浄水器
【課題】視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくく、カートリッジ交換を容易かつ確実に行え、さらに製造コストの低減を図ることのできる浄水器を提供する。
【解決手段】カートリッジの外面に係合ブロック21を突設する。浄水器本体12に、係合ブロック21を水平方向に案内するガイド壁20A,20Bを設ける。ガイド壁の一端側に、正面からの係合ブロック21の挿入離脱を許容する挿入部22を設け、他端側に、係合ブロック21の抜けを規制する規制爪23を設ける。係合ブロック21が他端側に変位したときに、カートリッジの流入口と浄水器本体12の導出口18が合致するように設定する。浄水器本体12には、ガイド壁20A,20Bの周域を覆い先端部がカートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁28を設ける。
【解決手段】カートリッジの外面に係合ブロック21を突設する。浄水器本体12に、係合ブロック21を水平方向に案内するガイド壁20A,20Bを設ける。ガイド壁の一端側に、正面からの係合ブロック21の挿入離脱を許容する挿入部22を設け、他端側に、係合ブロック21の抜けを規制する規制爪23を設ける。係合ブロック21が他端側に変位したときに、カートリッジの流入口と浄水器本体12の導出口18が合致するように設定する。浄水器本体12には、ガイド壁20A,20Bの周域を覆い先端部がカートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁28を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水器に関するものであり、特に水栓の蛇口に取り付けるタイプの浄水器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓の蛇口に直接取り付けるタイプの浄水器、いわゆる蛇口直結タイプの浄水器が知られている。蛇口直結タイプの浄水器としては、特許文献1、2に示すように、蛇口に取り付けられる浄水器本体と、ケース内に濾材を収容したカートリッジとがバヨネット機構で接続された浄水器が知られている。
【0003】
近年、蛇口直結タイプの浄水器には、視覚的に圧迫感がなく、かつ水栓周りでの作業を妨げにくい形状が求められている。また、蛇口直結タイプの浄水器には、カートリッジの交換がより容易かつ確実であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3381395号公報
【特許文献2】特許第3303499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の浄水器では、カートリッジが、その長手方向を鉛直にして浄水器本体に接続されているため、視覚的に圧迫感があるだけでなく、蛇口を操作する際などに、手がカートリッジに接触しやすく、水栓周りでの作業の妨げになることがあった。
【0006】
また、特許文献1、2の浄水器では、カートリッジと浄水器本体との接続の際に、浄水器本体に対してカートリッジの傾きを合わせるのに時間がかかるだけでなく、カートリッジの回転方向を間違えるとカートリッジを確実に着脱できず、さらにカートリッジを回転するためのスペースが浄水器本体周りに必要であり、カートリッジ交換に手間取ることが多かった。さらに、特許文献1、2の浄水器では、バヨネット機構による接続のため、接続部分の構造が複雑で、部品点数が多くなりやすく、浄水器の製造コストがかかりやすいという問題があった。
【0007】
そこでこの発明は、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくく、カートリッジ交換を容易かつ確実に行え、さらに製造コストの低減を図ることのできる浄水器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、水栓の蛇口に取付けられる蛇口接続部と、前記蛇口から取り入れた原水の流路を切換える流路切換機構と、この流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに前記原水を導出させる導出口と、を有する浄水器本体と、濾材を収容した略筒状のケースに前記原水の流入口が設けられ、この流入口を前記導出口と合致させるように前記浄水器本体に脱着可能に取付けられるカートリッジと、を備えた浄水器において、前記カートリッジの外面に係合ブロックが突設され、前記浄水器本体に、前記係合ブロックを摺動自在に案内することによって、前記カートリッジを、長手方向を水平にして変位させ得るガイド壁が設けられ、前記ガイド壁の長手方向の一端側には、正面からの前記係合ブロックの挿入離脱を許容する挿入部が設けられ、長手方向の他端側には、前記係合ブロックの正面側への抜けを規制する係止爪が設けられ、前記係合ブロックが前記ガイド壁の長手方向の他端側に位置されているときに、前記カートリッジの流入口と前記浄水器本体の導入口とが合致するように設定され、さらに、前記浄水器本体には、前記ガイド壁の周域を覆い先端部が前記カートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁が設けられていることを特徴とする。
これにより、カートリッジは浄水器本体に対して水平に取り付けられるようになる。また、カートリッジを浄水器本体に取り付ける場合には、まず、カートリッジの係合ブロックを正面からカバー壁内に挿入し、さらに係合ブロックをガイド壁の一端側の挿入部に挿入する。次に、この状態からカートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させ、係合ブロックをガイド壁の他端側の係止爪部分まで移動させる。こうして、係合ブロックが係止爪部分まで移動すると、係止爪によってカートリッジの正面方向の抜けが規制されるとともに、カートリッジの流入口が浄水器本体の導出口と合致するようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浄水器において、前記カートリッジの係合ブロックと前記浄水器本体の間には、前記浄水器本体の導出口と前記カートリッジの流入口とが合致する位置で、相互に嵌合される係止突部と係合穴が設けられ、前記係止突部が付勢手段によって突出方向に付勢されていることを特徴とする。
これにより、カートリッジの取付時に、カートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させてゆくと、付勢手段によって付勢された係止突部が係合穴に嵌合され、その結果、カートリッジが浄水器本体に係止されるとともに、その係止の結果が節度感をもって作業者に把握されるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の浄水器において、前記係止突部が前記浄水器本体に設けられるとともに、前記係合穴が前記カートリッジの係合ブロックに設けられ、前記係合ブロックには、前記ガイド壁に案内されての装着操作時に、前記係止突部を徐々に押し下げるテーパ面が設けられていることを特徴とする。
これにより、カートリッジの取付時に、カートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させてゆくと、係止突部がテーパ面と当接し付勢手段の力に抗して徐々に押し下げられ、係合穴と対峙したところで勢い良く係合穴に嵌合される。この結果、カートリッジのスムーズなスライド変位と、より確実な節度感が得られるようになる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、カートリッジが軸方向を水平に向けて配置されることから、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくくなり、しかも、カートリッジの水平方向のスライド変位によってカートリッジの脱着が可能であることから、カートリッジの交換作業を容易かつ確実に、スペースを占有することなく行える。さらに、接続部の構造が簡素であることから、製造コストの低減も図ることができる。
【0012】
また、この発明においては、カートリッジと浄水器本体の接続部の周域が、浄水器本体側に設けられた環状のカバー壁によって覆われ、そのカバー壁の先端部がカートリッジの外周面に近接して対峙するため、カバー壁によって接続部の周囲の密閉性の維持と外観の向上を図りつつ、一つの浄水器本体をケースのサイズや仕様の異なるカートリッジに容易に適合させることができる。
【0013】
また、カートリッジの係合ブロックと浄水器本体の間に、浄水器本体の導出口とカートリッジの流入口とが合致する位置で相互に嵌合される係止突部と係合穴を設け、係止突部を付勢手段によって突出方向に付勢した場合には、カートリッジのスムーズなスライド変位と、より確実な節度間を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態の浄水器の斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の部分断面側面図である。
【図4】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の正面図(取り付け状態では左側面図)である。
【図5】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの正面図(取り付け状態では右側面図)である。
【図6】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの斜視図である。
【図7】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの一部を拡大した斜視図である。
【図8】この発明の一実施形態の浄水器の図2のA−A断面に対応する断面図である。
【図9】この発明の一実施形態の浄水器の図2のB−B断面に対応する断面図である。
【図10】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの取付状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの取付状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施形態に係る浄水器1の全体構成を示すものである。同図に示すように、浄水器1は、水栓の蛇口2に取り付けられる蛇口接続部11と、蛇口2から取入れた原水(水道水)の流路を切換える流路切換機構(図示せず)を有する浄水器本体12と、内部に活性炭や中空糸膜等の濾材を収容し浄水器本体12に着脱自在に接続される略筒状のカートリッジ13と、を備えている。なお、同図中矢印Fは、水栓(蛇口2)の設置部の前方(使用者の位置する方向)を差すものとする。この実施形態の場合、カートリッジ13は、浄水器本体12の向かって左側に配置されている。
【0016】
図2〜図4は、浄水器本体12の単体を示すものである。これらの図に示すように、浄水器本体12は、内部に流路切換機構を収容する略直方体状の本体ブロック14の上面側に蛇口接続部11が設けられるとともに、下面側に原水吐出部15が設けられ、本体ブロック14の向かって右側の端部には流路切換機構を操作するための回転式の操作レバー16が設けられている。この実施形態の浄水器1の場合、流路切換機構は、蛇口接続部11側の原水導入流路を、原水吐出部15を通したストレート流路とシャワー流路と、カートリッジ13を通した浄水流路のいずれかに選択的に切換える。本体ブロック14の操作レバー16の設置部と相反する側の端部(以下、単に「本体ブロック14の端部」と呼ぶ。)には、カートリッジ13を長手方向が水平になるように取付けるための機構が設けられている。
【0017】
本体ブロック14の端部には偏平な基面17が設けられ、その基面17には、流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに、原水をカートリッジ13側に導出させる導出口18が設けられている。この導出口18には、ゴム弾性部材から成る環状のパッキン19が装着されている。
【0018】
基面17は横長の略長方形状に形成され、その基面17の上下には、相互に平行な一対のガイド壁20A,20Bが突設されている。これらのガイド壁20A,20Bは、浄水器本体12が蛇口2に取り付けられた状態で水平になるように設けられている。そして、両ガイド壁20A,20Bの長手方向の一端側の領域(図2中の右側の領域)は、相互に向き合う面が偏平に形成され、後述するカートリッジ13の係合ブロック21の正面側からの挿入離脱を許容する挿入部22とされている。一方、各ガイド壁20A,20Bの長手方向の他端側(図2中左側)の領域には、前端側の縁部から内向きに(相互に対向する向きに)突出する係止爪23が延設されている。なお、前述した導出口18は、基面17上の長手方向の他端側に偏倚した位置に設けられている。
【0019】
また、基面17の上下方向の略中央には、長手方向の一端側から導出口18の近傍に至る断面略コ字状のガイド溝24が設けられている。このガイド溝24の導出口18に近接する側の底面には貫通孔25が設けられ、その貫通孔25に係止ピン26(係止突部)が進退自在に設けられている。この係止ピン26は、図3,図9の断面図に示すように、先端部が半球状の曲面に形成され、その基端側がコイルスプリング27(付勢手段)によって突出方向に付勢されている。
【0020】
さらに、本体ブロック14の端部には、基面17と上下のガイド壁20A,20Bの周域を環状に取り囲むようにカバー壁28が延設されている。このカバー壁28のうちの、鉛直方向に沿う一対の壁部の先端部には、カートリッジ13の外周面に沿う円弧面28aが設けられている。そして、カバー壁28の先端部は、浄水器本体12(本体ブロック14)にカートリッジ13が取り付けられたときに、カートリッジ13の外周面に近接して対峙するようになっている。カバー壁28は、導出口18と流入口31の接続部の周域に埃や異物が入り込むの防止する密閉手段として機能するとともに、カートリッジ13と浄水器本体12との結合部を外部から覆い隠すことにより、浄水器1の外観品質と意匠性を高めている。
【0021】
図5〜図7は、カートリッジ13の単体を示し、図8,図9は、浄水器本体12にカートリッジ13が取り付けられた状態を示す。
これらの図に示すように、カートリッジ13は、濾材を収容する略円筒状のケース29の外周面に矩形板状の係合ブロック21が突設され、その係合ブロック21の前面に浄水器本体12側の導出口18とパッキン19を介して圧接状態で接続される流入口31が設けられている。この流入口31は、浄水器本体12の流路切換機構を介して導出口18から吐出された原水をケース29内の濾材に導入する。一方、ケース29の長手方向の一端には下向きに開口する筒状の浄水吐出部32が設けられている。この浄水吐出部32は、ケース29内の濾材を通過した浄水を外部に吐出する。また、係合ブロック21の上下の面は略平行に形成され、これらの面が浄水器本体12側のガイド壁20A,20Bによって摺動自在に案内されるようになっている。なお、係合ブロック21は、上下の面がガイド壁20A,20Bに接触状態で係合されるときに、カートリッジ13が軸方向を水平にして姿勢保持されるように設定されている。なお、図面において、矢印Sは、カートリッジ13を浄水器本体12に取り付けるときの、カートリッジ13のスライド方向を指す。
【0022】
また、図7に拡大して示すように、係合ブロック21の前面のうちの流入口31よりも浄水吐出部32側の領域にはガイド突起33が突設されている。このガイド突起33は係合ブロック21の上下方向の略中央に配置され、浄水器本体12の基面17上のガイド溝24内に挿入し得るようになっている。そして、ガイド突起33は、その前面の中央に、係止ピン26の先端部が挿入係合可能な半球状の係合穴34が設けられるとともに、流入口31側の端部に、係合ブロック21の前面一般面に向かって傾斜するテーパ面35が設けられている。このテーパ面35は、ガイド突起33がガイド溝24内に挿入され、その状態で係合ブロック21がガイド壁20A,20Bに案内されてスライド方向Sに移動したときに、係止ピン26の先端部を徐々に押し下げるように機能する。なお、係止ピン26は係合ブロック21の移動がさらに進むと、コイルスプリング27の付勢力によって係合穴34内に嵌合され、それによってカートリッジ13の水平方向の変位が規制される。この際、流入口31と浄水器本体12の導出口18は、このとき相互の軸心が合致するように設定されている。
【0023】
また、係合ブロック21は、図7に示すように、係合ブロック21の本体部がその本体部よりも幅の狭い脚部36によってカートリッジ13のケース29に連結されている。これにより、係合ブロック21の本体部の背面側(ケース29側)には、ガイド壁20A,20Bの係止爪23が回り込んで当接する縁部が上下に確保されている。そして、係合ブロック21のこの上下の縁部は、係合ブロック21がスライド方向Sに所定量以上移動したときに係止爪23によって係止され、それによって係合ブロック21の正面方向への抜けが規制されるようになっている。
なお、脚部36の一部36aは係合ブロック21の下端まで張り出すように延設されている。この下端まで張り出した部分は、カートリッジ13を過大な力で規定量以上にスライドさせようとしたときに、ガイド壁20Bの係止爪23と当接することにより、カートリッジ13の装着方向のスライド変位を規制するストッパとして機能する。
【0024】
つづいて、図10,図11を参照して、浄水器本体12に対するカートリッジ13の取り付けについて説明する。
カートリッジ13を取り付けるに際しては、図10(A),図11(A)に示すように、最初に、カートリッジ13の長手方向が水平になるようにして、カートリッジ13の係合ブロック21を、浄水器本体12のガイド壁20A,20Bの挿入部22に対向させる。この状態から図10(A),図11(A)の矢印Iで示すようにカートリッジ13を浄水器本体12に正面から近づけ、係合ブロック21をカバー壁28の内側に挿入し、さらにガイド壁20A,20Bの挿入部22に挿入する。このとき、浄水器本体12のカバー壁28の先端部はカートリッジ13の外周面に近接状態で対向する(図10(B),図11(B)参照)。
【0025】
次に、この状態からカートリッジ13を、図10(B),図11(B)の矢印Sで示すように水平方向にスライド変位させる。このとき、カートリッジ13の係合ブロック21が浄水器本体12側のガイド壁20A,20Bによって案内され、また、係合ブロック21のガイド突起33が浄水器本体12側のガイド溝24内を摺動する。こうして、係合ブロック21がガイド壁20A,20Bの他端方向に向かって移動すると、係合ブロック21の上下の縁部が係止爪23に次第に係合され、それとともにガイド突起33のテーパ面35が係止ピン26を次第に押し込むようになる。
【0026】
こうして、カートリッジ13が所定位置までスライド操作されると、係止ピン26がガイド突起33上の係合穴34に嵌合するとともに、カートリッジ13の流入口31と浄水器本体12の導出口18とが位置的に合致し、相互に接続状態とされる。このとき、カートリッジ13は、係合ブロック21が係止爪23によって正面方向の抜けが規制されると同時に、係止ピン26と係合穴34の嵌合によって水平方向の変位が規制され、その結果、浄水器本体12に対してロック状態とされる(図10(C),図11(C)参照)。
【0027】
また、カートリッジ13を浄水器本体12から取り外す場合には、上述の操作とは逆に、最初にカートリッジ13を矢印Sと逆向きに所定量スライドさせ、その後に矢印Iと逆向きにカートリッジ13を引っ張り、浄水器本体12から離脱させる。
【0028】
以上説明したように、この浄水器1においては、カートリッジ13の係合ブロック21を浄水器本体12のカバー壁28内に挿入し、その状態でカートリッジ13をスライドさせるいう簡易な接続機構のため、成形が容易であるとともに、浄水器本体12とカートリッジ13との接続に要する構成部品が少ない。したがって、この浄水器1においては、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、この浄水器1においては、浄水器本体12に対してカートリッジ13を水平方向にスライドさせるという容易な操作で、浄水器本体12とカートリッジ13とを着脱できるため、カートリッジ13の交換に手間取ることがなく、カートリッジ交換を容易かつ確実に行うことができる。
【0030】
さらに、この浄水器1は、カートリッジ13の長手方向が水平になるように、浄水器本体12とカートリッジ13が一体に結合されるため、カートリッジ13を鉛直に配置した従来の浄水器に比べて、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくい。
【0031】
また、この浄水器1においては、カートリッジ13と浄水器本体12の接続部(係合ブロック21、ガイド壁20A,20B、係止爪23、係止ピン26、係合穴34等)の周域が、浄水器本体12に延設された環状のカバー壁28によって覆われるため、カートリッジ13側と浄水器本体12側からそれぞれカバー片を延出させ、両者のカバー片によって最終的に接続部の周囲を覆う場合と異なり、係合ブロック21のサイズや形状を共通にしさえすれば、一つの浄水器本体12をケース29のサイズや仕様の異なるカートリッジ13に容易に適合させることができる。
【0032】
また、この浄水器1においては、浄水器本体12に水平方向に延出する平行な一対のガイド壁20A,20Bが設けられ、カートリッジ13側の係合ブロック21の上下の面がこのガイド壁20A,20Bによって摺動自在に案内されるため、浄水器本体12に対するカートリッジ13の脱着のためのスライド操作を容易、かつ確実なものとすることができる。
【0033】
さらに、この浄水器1の場合、カートリッジ13の係合ブロック21と浄水器本体12側のガイド溝24の底部には、浄水器本体12の導出口18とカートリッジ13の流入口31とが合致する位置で、相互に係合される係止ピン26と係合穴34が設けられているため、カートリッジ13の装着時に、カートリッジ13を浄水器本体12に対して所定量スライド操作したときに、係止ピン26と係合穴34との係合によってカートリッジ13のスライド方向の移動を規制することができるとともに、カバー壁28の内側で係止ブロック21が本体ブロック14に確実に固定されたことを節度感をもって作業者に知らせることができる。
【0034】
また、この浄水器1では、係合ブロック21にガイド突起33が設けられ、このガイド突起33の前面に係合穴34が設けられるとともに、このガイド突起33の端部に、カートリッジ13の装着時に係合ブロック21がスライド操作されるときに、係止ピン26をコイルスプリング27の力に抗して徐々に押し下げるテーパ面35が設けられているため、係合ブロック21のスライド操作のみによって係止ピン26をスムーズに押し下げることができるとともに、係止ピン26の先端部が係合穴34の位置と合致したときに、係止ピン26の先端部を勢い良く係合穴34の内面に当接させ、装着操作時に十分な節度感を持たせることができる。
なお、この実施形態の場合、カートリッジ13の取付時には、係止ピン26がガイド突起33のテーパ面35によって押し下げられる前に、係止爪23による係合ブロック21の正面方向の抜け規制が開始されるようになっている。このため、作業者はコイルスプリング27の力に抗してカートリッジ13を正面から押し込む必要がなく、単にスライド方向に力を加えるだけで良い。
【0035】
また、この実施形態では、カートリッジ13のケース29と係合ブロック21を連結する脚部36の一部36aが係合ブロック21の下端まで延設され、その延設された脚部36の一部36aがガイド壁20Bの係止爪23と当接してスライド方向のストッパとして機能するようになっているため、カートリッジ13の必要以上のスライド変位をこのストッパ機能によって確実に防止することができる。特に、この場合、係止爪23の端部を規制部として利用しているため、構造の簡素化とそれによる製造の容易化を図ることができる。
【0036】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…浄水器
2…蛇口
11…蛇口接続部
12…浄水器本体
13…カートリッジ
18…導出口
20A,20B…ガイド壁
21…係合ブロック
22…挿入部
23…係止爪
26…係止ピン(係止突部)
27…コイルスプリング(付勢手段)
28…カバー壁
29…ケース
31…流入口
34…係合穴
35…テーパ面
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水器に関するものであり、特に水栓の蛇口に取り付けるタイプの浄水器に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水栓の蛇口に直接取り付けるタイプの浄水器、いわゆる蛇口直結タイプの浄水器が知られている。蛇口直結タイプの浄水器としては、特許文献1、2に示すように、蛇口に取り付けられる浄水器本体と、ケース内に濾材を収容したカートリッジとがバヨネット機構で接続された浄水器が知られている。
【0003】
近年、蛇口直結タイプの浄水器には、視覚的に圧迫感がなく、かつ水栓周りでの作業を妨げにくい形状が求められている。また、蛇口直結タイプの浄水器には、カートリッジの交換がより容易かつ確実であることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3381395号公報
【特許文献2】特許第3303499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2の浄水器では、カートリッジが、その長手方向を鉛直にして浄水器本体に接続されているため、視覚的に圧迫感があるだけでなく、蛇口を操作する際などに、手がカートリッジに接触しやすく、水栓周りでの作業の妨げになることがあった。
【0006】
また、特許文献1、2の浄水器では、カートリッジと浄水器本体との接続の際に、浄水器本体に対してカートリッジの傾きを合わせるのに時間がかかるだけでなく、カートリッジの回転方向を間違えるとカートリッジを確実に着脱できず、さらにカートリッジを回転するためのスペースが浄水器本体周りに必要であり、カートリッジ交換に手間取ることが多かった。さらに、特許文献1、2の浄水器では、バヨネット機構による接続のため、接続部分の構造が複雑で、部品点数が多くなりやすく、浄水器の製造コストがかかりやすいという問題があった。
【0007】
そこでこの発明は、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくく、カートリッジ交換を容易かつ確実に行え、さらに製造コストの低減を図ることのできる浄水器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する請求項1に記載の発明は、水栓の蛇口に取付けられる蛇口接続部と、前記蛇口から取り入れた原水の流路を切換える流路切換機構と、この流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに前記原水を導出させる導出口と、を有する浄水器本体と、濾材を収容した略筒状のケースに前記原水の流入口が設けられ、この流入口を前記導出口と合致させるように前記浄水器本体に脱着可能に取付けられるカートリッジと、を備えた浄水器において、前記カートリッジの外面に係合ブロックが突設され、前記浄水器本体に、前記係合ブロックを摺動自在に案内することによって、前記カートリッジを、長手方向を水平にして変位させ得るガイド壁が設けられ、前記ガイド壁の長手方向の一端側には、正面からの前記係合ブロックの挿入離脱を許容する挿入部が設けられ、長手方向の他端側には、前記係合ブロックの正面側への抜けを規制する係止爪が設けられ、前記係合ブロックが前記ガイド壁の長手方向の他端側に位置されているときに、前記カートリッジの流入口と前記浄水器本体の導入口とが合致するように設定され、さらに、前記浄水器本体には、前記ガイド壁の周域を覆い先端部が前記カートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁が設けられていることを特徴とする。
これにより、カートリッジは浄水器本体に対して水平に取り付けられるようになる。また、カートリッジを浄水器本体に取り付ける場合には、まず、カートリッジの係合ブロックを正面からカバー壁内に挿入し、さらに係合ブロックをガイド壁の一端側の挿入部に挿入する。次に、この状態からカートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させ、係合ブロックをガイド壁の他端側の係止爪部分まで移動させる。こうして、係合ブロックが係止爪部分まで移動すると、係止爪によってカートリッジの正面方向の抜けが規制されるとともに、カートリッジの流入口が浄水器本体の導出口と合致するようになる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の浄水器において、前記カートリッジの係合ブロックと前記浄水器本体の間には、前記浄水器本体の導出口と前記カートリッジの流入口とが合致する位置で、相互に嵌合される係止突部と係合穴が設けられ、前記係止突部が付勢手段によって突出方向に付勢されていることを特徴とする。
これにより、カートリッジの取付時に、カートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させてゆくと、付勢手段によって付勢された係止突部が係合穴に嵌合され、その結果、カートリッジが浄水器本体に係止されるとともに、その係止の結果が節度感をもって作業者に把握されるようになる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の浄水器において、前記係止突部が前記浄水器本体に設けられるとともに、前記係合穴が前記カートリッジの係合ブロックに設けられ、前記係合ブロックには、前記ガイド壁に案内されての装着操作時に、前記係止突部を徐々に押し下げるテーパ面が設けられていることを特徴とする。
これにより、カートリッジの取付時に、カートリッジをガイド壁に沿わせて水平方向に変位させてゆくと、係止突部がテーパ面と当接し付勢手段の力に抗して徐々に押し下げられ、係合穴と対峙したところで勢い良く係合穴に嵌合される。この結果、カートリッジのスムーズなスライド変位と、より確実な節度感が得られるようになる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、カートリッジが軸方向を水平に向けて配置されることから、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくくなり、しかも、カートリッジの水平方向のスライド変位によってカートリッジの脱着が可能であることから、カートリッジの交換作業を容易かつ確実に、スペースを占有することなく行える。さらに、接続部の構造が簡素であることから、製造コストの低減も図ることができる。
【0012】
また、この発明においては、カートリッジと浄水器本体の接続部の周域が、浄水器本体側に設けられた環状のカバー壁によって覆われ、そのカバー壁の先端部がカートリッジの外周面に近接して対峙するため、カバー壁によって接続部の周囲の密閉性の維持と外観の向上を図りつつ、一つの浄水器本体をケースのサイズや仕様の異なるカートリッジに容易に適合させることができる。
【0013】
また、カートリッジの係合ブロックと浄水器本体の間に、浄水器本体の導出口とカートリッジの流入口とが合致する位置で相互に嵌合される係止突部と係合穴を設け、係止突部を付勢手段によって突出方向に付勢した場合には、カートリッジのスムーズなスライド変位と、より確実な節度間を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態の浄水器の斜視図である。
【図2】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の斜視図である。
【図3】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の部分断面側面図である。
【図4】この発明の一実施形態の浄水器の浄水器本体の正面図(取り付け状態では左側面図)である。
【図5】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの正面図(取り付け状態では右側面図)である。
【図6】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの斜視図である。
【図7】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの一部を拡大した斜視図である。
【図8】この発明の一実施形態の浄水器の図2のA−A断面に対応する断面図である。
【図9】この発明の一実施形態の浄水器の図2のB−B断面に対応する断面図である。
【図10】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの取付状態を示す斜視図である。
【図11】この発明の一実施形態の浄水器のカートリッジの取付状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この実施形態に係る浄水器1の全体構成を示すものである。同図に示すように、浄水器1は、水栓の蛇口2に取り付けられる蛇口接続部11と、蛇口2から取入れた原水(水道水)の流路を切換える流路切換機構(図示せず)を有する浄水器本体12と、内部に活性炭や中空糸膜等の濾材を収容し浄水器本体12に着脱自在に接続される略筒状のカートリッジ13と、を備えている。なお、同図中矢印Fは、水栓(蛇口2)の設置部の前方(使用者の位置する方向)を差すものとする。この実施形態の場合、カートリッジ13は、浄水器本体12の向かって左側に配置されている。
【0016】
図2〜図4は、浄水器本体12の単体を示すものである。これらの図に示すように、浄水器本体12は、内部に流路切換機構を収容する略直方体状の本体ブロック14の上面側に蛇口接続部11が設けられるとともに、下面側に原水吐出部15が設けられ、本体ブロック14の向かって右側の端部には流路切換機構を操作するための回転式の操作レバー16が設けられている。この実施形態の浄水器1の場合、流路切換機構は、蛇口接続部11側の原水導入流路を、原水吐出部15を通したストレート流路とシャワー流路と、カートリッジ13を通した浄水流路のいずれかに選択的に切換える。本体ブロック14の操作レバー16の設置部と相反する側の端部(以下、単に「本体ブロック14の端部」と呼ぶ。)には、カートリッジ13を長手方向が水平になるように取付けるための機構が設けられている。
【0017】
本体ブロック14の端部には偏平な基面17が設けられ、その基面17には、流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに、原水をカートリッジ13側に導出させる導出口18が設けられている。この導出口18には、ゴム弾性部材から成る環状のパッキン19が装着されている。
【0018】
基面17は横長の略長方形状に形成され、その基面17の上下には、相互に平行な一対のガイド壁20A,20Bが突設されている。これらのガイド壁20A,20Bは、浄水器本体12が蛇口2に取り付けられた状態で水平になるように設けられている。そして、両ガイド壁20A,20Bの長手方向の一端側の領域(図2中の右側の領域)は、相互に向き合う面が偏平に形成され、後述するカートリッジ13の係合ブロック21の正面側からの挿入離脱を許容する挿入部22とされている。一方、各ガイド壁20A,20Bの長手方向の他端側(図2中左側)の領域には、前端側の縁部から内向きに(相互に対向する向きに)突出する係止爪23が延設されている。なお、前述した導出口18は、基面17上の長手方向の他端側に偏倚した位置に設けられている。
【0019】
また、基面17の上下方向の略中央には、長手方向の一端側から導出口18の近傍に至る断面略コ字状のガイド溝24が設けられている。このガイド溝24の導出口18に近接する側の底面には貫通孔25が設けられ、その貫通孔25に係止ピン26(係止突部)が進退自在に設けられている。この係止ピン26は、図3,図9の断面図に示すように、先端部が半球状の曲面に形成され、その基端側がコイルスプリング27(付勢手段)によって突出方向に付勢されている。
【0020】
さらに、本体ブロック14の端部には、基面17と上下のガイド壁20A,20Bの周域を環状に取り囲むようにカバー壁28が延設されている。このカバー壁28のうちの、鉛直方向に沿う一対の壁部の先端部には、カートリッジ13の外周面に沿う円弧面28aが設けられている。そして、カバー壁28の先端部は、浄水器本体12(本体ブロック14)にカートリッジ13が取り付けられたときに、カートリッジ13の外周面に近接して対峙するようになっている。カバー壁28は、導出口18と流入口31の接続部の周域に埃や異物が入り込むの防止する密閉手段として機能するとともに、カートリッジ13と浄水器本体12との結合部を外部から覆い隠すことにより、浄水器1の外観品質と意匠性を高めている。
【0021】
図5〜図7は、カートリッジ13の単体を示し、図8,図9は、浄水器本体12にカートリッジ13が取り付けられた状態を示す。
これらの図に示すように、カートリッジ13は、濾材を収容する略円筒状のケース29の外周面に矩形板状の係合ブロック21が突設され、その係合ブロック21の前面に浄水器本体12側の導出口18とパッキン19を介して圧接状態で接続される流入口31が設けられている。この流入口31は、浄水器本体12の流路切換機構を介して導出口18から吐出された原水をケース29内の濾材に導入する。一方、ケース29の長手方向の一端には下向きに開口する筒状の浄水吐出部32が設けられている。この浄水吐出部32は、ケース29内の濾材を通過した浄水を外部に吐出する。また、係合ブロック21の上下の面は略平行に形成され、これらの面が浄水器本体12側のガイド壁20A,20Bによって摺動自在に案内されるようになっている。なお、係合ブロック21は、上下の面がガイド壁20A,20Bに接触状態で係合されるときに、カートリッジ13が軸方向を水平にして姿勢保持されるように設定されている。なお、図面において、矢印Sは、カートリッジ13を浄水器本体12に取り付けるときの、カートリッジ13のスライド方向を指す。
【0022】
また、図7に拡大して示すように、係合ブロック21の前面のうちの流入口31よりも浄水吐出部32側の領域にはガイド突起33が突設されている。このガイド突起33は係合ブロック21の上下方向の略中央に配置され、浄水器本体12の基面17上のガイド溝24内に挿入し得るようになっている。そして、ガイド突起33は、その前面の中央に、係止ピン26の先端部が挿入係合可能な半球状の係合穴34が設けられるとともに、流入口31側の端部に、係合ブロック21の前面一般面に向かって傾斜するテーパ面35が設けられている。このテーパ面35は、ガイド突起33がガイド溝24内に挿入され、その状態で係合ブロック21がガイド壁20A,20Bに案内されてスライド方向Sに移動したときに、係止ピン26の先端部を徐々に押し下げるように機能する。なお、係止ピン26は係合ブロック21の移動がさらに進むと、コイルスプリング27の付勢力によって係合穴34内に嵌合され、それによってカートリッジ13の水平方向の変位が規制される。この際、流入口31と浄水器本体12の導出口18は、このとき相互の軸心が合致するように設定されている。
【0023】
また、係合ブロック21は、図7に示すように、係合ブロック21の本体部がその本体部よりも幅の狭い脚部36によってカートリッジ13のケース29に連結されている。これにより、係合ブロック21の本体部の背面側(ケース29側)には、ガイド壁20A,20Bの係止爪23が回り込んで当接する縁部が上下に確保されている。そして、係合ブロック21のこの上下の縁部は、係合ブロック21がスライド方向Sに所定量以上移動したときに係止爪23によって係止され、それによって係合ブロック21の正面方向への抜けが規制されるようになっている。
なお、脚部36の一部36aは係合ブロック21の下端まで張り出すように延設されている。この下端まで張り出した部分は、カートリッジ13を過大な力で規定量以上にスライドさせようとしたときに、ガイド壁20Bの係止爪23と当接することにより、カートリッジ13の装着方向のスライド変位を規制するストッパとして機能する。
【0024】
つづいて、図10,図11を参照して、浄水器本体12に対するカートリッジ13の取り付けについて説明する。
カートリッジ13を取り付けるに際しては、図10(A),図11(A)に示すように、最初に、カートリッジ13の長手方向が水平になるようにして、カートリッジ13の係合ブロック21を、浄水器本体12のガイド壁20A,20Bの挿入部22に対向させる。この状態から図10(A),図11(A)の矢印Iで示すようにカートリッジ13を浄水器本体12に正面から近づけ、係合ブロック21をカバー壁28の内側に挿入し、さらにガイド壁20A,20Bの挿入部22に挿入する。このとき、浄水器本体12のカバー壁28の先端部はカートリッジ13の外周面に近接状態で対向する(図10(B),図11(B)参照)。
【0025】
次に、この状態からカートリッジ13を、図10(B),図11(B)の矢印Sで示すように水平方向にスライド変位させる。このとき、カートリッジ13の係合ブロック21が浄水器本体12側のガイド壁20A,20Bによって案内され、また、係合ブロック21のガイド突起33が浄水器本体12側のガイド溝24内を摺動する。こうして、係合ブロック21がガイド壁20A,20Bの他端方向に向かって移動すると、係合ブロック21の上下の縁部が係止爪23に次第に係合され、それとともにガイド突起33のテーパ面35が係止ピン26を次第に押し込むようになる。
【0026】
こうして、カートリッジ13が所定位置までスライド操作されると、係止ピン26がガイド突起33上の係合穴34に嵌合するとともに、カートリッジ13の流入口31と浄水器本体12の導出口18とが位置的に合致し、相互に接続状態とされる。このとき、カートリッジ13は、係合ブロック21が係止爪23によって正面方向の抜けが規制されると同時に、係止ピン26と係合穴34の嵌合によって水平方向の変位が規制され、その結果、浄水器本体12に対してロック状態とされる(図10(C),図11(C)参照)。
【0027】
また、カートリッジ13を浄水器本体12から取り外す場合には、上述の操作とは逆に、最初にカートリッジ13を矢印Sと逆向きに所定量スライドさせ、その後に矢印Iと逆向きにカートリッジ13を引っ張り、浄水器本体12から離脱させる。
【0028】
以上説明したように、この浄水器1においては、カートリッジ13の係合ブロック21を浄水器本体12のカバー壁28内に挿入し、その状態でカートリッジ13をスライドさせるいう簡易な接続機構のため、成形が容易であるとともに、浄水器本体12とカートリッジ13との接続に要する構成部品が少ない。したがって、この浄水器1においては、製造コストの低減を図ることができる。
【0029】
また、この浄水器1においては、浄水器本体12に対してカートリッジ13を水平方向にスライドさせるという容易な操作で、浄水器本体12とカートリッジ13とを着脱できるため、カートリッジ13の交換に手間取ることがなく、カートリッジ交換を容易かつ確実に行うことができる。
【0030】
さらに、この浄水器1は、カートリッジ13の長手方向が水平になるように、浄水器本体12とカートリッジ13が一体に結合されるため、カートリッジ13を鉛直に配置した従来の浄水器に比べて、視覚的な圧迫感を低減できるとともに、水栓周りでの作業を妨げにくい。
【0031】
また、この浄水器1においては、カートリッジ13と浄水器本体12の接続部(係合ブロック21、ガイド壁20A,20B、係止爪23、係止ピン26、係合穴34等)の周域が、浄水器本体12に延設された環状のカバー壁28によって覆われるため、カートリッジ13側と浄水器本体12側からそれぞれカバー片を延出させ、両者のカバー片によって最終的に接続部の周囲を覆う場合と異なり、係合ブロック21のサイズや形状を共通にしさえすれば、一つの浄水器本体12をケース29のサイズや仕様の異なるカートリッジ13に容易に適合させることができる。
【0032】
また、この浄水器1においては、浄水器本体12に水平方向に延出する平行な一対のガイド壁20A,20Bが設けられ、カートリッジ13側の係合ブロック21の上下の面がこのガイド壁20A,20Bによって摺動自在に案内されるため、浄水器本体12に対するカートリッジ13の脱着のためのスライド操作を容易、かつ確実なものとすることができる。
【0033】
さらに、この浄水器1の場合、カートリッジ13の係合ブロック21と浄水器本体12側のガイド溝24の底部には、浄水器本体12の導出口18とカートリッジ13の流入口31とが合致する位置で、相互に係合される係止ピン26と係合穴34が設けられているため、カートリッジ13の装着時に、カートリッジ13を浄水器本体12に対して所定量スライド操作したときに、係止ピン26と係合穴34との係合によってカートリッジ13のスライド方向の移動を規制することができるとともに、カバー壁28の内側で係止ブロック21が本体ブロック14に確実に固定されたことを節度感をもって作業者に知らせることができる。
【0034】
また、この浄水器1では、係合ブロック21にガイド突起33が設けられ、このガイド突起33の前面に係合穴34が設けられるとともに、このガイド突起33の端部に、カートリッジ13の装着時に係合ブロック21がスライド操作されるときに、係止ピン26をコイルスプリング27の力に抗して徐々に押し下げるテーパ面35が設けられているため、係合ブロック21のスライド操作のみによって係止ピン26をスムーズに押し下げることができるとともに、係止ピン26の先端部が係合穴34の位置と合致したときに、係止ピン26の先端部を勢い良く係合穴34の内面に当接させ、装着操作時に十分な節度感を持たせることができる。
なお、この実施形態の場合、カートリッジ13の取付時には、係止ピン26がガイド突起33のテーパ面35によって押し下げられる前に、係止爪23による係合ブロック21の正面方向の抜け規制が開始されるようになっている。このため、作業者はコイルスプリング27の力に抗してカートリッジ13を正面から押し込む必要がなく、単にスライド方向に力を加えるだけで良い。
【0035】
また、この実施形態では、カートリッジ13のケース29と係合ブロック21を連結する脚部36の一部36aが係合ブロック21の下端まで延設され、その延設された脚部36の一部36aがガイド壁20Bの係止爪23と当接してスライド方向のストッパとして機能するようになっているため、カートリッジ13の必要以上のスライド変位をこのストッパ機能によって確実に防止することができる。特に、この場合、係止爪23の端部を規制部として利用しているため、構造の簡素化とそれによる製造の容易化を図ることができる。
【0036】
なお、この発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…浄水器
2…蛇口
11…蛇口接続部
12…浄水器本体
13…カートリッジ
18…導出口
20A,20B…ガイド壁
21…係合ブロック
22…挿入部
23…係止爪
26…係止ピン(係止突部)
27…コイルスプリング(付勢手段)
28…カバー壁
29…ケース
31…流入口
34…係合穴
35…テーパ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の蛇口に取付けられる蛇口接続部と、前記蛇口から取り入れた原水の流路を切換える流路切換機構と、この流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに前記原水を導出させる導出口と、を有する浄水器本体と、
濾材を収容した略筒状のケースに前記原水の流入口が設けられ、この流入口を前記導出口と合致させるように前記浄水器本体に脱着可能に取付けられるカートリッジと、
を備えた浄水器において、
前記カートリッジの外面に係合ブロックが突設され、
前記浄水器本体に、前記係合ブロックを摺動自在に案内することによって、前記カートリッジを、長手方向を水平にして変位させ得るガイド壁が設けられ、
前記ガイド壁の長手方向の一端側には、正面からの前記係合ブロックの挿入離脱を許容する挿入部が設けられ、長手方向の他端側には、前記係合ブロックの正面側への抜けを規制する係止爪が設けられ、前記係合ブロックが前記ガイド壁の長手方向の他端側に位置されているときに、前記カートリッジの流入口と前記浄水器本体の導入口とが合致するように設定され、
さらに、前記浄水器本体には、前記ガイド壁の周域を覆い先端部が前記カートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁が設けられていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記カートリッジの係合ブロックと前記浄水器本体の間には、前記浄水器本体の導出口と前記カートリッジの流入口とが合致する位置で、相互に嵌合される係止突部と係合穴が設けられ、前記係止突部が付勢手段によって突出方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記係止突部が前記浄水器本体に設けられるとともに、前記係合穴が前記カートリッジの係合ブロックに設けられ、前記係合ブロックには、前記ガイド壁に案内されての装着操作時に、前記係止突部を徐々に押し下げるテーパ面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の浄水器。
【請求項1】
水栓の蛇口に取付けられる蛇口接続部と、前記蛇口から取り入れた原水の流路を切換える流路切換機構と、この流路切換機構が浄水モードに切換えられたときに前記原水を導出させる導出口と、を有する浄水器本体と、
濾材を収容した略筒状のケースに前記原水の流入口が設けられ、この流入口を前記導出口と合致させるように前記浄水器本体に脱着可能に取付けられるカートリッジと、
を備えた浄水器において、
前記カートリッジの外面に係合ブロックが突設され、
前記浄水器本体に、前記係合ブロックを摺動自在に案内することによって、前記カートリッジを、長手方向を水平にして変位させ得るガイド壁が設けられ、
前記ガイド壁の長手方向の一端側には、正面からの前記係合ブロックの挿入離脱を許容する挿入部が設けられ、長手方向の他端側には、前記係合ブロックの正面側への抜けを規制する係止爪が設けられ、前記係合ブロックが前記ガイド壁の長手方向の他端側に位置されているときに、前記カートリッジの流入口と前記浄水器本体の導入口とが合致するように設定され、
さらに、前記浄水器本体には、前記ガイド壁の周域を覆い先端部が前記カートリッジの外周面に近接して対峙する環状のカバー壁が設けられていることを特徴とする浄水器。
【請求項2】
前記カートリッジの係合ブロックと前記浄水器本体の間には、前記浄水器本体の導出口と前記カートリッジの流入口とが合致する位置で、相互に嵌合される係止突部と係合穴が設けられ、前記係止突部が付勢手段によって突出方向に付勢されていることを特徴とする請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
前記係止突部が前記浄水器本体に設けられるとともに、前記係合穴が前記カートリッジの係合ブロックに設けられ、前記係合ブロックには、前記ガイド壁に案内されての装着操作時に、前記係止突部を徐々に押し下げるテーパ面が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の浄水器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−115673(P2011−115673A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272587(P2009−272587)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(504346204)三菱レイヨン・クリンスイ株式会社 (57)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(504346204)三菱レイヨン・クリンスイ株式会社 (57)
【出願人】(000149309)ジョプラックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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