説明

流動層ガス化燃焼炉

【課題】チャー発生量の大きな燃料であっても、チャーの移送量を容易に制御でき、しかも配管内部の閉塞などの問題がなく、簡単な設備でチャーを燃焼し、さらにチャーの燃焼熱をガス化用熱源として利用できる流動層ガス化燃焼炉を提供する。
【解決手段】仕切壁2によってガス化炉3と燃焼炉4とに分割された流動層炉1であって、ガス化炉3は、生成ガス50を排出するガス排出口49と、可燃物48を投入する可燃物投入口47を備え、燃焼炉4は、燃焼排ガス52を排出するガス排出口51とを備え、仕切壁2は、流動媒体の沈降流によって下降した未燃チャーを含む流動媒体をガス化炉3から燃焼炉4に通す連絡口38を具備し、燃焼炉4は第2仕切壁5によって主燃焼室6と熱回収室7とに分割され、熱回収室7をガス化炉3から分離して配置し、熱回収室7と主燃焼室6との間に流動媒体の循環流を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス化流動層炉と燃焼流動層炉とを一体化した流動層ガス化燃焼炉に関する。
【背景技術】
【0002】
石炭を用いて高効率の発電を行う試みがなされている。
その1つとして、図14に示すいわゆる加圧流動床燃焼炉トッピングサイクルが提案されている。このシステムは流動床ガス化炉501で石炭をまずガス化する。その際ガス化炉501で発生した炭素主体の可燃分、いわゆるチャーを、ガス化炉501とは異なるチャー燃焼炉502で燃焼させる。すなわち、ガス化炉501で生成されたガスとチャーの混合物は、サイクロン505に導入され、ここでガスとチャーに分離され、チャーはチャー燃焼炉502に送られ、ガスは燃焼器503に送られる。一方、チャー燃焼炉502には、ガス化炉501から流動媒体とチャーが導入され、チャー燃焼炉502内でチャーは燃焼し、チャーの燃焼によって加熱された流動媒体は、ガス化炉501に戻される。そして、ガス化炉501で生じた可燃ガスとチャー燃焼炉502から発生する燃焼排ガスとを燃焼器503で混合燃焼させて温度を更に上げてから、ガスタービン504に導入する。また、チャー燃焼炉502で発生した燃焼排ガスと灰は、サイクロン506で分離され、前述したように燃焼排ガスは燃焼器503に導入され、灰はサイクロンの底部より排出される。
【0003】
前記チャー燃焼炉502におけるチャーの燃焼によって発生した蒸気は、蒸気タービン508に導入された後、排熱ボイラ509にて加熱され、その後、チャー燃焼炉502に環流する。ガスタービン504から排出された燃焼排ガスは排熱ボイラ509を経て煙突511から排出される。
【0004】
ガスタービンの効率はガスタービン入口のガス温度が高いほど効率がよくなり、全体システムの効率を上げるためには、ガスタービン入口のガス温度を高温に維持することが非常に重要となる。
【0005】
一方、石炭は炭種によってガス化特性が大きく異なるが、一般にガス化反応は反応温度が高いほど促進され、ガス化率も高まるので、多様な石炭を燃料として用いるためには、ガス化炉の温度をいかに安定に、かつ高温に維持できるかが極めて重要な最大のポイントである。
【0006】
ガス化炉の温度維持の方法は大きく分けて2つある。1つはガス化炉に投入された燃料の一部をガス化するだけでなく燃焼させる方法、もう一つはガス化炉で生じたチャーを流動媒体とともにチャー燃焼炉に導入し、チャーを燃焼させて流動媒体を加熱し、加熱された流動媒体をガス化炉に戻す方法である。一般的に、固体の燃焼反応速度とガスの燃焼反応速度はオーダーが異なるほどガスの燃焼の方が速い。従って前者の場合、ガス化炉に供給された酸素の殆どはそこで発生したガス成分と反応してしまい、ガス化の収率を低下させることとなる。後者の場合はガス化炉で発生したガスが温度維持のために消費されないのでガスの収率が高く炭種適応性が広い。
【0007】
しかしながら、後者の方法は、ガス化炉からチャー燃焼炉へ大量の高熱の熱媒体を循環させる技術が必要とされるが、この技術は未燃分を含む高温粒子のハンドリング技術であり、非常に技術的に難しい問題がある。加圧流動床燃焼炉トッピングサイクルが未だ実用化に至らないのは、この未燃分を含む高温粒子のハンドリング技術が未完成だからというのが実状である。
【0008】
一方、チャー燃焼炉とガス化炉を隣接させて配して、両者の間での高温粒子の搬送距離を極力短くしようという試みが提案されている。この技術はガス化炉に隣接してチャー燃焼炉を設け、チャー燃焼炉の層内に層内伝熱管を配したものである。
【0009】
流動層内に置かれた伝熱管と熱媒体との熱伝達率は、図15に示すように、流動化ガスの空塔速度が最低流動化に必要な速度の2倍以上あれば流動の強弱に関わらず、ほぼ一定である。即ち、流動層内に配された伝熱管からは空塔速度に関係なく、常にある一定量の収熱が行われるのである。従って層内での発生熱量が変化するような事態、例えば負荷変化に伴う給炭量変動等が生じた場合でも、伝熱量が一定のため、結果として流動層の温度が変化してしまうことになる。
【0010】
加圧流動床燃焼炉トッピングサイクルでは、ガス化炉出口のガス温度、及び燃焼炉出口のガス温度を各々所定の高温に保つことが重要であり、チャー燃焼炉とガス化炉を隣接させて配した構造においては、流動媒体がチャー燃焼炉とガス化炉を互いに循環しているため相互に関連しあい、このような層温の変動はシステム全体の安定運用に致命的な影響を与えることになる。
【0011】
層内伝熱管を有したチャー燃焼炉の層温変動を抑える方法として、燃焼炉に吹き込む流動化ガス中の酸素量を負荷に応じて変化させ、燃焼量を変化させることによって層温を制御する方法もある。
しかしながら、酸素量制御による燃焼量制御は応答性が悪く、安定制御が困難であるため、層温が暴走し、流動媒体や灰が溶融して流動層が維持できなくなり運転不能に陥るおそれがある。
【0012】
ガス化炉を高温に保つためには、チャー燃焼炉においてチャーを燃焼させることで熱媒体を加熱し、その高温の熱媒体をガス化炉に供給する必要があるため、チャー燃焼炉の層温を高くしなければならない。しかしながらチャー燃焼炉の層温を高くしすぎると、クリンカが発生してしまうため、層温を限られた所定の範囲内に制御する必要があり、チャー燃焼炉は優れた層温制御機能を有していることが必要である。
【0013】
チャー燃焼室の温度を制御するのに最も容易な方法は、温度が上昇した際に低温の熱媒体を供給する方法である。例えば層温を950℃から900℃に50℃下げるために必要な流動媒体の量は供給する流動媒体の温度にもよるが、供給する流動媒体の温度が400℃の場合、供給すべき流動媒体の量は流動媒体全量の 50/(900−400)=1/10 で済むのである。逆に、層の温度が目標値よりも下がった場合には、自ずとチャーの燃焼熱で層温は上昇し回復するので何もする必要はない。
【0014】
従って燃焼炉の層温の変動を見ながら、必要に応じて低温の流動媒体をチャー燃焼炉に供給できる方法があればチャー燃焼炉の温度制御は容易に実現できるのである。この場合、供給された流動媒体と同量の流動媒体をチャー燃焼炉から排出することも重要である。
【0015】
一方、従来、常圧の流動床ボイラにおいては、流動層の中で石炭を燃焼させ、熱せられた流動媒体及び燃焼排ガスから熱を回収する。図16は、従来の常圧の流動床ボイラの一例を示す概略図である。流動床ボイラは、隔壁600によって仕切られた燃焼炉601と熱回収室602とを備えている。熱回収室602には流動媒体からの収熱用の伝熱面603が設けられ、フリーボードには燃焼ガスから収熱する伝熱面604が設けられている。伝熱面603,604による収熱により生成された蒸気は蒸気タービン605を駆動する。
石炭は炭種により性状が大きく異なるため、流動層内での燃焼率も異なり、流動媒体から収熱する熱量と燃焼ガスから収熱する熱量の割合が炭種によってまちまちである。
【0016】
従って、流動媒体からの収熱用の伝熱面と燃焼ガスからの収熱用の伝熱面の適正配置が炭種によって異なることとなり、従来は炭種によってボイラの伝熱面配置を変えた設計がなされていた。それゆえボイラの改造なしに炭種を変えることには大きな制約があり、大きく炭種を変更しようとすると、ボイラの改造を余儀なくされたのである。なぜならば、収熱量に対して過剰な伝熱面は温度低下を招き、燃焼不良や燃焼ガスの環境特性を悪化させる原因になるし、逆に伝熱面不足は温度の上昇を招き、灰の溶融によるクリンカートラブルや流動媒体の凝集によるアグロメレーションといったトラブルの原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
そこで、本発明は、上記の課題を解消し、別置の燃焼炉を必要とせず、ガス化炉および燃焼炉が一体であることから、必要なスペースが少なくてすみ、また石炭などのチャー発生量の大きな燃料であっても、チャーの移送量を容易に制御でき、しかも配管内部の閉塞などの問題がなく、簡単な設備でチャーを燃焼し、さらにチャーの燃焼熱をガス化用熱源として利用できるとともに燃焼炉の層温制御を容易かつ正確に行うことができ、しかもクリンカの発生がなく、不定形の不燃性物質を含む燃料であっても使用することができるなど幅広い燃料を利用可能であり、しかも高効率かつ有害排出物の極めて少ない高度環境対応の流動層ガス化燃焼炉を提供することを目的とする。
【0018】
また本発明は、ボイラの伝熱面配置を変えることなく、即ち、ボイラの改造をすることなく、様々な炭種に対応できる流動床石炭ボイラである流動層ガス化燃焼炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上述の目的を達成するため、本発明の第1の態様においては、仕切壁によってガス化炉と燃焼炉とに分割された流動層炉であって、前記ガス化炉は、炉底と、生成ガスを排出するガス排出口と、流動層の上方から可燃物を投入する可燃物投入口を備え、流動化ガスを前記炉底から前記ガス化炉内に導入して、炉底上方に流動媒体の弱流動化域と強流動化域を形成して旋回流を形成し、前記弱流動化域は投入された可燃物を沈降させる流動媒体の沈降流を形成し、該弱流動化域は前記仕切壁に近い区域にあり、前記燃焼炉は、炉底と、燃焼排ガスを排出するガス排出口とを備え、流動化ガスを前記炉底から前記燃焼炉内に導入して、炉底上方に流動媒体の強流動化域と弱流動化域を形成して旋回流を形成し、前記強流動化域は流動媒体の上昇流を形成し、該強流動化域は前記仕切壁に近い区域にあり、前記仕切壁は、前記流動媒体の沈降流によって下降した未燃チャーを含む流動媒体を前記ガス化炉から前記燃焼炉に通す連絡口を具備し、前記燃焼炉は第2仕切壁によって主燃焼室と熱回収室とに分割され、前記熱回収室を前記ガス化炉から分離して配置し、前記熱回収室と前記主燃焼室との間に流動媒体の循環流を形成することを特徴とするものである。
【0020】
また、前記ガス化炉と前記燃焼炉の主燃焼室と熱回収室は、一直線に並んで配置されていることを特徴とする。
また、前記ガス化炉と前記燃焼炉の熱回収室は、仕切壁により完全に分離されていることを特徴とする。
【0021】
また、前記燃焼炉の炉底が前記連絡口に向かって下方に傾斜していることを特徴とする。
また、不燃物排出口が前記炉底に設けられていることを特徴とする。
また、不燃物排出口が前記ガス化炉の炉底と前記燃焼炉の炉底との間に設けられていることを特徴とする。
【0022】
本発明の好ましい態様においては、流動層炉であって、複数の仕切壁によってガス化炉と燃焼炉の主燃焼室と熱回収室とに分割し、前記ガス化炉および主燃焼室の少なくとも一方には流動媒体の旋回流を形成し、ガス化炉と主燃焼室との間で流動媒体の循環流を形成し、さらに前記熱回収室と主燃焼室との間に流動媒体の循環流を形成し、熱回収室流動層内には伝熱面を配置している。
【0023】
本発明は一つの流動床炉であって、内部には機能的に明確に区分けされたガス化室、チャー燃焼室、熱回収室の3つがそれぞれ隔壁を介して設けられており、更にチャー燃焼室とガス化室、チャー燃焼室と熱回収室はそれぞれ隣接して設けられている。
【0024】
熱回収室内には層内伝熱管が配され、常に内部の流動媒体を冷却している。熱回収室とチャー燃焼室の間の隔壁は垂直で、上面はほぼ流動層上面近傍までで、炉底近くには開口部が設けられている。隔壁近傍のチャー燃焼室は流動媒体が激しく吹きあがる強流動化域を形成しており、吹きあがった流動媒体の一部は熱回収室に飛び込む。チャー燃焼炉の温度が設定値を越えて上昇した場合には熱回収室の流動媒体の沈降速度を高め、炉底近くの開口部からチャー燃焼室内に流入する冷却された流動媒体の量を増加させることによって速やかにチャー燃焼炉の温度を低下させることができる。
また、熱回収室で流動媒体を冷却するために回収した熱エネルギーは、蒸気として回収し蒸気タービンを駆動して有効に利用することができる。
【0025】
また本発明の好ましい態様においては、流動層炉であって、第1仕切壁でガス化炉と燃焼炉に分割するとともに、該第1仕切壁は下部と、上部すなわち流動層表面近傍で相互に連絡するように開口を有し、前記ガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記第1仕切壁に近い区域の流動層は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、前記第1仕切壁と離れた区域は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、該弱流動化域には可燃物を投入するように構成し、前記強流動化域における前記上昇流の一部は、流動層表面近傍で前記弱流動化域に向かう流れとなって、ガス化炉の流動層内に旋回流を形成するとともに、一部は反転流となって、前記第1仕切壁上部の連絡口から燃焼炉へ流入し、前記第1仕切壁を介した前記燃焼炉においては、さらに第2仕切壁を設けて流動層部分を主燃焼室と、熱回収室とに分割し、前記第2仕切壁は下部の連絡口で主燃焼室と熱回収室を相互に連絡するとともに、上端部は流動層表面近傍までとして、フリーボード部分においては、主燃焼室と熱回収室とを一体化させ、前記主燃焼室においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記第1仕切壁に近い区域の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域とし、また第2仕切壁に近い区域は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域とする結果、弱流動化域には流動媒体の沈降流を生じさせ、該沈降流の一部は、第1仕切壁の下部連絡口からガス化炉へ還流してガス化炉と主燃焼室との間に循環流を生じ、また強流動化域には流動媒体の上昇流を生じさせ、該上昇流の一部は第1仕切壁側の弱流動化域に向かう流れとなって、主燃焼室流動層内にも旋回流を生じるとともに、一部は反転流となって第2仕切壁を越えて熱回収室に入り、前記熱回収室においては、流動層内に実質的に小さな流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設けて弱流動化域を形成する結果、主燃焼室から第2仕切壁上部を越えて熱回収室に入った流動媒体が熱回収室で沈降し、該第2仕切壁の下部連絡口を通って主燃焼室に還流するような循環流を構成し、熱回収室流動層内には伝熱面を配置している。
【0026】
本発明の上述した態様においては、以下に列挙する作用を奏する。
(1)流動層炉の内部を第1仕切壁でガス化炉と燃焼炉に分割することによって、ガス化機能と燃焼機能が分離され、1つの流動層炉でありながら同時に2つの機能を独立して働かせることが可能となる。
【0027】
該第1仕切壁は上部の流動層表面近傍及び下部で相互に連絡するように開口を有し、かつガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、第1仕切壁に近い流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、他側の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせる。その結果、流動層内に旋回流を形成するとともに、強流動化域の上昇流のうち一部の流動媒体は反転流として第1仕切壁上部連絡口を通して燃焼炉に流入する。
【0028】
そこで該弱流動化域に可燃物を投入するように構成すれば、可燃物は沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し、十分な滞留時間をとって部分燃焼ガス化作用を受ける。一方ガス化しにくいチャーは反転流によって燃焼炉に導入される。
【0029】
一方、第1仕切壁の向こう側に形成される燃焼炉においては、さらに流動層内に第2仕切壁を設けて、流動層部分を主燃焼室と熱回収室とに分割し、該第2仕切壁は下部の連絡口で主燃焼室と熱回収室を相互に連絡するとともに、上端部は流動層表面近傍までとし、フリーボード部分においては主燃焼室と熱回収室は一体化している。かつ主燃焼室においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、主燃焼室においてガス化炉との連絡口付近の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせるとともに、第2仕切壁側すなわち熱回収室側の流動層は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせる。
【0030】
その結果、上昇流の一部は弱流動化域へ向かう流れとなって主燃焼室流動層内に旋回流を生じさせるとともに、一部は第2仕切壁を越えて熱回収室に流入する。そこでガス化炉からの未燃チャーは燃焼炉内の沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し十分な滞留時間をとって完全に燃焼する。さらにフリーボードに2次空気を投入することによって、燃焼と脱硫反応を完結させることができる。
【0031】
一方、発生熱量の一部は高温の流動媒体によって第1仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流し、ガス化用熱源の一部として寄与する。さらに一部の熱量は高温の流動媒体によって第2仕切壁を越えて熱回収室に流入する。
【0032】
熱回収室においては、流動層内に実質的に小さな流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設けて弱流動化域を形成し、主燃焼室から第2仕切壁上部を越えて熱回収室に入った高温の流動媒体が熱回収室で沈降し、該第2仕切壁の下部連絡口を通って主燃焼室に還流するような循環流を構成しており、熱回収室流動層内に配置された伝熱面によって収熱される。
【0033】
また、熱回収室内は弱流動化域であるため、層内伝熱管の摩耗が少なく、流動媒体として珪砂の使用が可能であり、石灰石の使用量は脱硫反応上の必要最少限でよいため、灰の排出量が少なく環境対策上有利である。また、ガス化炉及び燃焼炉では、通常650〜950℃の範囲でガス化または燃焼を行う。
【0034】
(2)投入される可燃物中に不燃性の不定形物質が含まれていても、流動層内の旋回流の方向と不燃物排出方向が一致しており、また炉床も不燃物排出口に向かって傾斜しているため、不燃物は容易に排出できる。
(3)第1仕切壁及び第2仕切壁ともに強流動化域側に倒れるような傾斜面をなすことにより、上昇流を方向転換して旋回流を形成するのに貢献し、また背後の弱流動化域側は垂直面をなすことにより、沈降流が停滞することなく、スムーズに形成される。
【0035】
(4)ガス化炉の生成ガス及び燃焼炉からの燃焼排ガスを、それぞれ溶融炉に導入合流し、可燃性ガス、可燃分を含む微粒子を1200℃以上の高温で燃焼、灰分を溶融させることにより、有害ガス成分の高温分解、廃棄物である灰の溶融減容化および重金属類の溶出防止が可能である。
(5)本発明の流動層ガス化燃焼炉を耐圧構造とするか、圧力容器に内蔵して、大気圧以上で運転し、かつ取り出された排出ガスをそれぞれ集塵し、その後ガスタービンに導入することによって、ガスタービン入口温度を1300℃以上で運転することができ、発電効率を大幅に向上させることができる。
【0036】
ガス化炉に燃料を供給し、部分燃焼ガス化させ、発生する未燃チャーなどのうち生成ガスと同伴するものは、後段に設置したガス冷却装置で600℃以下に冷却することによって、例えば、ガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵機で捕集したあと燃焼炉に導入して完全燃焼させる。
【0037】
また、燃焼炉の燃焼排ガスは圧力容器を出たあと、後段に設置したガス冷却装置で600℃以下に冷却し、この冷却によってNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化したあと集塵機で捕集し排出する。
【0038】
高温腐食の原因となるNa,Kを取り除いて清浄になった燃焼排ガスと、前記ガス化炉を出たあと集塵されて清浄になった生成ガスをガスタービンに導入し、1300℃以上の高温で燃焼し、ガスタービンを高効率で駆動する。ガスタービンはコンプレッサー及び発電機を駆動する。
【0039】
一方、燃料として石炭を使用する場合、石灰石を混合あるいは別途供給して、炉内脱硫反応させることができる。すなわち、ガス化炉にて発生する硫化水素HSをCaOと脱硫反応させてCaSとし、生成ガスに同伴させて集塵機で捕集し、主燃焼室に投入するほか、ガス化炉から第1仕切壁上部の連絡口を通る反転流によって、未燃チャーなどと共にCaSを主燃焼室に導入する。そこで酸化雰囲気で完全に燃焼し、またCaSはCaSOとなり、燃焼排ガスに同伴して集塵機で捕集、排出する。
【0040】
本発明の好ましい態様においては、流動層炉であって、第1仕切壁でガス化炉と燃焼炉に分割するとともに、該第1仕切壁は下部と、上部すなわち流動層表面近傍に開口部を有してガス化炉と燃焼炉を相互に連絡し、前記ガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記第1仕切壁に近い側の流動化部分を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、前記第1仕切壁と離れた区域は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、該弱流動化域に可燃物を投入するように構成し、前記強流動化域における上昇流の一部は、流動層表面近傍で前記弱流動化域に向かう流れとなって、ガス化炉流動層内に旋回流を形成するとともに、一部は反転流となって、前記第1仕切壁上部の連絡口から燃焼炉へ流入し、前記燃焼炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記ガス化炉との第1仕切壁に近い区域を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、前記第1仕切壁と離れた区域は、実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせて、流動層内に旋回流を形成させる結果、前記ガス化炉から仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉に流入した流動媒体は、燃焼炉内の旋回流によって流動層内を下降しつつ、未ガス化成分であるチャーが燃焼し、高温となった流動媒体の一部は炉底付近で第1仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流することによって、ガス化炉における熱分解ガス化の熱源として作用する。
【0041】
本発明の上述した態様においては、ガス化炉において、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、第1仕切壁に近い流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、他側の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせる。その結果、流動層内に旋回流を形成するとともに、強流動化域の上昇流のうち一部の流動媒体は反転流として第1仕切壁上部連絡口を通して燃焼炉に流入する。
【0042】
そこで該弱流動化域に可燃物を投入するように構成すれば、可燃物は沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し、十分な滞留時間をとって部分燃焼ガス化作用を受ける。一方ガス化しにくいチャーは反転流によって燃焼炉に導入される。
【0043】
一方、第1仕切壁の向こう側に形成される燃焼炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、ガス化炉との第1仕切壁に近い区域の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせるとともに、第1仕切壁側と離れた区域の流動層は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせる。その結果、上昇流の一部は弱流動化域へ向かう流れとなって燃焼炉の流動層内に旋回流を生じさせる。ガス化炉から仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉に流入した流動媒体は、燃焼炉内の旋回流によって流動層内を下降しつつ、未ガス化成分であるチャーが燃焼し、高温となった流動媒体の一部は炉底付近で仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流することによって、ガス化炉における熱分解ガス化の熱源として作用する。
【0044】
燃料の熱分解ガス化作用を生じさせるためには、熱エネルギーが必要であり、通常、石炭ガス化の場合、石炭を燃焼させて得られる熱エネルギーを利用している。そこでは、ガス化効率の向上をはかりタール発生の抑制のためには高温化が必要なことから、本来出来るだけガスに転化すべき石炭を無駄に燃焼しているのが実状である。
【0045】
本発明の上述した態様では、上述したように、未ガス化成分であるチャーの燃焼熱を高温流動媒体によってガス化炉に還元するため、その熱量の分だけ石炭の燃焼を節約することが出来る。その結果、空気の投入量を減らすことができ、ガス化効率の向上と、単位体積あたりのガスの発熱量を増加させることが可能となる。
【0046】
さらに本発明の好ましい態様においては、流動層炉であって、同心の第1仕切壁で円筒形状のガス化炉とその周囲に形成される円環状の燃焼炉に分割するとともに、該第1仕切壁は上部の流動層表面近傍及び下部で相互に連絡するように開口を有し、前記該第1仕切壁に囲まれた円筒形状のガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、中心付近の円筒状範囲の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、前記第1仕切壁に近い円環形状範囲の流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、一部は前記第1仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉へ流入し、一部は中央の弱流動化域に向かう流れとして、ガス化炉の流動層内に旋回流を形成するとともに、該弱流動化域に可燃物を投入するように構成し、前記第1仕切壁外側の円環状の燃焼炉においては、半径方向に第2仕切壁を設けて流動層部分を複数の主燃焼室と、熱回収室とにそれぞれ分割し、前記第2仕切壁は下部の連絡口で主燃焼室と熱回収室を相互に連絡するとともに、上端部は流動層表面近傍までとし、フリーボード部分においては主燃焼室と熱回収室とを一体化させ、前記主燃焼室においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記主燃焼室の中央部でかつガス化炉との連絡口付近の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として、流動媒体の沈降流を生じさせ、一部は第1仕切壁の下部連絡口を通してガス化炉へ還流するとともに、一部は第2仕切壁側の実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域に向かう流れとなり、かつ該強流動化域では流動媒体は上昇流となり、その結果、主燃焼室流動層内に旋回流を生じるとともに、上昇流の一部は第2仕切壁上部を越える反転流となって熱回収室に入り、前記熱回収室においては、流動層内に実質的に小さな流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設けて弱流動化域を形成し、主燃焼室から第2仕切壁上部を越えて熱回収室に入った流動媒体が熱回収室で沈降し、該第2仕切壁の下部連絡口を通って主燃焼室に還流するような循環流を構成し、熱回収室流動層内には伝熱面を配置している。
【0047】
本発明の上述した態様においては、流動層炉の内部を同心の第1仕切壁で円筒形状のガス化炉とその周囲に形成される円環状の燃焼炉に分割することによって、ガス化機能と燃焼機能が分離され、1つの流動層炉でありながら同時に2つの機能を独立して働かせることが可能となる。
【0048】
該第1仕切壁は上部の流動層表面近傍及び下部で相互に連絡するように開口を有し、かつ該第1仕切壁に囲まれた円筒形状のガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、中心付近の円筒状範囲の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として、流動媒体の沈降流を生じさせ、また第1仕切壁に近い円環形状範囲の流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせる。その結果、流動層内に旋回流を形成するとともに、一部の流動媒体は反転流として第1仕切壁上部連絡口を通して燃焼炉に流入する。
【0049】
そこで該弱流動化域に可燃物を投入するように構成すれば、可燃物は沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し、十分な滞留時間をとって部分燃焼ガス化作用を受ける。一方ガス化しにくいチャーは反転流によって燃焼炉に導入される。
【0050】
一方、第1仕切壁外側の円環状の燃焼炉においては、半径方向に第2仕切壁を設けて流動層部分を複数の主燃焼室と、熱回収室とにそれぞれ分割し、該第2仕切壁は下部の連絡口で主燃焼室と熱回収室を相互に連絡するとともに、上端部は流動層表面近傍までとし、フリーボード部分においては主燃焼室と熱回収室は一体化させ、かつ主燃焼室においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、主燃焼室の中央部でかつガス化炉との連絡口付近の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせるとともに、第2仕切壁側すなわち熱回収室側の流動層は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、一部は弱流動化域へ向かう流れとなって主燃焼室流動層内に旋回流を生じさせるとともに、一部は第2仕切壁を越えて熱回収室に流入する。その結果、ガス化炉からの未燃チャーは燃焼炉内の沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し、十分な滞留時間をとって完全に燃焼する。さらにフリーボードに2次空気を投入することによって、燃焼と脱硫反応を完結させることができる。
【0051】
一方、発生熱量の一部は高温の流動媒体によって第1仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流し、ガス化用熱源の一部として寄与する。さらに一部の熱量は高温の流動媒体によって第2仕切壁を越えて熱回収室に持ち込まれる。
【0052】
熱回収室においては、流動層内に実質的に小さな流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設けて弱流動化域を形成し、主燃焼室から第2仕切壁上部を越えて熱回収室に入った高温の流動媒体が熱回収室で沈降し、該第2仕切壁の下部連絡口を通って主燃焼室に還流するような循環流を構成しており、熱回収室流動層内に配置された伝熱面によって収熱される。
【0053】
また、熱回収室内は弱流動化域であるため、層内伝熱管の摩耗が少なく、流動媒体として珪砂の使用が可能であり、石灰石の使用量は脱硫反応上の必要最少限でよいため、灰の排出量が少なく環境対策上有利である。また、ガス化炉及び燃焼炉では、650〜950℃の範囲でガス化又は燃焼を行う。
【0054】
本発明の上述した態様においても、先に述べた(2)〜(5)に列挙する作用を奏するものである。
【0055】
本発明の好ましい態様においては、流動層炉であって、同心の第1仕切壁で円筒形状のガス化炉とその周囲に形成される円環状の燃焼炉に分割するとともに、該第1仕切壁は上部の流動層表面近傍及び下部で相互に連絡するように開口を有し、前記該第1仕切壁に囲まれた円筒形状のガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、中心付近の円筒状範囲の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、前記第1仕切壁に近い円環形状範囲の流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、一部は前記第1仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉へ流入し、一部は中央の弱流動化域に向かう流れとして、ガス化炉の流動層内に旋回流を形成するとともに、該弱流動化域に可燃物を投入するように構成し、前記燃焼炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、前記ガス化炉との第1仕切壁に近い区域を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせ、また第1仕切壁と離れた区域は、実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせ、ガス化炉から仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉に流入した流動媒体は流動層内を下降しつつ、未ガス化成分であるチャーが燃焼し、高温となった流動媒体の一部は炉底付近で第1仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流することによって、ガス化炉における熱分解ガス化の熱源として作用する。
【0056】
本発明の上述した態様においては、第1仕切壁に囲まれた円筒形状のガス化炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、中心付近の円筒状範囲の流動層を実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として、流動媒体の沈降流を生じさせ、また第1仕切壁に近い円環形状範囲の流動層を実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせる。その結果、流動層内に旋回流を形成するとともに、一部の流動媒体は反転流として第1仕切壁上部連絡口を通して燃焼炉に流入する。
【0057】
そこで該弱流動化域に可燃物を投入するように構成すれば、可燃物は沈降流に飲み込まれ、旋回流で均一に分散混合し、十分な滞留時間をとって部分燃焼ガス化作用を受ける。一方ガス化しにくいチャーは反転流によって燃焼炉に導入される。
【0058】
一方、第1仕切壁外側の円環状の燃焼炉においては、流動層内に異なる流動化速度を与えるような散気装置を炉床部分に設け、ガス化炉との第1仕切壁に近い区域の流動層は実質的に小さな流動化速度を与えられた弱流動化域として流動媒体の沈降流を生じさせるとともに、第1仕切壁側と離れた区域の流動層は実質的に大きな流動化速度を与えられた強流動化域として流動媒体の上昇流を生じさせる。ガス化炉から仕切壁上部の連絡口を通して燃焼炉に流入した流動媒体は、流動層内を下降しつつ、未ガス化成分であるチャーが燃焼し、高温となった流動媒体の一部は炉底付近で仕切壁下部の連絡口からガス化炉へ還流することによって、ガス化炉における熱分解ガス化の熱源として作用する。
【0059】
燃料の熱分解ガス化作用を生じさせるためには、熱エネルギーが必要であり、通常、石炭ガス化の場合、石炭を燃焼させて得られる熱エネルギーを利用している。そこでは、ガス化効率の向上をはかりタール発生の抑制のためには高温化が必要なことから、本来出来るだけガスに転化すべき石炭を無駄に燃焼しているのが実状である。
【0060】
本発明の上述した態様では、上述したように、未ガス化成分であるチャーの燃焼熱を高温流動媒体によってガス化炉に還元するため、その熱量の分だけ石炭の燃焼を節約することが出来る。その結果、空気の投入量を減らすことができ、ガス化効率の向上と、単位体積あたりのガスの発熱量を増加させることが可能となる。
【発明の効果】
【0061】
本発明は以下に列挙する効果を奏する。
(1)部分燃焼ガス化したあとチャーを完全に燃焼することができるため、ガス化しにくくチャー発生量が多い可燃物であっても、利用することができ、ガス化溶融システムなどのメリットを生かすことができる。
(2)ガス化炉と燃焼炉が一体化しており、コンパクトである。
【0062】
(3)未反応チャーの移送が簡便で制御が容易である。即ち、ガス化炉と燃焼炉が一体化していることから、ガス化炉から燃焼炉へのチャーの移送に関しては、配管やLバルブなど複雑な機械設備が不要であり、しかも移送量はガス化炉、燃焼炉相互の流動化速度の変化によって制御するため、容易かつシンプルである。また、配管内部での閉塞トラブルなどもない。
(4)ガス化炉のガス化熱源として燃焼炉からの還流流動媒体の保有熱量が有効に利用できるため、ガス化炉への空気の投入量を減らすことができ、ガス化効率の向上と、単位体積あたりのガスの発熱量を増加させることが可能となる。
【0063】
(5)ガス化炉における燃料分散が良好である。即ち、ガス化炉流動層内部における旋回流により、燃料の飲み込みがよく滞留時間を長くとれるほか、分散混合がよいので均一な部分燃焼ガス化が可能であり、また燃料の供給箇所も少なくてよい。
(6)不燃物を含む燃料であっても利用できる。
【0064】
(7)大気圧以上で運転することにより、さらに高効率を得ることができる。即ち、従来の加圧流動床ボイラにおいては、ガスタービン入口温度が850〜900℃であったのに対し、石炭をガス化炉で部分燃焼によりガス化し、残りの可燃分は燃焼炉で完全燃焼して、それぞれの炉から排出される生成ガスと燃焼排ガスをガスタービンに導入することによって、ガスタービン入口での燃焼ガス温度を1300℃以上にあげることができる。その結果、送電端効率を42%〜46%へと大幅に向上させることができる。
【0065】
(8)燃焼炉が内部循環流動床ボイラであることにより、以下の効果を奏する。
1) 燃焼炉での発生熱を高効率で回収できる。
2) 負荷変化時の制御について、流動層の層高変化の必要がなく、熱回収室の流動化速度を変化させることで簡単に対応できる。
3) 流動層の層高変化の必要がないので、流動媒体貯留槽や移送配管などの設備が不要であり、設備が簡素化できる。
4) 負荷変化時においても流動層温度および燃焼ガス温度を一定に制御でき、ガスタービン効率が安定している。
5) 熱回収室が弱流動化域であるため、層内伝熱管の摩耗が少なく、そのため流動媒体に硬い珪砂の使用が可能であり、灰の排出量が少なくてすむ。
また、本発明の流動層ガス化燃焼炉の一種である流動床石炭ボイラにおいては、炭種が変化しても、ボイラの伝熱面を変更又は改造することなく対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
図1は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の縦断面図である。本実施例の流動層炉1は、水平断面が概略矩形をなしている。図1に示すように、流動層炉1の内部は第1仕切壁2によってガス化炉3と燃焼炉4に分割されている。第1仕切壁2には上部連絡口37、下部連絡口38が設けてあり、ガス化炉3と燃焼炉4とが相互に連絡されている。ガス化炉3にはガス排出口49が設けられ、このガス排出口49から生成ガス50が外部に導出される。
【0067】
一方、燃焼炉4はさらに第2仕切壁5によって、主燃焼室6と熱回収室7とに分割されている。ただし、上方では分割されず、フリーボード部分は主燃焼室と熱回収室とは一体化しており、それぞれの燃焼排ガスはフリーボード部分で混合されたのち、ガス排出口51から燃焼排ガス52となって外部に導出される。熱回収室7には伝熱面46が埋設されており、流動媒体から熱回収することができる。また第2仕切壁5には、下部連絡口40が設けてあり、上部開口部39と合わせ主燃焼室6と熱回収室7相互の流動媒体の移動が可能になっている。
【0068】
ガス化炉3の下部には炉床27,28が構成されており、炉床27,28の下部には風箱8,9が設けられている。風箱8,9にはそれぞれ接続口13,14を通して、流動化ガス18,19が導入される。一方、炉床27,28にはそれぞれ散気装置32,33が設けられている。散気装置32からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床27の上方に弱流動化域41を形成する。散気装置33からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床28の上方に強流動化域42を形成する。
ガス化炉3の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、流動媒体が弱流動化域41で沈降し、強流動化域42で上昇する旋回流が生じる。
【0069】
一方、燃焼炉4においても、主燃焼室6の下部には炉床29,30が構成されており、炉床29,30の下部には風箱10,11が設けられている。風箱10,11にはそれぞれ接続口15,16を通して流動化ガス20,21が導入される。一方、炉床29,30にはそれぞれ散気装置34,35が設けられている。散気装置34からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床29の上方に弱流動化域43を形成する。散気装置35からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床30の上方に強流動化域44を形成する。
主燃焼室6の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、流動媒体が弱流動化域43で沈降し、強流動化域44で上昇する旋回流が生じる。
【0070】
一方、熱回収室7においても、下部には炉床31が構成されており、炉床31の下部には風箱12が設けられている。風箱12には接続口17を通して流動化ガス22が導入される。また炉床31には散気装置36が設けられている。散気装置36からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床31の上方に弱流動化域45を形成する。
上述のように、流動化速度の異なる複数の流動化域を組み合わせることよって、以下のような流れが生じる。
【0071】
すなわち、ガス化炉3の流動層内においては、弱流動化域41で流動媒体は沈降流55にのって下降する。そして炉床27近くで、強流動化域42に向かう水平流56に転じ、強流動化域42ではさらに上昇流57となる。一方、上昇流57は流動層表面近傍で、弱流動化域41へ向かう流れ58と第1仕切壁2の連絡口37を通って燃焼炉4へ向かう反転流59とに分岐する。
従って、ガス化炉3の流動層内部では弱流動化域41で沈降し、強流動化域42で上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第1仕切壁上部の連絡口37を通って主燃焼室6に導入される。
【0072】
一方、主燃焼室6においても、炉床29の上方には弱流動化域43が形成され、また炉床30の上方には強流動化域44が形成されているため、主燃焼室6の流動層内においても、弱流動化域43で流動媒体は沈降流60にのって下降する。そして炉床29の近くで、一部は第1仕切壁2の下部連絡口38を通る還流67となってガス化炉3に戻るほか、強流動化域44に向かう水平流61となり、強流動化域44ではさらに上昇流62となる。一方、上昇流62は流動層表面近傍で、弱流動化域43へ向かう流れ63と第2仕切壁5の上部開口部39を通って、熱回収室7へ向かう反転流64とに分岐する。
従って、燃焼炉4の流動層内部では弱流動化域43で沈降し、強流動化域44で上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第2仕切壁5の上部を越えて熱回収室7に導入される。
【0073】
一方、熱回収室7においては、弱流動化域45が形成されているので、沈降流65が生じ、さらに流動媒体は第2仕切壁5の下部連絡口40を通る還流66によって主燃焼室6へ戻る。このようにガス化炉3、燃焼炉4の主燃焼室6、燃焼炉4の熱回収室7の流動層においては、それぞれ内部の旋回流と相互の循環流とが形成されている。
【0074】
従って、ガス化炉3の弱流動化域41の上方に可燃物投入口47を設け、可燃物48を投入すると、沈降流55によってガス化炉3の流動層内部に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、部分燃焼、ガス化が行われる。ガス化炉3の炉床部分に供給する流動化ガスの酸素含有量は、投入される可燃物48に対する理論燃焼に必要な酸素量以下に設定されている。この流動化ガスは、空気、水蒸気、酸素、または燃焼排ガスのいずれかであるか、あるいはそれらのうち2つ以上を組み合わせたものからなっている。
【0075】
一方、未燃チャーを含む流動媒体は反転流59によって主燃焼室6に導入され、そこで沈降流60によって流動層内に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼される。図1に示されるように、必要に応じて弱流動化域43の上方に燃料投入口68を設け、補助燃料69を供給することも可能である。
また、フリーボードに複数のノズル53を設け、2次空気54を導入して完全に燃焼させることも必要に応じて行うことができる。
【0076】
燃焼炉4の主燃焼室6内における燃焼により発生した熱量は、一部が第1仕切壁2の下部連絡口38を通る還流67によってガス化炉3に導入されてガス化熱源となるほか、第2仕切壁上部39を越える反転流64として熱回収室7に入り、沈降流65となったのち、第2仕切壁下部連絡口40から主燃焼室6に戻る流動媒体循環流によって、熱回収室7に運ばれ、伝熱面46を通じて外部に取り出される。
このように投入された可燃物のエネルギーについて、一部はガスとなって化学エネルギーとして取り出され、ガス化しにくい成分は熱エネルギーとして有効に高効率で回収することが可能である。
【0077】
また、投入される可燃物の中に不燃分が混入していることも多い。そのため、本実施例においては、ガス化炉3の炉床28と燃焼炉4の炉床29との間に不燃物排出口23が設けられており、この排出口23から不燃物25を排出するようにしている。さらに、補助燃料69に不燃物が混入している場合には、本実施例のように主燃焼室6の炉床30と熱回収室7の炉床31の間に不燃物排出口24を設け、この排出口24から不燃物26を排出してもよい。また、不燃物排出を容易にするため、それぞれの炉床が不燃物出口に向かって下降傾斜面をなしていることが好ましい。ガス化炉3と燃焼炉4との境界をなす第1仕切壁2は、ガス化炉側においてはガス化炉側に倒れるような傾斜面2aをなし、一方燃焼炉側は垂直面になっている。燃焼炉4において、主燃焼室6と熱回収室7との境界をなす第2仕切壁5は、主燃焼室側においては主燃焼室側に倒れるような傾斜面5aをなし、一方、熱回収室側は垂直面になっている。なお、前記傾斜面2a,5aは垂直面になっていてもよい。
【0078】
図2は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の別の縦断面図である。図2に示すように、流動層炉1の内部は第1仕切壁2によってガス化炉3と燃焼炉4に分割されている。第1仕切壁2には上部連絡口37、下部連絡口38が設けてあり、ガス化炉3と燃焼炉4とが相互に連絡されている。ガス化炉3と燃焼炉4との境界をなす第1仕切壁2は、第1実施例と同様に傾斜面を有してもよいし垂直面になっていてもよい。第2仕切壁5も同様である。ガス化炉3にはガス排出口49が設けられ、このガス排出口49から生成ガス50が外部に導出される。
【0079】
一方、燃焼炉4はさらに第2仕切壁5によって、主燃焼室6と熱回収室7とに分割されている。ただし、上方では分割されず、フリーボード部分は主燃焼室と熱回収室とは一体化しており、それぞれの燃焼排ガスはフリーボード部分で混合されたのち、ガス排出口51から燃焼排ガス52となって外部に導出される。熱回収室7には伝熱面46が埋設されており、流動媒体から熱回収することができる。また第2仕切壁5には、下部連絡口40が設けてあり、上部開口部39と合わせ主燃焼室6と熱回収室7相互の流動媒体の移動が可能になっている。
【0080】
ガス化炉3の下部には炉床27,28が構成されており、炉床27,28の下部には風箱8,9が設けられている。風箱8,9にはそれぞれ接続口13,14を通して、流動化ガス18a,19aが導入される。一方、炉床27,28にはそれぞれ散気装置32,33が設けられている。散気装置32からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床27の上方に強流動化域41aを形成する。散気装置33からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床28の上方に弱流動化域42aを形成する。
ガス化炉3の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、流動媒体が強流動化域41aで上昇し、弱流動化域42aで下降する旋回流が生じる。
【0081】
一方、燃焼炉4においても、主燃焼室6の下部には炉床29,30,130aが構成されており、炉床29,30,130aの下部には風箱10,11,111aが設けられている。風箱10,11,111aにはそれぞれ接続口15,16,116aを通して流動化ガス20a,27a,21aが導入される。一方、炉床29,30,130aにはそれぞれ散気装置34,35,135aが設けられている。散気装置34,35からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床29,30の上方に強流動化域162a,62aを形成する。散気装置135aからは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床130aの上方に弱流動化域43aを形成する。
主燃焼室6の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、流動媒体が弱流動化域44aで沈降し、強流動化域43a,43aで上昇する旋回流が生じる。
【0082】
一方、熱回収室7においても、下部には炉床31が構成されており、炉床31の下部には風箱12が設けられている。風箱12には接続口17を通して流動化ガス22が導入される。また炉床31には散気装置36が設けられている。散気装置36からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床31の上方に弱流動化域45を形成する。
【0083】
上述のように、流動化速度の異なる複数の流動化域を組み合わせることよって、以下のような流れが生じる。
すなわち、ガス化炉3の流動層内においては、弱流動化域42aで流動媒体は沈降流57aにのって下降する。そして炉床28近くで、強流動化域41aに向かう水平流56aに転じ、強流動化域41aではさらに上昇流55aとなる。一方、下降流57aは炉床28近傍で、強流動化域41aへ向かう流れ56aと第1仕切壁2の連絡口38を通って燃焼炉4へ向かう反転流60aとに分岐する。
従って、ガス化炉3の流動層内部では弱流動化域42aで沈降し、強流動化域41aで上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第1仕切壁下部の連絡口38を通って主燃焼室6に導入される。
【0084】
一方、主燃焼室6においても、炉床29,30の上方には強流動化域43aが形成され、また炉床130aの上方には弱流動化域44aが形成されているため、主燃焼室6の流動層内においても、弱流動化域44aで流動媒体は沈降流70aにのって下降する。そして流動層表面近傍で、一部は第1仕切壁2の上部連絡口37を通る反転流59aとなってガス化炉3に戻るほか、弱流動化域44aに向かう水平流171aとなり、弱流動化域44aではさらに下降流70aとなる。一方、上昇流62aは流動層表面近傍で、弱流動化域44aへ向かう流れ71aと第2仕切壁5の上部開口部39を通って、熱回収室7へ向かう反転流64とに分岐する。
【0085】
従って、燃焼炉4の主燃焼室6の流動層内部では弱流動化域44aで沈降し、強流動化域43aで上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第2仕切壁5の上部を越えて熱回収室7に導入され、さらに一部の流動媒体は第1仕切壁2の上部連絡口37を通ってガス化室3に導入される。
【0086】
一方、熱回収室7においては、弱流動化域45が形成されているので、沈降流65が生じ、さらに流動媒体は第2仕切壁5の下部連絡口40を通る還流66によって主燃焼室6へ戻る。このようにガス化炉3、燃焼炉4の主燃焼室6の流動層においては、それぞれ内部の旋回流と相互の循環流とが形成されており、燃焼炉4の熱回収室7においては、内部の沈降流と、主燃焼室6との間の循環流が形成されている。
【0087】
従って、ガス化炉3の弱流動化域42aの上方に可燃物投入口47を設け、可燃物48を投入すると、沈降流57aによってガス化炉3の流動層内部に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、部分燃焼、ガス化が行われる。ガス化炉3の炉床部分に供給する流動化ガスの酸素含有量は、投入される可燃物48に対する理論燃焼に必要な酸素量以下に設定されている。この流動化ガスは、空気、水蒸気、酸素、または燃焼排ガスのいずれかであるか、あるいはそれらのうち2つ以上を組み合わせたものからなっている。
【0088】
一方、未燃チャーを含む流動媒体は反転流60aによって主燃焼室6に導入され、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼される。図2に示されるように、必要に応じて主燃焼室6の上方に燃料投入口68を設け、補助燃料69を供給することも可能である。
また、フリーボードに複数のノズル53を設け、2次空気54を導入して完全に燃焼させることも必要に応じて行うことができる。
【0089】
燃焼炉4の主燃焼室6内における燃焼により発生した熱量は、一部が第1仕切壁2の上部連絡口37を通る反転流59aによってガス化炉3に導入されてガス化熱源となるほか、第2仕切壁上部39を越える反転流64として熱回収室7に入り、沈降流65となったのち、第2仕切壁下部連絡口40から主燃焼室6に戻る流動媒体循環流によって、熱回収室7に運ばれ、伝熱面46を通じて外部に取り出される。
このように投入された可燃物のエネルギーについて、一部はガスとなって化学エネルギーとして取り出され、ガス化しにくい成分は熱エネルギーとして有効に高効率で回収することが可能である。
【0090】
また、投入される可燃物の中に不燃分が混入していることも多い。そのため、本実施例においては、ガス化炉3の炉床28と燃焼炉4の炉床29との間に不燃物排出口23が設けられており、この排出口23から不燃物25を排出するようにしている。さらに、補助燃料69に不燃物が混入している場合には、本実施例のように主燃焼室6の炉床30と熱回収室7の炉床31の間に不燃物排出口24を設け、この排出口24から不燃物26を排出してもよい。また、不燃物排出を容易にするため、それぞれの炉床が不燃物出口に向かって下降傾斜面をなしていることが好ましい。
【0091】
図3は図1および図2に示す流動層ガス化燃焼炉の別の形態の実施例を示す。図1および図2に示す実施例においては、それぞれ水平断面が矩形状のガス化炉3、主燃焼室6、熱回収室7が一直線上に並んで配置されているが、図3に示す実施例では、直角に組み合わせた例を示す。図3は本発明の流動層燃焼ガス化炉の水平断面図を示しており、流動層炉1の内部を第1仕切壁2で、ガス化炉3と燃焼炉4に分割している。
【0092】
一方、燃焼炉4は、さらに第2仕切壁5によって主燃焼室6と熱回収室7に分割されているが、図1の実施例の場合とは異なり、第1仕切壁2と第2仕切壁5は同一平面上にあり、ガス化炉3と熱回収室7は第3仕切壁70を隔てて隣り合っている。ただし、第3仕切壁70には開口部はなく、完全に分離されている。
また、流動層に関しては、図1の実施例と同じように、流動化速度の異なる領域を形成することにより、ガス化炉3の流動層においては弱流動化域41で沈降し、強流動化域42で上昇する循環流が構成され、一部は反転流となって主燃焼室6に移行する。
【0093】
一方、主燃焼室6においても同様に弱流動化域43で沈降し、強流動化域44で上昇する循環流が構成され、一部は反転流64となって熱回収室7に移行するが、図1の実施例の場合とは異なり、主燃焼室6における循環流の旋回面は、ガス化炉3における循環流の旋回面とは直角になっている。また主燃焼室6と熱回収室7の間の循環流の旋回面も、主燃焼室6内における循環流の旋回面とは直角になっている。このように構成することにより、流動層炉1の水平断面形状がより正方形に近くなり、製作上、プラント構成上の利点がある。
【0094】
図4は廃熱ボイラおよび蒸気タービンと組み合わせて使用される本発明の流動層ガス化燃焼炉の実施例である。図4に示すように、ガス化炉3のガス排出口49から排出された生成ガスと、燃焼炉4のガス排出口51から排出された燃焼排ガスは、それぞれ溶融燃焼炉101に導かれ、円筒形の1次燃焼室102にタンジェンシャル(接線方向)に吹き込まれる。1次燃焼室102及び2次燃焼室103には、必要に応じて補助燃料104が供給され、酸素または空気、あるいはそれらの混合気体が吹き込まれ、1200〜1500℃以上で燃焼する。その結果、灰が溶融し、またダイオキシン、PCBなどの有害物質が高温で分解される。溶融灰106は排出口105を出た後、水室107で急冷され、スラグ108となって排出される。
【0095】
一方、溶融燃焼炉101から排出される高温の燃焼ガスは、廃熱ボイラ109、エコノマイザー110、空気予熱器111で順次冷却され、集塵機112、誘引送風機113を経て大気に放出される。空気予熱器111を出た燃焼ガスには、必要に応じて、集塵機112の手前で消石灰などの中和剤114が添加される。
【0096】
一方、ボイラ給水116はエコノマイザー110を経由して廃熱ボイラ109にて過熱蒸気121となり、蒸気タービンを駆動する。また燃焼用気体115は酸素、空気、あるいはそれらの混合気体として、空気予熱器111で加熱され、溶融燃焼炉101、及び燃焼炉4のフリーボードに供給される。また、本図には図示していないが流動化ガス18〜22とすることも可能である。また、層内伝熱管46で得られた蒸気は中圧又は低圧タービンを駆動する。
【0097】
さらに特に図示はしないが、廃熱ボイラ109、エコノマイザー110、空気予熱器111から排出される灰117,118は燃焼炉4に戻すことも可能である。
一方、集塵機112で捕集された飛灰119は、揮散したNa,K等のアルカリ金属塩を含む場合には処理機120にて薬品処理される。
【0098】
図5は、本発明の流動層ガス化燃焼炉を大気圧以上の圧力条件で運転する場合の実施例を示す図である。
図5では図示しないが、流動層炉1そのものを耐圧構造としてもよい。しかし、耐熱機能と耐圧機能を分離したほうが、構造上、有利であるため、本実施例においては、流動層炉1を圧力容器201の内部に格納し、ガス化炉3及び燃焼炉4を大気圧以上で運転することを可能にしている。
【0099】
燃焼炉4からの燃焼ガス排出口51、ガス化炉3からの生成ガス排出口49、ガス化炉3への可燃物供給口47、燃焼炉4の2次空気供給口53、およびその他の流動化ガス供給ライン、不燃物排出ラインなどは圧力容器201を貫通している。
本実施例においては、ガス化炉3に可燃物48を供給し、部分燃焼ガス化させる。可燃物供給方法は本図に記載のスクリューによる方法の他、空気輸送や、スラリー状態での供給も可能である。
【0100】
ガス化炉3で発生する未燃チャー等のうち生成ガスと同伴したものは、後段に設置したガス冷却装置202で600℃以下に冷却し、例えばガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵機203で捕集したあと燃焼炉4に導入して完全燃焼させる。燃焼炉4の燃焼排ガスは圧力容器201を出たあと、後段に設置したガス冷却装置204で600℃以下に冷却し、この冷却によってNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵機205で捕集し排出する。集塵機203,205にはセラミックフィルタを用いることが多いが、他の形式の集塵機でもよい。
【0101】
高温腐食の原因となるNa,Kを取り除いて清浄になった燃焼ガスと、前記ガス化炉3を出たあと集塵機203で集塵されて清浄になった生成ガスを燃焼器206で混合燃焼させるが、それぞれのガスを冷却した分、燃焼器206へ持ちこまれる熱エネルギーが低下するので、燃焼器206にて高温燃焼させるためには、燃焼炉4での空気過剰率をなるべく少なくして運転し、燃焼排ガス量を低減する。そして、燃焼器206で燃焼に必要な酸素は、別途、酸素207として燃焼器206に供給する。
【0102】
燃焼器206からの高温高圧燃焼排ガスは、ガスタービン209を高効率で駆動する。ガスタービン209はコンプレッサ210、発電機211を駆動する。
ガスタービン209を出た排ガスは熱回収装置212で冷却されたのち、大気放出される。なお、本実施例においては、タービンブレードの材質が向上すれば、ガス冷却装置202,204は省略してもよい。
【0103】
一方、可燃物48として石炭を使用する場合、石灰石214を混合あるいは別途供給して炉内脱硫反応させる。すなわち、ガス化炉3にて発生する硫化水素HSをCaOと脱硫反応させてCaSとし、生成ガスに同伴させて集塵機203で捕集し、主燃焼室6に投入する。
【0104】
また、ガス化炉3から第1仕切壁上部の連絡口を通る反転流によって、未燃チャーなどと共にCaSを含む流動媒体が主燃焼室6に導入される。そこで沈降流によって流動層内に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼され、またCaSはCaSOとなり、燃焼排ガスに同伴して集塵機205で捕集、排出される。さらにガス化炉3における炉内脱硫反応が不十分な場合、ガス化炉を出た後、追加の脱硫反応装置213を設けることもよい。
【0105】
図6は本発明に係る円筒形の流動層ガス化燃焼炉の部分断面図である。図7は流動層部分の水平断面を示す。また、図6において流動層部分の垂直断面は図7のa−a矢視に相当する。ここでは、図6,図7を用いて説明する。
図6及び図7に示す実施例において、図1に示す実施例における要素(又は部材)と同一又は類似した機能を有する要素(又は部材)は同一符号を用いて説明する。
【0106】
円筒形流動層炉1の内部は外壁と同心の第1仕切壁2によってガス化炉3と円環状の燃焼炉4に分割されている。該第1仕切壁2には複数の矩形状の上部連絡口37、複数の矩形状の下部連絡口38が設けてあり、ガス化炉3と燃焼炉4とが相互に連絡されている。ガス化炉3と燃焼炉4との境界をなす第1仕切壁2は、本図では省略し、図10に示すように、ガス化炉側においてはガス化炉側に倒れるような傾斜面をなし、一方燃焼炉側は垂直面になっている。ガス化炉3にはガス排出口49が設けられ、このガス排出口49から生成ガス50が外部に導出される。
【0107】
一方、燃焼炉4はさらに半径方向に延びる複数の第2仕切壁5によって、複数の主燃焼室6と複数の熱回収室7とに分割されている。ただし、上方では分割されず、フリーボード部分は主燃焼室と熱回収室とは一体化しており、それぞれの燃焼排ガスはフリーボード部分で混合されたのち、ガス排出口51から燃焼排ガス52となって外部に導出される。各熱回収室7には伝熱面46が埋設されており、流動媒体から熱回収することができる。また各第2仕切壁5には、下部連絡口40が設けてあり、上部開口部39と合わせ主燃焼室6と熱回収室7相互の流動媒体の移動が可能になっている。
【0108】
ガス化炉3の下部には、中央に炉床27が構成され、この炉床27を取り巻くように円環状の炉床28が構成されている。炉床27,28の下部には風箱8,9が設けられており、風箱8,9にはそれぞれ接続口13,14を通して、流動化ガス18,19が導入される。
一方、炉床27,28にはそれぞれ散気装置32,33が設けられている。散気装置32からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床27の上方に弱流動化域41を形成する。散気装置33からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床28の上方に強流動化域42を形成する。
【0109】
ガス化炉3の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、周囲の円環状範囲の強流動化域42で上昇し、中央に向かって流れ込み、中央部の円筒状範囲の弱流動化域41で沈降する旋回流が生じる。
【0110】
一方、燃焼炉4においても、主燃焼室6の下部には炉床29,30が構成されており、炉床29,30の下部には風箱10,11が設けられている。風箱10,11にはそれぞれ接続口15,16を通して流動化ガス20,21が導入される。一方、炉床29,30にはそれぞれ散気装置34,35が設けられている。散気装置34からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床29の上方に弱流動化域43を形成する。散気装置35からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床30の上方に強流動化域44を形成する。
主燃焼室6の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、弱流動化域43で沈降し、強流動化域44で上昇する旋回流が生じる。
【0111】
一方、熱回収室7においても、下部には炉床31が構成されており、炉床31の下部には風箱12が設けられている。風箱12には接続口17を通して流動化ガス22が導入される。また炉床31には散気装置36が設けられている。散気装置36からは実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床31の上方に弱流動化域45を形成する。
【0112】
上述のようにガス化炉3、燃焼炉4の内部に流動化速度の異なる流動化域を組み合わせることよって、以下のような流れが生じる。
すなわち、ガス化炉3の流動層内においては、弱流動化域41で流動媒体は沈降流55にのって下降する。そして炉床27の近くで、強流動化域42に向かう水平流56に転じ、強流動化域42ではさらに上昇流57となる。一方、上昇流57は流動層表面近傍で、中央の弱流動化域41へ向かう流れ58と第1仕切壁2の連絡口37を通って燃焼炉4へ向かう反転流59とに分岐する。
【0113】
従って、ガス化炉3の流動層内部では弱流動化域で沈降し、強流動化域で上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第1仕切壁上部の連絡口37を通って燃焼炉4の主燃焼室6に導入される。
【0114】
一方、主燃焼室6においても、連絡口37付近には弱流動化域43が形成され、また炉床30の上方には強流動化域44が形成されているため、主燃焼室6の流動層内においても、弱流動化域43で流動媒体は沈降流60にのって下降する。そのため、反転流59によってガス化炉3から流入した未燃チャーを含む流動媒体も沈降流60にのって燃焼炉の内部に飲み込まれ、完全に燃焼する。
【0115】
そして炉床近くで、一部の流動媒体は第1仕切壁2の下部連絡口38を通る還流67となってガス化炉3に戻るほか、強流動化域44に向かう水平流61となり、強流動化域44ではさらに上昇流62となる。一方、上昇流62は流動層表面近傍で、弱流動化域43へ向かう流れ63と第2仕切壁5の上部空間を通って、熱回収室7へ向かう反転流64とに分岐する。
従って、燃焼炉4の流動層内部では弱流動化域43で沈降し、強流動化域44で上昇する流れが形成される一方で、一部の流動媒体は第2仕切壁5上部を越えて熱回収室7に導入され、さらに別の流動媒体は第1仕切壁2の下部の連絡口38からガス化炉3へ還流する。
【0116】
一方、熱回収室7においては、弱流動化域45が形成されているので、沈降流65が生じ、さらに流動媒体は第2仕切壁5の下部連絡口40を通る還流66によって主燃焼室6へ戻る。このようにガス化炉3、燃焼炉4の主燃焼室6、燃焼炉4の熱回収室7の流動層においては、それぞれ内部の旋回流と相互の循環流とが形成されている。
【0117】
従って、ガス化炉3の弱流動化域41の上方に可燃物投入口47を設け、可燃物48を投入すると、沈降流55によってガス化炉3の流動層内部に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、部分燃焼、ガス化が行われる。ガス化炉3の炉床部分に供給する流動化ガスの酸素含有量は、投入される可燃物48に対する理論燃焼に必要な酸素量以下に設定されている。この流動化ガスは、空気、水蒸気、酸素、または燃焼排ガスのいずれかであるか、あるいはそれらのうち2つ以上を組み合わせたものからなっている。
【0118】
一方、未燃チャーを含む流動媒体は反転流59によって主燃焼室6に導入され、そこで沈降流60によって流動層内に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼される。図5に示されるように、必要に応じて弱流動化域43の上方に燃料投入口68を設け、補助燃料69を供給することも可能である。
また、フリーボードに複数のノズル53を設け、2次空気54を導入して完全に燃焼させることも必要に応じて行うことができる。
【0119】
燃焼炉4の主燃焼室6内における燃焼により発生した熱量は、一部が第1仕切壁2の下部連絡口38を通る還流67によってガス化炉3に導入されてガス化熱源となるほか、第2仕切壁上部を越えて熱回収室7に入り、下部連絡口40から主燃焼室6に戻る流動媒体循環流によって、熱回収室の伝熱面46を通じて外部に取り出される。
このように投入された可燃物のエネルギーについて、一部はガスとなって化学エネルギーとして取り出され、ガス化しにくい成分は燃焼炉4にて熱エネルギーに転換して有効に高効率で回収することが可能である。
【0120】
また、投入される可燃物の中に不燃分が混入していることも多い。そのため、本実施例においては、ガス化炉3の炉床28と燃焼炉4の炉床29との間に不燃物排出口23が設けられており、この排出口23から不燃物25を排出するようにしている。さらに、補助燃料69に不燃物が混入している場合には、特に図示しないが同様に第2仕切壁下部付近、主燃焼室炉床と熱回収室炉床の間に不燃物排出口を設け、不燃物を排出してもよい。また、不燃物排出を容易にするため、それぞれの炉床が不燃物出口に向かって下降傾斜面をなしていることが好ましい。燃焼炉4において、主燃焼室6と熱回収室7との境界をなす第2仕切壁5は、本図では省略し、図10に断面を示すが、主燃焼室側においては主燃焼室側に倒れるような傾斜面をなし、一方、熱回収室側は垂直面になっていてもよい。
【0121】
図8および図9は廃熱ボイラおよび蒸気タービンと組み合わせて使用される本発明の円筒形流動層ガス化燃焼炉の実施例である。
図8に示すように、ガス化炉3のガス排出口49から排出された生成ガスと、燃焼炉4のガス排出口51から排出された燃焼排ガスは、それぞれ溶融燃焼炉101に導かれ、円筒形の1次燃焼室102にタンジェンシャル(接線方向)に吹き込まれる。1次燃焼室102及び2次燃焼室103には、必要に応じて補助燃料104が供給され、酸素または空気、あるいはそれらの混合気体が吹き込まれ、1200〜1300℃以上で燃焼する。その結果、灰が溶融し、またダイオキシン、PCBなどの有害物質が高温で分解される。溶融灰106は排出口105を出た後、水室107で急冷され、スラグ108となって排出される。
【0122】
一方、溶融燃焼炉101から排出される高温の燃焼ガスは、廃熱ボイラ109、エコノマイザー110、空気予熱器111で順次冷却され、集塵機112、誘引送風機113を経て大気に放出される。空気予熱器111を出た燃焼ガスには、必要に応じて、集塵機112の手前で消石灰などの中和剤114が添加される。
【0123】
一方、ボイラ給水116はエコノマイザー110を経由して廃熱ボイラ109にて過熱蒸気121となり、蒸気タービンを駆動する。また燃焼用気体115は酸素、空気、あるいはそれらの混合気体として、空気予熱器111で加熱され、溶融燃焼炉101、及び燃焼炉4のフリーボードに供給される。また、本図には図示していないが流動化ガス18〜22とすることも可能である。また、層内伝熱管46で得られた蒸気は中圧又は低圧タービンを駆動する。
【0124】
さらに特に図示はしないが、廃熱ボイラ109、エコノマイザー110、空気予熱器111から排出される灰117,118は燃焼炉4に戻すことも可能である。
一方、集塵機112で捕集された飛灰119は、揮散したNa,K等のアルカリ金属塩を含む場合には処理機120にて薬品処理される。
【0125】
図9は、本発明の流動層ガス化燃焼炉を大気圧以上の圧力条件で運転する場合の実施例を示す図である。
図9では図示しないが、流動層炉1そのものを耐圧構造としてもよい。しかし、耐熱機能と耐圧機能を分離したほうが、構造上、有利であるため、本実施例においては、流動層炉1を圧力容器201の内部に格納し、ガス化炉3及び燃焼炉4を大気圧以上で運転することを可能にしている。
【0126】
燃焼炉4からの燃焼ガス排出口51、ガス化炉3からの生成ガス排出口49、ガス化炉3への可燃物供給口47、燃焼炉4の2次空気供給口53、およびその他の流動化ガス供給ライン、不燃物排出ラインなどは圧力容器201を貫通している。
本実施例においては、ガス化炉3に可燃物48を供給し、部分燃焼ガス化させる。可燃物供給方法は本図に記載のスクリューによる方法の他、空気輸送や、スラリー状態での供給も可能である。
【0127】
ガス化炉3で発生する未燃チャーのうち生成ガスに同伴するものは、後段に設置したガス冷却装置202で600℃以下に冷却し、例えばガスタービンブレードの高温腐食の原因となるNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵機203で捕集したあと燃焼炉4に導入して完全燃焼させる。燃焼炉4の燃焼排ガスは圧力容器201を出たあと、後段に設置したガス冷却装置204で600℃以下に冷却し、この冷却によってNa,Kなどのアルカリ金属を固化あるいは粒子表面に固定化し、該粒子を集塵機205で捕集し排出する。集塵機203,205にはセラミックフィルタを用いることが多いが、他の形式の集塵機でもよい。
【0128】
高温腐食の原因となるNa,Kを取り除いて清浄になった燃焼ガスと、前記ガス化炉3を出たあと集塵機203で集塵されて清浄になった生成ガスを燃焼器206で混合燃焼させるが、それぞれのガスを冷却した分、燃焼器206へ持ちこまれる熱エネルギーが低下するので、燃焼器206にて高温燃焼させるためには、燃焼炉4での空気過剰率をなるべく少なくして運転し、燃焼排ガス量を低減する。そして、燃焼器206で燃焼に必要な酸素は、別途、酸素207として燃焼器206に供給する。
燃焼器206からの高温高圧燃焼排ガスは、ガスタービン209を高効率で駆動する。ガスタービン209はコンプレッサ210、発電機211を駆動する。
【0129】
ガスタービン209を出た排ガスは熱回収装置212で冷却されたのち、大気放出される。なお、本実施例においては、タービンブレードの材質が向上すれば、ガス冷却装置202,204は省略してもよい。
【0130】
一方、可燃物48として石炭を使用する場合、石灰石214を混合あるいは別途供給して炉内脱硫反応させる。すなわち、ガス化炉3にて発生する硫化水素HSをCaOと脱硫反応させてCaSとし、生成ガスに同伴させて集塵機203で捕集し、主燃焼室6に投入する。
【0131】
また、ガス化炉3から第1仕切壁上部の連絡口を通る反転流によって、未燃チャーなどと共にCaSを含む流動媒体が主燃焼室6に導入される。そこで沈降流によって流動層内に飲み込まれ、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼され、またCaSはCaSOとなり、燃焼排ガスに同伴して集塵機205で捕集、排出される。さらにガス化炉3における炉内脱硫反応が不十分な場合、ガス化炉を出た後、追加の脱硫反応装置213を設けることもよい。
【0132】
図10では、仕切壁の構造の一例を示す。
強流動化域302に形成される上昇流304の方向を変えるように仕切壁301が傾斜面301aを有しており、一方、傾斜面301aの反対面は垂直面になっており、仕切壁上端を越えた反転流305が停滞せず、そのまま沈降流306となって弱流動化域303を下降するように構成している。本構造は本発明の第1仕切壁、第2仕切壁のいずれであってもよい。なお、図1乃至図9に示す実施例において、第1仕切壁、第2仕切壁に傾斜面を形成することなく、垂直壁としてもよい。
【0133】
次に、本発明に係る円筒形の流動層ガス化燃焼炉の他の実施例を図11及び図12を参照して説明する。図11は円筒形の流動層ガス化燃焼炉の縦断面図である。図12は流動層部分の水平断面を示す。図11及び図12に示す実施例において、図6及び図7に示す実施例における要素(又は部材)と同一又は類似した機能を有する要素(又は部材)は同一符号を用いて説明する。
【0134】
本実施例においては、円筒形流動層炉1の内部は、外壁と同心の第1仕切壁2によって、中央部の円形の燃焼炉4と、その外側の円環状の炉部とに分割されている。円環状の炉部は半径方向に延びる複数の第2仕切壁5によって、複数のガス化炉3と複数の熱回収室7とに分割されている。第1仕切壁2には複数の矩形状の上部連絡口37、複数の矩形状の下部連絡口38が設けてあり、ガス化炉3と燃焼炉4とが相互に連絡されている。
【0135】
ガス化炉3にはガス排出口49が設けられ、このガス排出口49から生成ガス50が外部に導出される。また第1仕切壁2は燃焼炉4の主燃焼室6と熱回収室7とを流動床部分においてのみ分割しており、フリーボード部分は燃焼炉4の主燃焼室6と熱回収室7とは一体化しており、それぞれの燃焼排ガスはフリーボード部分で混合されたのち、ガス排出口51から燃焼排ガス52となって外部に導出される。各熱回収室7には伝熱面46が埋設されており、流動媒体から熱回収することができる。また第1仕切壁2には、下部連絡口40が設けてあり、上部開口部39と合わせ主燃焼室6と熱回収室7相互の流動媒体の移動が可能になっている。
【0136】
燃焼炉4の下部には、中央に炉床27が構成され、この炉床27を取り巻くように円環状の炉床28が構成されている。炉床27,28の下部には風箱8,9が設けられており、風箱8,9にはそれぞれ接続口を通して、流動化ガス18,19が導入される。
【0137】
一方、炉床27,28には、図6に示す実施例と同様に、それぞれ散気装置32,33が設けられている。散気装置32からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床27の上方に弱流動化域41を形成する。散気装置33からは、実質的に大きな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床28の上方に強流動化域42を形成する。
燃焼炉4の流動層内に2つの異なる流動化域が存在する結果、周囲の円環状範囲の強流動化域42で上昇し、中央に向かって流れ込み、中央部の円形状範囲の弱流動化域41で沈降する旋回流が生じる。
【0138】
一方、ガス化炉3および熱回収室7においても、下部には、それぞれ炉床29,31が構成されており、炉床29,31の下部には風箱10,12が設けられている。風箱10,12にはそれぞれ接続口を通して流動化ガス21,22が導入される。一方、炉床29,31には、図5に示す実施例と同様に、それぞれ散気装置34,36が設けられている。散気装置34からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、その結果、炉床29の上方に弱流動化域43を形成する。散気装置36からは、実質的に小さな流動化速度を与えるように流動化ガスを噴出し、炉床31の上方に弱流動化域45を形成する。
【0139】
上述のように構成することによって、以下のような流動媒体の流れが生じる。
すなわち、ガス化炉3の流動層内においては、弱流動化域43で流動媒体は沈降流にのって下降する。そして、流動媒体は炉床29の近くで、下部連絡口38を通って燃焼炉4に流入する。
【0140】
燃焼炉4の主燃焼室6の流動層内においては、弱流動化域41で流動媒体は沈降流にのって下降する。そして炉床27の近くで、強流動化域42に向かう水平流に転じ、強流動化域42ではさらに上昇流となる。一方、上昇流は流動層表面近傍で、中央の弱流動化域41へ向かう流れと、第1仕切壁2の連絡口37を通ってガス化炉3へ向かう反転流および第1仕切壁2の上部開口39より熱回収室7へ向かう反転流とに分岐する。
【0141】
従って、燃焼炉4の流動層内部では弱流動化域で沈降し、強流動化域で上昇する旋回流が形成される一方で、一部の流動媒体は第1仕切壁上部の連絡口37および上部開口39を通ってガス化炉3および熱回収室7に導入される。前述したように、ガス化炉3に流入した流動媒体は沈降流にのって下降する。
【0142】
一方、熱回収室7においては、弱流動化域45が形成されているので、沈降流が生じ、さらに流動媒体は第1仕切壁2の下部連絡口40を通る還流によって主燃焼室6へ戻る。
従って、ガス化炉3の弱流動化域43の上方に可燃物投入口47を設け、可燃物48を投入すると、沈降流によってガス化炉3の流動層内部に飲み込まれ、部分燃焼、ガス化が行われる。またガス化炉3の炉床部分のやや上方にも可燃物投入口47が形成されている。
【0143】
可燃物投入口47は通常ガス化炉の数に対して1本ずつ設けるが、大型機の場合ガス化炉が大きくなりガス化炉内の燃料分散が不十分となる場合は、ガス化炉の炉床を分割して流動化の強さを部分的に変えられるようにし、例えばガス化炉内に弱流動化域と強流動化域を形成して内部旋回流を生じさせて燃料の分散を促進することも有効である。
【0144】
図12は、ガス化炉の炉床を放射状に3分割し、中央部に弱流動化域43を、両端に強流動化域44を設けるようにした場合の例を示している。この場合、可燃物は中央の弱流動化域43に投入され、層内を沈降しながら熱分解、ガス化され、弱流動化域43の下部で両側の強流動化域44側に移動する。強流動化域44では可燃物の流れは上昇流に転じ再び層の上部で、矢印63で示すように中央の弱流動化域43側に流れ込む。
【0145】
主燃焼室6からガス化炉3へ流入する流動媒体の流れ59は、主燃焼室6から熱分解、ガス化に必要な熱量を流動媒体が顕熱としてガス化炉3へ供給するという関係上多い方が望ましい。従って、主燃焼室6とガス化炉3の第1仕切壁の上部開口37は、開口面積を大きくとるためガス化炉前面にわたるのが望ましいが、ガス化炉内に弱流動化域43、強流動化域44を形成する場合には、上部開口37を弱流動化域のみに設けることも有効である。こうすることによって、熱分解、ガス化が不十分な可燃物が主燃焼室に流入して燃焼することによる、ガス化率の低下を抑制することができる。
【0146】
一方、ガス化炉3内の未燃チャーを含む流動媒体は、下部連絡口38を通って、主燃焼室6に導入され、旋回流によって均一に分散混合し、酸化雰囲気で完全に燃焼される。図11に示されるように、ガス化炉3に、必要に応じて弱流動化域43の上部に燃料投入口68を設け、補助燃料69を供給することも可能である。
また、フリーボードに複数のノズル53を設け、2次空気54を導入して完全に燃焼させることも必要に応じて行うことができる。
【0147】
燃焼炉4の主燃焼室6内における燃焼により発生した熱量は、一部が第1仕切壁2の上部連絡口37を通る流動媒体の流れによってガス化炉3に導入されてガス化熱源となるほか、第1仕切壁2の上部を越えて熱回収室7に入り、下部連絡口40から主燃焼室6に戻る流動媒体循環流によって、熱回収室の伝熱面46を通じて外部に取り出される。
このように投入された可燃物のエネルギーについて、一部はガスとなって化学エネルギーとして取り出され、ガス化しにくい成分は燃焼炉4にて熱エネルギーに転換して有効に高効率で回収することが可能である。
【0148】
また、投入される可燃物の中に不燃分が混入していることも多い。そのため、本実施例においては、燃焼炉4の炉床28とガス化炉3の炉床29との間に不燃物排出口23を設けるとともに、燃焼炉4の炉床28と熱回収室7の炉床31との間に不燃物排出口23を設け、これら排出口23から不燃物25を排出するようにしている。
【0149】
以上説明したように、主燃焼室6内は中央部の流動化速度が周辺部の流動化速度よりも低く抑えられており、周辺部では激しく流動化し流動媒体が吹き上がり、中央部で沈降移動層を形成するいわゆる内部旋回流が形成されている。
【0150】
このような構成にすることによって主燃焼室6側の高温の流動媒体が第1仕切壁2を通ってガス化炉3側に流入しやすくなり、ガス化に必要な熱量が供給されやすくなり、発熱反応が生じている主燃焼室6の熱拡散をも促進することができるので、局所的な高温部が生じにくく、アグロメの発生を抑制することができる。
【0151】
ガス化炉3内はすべて比較的緩やかな流動層を形成させることによって未反応チャーの飛び出しを抑制し、効果的にガス化反応を行わせることが可能になる。主燃焼室6からの流動媒体の流入が十分であれば、ガス化炉3の流動化ガスは全く酸素を含む必要がなく、その場合はガス化炉3内で発熱反応が生じないので、アグロメ形成の可能性が皆無となる。
熱回収室7も比較的緩やかな流動層が形成されるが、そのためにアグロメの発生が懸念される場合は流動化ガスの酸素濃度を下げるか、もしくは酸素を含まないガスにて流動化させることで対処できる。
【0152】
熱回収室7のフリーボード部は主燃焼室6のフリーボード部と一体化しても良く、その場合は完全燃焼を促進するために必要に応じて二次空気を吹き込むこともできる。熱回収室7の流動化ガスの酸素濃度を抑え、熱回収室7の上部の酸素濃度がほぼゼロになるような場合は、熱回収室7のフリーボード部をガス化炉3のフリーボード部と一体化しても良い。
【0153】
可燃物の性状によって炉内にチャーが蓄積してくるような場合は主燃焼室6の周辺部、主燃焼室6の中央部、熱回収室7、ガス化炉3の順に流動化ガス中の酸素濃度を高めていくのが有効な対処方法である。逆にチャーが蓄積しない可燃物性状の場合は、ガス化炉3、熱回収室7、主燃焼室6の中央部、主燃焼室6の周辺部の順に酸素濃度を下げることによってより有効なガス化反応を行わせることができる。
【0154】
図13は、本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の一種である常圧の流動床石炭ボイラの実施例を示す概略図である。図13に示すように、流動床石炭ボイラの炉内は、ガス化室401、燃焼室402、熱回収室403に3分割され、燃料はガス化室401に供給され熱分解、ガス化される。ガス化室401に隣接して燃焼室402を設け、さらに燃焼室402に隣接して熱回収室403を設ける。常圧の流動床石炭ボイラに本発明を応用する際のフリーボード部はガス化室401、燃焼室402、熱回収室403の上部で一体化され互いに仕切られていない。熱回収室403内には流動媒体から収熱する伝熱面406が設置されている。フリーボード部にはガスの流れ方向に沿って蒸気過熱器404A、蒸発器404Bが順に設けられた構成からなる伝熱面404が設けられている。またフリーボード部の壁面には高さ方向、水平方向に複数の2次空気供給ノズル405A,405Bが設けられている。伝熱面404,406の収熱によって生成された蒸気は蒸気タービン407に導かれ、これを駆動する。一方、流動床石炭ボイラより排出された燃焼排ガスは、節炭器408、空気予熱器409、バグフィルタ410を経由して煙突411より排出される。また、ブロワ412より供給された空気は、空気予熱器409により加熱された後、流動床ボイラの底部より炉内に流動化ガスおよび燃焼用ガスとして供給される。
【0155】
ガス化室401、燃焼室402、熱回収室403の流動化ガスは空気で、ガス化室401へは、供給する燃料の理論空気量の約1〜2割の空気を供給する。ガス化室401へ供給される空気量の目安としては、燃焼によって生じる熱量と、ガス化反応に必要な熱とガスの顕熱として層から持ち出される熱量の合計を比べた時、前記合計の熱量のほうが前記燃焼によって生じる熱量より若干大きくなる程度の空気量が望ましい。このような空気量であれば、ガス化室401の層温を維持するのに不足する熱量を、隣接した燃焼室402から流入させる流動媒体の熱で補うことができ、ガス化室401の層温制御が容易になるのである。なお、図示されてはいないが、ガス化室401、燃焼室402、熱回収室403の各々の流動化ガスの流量及び組成は、独立して制御することが可能である。前記組成としては、空気に、酸素及び水蒸気の少なくとも一方を加えた流動化ガスが考えられる。
【0156】
ガス化室401は800℃〜950℃に維持され、そこに供給された燃料は部分燃焼、熱分解、ガス化され、未燃ガス及び部分燃焼によって発生した燃焼ガスの混合ガスはガス化室401の上部のフリーボード部に導かれる。一方、層内に残存した未反応チャーは、ガス化室401と燃焼室402間の粒子循環に伴い燃焼室402側に流入し、そこで完全燃焼する。燃焼室402に供給される空気量は、そこに流入するチャーの燃焼に必要な理論燃焼空気量よりも若干多い。具体的には理論燃焼空気量の約110〜120%の空気を供給することにより高温の層温で燃焼が促進されるとともに、脱硫反応と低NOx燃焼に最適な800℃〜900℃の温度に維持するよう、熱回収室403から低温の流動媒体を必要に応じて適宜供給できるようになっている。
【0157】
上記のような条件で運転すれば、流動層部(ガス化室401、燃焼室402、熱回収室403)に吹き込む合計の空気比は石炭の性状、特に燃料比によるが、概ね70〜90%となり、残りの10〜30%分の燃焼反応はフリーボードにて生じることになる。従って、フリーボードへの2次空気吹き込み個所を複数設けておき、必要に応じて吹き込み個所を変えることによって、フリーボードの温度を自在に制御できるのである。
【0158】
例えば、層内燃焼率が高く、フリーボードのガス温度が低下気味の炭種においては、フリーボードに設けた蒸気過熱器管404A、蒸発器管404Bの上部に2次空気405Bを吹き込むことによってフリーボードの伝熱管404での収熱を抑え、かつボイラ出口の燃焼ガス温度を適正に維持することができる。逆に層内燃焼率の低い炭種においては流動層部に設けた伝熱管406とフリーボードに設けた伝熱管404の間の空間に2次空気405Aを吹き込んで燃焼させた後、フリーボードの伝熱管で収熱することによって層内での収熱を補うことができる。その中間的な炭種についてはボイラ出口のガス温度を監視しながらフリーボードに設けた伝熱管の上側、下側にそれぞれ吹き込む2次空気405B,405Aの配分を調節することで最適な状態に調節することができる。
【0159】
またこのような構成にすることによって、流動床ボイラの据え付け面積を削減することができる。層内燃焼率の高い燃料の場合、通常の流動層燃焼炉で燃焼させると、層内で収熱すべき熱量が多いため、必要な層内伝熱面積が多く必要となり、その層内伝熱管配置のために流動層部の水平断面積が大きくなり、据え付け面積の増大を招く場合があるが、本発明を応用した常圧流動床石炭ボイラは層内燃焼を抑制し、フリーボード燃焼させることができることから、伝熱管のうちフリーボードに配する伝熱面の割合を増加させることができるため、ボイラ形状は縦長になり、水平断面積が減少し、据え付け面積を減少させることができるのである。
【0160】
なお、前述したように、図1乃至図13に示す実施例において、同一の作用及び機能を有する構成要素は同一符号を付して示されている。
【産業上の利用可能性】
【0161】
本発明は、都市ごみおよび産業廃棄物を含む廃棄物、あるいは石炭などの固形燃料をガス化して燃焼させるシステムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】図1は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の一実施例を示す縦断面図である。
【図2】図2は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の他の実施例を示す縦断面図である。
【図3】図3は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉の別の形態を示す平面図である。
【図4】図4は廃熱ボイラ及び蒸気タービンと組み合わせて使用される本発明に係る流動層ガス化燃焼炉を示す系統図である。
【図5】図5は本発明に係る流動層ガス化燃焼炉を大気圧以上の圧力条件で運転する場合のシステムを示す系統図である。
【図6】図6は本発明に係る円筒形の流動層ガス化燃焼炉の一実施例を示す縦断面図である。
【図7】図7は図6における流動層部分の水平断面を示す図である。
【図8】図8は廃熱ボイラ及び蒸気タービンと組み合わせて使用される本発明に係る円筒形の流動層ガス化燃焼炉を示す模式図である。
【図9】図9は本発明に係る円筒形の流動層ガス化燃焼炉を大気圧以上の圧力条件で運転する場合のシステムを示す模式図である。
【図10】図10は本発明の第1仕切壁及び第2仕切壁の詳細構造を示す断面図である。
【図11】図11は円筒形の流動層ガス化燃焼炉の縦断面図である。
【図12】図12は流動層部分の水平断面を示す図である。
【図13】図13は本発明の流動層ガス化燃焼炉の一種である常圧の流動床石炭ボイラの実施例を示す縦断面図である。
【図14】図14は従来の加圧燃焼炉トッピングサイクルを示す模式図である。
【図15】図15は伝熱管の熱伝達率と流動化質量速度との関係を示す図である。
【図16】図16は従来の流動床石炭ボイラの概略図である。
【符号の説明】
【0163】
1 流動層炉
2 第1仕切壁
2a,5a 傾斜面
3 ガス化炉
4 燃焼炉
5 第2仕切壁
6 主燃焼室
7 熱回収室
8,9,10,11,12,111a 風箱
13,14,15,16,17,116a 接続口
18,19,18a,19a,20,21,22,20a,21a,27a 流動化ガス
23,24 不燃物排出口
25,26 不燃物
27,28,29,30,31,130a 炉床
32,33,34,35,36,135a 散気装置
37 上部連絡口
38 下部連絡口
39 上部開口部
40 下部連絡口
41 弱流動化域
41a 強流動化域
42 強流動化域
42a 弱流動化域
43 弱流動化域
43a 弱流動化域
44 強流動化域
44a 弱流動化域
45 弱流動化域
46 伝熱面
47 可燃物投入口
48 可燃物
49 ガス排出口
50 生成ガス
51 ガス排出口
52 燃焼排ガス
53 ノズル
54 2次空気
55 沈降流
55a 上昇流
56 水平流
56a 水平流
57 上昇流
57a 沈降流
58 流れ
59 反転流
59a 反転流
60 沈降流
60a 反転流
61 水平流
62 上昇流
62a,162a 強流動化域
63 流れ
64 反転流
65 沈降流
66 還流
67 還流
68 燃料投入口
69 補助燃料
70 第3仕切壁
70a 下降流
71a 流れ
101 溶融燃焼炉
102 1次燃焼室
103 2次燃焼室
104 補助燃料
105 排出口
106 溶融灰
107 水室
108 スラグ
109 廃熱ボイラ
110 エコノマイザー
111 空気予熱器
112 集塵機
113 誘引送風機
114 中和剤
116 ボイラ給水
117,118 灰
119 飛灰
120 処理機
121 過熱蒸気
171a 水平流
201 圧力容器
202,204 ガス冷却装置
203,205 集塵機
206 燃焼器
207 酸素
209 ガスタービン
210 コンプレッサ
211 発電機
212 熱回収装置
213 脱硫反応装置
214 石灰石
301 仕切壁
301a 傾斜面
302 強流動化域
303 弱流動化域
305 反転流
306 沈降流
401 ガス化室
402 燃焼室
403 熱回収室
404 伝熱管
404A 蒸気過熱器管
404B 蒸発器管
405A 2次空気
405B 2次空気
406 伝熱管
407 蒸気タービン
408 節炭器
409 空気予熱器
410 バグフィルタ
411 煙突
412 ブロワ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仕切壁によってガス化炉と燃焼炉とに分割された流動層炉であって、
前記ガス化炉は、炉底と、生成ガスを排出するガス排出口と、流動層の上方から可燃物を投入する可燃物投入口を備え、
流動化ガスを前記炉底から前記ガス化炉内に導入して、炉底上方に流動媒体の弱流動化域と強流動化域を形成して旋回流を形成し、前記弱流動化域は投入された可燃物を沈降させる流動媒体の沈降流を形成し、該弱流動化域は前記仕切壁に近い区域にあり、
前記燃焼炉は、炉底と、燃焼排ガスを排出するガス排出口とを備え、
流動化ガスを前記炉底から前記燃焼炉内に導入して、炉底上方に流動媒体の強流動化域と弱流動化域を形成して旋回流を形成し、前記強流動化域は流動媒体の上昇流を形成し、該強流動化域は前記仕切壁に近い区域にあり、
前記仕切壁は、前記流動媒体の沈降流によって下降した未燃チャーを含む流動媒体を前記ガス化炉から前記燃焼炉に通す連絡口を具備し、
前記燃焼炉は第2仕切壁によって主燃焼室と熱回収室とに分割され、前記熱回収室を前記ガス化炉から分離して配置し、
前記熱回収室と前記主燃焼室との間に流動媒体の循環流を形成することを特徴とする流動層ガス化燃焼炉。
【請求項2】
前記ガス化炉と前記燃焼炉の主燃焼室と熱回収室は、一直線に並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の流動層ガス化燃焼炉。
【請求項3】
前記ガス化炉と前記燃焼炉の熱回収室は、仕切壁により完全に分離されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流動層ガス化燃焼炉。
【請求項4】
前記燃焼炉の炉底が前記連絡口に向かって下方に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の流動層ガス化燃焼炉。
【請求項5】
不燃物排出口が前記炉底に設けられていることを特徴とする請求項1記載の流動層ガス化燃焼炉。
【請求項6】
不燃物排出口が前記ガス化炉の炉底と前記燃焼炉の炉底との間に設けられていることを特徴とする請求項1記載の流動層ガス化燃焼炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−19870(P2009−19870A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−207742(P2008−207742)
【出願日】平成20年8月12日(2008.8.12)
【分割の表示】特願2000−519253(P2000−519253)の分割
【原出願日】平成9年11月4日(1997.11.4)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】