説明

浄水カートリッジ

【課題】浄化能力を向上することのできる浄水カートリッジを得る。
【解決手段】流入口2と流出口3とを有するカートリッジケース4と、当該カートリッジケース4の内部の流入口2と流出口3との間に配置される浄化材収納部52と、当該浄化材収納部52に装填される浄化材5と、を備える浄水カートリッジ1において、浄化材収納部52の一部に、当該浄化材収納部52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浄水カートリッジとして、粒状の活性炭に粒状の吸水ポリマーを混合したものををカートリッジケースの内部に配置された収納容器に装填することで、収納容器内の空隙をなくし水路の短絡を防止したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−88473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、かかる従来の浄水カートリッジでは、活性炭に吸水ポリマーを混合する際に吸水ポリマーが偏ってしまう場合があり、吸水ポリマーが偏った場合には、その偏り部分では活性炭の混合割合が減少するため、吸水ポリマーの偏り部分を原水が通過した場合に、原水の浄化が十分に行われなくなってしまうおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、浄化能力を向上することのできる浄水カートリッジを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にあっては、流入口と流出口とを有するカートリッジケースと、当該カートリッジケースの内部の前記流入口と前記流出口との間に配置される浄化材収納部と、当該浄化材収納部に装填される浄化材と、を備える浄水カートリッジにおいて、前記浄化材収納部の一部に、当該浄化材収納部に装填された浄化材に押圧力を付加する浄化材押圧部を設けたことを特徴とする浄水カートリッジ。
【0007】
請求項2の発明にあっては、請求項1の浄水カートリッジにおいて、前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押さ板との間に配置され浄化材を押圧する方向の付勢力を有する付勢部材と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明にあっては、請求項1の浄水カートリッジにおいて、前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押え板との間を埋めるように配置され給水により膨潤する膨潤部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明にあっては、請求項1の浄水カートリッジにおいて、前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押え板との間に圧縮した状態で詰め込まれる不織布と、を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明にあっては、請求項1の浄水カートリッジにおいて、前記浄化材押圧部は、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置され、前記流入口から流入する水の流入圧により浄化材の押圧方向に作用する可動押え板を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、浄化材収納部に装填された浄化材に浄化材押圧部によって押圧力が付加されるため、浄化材を浄化材収納部内に隙間無く詰めることができる。したがって、流入口から流入した水は、浄化材収納部内に隙間無く充填された浄化材を均等に通過して浄化されるため、浄水能力を向上することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、浄化材押圧部は、固定押え板と、浄化材の一部表面を覆う可動押え板と、可動押え板を付勢力で押圧する付勢部材とを備えるため、付勢部材の付勢力により可動押え板を浄化材の押圧方向に押圧することができ、浄化材収納部内で浄化材に隙間が発生するのを抑制することができる。そのため、浄水能力を向上できるとともに浄化材押圧部の構成を簡素化することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、浄化材押圧部は、固定押え板と、浄化材の一部表面を覆う可動押え板と、可動押え板と固定押え板との間を埋める膨潤部材と、を備えるため、カートリッジケース内に水が流入して膨潤部材が膨潤することにより可動押え板が浄化材を押圧する。これにより、浄化材収納部内で浄化材に隙間が発生するのを抑制できるため、浄水能力を向上できるとともに、浄化材押圧部の構成を簡素化することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、浄化材押圧部は、固定押え板と、浄化材の一部表面を覆う可動押え板と、可動押え板と固定押え板との間に圧縮状態で詰め込まれる不織布と、を備えるため、圧縮された不織布の反発力により可動押え板が浄化材を押圧する。これにより、浄化材収納部内で浄化材に隙間が発生するのを抑制できるため、浄水能力を向上できるとともに、浄化材押圧部の構成を簡素化することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、浄化材押圧部は、浄化材の一部表面を覆って水の流入圧が作用する可動押え板を備えるため、水の流入圧で可動押え板に浄化材を押圧する力が発生し、その押圧力により浄化材を押圧する。これにより、浄化材収納部内で浄化材に隙間が発生するのを抑制できるため、浄水能力を向上できるとともに、浄化材押圧部の構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【図5】本発明の第5実施形態にかかる浄水カートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の複数の実施形態には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、それら同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する。
【0018】
(第1実施形態)図1は、本発明の第1実施形態を示しており、図1は、浄水カートリッジの断面図である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1は、一端部(図1中下端部)に原水の流入口2と他端部(図1中上端部)に浄水の流出口3とを有するカートリッジケース4と、このカートリッジケース4の内部の流入口2と流出口3との間に配置される浄化材収納容器(浄化材収納部)52と、この浄化材収納容器52の内部に収納される浄化材5と、を備えており、流入口2からカートリッジケース4内に流入した原水が浄化材収納容器52内の浄化材5を通過して濾過され、濾過された浄水が流出口3から流出されるようになっている。
【0020】
カートリッジケース4は、上述した浄化材収納容器52が収納されるロワーケース41と、中空糸膜6が接着剤16によって隙間を埋められつつ上端部に固定されたアッパーケース42とを備えており、ロワーケース41とアッパーケース42とを結合することで形成されている。
【0021】
ロワーケース41は、下端が底壁(カートリッジケースの底壁)41aによって閉塞された有底円筒状に形成されており、その底壁41aの中央部に上述の流入口2が形成されている。また、アッパーケース42は、上端が蓋体42aによって閉塞される円筒状に形成されており、その蓋体42aの中央部に上述の流出口3が形成されている。そして、ロワーケース41の上端部内周にアッパーケース42の下端部外周を超音波溶着等により接合することで、ロワーケース41とアッパーケース42とを液密構造をもって固定している。
【0022】
また、ロワーケース41の上端部内側に形成した段部41bとアッパーケース42の下端との間には、浄化材5の収容部と中空糸膜6の収容部とを仕切る中間板7が挟持されている。このとき、段部41bの上面にはロワーケース41の内周に沿った環状溝41cが形成され、この環状溝41cに嵌合したシールリング8に中間板7が圧接されることにより、中間板7の周縁部での液密性が確保される。
【0023】
さらに、本実施形態では、中間板7と中空糸膜6との間に不織布17が配設されており、浄化材5を通過して連通口72から吐出される水がこの不織布17によって整流されるようにしている。
【0024】
また、本実施形態では、浄化材5として活性炭やセラミックを用いており、この浄化材5は下端がエンドプレート(浄化材収納部の底壁)51によって閉塞された円筒状の浄化材収納容器52内に収納されている。
【0025】
浄化材収納容器52は、エンドプレート51と、エンドプレート51の周縁部から立ち上がる筒状側壁53と、によって構成されており、筒状側壁53の内方には、間隔を設けて中心軸上に配置されるセンターパイプ54が配置されている。そして、筒状側壁53とセンターパイプ54との間の空間に浄化材5が充填されている。
【0026】
本実施形態では、ロワーケース41と浄化材収納容器52とセンターパイプ54とが同心円状に配設されている。
【0027】
筒状側壁53は、上端部53aと下端部53bを除く側面が大きく開口しており、その開口部53cに、水は通すが浄化材5の通過を阻止するメッシュ(水の流入部)55が取り付けられている。そして、メッシュ55を通して原水が浄化材5内に取り込まれるようにしている。また、センターパイプ54も、筒状側壁53と同様に上端部54dと下端部54bを除く側面が大きく開口しており、その開口部54eに、水は通すが浄化材5の通過を阻止するメッシュ56が取り付けられている。浄化材5を通過した水はセンターパイプ54のメッシュ56を通過して、中心空洞部54a内に流入される。なお、筒状側壁53やセンターパイプ54の側壁に格子状のリブを設け、当該リブによってメッシュを保持するようにしてもよい。
【0028】
センターパイプ54の下端部54bは、エンドプレート51の中央部に上方に向けて突設された嵌合部51aに密接嵌合しているとともに、センターパイプ54の上端54cは、筒状側壁53の上端53dよりも若干アッパーケース42方向(図1中上方)に突出しており、その上端54cが中間板7の中心部に同心円状に形成された環状支持溝71に密接嵌合している。また、環状支持溝71の中央部には、センターパイプ54の中心空洞部54aをアッパーケース42の内方に連通する連通口72が形成されている。
【0029】
また、ロワーケース41の側壁41dの内面と筒状側壁53の外面との間には、流入口2から流入した原水が下方から上方に向けて流れ、当該原水をメッシュ55を介して筒状側壁53に供給する原水通路9が設けられている。本実施形態では、原水通路9はメッシュ55の外周に同心円状に設けられている。
【0030】
そして、流入口2には、当該流入口2の下流側近傍を覆う断面台形状の覆い部21が設けられており、その覆い部21の傾斜した周囲に複数の開口部22が形成されている。そして、流入口2から流入した原水は開口部22を通過して浄化材収納容器52のエンドプレート51に沿った方向に振り分けられて原水通路に流入する。したがって、流入口2から原水通路9に至る原水の流通経路は、浄化材収納容器52のエンドプレート51から原水を取り込む浄化材収納容器52の筒状側壁53に亘って折曲する折曲経路として形成され、原水通路9に連通している。また、流入口2の覆い部21の上面には座部23が突設されており、当該座部23によってエンドプレート51の中央部が支持されている。
【0031】
かかる構成とすることで、浄水カートリッジ1の流入口2からロワーケース41内に流入した原水は、原水通路9を流通して筒状側壁53のメッシュ55から浄化材収納容器52内に取り込まれ、浄化材5を通過する間に残留塩素等が除去される。そして、残留塩素等が除去された水がセンターパイプ54を通過して中心空洞部54aに供給され、中心空洞部54a内の濾過された水は中間板7の連通口72から不織布17を介してアッパーケース42内に流入し、アッパーケース42に収納された中空糸膜6で細かい汚れや濁りが除去された後、浄水として流出口3から流出される。
【0032】
ここで、本実施形態では、浄化材収納容器52の一部(本実施形態では上端部)に、浄化材収納容器52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10が設けられている。
【0033】
具体的には、浄化材押圧部10は、浄化材収納容器52の上端部で、装填した浄化材5の上面を覆って中心軸方向(図1中上下方向)へ移動可能に配置される可動押え板11を設けることにより構成されている。
【0034】
この可動押え板11は、所定厚みをもっており、その形状は、浄化材収納容器52の上端部形状、すなわち、互いに同心状に配置された筒状側壁53とセンターパイプ54の側壁との間のドーナツ形状に対応した形状をしている。そして、可動押え板11が、浄化材収納容器52の上端部で、筒状側壁53の内面とセンターパイプ54の側壁の外面とに略密接して中心軸方向(図1中上下方向)に移動可能に嵌合されている。
【0035】
このとき、可動押え板11は、浄化材収納容器52に浄化材5を装填した後、浄化材収納容器52の上端開口部を蓋するように嵌合されており、嵌合した当初、つまり、浄化材収納容器52をカートリッジケース4に組み付ける前は、可動押え板11の上端部が浄化材収納容器52の上端よりも若干突出した状態となるようにしている。
【0036】
そして、浄化材5が装填された浄化材収納容器52をカートリッジケース4に組み付ける際に、浄化材収納容器52をロワーケース41に上方開口部から挿入した後、中間板7をセットして中空糸膜6を収納したアッパーケース42をロワーケース41の上端部に嵌合固定する。このとき、アッパーケース42の下端で中間板7を押圧してアッパーケース42とロワーケース41との間に中間板7を挟圧することになるが、これと同時に中間板7が突出した可動押え板11を浄化材収納容器52内に押し込むことになる。このように可動押え板11が押し込まれることにより、浄化材収納容器52内に収納された粒状の浄化材5が可動押え板11によって押圧されて加圧された状態となる。
【0037】
以上の本実施形態によれば、浄水カートリッジ1の組付状態では、浄化材5は、浄化材押圧部10を構成する可動押え板11によって押圧力Fが付加された状態で浄化材収納容器52に装填される。その結果、浄化材収納容器52内に浄化材5を隙間無く詰めた状態をすることができる。したがって、流入口2から流入した原水は、浄化材収納容器52内に隙間無く充填された浄化材5を通過して浄化されるため、原水の浄化能力を向上させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、浄化材5の利用効率を高めることにより、浄水カートリッジ1のコンパクト化やコストダウンを達成できるとともに、浄水カートリッジ1の長寿命化を図ることができるようになる。
【0039】
(第2実施形態)図2は、本発明の第2実施形態を示しており、図2は、浄水カートリッジの断面図である。
【0040】
図2に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1Aは、基本的に上記第1実施形態の浄水カートリッジ1と同様の構成をしており、流入口2からロワーケース41内に流入した原水が、原水通路9を流通して筒状側壁53のメッシュ55から浄化材収納容器52内に取り込まれて残留塩素等が除去され、センターパイプ54を通過して中心空洞部54aに供給されて、中心空洞部54aから連通口72を介してアッパーケース42内に流入し、アッパーケース42に収納された中空糸膜6で細かい汚れや濁りが除去された後、浄水として流出口3から流出されるようになっている。
【0041】
また、浄化材収納容器52の上端部に、浄化材収納容器52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10Aが設けられている。
【0042】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、浄化材押圧部10Aが、装填した浄化材5の上面を覆って可動自在に配置される可動押え板11と、この可動押え板11と固定押え板としての中間板7との間に配置され浄化材5を押圧する方向の付勢力を付与する付勢部材としての圧縮スプリング12と、を備えており、可動押え板11を圧縮スプリング12で押圧することで、浄化材5に押圧力Fを付加するようにしたことにある。
【0043】
可動押え板11は、上記第1実施形態と同様に、所定厚みをもって互いに同心状に配置された筒状側壁53とセンターパイプ54との間のドーナツ形状に沿って形成されており、筒状側壁53の内面とセンターパイプ54の側壁の外面とに略密接して中心軸方向(図2中上下方向)に移動可能に嵌合されている。このとき、センターパイプ54は、下端部54bがエンドプレート51の中央部に上方に向けて突設された嵌合部51aに密接嵌合しているとともに、上端54cが、中間板7の中心部に同心円状に形成された環状支持溝71に密接嵌合している。
【0044】
圧縮スプリング12は、可動押え板11と中間板7の中心部間に圧縮状態で配置されており、この圧縮スプリング12の付勢力で可動押え板11を常に下方向、つまり、浄化材5を加圧する方向に押圧している。
【0045】
このとき、可動押え板11と中間板7との間の周縁には、センターパイプ54および圧縮スプリング12を囲繞するように筒状の蛇腹部材13が取り付けられており、当該蛇腹部材13により、可動押え板11が筒状側壁53のメッシュ55に位置した際に、可動押え板11よりも上方に位置するメッシュ55を通して原水通路9の原水が直接に連通口72にリークされるのを防止できるようにしている。
【0046】
なお、この場合、筒状側壁53の上端部53aに形成される開口部53cの縁部を、少なくとも可動押え板11が下降される位置まで下げて形成しておくことにより、メッシュ55からリークされる原水量を低減、若しくは無くすことができる。このように、原水のリークを無くすことができる場合には、蛇腹部材13を設けなくてもよい。
【0047】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、浄化材押圧部10Aが、中間板7と可動押え板11と圧縮スプリング12とを備え、圧縮スプリング12の付勢力によって可動押え板11を浄化材5の押圧方向に押圧することができるようにしたため、浄化材収納容器52内で浄化材5に隙間が発生するのを抑制することができ、これにより、原水の浄化能力を向上させることができるとともに、浄化材押圧部10Aの構成を簡素化できるようになる。
【0049】
(第3実施形態)図3は、本発明の第3実施形態を示しており、図3は、浄水カートリッジの断面図である。
【0050】
図3に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1Bは、基本的に上記第1実施形態の浄水カートリッジ1と同様の構成をしており、流入口2から流入した原水は、原水通路9を流通して浄化材収納容器52のメッシュ55から浄化材5に取り込まれる。また、浄化材収納容器52の上端部に、浄化材収納容器52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10Bが設けられている。
【0051】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、浄化材押圧部10Bの可動押え板11を、水で膨潤する膨潤部材14で押圧するようにしたことにある。
【0052】
本実施形態では、浄化材押圧部10Bは、装填した浄化材5の上面を覆って可動自在に配置される可動押え板11と、固定押え板としての中間板7と、可動押え板11と中間板7との間を埋めるように配置され給水により膨潤する膨潤部材14と、を備えている。
【0053】
可動押え板11は、上記第1実施形態と同様に、所定厚みをもって互いに同心状に配置された筒状側壁53とセンターパイプ54との間のドーナツ形状に沿って形成されており、筒状側壁53の内面とセンターパイプ54の側壁の外面とに略密接して中心軸方向(図3中上下方向)に移動可能に嵌合されている。このとき、センターパイプ54は、下端部54bがエンドプレート51の中央部に上方に向けて突設された嵌合部51aに密接嵌合しているとともに、上端54cが、中間板7の中心部に同心円状に形成された環状支持溝71に密接嵌合している。
【0054】
膨潤部材14は、シリカゲルや吸水性ポリマー等の水を吸水して膨潤する部材で形成されており、この膨潤部材14が可動押え板11と中間板7との間のスペースに充填されている。
【0055】
また、本実施形態にあっても上記第2実施形態と同様に、可動押え板11の周縁部と中間板7との間に筒状の蛇腹部材13が取り付けられており、可動押え板11よりも上方に位置するメッシュ55を通して、原水通路9の原水が直接に膨潤部材14から連通口72にリークされるのを防止できるようにしている。
【0056】
なお、この場合にあっても、上記第2実施形態と同様に、筒状側壁53の上端部53aに形成される開口部53cの縁部を下げた場合には、蛇腹部材13を設けなくてもよい。
【0057】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、浄化材押圧部10Bを、中間板7と可動押え板11と膨潤部材14とで形成し、カートリッジケース4内に原水が流入して膨潤部材14が膨潤することで生じる膨潤部材14の膨張力によって可動押え板11を押圧して浄化材5を加圧するようにしたため、浄化材収納容器52内で浄化材5に隙間が発生するのを抑制でき、原水の浄化能力を向上できるとともに、浄化材押圧部10Bの構成を簡素化できるようになる。
【0059】
(第4実施形態)図4は、本発明の第4実施形態を示しており、図4は、浄水カートリッジの断面図である。
【0060】
図4に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1Cは、基本的に上記第1実施形態の浄水カートリッジ1と同様の構成をしており、流入口2から流入した原水は、原水通路9を流通して浄化材収納容器52のメッシュ55から浄化材5に取り込まれる。また、浄化材収納容器52の上端部に、浄化材収納容器52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10Cが設けられている。
【0061】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、浄化材押圧部10Cの可動押え板11を、圧縮した不織布15で押圧するようにしたことにある。
【0062】
本実施形態では、浄化材押圧部10Cは、固定押え板としての中間板7と、装填した浄化材5の上面を覆って可動自在に配置される可動押え板11と、この可動押え板11と中間板7との間に圧縮した状態で詰め込まれる不織布15と、を備えている。
【0063】
可動押え板11は、上記第1実施形態と同様に、所定厚みをもって互いに同心状に配置された筒状側壁53とセンターパイプ54との間のドーナツ形状に沿って形成されており、筒状側壁53の内面とセンターパイプ54の側壁の外面とに略密接して中心軸方向(図4中上下方向)に移動可能に嵌合されている。このとき、センターパイプ54は、下端部54bがエンドプレート51の中央部に上方に向けて突設された嵌合部51aに密接嵌合しているとともに、上端54cが、中間板7の中心部に同心円状に形成された環状支持溝71に密接嵌合している。
【0064】
不織布15は、可動押え板11と略同形状のドーナツ型に裁断したものを複数枚重ねて、可動押え板11と中間板7との間に圧縮した状態で装填されている。
【0065】
また、本実施形態にあっても上記第2実施形態と同様に、可動押え板11の周縁部と中間板7との間に筒状の蛇腹部材13が取り付けられており、可動押え板11よりも上方に位置するメッシュ55を通して、原水通路9の原水が直接に膨潤部材14から連通口72にリークされるのを防止できるようにしている。
【0066】
なお、この場合にあっても、上記第2実施形態と同様に、筒状側壁53の上端部53aに形成される開口部53cの縁部を下げた場合には、蛇腹部材13を設けなくてもよい。
【0067】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、浄化材押圧部10Cを、中間板7と可動押え板11と不織布15とで形成し、圧縮された不織布15の反発力によって可動押え板11を押圧することで浄化材5を加圧するようにしたため、浄化材収納容器52内で浄化材5に隙間が発生するのを抑制でき、原水の浄化能力を向上できるとともに、浄化材押圧部10Cの構成を簡素化できるようになる。
【0069】
(第5実施形態)図5は、本発明の第5実施形態を示しており、図5は、浄水カートリッジの断面図である。
【0070】
図5に示すように、本実施形態にかかる浄水カートリッジ1Dは、基本的に上記第1実施形態の浄水カートリッジ1と同様の構成をしており、流入口2から流入した原水は、原水通路9を流通して浄化材収納容器52のメッシュ55から浄化材5に取り込まれる。また、浄化材収納容器52に、その浄化材収納容器52に装填された浄化材5に押圧力Fを付加する浄化材押圧部10Dが設けられている。
【0071】
ここで、本実施形態が上記第1実施形態と主に異なる点は、浄化材押圧部10Dを浄化材収納容器52の下端部に設けたことと、可動押え板11Aに原水の流入圧を作用させて浄化材5の押圧力Fを得るようにしたことにある。
【0072】
すなわち、浄化材押圧部10Dは、装填した浄化材5の下面を覆って可動自在に配置され、流入口2から流入する原水の流入圧が浄化材5の押圧方向に作用する可動押え板11Aを備えている。
【0073】
可動押え板11Aは、浄化材収納容器52の筒状側壁53の下端部53bを解放し、その下端解放口53eに中心軸方向(図5中上下方向)に移動可能に嵌合されている。また、可動押え板11Aは、上記各実施形態と同様に、所定厚みをもって互いに同心状に配置された筒状側壁53とセンターパイプ54との間のドーナツ形状に沿って形成されており、筒状側壁53の内面とセンターパイプ54の側壁の外面とに略密接して嵌合されている。
【0074】
このとき、筒状側壁53の下端解放口53eの内面には、可動押え板11Aの抜止めとなる環状のストッパー53fが設けられており、センターパイプ54の下端部54bは覆い部21の座部23に支持されている。
【0075】
また、センターパイプ54の下端部54bの底壁および側壁の少なくとも可動押え板11Aの移動範囲をメッシュに代えて無垢材で形成し、流入口2から流入した原水が中心空洞部54a内にリークされるのを防止している。さらに、流入口2の下流側近傍を覆う覆い部21に形成された開口部22は、流入する原水が可動押え板11Aに衝突するように角度調節されている。
【0076】
なお、センターパイプ54の上端54cは、中間板7の中心部に同心円状に形成された環状支持溝71に密接嵌合しているとともに、浄化材収納容器52に装填された浄化材5の上面も中間板7によって直接に閉止されている。
【0077】
以上の本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、流入口2から流入する原水の流入圧により浄化材5を押圧する可動押え板11Aによって浄化材押圧部10Dを形成し、原水の流入圧で可動押え板11Aに浄化材5を押圧する力を生じさせて当該押圧力Fで浄化材5を加圧するようにしたため、浄化材収納容器52内で浄化材5に隙間が発生するのを抑制でき、原水の浄化能力を向上できるとともに、浄化材押圧部10Dの構成を簡素化できるようになる。
【0079】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0080】
例えば、浄化材は活性炭やセラミック以外にも、水を濾過または浄化できる材料を用いていればよい。また、上記各実施形態では中空糸膜を設けたものを例示したが、中空糸膜は無くてもよく、また、中空糸膜以外の浄化材が設けられていてもよい。すなわち、流入口と流出口を設けたカートリッジケースの内部に、水を濾過または浄化する浄化材が収納されている浄水カートリッジであれば本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B、1C、1D 浄水カートリッジ
2 流入口
3 流出口
4 カートリッジケース
5 浄化材
7 中間板(固定押え板)
10、10A、10B、10C、10D 浄化材押圧部
11、11A 可動押え板
12 圧縮スプリング(付勢部材)
14 湿潤部材
15 不織布
52 浄化材収納容器(浄化材収納部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口と流出口とを有するカートリッジケースと、当該カートリッジケースの内部の前記流入口と前記流出口との間に配置される浄化材収納部と、当該浄化材収納部に装填される浄化材と、を備える浄水カートリッジにおいて、
前記浄化材収納部の一部に、当該浄化材収納部に装填された浄化材に押圧力を付加する浄化材押圧部を設けたことを特徴とする浄水カートリッジ。
【請求項2】
前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押さ板との間に配置され浄化材を押圧する方向の付勢力を有する付勢部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項3】
前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押え板との間を埋めるように配置され給水により膨潤する膨潤部材と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項4】
前記浄化材押圧部は、固定押え板と、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置される可動押え板と、当該可動押え板と前記固定押え板との間に圧縮した状態で詰め込まれる不織布と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項5】
前記浄化材押圧部は、装填した浄化材の一部表面を覆って可動自在に配置され、前記流入口から流入する水の流入圧により浄化材の押圧方向に作用する可動押え板を備えることを特徴とする請求項1に記載の浄水カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−162489(P2010−162489A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−7521(P2009−7521)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】