説明

浄化設備

【課題】 優れた脱臭機能を有し、単独で、且、目立たない施工が可能であり、さらに施工作業を効率的に行うことができるとともに、維持管理コストを低減することができる浄化設備を提供する。
【解決手段】 本発明に係る浄化設備は、浄化槽2と、脱臭装置1とを含む。浄化槽2は、排気口23を有し、地中に埋設されている。脱臭装置1は、通気管10と、充填材15とを有し、地中に埋設されている。通気管10は、多孔質であり、一端101が浄化槽2の排気口23に接続されている。充填材15は、粒状である。通気管10は、地中に埋設されており、周囲に充填材15が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄化設備に関し、より具体的には浄化槽と、浄化槽用脱臭装置とを有する浄化設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自然環境における健全な水循環機能を確保するため、一般家庭に対する浄化槽の設置が広く推進されている。通常、この種の浄化槽は、屎尿や、台所排水、洗濯排水等の生活雑排水(以下、汚水と称する)を、好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して浄化処理する好気処理槽を有する。浄化槽が好気処理槽を有する場合、浄化槽は、エア・コンプレッサ等の送風装置(以下、ブロワと称する)を含み、ブロワを用いて好気処理槽に空気を送り込むことにより、好気性微生物の活性化、及び、汚泥等の攪拌を行う。
【0003】
一方、浄化槽の内部では、汚水に含まれる有機物の分解に伴い、メタンガス、アンモニア、及び、硫化水素などの臭気が発生する。浄化槽は、一般に密閉構造を有しているから、ブロワの駆動により内部の空気圧が高まると、蓋部や配管の接続部分等から臭気が外部に漏出し、建築主、及び、近隣住民からの臭気クレームが頻発する問題を生じる。従って、この種の浄化槽においては、臭気クレームの危険を回避しつつ、浄化槽内の空気を如何に外部に逃がすかが重要な技術的課題となる。
【0004】
上述した臭気クレーム対策として、従来の浄化設備は、高所に臭突管を設置し、臭突管から浄化槽内の空気を大気中に放散していた。一般的な臭突管の立ち上げ工事においては、まず浄化槽に接続した臭突管を屋根上まで立ち上げる。次に、臭突管を家屋の外壁面に止め具を用いて固定し、臭突管の長手方向端部に備えられた排気口を家屋の屋根付近の高さまで延ばして、ここから空気を放散させる。また、特許文献1では、浄化槽は、排気管を介して、側溝へ空気を放散していた。
【0005】
しかし、上述した従来技術は何れも脱臭機能を有しておらず、大気中に放散された空気は依然として臭気を伴うものであるから、根本的な臭気対策となっていない。その結果、施工住宅の間取りや、近隣住宅の間取り、風向き、さらには人通り等に配慮して排気口を設置しなければならず、施工効率が悪い点で問題を生じていた。
【0006】
また、臭突管の立ち上げ工事が、新築建物に対して行われる場合、水道設備業者による浄化槽及び臭突管工事と、家屋建築業者の設備及び足場とがかち合う不都合を生じる。
【0007】
他方、臭突管の立ち上げ工事が、既存建物に対して行われる場合、雨樋や屋根の構造により設置場所が制約される不都合を生じる。
【0008】
さらに、現状では、臭突管は、汲み取り便所と勘違いされるなど見栄えが悪いとの理由から、設置が見送られる傾向にあり、建築主のニーズに即した浄化槽の臭気対策が待たれているところである。
【0009】
上述した従来技術に対しては、特許文献2乃至4に示すように、臭気対策として臭突管、及び、排気口に脱臭装置を備える構成も考え出されている。
【0010】
しかし、特許文献2乃至4に示すように、浄化施設が機械的に高度な脱臭装置を備える場合、脱臭装置には電源等の動力源が必要となる結果、設置場所が制約されることとなり、施工効率が悪い点で問題を生じていた。
【0011】
また、浄化施設が機械的に高度な脱臭装置を備える場合、脱臭装置は故障の危険をはらむこととなるから、長期間の使用を前提として埋設される浄化設備には不適当である点、及び、消費者が定期的な保守点検を強いられる点で問題がある。
【0012】
さらに、特許文献2及び3に示す浄化設備では、依然として臭突管自体の見栄えの悪さの問題等を解決することができない。
【特許文献1】特開2003−062588号公報
【特許文献2】特開平10−180032号公報
【特許文献3】特許第2945554号公報
【特許文献4】特開平06−126125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、優れた脱臭機能を有する浄化設備を提供することである。
【0014】
本発明のもう1つの課題は、目立たない施工が可能であるとともに、単独で施工が可能である浄化設備を提供することである。
【0015】
本発明の更にもう一つの課題は、施工作業を効率的に行うことができるとともに、維持管理コストを低減することができる浄化設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述した課題を解決するため、本発明に係る浄化設備は、浄化槽と、脱臭装置とを含む。浄化槽は、排気口を有し、地中に埋設されている。脱臭装置は、通気管と、充填材とを有し、地中に埋設されている。通気管は、多孔質であり、一端が浄化槽の排気口に接続されている。充填材は、粒状である。通気管は、地中に埋設されており、周囲に充填材が配置されている。
【0017】
上述のように、浄化設備は、浄化槽と、脱臭装置とを含む。浄化槽は、排気口を有し、地中に埋設されている。脱臭装置は通気管を有し、通気管は一端が浄化槽の排気口に接続されているから、浄化槽内の空気を、通気管を通じて外部に送出し、浄化槽内の空気圧を一定に保つことができる。
【0018】
脱臭装置は地中に埋設されているから、浄化槽の設置とともに実行することができ、単独で施工が可能である。従って、施工作業を効率的に行うことができる。また、通気管は、地中に埋設されているから、目立たない施工が可能である。
【0019】
通気管は多孔質であり、地中に埋設されているから、地中の好気性微生物を通気管の内部に案内することができる。従って、脱臭装置は、好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して、通気管の内部を流動する空気中の臭気成分を、地中で脱臭処理することができる。
【0020】
さらに脱臭装置は充填材を有する。充填材は粒状であって、通気管の周囲に配置されている。即ち、脱臭装置は、通気管の周囲に、充填材により形成された地中空間を有している。上述したように、通気管は多孔質であるから、浄化槽から送出されてくる空気を、上述した地中空間に放散することができる。
【0021】
脱臭装置は、通気管の周囲に、充填材により形成された地中空間を有しているから、地中の好気性微生物を用いた生物学的方法により、通気管から地中空間に放散された空気に含まれる臭気成分を、地中で脱臭処理することができる。
【0022】
上述したように、脱臭装置は地中に埋設され、地中の好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して脱臭処理するものであるから、動力源が不要であり、施工作業を効率的に行うことができる。
【0023】
同様に、脱臭装置は地中に埋設され、地中の好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して脱臭処理するものであるから、故障の危険を有しない。従って、維持管理コストを低減することができるとともに、長期間に渡って安定的に使用することができる。
【0024】
さらに、通気管は地中に埋設されており、周囲に充填材が配置されているから、浄化槽の規模に対応した脱臭空間を形成することにより、脱臭装置の脱臭機能を容易に調節することができる。
【0025】
本発明の好ましい態様において、充填材はゼオライトである構成によると、生物学的方法を利用した脱臭処理を行うことができるとともに、充填材それ自体の脱臭効果を利用して脱臭処理を行うことができる。従って、脱臭装置は、優れた脱臭効果を奏することができる。
【0026】
本発明の他の目的、構成及び利点については、添付図面を参照し、更に詳しく説明する。添付図面は、単に、例示に過ぎない。
【発明の効果】
【0027】
以上述べたように、本発明によれば、次のような効果を得ることができる。
(1)優れた脱臭機能を有する浄化設備を提供することができる。
(2)目立たない施工が可能であるとともに、単独で施工が可能である浄化設備を提供することができる。
(3)施工作業を効率的に行うことができるとともに、維持管理コストを低減することができる浄化設備を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の一実施形態に係る浄化設備の端面図、図2は図1に示した浄化設備の一部を拡大して示す端面図である。図1及び図2を参照すると、本発明の一実施形態に係る浄化設備は、脱臭装置1と、浄化槽2とを有する。
【0029】
浄化槽2は、ベースコンクリート21と、処理槽22と、排気口23とを含み、地中に埋設されている。図1を参照すると、処理槽22は地中に埋設され、ベースコンクリート21上に安定的に配置されている。処理槽22は、好ましくは、内部に好気処理槽(図示しない)を備えており、蓋部24が地表面Gに備えられている。排気口23は、管状であって、一端が処理槽22の内部と通気的に接続されており、他端が後述する第1の桝13を介して通気管10と通気的に接続されている。
【0030】
脱臭装置1は、通気管10と、第1の桝13と、第2の桝14と、充填材15とを有し、地中に埋設されている。記号Gは、地表面を示す。
【0031】
通気管10は、多孔質である。図2に示す通気管10は、所謂ネットパイプであって、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂材料でなり、管基体部分に、外面から内面に貫通する通孔部11が複数備えられている。
【0032】
通気管10は、地中に埋設されており、周囲に充填材15が配置されている。充填材15は、好ましくは、ゼオライト等の脱臭効果を有する材料を用いて構成される。
【0033】
図1及び図2に示す充填材15は、好ましくは粒状または砕石状であって、隣接する充填材15の相互間には、地中空間100が形成されている。図1及び図2では簡略化されて示されているが、充填材15は、好ましくは地中空間100において、粒径の異なる複数の層を構成する。充填材15の粒径は、通気管10に近接するに従って大きくなるように設定される。
【0034】
通気管10は、一端101が、第1の桝13を介して浄化槽2と通気的に接続されており、他端102が第2の桝14と通気的に接続されている。
【0035】
より詳細に説明すると、第1の桝13は、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂材料でなり、内部空間130(図3参照)と、蓋部131と、第1の接続孔132と、第2の接続孔133とを有する。
【0036】
蓋部131は、地表面Gに露出して備えられており、内部空間130の検査口として用いることができる。第1の接続孔132は、内部空間130に貫通している。第1の接続孔132には、通気管10の一端101が接続され、内部空間130と通気管10とが通気的に接続されている。第2の接続孔133は、内部空間130に貫通している。第2の接続孔133には、浄化槽2の排気口23が接続され、内部空間130と浄化槽2とが通気的に接続されている。
【0037】
同様に、第2の桝14は、好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、塩化ビニル樹脂(PVC)等の合成樹脂材料でなり、内部空間140(図3参照)と、蓋部141と、第1の接続孔142を有する。蓋部141は、地表面Gに露出して備えられており、内部空間140の検査口として用いることができる。第1の接続孔142は、内部空間140に貫通している。第1の接続孔142には、通気管10の他端102が接続され、内部空間140と通気管10とが通気的に接続されている。
【0038】
上述したように、第1の桝13は、第1の接続孔132に通気管10の一端101が連結され、第2の接続孔133に浄化槽2の排気口23が連結されており、内部空間130を介して通気管10と浄化槽2とを通気的に接続する。さらに、第2の桝14は、第1の接続孔142に通気管10の他端102が連結されており、内部空間140が、通気管10を介して第1の桝13、及び、浄化槽2を通気的に接続する。
【0039】
脱臭装置1は、保護層3を含む。保護層3は、好ましくは不織布であって、通気性を有する。図1及び図2に示す保護層3は、通気管10、及び、充填材15の上部に備えられ、通気管10、充填材15、及び、地中空間100への土砂、塵埃等異物の侵入を防止する。
【0040】
図1及び図2に示した浄化設備に備えられている脱臭装置1の作用効果について、さらに図3及び図4を参照して説明する。図3は図1及び図2に示した脱臭装置1の使用態様を示す端面図、図4は図3に示した脱臭装置1の使用態様について一部を拡大して示す端面図である。
【0041】
図3に示すように、通気管10は、一端101が第1の接続孔132に連結されており、第1の桝13を介して浄化槽2の排気口23と通気的に接続されているから、浄化槽2の内部の空気を矢印M1で示す方向に送出し、浄化槽2の内部の空気圧を一定に保つことができる。従って、浄化槽2は、ブロワの駆動により、処理槽22の内部の空気圧が高まったとしても、蓋部24や、配管の接続部分等から処理槽22の内部の臭気が外部に漏出することを防止できる。
【0042】
一方、通気管10は、他端102が第2の桝14と通気的に接続されているから、矢印M1及び矢印M2方向から送出された空気を、矢印M3で示す方向に円滑に流動させることができる。即ち、脱臭装置1は、第2の桝14を有する構成により、通気管10の他端102の側に、矢印M1及び矢印M2方向から送出された空気が、矢印M3方向に流動する内部空間140を備えているから、空気を円滑に流動させることができる。
【0043】
通気管10は多孔質であり、地中に埋設されているから、地中の好気性微生物を、矢印M20で示す通気管10の内部に案内することができる。従って、脱臭装置1は、通気管10の内部において、矢印M2方向に流動する空気中の臭気成分を、好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して、地中で脱臭処理することができる。従って、本発明の一実施形態に係る脱臭装置1によると、建築主、及び、近隣住民からの臭気クレームを防止することができる。
【0044】
他方、脱臭装置1は、充填材15を有する。充填材15は、地中に埋設された通気管10の周囲に配置されている。即ち、脱臭装置1は、通気管10の周囲に、地中空間100を有している。通気管10は多孔質であるから、浄化槽2から矢印M2方向に送出される空気を、通孔部11を通じて矢印M20方向に流動させ、地中空間100に放散することができる。なお、充填材15は、好ましくは粒状または砕石状であるから、地中に通気性の良い地中空間100を形成することができる。
【0045】
上述したように脱臭装置1は、通気管10の周囲に、好気性微生物の繁殖空間となる地中空間100を有しているから、地中空間100から矢印M20方向に放散された空気中の臭気を、生物学的方法により地中で脱臭処理することができる。従って、脱臭装置1は、建築主、及び、近隣住民からの臭気クレームを防止することができる。
【0046】
また、脱臭装置1は、生物学的方法により脱臭処理することができるから、電源等の動力源が不要であり、設置場所の選定が容易となる。従って、本発明の一実施形態に係る浄化設備の構成によると、施工作業を効率的に行うことができる。
【0047】
同様に、脱臭装置1は、通気管10の周囲に充填材15が配置されている構成により、生物学的方法を利用して脱臭処理するものであるから、故障の危険を有しない。従って、維持管理コストを低減し、長期間に渡って安定的に使用することができる。
【0048】
脱臭装置1は、通気管10を流動する空気中の臭気成分を脱臭処理することができるとともに、通気管10から地中空間100に放散された空気中の臭気成分を脱臭処理することができから、優れた脱臭効果を有する。
【0049】
さらに、脱臭装置1は、充填材15にゼオライトを用いた場合、充填材15それ自体による脱臭処理を行うことができるから、優れた脱臭効果を有する。
【0050】
図1乃至図4を参照して説明した脱臭装置1は、地中に埋設されているから、設置場所の選定が容易であり、施工作業を効率的に行うことができる。
【0051】
通気管10は、地中に埋設されているから、浄化槽2の設置とともに、単独で施工が可能である。従って、水道設備業者による浄化槽及び脱臭装置1の取り付け工事は、家屋建築業者の設備及び足場に阻害されることなく実施することが可能であって、施工作業を効率的に行うことができる。
【0052】
また、通気管10は、地中に埋設されているから、脱臭装置1の取り付け工事は、既存建物に備えられている雨樋や屋根の構造などに設置場所が制約されることなく実行することができる。従って、施工作業を効率的に行うことができる。
【0053】
同様に、通気管10は、地中に埋設されているから、目立たない施工が可能である。従って、汲み取り便所と勘違いされるなど見栄えが損なわれる問題を解消することができる。
【0054】
さらに、充填材15は、粒状または砕石状であるから、通気管10の周囲に形成される地中空間100の容積を調節することにより、浄化槽2の規模に容易に追従して、適当な脱臭効果を有する脱臭装置1を提供することができる。
【0055】
充填材15は、好ましくは地中空間100において、粒径の異なる複数の層を構成する。充填材15の粒径は、通気管10に近接するに従って大きくなるように設定されているから、通気管10への雨水や土砂、塵埃等の侵入を防止することができるとともに、通気管10の周囲に通気性が良く、好気性微生物の繁殖空間として好ましい地中空間100を広く確保することができる。
【0056】
保護層3は、通気管10、及び、充填材15の上部に備えられているから、地中の好気性微生物を、通気管10、及び、充填材15の底面側、及び、両側面側から、地中空間100の内部、さらには通気管10の内部に案内することができる。
【0057】
図5乃至図8は、本発明に係る浄化設備の設置方法を示す端面図である。図5乃至図8において、図1乃至図4に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0058】
図5乃至図8に示す浄化設備の設置方法は、脱臭装置1と、浄化槽2とを含む。脱臭装置1は、図1乃至図4を参照して説明したものでなる。浄化槽2は、排気口23を有する。
【0059】
浄化設備の設置に当たり、まず、図5を参照すると、設置穴4を掘削する。設置穴4の内部には、浄化槽2の排気口23が案内され、底部40には第1の桝13と、第2の桝14が配置される。第1の桝13は、第1の接続孔132が、第2の桝14の第1の接続孔142と相対向して備えられる。排気口23は第2の接続孔133に連結され、第1の桝13と、浄化槽2とが通気的に接続される。
【0060】
次に、図6を参照すると、図5に示す工程の後、設置穴4の底部40に充填材15を敷設する。充填材15は、第1の桝13の接続孔132と、第2の桝14の接続孔142とを水平に結んだ点線領域Xより下に敷設される。点線領域Xで示す部分には、通気管10が配置される。
【0061】
次に、図7を参照すると、図6に示す工程の後、通気管10を設置穴4の内部に配置し、一端101を第1の接続孔132に連結し、他端102を第1の接続孔142に連結する。第1の桝13と、第2の桝14とは通気管10により通気的に接続される。
【0062】
次に、図8を参照すると、図7に示す工程の後、通気管10の上部を、充填材15で被覆する。さらに充填材15の上には保護層3が備えられるとともに、埋め戻し土で被覆される。
【0063】
図5〜図8を参照して説明した方法により設置される浄化設備は、図1〜図4を参照して説明した利点を全て有する。
【0064】
さらに、図5〜図8を参照して説明した浄化設備の設置方法によると、施工作業を効率的に行うことができる。たとえば、脱臭装置1は、充填材15が充填される設置穴4の容積を調節することにより、浄化槽2の規模に追従して、適当な脱臭効果を有する地中空間100を容易に設定することができる。
【0065】
図9及び図10は、本発明のもう一つの実施形態に係る浄化設備の端面図である。図9及び図10において、図1乃至図8に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0066】
まず、図9に示す浄化設備を参照すると、通気管10の配置、及び、第2の桝14の構成について、図1乃至図8に示した脱臭装置1とは相違点を有することがわかる。以下、相違点を中心に説明する。
【0067】
図9に示す脱臭装置1は、通気管10が、設置穴の底面に備えられており、充填材15は上方から通気管10を被覆して備えられている。即ち、脱臭装置1において通気管10の底面側に充填材15が備えられていない構成によると、通気管10の設置作業、及び、充填材15の敷設作業を効率的に行うことができる。
【0068】
また、通気管10が設置穴の底面に備えられており、充填材15は上方から通気管10を被覆して備えられている構成によると、底面に生息する好気性微生物を、容易に通気管10の内部に案内することができる。従って、脱臭装置1は、優れた脱臭機能を有する。
【0069】
次に、図9に示す脱臭装置1において、第2の桝14は、蓋部141が通気性を有する格子状部分を備えている。即ち、蓋部141が、所謂、格子蓋141である構成によると、通気管10を通じて矢印M1及び矢印M2方向から送出された空気を、格子蓋141を通じて外部方向M3に放散することができるから、排気口23から送出される空気を円滑に排出することができる。
【0070】
なお、図1乃至図4を参照して説明したように、矢印M1及び矢印M2方向から送出されてくる空気中の臭気成分は、通気管10の内部において、地中の好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して脱臭処理されているから、外部方向M3に放散された空気に対し、建築主、及び、近隣住民から臭気クレームが生じることはない。
【0071】
図10に示す浄化設備を参照すると、第1及び第2の桝13、14の有無について、図1乃至図9に示した浄化設備とは相違点を有することがわかる。以下、相違点を中心に説明する。
【0072】
まず、図10に示す浄化設備は、通気管10の一端101が、直接、排気口23と通気的に接続されている。この構成によると、図1乃至図9に示した第1の桝13が不要となるから、施工作業を効率的に行うことができる。
【0073】
次に、図10に示す浄化設備は、図1乃至図9に示した第2の桝14に替わって、放散管16が備えられている。放散管16は、第1の接続孔162に通気管10の他端102が連結され、通気管10が内部空間160と通気的に接続されている。
【0074】
放散管16は、所謂エルボー返しであって、放散口161が地表面Gに対向して配置されている構成によると、通気管10を通じて矢印M1及び矢印M2方向から送出された空気を、放散口161を通じて外部方向M3に放散することができるから、排気口23から送出される空気を円滑に排出することができる。
【0075】
また、図9を参照して説明したように、外部方向M3に放散された空気は、通気管10を矢印M2方向に送出されてくる過程で、地中の好気性微生物を用いた生物学的方法を利用して、脱臭処理されているから、建築主、及び、近隣住民からの臭気クレームが生じることはない。
【0076】
なお、図10に示す浄化設備において、通気管10と、放散管16とは、別々の部材で構成されているが、両者は一体的に成形されていてもよい。
【0077】
図11は本発明の更にもう一つの実施形態に係る浄化設備の端面図、図12は図11に示した浄化設備について一部を拡大して示す端面図である。図11及び図12において、図1乃至図10に示した構成部分と同一の構成部分には、同一の参照符号を付す。
【0078】
図11及び図12に示した浄化設備は、通気管10の内部に球状体5が配置されている点に特徴がある。球状体5は、通気管10の内径より僅かに小さい直径寸法のものを用いることが好ましい。
【0079】
上述したように浄化設備が、通気管10の内部に球状体5を備える構成によると、通気管10の内部をM1からM2、M3方向に流れる空気の流動を制御し、脱臭装置1の脱臭効果を向上することができる。
【0080】
図12を参照してより詳細に説明すると、通気管10の内部をM2方向に流れる空気は、球状体5により一旦せき止められ、通孔部11を通じて矢印M21で示す方向に流動し、地中空間100に放散される。即ち、通気管10が内部に球状体5を備える構成によると、地中空間100に放散される空気量が増加することにより、脱臭装置1の脱臭効果が向上する。
【0081】
一方、M21方向に放散された空気は、そのまま地中に吸収されるか、又は、通孔部11を通じて矢印M22で示す通気管10の内部に還流され、再びM2、M3方向に送出される。従って、浄化設備は、M1からM2、M3方向へ流れる空気の流動を阻害することなく、脱臭装置1の脱臭効果を向上することができる。
【0082】
好ましくは、図11及び図12に示す球状体5は、第1の桝13を通じて一端101から、通気管10の内部に挿入される。通気管10に配置された球状体5は、M2方向に流れる空気や、道具を用いた人為的方法により第2の桝14から取り出すことができる。通気管10に配置された球状体5は、そのまま通気管10に固定されてもよい。従って、施工作業、維持管理作業を効率的に行うことができる。
【0083】
しかも、通気管10の内部における球状体5の位置によって、充填材15の活性化位置をコントロールできるから、充填材15をその全長にわたって、有効に機能させることができる。通気管10の内部に対する球状体5の嵌め合いを適切に設定することにより、使用済みの充填材15の部分から、隣接する未使用の充填材15の部分へと、空気圧によって自動的に送り、充填材15を、その全長にわたって有効に、自動的に機能させることもできる。
【0084】
上述した使用済みの充填材15の部分は、球状体5が接する未使用の充填材15の部分へ移動することにより、脱臭処理の過負荷状態から解放され、時間の経過に伴って回復、再活性化する。従って、通気管10の内部における球状体5の位置によって、充填材15の活性化位置をコントロールできる構成によると、優れた脱臭機能を有する浄化設備を、長期間に渡って効率的、且、安定的に使用することができる。
【0085】
さらに、通気管10が内部に球状体5を備える構成によると、様々な施工条件や、施工主からの要望に迅速に対応することができる。
【0086】
以上、好ましい実施例を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種種の変形態様を採り得ることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る浄化設備の端面図である。
【図2】図1に示した浄化設備の一部を拡大して示す端面図である。
【図3】図1及び図2に示した脱臭装置の使用態様を示す端面図である。
【図4】図3に示した脱臭装置の使用態様について一部を拡大して示す端面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る浄化設備の設置方法を示す端面図である。
【図6】図5に示した工程の後の工程を示す端面図である。
【図7】図6に示した工程の後の工程を示す端面図である。
【図8】図7に示した工程の後の工程を示す端面図である。
【図9】本発明のもう一つの実施形態に係る浄化設備の端面図である。
【図10】本発明の更にもう一つの実施形態に係る浄化設備の端面図である。
【図11】本発明の更にもう一つの実施形態に係る浄化設備の端面図である。
【図12】図11に示した浄化設備について一部を拡大して示す端面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 脱臭装置
10 通気管
101 一端
15 充填材
2 浄化槽
23 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄化槽と、脱臭装置とを含む浄化設備であって、
前記浄化槽は、排気口を有し、地中に埋設されており、
前記脱臭装置は、通気管と、充填材とを有し、地中に埋設されており、
前記通気管は、多孔質であり、一端が前記浄化槽の前記排気口に接続されており、
前記充填材は、粒状であり、
前記通気管は、地中に埋設されており、周囲に前記充填材が配置されている
浄化設備。
【請求項2】
請求項1に記載された浄化設備であって、
前記充填材は、ゼオライトである浄化設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−181504(P2006−181504A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−378914(P2004−378914)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(595013863)株式会社たつみ産業 (2)
【Fターム(参考)】