説明

浄水器用カートリッジおよび浄水器

【課題】
本発明は従来の技術における上記の問題点に鑑み、水道水圧の高い地域で浄水器用カートリッジを使用した場合であっても、噴流によって中空糸膜が切れたり曲がったりすることなく、中空糸膜による性能を十分に発揮して水質を向上させるこができる浄水器用カートリッジと、浄水器を提供すること。
【解決手段】
吸着材を上流側に有し、中空糸膜束をU字状にケーシングに充填し、ケーシングに注型材を用いて固定した中空糸膜モジュールを、U字状にした中空糸膜束の屈曲部が吸着材と対向するように吸着材の下流側に有する浄水器用カートリッジであって、吸着材が筒型であり、かつ、吸着材の内部通水路が前記ケーシングに連通し、さらに中空糸膜束の屈曲部から直状部にかけて、中空糸膜束を覆いかぶせる保護ネットを設けていることを特徴とする浄水器用カートリッジ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水を浄化する浄水器用カートリッジと、並びに浄水器用カートリッジを装着した浄水器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浄水器用カートリッジ(以下カートリッジ)には、活性炭やイオン交換体などの粒状、繊維状、球状、ブロック状の吸着材と中空糸膜束を充填した中空糸膜モジュールから成り、吸着材を上流側に、中空糸膜モジュールを下流側に配置したものが多く知られている。
【0003】
例えば特許文献1のように、筒状に成形された活性炭と中空糸膜モジュールが直列に配置されたカートリッジがある。活性炭は筒状で内部に通水路が形成されており、活性炭上流側には端部を塞ぐ上流側キャップが固定され、下流側には浄水の吐出口を有する下流側キャップが固定されている。さらに、下流側にはケーシングに中空糸膜を充填した中空糸膜モジュールを有しており、活性炭内部の通水路と中空糸膜モジュールが直列且つ連通した構造を有している。水は活性炭の外から内方向に向かって流れ、活性炭内部の通水路を通って中空糸膜モジュール側に流れ、中空糸膜モジュールの端部より吐出される。
【0004】
しかしながら、上記のように構成されたカートリッジにおいては、活性炭内部の通水路を通って中空糸膜モジュールに流入した水が中空糸膜束に当たり、中空糸膜が傷ついてしまう可能性があった。特に、水道水圧の高い地域で多量の水を流してカートリッジを使用した場合には、噴流により中空糸膜が切れたり、曲がったりして、中空糸膜の性能が十分に果たされない場合があった。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献2には、吸着材と中空糸膜モジュールとの間に邪魔板を設け、さらに中空糸膜束の上流側水路に不織布を設けることで、活性炭を通過した水が分散され、中空糸膜束に均等にあたり、中空糸膜が切れたり、曲がったりすることを防ぐ方法が開示されている。しかしながら、かかる文献に記載された方法では、中空糸膜束は注型材によって固定された箇所を除くと拘束されていない状態であるために、分散された水流であっても、水流により中空糸膜束が一本ごとにばらけて固定側に押し込まれ、また、中空糸膜束の非拘束部と固定部の境界付近に過大な応力がかかることがあった。これらの点からかかる文献は中空糸膜が切れたり、曲がったりすることを防ぐ方法として満足できるものではなかった。
【0006】
これとは別に、中空糸膜モジュールに不織布を使用した例として特許文献3には、不織布を中空糸膜束に円筒状に束ねる方法が開示されている。しかしながら、かかる文献に記載された方法では、不織布がフィルターとして機能し、中空糸膜自体の寿命を伸ばすことや、中空糸膜を不織布で束ねた状態でケーシングに挿入することにより、挿入時に中空糸膜がケースの角などで傷付くのを防ぐことにあり、噴流によって中空糸膜が切れたり曲がったりすることを防止することを目的としたものではなく、このことには触れられていない。さらにこの方法では、不織布を束ねることにより中空糸膜束が一本ごとにばらけることを防ぐ効果はあるが、中空糸膜束の屈曲部の先端付近は不織布で覆われていないため、中空糸膜束の屈曲部の先端付近に水流が勢いよく流入してしまい、屈曲部の先端付近の中空糸膜束がばらけて、中空糸膜が切れたり、曲がってしまうことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−346550号公報
【特許文献2】特開2005−211852号公報
【特許文献3】特開平3−169329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は従来の技術における上記の問題点に鑑み、水道水圧の高い地域で浄水器用カートリッジを使用した場合であっても、噴流によって中空糸膜が切れたり曲がったりすることなく、中空糸膜による性能を十分に発揮して水質を向上させるこができる浄水器用カートリッジと、浄水器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の浄水器用カートリッジは、吸着材を上流側に有し、中空糸膜束をU字状にケーシングに充填し、ケーシングに注型材を用いて固定した中空糸膜モジュールを、U字状にした中空糸膜束の屈曲部が吸着材と対向するように吸着材の下流側に有する浄水器用カートリッジであって、吸着材が筒型であり、かつ、内部通水路がケーシングに連通し、さらに中空糸膜束の屈曲部から直状部にかけて、中空糸膜束を覆いかぶせる保護ネットを設けていることを特徴とするものである。
【0010】
ここで、保護ネットが、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの中空糸膜束の長さの25%以上を覆いかぶせていることが好ましい。
【0011】
また、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和が、ケーシングの内径部の断面積の45%以上であることが好ましい。
【0012】
また、保護ネットが袋状であることが好ましい。
【0013】
また、保護ネットが、中空糸膜束をU字状に折り曲げた後、シート状物で中空糸膜束を円筒状に包んで、さらに、シート状物の一端を中空糸膜束の屈曲部に覆いかぶさるように折り返したものであることが好ましい。
【0014】
また、シート状物の折り返し長さが中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの中空糸膜束の長さの25%以上を折り返していることが好ましい。
【0015】
また、中空糸膜束の直状部における保護ネットの長さが、ケーシング内の注型材に至るまでの長さであることが好ましい。
【0016】
また、上記の浄水器用カートリッジが着脱可能な浄水器も好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかけて、中空糸膜束を覆いかぶせる保護ネットを設けているので、水道水圧の高い地域で多量の水を流してカートリッジを使用した場合であっても、中空糸膜が切れて中空糸膜モジュールの完全性が損なわれたり、中空糸膜が曲がって流量が低下することがなく、中空糸膜によるろ過性能を十分に発揮できる。さらに、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの中空糸膜束の長さの25%以上を保護ネットで覆いかぶせることで、保護ネットで中空糸膜束を覆いかぶせる表面積が増え、中空糸膜束がばらけたり、保護ネットが中空糸膜束から外れることを防ぐ効果がより向上する。また、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和を、ケーシングの内径部の断面積の45%以上とすれば、保護ネットが中空糸膜束とケーシングの間でしっかり固定されるため、中空糸膜が切れることをより確実に防ぐことができる。
【0018】
保護ネットが袋状であれば、容易に中空糸膜束に保護ネットを覆いかぶせることができる。
【0019】
保護ネットが、中空糸膜束をU字状に折り曲げた後、シート状物で中空糸膜束を円筒状に包んで、さらに、シート状物の一端を中空糸膜束の屈曲部に覆いかぶさるように折り返したものであれば、生産工程で、容易に保護ネットを中空糸膜束に覆いかぶせることができるとともに、保護ネットはシート状物を中空糸膜モジュールの大きさに合わせて断裁するだけで作れるので、容易かつ安価に保護ネットを量産することができる。
【0020】
また、保護ネットの折り返し長さを中空糸膜束の長さの25%以上とすれば、折り返し長さが足りないために振動などにより折り返し部分が元に戻り、中空糸膜の一部に覆われていない箇所ができるなどして保護ネットの機能が低下してしまう心配がない。
【0021】
中空糸膜束の直状部における保護ネットの長さが、ケーシング内の注型材に至るまでの長さであれば、注型材とケーシングとの間に保護ネットが入り込むことによって起きる注型材のケーシングからの剥離を防ぐことができる。
【0022】
上記のカートリッジが着脱可能な浄水器であれば、使用者は美味しくて安全な浄水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明における浄水器用カートリッジの一例を示す縦断面図である。
【図2】本発明における浄水器用カートリッジを浄水器に取り付けた状態を示す一部切り欠き断面図である。
【図3】本発明における浄水器用カートリッジの中間キャップを示す、下流側から見た斜視図である。
【図4】本発明における浄水器用カートリッジの中間キャップを示す、上流側から見た斜視図である。
【図5】本発明における浄水器用カートリッジの中空糸膜モジュールを示す縦断面図である。
【図6】折り曲げた中空糸膜を複数本用意し、その後束ねて中空糸膜束としたときの中空糸膜モジュールを示す縦断面図である。
【図7】本発明における浄水器用カートリッジの接続ホルダ(接続部材)を示す斜視図である。
【図8】本発明における浄水器用カートリッジの出口キャップ(出口部材)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における浄水器用カートリッジの一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は、本発明における浄水器用カートリッジの一例を示した縦断面図である。また、図2は、本発明における浄水器用カートリッジを浄水器に取り付けた状態を示す一部切り欠き断面図である。図1に示すように、浄水器用カートリッジ1は、上流側から、入口キャップ11、活性炭2、中間キャップ12、中空糸膜モジュール3、接続ホルダ(接続部材)13、出口キャップ(出口部材)14の順に、それぞれが連結した構造になっている。
【0026】
活性炭2は円筒形で、繊維状活性炭を主成分とする活性炭成形体21と、内径側不織布22と、外径側不織布23とから成る。活性炭成形体21は、比表面積や細孔径分布が異なる複数の繊維状活性炭を所定の割合で混合し、さらに鉛イオンを選択的に取り込むイオン交換繊維と、熱融着繊維を添加したものである。これらをシート化して、内径側不織布22を巻いた軸に一定張力で巻き上げる。所定の外径に達したら、加熱処理する。熱融着繊維は芯鞘構造で、芯は融点が高く、鞘は融点が低く、この加熱処理によって鞘のみが溶けて溶着する。この溶着によって円筒形が保たれものに外径側不織布23を巻き、所定の長さに断裁する。
【0027】
比表面積や細孔径分布が異なる複数の繊維状活性炭の混合率を変えることで、複数の除去対象物質のろ過能力をバランスさせて、総合的に最もろ過能力が高い活性炭成形体を作り出すことができる。これによって使用者が長期間使用できるカートリッジを提供できる。また、軸に巻き上げるときの張力を制御すれば、活性炭成形体の密度を変えることができる。圧力損失が大き過ぎず、ろ過能力が低過ぎない使いやすいカートリッジを提供できる。
【0028】
ここで繊維状活性炭と鉛吸着材と熱融着繊維とから成る成形体は湿式成形法で成形しても良い。繊維状活性炭だけでなく粒状活性炭を混合しても良い。粒状活性炭だけを使用することもできる。また繊維状ではない熱融着物を使用しても良い。
【0029】
鉛除去材としてイオン交換繊維以外に、粒状または粉状のアルミノケイ酸塩、チタンケイ酸塩、酸化チタンを使用すれば、効率良く鉛イオンを除去することができる。中でも、イオン交換繊維やアルミノケイ酸塩、チタンケイ酸塩は単位体積あたりの鉛吸着量が多く、これらを含むことで、カートリッジのろ材量を少なくコンパクトにすることができる。
【0030】
入口キャップ11は円盤状であり、活性炭と連結する面には円筒状のリブ31と、同心円上の溝32が形成されている。リブ31は厚さが0.3〜1.5mm、高さが1〜4mmであり、円筒形の活性炭2と中心軸を合わせる役目を果たしている。
【0031】
入口キャップ11と活性炭2との接着は、加熱溶融させた熱可塑性樹脂を塗り付けた後に冷却固化させるホットメルト接着式でも、空気中の湿気と反応させて硬化させる一液型シリコーンゴム接着式でも良い。溝32は幅1〜2mm、深さ0.5〜1mmであり、接着剤35が十分に入り込んで硬化するので、接着剤35と入口キャップ11とは高い接着力を有する。入口キャップ11の材料としては、接着材との親和性が良い非晶性樹脂が好ましく、安全性を加味するとABS樹脂やポリスチレンが好ましい。
【0032】
図4は、本発明における浄水器用カートリッジの中間キャップを示す、上流側から見た斜視図である。中間キャップ12は中央に開口43を有する円盤状で、活性炭と連結する面には円筒状のリブ41と、切欠を有するリブ42が立設されている。リブ41はリブ31と同様、厚さが0.3〜1.5mm、高さが1〜4mmであり、円筒形の活性炭2と中心軸を合わせる役目を果たしている。リブ42の外径は、活性炭2の内径とほぼ同じであるが、円筒形の活性炭2と中心軸を合わせるだけでなく、接着材36が活性炭2の内径側にはみ出して固まるのを防ぐ役目も果たしている。活性炭2から中空糸膜モジュール3への流路を確保しているのである。
【0033】
中間キャップ12の活性炭2と連結する面には、入口キャップ11と同様、同心円上の2つの溝44が形成されている。2つの溝44は幅1〜2mm、深さ0.5〜1mmであり、接着剤36が十分に入り込んで硬化するので、接着剤36と中間キャップ12とは高い接着力を有する。
【0034】
開口43の中空糸膜モジュール側には、高さ1〜4mmの4本の柱部46によって支持された邪魔板47が設けられている。邪魔板47は平板状で、厚さ1〜2mm、断面が開口43とほぼ同形状であり、開口43から噴出する水から中空糸膜束51を保護している。柱部46は2本でも3本でも良く、5本以上でも良い。邪魔板47はお椀状であってもよく、お椀状であれば噴流をしっかりと受け止めることができ、中空糸膜束51を保護する効果は高まる。
【0035】
中間キャップ12の中空糸膜モジュール3と連結する面には、円筒形のリブ48が立設されている。リブ48の内周側に設けた段差は、後述のケーシング50に設けた段差と、がたつきが無いように係合するようになっている。係合させた状態で、中間キャップ12側から超音波溶着機のホーンを当てて、加圧しながら振動エネルギーを与えることで、中間キャップ12とケーシング50が溶着する。溶着方式としては、バッドジョイント方式、ステップジョイント方式、シェアジョイント方式、ビードジョイント方式など、いずれの方式でも良く、特に限定されないが、水密性、気密性に優れるシェアジョイント方式が最も適している。
【0036】
溶着するワークに突起など断面積が小さい部分があると、溶着時にクラックが入ることがあるが、4本の柱部46や、柱部46と邪魔板47の結合部は、断面積を5mm以上とすることでクラック発生を防いでいる。
【0037】
中間キャップ12の材料としては、入口キャップ11と同様、接着材との親和性が良い非晶性樹脂が好ましく、安全性を加味するとABS樹脂やポリスチレンが好ましい。
【0038】
図5は、本発明における浄水器用カートリッジの中空糸膜モジュールを示す縦断面図である。中空糸膜モジュール3は、ケーシング50、中空糸膜束51、注型材(ポッティング材)52、保護ネット53とで構成される。
【0039】
ケーシング50の内部には、約1200本の中空糸膜をU字状に折り曲げた中空糸膜束51が、中空糸膜束の屈曲側が活性炭2と対向するように収納されている。中空糸膜束の端部は、ケーシング50の端部にて、各中空糸膜間および中空糸膜とケーシング50との間に充填された注型材52により封止固定されている。注型材52を一部切断除去することにより、中空糸膜は、接続ホルダ13に向かって開口している。
【0040】
中空糸膜束51は屈曲部61と直状部62とからなる。屈曲部とは、中空糸膜束の一部分であって、中空糸膜束を構成する少なくとも一部の中空糸膜が曲率を有している部分をいう。直状部とは、中空糸膜束のその他の部分をいう。
【0041】
ケーシング50の内周面の一部にはシボ加工を施してあり、注型材52のケーシング50からの剥離を防いでいる。通水時には、注型材52に水圧による荷重が加わるが、シボの凹凸に沿って注型材52に凹凸が形成されているので、凹凸同士が引っかかることから、注型材52がケーシング50から剥離・脱落することはない。
【0042】
ケーシング50は円筒形で、注型材52によって封止固定された端部の外周側には、後述の接続ホルダ13と係合する段差が設けられ、多端の外周側には前述の中間キャップ12のリブ48と係合する段差が形成されている。
【0043】
中空糸膜束51としては、親水化したポリスルホン中空糸膜を用いている。ポリスルホンは生物学的特性、耐熱性、耐薬品性等に優れていて、浄水器用途として好ましい。ポリスルホン以外に、ポリアクリルニトリル、ポリフェニレンスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレンの中空糸膜を用いても差し支えない。材料が異なる複数種類の中空糸膜を組み合わせても良い。疎水性のポリエチレンやポリプロピレンの中空糸膜を入れれば、水に混入した空気を効率良く排出することができる。中空糸膜の孔径は2μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であれば、水道水中の濁質を捕捉するのに最も適している。さらに、微少な固体を除去する場合には、孔径0.3μm以下、さらには0.2μm以下のものを用いると好ましい。孔径の測定方法は公知の方法によるが、例えば電子顕微鏡で内径、外径あるいはその中間を観察することにより算出してもよいし、粒径既知のラテックスビーズを含む流体の阻止率によっても測定できる。中空糸膜の外径はφ300〜400μm、内径はφ200〜300μm、膜厚は50〜100μmであり、十分な強度を有している。中空糸膜モジュールの製造におけるU字状に折り曲げる工程や、ケーシング50に押し込む工程で切れることはない。
【0044】
中空糸膜束51の形状は、すべての中空糸膜を束ねた後、U字状に折り曲げるのが中空糸膜モジュール3の製造が容易となり好ましい。多数の中空糸膜からなる束を2つ作り、それぞれをU字状に折り曲げた後2束を組み合わせてもよいし、中空糸膜1本1本を個々にU字状に折り曲げた後、折り曲げた中空糸膜を束ねるなど、折り曲げた中空糸膜を複数本用意し、その後束ねて中空糸膜束としてもよい。
【0045】
図6は、折り曲げた中空糸膜を複数本用意し、その後束ねて中空糸膜束としたときの中空糸膜モジュールを示す縦断面図である。中空糸膜モジュール4は、ケーシング70、中空糸膜束71、注型材(ポッティング材)72、保護ネット73とで構成され、さらに中空糸膜束71は、屈曲部81と直状部82とからなる。中空糸膜モジュール4の屈曲部81および直状部82は、上述の屈曲部61、直状部62と同様に定義される。このように、折り曲げた中空糸膜を複数本用意し、その後束ねた場合であっても、中空糸膜モジュールおよび中空糸膜束の構成は変わらない。
【0046】
中空糸膜束51の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和を、ケーシング50の内径部の断面積の45〜55%としているので、高い濁りろ過能力を有しており、長期間使用することができる。45%を下回ると中空糸膜の膜面積が小さくなり、また55%を上回ると密集した中空糸膜束の内部まで濁質が回り切らなくなり、いずれの場合も濁りろ過能力が低下して長期間使用できなくなる。中空糸膜の外径がφ300〜400μmと、強度を有しながらも十分に細いので、小さなケーシングの中に十分に大きな膜面積を確保できている。これも高い濁りろ過能力を発揮する理由のひとつとなっている。
【0047】
中空糸膜束51の周囲には保護ネット53を覆いかぶせてある。水道水圧が極端に高い地域で使用されると、前述の邪魔板47だけでは水流が十分に抑えきれず、中空糸膜が1本1本ばらけて封止固定側に押し込まれ、中空糸膜が切れたり曲がったりすることがある。しかしながら、保護ネット53が中空糸膜束51に覆いかぶさっているので、中空糸膜束51の形状が乱れることがない。中空糸膜が切れて濁りろ過性能が著しく低下することを防止している。
【0048】
保護ネット53には、目付け量5〜100g/m、厚さ0.05〜1mmの不織布を用いている。目付け量が5g/m以下だったり、厚さが0.05mm以下だったりすると、不織布の剛性が低すぎて中空糸膜束51を保護する役目が十分に果たせない。逆に目付け量が100g/m以上だったり、厚さが1mm以上だったりすると、剛性が高すぎて中空糸膜を圧迫したり、通水時の圧力損失が大き過ぎて流量が低下することがある。
【0049】
保護ネット53の形状としては、中空糸膜束51に覆いかぶせることができる袋状が良い。円筒状で、一端を中空糸膜束51の屈曲部61が覆いかぶさるように折り返したものでも良い。円筒状でも一端を折り返さないと、中空糸膜束51の屈曲部の先端63付近から勢いよく流入した水が直接中空糸膜に当たってしまうので、上述のとおり、中空糸膜が1本1本ばらけて切れたり、曲がってしまい、中空糸膜束51を保護することができない。
【0050】
保護ネット53として円筒状のものを折り返して用いる場合には、U字状に折り曲げた中空糸膜束にシート状物を円筒状に巻いて折り返す方法が最も好ましい。シート状物であれば、中空糸膜モジュールの大きさに合わせて断裁するだけで作れるので、容易かつ安価に量産することができる。シート状物は四角形状で、円筒状に巻き付ける側の長さは中空糸膜束51を一巻きできる長さよりも長くしている。
【0051】
保護ネット53は一つと限らず、複数個あってもよい。例えば図6に示した中空糸膜束71のように、折り曲げた中空糸膜を複数本用意し、その後束ねて中空糸膜束とする場合には、保護ネット53を複数用意して折り曲げた中空糸膜それぞれを覆いかぶせても良い。
【0052】
保護ネット53によって、中空糸膜束51は屈曲部61から直状部62にかけて覆われている。直状部62まで保護ネット53が覆いかぶさっていれば、中空糸膜束51が保護ネット53でしっかり固定されるため、噴流が中空糸膜束51にあたっても、中空糸膜束51がばらけにくく、中空糸膜が切れたり曲がったりすることがない。直状部62まで覆いかぶさっていないと、噴流の一部が中空糸膜束51に直接当たり中空糸膜束51がばらけて、中空糸膜が切れたり曲がってしまう。また、噴流によって保護ネット53が注型材52側に移動してしまい、やはり中空糸膜束51を保護する役目が果たせなくなってしまう。
【0053】
保護ネット53は、中空糸膜束51の屈曲部の先端63と開口端部64までの距離をHとしたときに、0.25×H以上覆いかぶさっていること好ましい。さらには0.4×H以上覆うようにすれば、保護ネット53が中空糸膜束51に覆いかぶさっている表面積が増え、より中空糸膜束51がばらけることを防ぐことができる。
【0054】
また、中空糸膜束51の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和が、ケーシング50の内径部の断面積の45%以上であれば、中空糸膜が切れたり、曲がったりすることをより確実に防ぐことができる。45%以上であれば、中空糸膜束51とケーシング50が密着するので、ケーシング50によって、中空糸膜束51を固定する力が働き、保護ネット53と中空糸膜束51がしっかり固定され、中空糸膜束51がばらけることがない。また、保護ネット53と中空糸膜束51がしっかり固定されているので、噴流によって保護ネット53が注型材52側に移動してしまうこともない。さらに、中空糸膜束51の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和を、ケーシング50の内径部の断面積の48%以上とすると、ケーシング50によって中空糸膜束51を固定する力が強まり、より中空糸膜束51がばらけることを防ぐことができる。
【0055】
保護ネット53の形状が円筒状で一端を折り返したものである場合には、上述の覆いかぶさっている長さに加えて、折り返し部分の長さも重要となる。中空糸膜束51の屈曲部の先端63と開口端部64までの距離をHとすると、折り返し長さが0.25×H以上であることが好ましい。0.25×H以下であると、振動などにより折り返し部分が元に戻り、中空糸膜束51の屈曲部の先端63付近に保護ネット53が覆われていない箇所ができ、そこから勢いよく流入した水が直接中空糸膜に当たって、中空糸膜が切れたり曲がったりしてしまう。
【0056】
また、中空糸膜束51の直状部62における保護ネット53の長さは、ケーシング50内の注型材52に至るまでの長さとしている。注型材52とケーシング50との間に保護ネット53が入り込んで、注型材52とケーシング50との接着強度が低下し、注型材52がケーシング50から剥離するのを防ぐためである。特に、中空糸膜束51の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和が、ケーシング50の内径部の断面積の45%以上の場合には、ケーシング50と中空糸膜束51との隙間が狭くなり、保護ネット53が注型材52に接触した場合に注型材52とケーシング50との間に保護ネット53が入り込みやすく剥離が起きやすい。ただし、注型材52と保護ネット53の接触面積がケーシング50と注型材52の接触面積の半分以下となる範囲であれば、保護ネット53の一部が注型材52と接触しても問題はない。
【0057】
保護ネット53の材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂が安価で好ましく、形態としては、不織布以外のメッシュクロスなどの織編物であっても良い。
【0058】
注型材(ポッティング材)52としては、流動性を有する主剤と硬化剤を混合して硬化させる二液混合型で、ポリウレタンやエポキシ樹脂などを適宜用いることができる。それらを遠心法や静置法などによって固化させれば良い。
【0059】
中空糸膜モジュール3の一端には接続ホルダ(接続部材)13が連結されている。接続ホルダ13は、外筒91を有し、外筒91の一端の内周側にはケーシング50との第1接続部92を有し、多端には後述の出口キャップ(出口部材)14との第2接続部93を有している。第1接続部92に設けた段差は、前述のケーシング50に設けた段差と、がたつきが無いように係合するようになっている。係合させた状態で、出口キャップ14側から超音波溶着機のホーンを当てて、加圧しながら振動エネルギーを与えることで、接続ホルダ13とケーシング50を溶着させている。溶着方式としては、バッドジョイント方式、ステップジョイント方式、シェアジョイント方式、ビードジョイント方式など、いずれの方式でも良く、特に限定されないが、水密性、気密性に優れるシェアジョイント方式が最も適している。
【0060】
出口キャップ(出口部材)14は、外径と内径が中央で変わる円筒形であり、太いほうの一端の内周側には、接続ホルダ13の第2接続部93とかみ合う環状縮径部101が設けられている。細いほうの他端においては浄水出口102が開口し、その先端近傍の環状溝にOリング103が装着されている。図2に示すように、出口キャップ14を、Oリング103を介して後述の本体カバー111などの浄水下流側の部材と接続しているので、浄水と、原水(浄化していない水道水)とが混ざることがない。
【0061】
出口キャップ14の材料としては、成形での寸法精度が高いABS樹脂、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレンも使用できるが、比較的柔らかいポリエチレンあるいはポリプロピレンを用いるのが好ましい。ポリエチレンやポリプロピレンであれば、アンダーカット部分の金型の無理抜きが容易であり、金型製作費が安価となる。比較的柔らかいので、製造でのはめ込みが容易であり、生産性が向上する。
【0062】
接続ホルダ(接続部材)13とケーシング50は超音波溶着による接続なので、接続ホルダ13の外筒91やケーシング50の肉厚が厚くなって中空糸膜の装填量が減ってしまうことは無く、大きな膜面積を確保できているので、長期間、濁質をろ過し続けることができる。
【0063】
上記のような構成を有する浄水器用カートリッジ1は、図2に示すように、据置型の浄水器に使用するカートリッジとして好適に用いられる。図2において、浄水器用カートリッジ1は本体カバー111で覆われている。112は浄水の吐水管であり、113は浄水を吐出する吐出部である。
【0064】
上記のような据置型浄水器の上流側には水道蛇口に取り付けられた切換器5が接続されている。切換器5は切換操作部121、本体部122、上述の切換操作部121と本体部122を接続する接続ホース123から構成されている。切換操作部121の操作によって、水道水を浄化する浄水状態と、水道水をそのまま吐出する原水状態とに切り換えられるようになっている。
【0065】
切換操作部121を浄水状態にして水栓を開くと、水道水は浄水器用カートリッジ1の外周側に流入し、まず活性炭2を、外径側不織布23、活性炭成形体21、内径側不織布22の順に通過する。このとき水道水中の遊離残留塩素が分解され、同時に水道水中の揮発性有機物が吸着除去される。次に水は活性炭2の内部を軸方向に流れ、中間キャップ12の開口43を通過して、中空糸膜モジュール3に流入する。このとき邪魔板47に一度当たるため、水の勢いが緩和される。水は中空糸膜の外径側から内径側に流れ、水道水中の濁質や細菌が中空糸膜に捕捉される。中空糸膜を通過した浄水は、接続ホルダ13を通過し、出口キャップ(出口部材)14の浄水出口102を経たあと、吐水管112を通過し、吐出部113から吐出される。
【0066】
また、浄水器用カートリッジ1は、水栓内蔵型浄水器に内蔵するカートリッジとしても好適に用いられる。水栓内蔵型浄水器の頭部には流路切換弁が組み込まれていて、水道水を浄化する浄水状態と、水道水をそのまま吐出する原水状態とに切り換えられるようになっている。
【0067】
流路切換弁を浄水状態にして水栓を開くと、水栓内蔵型浄水器に流水した水は、浄水出口102までは上述の据置型浄水器を使用した場合と同様に流入し、さらに、浄水は頭部を経て吐出される。
【実施例】
【0068】
<実施例1>
保護ネットに目付12g/m、厚さ0.08mmの不織布を使用し、この不織布にて、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかかる部分を覆いかぶせた。このとき、不織布によって覆いかぶさっている長さは、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの長さの10%であった。中空糸膜は外径φ360μmの親水化ポリスルホン中空糸膜を930本収納し、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和は、ケーシングの内径部の断面積の40%とした。
【0069】
上記によって構成された中空糸膜モジュールの上流側には円筒形の活性炭成形体を配し、活性炭と中空糸膜モジュールを中間キャップに接続した。中間キャップに設けた開口の大きさはφ6mmであり、開口の中空糸膜モジュール側には、高さ3.5mmの4本の柱部によって支持された平板状の邪魔板を設けた。
【0070】
この浄水器用カートリッジを水栓内蔵型浄水器に内蔵させ、動水圧0.75MPaでの通水と止水を2秒ずつ交互に繰り返す耐久試験を行ったところ、8000サイクル(通水2秒、止水2秒を1サイクルとする)行っても、中空糸膜が切れたり、曲がってしまうことはなかった。ただし、一部の中空糸膜は少しばらけており、また、保護ネットが少しずれていることが確認された。
<実施例2>
保護ネットに目付12g/m、厚さ0.08mmの不織布を使用し、この不織布にて、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかかる部分を覆いかぶせた。このとき、不織布によって覆いかぶさっている長さは、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの長さの25%であった。中空糸膜は外径φ360μmの親水化ポリスルホン中空糸膜を930本収納し、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和は、ケーシングの内径部の断面積の40%とした。
この浄水カートリッジを水栓内蔵型浄水器に内蔵させ、実施例1と同様の耐久試験を行ったところ、8000サイクル行っても、中空糸膜が切れたり、曲がってしまうことはなかった。また、実施例1で見られたような中空糸膜のばらけはなかったが、保護ネットが少しずれていることが確認された。
<実施例3>
保護ネットに目付12g/m、厚さ0.08mmの不織布を使用し、この不織布にて、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかかる部分を覆いかぶせた。このとき、不織布によって覆いかぶさっている長さは、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの長さの10%であった。中空糸膜は外径φ360μmの親水化ポリスルホン中空糸膜を1200本収納し、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和は、ケーシングの内径部の断面積の52%とした。
【0071】
この浄水カートリッジを水栓内蔵型浄水器に内蔵させ、実施例1と同様の耐久試験を行ったところ、8000サイクル行っても、中空糸膜が切れたり、曲がってしまうことはなかった。また、実施例1で見られたような中空糸膜のばらけはほとんどなく、実施例2で見られた保護ネットのずれもないことが確認された。
<実施例4>
保護ネットに目付12g/m、厚さ0.08mmの不織布を使用し、この不織布にて、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかかる部分を覆いかぶせた。このとき、不織布によって覆いかぶさっている長さは、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの長さの25%であった。中空糸膜は外径φ360μmの親水化ポリスルホン中空糸膜を1200本収納し、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和は、ケーシングの内径部の断面積の52%とした。
【0072】
この浄水カートリッジを水栓内蔵型浄水器に内蔵させ、実施例1と同様の耐久試験を行ったところ、8000サイクル行っても、中空糸膜が切れたり、曲がってしまうことはなかった。また、中空糸膜のばらけや、保護ネットのずれがないことが確認された。
<比較例1>
保護ネットに目付12g/m、厚さ0.08mmの不織布を使用し、不織布の形状を中空糸膜束の外径と同じ径を持つ円盤状としたものをケーシングの内部に充填した中空糸膜の屈曲部の先端付近に設置した。このとき、中空糸膜束の屈曲部から直状部にかかる部分には不織布は覆われていなかった。なお、不織布によって中空糸膜束を覆いかぶせる長さは、中空糸膜束の屈曲部の先端を起点として、中空糸膜束の屈曲部の先端から開口端部までの長さの5%であった。中空糸膜は外径φ360μmの親水化ポリスルホン中空糸膜を1200本収納し、中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和は、ケーシングの内径部の断面積の52%とした。
【0073】
この浄水カートリッジを水栓内蔵型浄水器に内蔵させ、実施例1と同様の耐久試験を行ったところ、300サイクルで中空糸膜が切れた。確認したところ、中空糸膜が注型材側に押し込まれ、中空糸膜の非拘束部と固定部の境界付近で切れていた。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は据置型浄水器をはじめ、水栓内蔵型、蛇口直結型、ポット型、アンダーシンク型など浄水器全般に応用することができるが、これらに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0075】
1 浄水器用カートリッジ
2 活性炭
3 中空糸膜モジュール
4 中空糸膜モジュール
5 切換器
11 入口キャップ
12 中間キャップ
13 接続ホルダ(接続部材)
14 出口キャップ(出口部材)
21 活性炭成形体
22 内径側不織布
23 外径側不織布
31 リブ
32 溝
35 接着剤
36 接着剤
41 リブ
42 リブ
43 開口
44 溝
46 柱部
47 邪魔板
48 リブ
50 ケーシング
51 中空糸膜束
52 注型材(ポッティング材)
53 保護ネット
61 屈曲部
62 直状部
63 屈曲部の先端
64 開口端部
70 ケーシング
71 中空糸膜束
72 注型材(ポッティング材)
73 保護ネット
81 屈曲部
82 直状部
83 屈曲部の先端
84 開口端部
91 外筒
92 第1接続部
93 第2接続部
101 環状縮径部
102 浄水出口
103 Oリング
111 本体カバー
112 吐水管
113 吐出部
121 切換操作部
122 本体部
123 接続ホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材を上流側に有し、中空糸膜束をU字状にケーシングに充填し、前記ケーシングに注型材を用いて固定した中空糸膜モジュールを、U字状にした前記中空糸膜束の屈曲部が前記吸着材と対向するように前記吸着材の下流側に有する浄水器用カートリッジであって、前記吸着材が筒型であり、かつ、前記吸着材の内部通水路が前記ケーシングに連通し、さらに前記中空糸膜束の前記屈曲部から直状部にかけて、前記中空糸膜束を覆いかぶせる保護ネットを設けていることを特徴とする浄水器用カートリッジ。
【請求項2】
前記保護ネットが、前記中空糸膜束の前記屈曲部の先端を起点として、前記中空糸膜束の前記屈曲部の先端から開口端部までの中空糸膜束の長さの25%以上を覆いかぶせていることを特徴とする請求項1に記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項3】
前記中空糸膜束の中空糸膜の外径で囲まれた部分の断面積の総和が、前記ケーシングの内径部の断面積の45%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項4】
前記保護ネットが袋状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項5】
前記保護ネットが、前記中空糸膜束をU字状に折り曲げた後、シート状物で前記中空糸膜束を円筒状に包んで、さらに、前記シート状物の一端を前記中空糸膜束の前記屈曲部に覆いかぶさるように折り返したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項6】
前記シート状物の折り返し長さが前記中空糸膜束の前記屈曲部の先端から開口端部までの中空糸膜束の長さの25%以上を折り返していることを特徴とする請求項5に記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項7】
前記中空糸膜束の直状部における前記保護ネットの長さが、前記ケーシング内の前記注型材に至るまでの長さであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の浄水器用カートリッジ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の浄水器用カートリッジを装着した浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−30204(P2012−30204A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174163(P2010−174163)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】