つが温度制御されている、請求項8〜10のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項12】
各チャンバ(20a,20b,21a,21b)は、個別のヒンジされた蓋又はドア(24a,24b,25a,25b)をあけることによってアクセスできる、請求項8〜11のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項13】
前記スパイクホルダ(10)は、リニアスライダ(9)に移動可能に設けられており、前記スパイクホルダ(10)が垂直方向にスライドできる、請求項1〜12のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項14】
前記回転カルーセルの回転と前記スパイクホルダ(10)の移動を制御するように構成された中央電子制御システムを備えている、請求項13の流体管理装置(100)。
【請求項15】
それぞれがスパイク(11)に接続された少なくとも2つの第1の端部と、それぞれが前記第1の端部に対応する少なくとも2つの第2の端部を有する第1の移送チューブ(15,16)と、
2つの入口開口と一つの出口開口を少なくとも有し、前記移送チューブ(15,16)の前記第2の端部が前記入口開口に接続されているマニホールド(17)と、
第1の端部で前記マニホールド(17)の前記出口開口に接続された第2の移送チューブ(18)と、
前記第1の移送チューブの第1の端部と第2の端部の間にそれぞれ設けられたバルブを備えた流体移送システム。
【請求項16】
前記第2の移送チューブ(18)の前記第2の端部が注入器に接続されるように構成されている、請求項15の流体移送システム。
【請求項17】
前記スパイク(10)は通気孔付きスパイクである、請求項15又は16の流体移送システム。
【請求項18】
前記スパイク(10)はシース(43)で覆われている、請求項15〜17のいずれかの流体移送システム。
【請求項19】
前記流体移送システムはさらに、流体移送システムの一意識別子を保管するデータ保管手段を備えている、請求項15〜18のいずれかの流体移送システム。
【請求項20】
患者に注入液を自動的に供給する流体管理システムであって、請求項1〜14のいずれかの流体管理装置(100)と、請求項15〜19のいずれかの流体移送システムと、流体注入器を備えた流体管理システム。
【請求項21】
患者に注入液を自動的に供給する方法であって、
流体管理装置(100)を提供する工程であって、前記流体管理装置は、流体を収容する少なくとも一つの容器(22,23)を該容器の首部の開口端部を下方に向けた垂直状態で収容するように構成されており、前記容器はスパイクホルダ(10)を有し、前記スパイクホルダは該スパイクホルダに接続されたスパイク(11)を前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある前記容器の軸に整列させるように設けられて接続されているものと、
流体移送システムを提供する工程であって、前記流体移送システムは移送チューブ(15,16,18)を有し、前記移送チューブはスパイク(11)に接続された第1端部と注入器に接続されるように構成された第2端部を有するものと、
少なくとも一つの容器(22,23)を該容器の首部の開口端部を下方に向けた状態で前記流体管理装置(100)に搭載する工程であって、前記首部の前記開口端部は隔壁によって覆われているものと、
前記スパイク(11)を前記スパイクホルダ(10)に取り付けるとともに前記移送チューブ(15,16,18)の第2端部を注入器に取り付け工程と、
前記隔壁に前記スパイク(11)を侵入させる工程と、
前記容器(22,23)から流体を取り出す工程を含む、方法。
【請求項22】
前記スパイク(11)を前記容器(22,23)の隔壁から引き抜く工程を有する、請求項21の方法。
【請求項23】
前記スパイク(11)を前記隔壁から引き抜く工程は、スパイクされた前記容器(22,23)が空であるか又は前記容器(22,23)の最大使用時間に達したか若しくは前記スパイク(11)の最大使用時間に達したかときに起動される信号に応答して行われる、請求項22の方法。
【請求項24】
少なくとも2つの容器(22,23)が前記流体管理装置(100)に搭載されている、請求項21〜23のいずれかの方法。
【請求項25】
前記流体管理装置(100)はさらに、前記容器(22)をそれぞれ前記スパイクホルダ(10)に対して軸方向に整列させる手段を有し、
前記方法はさらに、
第2の容器(22)を、前記スパイクホルダ(20)と軸方向に整列する位置に移動し、
前記スパイク(11)を前記第2の容器(22)の隔壁に通し、
前記第2の容器(22)から流体を取り出す、請求項24の方法。
【請求項1】
注入用流体を患者に自動的に供給する流体管理装置(100)であって、
垂直回転軸を有する少なくとも一つの回転カルーセルと、
前記回転カルーセルに取り付けられるとともに、首部の開放端を下方に向けた状態で容器(22,23)を垂直に配置するように構成された、少なくとも2つの容器ホルダと、
スパイクホルダ(10)であって、前記回転カルーセルの下に設けられ、該スパイクホルダ(10)が前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある容器(22,23)の軸に、スパイク(11)を軸方向に整列させるように向けられている、スパイクホルダ(10)を備えた、流体管理装置。
【請求項2】
2つの回転カルーセルを備えた、請求項1の流体管理装置(100)。
【請求項3】
前記回転カルーセルに取り付けられていない、一つ又は複数、好ましくは2つの容器ホルダを備えた、請求項1又は2の流体管理装置(100)。
【請求項4】
2つの回転カルーセルと、前記回転カルーセルに取り付けられていない2つの容器ホルダを備えた、請求項1の流体管理装置(100)。
【請求項5】
最大で10個、好ましくは5個の容器ホルダが前記回転カルーセルに取り付けられている、請求項1〜4のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項6】
前記回転カルーセルに取り付けられたすべての容器ホルダが同一の大きさの容器(22,23)を保持するように構成されているか、いくつかの容器ホルダが他の容器ホルダとは異なる大きさの容器(22,23)を保持するように構成されている、請求項1〜5のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項7】
一つの容器ホルダが他の容器よりも小さな大きさの容器(22,23)を保持するように構成されている、請求項6の流体管理装置(100)。
【請求項8】
各回転カルーセルが個々のチャンバ(20a,20b)に設けられている、請求項1〜7のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項9】
前記回転カルーセルに取り付けられていない各容器ホルダが別々のチャンバ(21a、21b)に設けられている、請求項3又は4の流体管理装置(100)。
【請求項10】
すべてのチャンバ(20a,20b,21a,21b)がシャーシフレームワーク(14)に設けられている、請求項8又は9の流体管理装置(100)。
【請求項11】
前記チャンバ(20a,20b,21a,21b)の少なくとも一つが温度制御されている、請求項8〜10のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項12】
各チャンバ(20a,20b,21a,21b)は、個別のヒンジされた蓋又はドア(24a,24b,25a,25b)をあけることによってアクセスできる、請求項8〜11のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項13】
前記スパイクホルダ(10)は、リニアスライダ(9)に移動可能に設けられており、前記スパイクホルダ(10)が垂直方向にスライドできる、請求項1〜12のいずれかの流体管理装置(100)。
【請求項14】
前記回転カルーセルの回転と前記スパイクホルダ(10)の移動を制御するように構成された中央電子制御システムを備えている、請求項13の流体管理装置(100)。
【請求項15】
それぞれがスパイク(11)に接続された少なくとも2つの第1の端部と、それぞれが前記第1の端部に対応する少なくとも2つの第2の端部を有する第1の移送チューブ(15,16)と、
2つの入口開口と一つの出口開口を少なくとも有し、前記移送チューブ(15,16)の前記第2の端部が前記入口開口に接続されているマニホールド(17)と、
第1の端部で前記マニホールド(17)の前記出口開口に接続された第2の移送チューブ(18)と、
前記第1の移送チューブの第1の端部と第2の端部の間にそれぞれ設けられたバルブを備えた流体移送システム。
【請求項16】
前記第2の移送チューブ(18)の前記第2の端部が注入器に接続されるように構成されている、請求項15の流体移送システム。
【請求項17】
前記スパイク(10)は通気孔付きスパイクである、請求項15又は16の流体移送システム。
【請求項18】
前記スパイク(10)はシース(43)で覆われている、請求項15〜17のいずれかの流体移送システム。
【請求項19】
前記流体移送システムはさらに、流体移送システムの一意識別子を保管するデータ保管手段を備えている、請求項15〜18のいずれかの流体移送システム。
【請求項20】
患者に注入液を自動的に供給する流体管理システムであって、請求項1〜14のいずれかの流体管理装置(100)と、請求項15〜19のいずれかの流体移送システムと、流体注入器を備えた流体管理システム。
【請求項21】
患者に注入液を自動的に供給する方法であって、
流体管理装置(100)を提供する工程であって、前記流体管理装置は、流体を収容する少なくとも一つの容器(22,23)を該容器の首部の開口端部を下方に向けた垂直状態で収容するように構成されており、前記容器はスパイクホルダ(10)を有し、前記スパイクホルダは該スパイクホルダに接続されたスパイク(11)を前記容器ホルダに搭載されてスパイク位置にある前記容器の軸に整列させるように設けられて接続されているものと、
流体移送システムを提供する工程であって、前記流体移送システムは移送チューブ(15,16,18)を有し、前記移送チューブはスパイク(11)に接続された第1端部と注入器に接続されるように構成された第2端部を有するものと、
少なくとも一つの容器(22,23)を該容器の首部の開口端部を下方に向けた状態で前記流体管理装置(100)に搭載する工程であって、前記首部の前記開口端部は隔壁によって覆われているものと、
前記スパイク(11)を前記スパイクホルダ(10)に取り付けるとともに前記移送チューブ(15,16,18)の第2端部を注入器に取り付け工程と、
前記隔壁に前記スパイク(11)を侵入させる工程と、
前記容器(22,23)から流体を取り出す工程を含む、方法。
【請求項22】
前記スパイク(11)を前記容器(22,23)の隔壁から引き抜く工程を有する、請求項21の方法。
【請求項23】
前記スパイク(11)を前記隔壁から引き抜く工程は、スパイクされた前記容器(22,23)が空であるか又は前記容器(22,23)の最大使用時間に達したか若しくは前記スパイク(11)の最大使用時間に達したかときに起動される信号に応答して行われる、請求項22の方法。
【請求項24】
少なくとも2つの容器(22,23)が前記流体管理装置(100)に搭載されている、請求項21〜23のいずれかの方法。
【請求項25】
前記流体管理装置(100)はさらに、前記容器(22)をそれぞれ前記スパイクホルダ(10)に対して軸方向に整列させる手段を有し、
前記方法はさらに、
第2の容器(22)を、前記スパイクホルダ(20)と軸方向に整列する位置に移動し、
前記スパイク(11)を前記第2の容器(22)の隔壁に通し、
前記第2の容器(22)から流体を取り出す、請求項24の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公表番号】特表2013−512017(P2013−512017A)
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540412(P2012−540412)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068097
【国際公開番号】WO2011/064240
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068097
【国際公開番号】WO2011/064240
【国際公開日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(512137348)バイエル・インテレクチュアル・プロパティ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (91)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Intellectual Property GmbH
【Fターム(参考)】
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