説明

流速センサ

【課題】低速域の流速であっても高精度に計測することができる流速センサを提供すること。
【解決手段】基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成され、基端側が固定端、先端側が自由端とされたレバー部10と、レバー部の主面10a上に取り付けられ、流動気体を上面3a及び下面に沿って流動させると共に流動中に生じた揚力によって浮上させられる翼体3と、レバー部の変位を測定する変位測定部4と、を備え、レバー部が、翼体の浮上に応じて主面に直交する方向に向けて撓み変形する流速センサ1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流速を計測する流速センサ(フローセンサ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のセンサとしては、熱線式タイプのものが広く知られている。このタイプの流速センサは、直径数μmの金属線を加熱しておき、流速による冷却効果によって金属線の温度が変化した際に、その温度変化に起因する金属線の電気抵抗変化に基づいて流速を計測するものである。例えば、流速が大きい場合には、冷却効果が高くなるので上記電気抵抗値が大きくなる。従って、電気抵抗値の変化をモニタすることで流速を計測することが可能とされている。
また、より感度の高い熱線式の流速センサとして、金属線によって生じた熱体の温度分布が流速によって変化した際に、その温度分布変化を金属線の両側に配設した温度センサ線で検出し、両温度センサ線の電気抵抗値の差分に基づいて流速を計測するものも知られている。
【0003】
しかしながら、流速が小さい場合には、熱線自体の発熱によって生じる対流が計測結果に顕著に影響を与え易いので、低速域の流速を精度良く計測することが難しい。
そこで、熱線式ではなく、流速に応じて変形する毛状構造と、この毛状構造体の変形量を検出するピエゾ等の圧電効果を利用した歪ゲージと、を具備し、歪ゲージによる検出結果に基づいて流速を計測する圧電式の流速センサが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3433227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の流速センサによれば、従来の熱線式のものに比べて、低速域での流速を正確に計測することが可能とされている。しかしながら、低速域の流速をより精度良く計測したい等のニーズがあり、計測精度のさらなる向上化が望まれている。
【0006】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、低速域の流速であっても高精度に計測することができる流速センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係る流速センサは、基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成され、基端側が固定端、先端側が自由端とされたレバー部と、前記レバー部の主面上に取り付けられ、流動気体を上面及び下面に沿って流動させると共に流動中に生じた揚力によって浮上させられる翼体と、前記レバー部の変位を測定する変位測定部と、を備え、前記レバー部が、前記翼体の浮上に応じて前記主面に直交する方向に向けて撓み変形することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る流速センサによれば、レバー部の主面上に翼体が取り付けられているので、流動してきた流動気体は翼体の前縁部から後縁部に向かって該翼体の上面及び下面に沿って流動する。この際、翼体の上面側と下面側とで圧力差が生じ、翼体を上方に引き上げようとする揚力が発生するので、翼体はこの揚力によって浮上させられる。しかもこの揚力は流速に応じて変化するので、翼体の浮上量は流速に対応した関係となる。
【0009】
上記したように翼体が浮上すると、その浮上にレバー部が追従するので、該レバー部は先端側が上方(主面に直交する方向)に向けて反り上がるように撓み変形する。この際、上記したように翼体の浮上量が流速に対応した関係となっているので、同様にレバー部の変位も流速に対応している。従って、変位測定部によって測定されたレバー部の変位の測定結果に基づいて、流速を正確に計測することができる。
【0010】
特に、翼体を利用しているので、流速の変化にリニアに対応しながら翼体の浮上量を変化させることができ、感度良く流速を計測することができる。しかも、流速が低速域であったとしても揚力を発生させて翼体を浮上させ易いうえ、片持ち状とされたレバー部に翼体が取り付けられているので該翼体が僅かに浮上した場合であってもレバー部を大きく撓み変形させ易い。従って、低速域の流速であっても確実且つ精度良く計測することができる。
【0011】
(2)上記本発明に係る流速センサにおいて、前記翼体の上面及び下面のうちの少なくとも一方には、前記流動気体の流動に伴って翼体表面に局所的な渦流を生じさせる渦流発生部が設けられていても良い。
【0012】
この場合には、渦流発生部によって、翼体の上面及び下面のうちの少なくとも一方において翼体表面に局所的な渦流が発生する。そのため流動気体は、この発生した渦流によって翼体表面から引き離され、翼体表面に直接触れることなく該翼体表面から若干離間しながら翼体に沿って流動する。従って、翼体と流動気体との間の流動抵抗を極力少なくすることができ、流動気体を途中で剥離させることなく後縁部まで確実に流動させ易いうえ、低速域の流速であっても翼体を浮上させ易い。その結果、低速域の流速をより効果的に精度良く計測することができる。
【0013】
(3)上記本発明に係る流速センサにおいて、前記渦流発生部が前記翼体の下面に形成され、該下面から突起した突起部であっても良い。
【0014】
この場合には、翼体の下面に突起部を形成するだけの簡便な構成で上記渦流を発生させることができるので、構成の単純化を図り易い。また、翼体の作製時に突起部も同時に作り込むことが可能であるので、製造効率が良いうえ、突起部の形状や突起高さ等を所望する状態で微細に作製し易い。
なお、翼体の上面側に沿って流動する流動気体は、下面側よりも揚力の失速に密に関係するものと考えられる。そのため、翼体の上面側に渦流を発生させた場合に、その渦流によって流動気体が翼体表面から離間しすぎてしまうと、逆に剥離に繋がり揚力の低下を引き起こしてしまうものと考えられる。しかしながら、翼体の下面側に渦流を発生させるので、上述した懸念を払拭することができる。
【0015】
(4)上記本発明に係る流速センサにおいて、前記レバー部が半導体材料で形成され、前記変位測定部が不純物のドーピングによって前記レバー部に形成された圧電体を備えていても良い。
【0016】
この場合には、レバー部の撓み(変位)に伴って圧電体に歪が生じるので、その歪に応じてレベル変化する電気的信号に基づいてレバー部の変位を精度良く測定することができる。特に、半導体製造技術を利用してレバー部を微細に作製することができるうえ、一連の半導体製造プロセス中に圧電体をレバー部に対して作り込むことができる。従って、効率良く製造することができるうえ、レバー部の狙った位置に圧電体を精度良く配置させることができ、レバー部の変位を正確に測定し易い。
【0017】
(5)上記本発明に係る流速センサにおいて、前記翼体が、前記レバー部の先端側に前縁部を介して取り付けられていても良い。
【0018】
この場合には、自由端とされているレバー部の先端側に翼体が取り付けられているので、翼体の浮上に伴ってレバー部をより大きく撓み変形させ易い。従って、流速をより高感度に計測することができると共に、低速域の流速をより精度良く計測することができる。また、翼体は前縁部を介してレバー部に取り付けられているので、翼体の姿勢を安定化させ易く、長期的な作動信頼性を確保し易い。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る流速センサによれば、流速を感度良く計測することができるうえ、低速域の流速であっても高精度に計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る実施形態を示す図であって流速センサの外観斜視図である。
【図2】図1に示すA−A線に沿った流速センサの断面図である。
【図3】流速センサの作動状態における断面図である。
【図4】本発明に係る変形例を示す図であって、翼体の下面に渦流を発生させる突起部が形成された流速センサの外観斜視図である。
【図5】図4に示す翼体の断面図である。
【図6】本発明に係る別の変形例を示す図であって、ホルダ部に4つのレバー部が片持ち状に支持された流速センサの外観斜視図である。
【図7】図6に示す流速センサの変形例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る流速センサの実施形態について説明する。
なお、本実施形態では、室内の空調を行う空調機器に組み込まれ、吸気量及び排気量の測定に繋げるための流動空気(流動気体)の流速を計測する場合を例に挙げて説明する。
【0022】
(流速センサの構成)
図1及び図2に示すように、本実施形態の流速センサ1は、プローブ2と、該プローブ2の後述するレバー部10に取り付けられた翼体3と、レバー部10の変位を測定する変位測定部4と、を備えている。
【0023】
プローブ2は、基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成されたレバー部10と、該レバー部10の基端側を片持ち状に固定するホルダ部11と、を備えている。そのためレバー部10は、基端側が固定端、先端側が自由端とされている。
このプローブ2は、例えばシリコン支持層2a、SiO2からなる酸化層2b、及びシリコン活性層2cの3層を熱的に貼り合わせたSOI基板から形成されており、レバー部10及びホルダ部11が一体的に形成されている。また、レバー部10とホルダ部11との接続部分であるレバー部10の基端部側には、開口部12が形成されており、レバー部10が基端部側で屈曲して撓み易い設計とされている。
なお、上記開口部12は2つ以上形成されていても構わないし、形成されていなくても構わない。
【0024】
ホルダ部11及びレバー部10の基端側には、レバー部10の撓み量に応じて抵抗値が変化するピエゾ等の圧電体15が開口部12の両側にレバー部10の長手方向に沿って形成されている。
この圧電体15には、アルミニウム等からなる配線部16が接続されており、この配線部16及び圧電体15を含む全体的な形状が平面視U字状になるように形成されている。また、ホルダ部11上に位置する配線部16の端部は、接続端子部16aとされている。そのため、一方の接続端子部16aを介して配線部16に供給された電流は、一方の圧電体15を通った後、開口部12を回り込んで他方の圧電体15に流れ、その後他方の配線部16の接続端子部16aから外部に流れることとなる。
【0025】
なお、上記圧電体15は、シリコン活性層2cからなるレバー部10に圧電材料(不純物)をイオン注入法や拡散法等の各種の方法によりドーピングされることで形成されたものである。また、上記した圧電体15及び配線部16上には、図示しない絶縁膜が被膜されており、外部との電気的な接触を防止して圧電体15及び配線部16を保護している。
【0026】
上記のように構成されているので、接続端子部16aを介して配線部16にバイアス電圧を印加することで、レバー部10の撓み(変位)、即ち圧電体15に生じる歪に応じてレベル変化する電気的信号を出力信号として取り出すことが可能とされている。そのため、この出力信号に基づいてレバー部10の変位を測定することが可能とされている。
上記した圧電体15及び配線部16は、上述した変位測定部4として機能する。
【0027】
上記翼体3は、流動空気W(図3参照)を前縁部20から後縁部21に向かって、該翼体3の上面3a及び下面3bに沿って流動させると共に、流動中に生じた揚力F(図3参照)によって浮上させられる部材であり、レバー部10の主面10a上における先端側に前縁部20を介して取り付けられている。
なお、本実施形態の翼体3は、レバー部10の長手方向に平行となるように、即ち前縁部20と後縁部21とを結ぶ翼弦(コード)Cがレバー部10の長手方向に対して平面視で平行となるように取り付けられている。また、レバー部10の主面10aに対して所定の迎え角αとなるように取り付けられている。
【0028】
なお、上記翼体3の作製方法としては、例えばナノインプリント技術を利用する方法が挙げられる。この方法によれば、翼体3を微細且つ簡便に作製し易いので好ましい。但し、この方法に限定されず、他の方法を採用しても構わない。また、翼体3の取り付け方法としては、接着剤や接合膜等を利用して固定する方法等が挙げられる。
【0029】
(流速センサの作動)
次に、上記のように構成された流速センサ1を利用して流動空気Wの流速を計測する場合について説明する。
図3に示すように、レバー部10の基端側から先端側に向かって流動空気Wが流れてくると、この流動空気Wは翼体3の前縁部20から後縁部21に向かって該翼体3の上面3a及び下面3bに沿って流動する。
この際、翼体3には迎え角αが付いているので、翼体3の上面3aでは速度が速くなり圧力が大気圧よりも低下して翼体3を引き上げる力が生じる。これに対して、翼体3の下面3bでは速度が遅くなり圧力が大気圧よりも高くなって翼体3を押し上げる力が生じる。このように、翼体3の上面3a側と下面3b側とで圧力差が生じて揚力Fが発生するので、翼体3はこの揚力Fによって浮上させられる。しかもこの揚力Fは流速に応じて変化するので、翼体3の浮上量は流速に対応した関係となる。
【0030】
上記したように翼体3が浮上すると、その浮上にレバー部10が追従するので、該レバー部10は先端側が上方(主面10aに直交する方向)に向けて反り上がるように撓み変形する。この際、上記したように翼体3の浮上量が流速に対応した関係となっているので、同様にレバー部10の変位も流速に対応している。
レバー部10が撓み変形すると圧電体15に歪が生じ、該歪に応じて抵抗値が変化するので出力信号が変化する。従って、この出力信号に基づいて、流速に関係したレバー部10の変位を測定することができると共に流速を正確に計測することができる。
【0031】
特に、翼体3を利用しているので、流速の変化にリニアに対応しながら翼体3の浮上量を変化させることができ、感度良く流速を計測することができる。しかも、流速が低速域であったとしても揚力Fを発生させて翼体3を浮上させ易いうえ、片持ち状とされたレバー部10に翼体3が取り付けられているので、該翼体3が僅かに浮上した場合であってもレバー部10を大きく撓み変形させ易い。従って、低速域の流速であっても確実且つ精度良く計測することができる。
【0032】
上記したように本実施形態の流速センサ1によれば、流動空気Wの流速を感度良く計測することができるうえ、低速域の流速であっても高精度に計測することができる。その結果、室内への流動空気Wの吸気量や、室内からの流動空気Wの排気量を測定することができ、室内の高精度な空調制御を行うことが可能となる。
【0033】
しかも本実施形態では、自由端とされているレバー部10の先端側に翼体3が取り付けられているので、翼体3の浮上に伴ってレバー部10をより大きく撓み変形させ易い。従って、この点においても流速を高感度に計測することができると共に、低速域の流速を精度良く計測することができる。また、翼体3は前縁部20を介してレバー部10に取り付けられているので、翼体3の姿勢を安定化させ易く、長期的な作動信頼性を確保し易い。
【0034】
また、本実施形態では、プローブ2がSOI基板から形成されているので、一般的な半導体製造技術によりレバー部10及びホルダ部11を容易に一体的に作り込むことができると共に、レバー部10を所望する形状に微細に作製することができる。加えて、一連の半導体製造プロセス中に圧電体15をレバー部10に対して作り込むことができる。従って、この点においても効率の良い製造を行えるうえ、レバー部10の狙った位置(レバー部10とホルダ部11との接続部分)に圧電体15を精度良く配置させることができ、レバー部10の変位を正確に測定し易い。
【0035】
なお、上記実施形態において、図4及び図5に示すように、翼体3の下面3bに流動空気Wの流動に伴って翼体表面に局所的な渦流W1を生じさせる突起部30(渦流発生部)を設けても良い。この突起部30は、翼長の全長に亘って翼体3の下面3bから突起しており、前縁部20から後縁部21に向かって間隔を開けて複数(図示の例では3つ)形成されている。
このように構成した場合には、図5に示すように流動空気Wが翼体3に沿って前縁部20から後縁部21に向かって流動する際、翼体3の下面3b側を流動する流動空気Wの一部が突起部30に接触して、翼体表面の近傍で局所的な渦流W1を発生させる。そのため、流動空気Wは、この発生した渦流W1によって翼体3の下面3bから引き離され、翼体3に直接触れることなく該翼体3から若干離間しながら翼体3に沿って流動する。
【0036】
従って、翼体3と流動空気Wとの間の流動抵抗を極力少なくすることができ、流動空気Wを途中で剥離させることなく後縁部21まで確実に流動させ易いうえ、低速域の流速であっても翼体3を浮上させ易い。その結果、低速域の流速をより効果的に精度良く計測することができる。
また、翼体3の下面3bに突起部30を形成するだけの簡便な構成で上記渦流W1を発生させることができるので、翼体3の構成の単純化を図り易い。また、翼体3の作製時に突起部30も同時に作り込むことが可能であるので、製造効率が良いうえ、突起部30の形状や突起高さ等を所望する状態で微細に作製し易い。
【0037】
なお、図4及び図5では、翼体3の下面3bに突起部30を形成したが、翼体3の上面3aに形成しても構わないし、下面3b及び上面3aの両方に形成しても構わない。また、渦流発生部としては、突起部30に限定されるものではなく、渦流W1を局所的に生じさせることができれば良い。例えば、糸状の繊維体を複数貼り付けることで、渦流W1を局所的に発生させても構わない。
【0038】
また、上記実施形態において、レバー部10とホルダ部11との接続部分に圧電体15を4つ形成し、これらを配線部16でホイートストンブリッジ回路を構成するように電気接続させても構わない。この場合には、レバー部10の撓み(変位)に起因する抵抗変化を電圧変化して検出できるので、やはりレバー部10の変位を精度良く測定することができる。
【0039】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、レバー部10の長手方向に対して平面視で翼弦Cが平行となるように翼体3を取り付けたが、角度をつけた状態で取り付けても構わない。また、前縁部20を介して翼体3をレバー部10に取り付けたが、後縁部21を介して取り付けても構わない。
【0041】
また、上記実施形態では、圧電体15を利用した自己検知方式によりレバー部10の変位を測定したが、この場合に限定されるものではなく、例えばレバー部10に検出光を照射し、レバー部10で反射された反射光に基づいてレバー部10の変位を測定する、いわゆる光てこ方式を採用しても構わない。
【0042】
また、上記実施形態では、流動空気Wの流速を計測したが、空気に限定されるものではなく例えば特定のガス等の流動気体の流速を計測しても構わない。
【0043】
また、異なる方向に延びた複数のレバー部10の基端側を共通のホルダ部11で片持ち状に支持しても構わない。この場合には、複数の方向から流動してくる流動空気Wの流速を同時に計測することが可能である。
【0044】
例えば、図6に示すように、4つのレバー部10を上下方向に延在する軸線Oを中心として周方向に90度毎に配置させ、これら4つのレバー部10の基端側をホルダ部11で片持ち状に支持した流速センサ40を構成しても構わない。なお、図6では、図面を簡略化するため、配線部16の図示を省略すると共に圧電体15を模式的に図示している。
このように構成された流速センサ40によれば、4方向に流動する流動空気Wの流速を同時に計測することができるので、使い易く利便性に優れている。
【0045】
なお、この場合において、図7に示すようにホルダ部11をプレート状に形成し、該ホルダ部11に平面視コ字状の切欠部41を形成することで、片持ち状に支持された4つのレバー部10を形成する構成にしても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
【符号の説明】
【0046】
W…流動空気(流動気体)
1、40…流速センサ
3…翼体
3a…翼体の上面
3b…翼体の下面
4…変位測定部
10…レバー部
10a…レバー部の主面
15…圧電体
20…翼体の前縁部
21…翼体の後縁部
30…突起部(渦流発生部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端側から先端側に向けて一方向に延びる板状に形成され、基端側が固定端、先端側が自由端とされたレバー部と、
前記レバー部の主面上に取り付けられ、流動気体を上面及び下面に沿って流動させると共に流動中に生じた揚力によって浮上させられる翼体と、
前記レバー部の変位を測定する変位測定部と、を備え、
前記レバー部は、前記翼体の浮上に応じて前記主面に直交する方向に向けて撓み変形することを特徴とする流速センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の流速センサにおいて、
前記翼体の上面及び下面のうちの少なくとも一方には、前記流動気体の流動に伴って翼体表面に局所的な渦流を生じさせる渦流発生部が設けられていることを特徴とする流速センサ。
【請求項3】
請求項2に記載の流速センサにおいて、
前記渦流発生部は、前記翼体の下面に形成され、該下面から突起した突起部であることを特徴とする流速センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の流速センサにおいて、
前記レバー部は、半導体材料で形成され、
前記変位測定部は、不純物のドーピングによって前記レバー部に形成された圧電体を備えていることを特徴とする流速センサ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の流速センサにおいて、
前記翼体は、前記レバー部の先端側に前縁部を介して取り付けられていることを特徴とする流速センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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