説明

浮腫検出

組織浮腫を被験者から検出する方法である。この方法では、第1及び第2の人体セグメントの測定インピーダンスを求める。次に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標を各人体セグメントに関して計算し、これらの指標を使用して指標比を第1及び第2の人体セグメントに関する指標に基づいて求める。今度は、指標比を使用して、組織浮腫の有無、または程度を、例えば指標比を基準と、または前に求めた指標比と比較することにより判断することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織浮腫を検出する方法及び装置に関し、特に、インピーダンス測定を使用して組織浮腫を検出する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書において先行技術を参照するが、それは、その先行技術が共通の一般的知識の部分である、あるいは共通の一般的知識のいずれかの形である、ことを示唆するものでもない。
【0003】
リンパ浮腫は、通常のリンパ負荷の状態で、リンパ輸送能力や組織のタンパク質分解能力が低下した結果、組織中に過剰タンパク質及び浮腫が現れる症状である。後天性リンパ浮腫または続発性リンパ浮腫は、リンパ管の損傷または閉塞によって生じる。最も普通の誘発原因は外科手術及び/又は放射線治療である。しかしながら、リンパ浮腫の発症は予測することができず、かつ浮腫の発症の数日内で、または浮腫発症後の長い年月の間のいつの時点でも進行する恐れがある。
【0004】
特許文献1(国際公開番号WO 00/79255)は、生体電気インピーダンス(bioelectrical impedance)を、同じ被験者の2つの異なる解剖学的領域で単一の低い周波数の交流電流で測定することにより浮腫を検出する方法について記載している。2つの測定値を解析して、組織浮腫が発症する兆候を、これらの測定値を正常な集団から収集したデータと比較することにより得る。
【特許文献1】国際公開番号WO 00/79255
【非特許文献1】(Cornish, B.H.; Thomas B.J.; Angiology(血管学) Vol 53, No 1, pp 41−47 2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
生体電気インピーダンス測定値を解析する他の公知の方法では、測定信号の位相値及び振幅値を求める。振幅の測定値はそのまま使用することができるが、位相の測定値は更に複雑であるので、必要となる設備のためにコストが高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の形態では、本発明は組織浮腫を被験者から検出する方法を提供し、この方法では、処理システムにおいて、
a)第1及び第2の人体セグメントの測定インピーダンスを求め、
b)各人体セグメントに関して、測定インピーダンスを使用して、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標を求め、
c)指標比を第1及び第2の人体セグメントに関する指標に基づいて求め、そして
d)組織浮腫の有無、または程度を指標比に基づいて判断する。
【0007】
通常、本方法では、処理システムにおいて、
a)指標比を少なくとも一つの基準と比較し、そして
b)組織浮腫の有無、または程度を比較の結果に基づいて判断する。
【0008】
通常、前記基準は、
a)所定の閾値、
b)正常な集団から求めた許容誤差、及び
c)所定の範囲、
の内の少なくとも一つを含む。
【0009】
通常、前記基準は被験者に関して事前に求めた指標比を含む。
通常、事前に求めた指標比は、被験者が、
a)外科手術、及び
b)治療
の内の少なくとも一つを受ける前に求める。
【0010】
通常、第1及び第2の人体セグメントは異なるタイプの人体セグメントである。
通常、第1及び第2の人体セグメントは四肢である。
通常、第1の人体セグメントは足であり、かつ第2の人体セグメントは腕である。
【0011】
通常、本方法では、処理システムにおいて、
a)各人体セグメントに関する複数の測定インピーダンスを求め、各測定インピーダンスは該当する測定周波数で測定され、そして
b)指標比を複数の測定インピーダンスに基づいて求める。
【0012】
通常、本方法では、処理システムにおいて、
a)パラメータR及びRの値を測定インピーダンス値に基づいて求め、そして
b)Rをゼロ周波数での抵抗とし、そしてRを無限周波数での抵抗とする場合に、指標(I)を次の方程式を使用して計算する。
【0013】
【数1】

【0014】
通常、本方法では、処理システムにおいて、Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、パラメータ値を次の方程式を使用して求める。
【0015】
【数2】

【0016】
通常、本方法では、処理システムにおいて、
a)各人体セグメントのインピーダンスを4つの離散周波数で求め、そして
b)パラメータ群の値を、方程式を4つの連立方程式を使用して解くことにより求める。
【0017】
通常、本方法では、処理システムにおいて、パラメータ値を、
a)インピーダンス軌跡を、測定インピーダンス値を使用して求め、そして
b)インピーダンス軌跡を使用してパラメータ値を求める。
【0018】
通常、本方法では、コンピュータシステムにおいて、
a)パラメータ値、
b)細胞内液に対する細胞外液の比、及び
c)被験者における組織浮腫の有無、または程度の内の少なくとも一つを表わす指標、
の内の少なくとも一つを表わす指標を表示する。
【0019】
第2の一般的形態では、本発明は組織浮腫を被験者から検出する装置を提供し、本装置は処理システムを含み、処理システムは、
a)第1及び第2の人体セグメントの測定インピーダンスを求め、
b)各人体セグメントに関して、かつ測定インピーダンスを使用して、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標を求め、
c)指標比を第1及び第2の人体セグメントに関する指標に基づいて求め、そして
d)組織浮腫の有無、または程度を指標比に基づいて判断する。
【0020】
通常、本装置は、
a)複数の周波数の各周波数の交流電流を生成する電流源と、
b)生成される交流電流を被験者に流す少なくとも2つの供給電極と、
c)被験者に掛かる電圧を検出する少なくとも2つの測定電極と、そして
d)測定電極に接続されて電圧を求めるセンサと、を備え、センサは処理システムに接続され、これによって処理システムは測定インピーダンスを求めることができる。
【0021】
通常、本装置は、本発明の第1の一般的形態を満たす方法を実行するように適合させる。
第3の一般的形態では、本発明は人体領域に現われる組織浮腫を診断する方法を提供し、本方法では、
a)交流電流信号を4つ以上の離散周波数で印加し、
b)インピーダンスを各周波数で測定し、そして
c)Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、Rをゼロ周波数での抵抗、Rを無限周波数での抵抗、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、次式により表わされる方程式
【0022】
【数3】

【0023】
を解いてパラメータR、R、τ、及びαを取得し、そして
d)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上を使用して人体領域に現われる組織浮腫を診断する。
【0024】
通常、本方法では、組織浮腫を、組織浮腫の有無、または程度を判断することにより診断する。
通常、本方法では、
a)インピーダンスを4つの離散周波数で求め、そして
b)パラメータ群の値を、方程式を4つの連立方程式を使用して解くことにより求める。
【0025】
通常、本方法では、
a)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上のパラメータの値を、第1及び第2の人体領域に関して求め、
b)第1の人体領域から得られる結果を、第2の人体領域から得られる結果と比較して組織浮腫の発症を示す指標を取得する。
【0026】
通常、本方法では、
a)パラメータR及びRを各人体領域に関して比較し、そして
b)差が正常な集団から求めた許容誤差を超える場合に組織浮腫を表示する。
【0027】
通常、本方法では、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【0028】
【数4】

【0029】
から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)組織浮腫を、求めた指標に従って診断する。
【0030】
通常、本方法では、組織浮腫を、指標を目盛上の或る位置として表示することにより表示する。
通常、本方法は、本発明の第1の一般的形態による方法である。
【0031】
第4の一般的形態では、本発明は組織浮腫を検出する装置を提供し、本装置は、
a)交流電流を解剖学的領域に或る周波数範囲の4つ以上の離散周波数で流す電流源と、b)前記領域の生体電気インピーダンスをモニタリングするモニターと、そして
c)処理システムと、を備え、前記システムは、
i)生体電気インピーダンスを、Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、Rをゼロ周波数での抵抗、Rを無限周波数での抵抗、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、次式により表わされる方程式
【0032】
【数5】

【0033】
を解いてパラメータR、R、τ、及びαを取得することにより解析し、
ii)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上を使用して組織浮腫を表わす指標を提示する、装置。
【0034】
通常、電流源は、電源に電気的に接続される近位電極及び遠位電極を含む。
通常、モニターは、解剖学的領域に、または解剖学的領域の近傍に位置する第1接続線及び第2接続線を含む。
【0035】
通常、モニターは、生体インピーダンスを表わす信号を表示する表示手段を含む。
通常、処理システムを適切にプログラムして、処理システムにデータの解析を行なわせて組織浮腫の発症を示す指標を提示させる。
【0036】
通常、本装置は、本発明の第3の一般的形態による方法を実行するように適合させる。
第5の一般的形態では、本発明は人体領域に現われる組織浮腫を診断する方法を提供し
、本方法では、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【0037】
【数6】

【0038】
から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)指標R/Rが経時的に変化する場合に、組織浮腫の発症を示す指標を表示する。
【0039】
通常、本方法では、
a)R/Rの測定を、浮腫を起こし得るイベントの前に行ない、そして
b)前記イベントの後に行なわれるR/Rの測定との比較を行なう。
【0040】
通常、本方法は、本発明の第3の一般的形態による方法である。
第5の一般的形態では、本発明は人体領域に現われる組織浮腫を診断する装置を提供し、本装置は処理システムを含み、処理システムは、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【0041】
【数7】

【0042】
から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)指標R/Rが経時的に変化する場合に、組織浮腫の発症を示す指標を表示する。
【0043】
通常、本装置は、本発明の第5の一般的形態による方法を実行するように適合させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の例について添付の図を参照しながら説明する。図1は、生体組織の電気的特性を効果的にモデル化する等価回路の例である。等価回路は2つの分岐を有し、これらの分岐は細胞外液及び細胞内液を流れる電流を表わす。生体インピーダンスの細胞外液成分はRで表わされ、そして細胞内液成分はRで表わされる。細胞内液を移行する経路の細胞膜の容量はCで表わされる。
【0045】
交流電流(AC)に対するインピーダンスの細胞外液成分及び細胞内液成分の相対絶対値は周波数によって変わる。ゼロ周波数では、キャパシタは完全な絶縁体として作用するので、全ての電流が細胞外液を流れ、従ってゼロ周波数での抵抗RはRに等しくなる。無限周波数では、キャパシタは完全な導体として作用するので、電流は並列合成抵抗を流れる。無限周波数での抵抗はR=R/(R+R)で与えられる。従って、R及びRの測定値がそのまま、細胞外水(extracellular water:ECW)及び細胞内水(intracellular water:ICW)の推定に必要なR及びRの値となり、これらの細胞外水及び細胞内水は、影響を受ける人体領域と影響を受けない人体領域との比較による浮腫の特定を可能にする。しかしながら、公
知のように、皮膚−電極間インピーダンスの実用上の制約によって、DC電流または非常に高い周波数のAC電流を流すことができないので、一般的に使用することができる周波数の値が理想測定周波数の近傍の周波数にのみ限定される。
【0046】
ω=2π周波数とする場合の図1の等価回路の角周波数ωにおけるインピーダンスは次式により与えられる。
【0047】
【数8】

【0048】
上の式においては、次の等式で表わされる関係がある。
=R/(R+R
=R、そして
τは容量回路の時定数である。
【0049】
これらの値は、Cole−Coleプロットとして知られるプロットを外挿することにより推定することができ、このプロットは合算するとインピーダンスZになる抵抗R及びリアクタンスXのベクトル和をプロットしたものである。リアクタンス対抵抗の関係を表わすCole−Coleプロットを図2に示すが、この場合、インピーダンスベクトルZは所定周波数でのベクトルである。
【0050】
細胞膜が不完全キャパシタであり、かつ電流経路の細胞タイプに大きな変化が在るので、生体試料が等価回路から外れてくることも知られている。これにより、生体試料のCole−Coleプロットが図2に示す等価回路プロットよりも中心に向かって押しつぶされた形状のプロットになる。従って、生体試料のインピーダンスに関する更に正確な表現式は次式により与えられる。
【0051】
【数9】

【0052】
上の式において、αは0と1との間の値であり、そして理想モデルからの実際の系の変位を表わす指標と考えることができる。
別の重要な値は図2の軌跡のピークでのインピーダンスZである。このピークはω=1/τのときに生じ、2πfに等しい特性角周波数ωと呼ばれる。
【0053】
上に説明したように、R及びRの所望の値を求める先行技術によるアプローチは、インピーダンス測定を複数の周波数で行ない、そしてCole−Coleプロットの一部分を構成するために用いられている。プロットを外挿することによりR,R,及びZを求めることができる。この手順は膨大な量の処理時間を要するので、生体インピーダンスをリアルタイムでモニタリングする際に問題となるに。更に、測定においては、位相値及び振幅値の両方を求める必要があり、非常に高性能の設備、従って非常に高価な設備が必要となる。
【0054】
等式(2)は4つの未知数R,R,τ,及びαを含む。これらの未知パラメータ値
は、測定を4つの離散周波数で行ない、そして4つの連立方程式を解くことにより求めることができる。行列反転または反復計算のような確立された方法のいずれかを使用して未知の値を含む方程式を解くことができる。
【0055】
このプロセスにより求まる値を従来の曲線フィッティング法によって得られる値と比較することが好ましく、この曲線フィッティング法では、測定インピーダンスを使用して図2に示すものと同様の軌跡をプロットするので、R及びRの値を求めることができる。
【0056】
更に高い精度は、処理オーバーヘッドが高くなるが、測定を更に多くの周波数で行なうことにより得られる。更に、正確な結果は、複数の周波数(5KHz〜1000KHz)を用いる生体電気インピーダンス解析に普通に使用される周波数範囲をカバーする離散周波数を選択することにより効果的に得ることができる。
【0057】
一旦、R,R,及びZの値が求まると、これらの値を種々の方法で使用して人体領域の浮腫を検出し、そして定量化することができる。この定量化のための一のアプローチでは、第1の人体領域で得られる測定値を第2の人体領域で得られる測定値と比較する。
【0058】
第2の測定は、ペアを構成し、かつ影響を受けない一つの人体領域で行なうことができる。例えば、第1の測定を左足の或る位置に対して行ない、そして第2の測定を同じ患者の右足であって、組織浮腫の影響を受けない右足の同じ位置に対して行なうことができる。本明細書を一読する当業者には、ペアを構成する他の解剖学的領域を、上述の方法を実施する場合に同じようにして使用することができることが明らかであろう。例えば、胸部の中のペアを構成する領域を評価することができる。
【0059】
しかしながら、第2の測定を異なる人体領域に対して行なうことができる。例えば、第1の測定値を或る足に関して取得し、そして第2の測定値を或る腕に関して取得することができる。これらの測定値の解析では、幾つかの異なる考察を行なう必要がある。ここでも同じように、本明細書を一読する当業者には、足及び胸壁のような非常に広い範囲の異なる解剖学的構造を使用してこれらの測定を行なうことができることが明らかであろう。この形態の方法は、ペアを構成する2つの解剖学的部位が共に組織浮腫の影響を受ける場合に特に使用される。影響を受ける2つのこのような部位で取得される測定値の比較は、事実から乖離した結論をもたらし、かつ組織浮腫に関する信頼性の高い指標を生成するようには作用しない。
【0060】
更に別の手段として、本方法を、被験者の同じ解剖学的領域に対する2つ以上の測定に適用することができ、この場合、これらの測定値は別々の時間に取得される。例えば、一連の測定値は、リンパ浮腫を副作用として誘発する危険を承知で行なわれる外科手術の前に、そして外科手術の後に、1本の手足に関して取得することができる。いずれかの2つ以上の測定値を解析することにより、リンパ浮腫が進行する初期段階であることを通知することができるので、予後を初期の、かつ積極的な治療介入によって著しく改善することができるという顕著な利点が得られる。この方法を使用して浮腫の進行を、影響を受ける或る部位に関して取得される複数の測定値を比較することによりモニタリングすることもできる。
【0061】
いずれか2つの異なる領域を比較する場合、補正係数が必要になることが分かっている。補正係数は、臨床上の影響が及ぶことのない被験者の集団を調査することにより設定することができる。
【0062】
別のアプローチは、或る刊行物(Cornish, B.H.; Thomas B.J.; Angiology(血管学) Vol 53, No 1, pp 41−47 2002)に記載される方法の変更版である。このアプローチでは、測定されたパラメータを使用して、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標Ri/Reを計算する。細胞外液抵抗Reは次式により求まり、
Re=R
そして細胞内液抵抗Riは次式のように表わされる。
【0063】
【数10】

【0064】
従って、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標Iは次の等式により与えられる。
【0065】
【数11】

【0066】
このアプローチは、浮腫を経時的にモニタリングする用途に特に適用することができる、というのは、時間に対する指標のプロットは浮腫の発症及び浮腫が進行する速さを示すことができるからである。
【0067】
図3を参照すると、インピーダンスを測定する装置の模式図が示され、この装置は、発振器20と、分割器21と、そしてフィルタ22と、を含み、これらの要素は直列接続され、電源(図示せず)に接続されると多数の離散周波数の交流電流を生成する。交流電流はケーブル23を流れて電極24に流れ込み、更に中間の組織(図示せず)を通って電極25に達し、この電極25は基準電位26にケーブル27を通して接続される。
【0068】
モニタリング電極28,29は生体インピーダンス測定器30にケーブル31,32を通して接続される。生体インピーダンス測定器30からの信号はアナログ/デジタル変換器33に送信され、この変換器はデータ保存ユニット34に信号接続され、このユニットは生体インピーダンスのデジタル測定値を保存する。
【0069】
印加信号は定電流源によって適切に生成されるので、生成電流が32Vを最大電圧とし、かつ10kHz、100μAを最大電流とするオーストラリア規格を超えないことが保証される。電流制限値は1000kHz、1mAの上側閾値にまで増やすことができる。安全規格を維持するための機構が設けられる場合には、印加信号は定電流源によってではなく、定電圧源によって生成することができる。
【0070】
生体電気インピーダンスの第1測定値は、被験者の第1の解剖学的領域から採取され、そしてデータ保存ユニット34に保存される。
プロセッサ35は、等式(2)を解くことにより値R,R,τ,及びαを計算し、そして結果を第2データ保存ユニット36に転送する。これらの値もディスプレイ37に表示することができる。
【0071】
プロセッサはまた、R/R指標のような浮腫の指標を計算し、そしてこの指標を可
動インジケータ付きの目盛に表示することができる。簡単な一連の照明を設けることもでき、これらの照明は点灯すると、「unaffected(影響を受けない)」、「影響を受ける恐れがある(possibly affected)」、及び「影響を受ける(affected)」のいずれか一つを表示する。このディスプレイは他のいずれかの適切な形態の表示器とすることができる。
【0072】
浮腫を判断する多くの方法においては、図4に示すような2チャネル生体インピーダンス測定器を使用すると更に便利である。この場合、電流を、例えば一方の腕47の上の電極24と25との間に流し、そして他方の腕48の上の電極24Aと25Aとの間に流す。この操作は、例えば多重化を使用することにより連続的に行なう、または同時に行なうことができる。第1の腕47の上のモニタリング電極28,29は生体電気インピーダンスを測定し、モニタリング電極28A,29Aは他方の腕48の上の生体電気インピーダンスを測定する。測定器30は、モニタリング電極28,29;28A,29Aから供給される信号を同時にモニタリングする2つのチャネルを有する。これらの信号はアナログ/デジタル変換器33を通過し、次にプロセッサ35によって解析される。結果はメモリ36に保存され、そしてディスプレイ37に表示される。
【0073】
従って、プロセッサ35が動作してインピーダンス信号を解析し、そして解析結果を使用して組織浮腫の有無、または程度の判断を可能にする。この操作は通常、メモリに実装されるアプリケーションソフトウェアに従って行なわれる。このことから、プロセッサ35、メモリ36、及びディスプレイ37が通常、コンピュータシステム、コンピュータサーバ、デスクトップコンピュータ、ラップトップ、または特殊ハードウェアなどのような処理システムにより構成することができることが分かるであろう。
【0074】
次に、インピーダンス信号をモニタリングし、そして組織浮腫を判断するプロセスの例について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
詳細には、ステップ600において、第1及び第2の人体セグメントのインピーダンスを図4に示す装置を使用して測定する。この例では、これらの人体セグメントは異なる人体セグメントであり、かつ例えば腕及び足を含むことができる。
【0075】
ステップ610では、プロセッサ35は各人体セグメントに関するR及びRの値を求める。この操作は、多数の機構を使用して行なうことができる。例えば、4つの未知のパラメータR,R,τ,αが与えられるとすると、等式(2)を使用して4つの連立方程式を導き出すことができ、次にこれらの方程式を適切な数学的手法を使用して解くことができる。別の方法として、測定インピーダンス値をプロットして、図2に示す弧と同様の弧を描くことができ、次に描いた弧によって更に、R及びRの値を求めることができる。別の方法を使用することもできる。
【0076】
ステップ620では、R及びRの値を使用して各人体セグメントに関する指標Iを求める。この指標は細胞内液に対する細胞外液の比に基づくので、等式(3)を使用して求められる。
【0077】
ステップ630では、第2の人体セグメント指標Iに対する第1の人体セグメント指標Iの比に基づく指標比IRを計算し、この指標比を使用して浮腫の有無、または程度を判断する。
【0078】
この操作は可能である、というのは、健康な被験者の場合、異なる人体セグメントの間でも細胞内液量及び細胞外液量がほぼ同じ程度であるからである。従って、例えば被験者が浮腫以外の症状になっていて、この症状によって細胞内液に対する細胞外液の比が全体的に変化している場合、この変化は全ての人体セグメントにほぼ一様に影響を及ぼす。そ
の結果、どの人体セグメントにも組織浮腫が生じていないと仮定すると、指標比IRは所定の個体に関して比較的一定であると考えられる。
【0079】
各人体セグメントの特性が一様である場合、指標比は該当する人体領域において1の値を示す必要があることが分かるであろう。しかしながら通常、組織の小さな変化が異なる人体セグメントに生じ、この変化が2つの人体セグメントに関する測定の内の一方の測定に取り込まれてしまう。
【0080】
まず、ステップ640に示すように、指標比IRを所定の範囲と比較することができる。この場合、この範囲を使用して組織浮腫に関係のない複数の人体セグメントの間の変化を見分ける。従って、この範囲は通常、多数の異なる被験者の異なる人体部分の間の指標比IRの差を考慮に入れて設定されることが分かるであろう。従って、この範囲は多数の健康な被験者から収集されるデータに基づいて設定することができる。
【0081】
いずれにしても、指標比IRが所定の範囲を外れると、この事実をプロセッサ35が利用して組織浮腫が複数の人体セグメントの内の一つに生じていることをステップ650で判断する。
【0082】
更に、指標比IRの値に対する判断は、組織浮腫の程度の判断に利用することができる。従って、例えば多数の値範囲を定義することができ、この場合、各範囲は浮腫の一つの異なる程度に対応する。この例では、プロセッサ35は、指標比IRがどの範囲に収まるかについて判断し、そしてこの判断結果を使用して組織浮腫が生じている程度を表わす指標を生成する。
【0083】
指標比IRの値は、選択された人体セグメントによっても変わることになるので、一般的に、異なる範囲が比較のために、考察対象の人体セグメントによって変わる形で選択される。
【0084】
指標比IRを使用して、どの人体セグメントに浮腫が生じているかを表示することができ、そして浮腫が生じているかどうかのこの判断は、指標比IRが1よりも大きいか、小さいかに基づいて行なうことができることも分かるであろう。
【0085】
指標比IRは、被験者の年齢、体重、性別、及び身長、のような多数の要素によっても変わり、そしてこの場合も同じように、該当する範囲をこれらの要素に基づいて選択することができる。しかしながら、このような要素を判断する必要を無くすために、長期解析の別のプロセスを実行することができる。
【0086】
この場合、ステップ660では、プロセッサ35は指標比IRを、同じ被験者の同じ人体セグメントに関して測定して既に求めている指標比IRprevと比較することができる。この状態では、既に求めている指標比IRprevは浮腫の発症の前に求めることが好ましいが、必須ではない。
【0087】
いずれにせよ、同じ被験者の同じ人体セグメントに関する前の測定値は組織特性の固有の変化を自動的に反映し、今度はこの変化によって、組織浮腫が生じていない場合でも、異なる値が細胞内液に対する細胞外液の比に関して生じる。
【0088】
この場合、プロセッサ35は、現在の指標比IR値が前の指標比IRprevと異なるかどうかについて判断する。値に変化が生じる場合、値の変化の方向は、組織浮腫の程度が重くなっている、または軽くなっているかを示すことができ、この場合の変化の大きさを使用して変化の程度をステップ650で表示する。
【0089】
一般的に、ステップ650では、ディスプレイ37を使用して次の項目の内の一つ以上の項目を表示する。
・一つ以上の指標比;
・一つ以上の指標;及び
・組織浮腫の有無、または程度。
【0090】
従って、このことから、上述の方法が浮腫の発症を判断する2つの異なる方法となることが分かるであろう。これは、指標比IRを、既に求めている指標比IRprevと比較する長期解析を行なうことにより実現する。別の方法として、指標比IRは一つ以上の不変の指標比範囲と比較することができる。
【0091】
実際、2つのアプローチの組み合わせが通常、使用される。従って、例えば患者に対して処置を施すことがまず許可されると、不変の指標比範囲との比較を行なって患者が浮腫を発症している可能性がないことを確認することができる。
【0092】
次に、測定指標比IRを使用して指標比IRprevの基準値を構成することができるので、後続の測定値を指標比IRprevの基準値と比較することができる。
上述の指標比IRを使用することにより、組織浮腫の有無、または程度を判断する場合に、異なる人体部分の組織特性の変化を考慮に入れることができ、従って、両側性の浮腫の発症を検出することができる。これは、類似する人体セグメントを比較するこれまでの方法とは異なる。この場合、足のような一つの肢のインピーダンス測定値を他の対応する肢の測定値と比較する場合、浮腫が両方の肢に生じていると、インピーダンス測定値は同様の値となるので、浮腫が生じていることを示さないことになる。
【0093】
上述のように、R及びRの値は多数の方法の内のいずれか一つの方法により求めることができる。しかしながら、一般的に、これらの値をリアルタイムで求めて浮腫判断プロセスを大幅に強化することができることが好ましい。特に、これによって、患者に対する測定が可能になり、プロセッサ35は組織浮腫の程度を表わす指標をリアルタイムで生成する。
【0094】
議論を浮腫及びリンパ浮腫の両方に対して行なってきたので、当業者である読者には、上述した方法及び装置はどのような形の組織浮腫にも利用することができることが明らかである。しかしながら、本方法及び本装置は主としてリンパ浮腫に、この浮腫が臨床上の関連性が高いことから適用することもできる。しかしながら、この適用形態は特定の状況においては、または時間の経過とともに変わり得る。本方法は、解剖学的領域の測定値をペアではない別の領域と比較するために使用することもできる。例えば、人体中央の局所浮腫(例えば、腹水症)に関する測定値は、肢のような非浮腫構造を基準として考察することができる。
【0095】
本明細書全体を通じて、本発明の好適な実施形態について、本発明をいずれか一つの実施形態または特定の一連の特徴に制限することなく説明することを目的としてきた。種々の変更及び変形を、記載される例示としての実施形態に本発明から逸脱しない範囲において加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】生体組織の理論的等価回路の例の模式図。
【図2】Cole−Coleプロットとして知られるインピーダンス軌跡の例。
【図3】シングルチャネル生体インピーダンス測定装置の例の模式図。
【図4】デュアルチャネル生体インピーダンス測定装置の例の模式図。
【図5】組織浮腫を判断するプロセスの例を示すフローチャート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織浮腫を被験者から検出する方法であって、
a)第1及び第2の人体セグメントの測定インピーダンスを求め、
b)各人体セグメントに関して、かつ測定インピーダンスを使用して、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標を求め、
c)指標比を第1及び第2の人体セグメントに関する指標に基づいて求め、
d)組織浮腫の有無、または程度を指標比に基づいて判断する、
処理システムからなる方法。
【請求項2】
a)指標比を少なくとも一つの基準と比較し、
b)同比較の結果に基づいて、組織浮腫の有無、または程度を判断する、
処理システムを含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
基準は、
a)所定の閾値、
b)正常な集団から求めた許容誤差、及び
c)所定の範囲、
の内の少なくとも一つを含む請求項2記載の方法。
【請求項4】
基準は、被験者に関して事前に求めた指標比を含む請求項2記載の方法。
【請求項5】
前記事前に求めた指標比は、被験者が、
a)外科手術、及び
b)治療
の内の少なくとも一つを受ける前に求める請求項4記載の方法。
【請求項6】
第1及び第2の人体セグメントは異なるタイプの人体セグメントである請求項1乃至5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
第1及び第2の人体セグメントは四肢である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1の人体セグメントは足であり、かつ第2の人体セグメントは腕である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法では、処理システムにおいて、
a)各人体セグメントに関する複数の測定インピーダンスを求め、各測定インピーダンスは該当する測定周波数で測定され、そして
b)指標比を複数の測定インピーダンスに基づいて求める、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法では、処理システムにおいて、
a)パラメータR及びRの値を測定インピーダンス値に基づいて求め、そして
b)Rをゼロ周波数での抵抗とし、そしてRを無限周波数での抵抗とする場合に、指標(I)を次の方程式を使用して計算する、請求項9記載の方法。
【数1】

【請求項11】
前記方法では、処理システムにおいて、Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、パラメータ値を次の方程式を使用して求める請求項10記載の方法。
【数2】

【請求項12】
前記方法では、処理システムにおいて、
a)各人体セグメントのインピーダンスを4つの離散周波数で求め、そして
b)パラメータ群の値を、方程式を4つの連立方程式を使用して解くことにより求める請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記方法では、処理システムにおいて、パラメータ値を、
a)インピーダンス軌跡を、測定インピーダンス値を使用して求め、そして
b)インピーダンス軌跡を使用してパラメータ値を求める請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記方法では、コンピュータシステムにおいて、
a)パラメータ値、
b)細胞内液に対する細胞外液の比、及び
c)被験者における組織浮腫の有無、または程度の内の少なくとも一つを表わす指標、
の内の少なくとも一つを表わす指標を表示する請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
組織浮腫を被験者から検出する装置であって、
a)第1及び第2の人体セグメントの測定インピーダンスを求め、
b)各人体セグメントに関して、かつ測定インピーダンスを使用して、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標を求め、
c)指標比を第1及び第2の人体セグメントに関する指標に基づいて求め、
d)組織浮腫の有無、または程度を指標比に基づいて判断する、
処理システムを含む装置。
【請求項16】
前記装置は、
a)複数の周波数の各周波数の交流電流を生成する電流源と、
b)生成される交流電流を被験者に流す少なくとも2つの供給電極と、
c)被験者に掛かる電圧を検出する少なくとも2つの測定電極と、そして
d)測定電極に接続されて電圧を求めるセンサと、を備え、同センサは処理システムに接続され、これによって処理システムは測定インピーダンスを求めることができる請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記装置は、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法を実施するように適合させる請求項15または請求項16記載の装置。
【請求項18】
人体領域に現われる組織浮腫を診断する方法であって、前記方法では、
a)交流電流信号を4つ以上の離散周波数で印加し、
b)インピーダンスを各周波数で測定し、そして
c)Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、Rをゼロ周波数での抵抗、Rを無限周波数での抵抗、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、次式により表わされる方程式
【数3】

を解いてパラメータR、R、τ、及びαを取得し、そして
d)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上を使用して人体領域に現われる組織浮腫を診断する、方法。
【請求項19】
前記方法では、組織浮腫を、組織浮腫の有無、または程度を判断することにより診断する請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記方法では、
a)インピーダンスを4つの離散周波数で求め、
b)パラメータ群の値を、方程式を4つの連立方程式を使用して解くことにより求める、請求項18または請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記方法では、
a)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上のパラメータの値を、第1及び第2の人体領域に関して求め、
b)第1の人体領域から得られる結果を、第2の人体領域から得られる結果と比較して組織浮腫の発症を示す指標を取得する、請求項18乃至20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記方法では、
a)パラメータR及びRを各人体領域に関して比較し、そして
b)差が正常な集団から求めた許容誤差を超える場合に組織浮腫を表示する、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記方法では、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【数4】

から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)組織浮腫を、求めた指標に従って診断する、請求項21または請求項22記載の方法。
【請求項24】
前記方法では、組織浮腫を、指標を目盛上の或る位置として表示することにより表示する、請求項18乃至23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記方法は、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法である、請求項18乃至24
のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
組織浮腫を検出する装置であって、前記装置は、
a)交流電流を解剖学的領域に或る周波数範囲の4つ以上の離散周波数で流す電流源と、b)前記領域の生体電気インピーダンスをモニタリングするモニターと、そして
c)処理システムと、を備え、前記システムは、
i)生体電気インピーダンスを、Zを角周波数ωでの測定インピーダンス、Rをゼロ周波数での抵抗、Rを無限周波数での抵抗、τを時定数、そしてαを0〜1の間の値とする場合に、次式により表わされる方程式
【数5】

を解いてパラメータR、R、τ、及びαを取得することにより解析し、
ii)パラメータR、R、τ、及びαの内の一つ以上を使用して組織浮腫を表わす指標を提示する、装置。
【請求項27】
電流源は、電源に電気的に接続される近位電極及び遠位電極を含む請求項26記載の装置。
【請求項28】
モニターは、解剖学的領域に、または解剖学的領域の近傍に位置する第1接続線及び第2接続線を含む、請求項26または請求項27記載の装置。
【請求項29】
モニターは、生体インピーダンスを表わす信号を表示する表示手段を含む、請求項26乃至28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
処理システムを適切にプログラムして、処理システムにデータの解析を行なわせて組織浮腫の発症を示す指標を提示させる、請求項26乃至29のいずれか1項に記載の装置。
【請求項31】
前記装置は、請求項18乃至25のいずれか1項に記載の方法を実行する、請求項26乃至30のいずれか1項に記載の装置。
【請求項32】
人体領域に現われる組織浮腫を診断する方法であって、前記方法では、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【数6】

から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)指標R/Rが経時的に変化する場合に、組織浮腫の発症を示す指標を表示する、方法。
【請求項33】
前記方法では、
a)R/Rの測定を、浮腫を起こし得るイベントの前に行ない、そして
b)前記イベントの後に行なわれるR/Rの測定との比較を行なう、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記方法は、請求項1乃至14、または請求項18乃至25のいずれか1項に記載の方法である、請求項32又は請求項33記載の方法。
【請求項35】
人体領域に現われる組織浮腫を診断する装置であって、前記装置は処理システムを含み、処理システムは、
a)RをR=Rから求まる細胞外液の抵抗とし、そしてR
【数7】

から求まる細胞内液の抵抗とする場合に、細胞内液に対する細胞外液の比を表わす指標R/Rを計算し、そして
b)指標R/Rが経時的に変化する場合に、組織浮腫の発症を示す指標を表示する、装置。
【請求項36】
前記装置は、請求項1乃至14、または請求項18乃至25、或いは請求項32乃至34のいずれか1項に記載の方法を実行する請求項35記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−502382(P2008−502382A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515741(P2007−515741)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000876
【国際公開番号】WO2005/122888
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500446937)ザ ユニバーシティ オブ クイーンズランド (6)
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF QUEENSLAND
【出願人】(592253275)クイーンズランド ユニバーシティ オブ テクノロジー (13)
【Fターム(参考)】