説明

流体組織増強組成物および方法

局部に送達の後、組織を増強するための組成物および方法。組成物は、ヒドロゲルおよび皮膚充填剤を含む。ヒドロゲルは、第1のトリガー事象後に重合および/または架橋することができる。皮膚充填剤も、第2のトリガー事象後に任意選択で架橋することができる。本発明の他の態様では、所定形状での組織の治療的および美容的増強のための医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロゲル、少なくとも1つの皮膚充填剤および任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬を含む成形性組織増強組成物の使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互関連
本願は、2006年3月13日に出願された米国特許出願第11/276,759号(発明の名称「Fluidic Tissue Augmentation Compositions and Methods」)の一部継続出願であり、この全体を本明細書中で参考として援用し、この出願に対し、米国特許法§120の下、優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
過去20年にわたって、個人が彼らの容貎を著しく改善することを可能にする医療技術が開発された。これらの美的医療技術のいくつかは、皮膚充填剤などの組織増強物質の使用に依存する。皮膚充填剤は、例えば、顔の線およびしわの出現を減少させるために患者に注入される剤である。しわを引き起こす顔面筋を麻痺させるために用いられるボツリヌストキシン(例えば、商標ボトックス)と異なって、充填剤は顔のしわの下に注入され、畳み込まれて文字通りにそれらを満たす。
【0003】
今日の充填剤には、2つの欠点がある。第一に、皮膚充填剤の効果持続時間(すなわち、皮膚充填剤の注入による美的矯正が持続する時間)は、患者および臨床医の両者によってあまりに短いと思われている。例えば、充填剤の注入によって鼻唇ひだを「矯正」された患者は、彼らの鼻唇ひだが3〜5ヵ月後に再び現れ始めることを願望するようになる。皮膚充填剤の注入は痛みを伴い、あざを引き起こすことがあり、患者にとって不都合であるので、それらの効果持続時間を2倍、3倍、おそらく4倍にさえすることができるならば、それは充填剤の商品的魅力を劇的に改善するであろう。
【0004】
第二に、充填剤は非晶質の(すなわち、無形の)ペーストとして注入され、ペーストは自然のあご脂肪褥またはヒト頬骨構造物の丸い弧を模倣するのに十分な位置/形状に保持することができないので、医師が、人体の表面で完全なあごまたは頬骨の増強などのある特徴を工作することを困難にする。熟練医師は充填剤を注入してある種の顔の矯正(例えば、鼻唇ひだを詰めること、唇の増強)を実施することができるが、充填剤は実物のようなあご形状を形成するために十分に輪郭をつけることができないので、臨床医が、例えば、完全なあごを工作するのは困難であり、おそらく不可能でさえある。このように、あご増強を実施する現在の手段は、あごの形の小さなプラスチック製移植片をあごの部位にすべり込ませる外科的手技(全身麻酔下で実施される)である。同様に、頬骨増強は、現在、注入可能な充填剤ではなくプラスチック製移植片の挿入によって一般に達成され、手術および全身麻酔の使用を要する。ゆえに、複雑な体輪郭を保持する充填剤および麻酔を必要とする外科的手順を置換するものなど、改善された特性を有する充填剤の必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、注入してインサイチュで、および他の態様では所定形状に従って形成することができる組織増強組成物および方法を提供する。これは、手術を必要とする固体移植片の不利を、ならびに非重合ヒドロゲルモノマー溶液の不利(例えば重合の前にインサイチュで造形するのに十分な固体でないこと)、さらに今日利用できる皮膚充填剤の不利(例えば、残存性の欠如ならびに任意の精度による造形性の欠如)を克服する。本材料および方法は、特定のインビボでの機械的および残存性の特性について選択するようにカスタマイズすることもできる。
【0006】
他の態様では、本発明は、皮膚充填剤と組み合わせると皮膚充填剤の機械的および残存性の特性を選択的に「調整」または変更するために用いることができる組成物および方法を提供することにより、本皮膚充填剤組成物の質を持続させ、改善するための組成物を提供する。
【0007】
本発明の一態様では、注入可能な組織増強組成物であって、a)第1の生理的に適合する開始時に選択的凝固が可能な少なくとも第1の生体適合性流体部分と、b)第2の生理的に適合する開始時に選択的凝固が任意選択で可能な少なくとも第2の生体適合性流体部分であって、第2の生体適合性流体部分が、前記選択的凝固が可能な場合、前記第1の生理的に適合する開始のもとで選択的凝固が不可能な第2の生体適合性流体部分と、c)任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬の有効量とを含む組織増強組成物が提供される。
【0008】
本発明の他の態様では、注入可能な組織増強組成物であって、約1〜2mmの厚さのヒト皮膚を通して浸透することが可能な光波長の存在下で、任意選択でプラスチック金型の存在下、生理条件下で選択的凝固が可能であり、インサイチュで選択的に分解可能であるヒドロゲル形成部分と、コラーゲン含有部分、コラーゲン誘導体含有部分、ヒアルロン酸含有部分、ヒアルロン酸誘導体含有部分、コンドロイチン含有部分、およびコンドロイチン誘導体含有部分からなる群から選択される第2の部分とを含む組織増強組成物が提供される。
【0009】
本発明の他の態様では、a)第1の生理的に適合する開始時に選択的凝固が可能な、少なくとも第1の生体適合性流体部分と、b)第2の生理的に適合する開始時に選択的凝固が任意選択で可能な少なくとも第2の生体適合性流体部分であって、第2の生体適合性流体部分が、前記選択的凝固が可能な場合、前記第1の生理的に適合する開始のもとで選択的凝固が不可能な第2の生体適合性流体部分と、c)任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬の有効量とを含む組成物の、組織の治療的および美容的増強のための医薬の製造における使用が提供される。
【0010】
本発明の他の態様では、所定形状での組織の治療的および美容的増強のための医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロゲル、少なくとも1つの皮膚充填剤および任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬を含む成形性組織増強組成物の使用が提供される。
【0011】
本発明の他の態様では、所定形状への鼻橋形状の治療的および美容的変更のための医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロゲル、少なくとも1つの皮膚充填剤および任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬を含む組織増強材の使用が提供される。本発明の他の態様では、治療的および美容的な顔造形のための医薬の製造における、少なくとも1つのヒドロゲル、少なくとも1つの皮膚充填剤および任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬を含む組織増強材の使用が提供される。
【0012】
本発明の他の態様では、少なくとも1つのヒドロゲルと、少なくとも1つの皮膚充填剤と、任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬とを含む、美容的または治療的な注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、増強組織の形状は、増強が望まれる組織を覆う皮膚に型を外部からあてて医薬の上に外圧を加え、次に、注入可能な組織増強医薬組成物の固さを増して所定の形状にすることによって決定される製造方法が提供される。
【0013】
本発明の他の態様では、少なくとも1つのヒドロゲルと、少なくとも1つの皮膚充填剤と、任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬とを含む、顔の造形のための美容的または治療的な注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、造形された顔の最終的な形状は、デジタル三次元情報を用いて最終造形顔の正確な寸法を含む内部表面を有する型を調製することによって事前に決定され、外圧は型によって注入可能な組織増強医薬に加えられ、組織増強医薬は生理的に適合する開始時にインサイチュで凝固する製造方法が提供される。
【0014】
本発明の他の態様では、ヒドロゲル、皮膚充填剤および任意選択で鎮痛薬を含む、所定の形状への鼻橋の形状の変更のための美容的または治療的な成形性組織増強組成物医薬の製造方法であって、鼻橋の形状が所定形状の型を用いて医薬の上に外圧を加えることによって決定され、組織増強組成物の固さが増強されることによって組織増強組成物が型の内部表面の形状を保持する方法が提供される。
【0015】
本発明の他の態様では、露光すると架橋するようになされた非架橋ヒドロゲル含有部分と、ヒアルロン酸部分と、任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬とを含む、美容的または治療的な注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、増強組織の形状は、医薬の上に外圧を加え、次に組成物を露光させてヒドロゲル含有部分を架橋させることによって決定される方法が提供される。
【0016】
本発明の第3の態様では、基本的にヒドロゲルおよびヒアルロン酸含有皮膚充填剤からなる光充填剤が提供される。
【0017】
本発明の他の態様では、光重合ヒドロゲル形成部分を含有する第1の予充填された注射器、および、皮膚充填剤を含有する第2の予充填された注射器、および任意選択で透明な型を含み、型の内部表面は本体部分の形状であるキットが提供される。
【0018】
本発明の他の態様では、組織を所定形状に増強する方法であって、増強が望まれる組織に成形性組織増強組成物を注入する工程と、増強が望まれる組織を覆う皮膚に型を外部からあてる工程であって、型の内部凹面は組織増強材が皮膚を型の内部凹面と接触させるように所定の形状である工程と、組織増強材の固さを増強し、それによって組織増強材が外部からあてた型の内部凹面の形状を保持する工程とを含む方法が提供される。
【0019】
本発明の他の態様では、所定の形状に鼻橋の形状を変化させる方法であって、前記所定の形状の型の内部表面の存在下で鼻橋に成形性組織増強組成物を注入する工程と、組織増強組成物の固さを増強し、それによって組織増強組成物が型の内部表面の形状を保持する工程とを含む方法が提供される。
【0020】
本発明の他の態様では、顔の造形方法であって、デジタル三次元情報を用いて最終的な造形顔の正確な寸法を含む内部表面を有する型を調製することによって造形する顔の最終的な形状を前もって決定する工程と、造形する顔の形状を形成するガイドとして型を用い、生理的に適合する開始を用いてインサイチュで固さを増強することが可能な組織増強材を注入する工程と、型の内部表面の形状を維持するために生理的に適合する開始を適用して組織増強材の固さを増強する工程とを含む方法が提供される。
【0021】
本発明の他の態様では、組織を増強する方法であって、生理的に適合する開始への曝露後に凝固が可能である本発明の組成物を皮下に注入する工程と、注入した組成物の上に外圧を加えて増強組織の形状を決定する工程と、生理的に適合する開始を適用して組成物を凝固させる工程とを含む方法が提供される。
【0022】
本発明の他の態様では、露光時に架橋するようになされた非架橋ヒドロゲル含有部分およびヒアルロン酸部分を含む組成物を皮下に注入する工程と、組成物を露光させてヒドロゲルを架橋する工程とを含む、組織増強方法が提供される。
【0023】
本発明の他の態様では、露光すると架橋するようになされた非架橋ヒドロゲル含有部分およびヒアルロン酸部分が、単回用量中に別個の容器に包装される、美容的または治療的な医薬の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の他の態様では、組織増強の形状を前もって決定するために、型を調製、使用する方法が提供される。本発明の一部の実施形態では、所定形状の三次元座標を、その三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて、型は予め調製される。一部の実施形態では、型は、成形性組織増強材を加える前に皮膚に適用される。一部の実施形態では、型は、成形性組織増強材が加えられるのと同時に皮膚に適用される。
【0025】
本発明の他の態様では、ビジネス方法は、サービス料と引きかえに治療サービスを提供することを企図する。サービスは、ヘルスケアプロバイダーが患者に直接提供することができる。ビジネス方法は、組織増強サービスのプロバイダーにカスタマイズされた組織増強キットを提供する、コンピュータベースの方法を企図する。
【0026】
本発明は、特定の患者の組織増強領域の所望の形状の三次元座標を含むコンピュータファイル、および組織増強材の所望の機械的および残存性特性を含むコンピュータファイルを受け入れ側コンピュータに送ることを含む、特定の患者のためにカスタマイズされた組織増強キットを提供するビジネス方法も含み、そのような情報は、プロバイダーが特定の患者に対して用いるためのカスタマイズされた組織増強キットを調製するために用いられる。そのようにして提供されるキットは、所定の組織増強形状のための型、インサイチュで選択的に凝固することが可能で、そのように伝えられたコンピュータファイルに従ってあらかじめ選択された残存性および機械的性質を有する注入可能な組織増強材を含む。
【0027】
本発明の一部の実施形態では、第1の生体適合性流体部分は、ヒドロゲル形成部分である。本発明の他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は天然または合成の部分を含み、モノマーまたはポリマーであることができる。他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分または光重合ヒドロゲル形成部分は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック(Pluronic)、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースならびにヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される。
【0028】
他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は誘導体化されたポリエチレングリコールモノマーを含む。本発明の実施形態のいくつかでは、ヒドロゲル形成部分はジアクリレートで誘導体化されたポリエチレングリコールを含む。本発明の他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分または光重合ヒドロゲル形成部分は、グリコサミノグリカン、ポリペプチド、タンパク質、多糖および炭水化物からなる群から選択される。本発明の他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ケラト硫酸、キチン、キトサン、ポリショ糖、デキストラン、硫酸ヘパリン、ヘパリン、アルギン酸塩、ゼラチン、コラーゲン、アルブミンもしくはオボアルブミン、エラスチン、ラミニン、ゼラチンおよびフィブロネクチンからなる群から選択される。本発明の一部の実施形態では、第1の生体適合性部分は、第1の生理的に適合する開始時に選択的凝固が可能な1つを超える生体適合性流体部分を含む。
【0029】
本発明の一部の実施形態では、第2の部分は皮膚充填剤である。本発明の一部の実施形態では、第2の生体適合性流体部分または皮膚充填剤は、細胞外基質タンパク質、細胞外基質多糖または細胞外プロテオグリカンを含む。本発明の他の実施形態では、少なくとも第2の生体適合性流体部分または皮膚充填剤は、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される。本発明の実施形態の一部では、少なくとも第2の生体適合性流体部分または皮膚充填剤は、ヒアルロン酸である。本発明の他の実施形態では、第2の生体適合性流体部分または皮膚充填剤は、ポリアミノ酸含有部分、多糖部分および糖タンパク質部分からなる群から選択される。一部の実施形態では、これらの材料の1つを超えるものが、本発明の組成物に含まれる。
【0030】
本発明の実施形態の一部では、第1の生体適合性流体部分は、光の存在下で選択的に凝固する。本発明の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、光の存在下で選択的に凝固する。一部の実施形態では、第2の生体適合性流体部分は、光の存在下で凝固する。本発明の他の実施形態では、皮膚充填剤は、光の存在下で凝固する。本発明の他の実施形態では、組織増強材の固さの増強は、光源によって開始される。本発明の一部の実施形態では、光は紫外線および可視光からなる群から選択される。本発明の他の実施形態では、光の波長は約400〜550nmである。本発明の一部の実施形態では、露光は経皮的である。本発明の他の一部の実施形態では、光は皮下にあてられる。
【0031】
本発明の一部の実施形態では、成形性組織増強材は、ヒドロゲルおよびヒアルロン酸を含む。本発明の一部の実施形態では、成形性組織増強材は、ヒドロゲルおよび皮膚充填剤を含む。本発明の他の実施形態では、組織増強組成物は架橋開始剤をさらに含む。本発明の他の実施形態では、化学的開始剤は、温度、光、レドックス、原子移動、陽イオン性、陰イオン性の調整、開環および/または複分解重合を開始する。本発明の一部の実施形態では、化学的開始剤は、4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ヒドロキシチオキサントン、ビニルオキシメチルベンゾインジメチルエーテル;4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ヒドロキシチオキサントン、ビニルオキシメチルベンゾインジメチルエーテル;アクリジンオレンジ、エチルエオシン、エオシンY、エオシンB、エリスロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、キサンチン色素、4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物、4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物からなる群から選択される。
【0032】
本発明の一部の実施形態では、注入可能な組織増強組成物は、ヒドロゲルおよび皮膚充填剤を含む。本発明の一部の実施形態では、第1の生体適合性流体部分は、化学的開始剤の存在下で選択的に凝固する。本発明の一部の実施形態では、第1の生体適合性流体部分は、温度開始剤の存在下で選択的に凝固する。本発明の一部の実施形態では、ヒドロゲルは、化学的開始剤の存在下で選択的に凝固する。一部の実施形態では、第2の生体適合性流体部分は、化学的開始剤の存在下で凝固する。本発明の他の実施形態では、皮膚充填剤は、化学的開始剤の存在下で凝固する。
【0033】
本発明の他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は、哺乳動物の表皮下の皮膚を実質的に透過する光波長の存在下で選択的に凝固するように誘導体化され、第2の生体適合性流体部分は、ヒト皮膚を透過する光波長の存在下で選択的に凝固することが実質的にできない。本発明の一部の実施形態では、生理的に適合する開始は光である。
【0034】
本発明の一部の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は、インサイチュで選択的に分解可能である。本発明の一部の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は生理条件下で光開始凝固が可能であり、インサイチュで選択的な分解が可能である。本発明の一部の実施形態では、ヒドロゲル形成部分または光重合ヒドロゲル形成部分は、生体適合性の分解剤の投与によりインサイチュで選択的に分解される。本発明の一部の実施形態では、選択的な分解は、組織増強を元に戻すために実施される。他の実施形態では、ヒドロゲル形成部分は、インサイチュで選択的に徐々に分解される。本発明の他の実施形態では、第2の生体適合性流体部分は、生体適合性分解剤の投与によりインサイチュで選択的に分解される。本発明の他の実施形態では、組織増強材は、調節可能な分解が可能であるヒドロゲル形成組成物である。
【0035】
本発明の実施形態の一部では、注入可能な組織増強組成物または成形性組織増強材は、1つまたは複数の鎮痛薬をさらに含む。鎮痛薬は、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン;オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される。本発明の他の実施形態では、鎮痛薬は、リドカインまたはその薬学的に許容される塩である。本発明の他の実施形態では、組織増強組成物は、1つを超える鎮痛薬を含む。
【0036】
本発明の一部の実施形態では、組成物は、粒子状物質、治療部分、医療器具、電子装置、生細胞、顔料、酵素阻害剤および酵素からなる群の1つまたは複数を含む。
【0037】
本発明の実施形態の一部では、組成物中の第1の生体適合性流体部分および第2の生体適合性流体部分の重量比は、約1:2〜約1:10の範囲にある。本発明の実施形態の一部では、ヒドロゲルおよび皮膚充填剤の重量比は、約1:2〜約1:10の範囲にある。本発明の実施形態の一部では、組成物の成分比は、増強組織の固さを変えるために変更される。本発明の他の一部の実施形態では、組織増強組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を超える数の異なるモノマーを含むことができる。本発明の方法では、凝固の増強を達成する時間は、10、9、8、7、6、5、4、3、2分未満であり、1分未満でもよい。
【0038】
本発明の他の一部の実施形態では、基本的にヒドロゲルおよびヒアルロン酸含有皮膚充填剤からなる光充填剤が提供される。本発明の他の実施形態では、組織増強組成物は、美容的および治療的な組織増強のための医薬の製造で使用される。
【0039】
本発明の組成物および方法で増強する組織には、特に顔および首における、皮膚の組織増強、ライン、ひだ、しわ、軽微な顔の陥没、口唇裂およびその他の充填;手および足、指およびつま先のものを含む加齢または疾患による軽微な奇形の修正;言葉を回復させるための声帯または声門の増強;睡眠線および表情線の皮膚充填;加齢のために失なわれた皮膚および皮下の組織の置換;唇の増強;目尻のしわおよび目の回りの環状溝の充填;乳房または陰茎の増強;あごの増強;頬および/または鼻の増強;例えば過度の脂肪吸引または他の外傷による、皮膚または皮下の軟組織の窪みの充填;にきびまたは外傷性傷跡およびしわの充填;乳房および/または臀部の充填;鼻唇溝、鼻眉間の線および口下のラインの充填、骨の増強および鼻軟骨の増強が含まれる。
【0040】
方法、キットを含む組成物、ならびにコンピュータベースの方法およびシステムを含めて、本発明の様々な態様が提供される。この本発明の概要では本発明の主要な態様を示したが、以下では、提供される様々なさらなる態様および実施形態を示す。
【0041】
参照による組込み
本明細書で指摘する全ての刊行物および特許出願は、個々の刊行物または特許出願が具体的に、また個々に参照により組み込まれることが示されているがごとく、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
I.用語
本明細書で使用されるように、用語「組織増強」は、細胞性または無細胞性の体構造、例えば脂肪組織、結合組織、筋組織、軟骨組織または組織の任意の組合せへの物質の添加を一般に指す。そのような組織は、通常、軟組織(例えば、筋肉もしくは脂肪)または硬組織(例えば骨もしくは軟骨)と考えることができる。本明細書で使用される用語「皮膚充填剤」は、表皮の下または下皮の上などの皮膚領域で一般に用いられる1種の組織増強材であり、したがって、皮下、下皮または皮内に、または組合せにより注入することができる。
【0043】
本明細書で用いる用語「光充填剤」は、光を用いてインサイチュで凝固させることができる組織増強組成物を指す。本明細書でより完全に記載されるように、これは、好ましくは、光開始重合のために誘導体化されたヒドロゲルを含む。使用される光の波長および組織増強剤が皮膚外表面の下に注入される深さに従い、本「光充填剤」組成物は、皮膚を通して光(例えばUV波長もしくは赤外波長)を照射し(すなわち、光源は皮膚の外部でも内部でもよい)、それによって重合を開始させることによって、経皮的に重合させることができる。
【0044】
用語「架橋」は、構成単位を複雑な化学分子(タンパク質のようなもの)に接続する、共有結合性または非共有結合性の結合でよい。橋かけ結合は、分子間または分子内部であることができる。インサイチュ架橋は、本明細書では、適用部位、例えば流体組織増強組成物の注射部位で生じる架橋を意味する。
【0045】
用語「ヒドロゲル」は、水中で膨脹し、水中で解離および解重合しないポリマー材類を指す。それらは水溶性モノマー、または、ポリマーと混合したモノマーから合成することができ、実質的に水不溶性である。ヒドロゲルを架橋させて、相互貫通網目構造を形成することができる。「ヒドロゲル前駆体」は、架橋されておらず、その結果モノマー材またはポリマー材が実質的に水不溶性の形態でないヒドロゲル材を意味する。
【0046】
特に明記しない限り、本明細書および請求項で使用される、成分量、分子量などの特性、反応条件、その他を表す全ての数字は、全ての例で用語「約」によって修飾されているものと理解されたい。
【0047】
本明細書で記載される全ての方法は、本明細書で特に明記しない限り、さもなければ前後関係から明らかに否定されない限り、任意の適当な順序で実施することができる。本明細書で提供されるいかなるおよび全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「例えば」)も、単に本発明をより明確にするために使用され、さもなければ権利主張される本発明の範囲に対して制限を加えるものではない。
【0048】
本明細書で開示される代替要素または本発明の実施形態の分類は、限定と解釈されるべきではない。群の各メンバーは、個々に、または、群の他のメンバーまたは本明細書で見られる他の要素との任意の組合せで呼称および請求することができる。群の1つまたは複数のメンバーを、群に含めるかまたはそこから削除することができると考える。そのような任意の編入または削除が起こる場合、明細書は、特に記載されていない限り、修飾された群を含むと本明細書でみなす。
【0049】
II.組織増強および顔の造形
本発明は、治療的および美容的用途のための組織増強で使用するための、組成物および方法を提供する。局在化された軟質ペーストとして患者に注入できるように適切に製剤化した注入可能な流体生体適合材料が開示される。それは、注入後にインサイチュで架橋され、代謝破壊に抵抗性である重合組織増強材を提供する。注入された組成物は、光活性化または化学活性化を用いて架橋される。得られた架橋組成物は、注入された軟質ペーストに類似した機械的性質または、代わりに、より硬化した物理的性質を有する材を形成する。これらの架橋された材は、特異的な形状および輪郭の特徴を工作するために、臨床医がより高いレベルの制御を行使することを可能にする。提供される方法のいくつかにおいて、材料は注入後にインサイチュで所望の形状に成形される。提供される方法のいくつかにおいて、輪郭削りを導くために、本体部分の型が調製される。これらの抵抗性の組織増強は、インビボで優れた寿命を有する美的矯正をもたらす。提供される方法、型および組成物を利用するビジネス方法が、含まれる。
【0050】
A.組織増強組成物
本明細書の組成物は、1つまたは複数の生体適合性流体部分、例えばシリコーンおよび官能化シリコンポリマー、ヒドロゲル、ヒアルロン酸、コラーゲン、ポリ乳酸、ヒドロキシルアパタイト懸濁液、コラーゲン、ならびに、自己移植もしくは異種移植もしくは移植された細胞および組織、例えば、死体のおよび自己由来の脂肪細胞または下記表1に記載の任意の皮膚充填剤を含むことができる。これらの材料は、唇または鼻唇溝を増強するために用いることができる。医原性の傷跡を矯正するために、経年的に変化するしわ(皮膚のしわ)を矯正するために、恒久的および不動性の物質が適当であろう。
【0051】
ヒドロゲルは、水溶性モノマーの水不溶性ポリマー網目構造への架橋によって形成される三次元網目構造で一般的に構成される。ヒドロゲルは、栄養素および廃棄物の輸送を可能にする、組織に類似したその含水量のために、組織工学の分野で特に興味がもたれる。
【0052】
本発明は、重合によりヒドロゲルにすることができるモノマー(例えば、PEG−ジアクリレートまたはヒドロキシエチレンメタクリレート)の溶液を含む皮膚充填剤、例えば、既知の任意の充填剤(例えば、ヒアルロン酸で構成されるRestylane(商標))を含むか、基本的にそれらからなるか、またはそれらからなる組成物を企図する。場合によっては、重合は露光時に開始される。これらのハイブリッド材は、注入前には元の充填剤(例えば、Restylane(商標))と同一の機械的/残存性特性を有するが、重合の後には増強された機械的(例えば、より硬質の)および残存性(すなわち、より長い)特性を有する。
【0053】
架橋反応の開始は、化学反応性の剤または温度感受性の剤などの様々な材料および方法を用いて起こすことができる。光開始性の架橋は、注入された流体材料を架橋させて体内でヒドロゲルを形成するための、かなりの時間的および空間的制御を有する迅速で効率的な方法を提供し、このように、特定の波長による露光の後にだけ、より強固な物理的性質を有する材を形成する。例えば、各二糖の上に硫酸(SO4)基およびカルボキシル(COOH)基を有する、グルクロン酸およびN−アセチルガラクトサミンの反復二糖単位で構成されるコンドロイチン硫酸は、(メト)アクリレート基で、さらに、光重合開始剤の存在下で架橋を、したがって重合を可能にする剤で修飾することができる。
【0054】
場合によっては、光開始性の架橋は、インサイチュで起こる。これは、ヒドロゲル形成を、生体材料移植のための最小限に侵襲性のシステムで達成することを可能にする。組織増強のための光開始性の重合は、液体様組成物を、皮膚注入後の注入されたモノマーの架橋を通して重合および凝固させることができるという点で、有利である。経皮光重合開始、すなわち皮膚を通しての光照射は、インサイチュで光励起性モノマーをポリマーへ架橋させる1手段である。
【0055】
このように、本発明の組織増強組成物は、以下の特性の1つまたは複数を有することができる。
【0056】
(a)手術なしで、例えば注入を通して組織内に入れることを可能にするために、重合の前の十分に液性の軟度、好ましくは成形性または展性、
(b)制御可能な期間、選択された形状が維持されるように、生理条件下でインサイチュで選択的に固さを増強すること(例えば、重合または架橋)が可能な特性、および
(c)調整可能な(すなわち、制御可能な)インビボ残存性および物理的特性を有する特性。
【0057】
組織増強組成物で望ましい他の特質は、組成物のあらゆる成分が許容レベルの生体適合性を有することである。本組成物の使用によって極わずかなまたはある程度の非生体適合性応答が起こる可能性があるが、許容される非生体適合性応答の程度は、医療プロバイダー、例えば治療にあたる医師が決定することができる。例えば、たとえその特定の架橋剤が非生体適合性影響を及ぼすことがあるとしても、その試薬を用いる利点が不当な紫外線曝露の可能な危害を上回るならば、ヒドロゲル(下記参照)重合が不当な紫外線曝露なしで達成されるように特に有効な光重合開始架橋剤を選択することができる。
【0058】
より具体的には、本発明の組織増強組成物は注入可能であり、a)第1の生理的に適合する開始時に選択的凝固が可能な、少なくとも第1の生体適合性流体部分と、b)第2の生理的に適合する開始時に選択的凝固が任意選択で可能な、少なくとも第2の生体適合性流体部分とを含み、第2の生体適合性流体部分が前記選択的凝固が可能な場合、それは、前記第1の生理的に適合する開始のもとで選択的凝固が不可能である。組成物は、少なくとも1つの鎮痛薬の有効量をさらに含むことができる。本発明の一部の実施形態では、組成物は、光の存在下で選択的に凝固する。
【0059】
本組成物は、少なくとも2つの主成分を用いて調製される。第1の成分は、ポリマー骨格(または共有結合したポリマー骨格)(例えば、ヒドロゲル網目構造)を含み、第2の成分(例えば、皮膚充填剤)は、ポリマー骨格とは異なる材料で構成することができる。第2の成分は、第1の成分(例えば、ヒドロゲル網目構造)内に混入されるが、それとは化学的に架橋しない。第2の成分は、任意選択で自己架橋してもよいが、第1の成分(例えば、ヒドロゲル網目構造)と共有結合で架橋しない。
【0060】
皮膚充填剤の化学的完全性を変化させることなく、本皮膚充填剤の残存性を選択的に増強することができる。ヒドロゲル骨格を(例えば)制御可能に凝固させるか、流動性にするか、または生物分解性にすることもでき、そのため、ある条件(例えば、温度、光、酵素、下記を参照)の下で、増強は元に戻される。このように、医療プロバイダーが処置を「やり直す」ことを望む場合、または患者の骨構造が変化して以前の増強がもはや適当ではない場合、外科的切除の必要なしに材料を安全に吸収することができる。
【0061】
組織増強組成物は、1つまたは1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10を超える数の異なるモノマーを含むことができる。骨格(例えば、ヒドロゲル)が、例えばヒアルロン酸または他のより液性の皮膚充填剤成分と非特異的に架橋することは好ましくない可能性があるので、それぞれが異なる条件下で活性化されて架橋する架橋部分が選択される。
【0062】
本発明の組成物中の皮膚充填剤に対するポリマー骨格(例えば、ヒドロゲル)の比は、より多くの量の皮膚充填剤を含む少量のヒドロゲルが存在するという点で、重量比、容積比またはモル比で1:1未満であることができる。一部の実施形態では、皮膚充填剤に対するポリマー骨格(例えば、ヒドロゲル)の比は、重量比、容積比またはモル比で1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9または1:10未満である。他の場合、それは、重量比、容積比またはモル比で1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:8、1:9または1:10を超える。
【0063】
1.ヒドロゲル成分
ヒドロゲルは、水溶性モノマーの架橋によって形成される水不溶性三次元網目構造である。水不溶性ポリマーへの水溶性モノマーの架橋は、ヒドロゲルが「膨脹」し、皮膚充填剤組成物などの他の組成物を位相的にトラップし、それによって皮膚充填剤の内外で相互に貫通する共有結合性網目構造を形成することを可能にする。本目的のために、本発明のヒドロゲルは、周囲の組織からの水によってインサイチュで形成することができる。
【0064】
様々なモノマーおよびポリマーならびにそれらの組合せを、生体適合性のヒドロゲルを形成するために用いることができる。合成または天然のモノマー/ポリマーを用いることができる。
【0065】
有用な合成材料は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLCA)である。さらに、PEG−DAなどのモノマーを、上記の一般的な皮膚充填剤のいずれかと混合することができる(例えば、質量で充填剤の0.1%〜10%を、PEG−DAモノマーと混合することができるであろう)。ポリエチレングリコールジアクリレートモノマー(「PEG−ジアクリレート」)を、組織増強材の機械的および残存性(耐久性)特性を選択的にカスタマイズするための出発点として用いることができる。合成ヒドロゲルにはポリエチレンオキシド(PEO)ベースのポリマーが含まれ、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのトリブロックコポリマーであるプルロニック(PEO−PPO−PEO)などのコポリマーとして見ることができ、または、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)のように光開始性の架橋が可能であるように誘導体化することができる。有用な合成ポリマーの一部の例としては、それらに限定されないが、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、ポリオール、例えばグリセロール、ポリグリセロール(特に高度分枝ポリグリセロール)、1つまたは複数のポリアルキレンオキシドで置換されたプロピレングリコールおよびトリメチレングリコール、例えば、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびに、モノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース;アクリル酸ポリマーおよび類似体およびそれらのコポリマー、例えばポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ならびに/またはさらなるアクリレート種、例えばアミノエチルアクリレートおよびモノ−2−(アクリルオキシ)−エチルスクシネートを有するもの;ポリマレイン酸;ポリアクリルアミド、例えばポリアクリルアミドそれ自体、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドおよびポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリビニルアルコールなどのポリオレフィンアルコール;ポリ(N−ビニルラクタム)、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、およびそれらのコポリマー、例えばポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリメチルオキサゾリンおよびポリエチルオキサゾリンを含むポリオキサゾリン;ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロース、例えば、ヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースが含まれる。その様々な組合せ、および、さらに様々な化学修飾形態または誘導体を用いることができる。官能基化されたコンドロイチン硫酸を用いることができる。
【0066】
天然モノマーには、グリコサミノグリカン、例えばヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸A、コンドロイチン硫酸C、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ケラト硫酸、キチン、キトサンおよびそれらの誘導体を含めることができる。したがって、それが全てではないが、ヒドロゲルの調製で用いることができる天然のモノマーまたはポリマーの例には、ポリペプチド、多糖もしくは炭水化物、例えばポリショ糖、ヒアルロン酸、デキストラン、ヘパリン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパリンまたはアルギナート、およびタンパク質、例えばゼラチン、コラーゲン、アルブミンもしくはオボアルブミン、またはそれらのコポリマーもしくは混合物が含まれる。セルロース類にはセルロースおよび誘導体が含まれ、デキストラン類にはデキストランおよび類似誘導体が含まれる。細胞外基質タンパク質、例えばコラーゲン、エラスチン、ラミニン、ゼラチンおよびフィブロネクチンには、天然で見られる全ての様々な型(例えば、コラーゲンI〜IV)ならびに組換え体供与源によって生産されそこから精製される同じコラーゲンが含まれる。体の傷の修復での役割が重要な天然のペプチドであるフィブリン、および、海草に由来し、マンヌロン酸およびグルロン酸の反復単位を含む多糖であるアルギナートを用いることもできる。その様々な組合せを用いること、および、その化学修飾形態、模倣体または誘導体を含めることができる。タンパク質については、組換え形態、類似体、アミノ酸模倣体を含む形態、および他の様々なタンパク質またはポリペプチド関連組成物を用いることができる。本発明のヒドロゲルは、あらかじめ選択された条件下での架橋能を提供するために、適切に誘導体化することができる。具体的な誘導体化は、下でさらに議論される。
【0067】
2.皮膚充填剤成分
1つまたは複数の皮膚充填剤部分を、ヒトで現在用いられているもの、例えばコラーゲン、粒子状物質(ヒドロキシルアパタイトまたは他のカルシウム含有粒子)を含有するヒアルロン酸含有組成物の中から選択することができる。1つの有用な皮膚充填剤は、Restylane(商標)という商品名の材料などのヒアルロン酸含有部分である。
【0068】
皮膚充填剤部分は、細胞外基質タンパク質などの細胞外基質成分を含むものの中の、細胞外基質多糖(またはプロテオグリカン)から選択することができる。皮膚充填剤部分は、皮膚充填剤の組合せ、例えば組換え体コラーゲンおよび組換え体ヒアルロン酸を含む組合せであることができる。
【0069】
より広義には、細胞外基質タンパク質は天然物であってもよくまたは組換え手段によって作ることもでき、したがって、それらの方法、組換えDNAおよびそのように産生する生物体に付随する様々な部分を有することができる(例えば、酵母などの産生生物体に付随するN末端メチオニル残基またはグリコシル化パターン)。細胞外基質タンパク質には、構造タンパク質コラーゲンおよびエラスチンが含まれる。いくつかの異なるコラーゲン型が、ヒトで見つかっており(19の異なる型)、コラーゲンI〜IV型が、最もよく特徴づけされている。ヒトでの使用のために、一般的には生体適合性コラーゲンが、好ましくはヒトコラーゲン、より好ましくは組換えヒトコラーゲンが用いられる。組換えヒトコラーゲンは、天然のヒトコラーゲンのアミノ酸配列の全部または一部を有することができる。細胞結合性または粘着性の細胞外基質タンパク質には、ラミニンおよびフィブロネクチンが含まれる。ヒトでの生体適合性、および疾患感染の制限のために好ましいものは、天然のヒトタンパク質のアミノ酸配列の全部または一部を含む組換えタンパク質である。細胞外基質タンパク質は、所定の分解、ゲル化、軟度または他の残存性もしくは機械的特性などの所望の特性を最適化するために工作することができる。細胞外基質結合官能性、例えば「RGD」部分または模倣体または関連する機能的部分で工作することができる。
【0070】
皮膚充填剤部分は、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸およびケラチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサン、およびそれらのそれぞれの誘導体を含む細胞外基質多糖に由来する要素で構成することもできる。多糖は、プロテオグリカンまたはタンパク質部分に結合した糖部分の形であることができる。1つまたは複数の多糖またはプロテオグリカンを一緒に用いることができ、さらに、1つまたは複数を、1つまたは複数の細胞外基質タンパク質と組み合わせて用いることができる。
【0071】
3.組織増強組成物のさらなる成分
a.粒子状物質。粒子状物質は、組織増強の結果もたらされる美的矯正の持続期間を延長するために混合することができるほか、バルキングまたは充填密度剤としても有用である。構造強度および耐久性を与える材料、例えばカルシウム含有材(例えば、ヒドロキシルアパタイト)または炭水化物含有材(例えば、キチンもしくはキトサン)を、粒子状物質に含めることができる。そのような粒子状物質は、真皮内でのポリマー材の残存性を高めることができる。所望の硬軟度を得るために、固体または半固体の微小粒子、例えばシリコーンまたは脂質微小粒子を混合することができる。
【0072】
硬質のゲル状材料も、基本的に粒子状材料を形成することができる。例えば、エーロゲルは、液体成分が気体で置換されたゲルに類似した固体物質である。結果は、いくつかの注目に値する特性、最も注目すべきは絶縁体としてのその効果を有する、極めて低い密度の固体である。エーロゲルは、一般的に99.8%の空気(または空隙)から構成され、一般的密度は3mg/cmである。圧力によって材料がガラスのように粉々になる点で、エーロゲルは極めて繊細である。しかし、製造技術に従い、エーロゲル組成物は、それ自身の重量の2000倍以上を保持することができる。一般的に、エーロゲルは、クラスターに融合した球状粒子によって形成される樹枝状の微細構造を有する。これらのクラスターは合同して、一般的に100ナノメートル未満の孔を有するフラクタル様鎖の三次元の高多孔質構造を形成する。孔の平均サイズおよび密度は、製造工程で制御することができる。エーロゲル単独では親水性であるが、それらの表面の化学的処理によってそれらを疎水性にすることができる。このように、生体適合性のエーロゲルは、構造材料として本組織増強材とともに用いることができる。代わりに、または、さらに、極めて圧感受性(一般的な技術用語は、「脆い」である)であるエーロゲル組成物は、例えば、高圧によって破砕され、破砕物は全体の相互貫通網目構造の分解で周囲の組織に放出することができる点で、組織増強材の選択的分解のために適当であろう。
【0073】
b.治療的部分。生体活性部分、例えば治療的部分を含みながら、材料をインサイチュで重合することができる。企図されるものとしては、天然のヒトもしくは動物の部分と類似する部分、または、完全に合成的であり自然界では見られないものがある。例えば、骨形成などの様々な治療的介入を促進するために、メタロプロテイナーゼ、メタロプロテイナーゼ阻害剤、細胞外基質タンパク質および接着関連分子などの天然または合成の細胞外基質作用部分を含むことができる。天然または合成の成長因子、例えばヒトもしくは動物の成長ホルモン、線維芽細胞成長因子、上皮成長因子、ケラチノサイト成長因子、骨細胞成長に影響を及ぼす材または他の部分を、治療必要性に従い含むことができる。そのような治療的部分は、天然のヒト(または他の動物)のアミノ酸配列の全部または一部を含むことができ、それには、ペプチド様領域などの合成部分を含めることができる。
【0074】
c.医学的または他の装置。化学部分とは別に、重合の前にポリマー材に装置を組み込むことができる。一態様では、本発明はポンプなどの小型の装置、例えば追跡または識別のための高周波装置、インスリンレベルもしくは血糖値、または局所環境に関する情報を受信器へ伝えるセンサーの働きをする他の「みじん」などの体成分レベルを測定するナノセンサーの組込みを企図する。
【0075】
例えば、1つまたは複数の薬剤の貯蔵器を有する微小装置を、増強する組織内へ入れる前か後であるが、本明細書で記載される架橋の前に、組織増強流体材料中に入れることができる。薬剤の放出は、プログラムされたワイヤレス受信器とのコミュニケーションによって引き起こすことができる。微小貯蔵器を開放して複雑な化学放出モデルを達成するために、前もってプログラムされたマイクロプロセッサー、リモートコントロールまたはバイオセンサーを用いることができる。
【0076】
追跡装置には、動物管理のための高周波標識「タグ」、例えば、遠隔地での読取りおよび追跡が可能な高周波制御標識(例えば、「RFID」または「高周波ID」)の挿入が含まれる。このように、本発明は、RFIDなどの「タグ」を含む組成物および方法を含む。方法は、組織増強流体組成物、例えばインサイチュで架橋が可能で、そのようなRFIDまたは他の認識タグを含むヒドロゲルを動物に注入し、組織増強体をインサイチュで凝固させることを含む。上のように、経皮光重合開始が最も役立つ。RFIDの使用は、便利な手段(例えば、セキュリティ目的のための個体識別マーカーのために)、または、脆弱な個体、例えば虚弱者、高齢者または子供の安全を維持するためのものであることができる。獣医科への応用は、ペットのIDもしくは追跡など有益であることができ、または、群動物の特定など農業目的のためになることができる。
【0077】
本方法を用いて本組成物中にRFID装置のような装置を封入することにより、有害な生理反応、例えば金属もしくは合金などの装置材料への免疫性またはアレルギー性の応答を避けるのを助けることができる。
【0078】
d.無細胞または有細胞。本組成物および方法は、重合の前に生細胞を含まなくても生細胞を含んでもよい。例えば、患者の自家細胞を組織増強流体材と予備混合することができる。注入および架橋後、細胞は架橋ポリマー網目構造内に固定化される。この種の「骨格」は、組織増強材の恒久的な設置のためでもよくまたはそのためではなくてもよいが、細胞が内因性の組織に組み込まれるまでの仮支持体であることができる。
【0079】
本組成物および方法は、インサイチュでの組織生成のために任意選択で用いることができる。生成される組織としては、脂肪、筋肉または軟骨がある。インサイチュ重合化生体材料が提供する三次元構造支持体は、組織再生のために適当な環境を提供することができる。本組成物および方法を用いて、軟骨組織も生成することができる。軟骨組織は、インサイチュでの組織工学の対象であった。
【0080】
例えば、型を用いて鼻を再構築するために組織増強を望むことができる。一部の鼻軟骨が細胞で新規形成組織増強材に組み込まれるように、軟骨前駆細胞の組込みのための骨格として組織増強材を用いることは、美容的または再建的な造鼻術の非侵襲性の方法を提供することができる。
【0081】
ある条件下では、本組成物はインビボで細胞結合をもたらすことができ、そのため、生体外源の細胞が注入可能な組成物の一部としてインビボで同時投与されなくても、細胞は接着して注入可能な組成物上で成長する。
【0082】
e.他の成分。他の成分が、組織増強組成物および方法の一部であることができる。これらの他の成分は、同時に加えることができるか、注入後に液状ポリマーに混合することができるか、液状ポリマーの注入の後であるがインサイチュ架橋の前に投与することができるか、または、架橋の後に投与することができる。
【0083】
鎮痛薬。炎症による不快感を緩和するために本発明の組成物、方法およびキットで使用することのできる鎮痛薬の例には、それらに限定されないが、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン、オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの混合物、ならびに薬学的に許容されるそれらの塩およびエステルが含まれる。好ましい実施形態では、組成物は、リドカイン、ヒドロモルフォン、オキシコドン、モルヒネおよび薬学的に許容されるそれらの塩からなる群から選択される鎮痛薬を含む。
【0084】
抗生物質。抗生物質、例えば、それらに限定されないが、アクロフロキサシン、アモキシシリンとクラブロン酸との配合剤(すなわち、オウグメンチン)、アミカシン、アムプリシリン、アパルシリン、アプラマイシン、アストロマイシン、アルベカシン、アスポキシリン、アジドジリン、アジスロマイシン、アズロシリン、バシトラシン、ベンザチンペニシリン、ベンジルペニシリン、カルベンシリン、セファクロル、セファドロキシル、セファレキシン、セファマンドール、セファパリン、セファトリジン、セファゾリン、セフブペラゾン、セフカペン、セフジニル、セフジトレン、セフェピム、セフェタメ、セフィキシム、セフメタゾール、セフミノックス、セフォペラゾン、セホラニド、セフォタキシム、セフォテタン、セフォチアム、セフォキシチン、セフピミゾール、セフピラミド、セフポドキシム、セフプロジル、セフラジン、セフロキサジン、セフスロジン、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、クロラムフェニコール、クロルテトラサイクリン、シクラシリン、シノキサシン、シプロフロキサシン、クラリスロマイシン、クレミゾールペニシリン、クリンダマイシン、クロキサシリン、ダプトマイシン、デメクロサイクリン、非キノロン、ジベカシン、ジクロキサシリン、ジリスロマイシン、ドキシサイクリン、エノキサシン、エピシリン、エリスロマイシン、エタンブトール、フレロキサシン、フロモキセフ、フルクロキサシリン、フルメキン、フルリスロマイシン、ホスホマイシン、ホスミドマイシン、フシジン酸、ガチフロキサシン、ゲミフロキサチン、ゲンタマイシン、イミペネム、イミペネムとシリスタチンとの配合剤、イセパマイシン、イソニアジド、ジョサマイシン、カナマイシン、カスガマイシン、キタサマイシン、ラタモキセフ、レボフロキサシン、リンコマイシン、リネゾリド、ロメフロキサシン、ロラカルバフ、リメサイクリン、メシリナム、メロペネム、メタサイクリン、メチシリン、メトロニダゾール、メズロシリン、ミデカマイシン、ミノサイクリン、ミオカマイシン、モキシフロキサシン、ナフシリン、ナフシリン、ナリジキシン酸、ネオマイシン、ネチルマイシン、ノルフロキサシン、ノボビオシン、オフラキサシン、オレアンドマイシン、オキサシリン、オキソリン酸、オキシテトラサイクリン、パロマイシン、パズフロキサシン、ペフロキサシン、ペニシリンG、ペニシリンV、フェネチシリン、フェノキシメチルペニシリン、ピペミド酸、ピペラシリン、ピペラシリンとタゾバクタムとの配合剤、ピロミド酸、プロカインペニシリン、プロピシリン、ピリメタミン、リファブチン、リファミド、リファンピシン、リファマイシンSV、リファペンテン、ロキタマイシン、ロリテトラサイクリン、ロキシスロマイシン、ルフロキサシン、シタフロキサシン、スパルフロキサシン、スペクチノマイシン、スピラマイシン、スルファジアジン、スルファドキシン、スルファメトキサゾール、シソマイシン、ストレプトマイシン、スルファメトキサゾール、スルフイソキサゾール、シネルシド(キヌプリスタンとダルフォプリスタンとの配合剤)、タイコプラニン、テリスロマイシン、テモシリン、テトラサイクリン、テトロキソプリム、チアンフェニコール、チカルシリン、チゲサイクリン、トブラマイシン、トスフロキサシン、トリメトプリム、トリメトレキサート、トロバフロキサシン、バンコマイシンおよびベルダマイシン、または他の既知の抗生物質を、本発明の組成物、方法およびキットで用いることができる。
【0085】
f.色素。色素を、例えば美容目的のために、着色を加えるために用いることもできる。色素は、他の色素を隠すために、例えばタトゥーを隠すために加えることができる。本組成物は、有色のタトゥーを効果的に隠すために肌色に一致する材料を用いることができるように、十分に濃く、かつ不透明であることができる。着色の他の目的、例えば白斑または他の皮膚着色問題の治療は、適当な色素を含む本組成物および方法で治療することができる。色素は、さらなる美容目的のために、または、復元的組織増強のために加えることができる。
【0086】
g.酵素阻害剤または酵素。関連する成分の分解を阻止する傾向がある酵素阻害剤、例えば、コラゲナーゼ活性を阻止することが可能なプロテアーゼ阻害剤およびヒアルロニダーゼ活性を阻止することが可能なヒアルロニダーゼ阻害剤が含まれてもよい。代わりに、制御された生分解性が所望であるならば、制御された分解のための酵素阻害剤が、特定の徐放性プロフィールを有する方法(例えば、組織増強組成物の一部として徐放性媒体中へ封入すること)で含まれてもよい。さらなる代替方法において、組織増強体の選択的な分解は、生体適合性分解剤、例えば生分解を早める酵素を用いて開始することができる。
【0087】
h.材料の組合せ。さらに、本組成物および方法と一緒に、患者は、シリコーンまたは他の予め凝固させたポリマーを含む組織増強のための材料の組合せを用いることができる。いくつかのそのような材料が、例えば、Baumann、Cosmetic Dermatology、Principles & Practice(2002年、McGraw−Hill、New York、ISBN 0−07−136281−9)の第19章、155〜172頁で見られる。
【0088】
4.重合、架橋および開始剤
所定の結果を達成するために型を用いて最初の注入後に成形可能な硬軟度が望まれるが、臨床医が処置を完了した後に、増強領域が成形性であり続けることは一般的に望まれない。インサイチュ架橋(および/または重合)は、剛性を高くするために用いることができる。したがって、個体の顔または体の造形のために、架橋および/または重合は生理条件で起こることができる。
【0089】
適当な架橋条件は、重合させるモノマーの化学構造、重合後のヒドロゲルの所望の機械的および残存性特性、および、下記のおよび当技術分野でさらに公知である他の考慮事項に基づいて選択される。一部の実施形態では、架橋は約100〜1500nmの波長の光の照射によって起こり、長波長紫外線領域または可視領域の場合ならば320nm以上であり、約514または365nmでよい。一部の実施形態では、架橋は生理的範囲の温度(例えば、約37℃)で起こり、一部の実施形態ではより暖かいか低い温度で、例えば、皮膚の表面もしくは皮膚表面直下の温度で、または、用いる開始剤および所望の結果に従い所定の温度で起こる。一部の実施形態では、架橋は化学的活性化物質(光活性化物質ではなく)によって化学的に活性化されて、単官能基、ヘテロ二官能基、およびホモ二官能基の架橋剤の重合を引き起こす。例えば、ヘテロ二官能基の架橋部分は、片方の反応末端にNHSエステルまたは他の活性エステル官能基を有し、反対側末端にスルフヒドリル反応基を有する架橋剤の中から選択することができる。スルフヒドリル反応基は、例えば、マレイミド、ピリジルジスルフィドおよびα−ハロアセチルから選択することができる。他の多くのスルフヒドリル反応基が当技術分野において公知であり、任意の適当なスルフヒドリル反応性部分を用いることができる。さらに、他の直交反応種が当技術分野で公知であり、本発明のヘテロ二官能基架橋剤での使用のために選択することができる。一部の実施形態では、重合は、体温、適当な化学部分相互作用条件および適当な光条件などの条件で起こる。
【0090】
一般に、ヒドロゲルは、架橋して相互貫通網目構造を形成するために官能基化された親水性骨格を含む。モノマーに関係なく、重合後の材料は、架橋の存在のためにインサイチュでより固体状の硬軟度を有する。架橋はより強い凝固(またはゲル化)をもたらし、ヒドロゲルを含む分子の間の架橋が多いほど、ヒドロゲルはより「固体」状になる。
【0091】
増強する組織の中またはその上への投与の前または後に、部分的にだけ選択的に凝固させることができる。本明細書で企図されるように、材料は柔軟であるが完全に不定形でないように、型の下で、投与のための成形性または粘性流体材料を有することが有利であろう。
【0092】
架橋の程度および型は、重合させる材料の物理的特性を調整するために操作することができる。また、用いることができるモノマーの一部(例えば、PEG)は、様々な長さ/質量であることができ、これらも、重合後の材料の物理的特性を変化させるために変えることができる。
【0093】
架橋は、二個以上の分子を共有結合で化学的に連結する過程である。当技術分野で公知であるように、架橋試薬は、タンパク質または他の分子上の特定の官能基(一級アミン、スルフヒドリル、など)に対する反応性末端を含む。架橋剤は、ホモ二官能性またはヘテロ二官能性であることができる。ホモ二官能性の架橋剤は、2つの同一の反応基を有する。ヘテロ二官能性の架橋剤は、逐次的(2段階)共役を可能にする2つの異なる反応基を有し、望ましくない重合または自己共役を最小化するのを助ける。立体効果によって架橋のための可能な反応位置の間の距離が決定されるので、しばしば異なるスペーサーアーム長が必要である。
【0094】
所望の架橋試薬の種類を選択することができる。例えば、感温性の反応基および感光性の反応基との使用のために、ヘテロ二官能性の架橋部分を選択することができる。
【0095】
a.化学的架橋。化学的架橋は、それらに限定されないが、連鎖(付加)重合、段階(縮合)重合および、ポリマー/オリゴマーの分子量を非常に高い分子量に増加させる他の方法を含む、いくつかの手段によって達成することができる。連鎖重合には、それらに限定されないが、フリーラジカル重合(熱、光、酸化還元、原子移動重合、など)、カチオン重合(オニウムを含む)、アニオン重合(基移動重合を含む)、ある種の配位重合、ある種の開環、および複分解重合などが含まれる。
【0096】
段階重合には、それらに限定されないが、親電子試薬と求核試薬との反応、ある種の配位重合、ある種の開環、および複分解重合などを含む、段階成長動力学に従う全ての重合が含まれる。ポリマー/オリゴマーの分子量を増加させる他の方法には、それらに限定されないが、高分子電解質形成、グラフト、イオン架橋などが含まれる。
【0097】
ヒドロゲルの中では、どの型の架橋が所望であるかによって、様々な架橋性の基が当業者に公知であり用いることができる。例えば、ヒドロゲルは、二価カチオン金属イオン(例えばCa2+およびMg+2)の、イオン多糖、例えば、アルギナート、キサンタンガム、天然ゴム、寒天、アガロース、カラゲナン、フコイダン、フルセララン(furcellaran)、ラミナラン、ヒプニア(hypnea)、ユーケウマ(eucheuma)、アラビアゴム、ガッチゴム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ハリエンジュのビームゴム、アラビノガラクタン、ペクチンおよびアミロペクチンとのイオン相互作用によって形成することができる。多官能性カチオンポリマー、例えばポリ(t−リジン)、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリグアニジン、ポリビニルアミンは、骨格に沿って複数のアミン官能基を含み、イオン架橋をさらに誘導するために用いることができる。
【0098】
疎水性相互作用は、ポリマー溶液の粘度、沈殿またはゲル化の増加を誘導する、特にポリマーでの物理的絡合いを誘導することがしばしばできる。水溶性および不溶性ポリマーのブロックおよびグラフトコポリマー、例えばポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンとポリスチレン、ポリカプロラクトン、ポリブタジエンなどとのコポリマーは、そのような効果を示す。
【0099】
ポリ(N−アルキルアクリルアミド)のような他の合成ポリマーの溶液も、熱回復行動を示し、加温で弱い物理的架橋を示すヒドロゲルを形成する。第1の成分(他の成分の中で)が約8〜9の高められたpHでポリアクリル酸またはポリメタクリル酸からなり、他の成分(他の成分の中で)が酸性pHでポリエチレングリコールの溶液からなるように2成分水溶液系を選択することができ、その結果、インサイチュで2つの溶液を組み合わせると物理架橋のために粘度が急増する。
【0100】
モノマーの重合のための他の手段は、組織の中、上または周辺に自然に存在する可能性がある、アミン、イミン、チオール、カルボキシル、イソシアネート、ウレタン、アミド、チオシアネート、ヒドロキシルなどの官能基に対して活性を示す基を含むモノマーで、有利に用いることもできる。
【0101】
他の手法は、架橋を阻止する保護基の除去によって架橋させることである。このように、反応基は存在することができるが、当技術分野で公知である手段によって化学的に効果的に阻止することができる。これらの阻止基の除去により、架橋が利用できる反応基が曝露される。この除去は、ヒトにおいてインサイチュで、例えば生体適合性の試薬または条件への曝露によってなすことができる。
【0102】
代わりに、そのような官能基は任意選択で組成物の一部のモノマーに前もって提供することができるので、反応基を形成するために誘導体化する必要はない。この場合、重合の外部開始剤は不要であり、部分を含む2つの相補性の反応官能基が適用部位で相互作用するとき、重合は自発的に進行する。
【0103】
望ましい架橋性の基には、(メト)アクリルアミド、(メト)アクリレート、スチリル、ビニルエステル、ビニルケトン、ビニルエーテルなどが含まれる。一部の実施形態では、エチレンで不飽和の官能基を用いることができる。化学結合を含むか含まない他の種類の架橋は、化学機構または物理機構によって開始することができる。インサイチュまたは他の様式での架橋は、機械的に、例えば機械的に相互接続することによって達成することができる。
【0104】
架橋は組織増強流体材の固有の化学組成を通して形成することができ、UV−可視光分光法によって監視されるように、低強度の365nmUV光への曝露後、および、光重合開始剤または触媒の非存在下で、p−ニトロケイ皮酸ペンダント基(ゲル−NC)を有するゼラチンは数分で架橋し、ゼラチンベースのヒドロゲルになることができる。
【0105】
b.光重合開始。組織増強組成物は官能基化された部分を含むことができ、本明細書で「光開始性」または「光重合」とも呼ぶ光活性化架橋を可能にする。架橋反応を開始するために、光重合開始剤(適当な波長の光照射後にラジカルを形成する)を用いて、「ラジカル」として知られる単一電子化学種を形成しなければならない。次に、ラジカルはその不安定な単一電子種を化学反応基の1つへ移すことができ、その反応基を反応性にする。次に、ラジカル化された基は、ラジカル化されない基との反応によってエネルギー的により安定することができ、このように共有結合を形成する。次に連鎖反応が進行し、そこでは、ラジカルが結合から結合に移動し、溶液中のモノマーからのポリマー網目構造の急速な形成を引き起こす。
【0106】
光重合開始剤部分は、当技術分野で公知である長波紫外(LWUV)光による活性化が可能な分子、例えば4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ハイドロキシチオキサントンおよびビニルオキシメチルベンゾインジメチルエーテル;アクリジンオレンジ、エチルエオシン、エオシンY、エオシンB、エリスロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニンおよびキサンチン色素などの可視光による活性化が可能な分子、ならびに4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物などの熱による活性化が可能な分子から選択することができる。
【0107】
ヒト皮膚については、400〜550nmの可視スペクトルの光が、EMスペクトルの紫外部の光よりも効果的に浸透する。したがって、組織増強のための特にヒドロゲルの架橋の経皮的光開始のために、約400〜約550nmを所望の開始波長として選択することができ、用語「約」は、架橋のためにヒドロゲル(または他の組織増強流体材)に到達するために十分に対象ヒト皮膚を透過することができる光の範囲を示す。劣った皮膚透過特性の波長(例えば、UV光)を用いることを試みることもできるが、ヒト皮膚は大部分のUV光子を吸収するという事実から、これらの波長のより高いフォトニックエネルギーにもかかわらず、より長時間の照射が必要であろうと予想される。
【0108】
例えば、光開始架橋のためのポリエチレンオキシドジメタクリレートヒドロゲルは、ポリエチレングリコールジアクリレート(例えば、PEGDA;Nektar(旧Shearwater)社、Huntsville、AL、USA)を無菌のリン酸緩衝食塩水に加えることによって調製することができる。光重合開始剤、例えばIgracure 2959(Ciba Specialty Chemicals社、Tarrytown、NY、USA)は、長波長365nmのUV光で光重合開始のために加えることができる。任意選択で、ヒドロゲル重合反応が表面とヒドロゲル網目構造との間に共有結合を形成するように、組織表面を前官能化させることができる。好ましくは、ヒトおよび動物での使用のために、光重合開始剤は毒性でない。
【0109】
流体の組織増強体が、例えば光ファイバー手段によって、例えば関節鏡検的に置かれる深さまで光を送達しようとすることができる。光ファイバーまたは他の光源を、流体の組織増強材の例えば注入により、流体の組織増強材の投与と同時にまたは順番に挿入することができる。
【0110】
B.三次元形状のための型
本発明は、本組織増強材の形状を前もって決定するために型を使用する手段も提供する。(用語「型」は、本明細書で構造ガイドを意味するために用いられ、それは、皮膚/真皮に注入される流体が型によって形成される空洞に皮膚を拡張させるように皮膚の外側に適用され、それによって光重合の前にインサイチュで流体の形状を導く任意の適当な材料、例えばプラスチックで作製することができる。)上記したように、所望の形状を達成するために移植片がex vivoで成形されているが、増強組織の最終的な形状は予め決定されない。顔の幾何構造は特に複雑であるので、自然に見える、美学的に気持ちの良い顔の幾何構造を保証する型の使用が、組織増強の分野で特に必要である。上で示すように、本組織増強材はインサイチュで凝固させること(または、所定の固体もしくはゲルの状態に選択的に凝固させること)ができるので、注入領域の上に型を置くことにより、プロバイダーは射出成形技術を用いて増強組織の形状を前もって決定することができる。
【0111】
1.経皮光開始重合のための透過性
注入された皮膚充填剤/組織増強材が光を用いて架橋させられる場合、型は、重合を活性化するために用いる光の波長に透過性であるべきである。経皮重合のために、光は皮膚を通過して注入された充填剤を重合させる。例えば、約400〜約550nmの可視波長は、ヒト皮膚を効果的に透過し(波長は、対象ヒト皮膚の質によって決まる)、したがって、型、皮膚および/または下の組織を通してのこれらの波長の伝達を確実にするために、光励起性官能基の選択を考慮しなければならない。UV光はヒト皮膚をあまり透過しない波長を有するが、UV光子は光化学を開始するために優れている。したがって、UVを用いる状況(例えば、皮膚がUV光透過をあまり減弱させない領域)があり得、したがって、型がUV光子に対して透過性であることが必要とされる状況があり得る。光波長伝達について任意の特定の材料を実験的に試験することができる。さらに、ヒトの皮膚は通常、厚さが約1mm〜約4mmであるとすると、注入材料が重合させられる皮下組織への透過についてさらに実験的に試験することができる。
【0112】
架橋を開始するために用いる光が光カテーテルによって送達される場合、用いる型は、経皮光開始架橋を可能にするために透過性である必要はない。
【0113】
注入可能な組織増強充填剤が、それに対して不溶性ポリマーマトリックスへの可溶性モノマーのインサイチュ架橋を通して造形される、標準化された型を前調製することができる。例えば、あご増強体のためには、小さな二重丘の型(すなわち、2つの対称形の脂肪褥突出物の間の割れ目を含むヒトあごの形をしたプラスチック型)が必要であろうし、医者は手元に標準化された形状のライブラリを有し、患者の顔の上で工作する所望の形状に最も適合するものを選択することができる。
【0114】
しかし、よりカスタマイズされた用途のためには、患者に基づいて専用設計の型を前調製することができる。
【0115】
例えば粘土または他の造形材料を用いて増強する体表の「雌型」マスクを作製し、次にそのマスクから「雄」型(美的矯正の前の患者の顔の外見)を作製し、美的矯正の間にその「雄型」を修正して、患者の体表(例えば、彼らの顔)に置く新しい形状を含む「編集された」新しい表面を作製するために、標準的な「型製作」技術(例えば、アルギナートを用いるもの)を用いることができる。次に、修正された「雄型」をガイドとして用いて、最終的な「雌」型が製造される。この最終的な型は、美的矯正の形状を調節するために用いることができる。経皮光開始架橋を用いる場合は、最終的なマスクは光重合開始のために用いる光子に対して透過性であるべきである。
【0116】
2.コンピュータ画像形成プログラム
コンピュータ画像形成プログラムにより、組織増強/皮膚充填措置を受ける予定の体表などの表面の三次元座標をデジタル化することができ、コンピュータベースのプログラムは、例えばデジタル情報を変化させて、美的矯正の実施後の三次元表面顔組織の所望の結果に適合させるために用いることができる。キャド(「CAD」)は、治療される体表のデジタルモデルを構築するために用いられる。これらのデータは、患者の所望の特徴の「雌型」または凹面の形をしたプラスチック型を作製するために三次元データを用いる、迅速プロトタイピングのために用いることができる。
【0117】
三次元座標は、表面をスキャンすることによって得ることができる。スキャナはレーザーなどの光学式でよく、または、触感もしくは音波などの他の型でもよい。理想的には、精密な型の確実性、したがって、治療の予測可能な結果を確実にするために、走査解像度は10ミクロン〜100ミクロンの範囲にある。スキャナの型に関係なく、データは3次元座標(「3D座標」)としてコンピュータ記憶可能な形態、例えば、デジタル化された形態である。一般的に、コンピュータプログラムはスキャン源から情報を得、そのような情報を3つの座標、x、yおよびz軸にデジタル化する。これらの場は、スキャンされた表面の他の点と比較した、空間におけるその点の位置、例えば高さ、長さおよび深さを反映する。
【0118】
コンピュータプログラムは写真測量のために、例えば三次元表面の写真座標をデジタル化するために存在する。ヒト(または他の不規則形状の物体)の表面の三次元座標のために、これらのプログラムは、保安および法の執行の分野の生物測定学領域で利用できる。例えば法科学において、「形態学的フィンガープリント」では、傷のある犯罪被害者などの表面の三次元が記録される。CAD、すなわちキャドは、傷の三次元態様を疑わしい武器と照合して、その傷がその武器に起因する可能性があるかを判断することができる。
【0119】
さらなるデータを記録して、所望の表面形状の三次元座標と併合することができる。例えば、プロバイダーは、最も非柔軟性のポリマー材は骨に最も近く、より可塑性/皮膚様の材は皮膚表面のより近くにある、骨の上の層状のポリマー材の異なる密度の勾配を望むことができる。非観血的に、および任意選択でコンピュータ可読の様式で得られる内部情報は、異なる密度の架橋ポリマーの処方を示すアルゴリズムを可能にする。体の中で最も深いゾーンは、皮膚の表面により近い領域には不適当である異なる組成物を、例えば粒子状物質のものを受け入れることができる点で、内部情報は帯状の流体組織増強を可能にすることができる。
【0120】
この内部および外部の情報は、美的矯正を媒介するために必要な注入液体の量を推定するために用いることができる。または、そのような情報は、液体充填剤を注入する深さを決定し、架橋開始波長を調節するために用いることができる。例えば、組織増強が受傷後の組織再構成のためならば、骨の深さまたは内部の傷形状を測定するために放射線学データ量スキャン(例えば、CT、MRI)を用いることができる。
【0121】
生物測定コンピュータプログラムの民間の供給元としては、A4 Vision社、840 West California Ave. Suite 200 Sunnyvale、CA 94086がある。ヒトの三次元形態情報のデジタル化を可能にするコンピュータプログラムの他の民間の供給元は、動画領域である。この領域では、三次元物体はデジタル情報に「翻訳」され、コンピュータプログラムは、基本的に、照明、陰影、運動および他の任意のパラメータに関連するアルゴリズムに基づいて、ユーザインタフェースで情報を「埋め込む」。例えば、Pixar Animation Studios、Emeryville Californiaは、動画製作者その他による利用のために、写真のようにリアルな翻訳プログラムを提供する。
【0122】
3.有形の型製造
有形の型を調製するために、迅速プロトタイピング技術を用いることができる。これは、通常、三次元座標に従って型を調製する装置を制御するために三次元座標を用いるための、コンピュータベースの方法によって実施される。これは、インクジェットまたは他の沈着技術によって一般になされる。好ましくは、組織増強組成物の経皮光開始架橋のために、型は架橋の開始のために用いる光の通過を可能にし、したがって、適当な波長に対して透過性である。流体の組織増強材の注入を可能にするために、型は小さな開口部を有するか、または、流体の組織増強組成物の添加/注入のために針注入器(または他の装置)が型を貫通することを可能にするのに十分軟質である。型の凹面は、組織増強の所望の結果の形である。
【0123】
4.仮想の型
非有形の情報を、インサイチュで組織増強を誘導するために用いることができる。コンピュータ可読のデジタル情報は、多くの方法で可視化することができる。プロバイダーは、組織増強処置の間のレーザーもしくは他の光表示器などの電気表示器の利用など、電気ガイドを用いることができる。
【0124】
III.組織増強組成物の調製および使用方法
本注入可能な組織増強組成物および方法のための企図される材料は、侵襲性の外科的技術、例えば固体移植片によって必要とされる技術の必要なしで体内に置くために十分に不定形であるものとする。流体または液体の材料は、いくぶんゲル状またはペースト状でよく、成形されると形を形成することが可能である。好ましくは、組成物は、従来の注射器具または、皮下注射のために医学的に許容される針を含む他の注射器型装置を用いて注入可能である。場合によっては、本組成物は、好ましくは、それらの全体的な完全性、例えば予め凝固させたポリマー構造を注入後でさえ維持し、針の中を通過することによる機械的剪断力のために完全性を失うことはないものとする。
【0125】
A.凝固時間
組織増強材が所望の最終形状を維持するために、本発明は、インサイチュで生理条件下での選択的凝固を可能にする。理想的には、不要な凝固、すなわち、組成物の第2成分への架橋を最小にするように、処方される条件セット(例えば、露光)の下で1つの成分だけが凝固する。本組成物の凝固は、完全な凝固を必要としない。凝固の結果ゲルになる場合は、それは弾性または脆弱性でよい。
【0126】
一般に、ヒトの顔の造形のために、ほんの数分での固さの増加を可能にする組成物/凝固系が選択される。本発明の方法では、凝固の増強を達成する時間は、10、9、8、7、6、5、4、3、2分未満であり、1分未満でもよい。
【0127】
凝固の時間は、通常、少なくとも以下の変数、すなわち、重合開始剤系、架橋密度、モノマー上の反応性架橋基の化学反応性、モノマー分子量および溶液中のモノマー濃度を変えることによって影響を受けるか、またはそれらによって変更することができる。より高い架橋密度は、通常、凝固の過程を促進し、それによって時間を短縮し、より低い分子量は、時間を長くする。より高いモノマー濃度は、過程を促進する。
【0128】
B.組織増強組成物の機械的および残存性特性を変更する
残存性および物理的特性は、本組織増強組成物の特定の用途に従って変更することができる。
【0129】
C.残存特性を変更する
組織増強組成物の残存特性は、(a)機械的分散および(b)化学的分解のその速度を制御することによって選択することができる。発明のヒドロゲルを形成するモノマーまたはポリマーサブユニットは、全体の組織増強材が分解可能であるように構築することができる。理想的には、ヒトまたは動物での使用のために、インサイチュで分解後に、分解生成物は悪影響を引き起こさない。
【0130】
周囲の組織は経時的に変化するので、制御可能な分解または浸食も重要である。このように、1つの年齢での組織増強は自然に見えるかもしれないが、周囲の組織は外観的に変化する可能性があり、したがって、そのように増強された組織の外観を変化させる。骨は、分解過程を経る可能性がある。周囲の筋肉は引き伸ばされるかまたは減少する可能性があるので、筋肉分解を阻止するかまたは筋成長を促進する組成物の投与を選択することができる。そのような組成物は同時投与するかまたはある期間にわたって個別的に投与することができるので、組織増強材は、周囲の組織が実質的に変化しないことから自然な外観を維持する。
【0131】
制御可能な浸食プロフィールは、例えば薬物送達のために用いることができる。骨の分解を予防するかまたは元に戻す組成物、例えば破骨細胞阻止剤または骨芽細胞促進剤の投与を望むことができる。
【0132】
ヒドロゲルの化学構造は、分解の程度(すなわち、完全もしくは部分的な分解)および完全もしくは部分的な分解までの時間に関して特異的な分解特性を有するように設計することができる。
【0133】
生物分解性ヒドロゲルは、生物分解に感受性の結合、例えば、エステル、アセタール、炭酸、ペプチド、無水物、オルソエステル、ホスファジンおよびリン酸エステル結合によって共有結合的に連結するポリマーまたはモノマーで構成することができる。
【0134】
制御可能な浸食のために、親水骨格の中で、ある状態、例えば水分吸収に到達すると解離または脱架橋する領域を調製することができる。
【0135】
酵素的分解または制御された耐久性のための他の手段のために、ペプチドまたはタンパク質部分を含めることができる。酵素分解可能な結合には、ポリアミノ酸、ゼラチン、キトサンおよび炭水化物が含まれる。
【0136】
例えば、分解可能な領域は、グリコリド、ラクチド、εカプロラクトン、他のヒドロキシ酸のポリマーおよびオリゴマー、ならびに、非毒性であるかまたは体内に正常な代謝産物として存在する物質を生成する他の生物分解性ポリマーであることができる。ポリ(α−ヒドロキシ酸)は、ポリグリコール酸、ポリ(DL−乳酸)およびポリ(L−乳酸)である。
【0137】
他の有用材料には、ポリアミノ酸、ポリ無水物、ポリオルソエステル、ポリホスファジンおよびポリリン酸エステルが含まれる。例えばポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)およびポリ(γ−ブチロラクトン)などのポリラクトンも有用である。
【0138】
D.熱応答性
本ヒドロゲルは、例えばある温度に達すると分解するように、熱応答性にすることができる。これは、復元可能残存特性のために役立つことができ、例としては、顔が老化するに従い注入可能な移植片態様を「やり直す」ことができるように、本発明の組織増強組成物をインサイチュで「融解」するための熱の使用がある。
【0139】
E.機械的特性を変更する
患者内の組織増強材の物理的特性は、かなりの考慮事項である。より弾力的な構造はより大きな機械的動作を可能にするので、ある領域では、その材料は弾力性のより小さい材料よりも自然に見せることができる。しかし、より弾力的な材料は残存性が低い可能性があり、体の中で所望の持続期間を有することができない。材料の組成および形を選択することによって、残存性および機械的特性の所望の組合せを選択することができる。
【0140】
重合してヒドロゲルを形成するモノマーの構造、またはモノマー間の架橋のために用いられる結合の性質を変更することによって、引っ張り強度または剪断強度などの物理的特性を調整することを求めることができる。物理的特性を変更するために、組成物を変更することを選択することができる。形成されるヒドロゲルの堅さは、親水性/疎水性の均衡によって一部決定され、より高い疎水性の割合はより堅いヒドロゲルを提供する。堅さは、架橋密度(より高い架橋密度はより堅いヒドロゲルを生成する)、モノマー分子量(より低い分子量はより堅いヒドロゲルを提供する)および架橋長(より短い架橋はより堅いヒドロゲルを生成し、架橋試薬結合アームを用いることはより小さい剛性を生むことができる)によっても決定される。ヒドロゲルの膨脹は、架橋密度に逆比例する。通常、無膨張または最小限の膨脹が望ましく、望ましくは約10パーセント未満である。形成されるヒドロゲルの弾力性は、架橋間の距離を増加させること、および架橋密度を(例えば、リンカーアームによって)低下させることによって高めることができる。不完全な架橋も、より弾力的なヒドロゲルを提供する。好ましくは、ヒドロゲルの弾力性は、組成物が挿入される組織の弾力性に実質上一致する。
【0141】
架橋を含む化学結合の性質を変更することにより、ヒドロゲルに異なる機械的特性を付与することができる。例えば、一部のヒドロゲルにおいて、共有結合性架橋の密度を高くすることにより弾力性を高くすることはできるが、より脆弱なゲルを生む。イオン架橋の密度および架橋間の距離を同時に増加させることにより、弾力性および強靭性を高くすることができる。イオン架橋およびそれらの長さは、部分的および段階的脱架橋による形状ひずみエネルギーを放散させる際に重要であろう。共有結合架橋ゲルは、エネルギー蓄積過程を経る可能性があり、したがって、あまり弾力的ではないかもしれない。
【0142】
組織内では、障害物が動作を制限する。組織増強が比較的不動性の場所、例えば、あごにある場合、1つの機械的特性を望むことができる。しかし、組織増強がより頻繁な機械的応力にさらされる領域、例えば頬、唇および口領域または眼域にある場合、最終的な機械的特性はより弾力性であるべきである。
【0143】
このように、比較的継続的な動作を受けない領域、例えば頬もしくはあご骨の上、または、鼻橋にある本組織増強組成物は、動作を阻害する固体物体を有しない場所、例えば唇もしくは口領域または眼域の一部におけるそれらよりも、長く残存することができる。
【0144】
F.残存特性
残存特性は、機械的特性に関連する可能性がある。例えば、架橋ヒドロゲル/皮膚充填剤組成物は、時間とともに不安定になる可能性があるが、量的減少には至らず、むしろ、連続的な機械的力が加えられることによって促進される変形が起こる。これは、「クリープ」と呼ばれる。クリープは、応力sが加えられるときに試料が発生する時間依存性の歪みg(t)と定義される。
【0145】
クリープの量は、試料のコンプライアンスJ(t)によって決まり、それは、応力と歪みとを
g(t)=sJ(t)
(時間の経過に伴う歪み)=(時間の経過に伴うコンプライアンスに対する応力)
と関連付ける。
【0146】
完全に弾力的な材料については、コンプライアンスはモジュラスの逆数である(すなわち、より固くない材料はより追従的である)。しかしほとんどの試料については、これらの関数の異なる時間依存性はより複雑な関係をもたらす。
【0147】
クリープは容積の変化をもたらさず、単に材料の再配列である。十分なエネルギーがポリマー系に導入される場合に、ポリマー成分のまさにその性質が鎖間運動を、およびその後一部の流動を可能にする。このように、クリープを完全に除去することはできない。しかし、クリープを最小にする方法は存在する。
【0148】
代わりに、架橋はクリープをもたらすことができる大きな鎖運動を最小にし、時間の経過に伴うコンプライアンス(弾力性)を効果的に低下させる。ポリマー分子が加荷重の影響の下で流動し、もつれた分子の巣を効果的に再配置しようとするので、架橋系は当初はクリープ現象を起こす。しかし、それらが架橋に対してきちんと引き伸ばされたならば、それ以上の流動は不可能であり、クリープは停止する。
【0149】
数名の研究者は、架橋ポリマー移植片の日常観察を報告しているが、最初のクリープ現象は、しばしば「ベッドイン」期間と呼ばれるインビボサービスの初年度に観察されるが、この時点から後にはそれ以上のクリープ現象は観察されない。しかし摩耗は続く可能性があり、しばしばクリープとして現れる。しかし、摩耗は結果として容積減少をもたらす。
【0150】
注入可能な溶液の可塑性(固さ)は、「硬度」を測定するレオメータを用いて前もって決めることができる。体の各部分は、多かれ少なかれ可塑性/固さを必要とする。このように、より柔らかい組織を必要とする領域(例えば、乳房または頬)よりも大きな固さを必要とする領域(例えば、鼻)のためには、より多くの架橋を有する組成物が設計される。
【0151】
IV.美容的および治療的な使用の方法
本組成物および方法は、美容目的のために組織を再構成するために一般に用いることができる。組織増強には、それらに限定されないが、以下のものが含まれる。特に顔および首における、皮膚の組織増強、ライン、ひだ、しわ、軽微な顔の陥没、口唇裂およびその他の充填、手および足、指およびつま先のものを含む加齢または疾患による軽微な奇形の修正、言葉を回復させるための声帯または声門の増強、睡眠線および表情線の皮膚充填、加齢のために失なわれた皮膚および皮下の組織の置換、唇の増強、目尻のしわおよび目の回りの環状溝の充填、乳房または陰茎の増強、あごの増強、頬および/または鼻の増強、例えば過度の脂肪吸引または他の外傷による、皮膚または皮下の軟組織の窪みの充填、にきびまたは外傷性傷跡およびしわの充填、乳房および/または臀部の充填、鼻唇溝、鼻眉間のラインおよび口下ラインの充填。また、美容目的または修復目的の顔の骨の増強などの骨増強、および美容目的または修復目的の鼻軟骨の増強などの軟骨増強も含まれる。
【0152】
例えば、あご、頬、鼻、下顎、乳房、胸部および足/ふくらはぎなど、さもなければ硬質のまたはゲルのシリコーン移植片が美的目的のために用いられる組織増強を望むことができる。より凝固した組織増強材が望まれるであろう唇の部分への増強も、企図される。
【0153】
組織増強が、顔のしわ、弛緩性皮膚ならびに骨および筋肉の質量の減少などの、加齢による徴候を打ち消すことを求めることができる。
【0154】
治療目的には、付加的脂肪組織よりむしろ脂肪減少を含む一種のリポジストロフィーである脂肪組織萎縮が含まれ、それは、脂肪組織の菲薄化に起因する障害であって、単独ではないがしばしば、HIV陽性患者の高活性抗レトロウイルス療法(HAART)と結びつけられる。この障害は顔領域(頬、眼窩、こめかみ)で最も明白であり、しばしば、重度の社会的標徴存在になる。本発明は、漿液腫予防にも役立つ。
【0155】
本材料および方法を、非生存対象のために、例えば、埋葬または法医学目的のために死体の美的な体再構築において用いることもできる。
【0156】
V.キット
本発明は、組織増強のためのキットを提供する。第1の容器は、本明細書の組成物のいずれかを含むか、基本的にそれからなるか、またはそれからなる。
【0157】
例えば、第1の容器は、生理条件下でインサイチュで固さを増すことが可能な組織増強材、例えば、経皮光重合を可能にする部分を含むヒドロゲル形成材料を含むか、基本的にそれからなるか、またはそれからなることができる。
【0158】
この第1の容器は、顔で組織を増強する、すなわち顔の造形をするプロバイダーにとって都合がよい大きさを保つために十分な量を有することができる。例えば、第1の容器は、500mL未満、100mL溶液、20mL溶液、10mL溶液または5mL溶液を保持するようになされていることができる。医療提供者に便利なように、この第1の容器は、「予充填された注射器」と製造業者が呼ぶ、増強する組織に材料を注入するのに適当である注射器でよい。
【0159】
第1の容器は、例えば実質的に架橋を予防することによってヒドロゲル形成組成物の完全性を保存するべきである。第1の容器は、例えば、光開始性架橋反応が開始することがないように、光不透過性材料で作製することができる。
【0160】
キットは、本明細書で列挙されるもののような皮膚充填組成物を含む第2の容器を含むことができる。例えば、第2の容器は、第1の容器の組成物と架橋することが実質的にできないヒアルロン酸組成物を含むことができる。第2の容器は、予充填された注射器でよい。
【0161】
キットは、第1の容器の組成物を第2の容器の組成物と予備混合し、キットで提供することができる第3の容器内で混合することによって、または、組織内の同じ空間に個別的に注入することによって、注入可能な組織増強のために用いることができる。プロバイダーは、予備混合した後に加える(例えば、注入する)ことによるかまたは個別的に加える(例えば、同じ場所への2回の注入)ことにより、第2の組成物に対する第1の組成物の比を変化させることによって、機械的特性または残存性特性を「調整」または変更することができる。
【0162】
本発明に従うキットは、a)光重合するヒドロゲル部分を含む第1の予充填された注射器、およびb)皮膚充填剤を含有する第2の予充填された注射器、および任意選択で透明な型を含むことができ、型の凹面は本体部分の形状である。
【0163】
VI.ビジネス方法
本明細書で開示される方法およびキットは、ビジネスサービスを実施するためにおよび/またはビジネス製品を売るために用いることができる。
【0164】
一部の実施形態では、本発明はキットおよび治療サービスを提供するビジネス方法を企図する。例えば、ビジネスは本明細書で記載される組成物に基づく処方を作成することができる。本明細書のビジネス方法は、次に、本明細書で開示される処方を含むキットを製造することができる。ビジネスでは、治療のためのキットをさらに売ることができる。一部の実施形態では、ビジネス方法は、第三者にキットを製造するライセンスを供与する。一部の実施形態では、本発明のビジネス方法は、本明細書で開示されるキットを商品化する。本明細書の実施形態のいずれかでは、キットは任意選択で使い捨て式である。
【0165】
ビジネス方法は、サービス料と引きかえに治療サービスを提供することを企図する。サービスは、ヘルスケアプロバイダーが患者に直接提供することができる。
【0166】
ビジネス方法は、組織増強サービスのプロバイダーにカスタマイズされた組織増強キットを提供する、コンピュータベースの方法を企図する。
【0167】
本発明は、特定の患者にカスタマイズされた組織増強キットを提供するためのビジネス方法であって、
特定の患者の組織増強領域の所望の形状の三次元座標を含むコンピュータファイルと組織増強材の所望の機械的および残存性特性を含むコンピュータファイルとを受け取るコンピュータに送ることを含み、
そのような情報は、プロバイダーが特定の患者に対して用いるためのカスタマイズされた組織増強キットを調製するために用いられる方法も含む。そのようにして提供されるキットは、所定の組織増強形状のための型、インサイチュで選択的に凝固することが可能で、そのように伝えられたコンピュータファイルに従ってあらかじめ選択された残存性および機械的性質を有する注入可能な組織増強材を含む。
【0168】
他の実施形態では、本明細書の組成物および方法の使用に基づく、財政報酬プログラムのためのビジネス方法が企図される。これは、患者が一般にいかなる形の保険および政府の償還がない医薬の代金を払う、美容皮膚科で特に有益である。したがって、患者のための価格設定感度が重要である。例えば、ビジネス方法は、組織増強購入数またはサービス数のコンピュータファイルを保存すること、およびこの数を財政割引プログラムに関連させる手段、および任意選択でこれをさらに患者またはプロバイダーの購入価格に関連させる手段をさらに含むことができる。
【実施例】
【0169】
以下の実施例は、本発明の組成物および方法をより正確に定義し、可能にするために提供される。この明細書および実施例を読んで理解した後には当業者に明らかになる、本発明を用いる他の多数の実施形態および方法があることが理解される。以下の実施例は、本発明の1つまたは複数の実施形態を例示するものであり、本発明を以下に記すそれに制限するものではない。
【0170】
(実施例1)
組織増強のための型のキャドおよび型の形状に従うインサイチュ重合による鼻の組織増強
この予言的な実施例は、インサイチュで架橋が可能な注入可能な皮膚充填剤を用いて組織増強の所定の結果を得るための、組織増強のための型の調製および使用を例示するものである。本明細書で記載されるように、患者が鼻への組織増強を望む場合の予備形成された型の利用は、段階的に実施することができる。
【0171】
ステップ#1:変化させる組織の現在の3D空間座標を得る。変化させる表面(例えば、患者の鼻)を、光学式走査装置を用いてスキャンする。装置は、コンピュータ装置に連結したデータセット内に、鼻(例えば)の三次元座標を記録する。上で示したように、組織の輪郭に関するコンピュータ可読(例えば、デジタル)情報を得る他の手段、例えば、音波または触感または光プログラム(全体の三次元構造を瞬時に変換するために写真レンズおよび光情報を用いるもの、例えば生物測定コンピュータを利用するもの)が利用できる。
【0172】
ステップ#2:コンピュータ可読のデータファイルを作成する。患者の鼻の三次元座標のデータセットを、その空間位置に関して保存する(例えば、鉛直高さは「x」場、横の長さは「y」場および深さは「z」場)。取得画像を、データファイルに3D座標として保存する。
【0173】
ステップ#3:変化させる組織の所望の形状を反映するように保存した3D座標を変化させるために、CADを用いる。現在のキャドプログラム(「CAD」)では、現在の3Dデジタル化座標を、組織の現在の形状として可視化することができる。開業医は、任意選択で患者との相談で、組織増強後の組織表面の所望の形状を反映するように、3D座標を変化させることができる。例えば、鼻の形状が平らで患者がより高い鼻橋を希望する場合、患者は組織増強材を含む鼻の最終的な形状を選択することができる。
【0174】
ステップ#4:所望する結果の型(美的矯正の3D形状の「雌型」を表す)を、変化させた3D座標のデータに従って製作する。データファイルの内容に従って迅速プロトタイピングプリンターを用いて型を製作するために、コンピュータに基づく3D座標を用いる。型の凹面は、増強後の組織の所定の形状である。所望により、注入された組織増強材の光開始架橋のために適当な波長の光子、例えば約400〜約550nmの可視光波長の透過を可能にするという点で、型は透過性である。光重合開始が光の光ファイバー皮下送達による場合は、型は透過性である必要はない。小さな穴は、組織の適当な領域への組織増強材の注入を実施するために、開業医が針を型に通すのを可能にする。鼻橋を増強する本予言的な実施例において、穴は鼻橋上の位置にあることができる。
【0175】
ステップ#5:組織増強のために型を用いる。任意選択で適当な機械的クランプまたは接着材料で、型を顔に対して保持する。型は、注入および以降の架橋の間、注入材をその場に保持する凹面を形成するのに十分緊密に、表面に接着するべきである。
【0176】
ステップ#6:組織増強形状が内部凹面に合うように、送達穴を通して組織に流体の組織増強材を注入する。材料が皮膚を「膨らませ」、こうして透過性の型の壁と直接接触するまで、材料を注入する。鼻については、一般的に注入のための穴から「はみ出る」ほど十分な組織がないので、流体の組織増強材を有する患者の鼻は型の内側に正確に合う。例えば、紫外線活性化架橋のために誘導体化され、したがって適当な波長の光への曝露により凝固する流体のヒドロゲル前駆体は、生体適合性の皮膚充填剤、例えばa型コラーゲン、ヒアルロン酸またはシリコーンを含む材料と混合することができる。生体適合性の皮膚充填剤、例えばシリコーン含有材料は流体であるが、光重合開始後にヒドロゲルの成分と化学的に反応しない。
【0177】
ステップ#7:流体の組織増強材が注入されると、架橋によりインサイチュでゲル化/凝固が開始される。経皮的光照射を重合の開始のために用いる場合は、透過性の型を所定の位置に保持しながら注入された材料を経皮的に照射するために、適当な外部光源を用いる。例えば、ヒドロゲルを可視光光開始性の架橋のために誘導体化する場合、適当な可視光源を型に対して保持し、型は顔に対して保持する。この場合、型は用いる光源に透過性であるべきで、例えば、適当な波長を透過させることが可能な透過性の型である。光は、公知の手段、例えば光ファイバーまたは関節鏡検を用いて皮膚表面の下に送達することができる。他の状況では、架橋は他の手段、例えば温度、化学的開始剤または当技術分野で公知の他の手段を用いて開始することができる。架橋は、架橋阻害剤を除去して、ヒドロゲル形成材の上に存在する反応基を選択的に曝露させることによってもよい。
【0178】
ステップ#8:任意選択で、注入および重合工程を繰り返すことができるか、または、段階的に実施して、下方のゲル化/凝固した材料を徐々に蓄積することができる。例えば、骨により近く、より固体状の材料を用いることができる。皮膚表面により近い場合は、より弾力的である組成物を用いることができる。
【0179】
(実施例2)
ヒトのヒアルロン酸皮膚充填剤であるRestylane(商標)のインビボ残存性を向上させる
この実施例は、Restylane(商標)(2%ヒアルロン酸)と20%ポリエチレングリコールジアクリレートの溶液とを混ぜ合わせ、次に1%PEG−DAおよび2%ヒアルロン酸の混合物の注入によって調製された組織増強組成物の調製を例示するためのものである。
【0180】
Restylane(商標)の注入は、注入後4.5ヵ月間持続する鼻唇溝の美的矯正を可能にする。予備データは、注入の後に組織増強材の経皮的光照射を実施すると、齧歯動物でヒアルロン酸皮膚充填剤の残存性を延長することができることを示す。
【0181】
Restylane(商標)(歯みがき様の硬軟度を有する)を20%ポリエチレングリコールジアクリレート(「PEGジアクリレート」)溶液(水のような硬軟度を有する)と20:1(Restylane(商標)の量対PEG−DAの量)で組み合わせると、PEG−ジアクリレートは混合および注入の時点で実質的に架橋していないが、光照射の後、インサイチュで化学架橋した相互浸透性の共有結合網目構造を形成することが可能である。最終混合物は、1%PEG−DAおよび2%ヒアルロン酸である。
【0182】
様々なヒドロゲル形成材料を用いることができる。PEG−ジアクリレート部分は、この実施例で例示のために用いる。現在、アクリレートを含む分子は、それを様々なアクリレート含有分子の中から選択することができることを示すために、ここでは「(x)アクリレート」と称す。アクリレート含有分子は、メタクリレート、ポリメタクリレート、ジメタクリレートまたは、ヒドロゲルを形成するためにヒトでインビボで用いるのに適する、多くのアクリレート含有分子でよい。
【0183】
PEG−ジアクリレート組成物は(化学的に反応性の2つのアクリレート基を含むことの結果として)、重合反応を開始するために必要な単一電子ラジカルを生成するUV光および適当な光重合開始剤(例えば、Igracure)の存在下で、光重合開始後に架橋が可能である。
【0184】
PEG−(x)アクリレート分子において、ポリエチレングリコール部分(各モノマーに存在する親水骨格)の鎖長は、生理条件下で所望の機械的特性(例えば、剛性)を付与するのに十分な長さである。アクリレート基は、共有結合性架橋を可能にするために、モノマーのPEG−ジアクリレート分子のいずれかの末端に置かれる。
【0185】
1%PEG−DA、2%ヒアルロン酸は、光重合開始剤(例えば、Igracure)とも混合される。材料はインビボで注入することができ、光透照によって重合させることができる。
【0186】
(実施例3)
組織増強のためのキット
先に述べたように3Dデータファイルから作成した型、および、モノマーの重合により相互浸透性の共有結合性網目構造を形成した後に、特定の機械的および残存性特性を有するように選択的に処方された組織増強材の注射器を含むキットが提供される。
【0187】
キットは、PEG−DA分子上のアクリレート基が紫外線および光重合開始剤の存在下でインサイチュで化学的架橋が可能である、1%PEG−DAの実質的に非架橋の溶液を含む予充填された注射器を含む。キットは、ヒトでの使用に適する、ヒアルロン酸、コンドロイチンまたはコラーゲン(または前述のいずれかの類似体、誘導体、機能的断片もしくはペプチド様物質)(例えば、Restylane(商標)、Zyplast(商標))を含む注入可能な皮膚充填剤を含む、別の第2の容器を含む。ヒアルロン酸またはコラーゲンを含む組成物は、化学的架橋の開始後にヒドロゲル組成物と架橋しない。
【0188】
本明細書で本発明の好ましい実施形態を示し、記載したが、そのような実施形態は例示のためだけに提供されることは当業者にとって明らかとなる。いまや、本発明から逸脱することなく、多数の変形形態、変更および代替形態が当業者に思い浮かぶであろう。本発明の実施で、本明細書で記載される本発明の実施形態への様々な代替形態を使用することができることは、理解されるべきである。以下の請求項が本発明の範囲を定義し、これらの請求項の範囲内の方法および構造ならびにそれらの等価物はそれらによってカバーされるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1つの光重合するヒドロゲル形成部分を含有する第1の予充填された注射器、および
(b)少なくとも1つの皮膚充填剤を含有する第2の予充填された注射器、および
任意選択で透明な型を含み、該型の内部表面は本体部分の形状であるキット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの光重合ヒドロゲル形成部分が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光重合ヒドロゲル形成部分がポリエチレングリコールジアクリレートを含む、請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの皮膚充填剤が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される、請求項1に記載のキット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの皮膚充填剤がヒアルロン酸を含む、請求項4に記載のキット。
【請求項6】
4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ヒドロキシチオキサントン、ビニルオキシメチルベンゾインメチルエーテル;アクリジンオレンジ、エチルエオシン、エオシンY、エオシンB、エリスロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、キサンチン色素、4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物からなる群から選択される架橋開始剤の開始剤をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項7】
前記開始剤がエオシンである、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光重合ヒドロゲル形成部分がインサイチュで選択的分解が可能な、請求項1に記載のキット。
【請求項9】
前記型が、所定形状の三次元座標をその三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて予め調製される、請求項1に記載のキット。
【請求項10】
リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン、オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される少なくとも1つの鎮痛薬をさらに含む、請求項1に記載のキット。
【請求項11】
美容用または治療用の注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、
少なくとも1つのヒドロゲル、
少なくとも1つの皮膚充填剤、および
任意選択で少なくとも1つの鎮痛薬
を含み、該増強組織の形状は、増強が望まれる組織を覆う皮膚に型を外部からあてて該医薬の上に外圧を加え、次に、注入可能な組織増強医薬組成物の固さを増して所定の形状にすることによって決定される、方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの皮膚充填剤が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記注入可能な組織増強医薬組成物がポリエチレングリコールジアクリレートおよびヒアルロン酸を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの鎮痛薬が、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン、オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの鎮痛薬がリドカインまたはその薬学的に許容される塩である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記注入可能な組織増強医薬組成物の固さの増強が光源によって開始される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記光源の波長が400〜550nmである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記型が、所定形状の三次元座標をその三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて予め調製される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
顔の造形のための美容用または治療用の注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、
少なくとも1つのヒドロゲル、
少なくとも1つの皮膚充填剤
を含み、造形される顔の最終的な形状は、デジタル三次元情報を用いて最終造形顔の正確な寸法を含む内部表面を有する型を調製することによって事前に決定され、そして外圧は型によって注入可能な組織増強医薬に加えられ、該組織増強医薬は生理的に適合する開始時にインサイチュで凝固する、方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つの皮膚充填剤が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記注入可能な組織増強医薬組成物がポリエチレングリコールジアクリレートおよびヒアルロン酸を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
生理学的に適合する開始が光である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記光の波長が400〜550nmである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記型が、所定形状の三次元座標をその三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて予め調製される、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
所定の形状への鼻橋の形状の変更のための美容用または治療用の成形性組織増強組成物医薬の製造方法であって、
ヒドロゲル、
皮膚充填剤、および、任意選択で鎮痛薬
を含み、該鼻橋の形状が所定形状の型を用いて該医薬の上に外圧を加えることによって決定され、組織増強組成物の固さが増強されることによって該組織増強組成物が該型の内部表面の形状を保持する、方法。
【請求項28】
前記皮膚充填剤が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記ヒドロゲルが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記成形性組織増強材がポリエチレングリコールジアクリレートおよびヒアルロン酸を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
組織増強材の固さの増強が光源によって開始される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
光源の波長が400〜550nmである、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記少なくとも1つの鎮痛薬が、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン、オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記鎮痛薬がリドカインまたはその薬学的に許容される塩である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記型が、所定形状の三次元座標をその三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて予め調製される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
美容用または治療用の注入可能な組織増強医薬組成物の製造方法であって、
露光時に架橋するようになされた非架橋ヒドロゲル含有部分、および
ヒアルロン酸部分
を含み、増強組織の形状は、該医薬の上に外圧を加え、次に組成物を露光させてヒドロゲル含有部分を架橋させることによって決定される、方法。
【請求項37】
前記ヒドロゲルが、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
ヒドロゲル形成部分がポリエチレングリコールジアクリレートを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
エオシンをさらに含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
光の波長が約400〜550nmである、請求項36に記載の方法。
【請求項41】
加える外圧が型によるものである、請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記型が、所定形状の三次元座標をその三次元座標を反映する有形の型を調製する装置に送ることが可能なコンピュータプログラムを用いて予め調製される、請求項36に記載の方法。
【請求項43】
a)第1の生理的に適合する開始時に選択的凝固が可能な、少なくとも第1の生体適合性流体部分と、b)第2の生理的に適合する開始時に選択的凝固が任意選択で可能な少なくとも第2の生体適合性流体部分であって、該第2の生体適合性流体部分が、該選択的凝固が可能な場合、該第1の生理的に適合する開始のもとで選択的凝固が不可能な第2の生体適合性流体部分と、c)少なくとも1つの鎮痛薬の有効量とを含む、注入可能な組織増強組成物。
【請求項44】
前記第1の生体適合性流体部分が光の存在下で選択的に凝固する、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項45】
光が紫外線または可視光である、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項46】
前記光の波長が約400〜550nmである、請求項45に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項47】
前記第1の生体適合性流体部分が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)およびそれらのコポリマー、乳酸−グリコール酸コポリマー(PLGA)、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、プルロニック、(PEO−PPO−PEO)、ポリエチレンオキシドジアクリレート(PEODA)、ポリアルキレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、部分的または完全加水分解ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(t−エチルオキサゾリン)、ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシドブロックコポリマー(ポロキサマーおよびメロキサポール)、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、モノ−、ジ−およびトリポリオキシエチル化グリセロール、モノ−およびジポリオキシエチル化プロピレングリコール、ならびにモノ−およびジポリオキシエチル化トリメチレングリコール;ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドメタクリレート、ポリメチルアルキルスルホキシドアクリレート、ポリマレイン酸;ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド);ポリオレフィンアルコール、ポリ(N−ビニルラクタム)、ポリ(N−ビニルカプロラクタム)、ポリエチレングリコール/ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)、ポリオキサゾリン、ポリメチルオキサゾリン、ポリエチルオキサゾリン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド(PAA)、ポロキサミン、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシアルキル化セルロースからなる群から選択されるヒドロゲル形成部分である、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項48】
前記ヒドロゲル形成部分がポリエチレングリコールジアクリレートを含む、請求項47に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項49】
前記少なくとも第2の生体適合性流体部分が、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン、ラミニン、フィブロネクチン、コンドロイチン硫酸、ケラチン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、アミロース、マルトデキストリン、アミロペクチン、デンプン、デキストラン、ヘパリン、デルマタン硫酸、デキストラン硫酸、ペントサンポリ硫酸およびキトサンからなる群から選択される、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項50】
前記少なくとも第2の生体適合性流体部分がヒアルロン酸である、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項51】
粒子状物質、治療部分、医療器具、電子装置、生細胞、顔料、酵素阻害剤および酵素からなる群の1つまたは複数をさらに含む、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項52】
4−ベンゾイル安息香酸、[(9−オキソ−2−チオキサンタニル)−オキシ]酢酸、2−ヒドロキシチオキサントン、ビニルオキシメチルベンゾインジメチルエーテル;アクリジンオレンジ、エチルエオシン、エオシンY、エオシンB、エリスロシン、フルオレセイン、メチレングリーン、メチレンブルー、フロキシム、リボフラビン、ローズベンガル、チオニン、キサンチン色素、4,4’アゾビス(4−シアノペンタン)酸および2,2−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩化水素化物からなる群から選択される架橋開始剤をさらに含む、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項53】
エオシンをさらに含む、請求項52に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項54】
前記組成物中の第1の生体適合性流体部分および第2の生体適合性流体部分の重量比が、約1:2〜約1:10の範囲である、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項55】
前記少なくとも1つの鎮痛薬が、リドカイン、メピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、クロロプロカイン、エチドカイン、プリロカインジクロニン、ヘキシルカイン、プロカイン、コカイン、ケタミン、モルヒネ、プラモキシン、プロポフォール、フェノール、ナロキソン、メペリジン、ブトルファノールもしくはペンタゾシン、またはモルヒネ−6−グルクロニド、コデイン、ジヒドロコデイン、ジアモルヒネ、デキストロプロポキシフェン、ペチジン、フェンタニル、アルフェンタニル、アルファプロジン、ブプレノルフィン、デキストロモラミド、ジフェノキシレート、ジピパノン、ヘロイン(ジアセチルモルヒネ)、ヒドロコドン(ジヒドロコデイノン)、ヒドロモルフォン(ジヒドロモルフィノン)、レボルファノール、メプタジノール、メタドン、メトポン(メチルジヒドロモルフィノン)、ナルブフィン、オキシコドン(ジヒドロヒドロキシコデイノン)、オキシモルフォン(ジヒドロヒドロキシモルフィノン)、フェナドキソン、フェナゾシン、レミフェンタニル、トラマドール、テトラカインおよびそれらの薬学的に許容される塩からなる群から選択される、請求項43に記載の注入可能な組織増強組成物。
【請求項56】
前記少なくとも1つの鎮痛薬がリドカインまたはその薬学的に許容される塩である、請求項55に記載の注入可能な組織増強組成物。

【公表番号】特表2009−529965(P2009−529965A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500420(P2009−500420)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/006258
【国際公開番号】WO2007/106457
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(508276419)カイセラ バイオファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】