説明

浄水器

【課題】比較的短時間で確実に水漏れを検知することが可能な浄水器を提供する。
【解決手段】浄水器100は、水が流通する流路を形成するチューブと、ケース101と、漏水センサ116とを有している。ケース101は、複数のチューブのうち、少なくともチューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34の全部を収容している。また、ケース101は、底部103を有している。漏水センサ116は、底部103のうちの水が集められる所定の位置に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水器のうち、内部の水漏れを検知するように構成された浄水器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第2765813号公報(以下では特許文献1という)または特許第4096753号公報(以下では特許文献2という)に記載されているように、ケースを備えた浄水器であって、ケースの内部での水漏れを検知するように構成された浄水器が、従来から知られている。
【0003】
特許文献1に係る浄水器は、当該浄水器の底部を構成する貯留板の上方に漏水感知センサが配置されている。漏水感知センサは、貯留板の上面に貯められた水を検知することにより、ケースの内部に水が漏れていることを検知する。
【0004】
特許文献2に係る浄水器では、当該浄水器の底部に配置されたビス状のセンサが、底部に水が溜められていることを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2765813号公報
【特許文献2】特許第4096753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に係る浄水器では、貯留板は、特定の位置に水を溜めるような構造を有していない。そのため、漏水感知センサが配置されている位置の近傍を除く位置にて水が漏れている場合は、漏水感知センサが水漏れを検知するまでに比較的長い時間を要することとなる。すなわち、特許文献1に係る浄水器では、比較的短時間にて水漏れを検知することが困難である。
【0007】
また、特許文献2に係る浄水器では、底部に溜められる水が所定の水位に達する場合に、水が漏れていることが使用者に音で知らされる。このように、特許文献2に係る浄水器では、貯留板に水がある程度溜まらなければ水漏れと判断されない。
【0008】
しかしながら、特許文献1に係る浄水器または特許文献2に係る浄水器のように、従来の浄水器は、ケースの内部に複雑な配管が設けられておらず、また、電気部品の構成比率が低いため、ケースの内部に比較的少量の水が漏れている場合でも、ケースの内部から外方に水を排出する穴が設けられていることにより、使用者が感電するまでには至らなかった。
【0009】
近年では、浄水器の性能が多岐にわたるため、必要な構成部品が格段に増加している。例えば、浄水器が供給する水の種類が従来よりも増えている場合には、ケースの内部での水の流通方向を変更させる部品が必要である。また、このような水の流通方向を変更させる複数の電磁弁と、これら電磁弁等の電子部品を制御するマイコン等の制御機器とをケースの内部に配置させることが必要である。さらに、フィルタを洗浄する機能を有する浄水器では、制御機器は、フィルタの洗浄時期を検知または判断する検知機器と、その洗浄時期を使用者に知らせる警報機器とを有する必要がある。このように、近年の浄水器に係る電気部品の構成比率は、従来のものよりも高い。そのため、比較的少量の水漏れに対しても、即座に確実に水漏れを検知することが望まれている。
【0010】
そこで、この発明の目的は、比較的短時間で確実に水漏れを検知することが可能な浄水器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に従った浄水器は、水が流通する流路を形成するチューブと、ケースと、漏水センサとを有している。ケースは、チューブの全部または一部を収容し、底部を有している。漏水センサは、底部のうちの水が集められる所定の位置に配置されている。
【0012】
この発明によれば、漏水センサは、ケースの底部のうち、水が集められる所定の位置に配置されている。すなわち、ケースの内部において水漏れが発生するときには、漏水センサが配置されている位置に水が集められる。そのため、この発明によれば、ケースの内部に所定の水量まで水が溜まらない場合でも、漏水センサによって水漏れを検知することができる。これにより、比較的短時間で確実に水漏れを検知することができる。
【0013】
この発明に従った浄水器では、底部は、周りの部分よりも下方に配置される凹部と、凹部に向かって下方に傾斜する傾斜部とを有していることが好ましい。また、漏水センサは、底部の凹部に配置されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、底部は、ケースの内部に滴下した水を所定の位置に導くことができるような形状を有している。また、漏水センサは、水が導かれる位置に配置されている。このように、ケースの内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、滴下した水は漏水センサが配置された位置に導かれる。そのため、この構成によれば、ケースの内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、漏水センサによって水漏れを検知することができる。これにより、比較的短時間で確実に水漏れを検知することができる。
【0015】
また、底部が水を導くことが可能な形状を有していることにより、ケースの内部に漏れた水を溜めるためのタンクが別途配置される必要がない。そのため、当該浄水器に掛かるコストを削減することができる。
【0016】
この発明に従った浄水器は、下方に撓むようにケースの内部に配置された垂下部をそれぞれ有している複数のチューブを備えていることが好ましい。さらに、複数のチューブのうちの少なくとも一つのチューブの垂下部は、凹部または傾斜部の上方に配置されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、凹部または傾斜部の上方に配置されているチューブでは、チューブを伝って下方に滴下する水が、垂下部から傾斜部を伝って凹部に流れたり、そのまま凹部に滴下したりする。このように、ケースの内部にてチューブの垂下部から滴下する水を、漏水センサが配置されている位置に効率よく且つ確実に導くことができる。そのため、この構成によれば、ケースの内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、漏水センサによって水漏れを効率よく且つ確実に検知することができる。
【0018】
この発明に従った浄水器では、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブの外周面には、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブを除いた他のチューブの垂下部の外周面が接触していることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブを除いた他のチューブから水が漏れる場合には、当該チューブの外周面を水が下方に向かって伝っていく。当該チューブの垂下部まで水が到達した後は、当該チューブの垂下部の外周面から、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブの外周面に水が移動する。さらに、水は、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブの垂下部まで到達した後は、この垂下部から下方に滴下する。このように、凹部または傾斜部の上方に垂下部が配置されているチューブを除いた他のチューブから水が漏れる場合であっても、漏れた水を、漏水センサが配置されている位置に効率よく且つ確実に導くことができる。
【0020】
この発明に従った浄水器では、底部は、上側底部と下側底部とを有していることが好ましい。上側底部は、底部の上側に配置された部分である。一方、下側底部は、底部の下側に配置された部分である。さらに、漏水センサは、上側底部と下側底部とを互いに固定する複数のネジ部材を有していることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、上側底部と下側底部とを互いに固定するネジ部材によって漏水センサの一部が構成されている。つまり、このネジ部材を利用することによってケースの内部での水漏れを検知することができる。そのため、この構成によれば、ケースの内部での水漏れを検知するために、当該浄水器に係るパーツを新たに設置することを省略することができる。そのため、当該浄水器の構成の複雑化を抑制することができる。また、当該浄水器に係るコストを削減することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、この発明によれば、比較的短時間で確実に水漏れを検知することが可能な浄水器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明に係る浄水器での水の流れを示す系統図である。
【図2】この発明に係る浄水器の分岐水栓の模式図である。
【図3】この発明に係る浄水器のケースの内部を浄水器の前方から見た図である。
【図4】この発明に係る浄水器のケースの内部を浄水器の後方から見た図である。
【図5】この発明に係る浄水器のケースの底部の断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、第1実施形態の浄水器100は、流路130と、流量センサ110と、プレフィルタ111と、活性炭フィルタ112と、ウルトラフィルタ114と、マイコン150とを備えている。
【0026】
流路130は、水を流通させるものである。流路130は、流入路131と流出路132と主通水路133とを有している。流入路131は、原水が浄水器100に流入するときの流路である。流出路132は、浄水が浄水器100から流出するときの流路である。主通水路133は、流入路131から浄水器100に流入した原水を流通させるためのものである。浄水器100の使用者が水道蛇口1を開放することにより、原水としての水道水が分岐水栓2を介して浄水器100に供給される。ただし、原水は、水道水に限定されず、井戸水、または河川水等であってもよい。流量センサ110とプレフィルタ111と活性炭フィルタ112とは、主通水路133に配置されている。
【0027】
図2に示すように、分岐水栓2は、水道水が流れる方向を、分岐水栓2から浄水器100に向かって流れる方向と、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れる方向とに切り換えることができる。また、分岐水栓2から浄水器100に向かって水道水が流れるときには、浄水器100から分岐水栓2に向かって浄水が流れることができる。浄水器100から分岐水栓2に向かって流れる浄水は、分岐水栓2から分岐水栓2の外方に向かって流れる。
【0028】
流路130は、浄水路134とオゾン水路135とをさらに有している。浄水路134とオゾン水路135とは、主通水路133から流路切換部113を介して互いに分岐されている。流路切換部113は、使用者が図示しないボタン等を操作することによって電子的または機械的に作動するものであってもよい。また、流路切換部113が機械的な構造を有し、使用者が手動でこれら機械的な構造を操作することであってもよい。流路切換部113は、例えば電磁式の二方向弁で構成されている。
【0029】
流路切換部113は、主通水路133を流れる水の流れ方向に関して活性炭フィルタ112よりも下流側に配置されている。流路切換部113が作動することにより、主通水路133から浄水路134とオゾン水路135とのいずれか一方に水が流れるように、流路130での水の流れが切り換えられる。
【0030】
プレフィルタ111は、比較的、目の粗い不織布によって構成されている。原水に含まれる比較的大きな不純物は、原水がプレフィルタ111を通過するときに取り除かれ、これによって原水が濾過される。活性炭フィルタ112は、水中の有機物を吸着して水から除去する。活性炭フィルタ112を通過した水がウルトラフィルタ114を通過することにより、水に含まれる細かい不純物がウルトラフィルタ114に付着する。
【0031】
主通水路133を流れる水の流れ方向に関して、流量センサ110の上流側には逆止弁141が配置されている。原水は、流路130において、プレフィルタ111、活性炭フィルタ112、ウルトラフィルタ114を順に通過することによって浄化される。浄化された浄水は、流出路132を流通して分岐水栓2から吐出される。
【0032】
流量センサ110は、プレフィルタ111を通過する水の瞬時流量を計測している。また、流量センサ110は、計測した水の瞬時流量に基づく信号をマイコン150に送信する。
【0033】
浄水器100は、オゾン発生ユニット120を備えている。オゾン発生ユニット120は、オゾンフィルタ121とオゾン発生器122とオゾン混合器123と気液分離器124とを有している。オゾン発生器122は、オゾンを発生させる。オゾン混合器123は、オゾン水路135に接続されている。オゾン発生器122とオゾン混合器123との間には、逆止弁143が配置されている。逆止弁143は、オゾン発生器122からオゾン混合器123へ供給される気体としてのオゾンの流れを許容している。
【0034】
オゾン発生器122が発生させたオゾンは、オゾン混合器123にてオゾン水路135を流通する水に混入される。以下では、オゾンが混入されることにより、オゾンが含まれる水のことをオゾン水と称する。例えば、図示しないボタン等のスイッチが使用者に操作されることに基づき、オゾン発生ユニット120においてオゾン水路135を流通する水にオゾンが供給される。
【0035】
浄水路134において流路切換部113とウルトラフィルタ114との間には、逆止弁142が配置されている。逆止弁142は、浄水路134において流路切換部113からウルトラフィルタ114に向かう水の流れを許容している。
【0036】
また流路130は、排水路136を有している。排水路136は、ウルトラフィルタ114を通過した水を排出するためのものである。排水路136には、電磁弁162が配置されている。電磁弁162は、排水路136を通して、ウルトラフィルタ114を洗浄した水を浄水器100の外部に排出する排水と排水停止とを切り換えるためのものである。
【0037】
浄水路134においてウルトラフィルタ114の下流には、電磁弁164が配置されている。電磁弁164は、ウルトラフィルタ114を通過した浄水の浄水器100の外部への供給と供給停止とを切り換えるためのものである。
【0038】
浄水路134において電磁弁164の下流には、濁度センサ115が配置されている。濁度センサ115は、ウルトラフィルタ114を通過した浄水の濁度を検知するためのものである。
【0039】
また、流路130は、オゾン水路135と浄水路134とを接続させる接続路137を有している。接続路137は、接続位置171において、浄水路134に接続されている。また、接続路137は、接続位置172において、オゾン水路135に接続されている。接続位置172は、オゾン水路135のうちのオゾン発生ユニット120が配置されている位置よりも下流側の位置である。接続位置171は、浄水路134のうちの逆止弁142とウルトラフィルタ114との間の位置である。
【0040】
接続路137には、電磁弁161が配置されている。電磁弁161は、浄水路134からオゾン水路135への、または、オゾン水路135から浄水路134への、水の供給と供給停止とを切り換えるためのものである。
【0041】
オゾン水路135には、電磁弁163が配置されている。電磁弁163は、オゾン水の浄水器100の外部への供給と供給停止とを切り換えるためのものである。電磁弁163は、オゾン水路135のうちの接続位置172よりも下流側に配置されている。
【0042】
また、浄水器100は、漏水センサ116を備えている。漏水センサ116は、浄水器100のケース101(図3参照)の内部の水漏れを検出する。漏水センサ116は、マイコン150の検知部151に水漏れに係る信号を送信している。マイコン150では、漏水センサ116が送信する信号に基づいて、制御部152が警告器3を制御する。これにより、警告器3は、浄水器100の使用者に水漏れが発生していることを表示することができる。なお、警告器3は、水漏れが発生していることを点灯部材または表示画面にて表示するような表示装置であってもよく、音声によって使用者に知らせる音声出力装置であってもよい。また、浄水器100は、水漏れが発生しているときに、浄水を生成すること、または、オゾン発生ユニット120の作動を強制的に停止させる停止装置を備えていてもよい。
【0043】
図示は省略するが、マイコン150は、オゾン発生ユニット120を制御している。また、図示は省略するが、マイコン150は、電磁弁161,162,163,164,165の開閉を制御している。
【0044】
以下では、浄水器100の流路130での水の流れについて説明する。浄水器100の外部に浄水が供給されるときには、電磁弁161と電磁弁162と電磁弁163とが閉じられ、電磁弁164が開かれている。
【0045】
浄水器100が浄水を供給するときには、流路切換部113は、主通水路133から浄水路134に水が流通するように流路130での水の流れを切り換えている。主通水路133に配置された流量センサ110とプレフィルタ111と活性炭フィルタ112とを通過した原水は、流路切換部113を介して浄水路134に流入する。浄水路134に流入した水はウルトラフィルタ114を通過することによって浄化され、電磁弁164と濁度センサ115を介して浄水器100の外部に流出する。
【0046】
浄水器100がオゾン水を供給するときには、流路切換部113は、主通水路133からオゾン水路135に水が流通するように流路130での水の流れを切り換えている。流量センサ110とプレフィルタ111と活性炭フィルタ112とを通過した原水は、流路切換部113を介してオゾン水路135に流入する。オゾン水路135に流入した水には、オゾン発生器122が発生させるオゾンが混入される。このとき、電磁弁165が開かれている。オゾン水は、電磁弁163を介してオゾン水出水ユニット4に流れる。オゾン水は、オゾン水出水ユニット4によって吐出される。
【0047】
浄水器100がウルトラフィルタ114を洗浄するときには、流路切換部113は、主通水路133からオゾン水路135に水が流通するように流路130での水の流れを切り換えている。オゾン水路135に流入した水には、オゾン発生器122がオゾンを発生させている場合にオゾンが混入される。また、ウルトラフィルタ114が洗浄されるときには、電磁弁161と電磁弁162とが開かれ、電磁弁163と電磁弁164とが閉じられている。なお、ウルトラフィルタ114の洗浄は、図示しないボタン等の他のスイッチが使用者に操作されることに基づいて開始される。
【0048】
以下では、浄水器100の流路130を形成するチューブの配置について説明する。図3に示すように、浄水器100は、ケース101を備えている。ケース101は底部103を有している。ケース101は、流路130(図1参照)を形成する複数のチューブを収容している。
【0049】
浄水器100は、少なくともチューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34とチューブ41とを有している。プレフィルタ111と活性炭フィルタ112とは、チューブ31を介して互いに接続されている。活性炭フィルタ112とウルトラフィルタ114とは、チューブ32を介して互いに接続されている。ウルトラフィルタ114と電磁弁161(図4参照)とは、チューブ33を介して互いに接続されている。また、ウルトラフィルタ114とオゾン発生ユニット120(図4参照)とは、チューブ34を介して互いに接続されている。チューブ41は、分岐水栓2(図1参照)と浄水器100とを互いに接続させている。チューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34との全体がケース101に収容されていてもよく、チューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34とのそれぞれの一部がケース101に収容されていてもよい。
【0050】
浄水器100は、ケース101の内部での水漏れを検知することができるように構成されている。浄水器100では、漏水センサ116は、底部103のうちの水が滴下する所定の位置に配置されている。
【0051】
図5に示すように、底部103は、上側底部103aと下側底部103bとを有している。上側底部103aは、底部103のうちの上側に配置された部分である。下側底部103bは、底部103のうちの下側に配置された部分である。底部103のうちの下側底部103bを形成する部分は、ケース101と一体である。一方、上側部分103aを形成する部分は、ケース101と別体である。傾斜部105と凹部104とは、上側底部103aに形成されている。上側底部103aと下側底部103bとは、例えば、樹脂製の板である。上側底部103aと下側底部103bとは、ネジ部材61とネジ部材62とによって互いに固定されている。
【0052】
ネジ部材61には、リード線11が接続されている。ネジ部材62には、リード線12が接続されている。リード線11とリード線12とは、図示しない回路に接続されている。ケース101の内部において水漏れが発生している場合には、ネジ部材61とネジ部材62との間にて回路が水によって短絡されることにより、マイコン150の検知部151がケース101内部での水漏れを検知する。このように、ネジ部材61とネジ部材62とリード線11とリード線12とは、漏水センサ116の機能を有している。すなわち、上側底部103aと下側底部103bとを互いに固定するネジ部材61とネジ部材62とは、漏水センサ116の端子を兼用している。
【0053】
なお、漏水センサ116の機能を有するネジ部材の数量は、二つ以上であればよく、特に限定されない。また、ネジ部材61とネジ部材62とが底部103に配置されるときの間隔は、浄水器100に係る水漏れの検出の性能に応じて適宜決定されるものであってよい。ネジ部材61とネジ部材62とが底部103に配置されるときの間隔は、例えば水の滴が一滴であっても漏水センサ116が水漏れを検出することができる程度の間隔である。例えば、ネジ部材61とネジ部材62とが底部103に配置されるときの間隔は、1ミリメートルを含む数ミリメートル程度の間隔である。また、例えば、ネジ部材61とネジ部材62とが底部103に配置されるときの間隔は、1ミリメートル未満であってもよい。
【0054】
図5に示すように、底部103は、凹部104と傾斜部105とを有している。凹部104は、底部103において、凹部104の周りの部分よりも下方に配置されている部分である。傾斜部105は、底部103において、凹部104に向かって下方に傾斜する部分である。ネジ部材61とネジ部材62とは、凹部104に配置されている。
【0055】
図3に示すように、凹部104または傾斜部105は、チューブ33とチューブ32との下方に配置されている。ただし、凹部104または傾斜部105は、チューブ33とチューブ32とのうちのいずれかの下方に配置されていてもよい。
【0056】
チューブ31は垂下部311を有している。チューブ32は垂下部321を有している。チューブ33は垂下部331を有している。垂下部311,321,331は、下方に撓むようにケース101の内部に配置されている。垂下部311,321,331は、それぞれチューブ31,32,33の下端に配置されている。垂下部331は、凹部104の上方に配置されている。また、垂下部321は、傾斜部105の上方に配置されている。なお、浄水器100では、垂下部311は、凹部104の上方または斜部105の上方に配置されていない。ただし、垂下部311と垂下部321と垂下部331とのうちのいずれかが、凹部104または傾斜部105の上方に配置されていることであってもよい。チューブ31は、垂下部311にてチューブ32に巻きついている。つまり、チューブ31は、チューブ32に絡まっている。これにより、垂下部311の外周面は、チューブ32の外周面に接触している。このとき、垂下部311の外周面は、チューブ32の垂下部321よりも上方の外周面に接触している。
【0057】
ケース101の内部にて発生する水漏れの多くは、チューブの内部を流通する水がチューブのそれぞれの接続部分から漏れることに起因している。そのため、浄水器100では、チューブの配置に基づいて漏水センサ116が配置されている。複数のチューブのうち、それぞれ垂下部311,321,331を有するチューブ31,32,33は、ケース101の内部において、浄水器100の前面側に配置されている。つまり、底部103の凹部104は、浄水器100の前面側に配置されている。
【0058】
チューブ31とプレフィルタ111との接続部分またはチューブ31と活性炭フィルタ112との接続部分から水が漏れる場合には、水は下方に向かってチューブ31の外表面を伝っていく。チューブ31の外表面を下方に向かって伝う水が垂下部311まで到達した後は、チューブ31の外表面からチューブ32の外表面に水が移動する。つまり、チューブ31の外表面を下方に向かって伝う水が垂下部311まで到達する場合でも、垂下部311から下方の底部103には水が滴下しない。チューブ32の外表面を下方に向かって伝う水が垂下部321まで到達した後は、垂下部321から下方に滴下する。チューブ33の外表面を下方に向かって水が垂下部331まで到達した後は、垂下部331から下方に滴下する。
【0059】
一方、図4に示すように、浄水器100の後面側には、それぞれ電子部品である、オゾン発生ユニット120と、マイコン150(図1参照)を構成するメイン基板5と、電磁弁161と電磁弁162と電磁弁163と電磁弁164とが配置されている。このように、浄水器100では、チューブ31、チューブ32、またはチューブ33の内部を流れる水がチューブ31、チューブ32、またはチューブ33を伝って下方に滴下するときでも、浄水器100の後面側に配置された部品に水が掛かることが防止されている。
【0060】
なお、漏水センサ116は、フロートを利用したものであってもよい。このフロートが底部103のうちの所定の位置に配置されることにより、ケース101の内部にて水漏れが発生した場合にフロートの位置に水が滴下するときには、フロートが浮き上がる。このフロートが浮くことによって図示しないスイッチがONからOFF(またはOFFからON)に切り換えられることにより、マイコン150が水漏れを検知する。
【0061】
以上のように、浄水器100は、水が流通する流路130を形成するチューブと、ケース101と、漏水センサ116とを有している。ケース101は、複数のチューブのうち、少なくともチューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34の全部を収容している。また、ケース101は、底部103を有している。漏水センサ116は、底部103のうちの水が集められる所定の位置に配置されている。
【0062】
浄水器100によれば、漏水センサ116は、ケース101の底部103のうち、水が集められる所定の位置に配置されている。すなわち、ケース101の内部において水漏れが発生するときには、漏水センサ116が配置されている位置に水が集められる。そのため、ケース101の内部に所定の水量まで水が溜まらない場合でも、漏水センサ116によって水漏れを検知することができる。これにより、浄水器100は、比較的短時間で確実に水漏れを検知することができる。
【0063】
浄水器100では、底部103は、周りの部分よりも下方に配置される凹部104と、凹部104に向かって下方に傾斜する傾斜部105とを有している。また、漏水センサ116は、底部103の凹部104に配置されている。
【0064】
この構成によれば、底部103は、ケース101の内部に滴下した水を所定の位置に導くことができるような形状を有している。また、漏水センサ116は、水が導かれる位置に配置されている。このように、ケース101の内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、滴下した水は漏水センサ116が配置された位置に導かれる。そのため、この構成によれば、ケース101の内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、漏水センサ116によって水漏れを検知することができる。これにより、浄水器100は、比較的短時間で確実に水漏れを検知することができる。
【0065】
また、底部103が水を導くことが可能な形状を有していることにより、ケース101の内部に別途タンクが配置される必要がない。そのため、浄水器100に掛かるコストを削減することができる。
【0066】
浄水器100は、複数のチューブとして、チューブ31とチューブ32とチューブ33とチューブ34とチューブ41とを少なくとも備えている。浄水器100では、複数のチューブのうち、チューブ31は、下方に撓むようにケース101の内部に配置された垂下部311を有している。チューブ32は垂下部321を有している。チューブ33は垂下部331を有している。また、垂下部331は、凹部104の上方に配置されている。垂下部321は、傾斜部105の上方に配置されている。
【0067】
この構成によれば、チューブ32を伝って下方に滴下する水は、垂下部321から傾斜部105を伝って凹部104に流れる。一方、チューブ31を伝って下方に滴下する水は、垂下部311から凹部104に滴下する。このように、ケース101の内部にチューブ31の垂下部311またはチューブ32の垂下部321から滴下する水を、漏水センサ116が配置されている位置に効率よく且つ確実に導くことができる。そのため、この構成によれば、ケース101の内部に滴下する水の量が極少量である場合でも、漏水センサ116によって水漏れを効率よく且つ確実に検知することができる。
【0068】
浄水器100では、チューブ32の外周面には、チューブ31の垂下部311の外周面が接触している。チューブ32の垂下部321は、傾斜部105の上方に配置されている。
【0069】
この構成によれば、チューブ31から水が漏れる場合には、チューブ31の外周面を水が下方に向かって伝っていく。チューブ31の垂下部311まで水が到達した後は、垂下部311の外周面からチューブ32の外周面に水が移動する。さらに、水がチューブ32の垂下部321まで到達した後は、垂下部321から下方に水が滴下する。このように、凹部104の上方に垂下部331が配置されているチューブ33、または、傾斜部105の上方に垂下部321が配置されているチューブ321を除いた他のチューブであるチューブ31から漏れた水を、漏水センサ116が配置されている位置に効率よく且つ確実に導くことができる。
【0070】
浄水器100では、底部103は、上側底部103aと下側底部103bとを有している。上側底部103aは、底部103の上側に配置された部分である。一方、下側底部103bは、底部103の下側に配置された部分である。さらに、漏水センサ116は、上側底部103aと下側底部103bとを互いに固定するネジ部材61とネジ部材62を有している。
【0071】
この構成によれば、上側底部103aと下側底部103bとを互いに固定するネジ部材61とネジ部材62とによって漏水センサ116の一部が構成されている。つまり、ネジ部材61とネジ部材62とを利用することによってケース101の内部での水漏れを検知することができる。そのため、この構成によれば、ケース101の内部での水漏れを検知するために、浄水器100に係るパーツを新たに設置することを省略することができる。そのため、浄水器100の構成の複雑化を抑制することができる。また、浄水器100に係るコストを削減することができる。
【0072】
以上のように、本実施形態によれば、比較的短時間で確実に水漏れを検知することが可能な浄水器100を提供することができる。
【0073】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものである。
【符号の説明】
【0074】
31:チューブ、32:チューブ、33:チューブ、34:チューブ、41:チューブ、61:ネジ部材、62:ネジ部材、100:浄水器、101:ケース、103:底部、103a:上側底部、103b:下側底部、104:凹部、105:傾斜部、116:漏水センサ、130:流路、311:垂下部、321:垂下部、331:垂下部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流通する流路を形成するチューブと、
前記チューブの全部または一部を収容し、底部を有するケースと、
前記底部のうちの水が集められる所定の位置に配置された漏水センサと、
を備えた浄水器。
【請求項2】
前記底部は、周りの部分よりも下方に配置される凹部と、前記凹部に向かって下方に傾斜する傾斜部と、を有し、
前記漏水センサは、前記底部の前記凹部に配置されている、
請求項1に記載の浄水器。
【請求項3】
下方に撓むように前記ケースの内部に配置された垂下部をそれぞれ有する複数の前記チューブを備え、
前記複数のチューブのうちの少なくとも一つの前記チューブの前記垂下部は、前記凹部または前記傾斜部の上方に配置されている、
請求項2に記載の浄水器。
【請求項4】
前記凹部または前記傾斜部の上方に前記垂下部が配置されている前記チューブの外周面には、前記凹部または前記傾斜部の上方に前記垂下部が配置されている前記チューブを除いた他の前記チューブの前記垂下部の外周面が接触している、
請求項3に記載の浄水器。
【請求項5】
前記底部は、前記底部のうち、上側に配置された上側底部と、下側に配置された下側底部とを有し、
前記漏水センサは、前記上側底部と前記下側底部とを互いに固定する複数のネジ部材を有している、
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の浄水器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−96172(P2012−96172A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246097(P2010−246097)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】